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過度腰椎背伸手法治療による 腰椎椎間板ヘルニアの臨床研究
過度腰椎背伸手法治療による 腰椎椎間板ヘルニアの臨床研究 姜雷1 鮑旭2 文鋒1 1沈陽市中医研究所 2沈陽市沈河区中医院 はじめに 腰椎椎間板ヘルニアは腰痛の原因として臨床上常見される病である。今まで多くの文献は、本病に対し椎間板退性病変 と損傷及び手術療法の面から研究をしており、手法治療は保存療法として広く運用されている。しかし、その効果とメカニ ズムの研究結果にはお目にかかったことがない。そこで、筆者は過度腰椎背伸手法の臨床資料をまとめて分析し、その治 療結果とメカニズムを述べたい。 対象 71例を対象にした。乱数表を用い、彼らを35例の過度腰椎背伸手法治療群(治療群)と36例の推拿療法群(対象群)に 分けた。治療群は、男性25例・女性10例で、年令は21~60歳、平均36.4歳であり、罹病期間は3週間~20年であった。 そのうち、L4~5椎間ヘルニアは 15 例、L5~S1椎間ヘルニアは 27 例、両方持つ者は 7 例、L3~4椎間ヘルニアを合 わせて持つ者は2例であった。椎間板脱出は全員後方で、脊柱管狭窄症は1例であった。対照群は、男性24例・女性12 例で、年令は 26~60 歳、平均38.2 歳であり、罹病期間は 2 週間~15 年であった。そのうち、L4~5椎間ヘルニアは 18 例、L5~S1椎間ヘルニアは26例、両方を持つ者は8例、L3~4ヘルニアを合わせて持つ者は2例であった。椎間板の 脱出方向は全員後方で、脊中管狭窄症は 2 例であった。χ2検定では、両群の間に年令・罹病期間・発症部位などの差は なかった。 方法 1.治療群の治療法:過度背伸手法を行った。施術日は患者に朝食を抜いてもらい、伏臥位を取り、恥骨結合部をベッドの 縁端に位置する。術者はしゃがんで患者の両膝上部を両肩に乗せ、助手は肘頭で椎間板脱出がある側の圧痛点を押す。 術者は腰椎を背中の方向へ60度伸ばし(過度腰椎背伸)、同時に病側から健側へ 10 度回転させて背伸を 2 回行う(写 真)。その後、患者は仰臥位を取り、腰を3cmほど高くし、その姿勢で 72 時間絶対安静にする。その後、本人がベッドで 腰背筋運動を 2 週間行う。 2.対象群の治療法:伝統的な中医推拿療法を行った。 ① 牽引法:体の従軸的な牽引法と病変脊柱の高さの按圧を中心とした。 ②伸膝抬腿法:患者を伏臥位にさせ、患椎を押し、患肢を上げて後方へ伸ばす。 ③患者は座位または伏臥位で腰を回転させる。 ④伝統的な循経取穴で推経点穴を行った。 以上の治療は毎日1回で15回を1コースとする。治療後、患者はベッドで安静し、腰背筋の運動をする。 両群の患者に治療前後、腰椎X線・CTスキャン、そして一部の患者にMRI検査をし、腰椎椎間板ヘルニア部位の腰椎 椎間関節に不対称・転位・腰椎の不安定さがあるか(以上は腰椎椎間板ヘルニア部位の病理変化に重要な作用をする)、 またその程度を判定した。腰椎調査票とラセーグテストを利用して、治療前後の症状と所見を判定した。 1 結果 結果は表1参照。過度腰椎背伸法は、腰椎椎間板小関節の転位と腰椎不安定を整復し(表2)、新しい椎間平衡を作り出し て神経根及び硬膜のうへの圧迫を減少させることができた。 表1.腰椎椎間板ヘルニアの治療効果 診断基準 治療群(例数) 対象群(例数) 治癒:症状は消失し、運動正常となり、ラセーグテスト(-) 17 8 著効:活動後、症状があり、休んだ後消失、ラセーグテスト(-) 11 12 有効:症状が軽くなり、ラセーグテスト(+) 6 15 無効:症状の変化ない、ラセーグテスト(+) 1 1 80% 55.6% 有効率 Ridit分析でu=2.40 p<0.05 表2、過度背伸腰椎手法による椎間関節転位・不安定の整復 n 小関節 転位 不安定 治療群 対照群 治療群 対照群 35 36 35 36 発生数 23 21 発生率 治癒 未癒 治癒率 65.71% 16 7 58.33% 7 14 33.33% 69.57% 17 48.57% 10 7 58.83% 18 50.00% 3 15 16.67% 2群の間にχ2検定で治療前P>0.05、治療後P<0.05 2 指撥推拿手法と針刺併用による落枕の治効 高山山 葛州 集団中心医院 はじめに 落枕は、頚部傷筋とも呼ばれる。軽いものは安静にしたり局部に温熱治療を行うと症状は自然に治るが、重いものは頚項 の強直や運動制限、患部の重痛が起こり、症状は同側の肩・背中及び上腕へ広がり、局部の痙攣・圧痛が見られる。筆者 は 1995 年7月~1999 年2 月にかけて指撥手法の上に針刺治療を加え、本病を治療したので報告する。 対象 40 例を対象にした。そのうち、男性 24 例で女性 16 例、年令は8~52 歳、罹病期間は1~3 日間であった。また、40 例 のうち初めての発症者は 16 例であった。 治療方法 1.針刺法:患者は座位で両手を軽く握ぎり、掌心を上にして大腿の上に置く。術者は患側の後渓・養老を取り、40mm の豪 針で 10~25mm ほど刺針し、留針を約5 分行った。 2.術者は患者の後方に立ち、患者に頭頚部を回転させ、最も痛い所(痛点)で患者の頭部を後仰または前屈にすると、あ る部位で痛みが消える現象が見られる。その時、拇指の腹面で“不痛点”を強く押し、軽く軟らかく均一の力で主に外下方 へ平行推法を 3~5 回行う。 3.患者を一度元の姿勢に戻らせた後、以上の方法で再び痛点を探して同様の拇指平推法を行うと、頚部の運動はほどん と正常となった。これを痛みが完全になくなるまで繰り返し治療する。 4.抜針をするが、針孔を閉じない。施術後、患者に頚部の保温・安静と頚部を押さないように指導をした。 結果 1.評価基準 治癒:臨床症状は完全に消失した。著効:臨床症状が明らかに寛解した。有効:症状はある程度寛解した。無効:症状の変 化なし。 2.結果: 治癒は10例(25%)、著効は25例(62.5%)、有効は5例(12.5%)であった。 考察 1.中医学では、本病の病因を頚部の過労や睡眠姿勢の不正、風寒湿邪が経絡に侵入して筋脈の拘縮となり、経絡阻塞・ 気血瘀滞を招き、不通によって痛むと考える。《霊枢経脈》篇に「手の太陽小腸の脈は小指の端から出、手の外側を沿っ て手首を上がり……肩甲骨を廻って肩の上で交わり……その分枝は欠盆から頚を沿って頬へ昇る…」とある。また、後 渓は小腸経の輸穴で《難経・八十難》に「輸は体重節痛を主る」とある。更に、後渓は八脈交会穴の1つで、頭頚部を循行 する督脈と繫がる。養老穴は小腸の郄穴で本経の急性疼痛を治す。その2穴を針刺して、袪風通絡止痛の効能を果す。 2.指撥手法は痛点を兪とし、痛くない時に施術するという原則に従う。確かに痛点を兪とし、痛点に施術(針)するという原 則は有効だが、施術時の患者の痛みが激しく、しばしば途中で治療を中止しなければならないという欠点がある。指撥 手法はこの欠点がなく、痛点を不痛点に変え、病巣の周りの痙攣を減少させ、施術もしやすくよい効果を得られる。 3 推拿按摩四歩による坐骨神経痛の治療効果 彭勝濱 黒龍江省北方大厦衛生所 はじめに 坐骨神経痛は、臨床上よく見られる難病である。筆者は、1997~1998年かけて按摩推拿の方法で本病を治療したので、 その方法と結果を報告する。 対象 25例を対象にした。そのうち、男性20例・女性15例で、年令は19~50歳であった。これらの患者は腰部疾患による坐 骨神経痛ではなかった。 方法 患者は伏臥位で頭部を横に向け、術者は患者の患肢側に立つ。 ステップ1…腰筋推拿:術者は拇指を他の4つの指とやや離し、両拇指を患者の脊椎の傍に置き、脊椎に沿って力を入れ 30~40分上下推拿を行う。 ステップ2…穴位按摩:術者は拇指で腰部の阿是穴・環跳(筆者の取穴方法:腸骨上前棱・尾骨端と大腿の大転子の3点か らなる三角形の中点)・委中・三陰交をそれぞれ3分前後按摩する。 ステップ3…下肢推拿:術者は両手で跨騎式をとり、それぞれ左右下肢の後方を30回前後推拿する。上へ向かって推法を する時は力を強くし、下へ向かってする時は力を抜いて血液を心臓へ速やかに戻す。 ステップ4…牽引下肢:患者は患肢を上にして側臥位を取る。術者は左手で腰を支えて胴体を固定し、右手で患者の足首 を掴んで腸骨・膝・小腿が“N”字になるような体勢をとらせ、その後力を入れて伸ばす。これを繰り 返して牽引を20回行う。(図1) まとめ 以上の方法は、坐骨神経痛の根本治療にはならないが、臨床症状の緩和と止痛効果は明らかで、有効率は90%であっ た。同時に腰筋の疲労やリュウマチ性関節炎による腰痛・下肢の痛みにもある程度の効果があり、筋肉萎縮予防のための 補助治療作用を持つ。そのメカニズムとしては、推拿按摩が人体の血液循環・新陳代謝を促進し、疏経活絡・強筋壮骨など の素因と関係があり、「通じれば痛まず(通則不痛)」と考えられる。 4 推拿とHe―Ne レーザ併用による周囲面癱治療の効果 楊雲玲 黒龍江省宝泉嶺管理局梧桐河農場医院 はじめに 筆者は、1996~1998年にかけて25例の対照群を設定し、He-Neレーザ治療と推拿治療と併用して25例の面癱を治 療したので、その結果を報告する。 対象 周囲性面癱 50 例を対象にした。無作為にレーザ推拿治療群(治療群)と針刺治療群(対照群)に分けた。治療群は25例 で、そのうち男性13例・女性12例で、年令は8~56歳、罹病期間は1日~2ヶ月であった。対照群は25例で、男性16例・ 女性9例で、年令は10~49歳、罹病期間は3日~54日であった。 方法 1.治療群の治療:患者にHe-Neレーザ穴位照射治療を施し、その上で推拿治療を併用した。 He-Neレーザ穴位照射法:急性期では両側の風池・阿是穴(乳突)・翳風を、回復期では地倉・頬車・翳風・太陽・攅竹・ 魚腰・牽正・水溝穴を取り、1つの穴に照射を3~5分した、治療は毎日2回で、10回を1コースとした。 推拿法:治療部位は手足の陽明経を主、少陽経を従とした。一指襌推法を用い、患側から健側へ繰り返し治療し、揉法も 併用した。以上の治療後、また風池に推拿を行い、最後に擦法治療を行った。 2.対照群の治療:取穴は治療群と同じである。初めは浅刺で、後に透刺をした。治療は毎日1回で10日間を1コースとし た。1コースの後、2~3日の間隔を空けてもう一度同じコース行った。 結果 1.効果の評価基準:治癒:症状は完全に消失し、両側の顔が対称で機能は回復した。有効:機能は大部分回復したが、会 話中や笑った後に口の歪斜が見られる。無効:2ヶ月間の治療後も変化がない。 2.治療効果:4コースの治療後、治療群の患者は、治癒23例(92%)・有効2例(8%)・無効0例であり、対照群は、治癒22 例(86%)・有効3例(14%)・無効0例であった。このように両群の間に有意差はなかった。一方、治療期間と効果との関係 は、3コース後の結果、治療群は治癒21例、対照群は11例であることが観察された(表1)。統計学処理により、両群の間に 有意差が見られた(P<0.05)。He―Ne レーザと推拿治療の併用は、治療期間を短縮することを示している。 考察 中医学では、面癱の多くは脈絡空虚のため、風寒邪気が陽明・少陽経に侵入し、経気阻滞となって経筋の榮養ができず、 筋肌弛緩により発病する。He―Ne レーザは経絡を調節し、経絡における経気の伝導を誘発させる作用を持つ。推拿は気 血運行を促進し、散瘀通絡する。そして気血通暢・営衛調和・脈絡充実し、筋肉経筋は充分な栄養を得て顔面筋肉の機能 が正常となり、歪斜も消えるのである。 表1.面癱の治癒期間と治療効果の関係 治癒例 1コース 2コース 3コース 4コース 治療群 23 4 7 10 2 対照群 22 0 4 7 11 P<0.05 5 按摩“関元穴”による91例の尿貯留の効果 趙紅強 四川省西充県人民医院 はじめに 筆者は1995年5月から1998年10月にかけて、非病理的な膀胱尿貯留の患者に“関元穴”の按摩手法を行ない、患者 の症状を改善し排尿機能を回復したので、その結果を報告する。 対象 対象は91例。そのうち、男性74例・女性17例で、年令は9ヶ月~68歳であった。また、原因別で見ると、薬物による者は 61例、麻酔による者は28例、前立腺肥大による者は1例、骨折後の長期間寝たきりによる者は1例であった。 方法と結果 患者に全身リラックスするよう指導し、手指で“関元穴”(臍から恥骨結合までの中点)に環状按摩を行う。病人の小腹部に だるい痺れと脹る感覚が起こればよい。治療は1回30秒~2分を1日2回行う。また、小便が排出されても、続けて治療を行 う。結果、2日間の治療後、91例全員の排尿機能が正常に回復した。 典型症例 症例1.68歳の男性。骨折後1ヶ月寝たきりとなり、徐々に排尿困難となった。97年4月21日に“急性尿貯留”で来院した。 患者が導尿を拒否するため、筆者は“関元穴”を2分間按摩したところ、尿液を排出できた。続けて2日間2回ずつ治療し、 排尿機能は回復した。 症例2.53歳の男性。98年3月11日に“急性尿貯留”で入院し、エコーで前立腺肥大と診断された。導尿術を受けたが、 効果がなかった。その後、“関元穴”に按摩を2分間行うと、排尿できるようになった。 考察 今回の症例の多くは大量の解痙剤を使用した後の流行性B型脳炎の患児や、麻酔が抜け切れていない手術後の患者が、 膀胱筋肉が弛緩することにより引き起こされたものであった。 尿貯留は、中医学では癃閉の範疇に属する。病位は腎と膀胱である。関元穴は任脈に属し、任脈と足の三陰経の交会穴 で、小腸経の募穴でもある。募穴は全身の各臓腑経気の胸腹部への交会穴である。任脈は足の少陰経と交会し、腎と膀胱 は表裏の関係である。膀胱は“州都の官”(州都:水液の集る所)で疏泄を主り、腎は水を主る。以上により、関元穴を按摩し することにより腎気はスムーズに運行し、膀胱の疏泄機能を正常にさせて、小便が排出できるようになるのである。 6 推拿による12例のインシュリン非依存型糖尿病の治療効果 徐晗 王宜斦 ハルビン市中医医院 はじめに 糖尿病は、尿に糖が見られ、血糖値が上がる内分泌代謝疾患である。臨床症状の主な特徴は、多飲・多食・多尿及び痩 せ・無力である。それは、多種の臓器を損傷し多くの合併症を併発するため、人体に与える影響は甚大である。筆者は12 例の糖尿病患者を治療したので、その効果を分析する。 対象 12例の患者は、全てインシュリン非依存型糖尿病患者(肥満型と非肥満型)であった。そのうち、男性9例・女性3例で、年令 は38~72歳であった。罹病期間は、8ヶ月~10年の者3例、11~20年の者8例、29年の者1例であった。また、空腹血 糖値7.8mmol/L の者は1例、8.6mmol/L~4.8mmol/L の者は10例、14.8mmol/L 以上の者は1例(基準値: 3.8~6.1mmol/L=70~110mg/dl)、合併症を併発している者は10例であった。 推拿治療方法 1.患者は仰臥位。a.点按印堂・百会・風池・内関・血海・足三里・三陰交を各穴30秒行った。b.腹部に摩法を行う。中脘・ 神厥・中極を主とし、5分間の治療後、臍を中心に震顫法を30秒行った。 2.患者は伏臥位。a.点按膈兪・膵兪・胆兪・肝兪・膀胱兪を各30秒行う。b.両側の膀胱経の肺兪から膀胱兪まで繰り返し 3~5回行う。c.捏脊を長強から大推まで往復3~5回行う。d.直擦膀胱経と仙骨の八髎に熱くなるまで横擦を行う。以上の 治療を1ヶ月行った。 結果 12例中、治癒1例・著効4例・有効6例・無効1例であった。治療前後の空腹血糖値・食後血糖値の変化は、表1を参照。 体得 糖尿病は、中医学で“消渇”の範疇に属する。発症のメカニズムは陰虚燥熱で、病変の臓腑は肺・胃・腎にあり、久しくな ると陰虧気耗・気陰両虚、そして陰陽両虚・経脈瘀阻となり、臓腑機能を損傷し、様々な病証が現れる。推拿は通経絡・行気 血・濡筋骨・調陰陽・臓腑機能改善の効能を果す。本病に関する経絡・兪穴を刺激することは、インシュリン機能促進・代謝機能 改善・免疫機能増強・合併症併発のコントロールに有効である。 表1.治療前後の空腹血糖値・食後血糖値の変化 治療前 治療後 空腹血糖値 10.8±3.2 5.8±2.1 食後血糖値 14.1±3.3 8.4±2.6 空腹尿糖 +~++ - 食後尿糖 ++~++++ +~++ 7 気功療法の弁証施功シリーズ8 弁証施功の基本方法 東京中国気功推拿整体院院長 本中国湖南省中医薬研究院助理研究員 伊藤鉄民 前回の続き(胃・十二指腸潰瘍) 3.〔症状と所見〕上腹部の痛む場所が固定し、痛みが持続的に激しい、拒按、吐 血、便は黒い、舌暗紫或いは瘀斑、脈弦或いは細渋である。 〔弁証〕瘀血型 〔施功原則〕活血化瘀、理気和胃 〔気功処方〕毎日、以下の動功と静功を練習する。 A 動功: 〔功法の名称〕鉄民常春気功 (1)練功方向:南に向き (2)練功方法:「鉄民常春気功」を参照する。 (3)練功時間:毎日 5~7 時に練習する。 (4)練功の注意事項を厳守する。病状の重い者、極度に衰弱している者、 およびその他の原因によって適さない者は、「長寿気功経穴導引」、或 いは以下の静功に変えるとよい。 B.静功: 【功法名称】健脾益気功 (1)練功方向:南向き (2)練功方法: a.練功前の経穴導引:練功前、指揉法の瀉法で足三里、公孫をそれぞれ 36 回導引する。 b.調身(姿勢):坐式あるいは臥式。 c.調心(意念):足三里・公孫を意守する。 d.調息(呼吸):透穴呼吸法(或は順腹式呼吸法)。練習時間は 30 分くらい。 e.収功方法:丹田按摩収功法で収功する。 f.収功後の経穴導引:収功後、指揉法の瀉法で足三里、公孫をそれぞれ 72 回導引する。 (3)練功時間:毎日 11~13 時、17~19 時、23~1 時にそれぞれ練習する。 (4)練功の注意事項を厳守する。 4.〔症状と所見〕胃院部が脹れて痛み、両脇が脹満し、噯気、酸水があふれでる、 怒りっぼい、食少、苔薄白、脈弦。 8 〔弁証〕気滞型 〔施功原則〕疏肝理気、和胃止痛 〔気功処方〕毎日、以下の動功と静功を練習する。 A.動功: 【功法名称】鉄民常春気功 (1)練功方向:南向き或いは東向き。 (2)練功方法:「鉄民常春気功」を参照。 (3)練功時間:毎日 5~7 時に練習する。 (4)練功の注意事項を厳守する。病状の重い者・極度に衰弱している者及び その他の原因によって適さない者は、「長寿気功経穴導引」、或いは以下 の静功に変えるとよい。 B 静功: 【功法名称】疎肝理気功 (1)練功方向:南向き或いは東向き。 (2)練功方法: a.練功前の経穴導引:練功前、指揉法の瀉法で足三里・行間をそれぞれ3 6回導引する。 b.調身:座式或いは臥式 c..調心(意念):足三里、行間を意守する。 d.調息(呼吸):透穴呼吸法(或いは順腹式呼吸法)。練習時間は 30 分くら い。 e.収功前の音波導引:収功前、静かに目を開けて、息を吐き出す時に口の 中で署(しょ)の音を 36 回黙念し、文字の黙念と呼吸は耳に聞こえないよ うに軽く行う。 f.収功方法:丹田按摩収功法で収功する。 g.収功後の経穴導引:収功後、指揉法の瀉法で足三里、行間をそれぞれ 72 回導引する。 (3)練功時間:毎日 11~13 時、17~9 時、23~1 時にそれぞれ練習する。 (4)練功の注意事項を厳守する。 9 気功振法臨床応用 宗永忠 江蘇省銅山県中医院 はじめに 伝統的な中医振法は、術者の前腕・手部の筋肉を静止させた状態で強く力を入れる手法である。その素早い振動は、術 者に激しい疲労を起こす。その一方で、気功振法は手指或いは掌面で一定の部位や穴位に按圧し、上肢・手部の筋肉をリ ラックスさせるか、または少し力を入れて行う。息と精神(心)を安定させ、意念を指の先端または手掌に集中して、素早くか つ軽い振動を行う。この手法は、治療部位に連続して軽く痺れるような「気感」があり、深層または他の部位へ響く。振動の 幅は小さく頻度は高いために振動感をはっきり感じないが、患者がリラックスして意念を治療部位に集中すれば、よく感じ られる。そのため、この手法を気功振法という。この「気感」は、周囲神経を興奮させ、中枢神経を抑制する。中枢神経が抑 制状態となると、副交感神経が興奮状態となる。気功振法は補肝益腎・袪瘀消積・活血止痛・温中理気・調理脾胃、そして陰 陽のバランスを調節する作用がある。以下、臨床応用について述べる。 1.胃腸の運動機能を強化し、胃脘と腹部の脹痛、消化不良などを取る。治療方法:まず、気海・関元を10分間治療する (気功振法治療、以下、治療で簡略)。その後、中脘を20分治療して、再び関元を5分治療する。最後、時計周り摩腹をし、 按揉足の三里・脾兪・胃兪をする。40例に対象にした結果、1回治癒は5例、5回以内治癒は16例、10回以内治癒は16例 で、3例では、ばらつけがあるために薬物治療に変わった。 2.高脂血症を治療する。治療方法:まず、神けつを中心として30分治療する、その後、時計周り摩腹を5分し、最後、豊 隆を按摩する。16例を対象にした。全員25回治療を受けた結果、中性脂肪は0.6mmol/L 下がり、有効率は 75%で、コレ ステロールは平均1.3mmol/L 降下し、有効率は 93%であった。 3.血圧を下がる。治療方法:神けつを30分以上治療し、その後、摩腹を5分して、推喬弓を行い、内・外関を按揉をする。 20例を対象にした。その中、男性が14例で女性が6例であり、平均年齢は54歳であった。治療前に血圧は全員 160/100 以上であった、その中、7例は5回治療で11例は10回の治療で血圧は正常となり、2例では、血圧は下がったが、正常範 囲に入ってなかった。 4.腸の癒着を治療する。治療方法:圧痛部位を主に治療する、その後、腹部を按摩し、揉足の三里・脾兪・腎兪などをす る。25例を対象にした。その中、男性が9例で女性が16例であり、年令は15~65歳であった。結果、10回治療で治癒は 5例で、11~19回で治癒は8例で、20回以上で治癒は9例であり、3例では、症状は軽くなったが、繰り返しことが見られ た。 5.前列腺肥大、小便不利を治す。方法:曲骨・中極を30分以上治療し、その後、按揉会陰をする。臨床では、14例を対 象に治療を20回した。その有効率は100%で、治癒率は75%であった。 6.性機能障害を治療する。方法:中極・曲骨を30分し、その上に按揉三陰交・八りょうを加える。陽痿3例、早泄2例を対 象にした。10~20回治療で、全員治癒をした。 10 補陰蹻瀉陽蹻による不眠の治療効果 王如傑 劉磊 除州市中医院 要約 補照海瀉申脈による補陰蹻瀉陽蹻の方法で40例不眠を治療し、40例対象群と比較して1コースの後(12日)、治療群で は治癒は30例、治癒率は75%で、対照群では治癒は19例、治癒率は47.5%で統計学により、P<0.05。補陰蹻瀉陽 蹻の治療効果は人体の陰陽・目の開闟を調節することによって伝統的な弁証取穴群よりよいことを示唆している。 対象 治療群は40例でその中、男性が17例、女性が23例で、年令は16~80歳であり、罹病期間は3日間~5年間であった。 対照群の40例の内、男性が15例、女性が25例で、年令は18~76歳であった。2群の間に、年令・性別・罹病期間・職業 の差が見られなかった(P>0.05)。2群の弁証分型について、表1に示している。 治療方法 無作為的に80例を治療群と対照群に分けた。 取穴: 1.治療群では申脈に瀉法を、照海に補法を行った。 2.対照群では、①心脾両虚:脾兪・心兪・神門・三陰交、②陰虚火旺:大陵・太渓・神門・大鐘、③胃腑不和:中脘・豊龍・ 歴兌・癮白、④心虚胆怯:心兪・神門・胆兪・陽棱泉、⑤心腎不交:心兪・神門・腎兪・太渓であった。 治療方法:2群とも捻転・開闟補瀉の手法を行なった。申脈・照海に中等強度の刺激を与え、留針は45分で15分の間に 行針を1回した。 効果 1.評価基準:治癒:睡眠時間は正常となり、伴う症状は消失した。有効:睡眠時間は長くなり、症状は改善された。無効: 症状変化がない。 2.治療効果:表2・3に示している。 表1.不眠患者の弁証分型 心腎不交 心脾両虚 陰虚火旺 胃腑不和 心虚胆怯 治療群 11 13 4 3 9 対照群 9 11 6 4 10 表2.不眠症の治療効果 例数 治兪(例) 有効(例) 治療群 40 30(75%) 対照群 40 20(47.5%) 15(37.5%) 5(15%) 10(25%) 無効(例) 0 Raddit により、P<0.05 表3.治癒患者の治療期間 例数 3 日間 6日間 9 日間 12 日間 11 治療群 30 2 11 13 対照群 19 0 3 8 4 8 Raddit により、P<0.05 12 50例中風に対する主に督脈穴の治療効果 于曉曦 黒龍江中医薬大学附属一院 韓蕾 尹忠輝 黒龍江省七台河市中医院 はじめに 中風は臨床でよく見られる多発病である。死亡率と運動障害の残留率は高い。近年、われわれは主に督脈穴を用い、50 例患者を治療し、対照群治療と比較して、その治療効果を観察した。 対象 98例を対象にした。彼らは鍼灸科の入院患者であった。無作為的に彼らを50例の治療群と48例の対照群に分けた。す べての症例は運動障害が見られ、脳CT或いはMRI検査により、診断された。その中、脳出血は14例で脳梗塞は84例で あった。 1.治療群:50例の内、男性が36例、女性が14例で、年令は44~81歳であり、罹病期間は1日間~13年間、平均162 日間であった。 2.対照群:48例の内、男性32例、女性16例で、年令は43~77歳、罹病期間は1日~4年、平均112日間であった。 治療方法 1.治療群の治療法: 取穴:①督脈穴:百会・風府・大椎・陶道・身柱・神道・至陽・筋縮・脊中・懸枢・命門・腰陽関・長強。②患側肢体の穴位で、 軟癱(弛緩)の場合では、手足三陽経の穴:上肢の肩髃・曲池・外関・合谷・八邪、下肢の梁丘・足の三里・陽陵泉・絶骨・解渓 をとり、硬癱(痙攣型)の場合では、症状によって、手足三陰経の穴位を取った。 治療:①と②の穴を各一日交替に用いた。患者の耐えられる程度で提插捻転手法を行なった。その後、30分留針をした。 治療は10回を1コースとし、コースの間に3~5日間休みをさせた。 2.対照群の治療法:取穴は治療群の②の穴と同様で針刺は毎日1回で、提插捻転手法をして、得気の後、30分留針をし、 10回を1コースとした。 結果 2群の症例が3コースの治療を受けた結果は表1を参考にしてください。 体得 中風の病位は脳である。その病因病機は主に虚・火・風・痰・気・血が一定の条件によって、お互いに影響、作用の結果で ある。治療はあくまで、補虚・清火・熄風・化痰・調気・活血化瘀である。針刺督脈は中風治療において、特別の効果があり、 それは督脈は一身の陽気をまとめ、“陽脈の海”のためである。督脈は“上の風府に至り、脳に入る、そのために脳・脊髄と 密切な関係がある。針刺督脈は振奮陽気、疏通経絡、健脳補髄、醒脳開竅ができ、従って督脈の穴は中風治療のよい処方 である。 表1.中風の治療効果 例数 基本治癒 著効 例(%) 有効 無効 例(%) 例(%) 例(%) 13 治療群 50 20(40) 20(40) 対照群 48 7(14.6) 11(22.9) 8(16) 2(4) 24(50) 61(2.5) 14 “龍虎交戦”針法について 賈紅玲 山東省棗荘市中医医院 はじめに 龍虎交戦針法は多くな複合的な補瀉手法の1つであり、補瀉を兼ねる複合的な針刺補瀉手法に属する。本法は初めに 《鍼灸大全》における《金針賦》から見られ、後世、さらに発展された。目前、臨床ではよく本法を使って、痛証の治療を行う。 筆者は文献と臨床を結合して龍虎交戦を検討してみたい。 1.命名と意味:“龍虎”については、古人が龍と虎を左右のお守りとし、青龍が東方の神で、白虎が西方の神であるという 伝説がある、それによって針柄を左へ捻転する手法を龍と補法とし、右へ捻転する手法を虎と瀉法とする。交戦は手技の 動作を形容して左右をすることである。龍虎交戦法は龍虎の闘争で、交替的に操作して、補瀉兼施のための手法の1つで ある。 2.操作方法:徐鳳は《鍼灸大全》倦五《金針賦》に龍虎交戦は左へ捻転を9回し、右へ捻転を6回する、これは止痛の針法 であると書いてある。徐は明時代の手法を重視する鍼灸家で簡潔に捻転法を九六補瀉と結び、龍補、虎瀉の定義と主治を 説明したが、左右に捻転回数を述べてなかった。 李梃は《医学入門》に龍虎交戦は虐疾の先に悪寒をし後に発熱するすべての上盛下虚などを治療する。まず、浅く進針 をし、36回(3×9)を行い、気が流れて熱く感じる後、深くて18回(3×6)をする。もし、先に発熱をし後に悪寒をすること、 またすべての半虚半実などの病証に先に深く進針をし、六回(陰)をし、気が流れて涼しくてから、浅い所で9回(陽)をす る。このように龍虎交戦法を行う。この場合では陽に陰邪があり、陰に陽気がある、邪気はよく正気に従って行くために交戦 をしなければ、邪気は退らず、正気は勝てなくて、病気はまた起こると述べている。李は操作の順番を明確にし、浅深に分 けて進針をし、繰り返しに9と6回を行い、熱補涼瀉の目的を達する。さらに治療のメカニズムは扶正袪邪で交戦をしなけ れば、病気を治らないことを指摘した。 楊楣良は《浙江中医雑誌》に本法をする時、指切進針法で針を捻転法で刺針する。得気の後、龍虎交戦法を行い、拇指 が前方へ捻針を9回し、その同時に針体を下へ按圧を3~5回する(提插補法)、得気の情況を保ちながら、拇指が後へ捻 針を6回し、その同時に針体を上へ3~5回提昇する(提插瀉法)と述べている。楊は捻転、九六と提插補法を結んで龍虎 交戦を構成した。 陸痩燕は《鍼灸論著医案選》に本法の操作はまず拇指が左へ9回(陽)をし、その後、右へ6回(陰)をする。龍虎交戦は1つ 左方面へ、1つ右方面へ繰り返して捻針すると、気血の運行に押すと引くという両方への作用があり、経絡に壅滞の気血を 疏通して、止痛の作用をはたすと論じている。陸は針刺止痛のメカニズムを説明した。 以上、まとめてみると、龍虎交戦針法はあくまで捻転、九六、提插の6種単式な補瀉手法を分層操作することである。また 青龍擺尾、白虎搖頭の手法と結合する時もある。 3.臨床運用:龍虎交戦は調和陰陽、疏通経気、宣通営衛気血の機能を持つ、痛証と虚実寒熱夾雑証によい効果がある。 痛証の範囲は広く、内・外・婦人・小児・骨科、腫瘍、神経科、耳鼻咽頭科におけるよく見つける多発性病、難病である。人体 における激痛や持続的な痛みにより、患者の心身的な損傷、さらに厥脱の危険がある時、穴を選んで本法を施してよく即 効性を得られる。虚実寒熱挟雑証に対し、虚・実・熱・寒の多少により、先に龍、後に虎或いは逆手法を用いる。 15 4 注意事項:①術者は治療をする時、事故を防ぐために乱暴せずに慎重に操作をする。②暈針を予防するために患者 は臥位でよろしい。③重要な臓器と器官、例えば眼、五臓の近く部位及び大血管の所では本手法を禁止する。頭部、顔面 部四肢末端の筋肉の薄い所でも慎重にするべきである。 16 痛痺における恢刺・斉刺・陽刺の応用 崔旻1) 于英麗2) 孫雷闖3) 廓福運1) 1) 大慶市杏南職工医院 2)黒龍江省郵電医院 3)黒龍江中医研究院 はじめに 痺証は臨床ではよく見られる病証であるが、痛証は痺証によく見つける証候である。中医学では、風・寒・湿・熱などの外 邪は虚弱体質に侵入し、経絡を閉阻し、気血不暢を招き、筋肉・筋骨・関節のだるい、痺れ、運動制限を起こす。それは針 治療の最も効果よい疾患でもある。恢刺・斉刺・楊刺は《内経》12刺法の中に痺証を治療する針法である、筆者は数年の臨 床実践の中、各種方法で痺証(主に痛証)を治療し、その治療効果を比較した後、以上の3つの方法は痛証の治療に効果 が明らかであることがわかった。 筆者は1994~1999年にかけて、痛証の209例を対象にした。その中、51例に一般な針法と適応な穴位を用いたが、 その治療期間が長くて効果が遅い、再発をしやすいことが見られた。残りの158例に上述の3種針法で治療をし、治療期 間は短く効果が速い、再発をしにくいことは観察された。次は症例と体得を述べる。 症例1. 女性 47歳、初診時:1996年4月6日。患者が普段運動不足で、重い荷物を持った後、右肘が痛くなり、徐々に 重くなって眠れない、さらに物を持てなくなった。飲み薬、按摩治療を受けたが改善をしないために、受診をして来た。所 見:肘関節が脹れて赤い、運動機能がよいが、上腕骨上踝の圧痛:陽性、診断:上腕骨上踝炎。治療は圧痛点に楊刺瀉針 手法を行った後、電気治療装置の治療を加え、同時に一般な補助穴を加えて 30 分留針をした。三日の後、痛みは大減、 続けて 2 回の治療をした後、痛みは消失した。《内経》に楊刺は正中に先に 1 本の針でその後、上下左右各 1 本である、 寒気による範囲の広い痺証を治療すると述べている。 症例2.男性、22歳、初診時:1998年1月2日。患者は2ヶ月前にダンベルをした後、右の肩関節が痛くなり、だんだん増 悪をし、運動制限で来院。所見:肩関節が保護状態で、外展テスト(+)、外展運動の途中である角度で痛みがなくなる、上 腕の外旋運動ができず、肩峰の下に圧痛(+)、関節の運動は制限、肩甲挙筋と三角筋は萎縮が見られた。診断:肩峰下 滑液包炎。治療:恢刺を行った。方法:まず、肩峰の圧痛点に針を1本刺し、得気の後、患者に関節の運動をさせながら、針 刺の方向を変る、数分の後、抜針する。その後、斉刺法を行い、肩峰の圧痛点に針を1本直刺し、その針の両側にそれぞ れ1本針を刺入する、また肩髃・曲池・外関などに針刺をし、留針が30分でした。同時に電気治療装置を加えた、治療の後、 患者に肩の運動をするように指導をした。治療は毎日1回で5回の後、局所の痛みは大減、運動機能も明らかに改善され、 また5回の治療を受けて、関節の運動はほぼ正常となった。《内経》に恢刺者は直刺傍之、挙之(直刺の後、針の方向を回 りへ何回変って刺激する)恢筋急(筋肉の拘縮を回復する)、筋痺を治すと云う。それは筋肉拘縮の部位の周りに針刺をし、 疏通経気、筋肉の拘縮を緩和し、恢は本来の機能を回復する。また斉刺者は直刺1本でその傍に各2本である。寒気やや 深いことを治すと云う。 このように、恢刺・斉刺・楊刺は痺証によい治療方法で、筆者は診療において霊機応用をし、いつもよい効果を得た。 注意事項:3種刺法をする時、直径0.38mmの豪針を使い、針刺の深度を病巣の深さによって調節し、進針の後、緩慢 的に捻転し、局所の筋肉の厚さにより、捻転の強度を調節して患者の耐えられる程度で治療をする。過労、年老体弱、空腹 の方、はりに弱い方、緊張をしている方に暈針を防ぐため、患者の治療時の状態を観察しながら、治療をする。 17 50例更年期障害の走罐療法の治効 孫敬青 北京中医医院 はじめに 更年期障害は女性閉経前後、見られる自律神経失調の症候群で45~55歳では最も多い。男性は老年期に入る前にも 類似な症状が見られる。重症例では、その症状は仕事と生活に影響する。筆者は走罐療法で本病を治療したので、報告 する。 対象 50例を対象にした。その内、男性3例、女性47例、年令は44~57歳で女性平均50.1歳、男性平均は56歳であり、罹 病期間は3ヶ月~5年であった。患者では、陳発性潮熱、汗をかく、イライラをして怒りっぽい、不眠心悸、眩暈耳鳴、疲労 無力、感覚異常、女性が生理不順の症状を持つ。泌尿器系・生殖器系・循環器系・甲状腺疾病を除いた。 治療方法 1.取穴:背部の兪穴、膀胱経・督脈における穴と華佗夾脊穴を含む。 2.方法:患者は座位で背中に潤滑油を塗る。中等の水玉(罐)を用い、閃火法で抜罐をする。その後、水玉を上下左右に 繰り返し移動する(走罐)。大椎・厥陰兪・心兪・膈兪・肝兪・胆兪・脾兪・胃兪・腎兪の辺りを重点的に皮膚が赤い或いは紫紅 まで走罐する(図)。燃料・閃火のスピード、操作の力は水玉内の陰圧を決めるので、陰圧の適当を保つべきである。虚証 に陰圧を低くし、実証に高くする。 治療は毎回10~15分で隔日1回で5回を1コースとし、各コースの間に1週間休ませた。患者は治療を4コース受けた。 結果 1.治療効果の評価基準 臨床治癒:症状は消失し、半年の後、再発をしない。著効:症状はほとんど消失し、緊張、疲労後、再発。有効:症状は軽く なった。無効:症状の改善がない。 2.治療効果:50例の中、治癒は29例(58%)で、著効:12例(24%)で、有効:9例(18%)であった。 体得 更年期障害は中医学の“閉経前後諸症”の範疇に属する。その病機は天癸がなくなる前に臓腑機能の失調である。背兪 穴は臓腑気血が背部に注ぐ穴位で陰陽と臓腑の機能を調節することができる。 走罐療法は抜罐、刮痧、按摩などの綜合的な効能があり、さらに経絡・皮部に広く作用し、そしてよい効果を得られる。現 代医学の研究では、背兪穴の分布の規律は脊髄神経の分布と大体同じだと発見Iした、走罐は末梢神経を刺激し、大脳皮 質に作用することを通じて一連神経、体液の調節によって生理的なバランスを取り、疾病をなおすと考える。 18 頚腰痛Ⅰ号による腰椎椎間板ヘルニアの治療効果 劉歆 遼寧中医学院附属医院 はじめに 中国における画像学の進歩に伴い、CT・MRIなどの技術は臨床に応用され、腰・下肢の痛みの診断率は明らかに高め、 腰椎椎間板ヘルニアは臨床で多く見つけるようになった。筆者は1997年以来、頚腰椎Ⅰ号で腰椎椎間板ヘルニアを治 療し、対照群と比較し、よい効果を得たので、その結果を報告する。 対象 122例を対象にした。彼らを無作為的に治療群と対照群に分けた。①治療群は66例でその中、男性が36例で女性が30 例で年令は20~60歳、平均41.6歳であり、ヘルニア損傷について、L3~4は8例、L4~5は26例、L5~S1は20例、 L4~5合併L5~S1の損傷は12例であった。②対象群は56例で、その中、男性が30例、女性が26例で、年令は21~5 8歳、平均43.2歳であり、ヘルニア損傷について、L3~4は7例、L4~5は22例、L5~S1は19例、L4~5合併L5~S 1の損傷は8例であった。患者の全員は腰椎、下肢の放射的な痛みや痺れ及びだるくて張る症状を持ち、ラッセトテストは 陽性で、圧迫された神経に支配される筋肉と皮膚の感覚の異常があり、腰椎レントゲン及び腰椎CT検査で診断を確認し た。 治療方法 1.対照群:患者に硬いベッドで休ませ、腰椎牽引、温熱療法と仙骨管のブロック注射治療を行った。 2.治療群:以上治療の上に頚腰椎Ⅰ号(本院の自家処方 )治療を加えた。処方:葛根20g、川芎・羌活各15g、桃仁10g、 香附子 15g、桂枝・紅花各 10g、牛膝 20g、威霊仙 10g、当帰・秦艽各 15g、血竭 10g。以上を2回煎じて朝晩2回に分けて 服用する。治療は4週間を1コースとする。 治療効果 1.効果の評価基準:著効:腰と下肢の痛みは消失し、機能は回復し、仕事に戻る。有効:痛みは軽くなり、腰の運動機能も 改善された。無効:症状と所見の変化がない。 2.治療効果:表1に示したように治療群の効果は対照群よりよいことが見られた。 考察 腰椎椎間板ヘルニアの主な原因は椎間板そのものの退行性病変である、あるいは椎間板の発育不全、損傷、老化、姿 勢不当などにより、腰椎椎間扳の繊維輪の部分的に、あるいは全部破裂となり、そして、髄核が外へ脱出して神経根あるい は脊髄、馬尾を圧迫して局部の無菌的な炎症を起こた。結局、神経根組織が充血、腫脹、滲出をし、その敏感度を高めさ せ、痛みを起こす、久しくなると、粘着と変性を招き、腰と下肢の痛みはさらに増悪していく。そのために、保守療法は主に 脱出の髄核が神経根、或いは硬膜嚢への圧迫を解除し、血液循環を改善して、神経根の炎症と水腫を減軽する。 本病は中医学の痺証の範疇に属する。多くの場合は風寒湿は虚弱の体質に侵入し、経絡を痺阻する、或いは打撲捻挫 で気血瘀滞、経絡不通のためである。その病位は筋骨であり、血脈が凝滞である。治療は頚腰椎Ⅰ号を用い、袪寒勝湿、 活血化瘀、通経止痛をして気血が通らせて痺証を取り、そして血液循環を改善し、神経根の炎症、水腫を解除して疼痛をと る。 19 表1.腰椎椎間板ヘルニアの治療効果 n(例) 著効 有効 無効 治療群 66 40 23 3 対照群 56 21 30 5 Ridit検定で P<0.05 20 肺必寧による小児気管支肺炎の治療効果 王慧平 鞍山市鉄東区中医院 はじめに 筆者は1997~1999年にかけて、自家制漢方薬の肺必寧で小児気管支肺炎を162例治療したので、報告をする。 対象 322例を対象にした。全員《実用小児科学》における診断基準により診断された。無作為に治療群と対照群に分けた。 1.治療群は162例でその中、男児が78例で女児が84例で、年令は3ヶ月間~12歳で、平均3.2歳であり、平均罹病 期間は7.5日間であった。 2.対照群は160例で、その中、男児が81例、女児が79例で、年令は4ヶ月間~12歳で平均3.5歳であり、平均罹病期 間は7.3日間であった。 治療方法 1.対照群の治療法:患児にペニシリン注射及び対症治療を行った。 2.治療群の治療法:患児は対照群と同様な治療を受け、その上に肺必寧を服用した。 処方は麻黄9g、杏仁・石膏・甘草各10g、葶藶子9g、黄芩・魚腥草・蝉退・百部各10g、大黄8gであった。 用量について、3ヶ月~1歳の子に前述用量の3分の1で、1歳以上~3歳の子に前述用量の2分の1で、3歳以上~6歳 の子に3分の2を与えた。毎日1剤で水で煎じて、朝昼晩3回に分けて投与した。治療期間は12日間であった。 治療効果 1.効果の評価基準:治癒:症状は消失し、体温は正常となり、肺部のラ音が消失し、レントゲンで病巣が吸収され、血液 検査が正常となった。有効:症状は軽くなり、肺部のラ音は減少し、レントゲンでは病巣が完全に吸収されてない。 2.治療効果:表1に示している。 考察 小児肺炎は中医学の肺炎喘嗽の範疇に属する。外邪は肺を侵入し、肺気鬱阻、久しくなると、熱を生じ、肺熱は津液を 燻蒸して痰濁を形成する。痰阻肺絡、気道を壅塞して、肺気上逆によるものである。病機は肺機鬱閉で、痰熱は主な病理 的な生産物である。そのために宣肺定喘、清熱化痰は基本的な治療原則である。麻黄・杏仁・石膏・甘草は宣肺定喘をし、 葶藶子は瀉肺降気をして清熱化痰、瀉肺定喘の効用を強化する。黄ごん・魚腥草・百部は清熱解毒、化痰止咳をし、蝉退 は軽くて味が薄い、肺に帰経し、清熱散風、開宣肺気をし、大黄は通腑瀉熱をする。全方は宣肺定喘、清熱解毒、化痰止 咳の効用を果す。臨床では、副作用が見られなかった。 表1.小児気管支肺炎に対する治療効果 n(例) 治癒(例) 有効(例) 治療群 162 159 3 対照群 160 132 28 t検定では P<0.05 21 魚腥草注射液による46例外感高熱症の治療効果 孫淑英 青海省中医院 はじめに 外感高熱症は救急外来のよく見られる疾患であり、発病は急ぐ。筆者は1999年3月~2000年3月にかけて、999魚腥草 注射液、静脈点滴で外感高熱症を46例治療し対照群と比較したので、その結果を報告する。 対象 81例を対象にした。全員は救急外来の患者で国家中医薬管理局の外感高熱診療基準により、診断された。無作為に彼 らを46例の治療群と35例の対照群に分けた。a治療群の中、男性が20例、女性が26例で、年令は18~72歳、平均36歳 であり、体温39~40℃の者は38例、40℃以上の者は8例で、白血球の多い者は18例、正常者は12例、少ない者は16 例であった。b対照群の中、男性が20例、女性が15例、年令は17~68歳、平均30歳であり、体温39~40℃の者は27例、 40℃以上の者は8例で、白血球の多い者は12例、正常者は10例、少ない者は13例であった。 治療方法 2群の患者にペニシリン960万単位を250ccの0.9%生理食塩液に入れ、一日1回静脈点滴の治療をした。治療群のみ、 60ccの魚腥草注射液を250ccの5%プドウ糖注射液に入れ、静脈点滴をした。2群とも治療期間は3~5日間であった。 2群の患者に適当な液体の補助、物理療法で体温を下がる以外、他の抗生剤、熱を下がる薬を使わなかった。 治療効果 治療効果を表1、熱の下がる時間を表2、血液検査の変化を表3に示している。 考察 魚腥草注射液は純粋な中薬製剤で、清熱、解毒、利湿の効用を持ち、主な化学成分は魚腥草素、即ちアセトアルテヒド、 ミルセンなどで、多種のグラム陽性菌と陰性菌、ウイルス、ある真菌を抑制する作用があり、白血球の呑食力を増強し、人体 の防疫素因を調して人体の非特異な免疫機能を高める。現代薬理実験によると、魚腥草は毛細血管を拡張し、血流量を増 加する作用があり、肺の血液循環を改善し、炎症の吸収に役立つ、抗アレルギー、明らかな排痰、咳きとめの作用がある。外 感高熱症は臨床でよく見つける急性病で、西洋医学の流行性感冒、急性化膿性扁桃腺炎、急性肺炎、急性気管支拡張な どが外感高熱症に属する。以上の臨床観察では、治療群の有効率、治癒率は対照群より、高い(P<0,05)、2群の熱が 下がる時間、血液の回復状況の比較は有意差があるために、魚腥草注射液の外感高熱症に治療効果があることを認め、 免疫機能低下患者の炎症の吸収に促進作用がある。治療期間中、副作用が見られなく、安全性がある。 表1.外感高熱症の治療効果 n 治癒 著効 有効 無効 有効率 治療群 46 35* 6 4 1 97.83* 対照群 35 19 6 5 5 85.71 *P<0.05 表2.2 群熱の下げる時間 n 2 日間未満 2~4日間 4 日間以上 22 治療群 46 21* 18* 7 対照群 35 9 14 12 * P<0.05 表3.白血球の回復状況比較 白血球少ない者 n 治前 治後 回復 白血球多い者 治前 治後 回復 総回復 治療群 46 16 1 15* 18 2 16* 対照群 35 13 5 8 12 6 6 *P<0.05 31** 14 ** 2 群の間に P<0.01 23 特発性血小板減少性紫斑に対する生薬治療の臨床研究 金非 佟艶梅 沈陽市第七人民医院 はじめに 筆者は1991年以来、中医弁証による止衄1・2号を用い、特発性血小板減少紫斑の患者を治療し、対照群と比較してそ の治療効果を検討したので、報告する。 対象 91例を対象にした。全員は1984年に中国血液学術大会による特発性血小板減少性紫斑の診断基準で診断された。無 作為に彼らを止衄1・2号治療群(治療群)とステロイド剤治療群(対照群)に分けた。①治療群は61例で、男性が22例、女 性が39例であり、年令は4~62歳で平均26.2歳であり、罹病期間は1ヶ月間~7年間であった。②対照群は30例で、男 性が11例、女性が19例で、年令は5~64歳で平均が25.3歳であり、罹病期間は1ヶ月間~8年間であった。2群の患者 は皆ある程度の出血が見られた。2群の間に年令・罹病期間の差がなかった。 治療方法 1、治療群の治療法: a陰虚火旺、虚熱内擾(30例)型:鼻衄、歯衄、肌衄、更に便血、女性の生理過多、舌が赤い、脈が弦細であった。治療は 益気養陰、涼血止血で止衄1号:党参15g、海螵蛸25g、地黄・牡丹皮各15g、艾葉炭10g、阿胶15gであった。 b脾腎気虚型(3 例):前述の出血症状の他には、舌が淡、脈沈細が見られ、治療は温補脾腎、益気摂血で止衄2 号(帰参 補血錠剤、沈陽生物化学製薬会社製造で1錠が0.38gでその中に何首烏・枸杞子各0.03g、紅参0.028g、黄耆0.035 g、当帰0.03g三七0.035gなどを含む。)であった。 服薬方法:止衄1号を一日分煎じて投与した。止衄2号を1回4~6錠で一日3回を投与した。治療の1ヶ月後、効果があれ ば、続いて治療をし、血小板数は正常になったら、再び治療を2ヶ月間する。効果がないと、治療を停止する。 2.対照群の治療:毎日強的松(ステロイド剤)を30~45mg投与し、1ヶ月後、効果があれば、血小板は正常の近くまで回 復する時、徐々に維持量(10mg)まで減量をし、その後、3~4ヶ月間まで完全に回復させる。効果がないと、徐々に薬を 止める。 治療効果 1.治療基準:著効:血小板は正常に回復し、出血がなくなるのは3ヶ月以上となった。有効:血小板は5万/μlまで上昇 し、或いは治療前より、3万/μl以上上昇した。やや有効:血小板はある程度上昇をし、出血も改善したのは2週間以上。 無効:血小板数と出血症状は改善せず、或いは悪化した。 2.治療効果:表1に示している。 3.2群の再発率の比較:治療をした1年後、対照群では有効 23例の中に再発が21例で再発率の91%に対して、治療群では、有効56例の中に再発は17例で再発率は30.36%で あった(χ2=7.288 P<0.01)。 表1.特発性血小板減少性紫斑に対する治療効果 n(例) 著効(例) 有効(例) やや有効(例) 無効(例) 有効率(%) 24 治療群 61 24 10 22 5 対照群 30 11 8 4 7 91.80% 70.67% χ2=8.245 P<0.05 25 助孕Ⅱ号方による50例卵管閉塞の治療効果 李樹鎖 李岳勃 遼寧省朝陽市第二医院中医科 はじめに 卵管閉塞は女性不妊症のよく見られる原因である。筆者は自家の助孕Ⅱ号方で本病を300例あまり治療して理想な効果 を得たので、その中に完全にデータを取れた50例の結果を報告する。 対象 50例の中、年令は22~40歳で平均は28歳であった。不妊の期間は2~16年間で平均4年間であった。全員は治療前、 子宮卵管造影法で診断された。診断基準について、卵管疎通性をⅥ 度に分け、Ⅰ度:子宮外角部が完全に閉塞、Ⅱ度:峡部が完全に閉塞、Ⅲ度:卵管采部が完全に閉塞、Ⅳ度:造影剤は卵 管外に排出されるが、粘着があり、骨盤底部に達てない、Ⅴ度:造影剤は卵管外へ排出され、粘着があるが、骨盤底部に 達する。Ⅵ度:正常な卵管造影像である。 50例の中、一次性不妊症は21例、二次性不妊症は29例であった。閉塞卵管は98本(2例では片方卵管を摘除された) で、その中、疎通性Ⅰ度は42本、Ⅱ度は20本、Ⅲ度は12本、Ⅳ度は24本、慢性卵管炎は35例、慢性骨盤炎は8例、異 所性子宮内膜症は4例、卵管結核は3例であった。 治療方法 助孕Ⅱ号方:皂刺・穿山甲各15g、蒲公英30g、連翹20g、丹参15g、紅花・桃仁各10g、赤芍・当帰・川芎・制香附子各1 5g、炙甘相10gで毎月の生理が終わった後、1日1剤を煎じ、2回に分けて服用する。治療は20日間を1コースとし、3~6 コースした。また毎月の生理が終わった後の3~7日目に卵管通液術を1回した。同時に治療効果を観察して治療期間を 決める。 効果 効果評価基準:有効:卵管疎通性はⅤ度或いはⅥ度に達した。無効:疎通性はⅠ~Ⅳ度である。治療期間は3~6月間 で治療後、6月間を立って子宮卵管造影を行った。その結果、疎通性のⅠ度は4本、Ⅱ度は5本、Ⅲ度は8本、Ⅳ度は2本、 Ⅴ度は13本、Ⅵ度は66本となった。有効は79本、無効は19本で有効率は80.6%であった。妊娠は31例で妊娠率は6 2%であった。ある患者は治療を1ヶ月間受けて妊娠した。3例では卵管結核で無効であった。 討論 助孕Ⅱ号は通任腫子湯(山東中医薬大学李広文の処方)から加減され、その中、皂刺は辛散温通、性質が鋭く、力が強 い、消腫、托毒、排膿の効能を持つ、穿山甲は通経透絡、消腫排膿の機能もあり、2つ薬を併用して卵管の粘着、梗塞の病 巣を通達し、主薬とする。連翹・蒲公英は清熱解毒散結をし、悪腫を取り、炎症を消散して輔薬とする、丹参・桃仁・紅花・赤 芍は活血化瘀、消腫止痛をし、当帰は活血補血をし、川芎は活血行気をし、香附子を加え、理気をし、活血化瘀の作用を増 強する、甘草は緩急止痛、清熱解毒をし、諸薬を合わせて消腫止痛、活血化瘀の作用を果した。 26 張志遠の臨床用薬の体得 劉桂榮 山東中医薬大学 はじめに 張志遠は山東中医薬大学の教授で50年間、医学、教育、研究の多方面で多くの成果を得、高い評価をされている。ここ では先生の多年の臨床体得を紹介する。 1.開音用薬に上手に配合する a.蝉退は薄荷・鳳凰衣を配合すると、風熱襲喉による失音の聖薬である。蝉退・薄荷は宣散風熱、清利咽喉の上品で鳳 凰衣は清肺利咽、養陰潤喉ができ、咽喉を守る要薬である。3つの薬を合わせて袪邪通痺利咽をしながら、養陰潤燥開音 をする。 b.麦門冬は胖大海・木蝴蝶・羅漢果を配合すると、肺陰不足による肺燥陰乾、声がでないのを治療する。麦門冬は養陰 潤肺、利咽清音をし、また清熱を兼ねて陰虚の失音に必ず備える薬である、木蝴蝶・羅漢かは清潤肺臓、声を回復する、 胖大海は宣肺利咽、羅漢かと一緒に潤腸通便をして開上通下ができる。4つの薬を合わせて清利咽喉、正常な声を出させ る。 以上の薬に血余炭を加えることもできる、血余炭は化瘀止血、育陰、傷の回復作用が持つ、また通関開竅による失音を 取る効用がある。 2.梅核気を治療するために昇降を重視する 慢性咽頭炎では喉の中に物を感じ、飲み込めないし、吐けない者に半夏・蘇葉・白芷・細辛で治療する。半夏・蘇葉は行 気寛中、健脾和胃、除湿化痰をし、痰の源(本)を治療しながら、また化痰散結の標を治療する。白芷・細辛は燥湿昇清、散 結消腫をして、前者を助けて通関開竅をする、4つの薬を合わせて昇降気機、中焦の機能を回復し、そして気血津液を通 暢させて痺阻は自然に消える。 3.止渇の用薬のために陽から陰を求める 人参は麦冬・五味子を配合すると、気陰両傷による津液の輸送ができない病証を治療する。この3味は元々生脈散の組 成で外感熱病による気陰損傷、津液亡失、或いは気陰両虚、産後盗汗の咽喉乾燥証を治療する。先生はこの処方を利用し たが、もっとその意味を重視する、ここでは気陰両虚であるが、気虚は実に本であり、陰液は源の不足ため輸送ができな いのである。そのため、先生は張仲景をまねて白虎湯に人参を加える方法で人参の量を多くして補元気、益気生津、さら に津液の昇運を促進する。五味子・麦冬は養陰生津また斂陰をし、外泄をしなく、諸薬は気津を生じ、陰液を運行して口渇 を取る。また黄耆を加え、補元気の機能を増強し、葛根を加えて津液の昇運を助ける。次回続く。 27 春に補法のお話 王恵茵 一年の計画は春にある。春は体質に投資の最っもよい季節である。中国の養生学では薬補(薬で体を補う)は食補(食事 で体を補う)ほどではなく、食補は神補(精神的な養生)ほどではないと考える。ご本人の健康状態により、3者を併用して 偏ることもある。 1.神補 気分の改善よい方法は個人の体質と興味により、それぞれの雅趣を探し、情操をとり、舒暢情志、養肝調神をする。春花 を咲く時、親族や友人を誘い、緑や鳥を観賞したり、散歩、錬功をすることで、新鮮の空気を吸い、真気を取って精血を化 し、臓腑を滋養する。 2.食補 春の食補は弱い温性、さっぱりとする食物で正気を扶助し、元気を補益することである。例えば気虚の方はお粥・サツマ イモ・山芋・ジャガイモ・卵・棗・栗・蜂蜜・牛乳などの健脾益気の食品を、気陰不足の方は人参・モヤシ・お豆腐・レンゴン・く わい・百合などの益気養陰の食品を取る。 また、春の季節に低脂肪、ビタミン・ミネラルを多く含む食品、例えば新鮮な野菜・蒲公英などを取り、冬に膏梁厚味の過 食による内熱旺盛の体質に清熱解毒、涼血明目、通利二便、醒脾開胃の治療作用を果す。 3.薬補 人体に明らかに気、血、陰、陽の不足がある場合、食養で改善ができない時、中医医師の指導のもとに甘平の補薬を使 い、陰陽のバランスを調整し、袪病健身をする。体虚無力、少気で話をしたくない、疲れやすく、風を引きやすく、汗をかき やすい、或いは内臓下垂の方に補中益気湯を選択して、治療をする。 28