...

テレビ番組記述言語TVML に基づく 番組生成/対話型編集システム

by user

on
Category: Documents
6

views

Report

Comments

Transcript

テレビ番組記述言語TVML に基づく 番組生成/対話型編集システム
テレビ番組記述言語 T V M L に基づく
番組生成/対話型編集システム
○横山敏明† 八重樫一仁† 上田博唯†
林正樹†† 折原豊†† 下田茂†† 栗原恒弥†††
†
††
日立電子 開発研究所
NHK 放 送 技 術 研 究 所
†
†
†††日立製作所 中央研究所
〒187 東京都小平市御幸町32番地
TEL 0423-22-3111(3636)
†
FAX 0423-27-2264
あらまし
我々は、台本を書くような要領でテレビ番組を記述することができるスクリプト言語 TVML(TV
program Making Language)を提案し研究開発を行っている。TVML は、テレビ番組のシナリオを、い
ったん可読性のある TVML 言語で記述し、これをコンピュータが解釈してテレビ番組を生成するとい
うアイデアに基づいている。
TVML が標準記述言語として広く使われるようになれば、素材と台本の分離によるコンテンツ流通
の促進、コンテンツ自動生成の研究などのインフラストラクチャとしても、広範な応用が期待できる
と考えている。
今 回 は 、我 々 が 開 発 し た TVML 対 話 編 集 シ ス テ ム と 番 組 生 成 シ ス テ ム の プ ロ タ イ プ
の デ モ を 行 な う 。 本 シ ス テ ム は TVML エ デ ィ タ と TVML プ レ ー ヤ ー か ら 構 成 さ れ る 。
キーワード
TVML, コ ン テ ン ツ 自 動 生 成 , TVML 対 話 型 編 集 シ ス テ ム , 番 組 生 成 シ ス テ ム
A TV program generating / interactive editing system
based on TVML (TV program Making Language)
Toshiaki Yokoyama†, Kazuhito Yaegashi†, Hirotada Ueda†
Masaki Hayashi††, Yutaka Orihara††, Shimoda Shigeru††
Tsuneya Kurihara†††
Research and Development Laboratory,Hitachi Denshi,Ltd.
Science & Technical Research Laboratories,Japan Broadcasting Corporation
†††
Central Research Laboratory,Hitachi,Ltd.
†
††
32 Miyuki-cho, Kodaira-shi, Tokyo 187, Japan
TEL: 0423-22-3111(ext. 3636) FAX: 0423-27-2264
Abstract We proposed TVML (TV program Making Language) that can describe a TV program. TVML
is readable script that we can easily recognize. TVML script is interpreted to generate TV
program. When TVML is used widely as a standard, content and scenario will be distributed
widely. Thus research of automatic contents generation, contents retrieval etc. will be
accelerated. In this paper, we report our interactive editing system and player system,
Key words TVML, contents auto generation, TVML interactive editing system, TV program
1.はじめに
近年テレビ放送の分野では多チャン
ネル化が急速に進んできている。それ
にともない、番組制作の現場ではこれ
からますます短時間で効率的な番組制
作が求められるようになるであろう。
また、近年のコンピュータの発展とグ
ラフィックス技術の向上によって、低
コスト化と更なる表現力の多様化を目
指 し て バ ー チ ャ ル ス タ ジ オ 等 の CG 技
術がテレビ放送に活用されるようにな
ってきた。その様な背景から、テレビ
番組を自動生成し更には番組の素材と
共にシナリオ自身を流通させ、再利用
できるようにすることを目標として、
我 々 は テ レ ビ 番 組 制 作 言 語 TVML ( TV
program Making Language) を 提 案 し [ 1 ]
開発中である。
TVML を 基 に し た 番 組 生 成 シ ス テ ム
は 、CG 技 術 を 応 用 し テ キ ス ト ベ ー ス の
TVML 番 組 台 本 か ら テ レ ビ 番 組 を 自 動
生成するという画期的なアイディア
に基づいている。
今回我々は、台本を書くよう要領で
操 作 し て 番 組 を 制 作 す る た め の TVML
エ デ ィ タ と 、 そ の 出 力 で あ る TVML ス
ク リ プ ト か ら 番 組 を 出 力 す る TVML プ
レ イ ヤ ー( イ ン タ ー プ リ タ ) を 開 発 し
たので報告する。
2. TVML
2.1 TVML と は
TVML ( TV program Making
Language ) と は 、 1 本 の テ レ ビ 番 組
を構成するほとんどの要素を記述で
きるテキストベースの言語である。具
体 的 に は 、 CG の ス タ ジ オ セ ッ ト の 中
に 登 場 す る CG キ ャ ラ ク タ の し ゃ べ り
や動作、カメラワークの設定といった
スタジオショットの記述や、予め用意
した映像の設定、スーパーインポーズ、
BGM等の音楽、ナレーションの記述
などを行なうことができる。この
TVML ス ク リ プ ト は 、 そ の 一 例 を 図
2.1 に 示 す よ う に 自 然 言 語 に 近 い 言 語
であるため人間にも理解が容易で、比
較的簡単に記述できる。
TVML ス ク リ プ ト に よ っ て 記 述 さ れ
た 番 組 を TVML プ レ ー ヤ ー が 一 行 づ つ
解 析 し 、 ス タ ジ オ や キ ャ ラ ク タ の CG
を リ ア ル タ イ ム で 自 動 生 成 し 、映 像( ハ
ー ド デ ィ ス ク に M-JPEG で 圧 縮 記 録 し
たもの)、タイトル、スーパーインポ
ーズ用のテキスト、BGM、ナレーシ
ョン等と合成して番組を作成する。し
ゃべり声もテキストから音声合成装置
によって自動生成する。
// studio setup
studio:setchange (set=set01)
studio:charactercasting(character1=BOB)
// start script
start:
// studio
studio:characterbow(who=BOB)
studio:charactertalk(who=BOB,text=“おはようござい
ます。BOB と申します。”)
// movie
図 2.1TVML ス ク リ プ ト の 例
2.2 TVML に て 制 作 さ れ る 番 組 例
TVML で は ト ー ク 番 組 等 、 情 報 提 供 番
組を制作することを当面の目標におい
ている。例えば音楽紹介番組や、天気
予 報 、 英 会 話 番 組 な ど で あ る 。 TVML に
て 制 作 し た 音 楽 紹 介 番 組 の 例 を 図 2.2
に示す。
図 2.2 音 楽 紹 介 番 組 の イ メ ー ジ
図 2.2 の 番 組 は 、 ( 1 ) 番 組 の タ イ
トルがスーパーインポーズされたオー
プ ニ ン グ で 始 ま り 、 ( 2 ) CG ス タ ジ オ
内 に CG の キ ャ ラ ク タ が 登 場 し 、音 楽 の
紹介をはじめる。(3)途中音楽演奏
の映像が挿入され、(4)またスタジ
オに戻り、紹介を終了するというもの
である。
2.3 TVML の シ ス テ ム 構 成
TVML は 図 2.3 の よ う な シ ス テ ム に よ
っ て テ レ ビ 番 組 を 出 力 す る 。 TVML の 番
組生成/対話型編集装置は、一台のグ
ラフィックワークステーションと二台
の音声合成装置から成り立っている。
シリアルポート
日本語音声合成装置
TVML
エディタ
TVML
スクリプト
参照データ
・CG データ
・ムービー
・サウンド
・イメージ
・HTML
TVML
プレーヤー
番組再生
図 2.4 番 組 生 成 の し く み
シリアルポート
TVML番組生成/編集装置
(グラフィックワークステーション)
3. システムの詳細
英語音声合成装置
番組再生
3.1 TVML エ デ ィ タ の 設 計 方 針
我 々 は 、以 下 の よ う な 方 針 で TVML エ
ディタを開発した。
図 2.3 シ ス テ ム 構 成
番 組 制 作 者 で あ る ユ ー ザ は TVML エ デ
ィ タ を 用 い て TVML ス ク リ プ ト を 記 述 す
る 。こ れ が TVML プ レ ー ヤ ー に よ っ て 解
析され、リアルタイムで番組が出力さ
れ る 。 TVML 言 語 を 記 述 ・ 編 集 す る た め
には任意のテキストエディタが利用で
き る が 、 TVML の 詳 し い 言 語 仕 様 を 知 ら
ないような人でも直感的な操作で番組
を 制 作 で き る よ う に 、 TVML エ デ ィ タ を
開 発 し た 。こ の TVML エ デ ィ タ に よ る 番
組 生 成 の し く み を 図 2.4 に 示 す 。 ユ ー
ザ は TVML エ デ ィ タ 上 で 、参 照 デ ー タ を
利用しながら番組を作成する。そこで
作 成 さ れ た 番 組 は TVML ス ク リ プ ト に 変
換 さ れ 、 TVML ス ク リ プ ト と 参 照 デ ー タ
か ら TVML プ レ ー ヤ ー に よ っ て 番 組 が 再
生される。
l 今まで番組構成表を書いていた人
が簡単になじめるような画面構成にす
る
l 番組を構成するほとんどの要素を
一画面上で表示し、一目で確認できる
ようにする
l TVML の 特 徴 で あ る イ ベ ン ト の 並 び
が良く分かり、操作しやすいものとす
る
3.2 開発環境
TVML エ デ ィ タ の 開 発 に お い て は 、移
植 性 を 考 慮 し て 、 標 準 GUI( グ ラ フ ィ
カルユーザインターフェース)構築ラ
イ ブ ラ リ で あ る OSF/Motif を 用 い 、 CG
アニメーションの表示に関しては、
OpenGL を 用 い た 。
3.3 プ ロ グ ラ ム の 構 成
図 3.1 は TVML エ デ ィ タ の プ ロ グ ラ
ム 構 成 で あ る 。 TVML エ デ ィ タ は 番 組
再 生 を 行 な う プ レ ー ヤ ー の 部 分 と 、番
組編集を行なうエディタの部分に大
別 さ れ る 。プ レ ー ヤ ー の 部 分 は さ ら に
TVML ス ク リ プ ト 理 解 、 CG レ ン ダ リ ン
グ 、キ ャ ラ ク タ の し ゃ べ り 、ム ー ビ ー 、
タ イ ト ル・ ス ー パ ー 、オ ー デ ィ オ の 各
パ ー ト に 大 別 さ れ る 。エ デ ィ タ の 部 分
は フ ァ イ ル 入 出 力 、ブ ロ ッ ク 操 作 、イ
ベ ン ト 操 作 、セ ル 操 作 に 大 別 さ れ る 。
TVML
プレーヤー
画面は大きく4つの列からなっており、
一番左の太い列がテレビの画面に表示
さ れ る 映 像 を 示 し て い る 。 こ の 列 は CG
で生成されるスタジオやキャラクタ等
の動きを記述するスタジオブロックと、
テレビカメラで撮影された動画像の再
生方法の設定を行なうムービーブロッ
ク、そしてタイトルや静止画を表示す
るタイトルブロックからなる。これら
のブロックを縦方向に並べていくこと
により番組を制作する。
TVML理解
エディタ
CGレンダリング
・キャラクタ
・スタジオ
・カメラ
キャラクタの喋り
・音声合成
・リップシンク
ムービー
タイトル・スーパー
・イメージ
・HTML
オーディオ
エディタ
ファイル入出力
ブロック
・スタジオ
・タイトル
・スーパー
イベント
セル
・セリフ
・動作
・カメラ
・サウンド
図 3.2 TVML エ デ ィ タ の 基 本 画 面
左から二番めの列はスーパーインポ
ーズの設定を行なう部分である。その
隣の列はBGM等の音楽の設定とミキ
サーの役割を果たす部分である。一番
右の列はムービーやタイトルにナレー
ションを挿入するときに使用する。
一番左にあるマークはセリフや動画
像中に設定したキューの位置など、一
つ一つのイベントに対応しており、そ
のマークの横に並んでいるものを一つ
のイベントとして、そのイベントの並
び替えや削除、コピー、ペーストを行
なうことができる。
図 3.1 TVML エ デ ィ タ の プ ロ グ ラ ム 構 成
以下ではエディタの部分について詳
しく述べる。
今 回 作 成 し た TVML エ デ ィ タ の 基 本 画
面 を 図 3.2 に 示 す 。 こ の 基 本 画 面 は 縦
軸が時間軸となっており、上から下へ
と時間が流れていくことになる。この
3.4 ス タ ジ オ ブ ロ ッ ク
図 3.3 に ス タ ジ オ ブ ロ ッ ク の 拡 大 図
を示す。スタジオブロック内は大きく
4つの列に別れており、一番左の列が
キャラクタのセリフの設定を行なう部
分であり、左から二番めはキャラクタ
の動作の指定を行なう部分である。左
から3番目はスタジオ内のカメラワー
クの設定を行なう部分である。一番右
の列はその他指定、例えばイベント間
の待ち時間などを指定する部分である。
プレビューボタンをクリックすること
によりセリフの確認を行なうことがで
きる。おじぎや立つ、座るといった動
作についても同様の方法で設定できる。
図 3.3 ス タ ジ オ ブ ロ ッ ク
スタジオブロック内右上のセットアッ
プ ボ タ ン を ク リ ッ ク す る と 図 3.4 の ス
タジオセットアップウインドウが画面
に表示される。
図 3.4 スタジオセットアップウインドウ
ここでは背景や小道具などが、あらか
じめ造り込まれたスタジオセットの組
み合せの一つを選択し、キャラクタの
名前や声の質、そしてスタジオ内での
キャラクタの配置等を設定する。
次に、スタジオ内でのキャラクタの
動作の設定に移る。例えば、スタジオ
ブロック内セリフの列の該当する部分
をマウスでダブルクリックすることに
よ り 図 3.5 の セ リ フ 入 力 ウ イ ン ド ウ が
表示される。このウインドウ内にセリ
フを直接文字入力することにより、セ
リフを設定する。ウインドウ中央下の
図 3.5 セ リ フ ウ イ ン ド ウ
3.5 ム ー ビ ー ブ ロ ッ ク
ム ー ビ ー ブ ロ ッ ク を 図 3.6 に 示 す 。
このブロック内にはムービーのファイ
ル名やそのムービーの情報が表示され
る。このムービーブロックの左の代表
画面部分をマウスでクリックすること
に よ り 図 3.7 の ム ー ビ ー 設 定 ウ イ ン ド
ウが表示される。ムービーウインドウ
では、ウインドウ内にムービーの画面
が表示され、再生ボタンや早送り、巻
き戻しボタンを使いながら使用したい
部分をイン点とアウト点にて指定でき
る。ムービー再生中のあるタイミング
でスーパーやナレーションを挿入した
い場合には、ウインドウ右のキュー設
定ボタンにより、そのタイミングを設
定しておくことが可能である。
図 3.6 ム ー ビ ー ブ ロ ッ ク
ができる。また、イベントを部分的に
選択して、任意の区間をプレビューす
ることも可能である。
図 3.7 ム ー ビ ー ウ イ ン ド ウ
3.6 タ イ ト ル ブ ロ ッ ク
タイトルブロックでは、ブロック左
側の代表画面をマウスでクリックする
ことにより、タイトルウインドウが開
く。このタイトルウインドウの大きな
特徴は、文字のレイアウトにインター
ネ ッ ト の ホ ー ム ペ ー ジ を 記 述 す る HTML
を 用 い て い る こ と で あ る 。 HTML の 記 述
は、このウインドウ上で直接記述する
こ と も で き る が 、 HTML で 記 述 さ れ た フ
ァイルを読み込むことも可能である。
また、別のアプリケーションで作成し
たイメージファイルや、カラーバー等
をタイトルとして設定することも可能
である。
スーパーインポーズもこのタイトル
と同様の設定方法により製作すること
ができる。
3.7 そ の 他 の 設 定
以上述べた他には、音楽の設定とナ
レーションの設定が可能である。これ
らは、スタジオやタイトル、ムービー
のイベントと同期させて設定すること
ができる。
3.8 プ レ ビ ュ ー ウ イ ン ド ウ
以上の方法で作られた番組の全体を
通 し て 確 認 し た い 場 合 に は 、 図 3.8 の
プレビューウインドウにて行なうこと
図 3.8 プ レ ビ ュ ー ウ イ ン ド ウ
4.今後の課題
このプロトタイプ開発を基に、より
実用的なシステム開発を目指してゆく。
CG キ ャ ラ ク タ の 画 質 を 決 め る ポ リ ゴ
ン数と実行時間の関係、合成音声の品
質の問題などもあるが、適切な応用分
野( 例 え ば 番 組 内 容 の 事 前 チ ェ ッ ク や 、
天気予報等での利用)に試用していく
ことを考えている。
CG の 生 成 に 関 し て は 、ユ ー ザ ー や 専
門のプロダクションが作成したキャラ
クタやスタジオのモデリングデータ、
そしてキャラクタの動作を簡単に読み
込めるような仕様を現在検討中である。
キャラクタの細かな動きの設定や、カ
メラワークの設定もグラフィカルに行
なうことができるようなGUIも今後
の開発課題である。
5.参考文献
[1]林正樹:「 番組記述言語によるテレビ番組自動生成」、
第2回知能情報メディアシンポジウム、pp.137−144(1996)
[2]横山敏明、上田博唯:「テレビ番組制作言語TVMLのマ
ンマシンインターフェースの開発」97 年電子情報通信学会
情報システムソサイエティ大会公演論文集,D-12-77,
pp269(1997-9)
Fly UP