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答申第3号 [95KB pdfファイル]
別紙 答 申 1 審査会の結論 実施機関が行った決定は、妥当である。 2 異議申立ての趣旨 本件異議申立ての趣旨は、平成23年11月30日付けで実施機関が行っ た一部非公開決定(以下「本件当初決定」という。)を取り消し、公開すると の決定を、及び平成24年1月12日付けで実施機関が行った情報非公開決 定変更決定(以下「本件変更決定」という。)を無効にするとの決定を、求め るというものである。 3 異議申立ての理由 (1)異議申立人は、平成23年11月30日付けで実施機関が行った一部非 公開決定処分については不服の意思を示していない。また、教示に基づい た手続きを行っていないにも関わらず、実施機関は平成24年 1 月12日 付け情報非公開決定変更決定処分を行った。この処分は、条例に基づき実 施されたものではなく、また異議申立人の同意を得ずに行っている。日本 国憲法第31条では、「何人も、法律の定める手続によらなければ、その 生命若しくは自由を奪われ、又はその他の刑罰を科せられない。」と規定 されており、実施機関の職権で処分を変更することはできない。 (2)実施機関は、「ごみ処理に係る委託に関すること。」に関する権限を有 しており、委託業者に対して指導監督する立場である。しかし、実施機関 は、平成23年11月30日付け一部非公開決定処分にて「委託業者に指 導を行っていないため情報不存在」として「委託を行っている場合は委託 業者の指導記録」が存在しないとの説明を行っている。家庭廃棄物の収集 運搬業務は、一部ではあるが委託業者が行っており、適正に廃棄物を処理 するためには委託業者への指導は重要である。実施機関が説明する「委託 業者に指導を行っていないため情報不存在」では、委託業者に指導を行っ ていないことになり、市民が求める公衆衛生が守られていないことになる。 また、実施機関が異議申立人に対して公開した「収集運搬後の清掃工場に おける計量データ」による情報では、収集運搬車両の過積載が疑われる重 量にて運搬を行っており、委託業者に対してコンプライアンスに関する指 導も行う必要がある。以上のことから、指導記録が存在しないとする実施 機関の説明は考えにくく、いたずらに情報の公開を拒否しているにすぎな い。 (3)実施機関は、「収集運搬車両の自動車検査証の写し」を自動車検査証に 記載されている車台番号及びQRコード(以下「車台番号等」という。) 1 を除き、部分公開すると説明しているが、実施機関が異議申立人に対して 公開した「収集運搬後の清掃工場における計量データ」による情報と「収 集運搬車両の自動車検査証の写し」との情報が一致せず、「収集運搬車両 の自動車検査証の写し」の情報が不足している。「収集運搬車両の自動車 検査証の写し」は、松原市情報公開条例(以下「条例」という。)第9条 に規定する「情報の存否に関する情報」に該当するとは考えられず、公開 の請求に係る情報の存否を明らかにしないで、公開の請求を拒否すること はできない。 (4)本件対象公文書は、人の生命、身体若しくは健康に対し危害を及ぼすお それのある事業活動に関連する公文書であり、市民の関心も高い。また、 条例第6条の公開しないことができる情報及び条例第7条の公開してはな らない情報には該当せず、非公開とすることはできない。 4 実施機関の主張 (1)本件変更決定について 異議申立人が情報公開請求した委託業者の指導記録とは、勧告書などと 特に題した記録のみを言うものと理解し、そして現実にそのような記録は 存在しなかったことにより本件当初決定において情報不存在としたところ、 異議申立人との会話の中で情報が不足していることが判明したため、本件 変更決定をしたものである。 なお、本件当初決定のような処分には不可変更力が認められるものでは なく、また、本件変更決定は、実質的には異議申立人の意思に基づいて行 われたものであり、その内容を見ても、本件当初決定のみがなされていた 状態と比べて異議申立人に何らの不利益を与えるものではない。 また、異議申立人が主張する指導記録が存在しないことについての指摘 は、本件変更決定がなされた時点においてはもはや顧慮すべきものではな い。 (2)不足しているとされる自動車検査証について 異議申立人の指摘により、一部の車両に係る自動車検査証について公開 していないことが判明したため、直ちに公開されていない自動車検査証を 送付するため異議申立人に連絡したものであるが、同人が受け取る意思を 示していないものであり、公開の請求に係る情報の存否を明らかにしない で、公開の請求を拒否しているものではない。 (3)自動車検査証に記載されている車台番号等を非公開としたことについて 自動車検査証に記載されている車台番号等については、登録番号と併せ ることにより当該自動車の所有者等の情報を容易に取得することができ、 当該情報が犯罪目的に利用されるおそれがあることから、犯罪の予防その 他の公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすと認められるため、条例第6 条第4号に該当すると判断し、非公開としたものである。 2 5 審査会の判断 (1)本件変更決定の有効性について 行政処分については、一旦行政処分を行った以上、行政処分を行った行 政庁自身もこれを変更することができないという不可変更力が講学上議論 されているところであるが、この不可変更力については、一定の争訟手続 に従ってなされる行政処分については認められているものの、本件当初決 定のような処分に不可変更力が認められているものではない。また、本件 当初決定の内容について異議申立人は不満の意を実施機関に対して表明し ていたのであり、本件変更決定はまさしく同不満の対象についてなされた ものであるから、少なくとも本件変更決定がなされたこと自体は実質的に は異議申立人の意思に基づくものと言える。よって、本件変更決定は、有 効な処分であると認められる。 (2)委託業者の指導記録の不存在に関する指摘について 本件変更決定の有効性については(1)で述べたとおりであり、本件変 更決定が既になされた後である現時点においては、委託業者の指導記録に 係る情報について一部非公開の決定がなされたものであり、もはや同情報 は不存在であるという指摘をすることはできないものである。 (3)収集運搬車両の自動車検査証を存否応答拒否しているとの指摘について 当初の公開時点においては、一部の収集運搬車両の自動車検査証につい て、存否を明らかにしないまま公開していなかった事実が存することは認 められるが、その後、実施機関は公開していなかった自動車検査証を異議 申立人に送付するために数回連絡した事実が見受けられ、そのことにより 異議申立人が主張するその存否を明らかにしないまま公開しないというこ とには当たらない。 (4)条例第6条第4号(公共の安全等に関する情報)の該当性について 本号は、情報を公開すれば、人の生命、身体又は財産等の保護、犯罪の 予防その他の公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすような情報について は、非公開とすることができると定めたものである。 実施機関は、条例第6条第4号の該当理由として次のように主張する。 自動車検査証に記載されている車台番号等については、登録番号と併せ ることにより当該自動車の所有者等の情報を容易に取得することができ、 当該情報が犯罪目的に利用されることが危惧されるとするものである。 この実施機関の主張するところから、当審査会としても、車台番号等を 公開することにより、当該自動車の所有者等の情報が取得され、犯罪に利 用されることが危惧されることから、車台番号等は情報条例第6条第4号 に該当すると判断する。 一方で、異議申立人は、車台番号等が人の生命、身体若しくは健康に対 し危害を及ぼすおそれのある事業活動に関連する情報である旨主張するが、 3 同主張は、その真偽にかかわらず、条例第6条第4号に該当するという上 記の判断に影響を与えるものではなく、採用できない。 (5)結論 以上のとおり、実施機関が本件変更決定をしたこと、及び実施機関が本 件不服申立てに係る情報を条例第6条第4号に該当するとして非公開の決 定をしたことは、妥当である。 (6)附帯意見 本件における結論としては、上記のとおりであるが、情報公開事務にお ける信頼性の確保という観点から、今後、実施機関においては、必要に応 じ請求者に対する請求内容の具体的な確認や、公開する情報のより慎重な 精査など、公開請求対象となる情報の特定、公開決定等に至る一連の手続 の中でより丁寧な対応に努められたい。 4