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- 1 - 別紙 諮問第870号 答 申 1 審査会の結論 「開示決定等に係る意見
別紙 諮問第870号 答 1 申 審査会の結論 「開示決定等に係る意見書」ほか1件の一部開示決定において非開示とした部分のう ち、別表に掲げる部分は開示すべきであるが、その他の部分は非開示が妥当である。 2 異議申立ての内容 (1)異議申立ての趣旨 本件異議申立ての趣旨は、東京都情報公開条例(平成11年東京都条例第5号。以下 「条例」という。)に基づき、異議申立人が行った「25都市建指第101号一部開示決定 について、 (1)開示に反対の意思を表示した意見書、 (2)反対意見書が提出されな がら、一部公開決定に至ったその理由を示す公文書」の開示請求に対し、東京都知事 が平成25年8月8日付けで行った一部開示決定について、その取消しを求めるという ものである。 (2)異議申立ての理由 異議申立書及び意見書における異議申立人の主張を要約すると、以下のとおりであ る。 ア 一部開示決定を取り消し、全部開示決定の判断を求める。非開示決定部分及びそ の根拠が妥当ではない。 実施機関は、公平な行政サービスに努めるべきである。条例に基づき、開示請求 による公文書の開示や積極的な情報公表・情報提供を行っているとするが、非開示 決定はそれに反するものであり、不都合なことを隠蔽し、都民の知る権利を抹殺し た暴挙である。都民を愚弄しており、承服できない。 イ 実施機関は、「開示に反対の意思を表示した意見書」の非開示理由として、率直 - 1 - な意見が記載されているものであり、公になることを前提として書かれたものでは ないと弁明するが、なぜそのような意見書を出させたのか、率直な意見が記載され ているから公にしてはならないのか、理由が不明確で具体的な根拠が一切明示され ていない。また、都以外の第三者との信頼関係が損なわれると弁明するが、特定の 者だけと信頼関係を結ぶのは、不平等で差別ではないのか。実施機関が指す信頼関 係とは、偏重した差別的な信頼関係ではないのか。反対する理由が具体的に説明さ れているならば、それをなぜ隠蔽するのか。 ウ 過剰な被害者意識に陥っているのは、都合の悪いことを隠蔽し、排除しようとし てきた実施機関ではないのか。実施機関は、合意書(案)や覚書は捏造文書であり 住民の総意ではないことを認めるべきである。 3 異議申立てに対する実施機関の説明要旨 理由説明書及び口頭による説明における実施機関の主張を要約すると、以下のとおり である。 (1)「開示決定等に係る意見書」の非開示部分及び非開示理由について 「開示に反対の意思を表示した意見書」は、特定の建設工事に係る開示請求に関し、 条例15条に基づいて行われた第三者保護に関する手続において、実施機関に対して提 出された「開示決定等に係る意見書」である。開示に反対する旨の意見書には、公に することにより、都以外の第三者に関する権利利益が侵害されるおそれがあることや、 都以外の第三者と他の者との信頼関係を損ねるおそれがある事項に関して具体的な 説明がなされている。その内容を公にすると、都と都以外の第三者との信頼関係が損 なわれ、今後の同種の事例における意見照会等において、第三者からの率直な意見の 提出が妨げられ、開示等の判断の基となる情報が十分に得られなくなるおそれがある。 これにより、慎重かつ公正な開示決定等をすることができなくなり、今後の開示事務 の円滑及び公平な遂行に支障を及ぼすおそれがある。したがって、条例7条6号によ り、開示に反対の意思を表示した意見書のうち、意見書を提出したものの氏名、役職、 所在住所、印影及び意見(開示決定に反対する理由)について、非開示とした。 さらに、東京都情報公開審査会への諮問に当たって、次の非開示理由を追加する。 - 2 - 「開示決定等に係る意見書」のうち、個人の氏名、住所及び意見(開示決定に反対 する理由)の部分は、個人に関する情報で特定の個人を識別できるか、あるいは、当 該個人の主観的な表現で記載された、個人の人格と密接に関わる情報であり、公にす ることにより、特定の個人が識別されなくとも個人の権利利益を害するおそれがある ものと認められる。よって、これらは条例7条2号に該当する。 加えて、「開示決定等に係る意見書」のうち、法人の名称、事務所又は事業所の所 在地、代表者の氏名及び意見(開示決定に反対する理由)の部分は、開示に反対して いる法人の情報及び反対の詳細な理由を示したものである。これらを公にすることに より、当該法人に事業を進めるに当たり予定していなかった調整事項が発生するなど 営業活動に支障が生じ、社会的評価を不当に低下させるなど、当該法人の事業運営上 の地位その他社会的地位が損なわれると認められるため、条例7条3号に該当する。 また、印影は、公にすることにより、偽造等による犯罪の予防に支障を及ぼすおそ れがあるため、条例7条4号に該当する。 (2)「一部開示決定起案帳票(25都市建指第101号)」の非開示部分及び非開示理由につ いて 「一部開示決定起案帳票(25都市建指第101号)」は、起案用紙(第5号様式甲)、 一部開示決定通知書(案)、開示請求書及び添付資料からなり、添付資料は、意見交 換会記録、覚書及び合意書(案)からなる。 このうち、起案用紙(第5号様式甲)、一部開示決定通知書(案)及び開示請求書 に記載されている個人の氏名、住所及び電話番号並びに意見交換会記録の出席者氏名、 代表者名及び住所は、個人に関する情報で特定の個人を識別することができるため、 条例7条2号に該当すると判断し、非開示とした。 また、意見交換会記録の回数、日時、開催場所及び内容、覚書の内容並びに合意書 (案)には、当事者のみが知り得る当事者間の合意形成過程や合意内容を具体的に記 載した内部情報が記載されている。これを公にすると、事業を進めるに当たり、予定 していなかった調整事項が発生するなど各当事者の営業活動に支障が生じるおそれ や各当事者の社会的評価を不当に低下させるおそれがあるなど、各当事者の事業運営 上の地位その他社会的地位が損なわれると認められるため、条例7条3号に該当する と判断し、非開示とした。 - 3 - さらに、これらの資料は、実施機関が事務局である東京都建築審査会の審議の材料 として任意の情報提供を受けたもので、公になる可能性があると今後情報提供を十分 に受けられなくなるおそれがあり、このことは東京都建築審査会の事務の適切な遂行 に支障を及ぼすおそれがあると認められるため、条例7条6号に該当すると判断し、 非開示とした。 また、東京都情報公開審査会への諮問に当たって、次の非開示理由を追加する。 覚書のうち印影は、公にすることにより、偽造等による犯罪の予防に支障を及ぼす おそれがあるため、条例7条4号にも該当する。 4 審査会の判断 (1)審議の経過 審査会は、本件異議申立てについて、以下のように審議した。 年 月 日 審 議 経 過 平成25年11月18日 諮問 平成25年12月12日 新規概要説明(第145回第一部会) 平成26年 9月 実施機関から理由説明書収受 平成26年 9月17日 実施機関から説明聴取(第152回第一部会) 平成26年 9月30日 異議申立人から意見書収受 8日 平成26年10月22日 審議(第153回第一部会) (2)審査会の判断 審査会は、異議申立ての対象となった公文書並びに実施機関及び異議申立人の主張 を具体的に検討した結果、以下のように判断する。 ア 本件対象公文書について - 4 - 本件異議申立てに係る開示請求は、「25都市建指第101号一部開示決定について、 (1)開示に反対の意思を表示した意見書、(2)反対意見書が提出されながら、 一部公開決定に至ったその理由を示す公文書」の開示を求めるものである。 実施機関は、本件開示請求に対し、別件開示請求に係る対象公文書について、条 例15条1項に基づき提出を受けた「開示決定等に係る意見書」(以下「本件対象公 文書1」という。)及び別件開示請求に対する一部開示決定の起案文書である「25 都市建指第101号一部開示決定起案帳票」(以下「本件対象公文書2」という。)を 本件開示請求に係る対象公文書として特定し、本件対象公文書1については条例7 条6号に該当するとして、本件対象公文書2については同条2号、3号及び6号に 該当するとして、それぞれ一部開示決定を行った。また、理由説明書において、本 件対象公文書1については条例7条2号、3号及び4号にも該当し、本件対象公文 書2については同条4号にも該当するとし、非開示理由の追加を行っている。 イ 本件非開示情報について 前記アの別件開示請求は、特定の建設工事に関し、関係者間の合意形成過程に係 る文書等の開示を求めたものである。実施機関は、別件開示請求に係る対象公文書 の開示・非開示等の決定に当たって、条例15条1項で「開示請求に係る公文書に都 以外のもの…に関する情報が記録されているときは、実施機関は、開示決定等に先 立ち、当該情報に係る都以外のものに対し、…意見書を提出する機会を与えること ができる。」と規定していることに基づき、都以外のものに開示決定等に係る意見 書の提出を求めた。これに対し、特定の個人及び法人から提出された開示決定等に 係る意見書が本件対象公文書1であり、実施機関が別件開示請求に対し、当該意見 書の内容を考慮した上で一部開示決定した際の起案文書が本件対象公文書2であ る。 実施機関は、本件対象公文書1のうち、個人から提出された開示決定等に係る意 見書における個人の氏名、住所及び「意見(開示決定に反対する理由)」欄に記載 されている情報(以下「本件非開示情報1」という。)は条例7条2号及び6号に 該当し、法人から提出された開示決定等に係る意見書における法人の名称、事務所 又は事業所の所在地、代表者の氏名及び「意見(開示決定に反対する理由)」欄に 記載されている情報(以下「本件非開示情報2」という。)は条例7条3号及び6 - 5 - 号に該当するとして、非開示とした。 また、本件対象公文書2のうち、 「起案用紙(第5号様式甲)」、 「一部開示決定通 知書(案)」、 「開示請求書」、 「意見交換会記録」、 「覚書」、 「合意書(案)」に記載さ れた個人の氏名、住所及び電話番号(以下「本件非開示情報3」という。)は条例 7条2号及び6号に該当し、「意見交換会記録」の出席者の構成、意見交換会の開 催回数、日時、開催場所及び内容、「覚書」、「合意書(案)」の内容(以下「本件非 開示情報4」という。)は条例7条3号及び6号に該当するとして、非開示とした。 さらに、本件対象公文書1及び2のうち、印影(以下「本件非開示情報5」とい う。)は条例7条4号及び6号に該当するとして、非開示とした。 ウ 条例の定めについて 条例7条2号本文は、「個人に関する情報(事業を営む個人の当該事業に関する 情報を除く。)で特定の個人を識別することができるもの(他の情報と照合するこ とにより、特定の個人を識別することができることとなるものを含む。)又は特定 の個人を識別することはできないが、公にすることにより、なお個人の権利利益を 害するおそれがあるもの」を非開示情報として規定している。また、同号ただし書 において、「イ 法令等の規定により又は慣行として公にされ、又は公にすること が予定されている情報」、 「ロ 人の生命、健康、生活又は財産を保護するため、公 にすることが必要であると認められる情報」、 「ハ 当該個人が公務員等…である場 合において、当該情報がその職務の遂行に係る情報であるときは、当該情報のうち、 当該公務員等の職及び当該職務遂行の内容に係る部分」のいずれかに該当する情報 については、同号本文に該当するものであっても開示しなければならない旨規定し ている。 条例7条3号本文は、「法人(国、独立行政法人等、地方公共団体及び地方独立 行政法人を除く。)その他の団体(以下「法人等」という。)に関する情報又は事業 を営む個人の当該事業に関する情報であって、公にすることにより、当該法人等又 は当該事業を営む個人の競争上又は事業運営上の地位その他社会的な地位が損な われると認められるもの」を非開示情報として規定している。また、同号ただし書 において、「イ 事業活動によって生じ、又は生ずるおそれがある危害から人の生 命又は健康を保護するために、公にすることが必要であると認められる情報」、 「ロ - 6 - 違法若しくは不当な事業活動によって生じ、又は生ずるおそれがある支障から人の 生活を保護するために、公にすることが必要であると認められる情報」、 「ハ 事業 活動によって生じ、又は生ずるおそれがある侵害から消費生活その他都民の生活を 保護するために、公にすることが必要であると認められる情報」のいずれかに該当 する情報については、同号本文に該当するものであっても開示しなければならない 旨規定している。 条例7条4号は、「公にすることにより、犯罪の予防、鎮圧又は捜査、公訴の維 持、刑の執行その他公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすおそれがあると実施機 関が認めることにつき相当の理由がある情報」を非開示情報として規定している。 条例7条6号は、「都の機関又は国、独立行政法人等、他の地方公共団体若しく は地方独立行政法人が行う事務又は事業に関する情報であって、公にすることによ り、…当該事務又は事業の性質上、当該事務又は事業の適正な遂行に支障を及ぼす おそれがあるもの」を非開示情報として規定している。 エ 本件非開示情報の非開示妥当性について (ア)本件非開示情報1及び3について 審査会が見分したところ、本件非開示情報1及び3のうち、個人の氏名、住所 及び電話番号は、個人に関する情報で特定の個人を識別することができるもので ある。また、 「意見(開示決定に反対する理由)」欄に記載されている情報は、開 示に反対する個人の意見であり、主観的な認識が含まれているものであって、特 定の個人を識別することはできないが、公にすることにより、なお個人の権利利 益を害するおそれがあるものと認められるので、本件非開示情報1及び3は条例 7条2号本文に該当し、その内容及び性質から、同号ただし書のいずれにも該当 しない。 したがって、本件非開示情報1及び3は条例7条2号に該当し、同条6号該当 性を判断するまでもなく、非開示が妥当である。 (イ)本件非開示情報2及び4について 実施機関は、本件非開示情報2及び4について、これらを公にすることにより、 特定の建設工事の事業者である法人において、事業を進めるに当たり、予定して - 7 - いなかった調整事項が発生するなど営業活動に支障が生じ、社会的評価を不当に 低下させるなど、当該法人の事業運営上の地位その他社会的地位が損なわれると 説明する。 また、本件非開示情報2については、これらを公にすると、都と都以外の第三 者との信頼関係が損なわれ、今後の同種の事例における意見照会等において、第 三者からの率直な意見の提出が妨げられ、開示等の判断の基となる情報が十分に 得られなくなるおそれがあるとする。さらに、本件非開示情報4については、東 京都建築審査会における審議の材料として任意の提供を受けた資料に記載され ている情報であり、これらを公にすると、今後十分な情報提供を受けられなくな り、東京都建築審査会の事務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあると説明す る。 これに対し、異議申立人は、実施機関の説明は事業者側の営業活動保護を優先 した不均衡なものであり、どのような支障が生じるのか、また、今後の同種の事 例とは何を指すのか、具体的でなく不明確である旨主張する。 審査会で検討したところ、特定の建設工事の事業者である法人名は既に公にさ れている情報であることから、別表に掲げる部分は、公にすることにより、当該 法人の事業活動に具体的な不利益が生じ、事業運営上の地位その他社会的な地位 が損なわれるとは認められず、条例7条3号に該当しない。 また、別表に掲げる部分は、実施機関が特定の法人から提出を受けた「開示決 定等に係る意見書」に係る具体的意見内容や、「意見交換会記録」、「覚書」及び 「合意書(案)」の具体的内容ではないことから、公にすることにより、当該法 人との信頼関係が損なわれ、開示決定等の事務及び東京都建築審査会の運営に係 る事務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるとまでは認められず、条例7条 6号にも該当しない。 したがって、本件非開示情報2及び4のうち、別表に掲げる部分については、 開示すべきである。 しかし、本件非開示情報2及び4のうち、その余の部分については、公表され ている情報とは認められず、実施機関が特定の法人から提出を受けた「開示決定 等に係る意見書」に係る具体的意見内容や、特定の建設工事に関し、関係者間の 合意形成過程における具体的な協議内容、合意内容等が記載されたものであり、 - 8 - 公にすることにより、当該法人の事業運営上の地位その他社会的な地位が損なわ れると認められるので、条例7条3号に該当し、同条6号該当性を判断するまで もなく、非開示が妥当である。 (ウ)本件非開示情報5について 本件非開示情報5は、公にすることにより、偽造等による犯罪の予防に支障を 及ぼすおそれがあると実施機関が認めることにつき相当の理由がある情報と認 められるので、条例7条4号に該当し、同条6号該当性を判断するまでもなく、 非開示が妥当である。 よって、「1 審査会の結論」のとおり判断する。 (答申に関与した委員の氏名) 秋山 收、浅田 登美子、神橋 一彦、隅田 憲平 別表 本件対象公文書 開示すべき部分 1 開 示 決 定 等 に 係 る 意 本件非開示情報2のうち、法人の名称、事務所又は事業所 見書 の所在地、代表者の氏名及び「意見(開示決定に反対する 理由)」欄に記載された内容のうち、意見内容以外の部分 2 25都市建指第101号一 本件非開示情報4のうち、 「意見交換会記録」の出席者の構 部開示決定起案帳票 成、「覚書」及び「合意書(案)」に記載された法人の名称、 所在地、代表者名、記号及び文書の保有数 - 9 -