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市場集中度と広告集約度に関する逆 U 字型仮説の分析
Title Author(s) Citation Issue Date 市場集中度と広告集約度に関する逆U字型仮説の分析 肥前, 洋一 經濟學研究, 52(4): 91-101 2003-03-11 DOI Doc URL http://hdl.handle.net/2115/5998 Right Type bulletin Additional Information File Information 52(4)_p91-101.pdf Instructions for use Hokkaido University Collection of Scholarly and Academic Papers : HUSCAP 経済学研究 北海道大学 52-4 2 0 0 3 .3 市場集中度と広告集約度に関する 逆 U 字型仮説の分析* 肥前洋一 1.はじめに 広告集約度 市場集中度1)と広告集約度(売上高に占める 広告費の割合)の聞にどのような関係が成り立 っかというテーマは,広告の経済学的意義を考 えるうえで重要であり,多くの実証研究がおこ なわれてきた。そこでは,主に図 1のような 2次の逆 U字型の関係が成り立つ(中程度の 市場集中度 集中度の市場で広告集約度が最大になる)とい 図 1 逆 U字型曲線 う仮説が扱われており,それを支持する実証結 果が多く得られている。この逆 U 字型という 非単調の関係は理論的にはどのように説明でき らかにされる。以上をふまえて,第 3節では るのかというのが,本論文の主題である。 広告に関する企業の意思決定モデルをつくり, 逆 U 字型仮説は,理論的にその可能性が示 数値例を用いて逆 U 字型曲線を導出する。そ 唆されると同時に,実証研究によってそれを支 こでは,先行研究のように一般的な理論的可能 持する結果が得られるという形で,有力な仮説 性のーっとして逆 U 字型仮説を示唆するので として認められるようになったといえる。本論 はなく,逆 U 字型の関係が導出されるように 文では,まず第 2節で理論の先行研究が逆 U モデルを特定化することによって,より明示的 字型仮説をどのように説明しているかをみてか に逆 U字型仮説が成り立つための条件を考え ら,実証の先行研究により得られている結果を るというアプローチをとることにする。第 4 簡潔にまとめる。そこでは,市場集中度を原因, 節では結論を述べる。 広告集約度を結果とする因果関係が強く,逆方 向の因果関係は考慮しなくても影響が少ないこ 2 . 先行研究 とが明らかにされる。また,逆 U 字型の関係 を説明するために,企業の広告水準に関する意 市場集中度と広告集約度の関係の研究は,理 思決定に影響を与える要因として,先行研究は 論でも実証でも,双方向の因果関係を考えるも 少なくとも 2 つのものを考えていることが明 のと,市場集中度から広告集約度への一方向の 因果関係を考えるものに分けられる。この節で は,それら 2つのアプローチの対比に力点を 1)通常,市場集中度は,その市場全体での売上高に占 める,上位数社の売上高の合計の割合として定義さ れる。 置きながら,先行研究を概観する。 経済学研究 9 2( 5 0 8 ) 2.1 理論研究 52-4 効果は同じでも,企業規模が大きいほど他の面 市場集中度と広告集約度に関する逆 U 字型 (広告に使える資金量など)で比例以上の差が 仮説の「理論」研究は,実証研究のための仮説 生じることを想定している。そのような状況で を立てることを主な目的とした言葉による説明 は , と,それ自体で逆 U 字型の関係を説明しよう す大きくなる一方,小企業は市場から退出して とする数理モデル分析に分けられよう。それら 市場集中度が高まる。 3つめは,たとえ規模 を順次みていきたい。 1つめの場合と同様に,大企業がますま の内部経済がなくても,何らかの理由(偶然, 技術,先見性など)で広告の単位あたり効果が 2 .1.1 言葉による説明 企業間で異なるときである。高い効果をもっ企 はじめに,市場集中度と広告集約度の聞の双 業が広告を増やして売上シェアを大きくすれ 方向の因果関係を考える説明,すなわち,市場 ば,シェアを奪われた他企業は奪回のための広 の企業構成に応じて企業の広告活動がどのよう 告をおこなわなければならなくなるかもしれな に変わるか,そして逆に,広告活動が企業の参 い。こうして販売費用が上昇すれば,小企業の 入・退出・合併の意 思決定にどのような影響を 存続は難しくなり,退出や合併が生じるのであ J r < 巴巴r 与えるかの両方を考える説明をみよう。 G る。以上の 3つの状況のいずれにおいても, ( 19 71)は,逆 U字型曲線を傾きが正の部分 市場に存在する企業聞に何らかの差異があるこ と負の部分に分けて,それぞれについて双方向 とを前提としている。これは,あとにみる数理 の影響の与え方を議論している。以下では彼の モデル分析と異なる点である。 議論をベースにして,各部分を説明していく。 市場集中度が広告集約度を高めること(傾き まず,広告が市場集中度を高める状況(傾き が正で原因が市場集中度)は,高度集中は販売 が正で原因が広告集約度)として, Gre巴rは次 促進努力の必要条件であるという見方から の 3つを挙げる。 1つは,広告に規模の内部 Gr 巴巴rは説明している。すなわち,集中度が高 経済があるときである ο この可能性は, Kaldor まるにつれて個別需要の価格弾力性が低下し, ( 1950, p .1 3 ) によって次のように論じられた 価格の引き下げよりも他の手段で販売を促進し ものである。もし広告の効果が広告量に比例す たほうが利潤を高めることができるようになる るなら,企業らがそれぞ、れの売上シェアに応じ ので,販売促進手段の代表である広告への最適 て比例的に広告をおこなう場合(各企業の広告 な支出水準が高まるのである。この考え方は, 集約度が同じ場合にその市場における各企業 後 述 の Dorfm組 問dS t 巴i n e r( 1954) に よ る 弾 の売上シェアは,広告の前後で変わらないこと 力性アプローチモデルにもみてとれる。 になる。しかし, これはめったにありそうにな 高度集中市場で広告集約度が低下すること いので,広告支出が大きいほど,単位あたりの (傾きが負で原因が市場集中度)の説明では, 消費者を引き付ける効果は大きくなるに違いな 企業数が少ないと企業聞に共謀が生まれ,互い い。これによって,もともと売上シェアの大き に相殺するような過剰広告が削減されるように かった企業や,他企業に先駆けて広告をおこな なるという仮説を Greerは取り上げている。た い売上シェアを大きくした企業がますます大き だし,共謀は企業らが互いに非協力的であって くなっていく一方,小企業や出遅れた企業が市 も暗黙の形で成立しうる。 Kaldor( 1950, p .1 4 ) 場から退出し,市場集中度が高まるのである。 が説明するように,もし必要なら,販売量との 2 つめは,たとえ規模の内部経済がなくても, つりあいを犠牲にしてでも,競争者らは広告支 大企業が小企業より高い広告集約度を維持する 出を増やすことによって相互に反応することが ことができるときである。広告の単位あたりの できるので,どの企業にとっても競争者より大 2 0 0 3 .3 市場集中度と広告集約度に関する逆 U 字型仮説の分析肥前 きな広告支出をおこなうことが難しくなるから 93( 5 0 9 ) を奪うか(略奪販売)による。創出販売を目的 である。乙のような企業聞の相互反応は,あと として広告をおこなう場合,創出した市場需要 1 e n s e 巴( 1 9 7 2 ) のモデルでも広告 にみる Schma のうちどれだけを広告主である企業が獲得でき の推測変分として表されている。また 暗黙の るかが重要だが小企業の場合はそのほとんど 共謀は,非協力ゲーム理論における繰り返しゲ を他企業に取られてしまうだろう。したがっ ームのトリガ一戦略均衡としても説明すること て,集中度の低い市場では,市場全体として創 ができるだろう。こうした共謀の仮説は,次に 出販売のための広告は少ない。一方,略奪販売 u t t o n( 1 9 7 4 ) を含め,広告費の減少を説 みる S のための広告は,企業聞の販売量や資力の差が 明するときに多く用いられるものである。 比較的大きな中程度集中市場の大企業がもっと 最後に,傾きが負で原因が広告集約度の部分 も多くおこなうであろう。というのも,小企業 は,広告集約度の低下が市場集中度を上昇させ には競争的な広告をおこなう資力がないし,同 るという向きではなく,広告キャンペーン(広 規模の大企業間ではむしろ. G r e e r( 1 9 7 1 )で 告集約度の上昇)を伴った新規参入(市場集中 も述べられたように,暗黙の共謀により広告支 r e e rは説明している。こ 度の低下)によって G 出を削減することによって利潤を大きくできる れは,広告が競争の手段として働くとするシカ ことに気づくだろうからである。市場集中度が ゴ学派の見方に沿うものであり,既存企業によ さらに進んで,小数の大企業と周辺の小企業か る広告が参入障壁を高めるとするハーバード学 ら市場が構成されるようになると,それらの大 派の見方と対照的である。 企業にとって小企業から略奪する利益は小さい 以上のような双方向の因果関係にもとづく説 ので,略奪目的の広告は再び低下するだろう 2)。 明と並んでしばしば唱えられるのが,市場集中 とれらより,広告による販売量の増加は,中程 度から広告集約度へという一方向の因果関係に 度の集中市場で最大になると見込まれる。 もとづく説明である。この説明は,市場構造が 利潤率の上昇は,長期的には参入障壁による 広告に関する企業の利潤最大化行動に影響を与 ところが大きいだろう。そして,ハーバード学 え,その結果として広告集約度が決まるとい 派の見地に立てば,広告は参入障壁を高くして う,伝統的な産業組織論の構造行動一成果ア 競争を弱める効果をもっ。しかしながら,非集 u t t o n プローチに沿うものである。たとえば S 中市場の小企業は資力が小さいので,参入障壁 ( 19 7 4 ) は,広告集約度が中程度の集中産業で を高めようと広告をおこなっても,新規参入企 最大になる要因を次のように説明する。 まず,企業は広告によって生み出される利潤 業はそれに対抗する広告支出を伴って参入して くることが可能だろう。また,すでに高い参入 p e c t e dva 1 u 巴o fa d v e 凶s i n g : の増分の期待値(巴x 障壁をもっ高度集中市場の大企業は,さらに広 EVA) にもとづいて広告支出を決定する。乙 告をおこなっても参入障壁の高さはさほど変わ の EVAは,広告が成功したときに得られる利 らない。ここでもやはり,参入障壁を高める努 潤の増分(誘因)と,広告が成功する確率(機 力をしなければそれが比較的低く,かっその努 会)の 2 つによって決定される。したがって, 力のための資力を企業らがもっている中程度の これら 2 つが市場集中度に応じてどのように 集中市場において,広告による利潤率の上昇は 変化するかをみれば,企業の広告支出の変化が 最大になると見込まれる。 わかる。 誘因は,販売量の増加と利潤率の上昇の 2 つから成る。販売量の増加は,新たな市場需要 を創出するか(創出販売).他企業の個別需要 2) C a b l e (1975) も,~占企業は他企業の個別需要を 略奪する機会をもっているので,それがない独占企 業よりも,広告が広告主の販売量を摺やす効果は大 きいであろうことを述べている。 9 4( 5 1 0 ) 5 2 4 経済学研究 EVAのもう一つの決定要因である「機会」 規模生産と大規模流通を可能にする技術力,財 については,広告の情報伝達機能に注目して説 政的要因,全国的市場の開発などである。原因 明している。もし広告が製品に関する適切な情 と結果を正しく見通すことが重要である。大企 報源としてとらえられるなら,広告に対する消 業があって大量広告が生じてくるのであって, 費者の反応の仕方は,消費者の感じる情報の必 大量広告が大企業をっくり出すわけではない」 要性に影響される。乙の情報の必要性は,製品 (五味賢太郎監訳(19 6 8 ), p p . 1 5 6-1 5 7 )。 数が多かったり新製品が次々に登場したりする ときに高くなる。それゆえ,企業にとっての広 告の機会は,製品数が多かったり技術進歩率が 2.1.2 モデルによる説明 以上の言葉による説明は,もっともらしいさ 高かったりする市場で大きくなるだろう。製品 まざまな要因を包括的に考慮しているという点 数は非集中産業において最大だが,技術進歩率 では説得的だが,逆 U 字型曲線の各部分で異 は中程度の集中産業においてもっとも高くなる なる要因を用いているという点では統一的でな 傾向がある。 い。これを補うのが,数理モデルによる説明で 乙れらの考察より, EVAは中程度の集中産 ある。数理モデルは,さまざまな要因のうちの 業で最大になり,逆 U 字型仮説が成立すると いくつかに焦点をしぼり,他の要因を省略して u t t o nは回帰分析をおこな 見込まれるとして, S しまうが,いくつかの要因によって統一的に逆 った。そして, この仮説が支持される結果を得 U 字型曲線の全体を説明することができるとい たあと,それにもとづいて,広告集約度が市場 c h m a l 巴n s e e う長所をもっている。ここでは, S 集中度を決めており市場集中度からはむしろ独 立であるという見方を次のように批判した。す ( 1 9 7 2 ) のモデルを取り上げよう。 すべての企業が価格を外生的に p に設定す なわち,もし広告が集中度に影響を与えるとす る市場を考える。企業 ic i= 1 ,2 , .. ., n )の販売 るなら,高度集中水準において観察される負の iは,企業 iの広告支出向,競争者らの広 量q 関係を説明するには集中度がある水準以上 に高まると,さらなる集中度の上昇のためには 広告集約度の低下が必要とされる」という仮定 か,または逆に「もともと高度に集中が進んで いる市場では,広告集約度の上昇が集中度の低 告 支 出 の 合 計 再 =~ai' 価格 p に依存する Hi とする。すると,企業 iの利潤は, 内=陀 ( ai, i i i[ q i( ai, i i ]- a i i;p)- C i;p) 下をもたらす」という仮定が必要である。しか と表される。ただし, c ;C.)は企業 iの生産費 し,これらの仮定は直観的にもっともらしくな 用関数を表す。企業 iの広告支出に関する利潤 いし,実証的にも支持されない。さらに,広告 最大化のための 1階の条件は, は産業聞の集中度の違いの唯一の原因ではない ト-(dci/dqi)] し,もしもとの集中水準が広告行動に影響力を 内 /dai = もたないのなら中程度の市場集中度でも広告集 [ ( 九 / 札 )+θ (qi/眠)(diii/ぬ i)]-l=O 約度の低い産業が存在しうるが,そのような産 業は彼のサンフ。ルでは観察されなかったのであ である。モデル自体は静学の枠組みだが,企業 る 。 iの広告支出の増加に対して他企業が追随する B a c k m a n( 1 9 6 7 ) も因果関係の方向について i i i / d a i に表 という動学的な期待が推測変分 d S u t t o nと同じ立場であり,次のように指摘して されている。ここで,需要の広告弾力性,需要 ( 市場の)集中化が進むのは広告による いる。 i の交差広告弾力性,広告の推測的変動率,ラー ものではない。経済的集中の主たる原因は,大 ナーの独占度をそれぞれ, 市場集中度と広告集約度に関する逆 U 字型仮説の分析肥前 2 0 0 3 .3 , /θ ( 札 ) , Ai三 ( a i/q ,) θ (q,/応 i,) a i ( ai/a , ) ( dai/ぬ i ,) θ (日 i/θ ai)+ A i= =(a q i) q i/ (すなわち A,= ( a i/' Lq,) ( 刊i)(8si/8ai)) 三 ム三ト 1階の条件は広告集約度についての式: ん か i 企業数 nに応じた広告 集約度の変化を分析している。そして,ムが ( d c,/dq, )]/p と定義すれば,上の a, / pqi = 9 5( 51 1 ) 企業数から独立なら広告集約度は企業数ととも に上昇していくが,需要の価格弾力性 η =一( P/ q i) ( θq,/ θ I p )が一定で L, が価格に関 するクールノー均衡として決定されるならば 十 王 αi) 1 / ηn)• 創出販売効果が十分に (乙のときム = に書き換えられる。ここで,各企業の需要・費 小さいとき,広告集約度が中程度の企業数で最 用条件が同じであるとすれば,利潤最大化行動 大になることを示している。 ここで .n=lのときには,上の広告集約度の にもとづく企業 iの広告集約度は市場全体のそ れと等しくなる。先の言葉による説明では. 1 式より μ = η (た だ し μ =p(θq,/θai))を得 つの市場に存在する企業聞に規模の違いがある t 巴i n 巴r ( 19 5 4 ) によ る 。 こ れ は DorfmanandS ことを想定する場合が多かったが, ここではそ って導出された最適広告水準の決定式「ドーフ のような想定による説明はしていないことに注 拍n a n S t e i n e rc o n マン=スタイナーの条件 (Do 意されたい。 d i t i o n )Jであり,広告の限界価値生産物が需要 n企業の 乙の広告集約度の式は,n方程式 ( 1階の条件) n変数 (al• ...• an) の体系を解 目 の価格弾力性に等しい点で最適広告水準が決ま 泊n 叩 叩d ることを意味している。すなわち.Do く途中段階の式ではあるが. Clarke ( 1985) は 巴r は各企業が他企業との戦略的相互依存 S t e i n それをことわったうえで,逆 U 字型仮説が成 関係を考慮せずに広告水準を決めている状況を 立する可能性を次の仮説により説明する。すな 想定している。 わち,市場集中度が高まるにつれてラーナーの Dorfmana n dS t 巴m巴r は , μ と ηは a iの 水 準 iが大きくなっていくが,ある水準を 独占度 L によって変化するとして,それらの考えられる 超えると企業聞の相互依存性の認識的 >0が 3つの変化形態を図 2 のように表し, ドーフ 高まり,広告集約度は低下するという仮説であ マン=スタイナーの条件を満たす q の水準 る(広告の略奪販売効果により A i<0として (丸印で固まれた点)を考察している。ただし, いる)。このような説明は,市場集中度から広 p の水準は a ,の各水準のもとで利潤を最大に 告集約度への一方向の因果関係にもとづくもの するように決められるとする。 μ の変化形態 である。また,広告のインセンティブを与える は , 要因としては,市場集中度と広告集約度の正の えると低下すると仮定するのがもっともらしい 関係ではムの上昇,負の関係では αiの上昇と ので,図 2のパネル A から C の間で同じであ いう 2 つが考えられている。 る。一方, aj が小さな範囲では上昇し,ある水準を超 aj の増加とともに η がどのように S c h m a l e n s e e自身は,現実の市場における αz 変化するかは一概にはいえないので,単調に上 =0の妥当性を論じてそれを仮定し.Aiを市場 Lq iの増加による部分 ( S u t t o n( 1 9 7 4 )の 需要 ' 昇するケース(パネル A と B) と単調に低下 創出販売に相当)と市場における企業 iの販売 i/ ' Lq i の上昇による部分 量のシェア S,=q (同じく略奪販売に相当)に分けて するケース(パネル C) を考えている。 パネル Aでは,どの aiの水準でも ηは十分 に大きい。これは競争市場に相当する。 ηは μ より常に大きいので, ドーフマン=スタイナー 9 6( 5 1 2 ) 52-4 経済学研究 が,ある水準以上に μ,η ai を増やすと消費者に製 品の違いを認識させることができるようにな り , ηが小さくなって不完全競争市場の状況に なるというケースが描かれている。同条件は, η ゼロの ai と正の aiで成立する。 このように ,aiの変化が μ と ηの大きさに 影響を与えると同時に, μ と ηの変化形態が利 潤最大化の解としての刊の水準を決定する。 ここで μと ηの大きさが市場集中度と対応し μ ai A t e i n 巴r は ているとするならば. DorfmanandS 市場集中度と広告集約度の聞に双方向の影響力 が存在するという考え方にもとづいているとみ μ,η 叩 叩dS t 巴i n 巴r ることができる。もともと Dorfm は逆 U 字型仮説を考えるために上のパネルを 描いたわけではないが,ここで仮に μ と ηの η 曲線が市場集中度に応じてシフトするとしてみ よう。たとえば,市場集中度が高まるにつれて, μ 曲線 η は下方へシフトしていってやがて止ま る一方,曲線 μ は最初のうちは上方へシフト するがやがて下方へシフトし始めるならば,広 at, B 告支出 aiは逆 U 字 型 の 動 き を す る こ と に な る。このようなシフトの仕方は. Dorfman叩 d μ,η S t 巴m erのモデルから内生的には導出されない が,上にみたさまざまな要因を背後に考えるこ とによって支持されうるだろう。乙のようにし て逆 U 字型仮説を説明するならば,市場集中 度から広告集約度への一方向の因果関係を考え ていることになる。 η 以上のモデルは,伝統的なミクロ経済学と産 μ 業組織論の手法にもとづくものである。その 後,ゲーム理論の発展とそれを用いた新産業組 C G t u t t o n( 1 9 91)は市場への 織論の展開を経て. S 参入の意思決定を含む 3段階ゲームモデルを 図 2 最適な広告水準 ( D o r f m a nandS t e i n e r( 1 9 5 4 ) のF i g . 1を記号のみ変えて再現) つくった(第 3章)。彼のモデルでは,企業ら が第 1期に市場へ参入するか否かを決定し, の条件は ai=0で成立する。パネル B では, η 参入した企業は第 2期に広告支出を決定し, はあまり大きくない。これは製品差別化された 第 3期に生産量に関するクールノー競争をお 不完全競争市場に相当し,同条件は正の aiで 1 e n s e 巴 ( 1 9 7 2 )のモ こなう。とのように. Schma 成立する。パネル Cでは A と Bが混在してお デルにおいて捨象されていた広告以外の戦略変 り,aiが小さな範囲では競争市場と同じ状況だ 数の意思決定(ここでは生産量)が含まれてお 2 0 0 3 .3 市場集中度と広告集約度に関する逆 U 字型仮説の分析肥前 日7( 5 1 3 ) り,また広告の意思決定(第 2期)が生産量 呆は次のようにまとめられる。市場集中度から の意思決定(第 3期)に影響を与えるという 広告集約度へという一方向の因果関係にもとづ 具合に,各企業の意思決定に対する他企業の反 く単一方程式を推定した研究として, S u t t o n 応が推測変分によらない形で表現されてい ( 19 7 4 ), C a b l e( 1975),Buxton, Davies and る 3) 。市場集中度と広告集約度の因果関係につ Lyons( 1 9 8 4 ) などが挙げられる。 S u t t o n( 19 7 4 ) いては,ゼロ利潤条件によって企業数が内生的 は,市場集中度 C と広告集約度 A に関して に決まるという点で,双方向を考えているとみ A = ao +alC ることができよう。 A =ao +alC +a2C 2 説明が長くなるので, S u t t o nのモデルの具体 という 1次と 2次の 2つの単回帰モデルを 的な数式等の記述は避けるが,彼は関数形を特 推定し,どちらのほうが決定係数が大きいか, 定化して,消費者の効用最大化問題から需要関 また alと a2の符号は正か負かをみるという方 数を導出し,逆 U 字型仮説を可能性のーっと 法をとっている。 Cable ( 1 9 7 5 ) は,説明変数 して含むような結果を得ている。特徴的なの を追加して重回帰モデルを推定している。 Bux- は,分析対象となる財への消費者の支出額がそ t o n,D a v i e sandLyons ( 19 8 4 ) は,逆方向の因 の財の価格や品質に依存せず常に一定になるよ 果関係を無視したことが結果に影響しているか 2段階最小二乗法に うに,コブ・ダグラス型の効用関数を用いてい 否かを確かめるために, u t t o n自身が指摘するように る乙とである。 S よる推定もおこなっているが,似た結果が得ら 逆 U 字型という関係は,広告がどのように需 れたため,逆方向の因果関係はそれほど重要で 要に影響を与えるか,とくに,広告の創出販売 ないと結論している。双方向の因果関係をより 効果の大きさに強く依存している。彼のモデル 明示的に考慮するため, S t r i c k l a n dandW巴i s s では,分析対象となる財への消費者の総支出が ( 1 9 7 6 ) とM a r t i n( 19 7 9 ) は同時方程式モデル 常に一定なので,独占企業は広告のインセンテ 1 9 7 1 ) は単一方程式と同時 を推定し, Gre巴r( ィブをくじかれ,高度集中市場で集中度の上昇 方程式の両方を推定して結果を比較している が広告の低下をもたらすという逆 U 字型仮説 が,一方向の場合と比べて大きな違いは得られ の重要な性質が生まれうるのである。創出販売 ていないぺ 効果が大きすぎないことの必要性は,先の Schm a1巴 n s 巴E のモデルでも, これらの実証研究からいえることは,確かに (外生的に与えられ 広告集約度から市場集中度へも影響が及んでい た)創出販売効果が十分に小さいとき逆 U 字 るだろうが,その逆方向の影響に比べると弱 型の関係が導出されるととに表れている。 く,両者の関係を大きく変えるものではないと 2.2 実証の先行研究 逆 U 字型仮説に関する実証研究については C l紅 ke ( 1 9 8 5 ) が主な文献をカバーしているの で , ここで重複して詳細に説明することは避け るが,逆 U 字型仮説を支持した実証研究の結 3 )推測変分は,そのように推測する合理性が記述され ない限り,一般にはゲーム理論で用いられることは ない。したがって,推測変分によらないことは,ゲ ーム理論自体の特徴であるといえる。 4 ) もっとも,逆 U字型仮説を棄却する結果を得た研 究も存在するので,逆 U字型仮説が多く扱われて いるものの,市場集中度と広告集約度の聞には逆 U 字の関係が存在すると結論づけられたわけではな い。たとえば, O r n s t 叩 1 ( 19 7 6 ) では正で 1次の関 係が有意に成り立ったが, 2次の関係は棄却され ている。さらに,その l次の関係も非常に弱いも のであり,市場集中皮と広告集約度の問に因果関係 が存在するかにさえ疑問が投げかけられている。ま た. S u t t o n( 19 7 4 ) に対しては R e e k i e( 19 7 5 )や R e e s ( 1 9 7 5 ) による批判もある。対象とする産業や用い るデータなどにも影響されると思われる。 9 8( 5 1 4 ) 52-4 経済学研究 いうことである。したがって,先にみた理論研 究とあわせても,市場集中度を原因,広告集約 宵; =pq;( a, b; n )-C ;( α ;, b ;) 度を結果として分析することは妥当であると考 と表される。ただし ,q ;( . ) はa ;と ん に つ い えられる。そこで,次節では,この因果関係に て 2階微分可能で強く凹の増加関数, もとづいてモデル分析をおこなうことにする。 広告費用を表し, α tと b ;について 2階微分可 C ;. C)は 能で強く凸の増加関数であるとする。ここで, 3 . モデル分析 関数形の特定化に際して,なるべく簡潔に逆 U 字型曲線を導出するために, Schmal 巴 n s巴巴と異 第 2節でみたように,市場集中度を原因と ;の意思決定をそれぞれ別々に扱 なり ,a iと b する場合,市場集中度に応じて企業の広告のイ ( 宇 b)。すなわち, α と bは販売 えるとする α ンセンティブが変化し,企業によって実際に選 量でも費用でも分離可能であり, ばれる広告集約度も変化するという流れで説明 される。そして逆 U 字型仮説を扱うときには, 企業に広告のインセンティブを与える要因とし q ;( a, b;n)=q ; " ( α;n)+q;b(b;n)+q, , b ;)= C; ( a ;)+C; ( b ;) C ;( a ; て 2 つ以上のものを考え,それらが合わさっ とする。ただし ,qは広告がなくても得られる た結果として中程度の集中度の市場で広告のイ 販売量(広告以外の販売促進手段によって得ら ンセンティブが最大になるという説明がなされ れる販売量を含む)で,広告からは独立とする。 た。そこで本節では,第 2 節で述べられた広 創出販売のための広告によって新規に開拓さ 告の創出販売効果と略奪販売効果の 2つを導 れた需要のうち,かなりの部分は他企業の財に 入して企業の意思決定モデルをつくり,関数形 向かつてしまい,広告主自身の販売量の増加に を特定化することによって明示的に逆 U 字型 結び付くのは一部に限られる。企業数が多いほ 曲線を導出してみたい。 ど自分の取り分が小さくなってインセンティブ ; " ( α;n)=五( a ;) / n が低下するという性質は,q 3 .1 モデルの特定化 という関数形で表すことができるだろう。しか Schmal 巴 n s 巴巴(19 7 2 ) と同様に,すべての企 しながら,販売量が企業数に関して凸の減少関 業が外生的に同じ価格 p を設定する市場を考 独占)に近づいた 数になると,企業数が 1 C i = 1, 2, . . ., n)の販売量 q ;は,そ える。企業 iC とき販売量が累乗的に大きくなり,その効果が の市場に存在する各企業の広告と企業数 n に 広告のインセンティブ全体を支配してしまう。 依存するとする。広告には効果の異なる 2種 ; " ( α; n )= (m-s n ) a tという そこで,ここでは q 類 が あ っ て , 創 出 販 売 の た め の 広 告 α= 形で特定化することにする。この関数形では, .. , a C a j,. l l ) と 略 奪 販 売 の た め の 広 告 b= 企業数の変化が創出販売のための広告のインセ C bj ,...,b l l )に分けられるとする。また,広告 ンティブに与える限界的な効果は一定である。 に関する企業行動に焦点を当てるために,広告 ただし には費用が伴うものの,財の生産費用は販売量 n の範囲で m -sn>0とする。ここでの特定 に依存せず常にゼロであるとする 5)。すると, 化と同様に,以下でも各企業の需要・費用条件 企業 iの利潤は, は同じであるとする。 1 ),m >0,s>0,対象とする xε(0, 略奪販売のための広告のインセンティブは, 略奪の対象である他企業の販売量の和 2匂が nt と 5) この仮定は,クールノー市場を扱うときなどに単純 化のためしばしば用いられるものである。 大きいほど大きくなる。しかしながら,これは α と bの両方を含むので, これを用いるとそれ 市場集中度と広告集約度に関する逆 U 字型仮説の分析肥前 2 0 0 3 .3 らが分離可能でなくなる。そこで,他企業の販 9 9( 5 1 5 ) n )が 企 業 数 n の関数と b ; * ) jpqj ( aヘb ; ( a ; ', ホ Cj 売量の和を他企業の略奪販売のための広告量の して得られる。各企業の需要・費用条件は同じ 和で置き換えて,q j b( b ;n)= dI L .bj であるとし,かつ対称的な解をみているので, Ib/と表 ¥jrbj' / すことにする。ただし, d >0は係数, yε(0, 1 ), この企業 iの広告集約度は市場全体での広告集 約度に等しい。 zε(0,1 )である。 aj ) = ta;",Cj (bj ) = tb ; " 費用関数は, c j( とする。ただし, C >0,v>1である。これ はしばしば用いられる特定化の仕方なので説明 3.3 数値例 上で導出された創出販売のための広告費(1 企業あたり) Cj ( ω G j ; : ' 俳 巴 ( ω 1 企業あたり引) Cj ( biワ*),広告集約度のそれ 叫 鳥 を省略する。 ぞれについて,各パラメータに具体的な数値を 3.2 広告集約度の導出 入れて,市場集中度を動かしたときの変化の仕 以上の設定により,企業 iの利潤は 方をみてみよう。市場集中度の代理変数とし 円 十 て,ここでは企業数 n を用いる。我々の特定 化では各企業の需要・費用条件は同じであり, v ' u 一 c v v a 一 c v また対称的な解をみているので,市場集中度と 企業数は一対ーで対応し反比例している。代入 する数値は次のとおりである:x=1 y=1/3, /2 , と表される o a iと b j に関する 1階の条件は, それぞれ /3 ,m=3.5,s=0.03,d=l,p=l,q=10, z=1 c=l,v=2。ここで,もし y と Z の値として1/2 を用いるなら(広告の略奪販売効果をより大き 21=p(m-sn)mi-I-叫一 1= 0 oa , y )zrl-cbfl=o 設=pd恥 Cと v ) く設定するなら),費用関数の特定化 ( との関係で,略奪販売のための広告費が企業数 とともに累乗的に増えていき広告費全体の動き を支配するようになる。したがって,それが回 避されるように1/3が選ばれている。 m と S の である (2 階の条件も満たされている)0 a j 値は,dとの関係で,創出販売のための広告費 は他の変数に依存しないので即座に求められ と略奪販売のための広告費がおおよそ同じ水準 る 。 bj はちに依存するので,解の対称性を仮 になるように選ばれている。 qの値は,広告集 定して b>0なる解を求める。すると, . 1未 .1を超える産業は少ないので, 0 約度が O 満になるように選ばれている。 x ) イ =(血ヂ) 日 これらのもとで,横軸に企業数 n(1から 5 0 まで)をとり,創出販売のための広告費(1 ト(幽戸三) 企業あたり),略奪販売のための広告費(1企 業あたり),広告集約度の変化を描いたのが図 n)。これらを費用関数 が得られるCi=l,2 , .. ., 3である。モデルの特定化の際に与えられた ρが企業 iの広告費で インセンティブのとおり,創出販売のための広 あり,これらを売上高の式に代入したもの 告費(1企業あたり)は企業数が増えるにつ α b勺n)で広告費を割ると,利潤最大化 pqj( れて低下する一方(パネル A),略奪販売のた 行 動 に よ っ て 選 ば れ る 企 業 iの 広 告 集 約 度 めの広告費(1企業あたり)は増加している に代入したもの Cj ( a ; ', b ヘ 1 0 0 ( 5 1 6 ) 経済学研究 52-4 からの売上高(1企業あたり )pqf( a勺n)と 30 20 40 5 0 略奪販売からの売上高(1企業あたり) pqf( b* ;n)も,それぞれの広告費と同様の動き 0.9 方をする。したがって,広告費を売上高で割っ 0.8 た値(広告集約度)が広告費と同様の動きをす 0.7 るかは自明ではない。しかしながら,広告から 0.6 独立して得られる販売量 q によって売上高の 0.5 変化の割合が相対的に小さくなり,広告集約度 も企業数が中程度のときに最大になっている A (パネル c)o このように,逆 U 字型の曲線が描かれるか 否かは,関数形やパラメータの特定化の仕方に 0.6 繊細に依存している。これには,広告のインセ 0.5 ンティブを与える要因として,本節のモデルが 0.4 創出販売効果と略奪販売効果の 2 つだけを取 0.3 り上げ,第 2 節で挙げられた他のさまざまな 0.2 要因を排除していることが影響していよう。逆 にいえば,他の要因がモデルに追加されれば, 10 20 30 40 5 0 B より広範な特定化の仕方に対しでも逆 U 字型 曲線が描かれるようになることが見込まれる が,それでも最低限 2 つの要因が考慮されれ ば逆 U 字型曲線が導出されることが,上のモ デルから具体的に示されたといえよう。 0.079 4 . 結論 本論文では,中程度の集中度の市場で広告集 約度が最大になるという逆 U 字型仮説につい ¥ 10 20 30 40 50 C 図 3 創出販売のための広告貸付企業あたり) (A),略奪販売のための広告費(1企業あた り)(B),広告集約度 (C)の変化 て,まず先行研究を概観し,市場集中度を原因, 広告集約度を結果とする因果関係にもとづいて 分析することの妥当性を説明した。それから, 企業に広告のインセンティブを与える要因とし て,広告が市場需要を創出する効果と他企業の 個別需要を略奪する効果を取り上げて企業の利 潤最大化モデルをつくり,企業数を市場集中度 (パネル B)。企業数が増加するとき,前者の の代理変数として逆 U 字型曲線を導出した。 減少率がほぼ一定であるのに対して,後者の増 ここでの関数形やパラメータの特定化は 1つ 加率は減少していく。したがって,それらの和 の例であるが,逆 U 字型の曲線が描かれる特 は企業数が中程度の大きさのとき最大になる。 定化の仕方を具体的に示したことで,曲線の背 このとき,我々の特定化のもとでは,創出販売 後にある要因(インセンティブの働き方)をよ 2 0 0 3 .3 市場集中度と広告集約度に関する逆 U 字 型 仮 説 の 分 析 肥 前 り明らかに示すことができたといえよう。 101 (517) 6)G r e e r ,D .F . ( 19 7 1 ), “A d v e r t i s i n ga n dM a r k e tC o n - c e n t r a t i o n, "S O l l t h e m EconomicJ O l l m a l, 3 8,1 9 3 2 . 1 d o r ,N . ( 19 5 0 ), “E conomicA s p e c t so fA d v e r t i s 7) Ka *本研究の初期段階で励ましとコメントを下さった清野 i n g, Review o [Economic S w d i e s,5 8 :1 2 7 . 一治氏に感謝したい。また,議論の機会を与えていた 8) M a r t i n,S . ( 19 7 9 ), “Adve 凶s i n g,C o n c e n t r a t i o na n d だいた渡辺安虎氏と,本論文に対してコメントを下さ P r o f i t a b i l i t y:TheS i m u l t a n e i t yP r o b l e m, "B e l lJ O!lr - った安達武教氏に感謝したい。 n a lo [Economics, 1 0,6 3 9 6 4 7 . r n s t e i n,S .1 .( 19 7 6 ), “TheA d v e r t i s i n g C o n c e n t r a 9)O t i o nC o n t r o v e r s y, "S O l l t h e m Economic J O l l mα1 ,2 6, 参考文献 1) Backman,J . ( 1 9 6 7 ),A d v e r t i s i n g and C o m p e t i t i o n, NewYorkU n i v e r s i t yP r e s s (J.パックマン箸,五味 1 5 1 1 6 0 . 1 0 )R e e k i e, W. D. 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