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e- 地域資源活用事業

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e- 地域資源活用事業
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平成 20 年度
「e- 地域資源活用事業」
報 告 書
平成21年3月
はじめに
今日、全国の多くの自治体が自治体のホームページなどを通じて、観光情報を提供
しており、観光客や住民に一定の利便性をもたらしています。
しかし、自治体のホームページなどで提供される観光情報のほとんどは、自治体内
の情報に限定されており、また、現地でのみ入手できるローカルな観光情報の提供は
限られているのが現状です。
一方、近年は興味ある同一のテーマ、例えば、文学や歴史における特定のテーマに
沿って、自治体の境界を超えて広域に観光しようとする観光客が増加しつつあり、ま
た、携帯電話などを活用して現地でのローカル観光情報を入手したいとするニーズも
高まっています。
こうしたことから、財団法人地域総合整備財団<ふるさと財団>は総務省と連携し、
また、財団法人市町村振興協会の協力を得て、複数市町村が連携し、ICT(情報技術)
を活用して広域観光情報の提供を行う「e-地域資源活用」助成事業を行ってきました。
平成20年度は、全国の応募の中から8件の事業に対し、助成をいたしました。
この事業を進めるにあたっては、ふるさと財団内に有識者で構成される「e-地域資
源活用事業」推進委員会(委員長:坂村健東京大学大学院教授)を設置し、まず採択
について検討しました。また、委員による各事業の現地視察を実施し、事業に携わる
自治体や関係者の方々と直接意見交換等を行いました。
この事業を通じて、複数市町村の連携が図られ、また、この連携によって新たな地
域資源の発掘や既存の地域資源の活用も進みました。さらに、ICTを活用して、観
光客の目線に立った観光コンテンツデータベースを中核とする共通プラットフォーム
の構築をすることができました。
末筆ながら、本推進委員会の坂村健委員長、佐藤喜子光副委員長、委員各位、関係
自治体の職員、その他関係各位に厚く御礼申し上げます。
平成21年3月
財団法人地域総合整備財団
理事長 嶋
津 昭
平成20年度 「e-地域資源活用事業」推進委員会 委員等名簿
委 員 長
坂 村 健 東京大学大学院
情報学環 教授
委員長代理
佐 藤 喜子光 平安女学院大学
国際観光学部 学部長
委 員
伊 藤 信 総務省自治行政局
(市 橋 保 彦)
(総務省自治行政局
地域振興室長
地域政策課長)
小 川 登美夫 財団法人地域総合整備財団
常務理事
楓 千 里 JTB パブリッシング
法人事業部長
黒 田 武一郎 総務省自治財政局
地方債課長
オブザーバ
上 村 章 文 総務省北海道管区行政評価局 局長
以上五十音順 敬称略
( )内は前任者
事 務 局
財団法人地域総合整備財団(ふるさと財団)
事務局長
高 島 茂 樹
地域再生部長
荒 井 弘 正
地域再生部参事役
齋 藤 正 光
地域再生部参事役
嶋 田 克 美
地域再生部地域再生課長
梶 原 健 一
YRP ユビキタス・ネットワーキング研究所 ユビキタスプラットフォーム 2 部部長
峯 岸 康 史
YRP ユビキタス・ネットワーキング研究所
嶋 田 和 幸
みずほ総合研究所株式会社 研究開発部 上席主任研究員
岩 城 博 之
「e- 地域資源活用事業」助成事業は、財団法人全国市町村振興協会の助成を受けて
実施されました。
目 次
第1章 「e-地域資源活用事業」の目的と意義 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1
1.
「e-地域資源活用事業」による助成の目的 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 2
2.平成20年度「e-地域資源活用事業」の特徴 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 3
第 2 章 「e-地域資源活用事業」
採択事業・基盤整備事業の概要 ・・・・・・・・・・・・・・ 9
1.採択事業の概要・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 10
1−1.大雪広域観光圏共通プラットフォーム整備事業・・・・・・・・・・・・・・・・・ 10
1−2.南房総地域連携情報発信事業・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 17
1−3.九十九里地域連携情報発信事業・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 29
1−4.広域観光連携事業WEB東信州 「中山道の会」・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 39
1−5.源氏物語広域連携情報発信事業・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 47
1−6.飛鳥地方 観光音声ガイド 携帯Q∼あ∼る案内「あたかちゃん」59
あ
ま
1−7.AMA
(阿南市・室戸市・安芸市)
地域連携情報発信事業 ・・・・・・・・・ 65
1−8.ケータイ参加型クチコミ観光ガイド「みんなの東御廻り」
・・・・・・・・ 74
2.共通プラットフォーム整備事業の概要・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 81
第 3 章 「e-地域資源活用事業」
の成果と課題 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 85
1.事業の成果・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 86
1−1.地域連携に関する成果・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 86
1−2.地域資源の利活用・情報発信の成果・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 88
1−3.共通プラットフォーム構築に関する成果・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 90
2.事業の課題・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 92
2−1.地域連携による事業推進上の課題・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 92
2−2.地域資源の利活用・情報発信における課題・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 92
2−3.共通プラットフォームに関する課題・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 94
平成20年度「e-地域資源活用事業」推進委員会 各委員会の検討内容
平成20年度「e-地域資源活用事業」推進委員会は、計3回開催された。委員会におけ
る主要な検討内容は以下の通りである。
委員会
検討内容
第1回
(平成20年
7月25日)
●
●
●
●
●
委員紹介
「e- 地域資源活用事業」について
委員長及び委員の選出
応募状況と評価基準
応募案件の評価
第2回
(平成20年
11月25日)
●
●
●
●
各協議会の進歩状況
コンテンツの特徴
委員現地視察からの示唆
最終報告の構成
第3回
(平成21年
3月12日)
● 事業の取り組みと評価
● 事業の成果と課題
● 報告書のとりまとめ
第
1章
「e- 地域資源活用事業」の
目的と意義
1.
「e-地域資源活用事業」による助成の目的 ......................................... 2
2.平成20年度「e-地域資源活用事業」の特徴 ....................................... 3
第
1章
「e- 地域資源活用事業」の
目的と意義
1
「e-地域資源活用事業」による助成の目的
<助成対象事業の考え方>
現在、全国各地で、地域における資源を活用した地域活性化が進められている。今後
さらに活性化を促進していくためには、地域内はもちろん、地域間での連携を図り、資
源を活用していくことが重要となる。特に、地域活性化に最も直結しやすい観光分野に
おいては、地域連携によって、より一層の効果が期待できる。
現状では、地方自治体が提供する観光情報のほとんどは、各自治体内の情報に限定さ
れており、また、現地において入手できる観光情報は限られている。このため、興味あ
る同一テーマ(文学・歴史、温泉等)に沿って、自治体の境界を越え、広域的に観光し
ようとする観光客や、現地で情報を得たい観光客にとっては、やや不便なものとなって
いる。同じテーマによる一括した広域観光情報を、タイムリーでかつ詳細に提供するこ
とで、地域資源の新たな魅力を引き出すことができると考えられる。
このような広域にわたる観光情報を低コストでかつ効率的に実現していくためには、
最新のICT(情報通信技術)を活用した、共通の情報通信基盤が求められる。
以上の認識を踏まえ、本事業では、情報通信基盤「共通プラットフォーム」を整備す
ることとした。また、助成対象事業を、複数の市町村等(特別区を含む。)で連携する
組織が取り組む事業で、
「共通プラットフォーム」を活用し、同一テーマに基づいた観
光情報を提供するものとした。
<助成対象の考え方>
複数の市町村等で連携する組織が取り組む事業であるため、事業全体の窓口および取
りまとめが事業の成果に大きく寄与すると考えられることから、前記組織の代表となる
市町村等(特別区を含む。
)とした。
2
2
平成20年度「e-地域資源活用事業」の特徴
(1)平成20年度「e-地域資源活用事業」の採択
<選定の方法>
平成20年度「e-地域資源活用事業」では、都道府県を通じて申請を受付け、有識者に
よる委員会(
「e-地域資源活用事業」推進委員会)において事業選定に関する議論を行っ
た。申請にあたっては、複数の地域の共同での提案を前提とし、事業の概要、事業の目
的、実施体制や期待される効果なども申請内容として求めた。
地域別のバランスは特に考慮せず、各事業の内容そのものを評価し、選定を行った。
<選定の基準>
事業の選定基準としては、以下に示す要件を基準に審査・検討を実施した。採択基準
としては、本事業の特長であるテーマを持った連携であること、地域資源を活用してい
ること、事業性(実現性)に信頼がおけること、モデル性などとした。
選定の基準
分類
項目
評価基準
・連携範囲が大(県越え、または 5 自治体以上の連携)である(a)
・連携範囲が中(同一県内でかつ 2 自治体以上 4 自治体以下の
A-1 連携市区町村体制
連携)である(b)
A:連携
・単一自治体である(c)
・大学 / 地元企業 /NPO 等の団体が参画している(a)
大学 / 地元企業
A-2
・行政関連団体以外の参加者がいない(b)
/ 団体等の参画
・参加者なし(c)
・観光客に訴求するテーマであり、新規性に富んでいる(a)
・一般的なテーマであるが、広域連携により地域活性化に寄与
B-1
テーマ性
できるテーマである(b)
・観光のテーマ性という観点が乏しい(c)
B:地域資源
・地域資源として観光に適しており、誘客に十分な魅力を有し
ている(a)
B-2 地域資源の内容
・今後の情報発信により新たな観光資源として有望である(b)
・観光としての地域資源とは言えない(c)
・事業目的が明確で、かつ地域活性化への貢献が大と思われる
(a)
・事業目的が明確ではあるが、地域活性化への貢献は中と思わ
C-1
事業目的
れる(b)
・事業目的が明確でない(c)
C:事業性
・目標が明確であり、地域活性化への効果が大と思われる(a)
成果目標
<実現性>
・目標が明確ではあるが、地域活性化への効果が中と思われる
C-2
< 想定される
(b)
効果 >
・目標が明確でなく、効果もあまり期待できない(c)
・将来対応が十分計画されており、事業継続の実現性が高い(a)
C-3
継続性
・将来対応が計画されており、事業継続できる可能性がある(b)
・将来対応など事業継続方針に具体性がない(c)
3
D:モデル性
・事業で得た仕組み等を他地域に活用でき、連携の拡大等が図
れる(a)
D-1 他地域への展開性 ・地域に限定した資源であり、そのまま他地域への活用には課
題があるが、本事業の連携拡大は可能である(b)
・連携拡大、他地域への活用の可能性が低い(c)
D-2
新規性
・今までにない事業であり、観光における新しい分野を拓く可
能性が大である(a)
・今までに実施された事例ではあるが、新しい手段、方法等で
観光事業に寄与できる(b)
・新規性がない(c)
助成希望団体は、上記採択基準を踏まえた申請計画書を提出し、委員会で検討・審査
というプロセスを経て、以下の計8事業が採択された。
(概要等は申請時内容)
採択事業一覧
1
4
申請
自治体
事業名
北海道
旭川市
大雪広域観光圏共
通プラットフォー
ム整備事業
大雪山を中心に、日本一 / 北海道一と言
大雪山を起点とし
われる自然資源をテーマに、自分用観光
た周辺観光を楽し
コース作成等観光客の目線での情報提供
む
を目指す。
テーマ
概要等
2
千葉県
館山市
南房総地域連携情
報発信事業
南房総の海、花の自然資源、歴史文学を
ベースに、ターゲットを少人数グループ
南 房 総「 花 街 道 」
に絞り、体験型、交流・滞在型の観光情
まるごと体験の旅
報提供を目指す。実現に地元 NPO の活
用を推進。
3
千葉県
九十九里町
九十九里地域連携
情報発信事業
66km の広域にわたる 7 市町村が連携し、
九 十 九 里 浜“ 海 か
九十九里の海の恵みを中心に食、歴史、
らのプレゼント”
海洋スポーツなど多様な自然資源での誘
をあなたに
客を目指す。
4
長野県
立科町
広域観光連携事業
WEB 東信州
「中山道の会」
歴 史 浪 漫 街 道 東 信 東信州中山道の軽井沢宿から和田宿の
州 の 中 山 道 へ い ざ 12 の旧宿場の観光情報提供により、県
なう
内来訪者(軽井沢)の誘導を目指す。
源氏物語千年紀のイベントを一過性でな
く継続性のある情報発信とするため、県
をまたがる広域情報発信と来往者への木
目細かな情報提供を目指す(専用モバイ
ル端末利用)。
5
京都府
宇治市
源氏物語広域連携
情報発信事業
6
奈良県
橿原市
飛鳥地方観光音声
日 本 の 飛 鳥( れ き
ガイド携帯 Q ∼あ
し)を観聞(みいる)
∼ る 案 内「 あ た か
旅
ちゃん」事業
7
徳島県
阿南市
AMA(阿南市、室
戸 市、 安 芸 市 ) 地
域連携情報発信事
業
8
沖縄県
南城市
、住民
東御廻り(アガリウ 東御廻り地域の来訪者(観光客)
ケータイ参加型ク
マーイ)をテーマと の参加型の観光情報提供による生の情報
チコミ観光ガイド
した広域観光振興
を発信する。
源氏物語
携帯電話と U コード QR を最大限に利用
し、来訪者に観光資源情報はもちろん観
光客の行動をサポートする情報提供を目
指す。
アクセス不備を奥座敷として捉え、県
AMA が 結 ぶ 四 国
をまたがる広域で、自然資源と歴史資
東南海岸ヒーリング
源、新資源など滞在してもあきのこない、
ロード ∼184km の
ゆったりとした観光のできる地域をア
癒される旅∼
ピールする。
(2)平成20年度採択事業の特徴
<地域連携の特徴>
平成20年事業においては複数の自治体による連携を条件としている。地域連携の状況
につき、整理をすれば以下のとおりである。
□ 連携自治体数
採択事業の完了時における連携自治体数が最も多いのは、九十九里地域連携情報発信
推進事業推進協議会の13自治体である。本事業において「九十九里沿岸」という自治体
が一体となった地域ブランドの構築を進めていくなかで各市町村の連携が強化され、採
択時から参画自治体が増加していった。そのほか、源氏物語広域連携協議会では、
「源
氏物語」にゆかりのある自治体が多数連携している。
各協議会の連携自治体数をみると、5自治体未満という協議会が5団体、5 ∼ 9自治体
という協議会が2団体、10自治体以上の連携による事業が1団体となっている。
連携自治体数
団体数(協議会名)
5 自治体未満
5 団体(きた北海道・大雪広域観光情報推進協議会、花海街道「e- 旅」研究会、橿原・
高市広域行政事務組合、AMA 地域連携推進協議会、みんなの東御廻り連絡協議会)
5 ∼ 9 自治体
2 団体(WEB 東信州中山道連絡会、源氏物語広域連携協議会)
10 自治体以上
1 団体(九十九里地域連携情報発信推進事業推進協議会)
□ 都道府県境を超えた連携
採択事業のうちの2事業は、隣接自治体の面的な広がりによる一体化にとどまらず、
都道府県境を超えた連携により本事業を実施している。
例えば、AMA地域連携推進協議会は、徳島県と高知県の2県にまたがる3市が地域連
携協定を締結しており、豊かな自然資源を活かした観光のみならずさまざまな取り組み
により地域連携による活性化をめざしている。また、源氏物語広域連携協議会は、源氏
物語というテーマに基づき京都府、滋賀県、福井県と兵庫県の1府3県にまたがる連携と
なっている。
協議会名
連携自治体・メインテーマ
AMA地域連携推進協議会
四国東南部に位置する徳島県阿南市、高知県室戸市、高知県安芸市の 3
市が、自然や特色ある地域資源をテーマに連携し、観光をはじめとする
地域活性化に取り組んでいる。
源氏物語広域連携協議会
京都府宇治市、滋賀県大津市、福井県越前市、兵庫県明石市、神戸市須
磨区の 4 市 1 区、延べ 4 府県が、
「源氏物語」において総合に関連して
いる地域資源を発信している。
□大学や地域団体、民間企業などとの連携
地域の観光振興においては、行政のみならず地域のNPOや大学等との連携、実際に
観光事業に携わる団体などとの連携が重要となる。実際に現地を訪問する人にとって必
5
要な情報の収集・更新作業には、こうした団体などとの連携は不可欠であり、共通プラッ
トフォームでの情報以外の地元での情報提供は重要と考えられる。
本事業においては、連携自治体のほかに、地元のNPOや大学などが連携団体として
事業運営・参画に関わっている事業も見られる。
例えば、九十九里で連携団体となっている城西国際大学については、学生や留学生の
協力を得て、コンテンツ制作やコンテンツの翻訳などを行っている。
大学や地域団体、民間企業などとの連携
協議会名
関連団体・役割
きた北海道・大雪広域
観光情報推進協議会
<株式会社北海道録画センター>
・外部委託形式ではなく、協議会として直接、コンテンツ入力や動画撮影
編集といった実際の事業を実施。
・代表取締役が、協議会の理事に就任。
花街道「e- 旅」研究会
<城西国際大学(メディア学部・観光学部)>
・観光学部教授が、花海街道「e- 旅」研究会の会長に就任。
・メディア学部長が、花海街道「e- 旅」研究会の委員に就任。
<千葉大学(工学デザイン学科)>
・千葉大学名誉教授に情報案内表示にかかるアドバイザーを委託。
<たてやまコミュニティビジネス研究会>
・まちづくり系の 4 つの NPO 法人により構成。
・構成団体の一つである NPO 法人南房総 IT 推進協議会は、システム関
係を行っており、コンテンツ作成及び入力も委託。
・会長が、花海街道「e- 旅」研究会の副会長に就任。
九十九里地域連携
情報発信推進事業
推進協議会
<城西国際大学メディア学部>
・コンテンツの制作や、コンテンツの中国語や韓国語への翻訳を、学生、
留学生の協力を得て実施
WEB 東信州
中山道連絡会
橿原・高市
広域行政事務組合
AMA 地域
連携推進協議会
みんなの東御廻り
連絡協議会
<長野県佐久地方事務所>
・関係市との連絡調整、会議等への参加。
<関係市観光協会>
・各地域の情報提供協力、食事処の選定等。
<信州短期大学副学長兼日本余暇学会副会長>
・事業へのアドバイス。
<橿原市観光協会、ボランティアガイドの会、飛鳥京観光協会>
・コンテンツに必要な情報の提供。
<阿南市観光協会、阿南商工会議所、那賀川町商工会、羽ノ浦町商工会、室
戸市観光協会、室戸市商工会、安芸市観光協会、安芸市商工会議所>
・AMA 地域連携推進協議会へ構成員として参画。
・監事に、室戸市観光協会会長、安芸市商工会議所会長。
<知念文化協会写真部及び一般市民、周辺情報登録企業>
WEB サイト内の最新記事 A をブログ形式により、情報発信。
<事業内容>
採択事業が実施している事業は、それぞれテーマに応じて情報発信の対象や方法、手
段などを工夫している。採択事業の実施している事業として、共通しているのは事業構
築のための協議会等の設立、共通プラットフォームへの登録に向けたコンテンツの作成
であり、そのほか、地域での共通Webサイトの構築、地域CMSサーバーの構築やパン
フレットの作成などを行っている。また、実際の実証実験として京都府宇治市ではユビ
キタスコミュニケータを用いた観光客への情報提供を実施した。
6
事業内容
協議会名
実施事業内容
きた北海道・大雪広域
観光情報推進協議会
・協議会の構築
・地域の共通 WEB サイト構築
・地域共通プラットフォームへのコンテンツ提供
花街道「e- 旅」研究会
・花街道「e- 旅」研究会の構築
・コンテンツの作成と共通プラットフォームへの入力
・ウォーキングコースの設定と情報案内表示の設置
・移住定住促進情報案内表示・パンフレットの作成
九十九里地域連携
情報発信推進事業
推進協議会
WEB 東信州
中山道連絡会
源氏物語
広域連携協議会
橿原・高市
広域行政事務組合
AMA 地域
連携推進協議会
みんなの東御廻り
連絡協議会
・九十九里統一ブランドのウェブサイト(九十九里地域 13 市町村の観光情
報の集約化・再編集、観光案内の多言語化、テーマ別観光情報の案内、映像・
音楽をも含めたマルチメディア情報の提供、U コード QR によるケータイ
対応サイトへの誘導、クロスメディアの展開)
・共通プラットフォームの積極的な活用
・クロスメディア展開
・システムの構築
・
「WEB 東信州中山道連絡会」の立ち上げ
・全国共通プラットフォームへの情報発信(作成、登録)
・東信州中山道地域の共通 WEB サイト(CMS サーバー)の構築
・WEB サイト連携パンフレットの作成
・各市町村等が運営しているホームページの観光 PR ページ相互リンク
・中山道をキーワードとした地域イベントへの協力
・
「中山道に関する情報サイト」を運営している個人、団体等の情報を取り
まとめるための「WEB 中山道」の開設
・上記の運営に係る連絡会の開催
・現地体験の支援
・共通プラットフォームを活用した情報提供
・事務組合担当者会議
・コンテンツ制作
・U コード QR 付看板の設置
・グッズ・パンフレットの制作
・完成記念フォーラムの開催
・AMA 地域連携推進協議会の設立と運営
・AMA 地域連携推進協議会独自の WEB サイト(CMS サーバー)構築
・地域共通プラットフォームへのコンテンツ提供(作成、登録)
・現地タグプレート設置による活用
・地域観光パンフレットの作成
・みんなの東御廻り連絡協議会の構築
・東御廻りの共通 WEB サイト(CMS サーバー)の構築
・地域共通プラットフォームへのコンテンツ提供
・東御廻りガイドブックの作成
・WEB サイトへの口コミやアクセス、クーポン利用等を多角的に分析し
フィードバック
7
(3)全体事業スケジュール
平成20年度「e-地域資源活用事業」の採択は、以下のスケジュールで行われた。
期間
概要説明
実施要綱の交付
申請期間
8
内容
・平成 20 年 2 月 19 日にプラットフォーム形成事業の概要説明
・平成 20 年 3 月 24 日交付
・平成 20 年 6 月 20 日まで
(当初の提出期限は平成 20 年 5 月 16 日を予定していたが、延長した)
審査
・平成 20 年 7 月 25 日の委員会において応募事業につき検討
・検討結果に基づき審査、予算額など査定
採択
・平成 20 年 7 月 29 日、事業採択通知
第
2章
「e- 地域資源活用事業」
採択事業・基盤整備事業の概要
1.採択事業の概要 ................................................................................... 10
1−1.大雪広域観光圏共通プラットフォーム事業...................... 10
1−2.南房総地域連携情報発信事業整備事業 ............................. 17
1−3.九十九里地域連携情報発信事業 ......................................... 29
1−4.WEB東信州 中山道の会 ................................................... 39
1−5.源氏物語広域連携情報発信事業 ......................................... 47
1−6.飛鳥地方 観光音声ガイド
携帯Q∼あ∼る案内「あたかちゃん」............................... 59
1−7.AMA(あま)
(阿南市・室戸市・安芸市)
地域連携情報発信事業 ........................................................ 65
1−8.ケータイ参加型クチコミ観光ガイド ................................. 74
2.共通プラットフォーム整備事業の概要 ............................................. 81
第
2章
「e- 地域資源活用事業」
採択事業・基盤整備事業の概要
1
採択事業の概要
1−1.大雪広域観光圏共通プラットフォーム事業
メインテーマ
大雪山を起点とした周辺観光を楽しむ
事業実施主体
きた北海道・大雪広域観光情報推進協議会
構成市町村
関連団体
北海道旭川市(◎)
、北海道上川郡東川町、北海道上川郡東神楽町(1市2町)
株式会社北海道録画センター
(◎は申請市町村)
10
(1)事業概要
a.事業の背景と目的
<背景> 大雪山国立公園には、年間約627万人(平成14年)の観光客が訪れているが、行政区
域ごとに管理されているので、大雪山地域全体の情報(草花・紅葉・登山情報・周辺観
光等)を統一した媒体が存在していない。
また、大雪山という恵まれた自然を背景に、旭川においては旭山動物園や北海道伝統
美術工芸村、男山酒造り資料舘、旭川ラーメン村など、東川町及び東神楽町においては
自然景観や温泉など、様々な観光資源を有していることから、地域性のある様々な観光
資源の再発掘に努め、
自然や文化などのテーマに沿ったルート開発や提案を行うことで、
更なる観光客の誘致を図るため、大雪山をひとつのキーワードとして広域で連携して取
り組むこととした。
<目的> 広域観光の観点から地域観光情報の統合および観光客の立場に立った情報発信環境を
構築し、積極的な情報発信を行う。
また、島国である日本にとって雄大な自然は、老若男女を問わず誰もが憧れるもので
あることから、
国内でも随一の自然
(大雪山)
を有する優位性を活かすことが重要である。
従って、圏域での消費活動を誘発し、更なる滞在型観光の促進につながるための手段
として、WEBサイトにおいてユーザーからの投稿を可能にし、口コミ情報の充実を図
るとともに、各種クーポンを設定するなど、観光客の視点に立った利便性の高い観光情
報の提供を行うことを目的とする。
b.事業内容
大雪広域観光圏共通プラットフォーム事業では、以下の4つの事業を実施する。
①きた北海道・大雪広域観光情報推進協議会の構築
②本圏域の共通 WEB サイト(CMS サーバー)の構築
③地域共通プラットフォームへのコンテンツ提供(情報収集、作成、登録)
④実証実験の実施・フィードバック
①きた北海道・大雪広域観光情報推進協議会の構築 ②本圏域の共通WEBサイト
<CMS(コンテンツ・マネージメント・システム)サーバー>の構築 地域の共通テーマ「大雪山を起点とした周辺観光を楽しむ」を内容として、地域
固有の情報(口コミ情報)などを掲載するとともに、大雪山系をひとつのフィール
ドとして広く発信するサイトを構築する。
また、携帯電話からのアクセスでの旅行中に必要な情報、クーポンなどの情報を
提供する。そのために、次の事業を実施する。
11
○地域観光情報の再発掘と一元化
○観光情報の情報発信・提供方針の検討
○観光情報コンテンツの提供手段の多様化(文字、音声、静止画、動画、多言語対
応ほか)
③地域共通プラットフォームへのコンテンツ提供(情報収集、作成、登録)
④実証実験の実施・フィードバック c.情報発信の方向性(地域資源の利活用)
本事業では、メインテーマを「大雪山を起点とした周辺観光を楽しむ」とした地域連
携をベースに以下の地域資源を5つのサブテーマを核として再編加工し、
情報発信を行っ
ていく。
大雪山を起点とした
周辺観光を楽しむ
大雪山を知る・学ぶ
大雪山を見る
大雪山で遊ぶ・楽しむ
大雪山の温泉・宿泊
大雪山で暮らす・文化
雄大な自然は、老若男女を問わず誰もが憧れるものであることから、情報発信の対象
者は万人を想定しており、
事中については携帯電話による情報提供を中心に行っていく。
また、北海道の中でも大雪圏は四季折々が明瞭であることから、国内でも随一の自然
(大雪山)を有する優位性を活かし、動画情報を随時更新することで、視覚的に季節観
あふれる情報発信を行うことが可能である。協議会においても、
CMSサーバーを構築し、
観光関連業界と連携を図ることで、クーポンの設定やまちの話題(交通や天気などを含
む)など、リアルタイムに情報の提供を行っていく。
さらに、大雪山の自然のみならず本圏域への関心も深めてもらうため、歴史や文化、
食などを始めとする様々な情報提供を行っていく。
協議会の構成団体でもある北海道録画センターは、旭川市のテレビ広報番組や圏域の
様々なメディア系の業務を行っていることから、動画や音声、静止画を始めとする様々
な圏域情報を有しているので、CMSサーバーに口コミ情報やアクセスランキングなど
を設定することにより、観光客のニーズの把握に努め、ユーザーが求める様々な情報に
即座に対応していきたい。
今後は、協議会への加入促進を図り、さらに広域的な情報提供を行っていく。
12
d.事業実施体制
きた北海道・大雪広域観光情報推進協議会(下図)は、大雪山周辺市町より、旭川市・
東川町・東神楽町の1市2町で構成された協議会であり、本事業の実施のために設立され
たものである。
協議会の会長を旭川市長、副会長を東川町長、監査を東神楽町長、理事を株式会社北
海道録画センター代表取締役とし、その下で運営事務局(旭川市経済観光部観光課)が
事業実施の中心となり、各プロジェクトチームの総括を担い、事業実施を行う。
また、自治体、構成団体より代表各1名で構成する企画委員会を設置し、必要の都度、
事業内容や進捗状況、方向性などについて協議・検討する。
実際の事業(コンテンツ収集・作成・登録)については、理事である株式会社北海道
録画センターが行った。
(外部委託形式ではなく、協議会として直接執行する(契約・協定等を取り交わす)
。
)
◎プロジェクトチーム
・ 情報収集及び編集チーム(各自治体・構成団体から代表1名)
観光資源の写真撮影、起稿・編集作業等
・ コンテンツ入力チーム(北海道録画センターから2名)
情報収集及び編集チームが集積した情報を画像加工等のデータ再編集を行い、共通
プラットフォームへ入力
・ 動画撮影編集チーム(北海道録画センターから3名)
新規の撮影及び北海道録画センター所有のビデオライブラリから映像制作
13
e.事業スケジュール
9月
10月
11月
企画会議1
企画会議2
中間報告準備
計画内容
協議会事務局
12月
1月
2月
3月
協議会設立
HP製作・運用
次年度以降
検討委員会
コンテンツ収集・作成
コンテンツ収集・作成
コンテンツ検討
実証試験
検討委員会
Ucode実証試験・タグ設置
動画・写真加工
取材
データ入力作業
データベース入力
随時:
掲載情報追加・更新
設置、公開時期は検討中
CMSサーバ等設置
(2)進捗状況
a.活動状況
事業実施体制づくりのため、平成20年9月に各市町担当者へ呼びかけ、本事業の概要
説明、メインテーマおよび展開案の協議を行った。
準備期間を設けた後、10月にメインテーマおよび情報発信の方向性を決定。事業委託
先の選定を行った。
11月よりコンテンツの選定・情報収集作業を行い、共通プラットフォームへの登録作
業は平成21年1月より開始した。
2月に協議会を設立し、共通プラットフォーム内登録情報の最終調整およびコンテン
ツの多言語展開の準備を行った。
時期
平成 20 年 9 月
内容
企画会議:メインテーマおよび事業展開案を協議
平成 20 年 10 月
企画会議:メインテーマ、情報発信の方向性の決定、事業委託先決定
平成 20 年 11 月
コンテンツ収集および制作開始
平成 20 年 12 月
コンテンツ収集および制作
平成 21 年 1 月
共通プラットフォームへの登録作業
平成 21 年 2 月
共通プラットフォーム登録情報の最終調整
多言語展開準備
協議会設立
b.成果状況
<協議会の構築> 本事業により複数市町村で取り組んだことで、広域連携が図られ面的な取り組みを行
うことができた。
個別市町村にとっては、小さな要素であった観光資源を複数市町村で連携することで
地域の魅力ある資源として情報発信する体制が整った。
<地域の共通WEBサイト構築>
地域共通のWEBサイトの構築に向けて現在取り組んでいるところであり、次年度以
降に公開予定である。大雪山系をひとつのフィールドとして広く発信するため,主な利
用端末は携帯電話を想定しており,旅行中に必要な情報、クーポンなどの情報を提供す
14
る。そのために、以下の事業を実施する。
○地域観光情報の再発掘と一元化
○観光情報の情報発信・提供方針の検討
○観光情報コンテンツの提供手段の多様化(文字、音声、静止画、動画、多言語対応他)
<地域共通プラットフォームへのコンテンツ提供>
メインテーマ、サブテーマ及びターゲット層を想定し、コンテンツ250枠に対し、随
時コンテンツを作成、登録した。
メディア種類としては、文字情報、静止画情報、動画情報及び音声情報を中心に作成・
登録している。また、4カ国語対応を想定していることから、全体の4分の3のコンテン
ツについては、外国語の枠とする。
次年度以降も協議会の加入促進を図る予定であり、コンテンツ数については流動的で
はあるが、概ね80 ∼ 100枠を想定している。
コンテンツ一覧
カテゴリ
数
動画
静止画
文字
音声
自然
43
2
43
43
0
歴史
11
0
11
11
0
食
2
0
2
2
0
文学
2
0
2
2
0
史跡
0
0
0
0
0
合計
58
2
58
58
0
<成果イメージ> 出所:きた北海道・大雪広域観光情報推進協議会資料
15
(3)事業推進上の課題
・ 更なる広域連携を図る予定であり、コンテンツ枠の増加が必要。
・ 大雪山の自然系においては、山頂などの地点によって利用する情報端末の電波の情
報を的確に把握する必要がある。従って、直接現地での実証実験、フィードバック
に向けた継続的な取り組みが必要と考える。
・ テーマによる連携の強化、協議会間のテーマでの連携可能性展開。
・ UコードQRの可能性をより活用したコンテンツの拡充検討。
・ 顧客からのフィードバック・コンテンツ評価などの仕組みの充実・改善の展開。
・ 事中情報コンテンツの拡充・提供方法。
・ 観光客の視点に立ったコンテンツの幅の拡充。
・ 事後情報の提供方法の検討。
(4)次年度以降の展開
・ 先にも述べたが、大雪山というフィールドは広範なため、更なる広域連携を図る予
定である。従って、継続的に事業を実施する必要がある。
・ 雄大な自然をフィールドに、あらゆる年齢層に応える事前・事中・事後の情報の検証。
・ 広域連携のみならず、圏域内のあらゆる観光関連業界とも連携することで、幅広い
需要に応えるため、観光客の視点に立った情報の提供を行うとともに、各種クーポ
ンを設定するなど、観光客の消費活動を誘発し、地元経済の活性化を図る。
・ 口コミ情報やランキングの設定など双方向性を確立することで、鮮度の高い観光客
のニーズを把握するシステムを構築する。
16
1−2.南房総地域連携情報発信事業整備事業
メインテーマ
南房総「花海街道」まるごと体験の旅
事業実施主体
花海街道「e−旅」研究会
構成市町村
関連団体
千葉県館山市(◎)
、南房総市、鴨川市(3市)
千葉大学・城西国際大学
たてやまコミュニティビジネス研究会(NPO 法人たてやま海辺のまちづくり塾・
NPO 法人たてやま海辺の鑑定団・NPO 法人安房文化遺産フォーラム・NPO 法南房
総 IT 推進協議会)
(◎は申請市町村、斜体は申請後参加市町村)
(1)事業概要
a.事業の背景と目的
<背景> 南房総の海岸一帯は南房総国定公園に指定され、温暖な気候・優れた景勝地・避寒地
としての観光特性を持っているが、単体資源としてみると、観光資源の評価で高いもの
はない。
また、年間観光客は総数で約1,200万人となっているが、そのうち宿泊客の占める割
合は20%弱である。平成19年度に富津・館山道路が全線開通したことにより、首都圏か
ら南房総地域へのアクセスが飛躍的に向上する一方で、日帰り客の比率は高まり宿泊客
は減少傾向にある。
こうした状況のなか、南房総には、数多くの観光資源(素材)が潜在しているものの、
地域住民の生活や仕事が地域の観光イメージに関わっているという意識が希薄であるこ
とや、観光資源・観光情報などを統括する組織が機能していないため、個々の魅力だけ
17
にとどまり他と連携されず、観光資源としてより大きな成果につながっていないのが現
状である。
一方、近年の自然志向の高まりを背景に、新たな観光資源として「ガイドが案内する
海辺の自然体験」
・
「戦争遺跡めぐり」
・
「農漁業体験」
・
「マリンスポーツ体験」などの体
験メニューが、NPOや地域との連携により開発・提供されている。
また、南房総を一周とりまくように伸びる国道及び県道は、国土交通省より日本風景
街道の一つに選定され、
「南房総花海街道」と呼ばれ、地域が連携して沿道や周辺地域
の景観、自然、歴史を守り魅力あるものとして伝えていくとの方向性が示されている。
さらに南房総地域は、平成20年10月の観光庁発足に伴い、「南房総地域観光圏」とし
て認定され、地域内の4市町が連携し、宿泊滞在型の観光を行うこととなり、各市町で
地域資源を活用した様々な事業が取り組まれており、今後、着地型旅行商品の造成をし
ていくためにも、一定の物語性をもったルート開発と同時に、各エリアの「地域情報」
がすぐに取り出せる仕組みは大きな成果が期待できる。
このため、今年度は、当初、館山市及び南房総市の連携による事業展開を想定してい
たが、鴨川市の地域情報についても一部入力し広域連携で取り組むこととした。
<目的> 本事業により南房総の歴史や文化、自然や産業等の地域資源について、行政の枠を超
えて発掘と再評価を行うとともに、これらを千葉大学や南房総に観光学部を有する城
西国際大学、まちづくりを活動目標としているNPO、あるいは地域住民との連携の下、
共通プラットフォームを活用した一元的・一体的な情報発信により、周遊や滞在時間の
拡大・体験プログラムの開発及び提供による宿泊客の増大や体験観光・教育旅行の活性
化を図り、観光産業の振興に資することを目的とした。
具体的には、首都圏住民をターゲットとし、Webサイトによる情報発信や情報案内
表示及びパンフレットにおけるUコードQRを活用した情報提供により、南房総地域に
おける観光入込客数の増加及び宿泊客数の増加を目標とした。
b.事業内容
本事業では以下の事業を実施した。
①花海街道「e−旅」研究会の構築
②コンテンツの作成と共通プラットフォームへの入力
③ウォーキングコースの設定と情報案内表示の設置
④移住定住促進情報案内表示・パンフレットの作成
①花海街道「e−旅」研究会の構築 平成20年9月、本事業を広域連携により取り組むため、行政・大学・NPO関係者に
よる花海街道「e−旅」研究会を設立した。
会長に鈴木聡明氏
(城西国際大学観光学部教授)
、
副会長に高橋幸民氏
(たてやまコミュ
ニティビジネス研究会会長)を選出した。
また、花海街道「e−旅」研究会に「コンテンツ」及び「情報案内表示」のワーキン
グチームを設置した。
18
事務局は、館山市経済観光部商工観光課に設置した。
ワーキングチームメンバー一覧
NO
氏名
所属
担当
1
鈴木聡明
城西国際大学観光学部教授
コンテンツ(リーダー)
2
高橋幸民
たてやまコミュニティビジネス研究会会長
情報案内
3
尾形弘雄
NPO法人南房総IT推進協議会理事長
コンテンツ
4
辰野方哉
NPO法人たてやま海辺のまちづくり塾理事長
情報案内
5
竹内聖一
NPO法人たてやま海辺の鑑定団理事長
コンテンツ/情報案内
6
愛沢伸雄
NPO法人安房文化遺産フォーラム理事長
情報案内
7
袁 福之
城西国際大学メディア学部長
コンテンツ
8
福原正和
南房総市商工観光部観光プロモーション課
コンテンツ
備考
会長
副会長
監事
9
上野 学
館山市経済観光部商工観光課長
情報案内
10
清水忠男
千葉大学工学部名誉教授
情報案内(リーダー)
会計
11
石井博臣
館山市経済観光部商工観光課
コンテンツ
事務局
12
宇山弘道
館山市経済観光部商工観光課
情報案内
事務局
②コンテンツの作成と共通プラットフォームへの入力 南房総における体験観光・教育旅行、あるいは周遊・滞在プログラムの素材となる、
海や花などに代表される自然、里見氏や南総里見八犬伝・戦争遺跡などの歴史、祭礼や
民俗などの文化、房州鮨などの郷土料理や観光施設など様々な地域資源についてカテゴ
リ別に整理し、140コンテンツを作成し共通プラットフォームに入力した。
(このうち全てのコンテンツに静止画を添付、48コンテンツに動画を添付した。
)
・プロモーションビデオ制作 一式
(動画コンテンツの一つとして制作。共通プラットフォームに登録するとともに、
DVD を制作し広く南房総の PR を図るもの)
③ウォーキングコースの設定と情報案内表示の設置 千葉大学工学デザイン学科との連携により、館山市の城山周辺から赤山地下壕にかけ
てのルートにウォーキングコースを設定するとともに、コース上にUコードQRを添付
した案内看板を設置し、ウォーカーが看板から当該地域資源の情報や付近の飲食店や観
光施設などの関連情報を、携帯電話により引き出せるようにした。
・情報案内表示 24 箇所
④移住定住促進情報案内表示・パンフレットの作成 移住定住を促進するための情報案内表示及びパンフレットにもUコードQRを添付す
ることにより、パンフレットを見た移住定住希望者が、地域情報を簡単に入手できるよ
うにし利便性の向上を図った。
・移住定住促進情報案内表示H 1900mm ×W 420mm(捨て看サイズ) 5 組
H 1550mm ×W 600mm(収納持ち運び) 3 組
・移住定住促進パンフレット2,000 部
19
c.情報発信の方向性(地域資源の利活用)
本事業では、メインテーマを「花海街道発見の旅」とし、地域連携をベースに、以下
の8つのサブテーマを核として情報発信を行なっていく。
南房総には主軸となる地域資源がない反面、自然・歴史・文化・自然体験など、多様
な地域資源が存在することから、これらをピックアップし連携して情報発信することに
より、地域のポテンシャルを高める。
情報提供はパソコンからの閲覧だけに留まらず、UコードQRを活用し、来訪者が訪
問先で必要な情報をモバイルで入手できるようにする。その際、情報案内表示(サイン
表示)や移住定住促進パンフレットにUコードQRを添付し、来訪者がアクセスしやす
い環境を整える。
また、本地域への関心を深めてもらうため、テキストだけではなく、静止画や動画な
どビジュアルな情報提供も行う。
花海街道発見の旅
自然
歴史
史跡
歴史・文学
巡る
イベント・体験
観光施設
郷土料理
食
文化・伝統・まつり
産業
景色・景観
町並み・街道
癒し
知る
20
d.事業実施体制
花海街道「e−旅」研究会は、行政・NPO・大学の連携により構成された組織であ
り、本事業の実施のために設立されたものである。
行政団体は当初、館山市及び南房総市を想定していたが、コンテンツに鴨川市のもの
も含まれることから、鴨川市も加えることとした。
大学は鴨川市にあり観光学部を有する城西国際大学と千葉大学工学デザイン学科が参
画している。
また、NPOはまちづくり系のNPOの連合体であるコミュニティビジネス研究会が
参加しており、同研究会はNPO法人南房総IT推進協議会・NPO法人たてやま海辺
のまちづくり塾・NPO法人たてやま海辺の鑑定団・NPO法人安房文化遺産フォーラ
ムで構成されている。
花海街道「e−旅」研究会の会長には、城西国際大学観光学部教授が、また副会長に
はたてやまコミュニティビジネス研究会会長が就任している。
運営事務局は館山市、システム関係はNPO法人南房総IT推進協議会が行なってい
る。
実施の事業は、コンテンツの作成及び入力をコンテンツワーキングチームが、また情
報案内表示・パンフレットの制作を情報案内ワーキングチームが執行している。
さらに、コンテンツ作成及び入力については、NPO法人南房総IT推進協議会に委
託しており、また千葉大学名誉教授に情報案内表示にかかるアドバイザーを委託してい
る。
21
事業実施体制
実施主体:花海街道「e−旅」研究会(平成20 年9 月設立)
事務局 :館山市経済観光部商工観光課
花海街道「e−旅」研究会
会長:鈴木聡明
(城西国際大学観光学部教授)
<事務局>
館山市経済観光部
商工観光課
副会長:高橋幸民
(たてやまコミュニティビジネス研究会)
会計:上野 学
(館山市経済観光部商工観光課長)
・ 協議会の運営
・ ワーキングチームの運営管理
監事:竹内聖一
(NPO法人たてやま・海辺の鑑定団)
<委 員>
行政:館山市 / 南房総市 / 鴨川市
大学:城西国際大学(メディア学部・観光学部) / 千葉大学
NPO:たてやまコミュニティビジネス研究会
NPO法人南房総IT推進協議会
NPO法人たてやま海辺の鑑定団
NPO法人たてやま海辺のまちづくり塾
NPO法人安房文化遺産フォーラム
ワーキングチーム
<コンテンツワーキングチーム>
・ コンテンツの作成・入力
・ CMSサーバーの構築
・ 移住定住促進パンフレットの制作
・ プロモーションビデオの制作
22
<情報案内表示ワーキングチーム>
・ ウォーキングコースの選定
・ 情報案内表示のデザイン検討
・ 情報案内表示の設置
e.事業スケジュール
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(2)進捗状況
a.活動状況
<花海街道「e−旅」研究会> 事業実施体制の整備のための準備協議について、平成20年8月に開催し、その後準備
期間を経て、9月に花海街道「e−旅」研究会を設立するとともに、設置要綱の決定・
役員の選出・事業の大まかなスケジュール及び実施方法・ワーキングチーム(コンテン
ツWT/情報案内表示WT)の設置と委員の振り分け等に関する協議を行なった。
具体的な作業は各ワーキングチームが行い、作業が概ね終了した平成21年2月に再度
花海街道「e−旅」研究会を開催し、各ワーキングチームの事業報告を受け事業成果を
検証した。
<コンテンツワーキングチーム> コンテンツワーキングチームは、鈴木聡明会長(城西国際大学観光学部教授)をリー
ダーに以下の委員で構成した。
氏名
鈴木聡明
袁福之
所属
城西国際大学観光学部教授
備考
会長 /WT リーダー
城西国際大学メディア学部長
尾形弘雄
NPO法人南房総IT推進協議会理事長
竹内聖一
NPO法人たてやま海辺の鑑定団理事長
福原正和
南房総市商工観光部観光プロモーション課
石井博臣
館山市経済観光部商工観光課
監事
事務局
23
時期
内容
平成 20 年 10 月
会議開催
コンテンツ作成方針・情報発信の方向性の確認
業務委託先について、NPO法人南房総IT推進協議会を選定
平成 20 年 10 月
ワーキングチーム会議
NPO南房総法人IT推進協議会とコンテンツ制作委託契約を締結
< 業務委託内容 >
コンテンツ制作:140 コンテンツ制作(動画 30 コンテンツ含む)
共通プラットフォーム入力
ポータルサイトの構築(パソコン用・モバイル用)
プロモーションビデオの作成
平成 20 年 10 月
ワーキングチーム会議
平成 20 年 11 月
ワーキングチーム会議
平成 20 年 11 月
ワーキングチーム会議
平成 20 年 12 月
ワーキングチーム会議
平成 20 年 12 月
ワーキングチーム会議
平成 20 年 12 月
ワーキングチーム会議
平成 21 年 1 月
ワーキングチーム会議
平成 21 年 2 月
ワーキングチーム会議(コンテンツ作成事業報告)
メーリングリストによる協議は随時開催した。
また、南房総IT推進協議会はコンテンツを制作するにあたり、城西国際大学観光学
部や、学びあい支えあい地域活性化推進事業(文部科学省委託事業)で育成した「ふる
さとディレクター」との連携により、
学生や市民も参画したコンテンツづくりを推進した。
また最終的な地域プラットフォームへの登録、地域Webサイトについては2月に立ち
上げ、施行している。
<情報案内表示ワーキングチーム> 情報案内表示ワーキングチームは、清水忠男委員(千葉大学工学部名誉教授)をリー
ダーに以下の委員で構成した。
ウォーキングモデルコースの設定方針・情報案内表示のデザインの方向性等について
10月に会議を開催した。また、千葉大学と連携した現地調査を11月に実施し、12月に中
間報告会、1月に最終報告会を実施し提案書を作成した。その後、この提案書をベース
に情報案内表示の工事を委託した。
氏名
備考
清水忠男
千葉大学工学部名誉教授
WT リーダー
高橋幸民
たてやまコミュニティビジネス研究会会長
副会長
辰野方哉
NPO法人たてやま海辺のまちづくり塾理事長
竹内聖一
NPO法人たてやま海辺の鑑定団理事長
愛沢伸雄
NPO法人安房文化遺産フォーラム理事長
上野学
宇山弘道
24
所属
監事
館山市経済観光部商工観光課長
会計
館山市経済観光部商工観光課
事務局
時期
内容
平成 20 年 10 月
ワーキングチーム会議開催
ウォーキングモデルコース・情報案内表示の方向性の確認
平成 20 年 10 月
ワーキングチーム会議
ウォーキングモデルコースの選定
平成 20 年 11 月
ワーキングチーム会議
ウォーキングモデルコースの現地調査(千葉大学工学部参加) 平成 20 年 11 月
ワーキングチーム会議
平成 20 年 12 月
ワーキングチーム会議
ウォーキングモデルコースの現地調査(千葉大学工学部参加)
平成 20 年 12 月
ワーキングチーム会議
ウォーキングモデルコース確定(城山∼赤山)
情報案内表示誠意箇所確定(20 箇所)
情報案内表示デザイン決定
平成 20 年 12 月
ワーキングチーム会議(中間報告会)
情報案内表示設置工事業者選定
平成 21 年 1 月
ワーキングチーム会議
提案書の提出
情報案内表示設置工事の発注(情報案内表示設置工事開始)
平成 21 年 1 月
ワーキングチーム会議
情報案内表示設置工事経過報告
平成 21 年 1 月
ワーキングチーム会議
ウォーキングモデルコース・情報案内表示デザインを市民に発表
平成 21 年 2 月
情報案内表示設置工事完了
平成 21 年 2 月
ワーキングチーム会議
情報案内表示設置工事事業報告
メーリングリストによる協議は随時開催した。
また、南房総IT推進協議会はコンテンツを制作するにあたり、城西国際大学観光学
部や、学びあい支えあい地域活性化推進事業(文部科学省委託事業)で育成した「ふる
さとディレクター」との連携により、学生や市民も参画したコンテンツづくりを推進し
た。
<その他> 移住定住促進情報案内表示及びパンフレットについて、デザイン等を花海街道「e−
旅」研究会で随時協議し、1月に発注した。
b.成果状況
<花海街道「e−旅」研究会の設置>
本事業により南房総市・鴨川市の複数の自治体と連携して取り組んだことで、館山市
単独では難しかった南房総地域のブランド構築にむけた取り組みを行なうことができ
た。
南房総地域の自然や文化・歴史等の地域資源は、館山市だけで完結するものではなく、
また、来訪者の殆どは館山市や南房総市など個別の市に行くのではなく「南房総地域に
行く」という感覚を持っているため、複数市で連携することにより地域の魅力ある資源
25
として情報発信することができた。
折しも南房総地域は、平成20年10月に「南房総地域観光圏」の認定を受けており、南
房総地域の4市町が連携して滞在型観光の推進を図ることとなり、観光圏事業と連携し
た取り組みとなったこと、また、研究会にまちづくりに関わるNPOや千葉大学・城西
国際大学が参画し、市民や大学と連携する体制が構築できたのも大きな成果であった。
<地域ポータルサイトの構築>
地域ポータルサイトを2月に構築し、試験運用を開始している。ただし、構築に時間
を要したため、閲覧数等の統計は取れていない。
ウォーキングコース・カテゴリ別に地域資源をマップに表示し、個々のフラッグが共
通プラットフォームのデータベースにリンクしている。
また、地域SNS「房州わんだぁらんど」との連携により、地域SNS上でアップさ
れた口コミ情報がRSSでトップ画面に表示されるようにし、観光客がレアな地域情報
を得られるようにした。
出所:花海街道WEB(http://etabi.boso.net/)
<地域共通プラットフォームへのコンテンツ提供>
メインテーマ、サブメインテーマ及びターゲット層を想定し、コンテンツ枠300に対し、
今年度は140のコンテンツを作成、登録した。
コンテンツについて整理すると、歴史文化・自然・寺社仏閣に関するコンテンツが多く
なっている。また、メディアの種類としては、文字情報・静止画情報を中心に作成し、
歴史文化を中心に一部動画情報を作成・登録している。
コンテンツについてキーワード(カテゴリ)・メディア種類で、今年度登録分を整理す
れば以下のとおりである。
26
コンテンツ一覧
カテゴリ
数
動画
静止画
文字
音声
自然
16
16
16
11
0
歴史
19
19
19
5
0
史跡
5
5
5
1
0
歴史・文学
1
1
1
0
0
巡る
27
27
27
16
0
イベント体験
20
20
20
5
0
観光施設
9
9
9
3
0
郷土料理
9
9
9
0
0
食
6
6
6
0
0
文化・伝統・まつり
10
10
10
0
0
産業
2
2
2
0
0
景色・景観
9
9
9
4
0
町並み・街道
1
1
1
0
0
癒し
2
2
2
0
0
知る
4
4
4
3
0
合計
140
140
140
48
0
<ウォーキングモデルコース選定と情報案内表示の設置>
地域共通プラットフォームに登録したコンテンツをモバイルで利用する取り組みの一
環として、館山市の城山公園から赤山地下壕跡周辺までの間でウォーキングコースの設
定とUコードQRを添付した情報案内表示(サイン表示)を設置した。
ウォーキングコースは、約5kmの区間を「花海街道・城山のみち」
「花海街道・ヒカ
リモのみち」
「花海街道・赤山のみち」の3区間に分割し、20箇所に情報案内表示を設置
した。利用者は情報案内表示に添付されたUコードQRから次に向う地点の情報や、現
地点周辺の情報などを引き出せるようにしている。
出所:花海街道「e-旅」研究会資料
27
<その他> 南房総地域における移住定住を促進するための情報案内表示(H1900×W420 5組・
H1550×W600 3組)及びパンフレットを2,000部作成した。情報案内表示及びパンフ
レットにはUコードQRを添付し、モバイルで地域共通プラットフォームに登録したコ
ンテンツを引き出せるようにした。
なお、UコードQRによる地域プラットフォームへのアクセスについては、取り組み
が始まったばかりで、検証中である。
(3)事業推進上の課題
<CMSサーバー> 花海街道「e−旅」研究会のCMS(コンテンツ・マネージメント・システム)サー
バーによる、口コミ情報やクーポンなどは、現在、検討中である。
また、ユーザーからのWebサイトに対する評価やニーズ等のフィードバックの仕組
みについては、
次年度以降、
地域SNS情報との連携も踏まえ、
検討していくこととする。
<外国語表示> 今年度のコンテンツについては日本語表示のみであった。今後、東アジアを始め外国
人観光客をターゲットとしたプロモーションを展開するには、英語や中国語・韓国語な
どの表示も必要であり、翻訳できる人材の確保などが課題である。
(4)次年度以降の展開
<南房総地域観光圏との連携>
今年度は、当初館山市及び南房総市との連携によりコンテンツの作成を行なう予定で
あったが、地域連携を広げるためには鴨川市との連携も不可欠となった。
また、平成20年10月には、南房総地域が「南房総地域観光圏」の認定を受け、鋸南町
を含めた4市町の広域連携により観光振興を図る取り組みが始まっていることから、平
成21年度は地域観光圏事業との整合性を図るうえでも、鋸南町とも連携し事業を進めて
いくこととする。
<他地域との連携促進>
今年度九十九里地域でも本事業が採択になっていることから、次年度以降は九十九里
地区との連携についても検討していきたい。
<他事業との連携促進>
また、今年度登録したコンテンツについては、動画ファイルを登録できたのは一部で
あるため、次年度以降「ふるさとディレクター」の活動と併せ、随時追加登録していき
たい。
28
1−3.九十九里地域連携情報発信事業
メインテーマ
九十九里浜“海からのプレゼント”をあなたに
事業実施主体
九十九里地域連携 情報発信推進事業 推進協議会
構成市町村
銚子市、旭市、匝瑳市、横芝光町、山武市、九十九里町◎、大網白里町、白子町、長生村、
一宮町、いすみ市、東金市、茂原市(7市5町1村)
関連団体
九十九里サロン(九十九里地域の行政、NPO、個人からなる地域おこし団体)、城西
国際大学メディア学部(地域メディア・街づくりを産学官民で取り組んでいる大学)
茂原市
(◎は申請市町村、斜体は申請後参加市町村)
(1)事業概要
a.事業の背景と目的
<背景> 千葉県九十九里地域は、海水浴客・観光客の減少、少子高齢化の進行、地方自治体の
財政難、地域医療の過疎化により、地域の経済社会の衰退が懸念されている。各市町村
は財政難で、新たな施策を講じることも難しく、観光客の行動範囲の広がりに反して、
分散されている地域の観光資源を総合的にプロデュースすることができず、地域の魅力
を総合的にアピールすることができない状況であった。
広域で事業を行う経験が少なく、その結果、事業規模も小さく、影響力も相対的に弱
いものが多くなっている。本事業による九十九里海岸13市町村の広域連携による観光情
報の発信は、地域ブランドの構築、街づくりの推進、国内外からの観光客の誘致に有効
なだけではなく、
今後の地域内協働を進めていくうえでのプラットフォームとなりうる。
本事業により九十九里地域の13市町村に分散されている地域資源・観光資源情報を、
一か所に集約し、相互参照可能なものとして統一のデザインガイドラインに沿ってデジ
29
タル化し、Webサイトで展開することは、今後地域内の情報の共有と協働意識の醸成
に役立つと期待される。
(本地域の特徴)
・銚子市の屏風ケ浦から、いすみ市の大東岬に挟まれた約 66 キロメートルに及ぶ海
岸線。
・銚子市、旭市、匝瑳市、横芝光町、山武市、九十九里町、大網白里町、白子町、長
生村、一宮町、いすみ市、東金市、茂原市の 13 市町村に跨る広い地域。
・恵みの海と大地に培われた豊かな農林水産業。
・サーフィンなどの海洋スポーツの世界的なスポット。
・
「九十九里のイワシ」は江戸時代から肥料として全国に知られ、句碑、神社、祭り
などの歴史的・文化的な遺産が多い地域。
・成田空港から直近距離にあり、里山・里海などの日本の原風景を体感でき、国際的
な観光地として潜在的可能性の高い地域。
<目的> 九十九里地域の13市町村、銚子市、旭市、匝瑳市、横芝光町、山武市、九十九里町、
大網白里町、白子町、長生村、一宮町、いすみ市、東金市、茂原市の観光情報を集約し、
行政区分を横断して、地域の広がりの中で、再編集し総合的にプロデュースする。
観光情報の提供主体としては主に以下を想定している。
・九十九里 13 市町村の地域内住民
九十九里 13 市町村の住民は、隣の市町村に対する理解や知識は、決して多くな
い。素通りしがちな隣の市町村の地域資源に対する理解を深め、地域内の回遊を
促し、地域内の交流を深める。このような地域内資源の共有は、地域内の様々な
問題を解決する際の土台にもなりうる。
・成田空港の隣接域における外国人観光客の潜在可能性
◇パイロット・添乗員、トランジットなどの短期滞在者に対する、食、海洋スポー
ツの観光
◇日本の他地域を目的とする観光客
東京・京都などの他地域への観光客が出入国の際に立ち寄る観光地として
九十九里地域を広報
・首都圏・千葉都民の高齢者
◇「外房ブランド」を統一的に展開し、
「食」
「健康」
「自然」をテーマとする観光、
長期滞在型観光を促進する。
◇文学・歴史、自然をテーマとする観光。エコ・ツーリズム、グリーン・ツーリ
ズムをより定着させる。
・首都圏の家族
◇エコ・ツーリズム、広い海、公園、海水浴場など自然を満喫する観光
30
b.事業内容
本事業では以下の事業を実施した。
①九十九里統一ブランドの Web サイト構築
②共通プラットフォームへのコンテンツ登録
③クロスメディア展開
④システム整備
①九十九里統一ブランドのWebサイト構築 ・銚子市、旭市、匝瑳市、横芝光町、山武市、九十九里町、大網白里町、白子町、
長生村、一宮町、いすみ市、東金市、茂原市の13市町村に分散されている観光情
報の集約化と再編集
→ 細分化された観光情報の集約と利用者の視点での再編集、テーマ別にプロ
デュース。
・観光案内の多言語化(日本語、英語、中国語、韓国語)
→ 外国人観光客、成田空港のホテルに短期滞在中のパイロット・添乗員、トラ
ンジット。
日本を訪れる外国人観光客は、2006年度実績で733万人、2020年度には2.7倍
の2000万人まで拡大したいと国土交通省は計画している。特に中国からの観
光客を現在の6倍に増やす方針で、中国語、韓国語による情報発信を積極的
に進める。中国語・韓国語の翻訳は、城西国際大学の留学生を活用する。
・テーマ別観光情報の案内
メインテーマ
「九十九里海岸−海か
らの贈り物」
サブタイトル
九十九里の豊穣の海と大地によって生み出された自然・風景、
農林漁業、歴史・文化を、食、観、遊、動(海・テニス、ジョ
ギング、ウォーキング)、健(砂風呂などの海洋療法施設)、祭、花、
樹、さくら(自然)などのテーマで、広域の観光資源を統一的
にプロデュース
地酒めぐり、さくらめぐり、いちごめぐり、神社めぐりなど、
季節感のあるテーマ 神社仏閣、句碑、
・映像・音楽をも含めたマルチメディア情報の提供
地域の祭り、音楽祭、スポーツ祭典などの情報を、城西国際大学の学生が取
材し、インターネットで映像配信する。地域の歌、音楽をアーカイブし、ネッ
ト配信する。
・ケータイ対応サイト → UコードQRでケータイサイトへ誘導
・クロスメディアの展開
チラシ、パンフレット、ポスターを成田空港や連接するホテルに配布。紙媒
体からWeb、ケータイなどの電子媒体に誘導する。
31
②共通プラットフォームへのコンテンツ登録 ・Web、映像配信、ケータイ配信のプラットフォームとして積極的に活用する。
・横断的な検索、データベース機能を積極的に活用する。
・UコードQRの利用技術を獲得し、その可能性を積極的に模索する。ICタグ、モ
バイル端末(UC:ユビキタス・コミュニケータ)の利用を検討する。
③クロスメディア展開 ・チラシ、パンフレット、ポスターを、成田空港、連接するホテル、各市町村、スー
パー、ショッピングモールに配布。紙媒体からWebやケータイに誘導する。
・観光案内用のフリーペーパーの発行も積極的に検討。
④システム ・CMS(コンテンツ・マネージメント・システム)を導入し、九十九里統一ブランドの
Webサイトを構築する。共通プラットフォームを積極的に活用し、互いに連動する。
・城西国際大学のオンデマンド印刷機を活用し、多種類・少部数のパンフ・チラシ
を制作。
c.情報発信の方向性(地域資源の利活用)
本事業では、メインテーマを「九十九里海岸の海と大地からの贈り物」とし、地域連
携をベースに、以下の3つのサブテーマを核として情報発信を行なっていく。
九十九里海岸の海と
大地からの贈り物
美しい四季
勇壮な大自然
海・大地からの恵み
豊かな食
祭り・歴史・文化
・九十九里地域の13市町村が、独自に発信してきた地域資源・観光資源を一元化し、
相互参照しやすいように、統一のデザインガイドラインに沿ってデジタルアーカイ
ブする。文章、写真、地理情報などの情報は同一の基準に沿って展開される。
・
「さくら」
「花」「地酒」「みなと」
「海の幸」などのテーマや季節をキーワードとし
て観光情報を市町村横断的に総合的にプロデュースする。地域内の情報の共有を促
し、市町村間の協働意識の醸成にも役立てる。観光客や地域住民の地域内の回遊を
促し、地域内の交流を促すよう、情報発信を行う。
・観光情報の地理情報システムでの展開
本事業においては、13市町村の観光情報をすべてGoogle Mapで正確にプロットす
ることを目的の1つとしている。そのため広範な地域を効率よく移動し、正確に目
的地に到着できるようにGoogle Map上の正確な位置情報を提供している。Google
Mapは、カーナビの「日産CARWINGS」と連動しており、今後対応するカーナビ
32
やGPS端末は増加すると期待される。米国のGoogle Mapは、カーナビとしてBMW
Assistと メ ル セ デ ス ベ ン ツMercedes Tele Aidに 対 応 し て お り、 さ ら にClarion,
Garmin, Insignia, Pioneer, TomTom社のGPS端末にも対応している。今後、地域の
中で、街歩き・散策・観光の際、カーナビやGPSによるナビゲーションが実用化す
ると考えられる。
・ケータイ向けに観光情報を提供
13市町村の観光情報のケータイサイトも同時に構築している。今後、
観光の目的で、
どのモバイル端末がディファクトスタンダードになるのか、未知数であるが、今後、
iPhone、i-Pod Touch向けにも情報発信できるように整備していく。
・日本語だけではなく、中国語・英語での情報発信も行う。13市町村の行政や観光協
会のWebサイト、パンフレットやチラシには、外国語による説明や紹介が非常に
少ない。成田空港の隣接地域にもかかわらず、外国人観光客に対する情報発信が不
足している。千葉県商工労働部観光課が運営している「ちばの観光 まるごと紹介」
は、最も詳しく、英語・中国語・韓国語による紹介がある。しかし、九十九里地域
に関する情報量は多くない。そのため外国語による13市町村の地域情報の発信を大
幅に強化することは、本事業の1つの目標である。
・対象者の層別にフォーカスする情報発信
情報発信の対象者をよりきめ細かく層別し、それぞれの層に適した情報の発信を行
う。首都圏・千葉県民の高齢者に対しては、「食」
「健康」「自然」などのテーマで
情報を発信する。一方、若者にはサーフィンやアウトドアのイベントやスポーツ、
家族づれには、花火・お祭り・公園・海水浴・テーマパーク、宿泊施設の情報を発
信する。
・文学・歴史、自然をテーマとする観光情報。エコーツーリズム、グリーン・ツーリ
ズムなどの体験型・参加型の情報についても積極的に情報を発信していく。
d.事業実施体制
・銚子市、旭市、匝瑳市、横芝光町、山武市、九十九里町、大網白里町、白子町、長
生村、一宮町、いすみ市、東金市、茂原市の13市町村による協議会を発足。
・月数回、協議会を開催し、方針の決定、進捗・内容の確認。
・コンテンツの制作は城西国際大学メディア学部に委託し、学生、留学生の協力を得
て制作する。
九十九里地域連携
情報発信推進事業推進協議会
構成市町村
銚子市
旭市
匝瑳市
横芝光町
山武市
九十九里町
大網白里町
白子町
長生村
一宮町
いすみ市
東金市
茂原市
関連団体
九十九里サロン
城西国際大学メディア学部
33
e.事業スケジュール
9月
計画内容
10月
11月
12月
1月
2月
3月
次年度以降
編集担当者会議
観光情報の集約
月例会議・編集方針の決定・情報集約
コンテンツ制作
月例会議・コンテンツ制作・校正
協議会webサイト
試作Webサイト運用
正式運用
(2)進捗状況
a.活動状況
・九十九里地域13市町村の担当者が、月数回、城西国際大学に集まり、定期的に編集
会議を開催。
・その都度、考え方、進め方、内容を擦り合わせており、これらを通して13市町村の
共同認識・協働意識が深まった。
・協議会を恒常的に開催し、地域内の観光の集約化のプロセスの確立をめざした。
時期
内容
平成 20 年 10 月
担当者打合せ開始
平成 20 年 10 月
協議会の発足
平成 20 年 11 月
事業中間報告書提出
事業モニタリングを受け内容や運用を改善
平成 20 年 12 月
広域の観光情報の集約完了
Web サイトの試作開始
平成 21 年 2 月
Web サイトを構築、仮運用を開始
平成 21 年 3 月
地域共通 Web サイトを構築
平成 21 年 3 月
最終報告書を提出
b.成果状況
・九十九里地域13市町村の広域の観光情報の集約化・再編集を完了。
・市町村の要覧、パンフレット、資料などのアナログ情報のデジタル化。文章、写真、
地理情報などの観光情報の書式を整え、統一の書式とデザインで再編集。748点の
写真に対して、画像のトリミング・サイズの調整、色調・明るさの補正、パース修正・
樽型湾曲修正、シャープネス補正などの画像処理を行い、高品質な写真でWebペー
ジを制作。
・九十九里統一ブランドのWebサイトをWindows Serverベースで構築し、仮運用を
開始している。
試作サイト http://Webtv.jiu.ac.jp/99/
協議会正式サイト http://www.99coast.jp
は3月に正式運用を開始した。
34
出所:九十九里海岸地域13市町村観光ガイド http://Webtv.jiu.ac.jp/99/
出所:九十九里海岸地域13市町村観光ガイド http://Webtv.jiu.ac.jp/99/
35
出所:九十九里海岸地域13市町村観光ガイド http://Webtv.jiu.ac.jp/99/
出所:九十九里海岸地域13市町村観光ガイド http://Webtv.jiu.ac.jp/99/
・地理情報システムGoogle Mapを、ほぼすべての観光情報に付加し、観光スポット
のナビゲーションを支援するシステムを完了。
・チラシ、パンフレットは試作段階であり、次年度以降、協議会に諮って更なる内容
の充実を図っていく。
・Web、ケータイ、チラシ、パンフレットのクロスメディアの展開が機能できる設
計を完了。
・ケータイサイトは、各市町村の編集を実施した。今年度は精選したコンテンツを中
36
心にケータイサイトに掲載しており、次年度以降にさらに充実を図っていく。
・中国語訳は完成した。
英語訳、
韓国語訳にも取り組んでおり、
次年度完成予定である。
・静止画については、画像のトリミング、色調・明るさの補正、コントラスト補正、
広角撮影時補正を行う。また「樽型湾曲」とパースの歪みを、
「レンズ補正」でパー
ス修正・樽型湾曲修正、シャープネス補正などの画像処理を行う。動画については、
初日の出の取材映像を2点掲載している。次年度以降も、取材を重ね更なる動画コ
ンテンツの追加・充実を図っていく。
コンテンツ一覧
カテゴリ
数
動画
静止画
文字
音声
銚子市
30
0
33
32
0
旭市
70
0
108
70
0
匝瑳市
34
0
85
35
0
横芝光町
16
0
17
19
0
山武市
52
0
70
64
0
九十九里町
42
0
75
43
0
大網白里町
30
0
63
34
0
白子町
33
0
29
39
0
長生村
44
0
48
47
0
一宮町
40
0
41
41
0
いすみ市
60
0
68
63
0
東金市
23
0
37
22
0
茂原市
35
0
74
44
0
合計
509
0
748
553
0
(3)事業推進上の課題
・関係する市町村の数が多く、調整に多くの時間がかかり、協議会の発足、方針の決
定、各市町村の観光情報の集約などが遅れた。
・関係市町村が多いことから、市町村間の観光情報量、フォーマットにばらつきがあ
り、統一を図るために多くの時間を要した。
・その他、編集上で次のような作業に多くの時間を費やすという課題があった。
①要覧、パンフレット、チラシなど紙ベース情報のデジタル化作業
②写真のサイズ、解像度の統一作業
③Webページの校正
(4)次年度以降の展開
・13市町村の観光情報の量と内容のばらつきをそろえるために、不足の分は、地道に
取材するなどして補うことが必要である。たとえば、多くの地域では、地酒、桜、
海産物などの資源をもっているが、実際の情報(写真・文章)はなく、取材によっ
て補っていく必要がある。
37
・取材体制の強化
カタログ的な情報ではなく、取材と編集によってリアルに伝わる情報の集約と発信
をめざすことが必要である。取材の実施者としては、大学生、小中高生をも視野に
入れる。
・商工会議所、商工会、地元の観光業者との協力体制を構築し、観光業者に関する情
報を機敏に更新できる体制を整える必要がある。
・共通プラットフォームとの統合的な運用に関する経験や試行が不足で、さらに強化
する必要がある。
・観光立国、観光による地域づくりは、「住んでよし、訪れてよし」の通り、地域住
民にとっても魅力的な展開である必要がある。地域住民の参加をいかにシステム化
していくことが問われている。そのため、13市町村の対外的な観光情報だけではな
く、より地域密着な情報、医療・福祉、子育て、定住促進などの、地域住民が身近
に利用できる情報をさらに充実させていく必要がある。
・コンシェルジュ機能を担う人的ネットワークが完成しておらず、ユーザーとの双方
向のコミュニケーションを実現できていない。プロデュース機能、コンシェルジュ
機能を強化する必要がある。
・住民・ユーザーの投稿・ランク付けなどの機能はなく、ユーザー参加型でクチコミ
を活用したWeb2.0のアプローチは、実装する時間がなく、一方的に情報を発信す
ることに陥っている。
・ケ ー タ イ、iPhone、iPod Touchな ど の モ バ イ ル メ デ ィ ア へ の 対 応 を 強 化 し、
iPhone、iPod Touchのインターフェースを生かしたコンテンツの提供を検討する
必要がある。
・地域内の観光スポットでの無線LANの整備
iPhone、iPod Touch、BlackBerryなどのGPSとWi-Fi対応の携帯端末が普及しつつ
ある。携帯端末向けに情報発信する無線LANの整備の可能性を検討する必要があ
る。
・外房の他の自治体、勝浦市、鴨川市、館山市との連携
房総地域の観光情報を相互参照できるように、他の自治体、NPO、商工会議所と
の連携を深めていく必要がある。
38
1−4.WEB東信州 中山道の会
メインテーマ
歴史浪漫街道 東信州の中山道へいざなう
事業実施主体
WEB 東信州 中山道連絡会
構成市町村
関連団体
長野県立科町(◎)
、長野県佐久市、長野県軽井沢町、長野県御代田町、長野県長和
町(1市4町)
長野県佐久地方事務所、信州短期大学
(◎は申請市町村)
(1)事業概要
a.事業の背景と目的
<背景> 江戸時代の主要五街道のひとつである中山道が東京日本橋から京都三条大橋まで
六十九の宿場で結ばれていた。
このうち長野県には国の重要伝統的建造物群である奈良井宿をはじめ、中山道を代表
する25の宿場が形成されていた。
その中で県の東部に位置する東信州には街道一の難所と呼ばれた
「和田峠」
、
「碓氷峠」、
追分節の発祥の地「追分宿」などの名所・旧跡を含む11の宿場と一つの間の宿が設置さ
れていた。
本地域は、国土交通省が設置した中部北陸自然歩道として、一部に看板等の整備がな
されている地域もあるが「中山道」をキーワードにした地域一体型のPRは行えていな
い状況にある。
そこで、
現在、
団塊世代の中で静かなブームとなっている
「古道・街道」
「ウォーキング」
、
に着目し、東信州地域の市町等が連携する組織を設立し、「歴史浪漫街道 東信州の中
39
山道」 をテーマに一体的な広域観光情報をWEBサイト上等で発信することとした。
<目的> 東信州の中山道をメインに据え、地域連携による情報発信、観光振興に取り組むため、
関係市町及び長野県現地機関、地元短期大学などと連携してテーマに沿った情報提供を
行うこととする。
今回のメインターゲットは、団塊世代の「古道・街道」
、
「ウォーキング」に興味があ
る者、中山道愛好者、更に全国有数の避暑地として知られる軽井沢を訪れる観光客が想
定され、WEBサイトでの情報発信による誘客、WEB連動リーフレットの作成による情
報発信、UコードQRなどを活用した情報提供による利便性の提供などを目的とする。
b.事業内容
WEB東信州中山道事業では、以下の8の事業を実施する。
①中山道をキーワードにした長野県東部地域の関係市町等の連携による組織、
「WEB
東信州中山道連絡会」の立ち上げ
②全国共通プラットフォームへの情報発信(作成、登録)
③東信州中山道地域の共通 WEB サイト(CMSサーバー)の構築
④ WEB サイト連携パンフレットの作成
⑤各市町村等が運営しているホームページの観光PRページ相互リンク
⑥中山道をキーワードとした地域イベントへの協力
⑦「中山道に関する情報サイト」を運営している個人、団体等の情報を取りまとめ
るための「WEB 中山道」の開設
⑧上記の運営に係る連絡会の開催
①中山道をキーワードにした長野県東部地域の関係市町等の連携による組織、
「WEB東信州中山道連絡会」の立ち上げ
②全国共通プラットフォームへの情報発信(作成、登録)
③東信州中山道地域の共通WEBサイト
<CMS(コンテンツ・マネージメント・システム)サーバー>の構築
地域共通のテーマ東信州の中山道の内容として、地域固有の情報等も掲載し、誘客
を目指すためのサイトを構築するとともに、携帯電話からのアクセスで来訪中に必要
な食情報を提供するため、以下の事業を実施する。
・地域中山道情報の一元化
・観光情報コンテンツの提供手段の多様化(文字、静止画、動画)
④WEBサイト連携パンフレットの作成
⑤各市町村等が運営しているホームページの観光PRページ相互リンク
40
⑥中山道をキーワードとした地域イベントへの協力
⑦「中山道に関する情報サイト」を運営している個人、
団体等の情報を取りまとめるための「WEB中山道」の開設
⑧上記の運営に係る連絡会の開催
c.情報発信の方向性(地域資源の利活用)
本事業では、メインテーマを「東信州の中山道」とした地域連携をベースに以下の3
つのサブテーマを核として情報発信を行っていく。
地域の宿場と歴史
東信州の中山道
中山道周辺の文学
街道を巡るお勧めコース
情報発信のターゲットが団塊世代、中山道愛好家であるため、事中情報については、
協議会のCMSサーバーにおいて、食事処の情報提供や交通情報などの情報提供を行っ
ていく。
また、本地域、本テーマへの関心を深めてもらうことから、動画や静止画などにより
地域の歴史・文化などの背景などを理解してもらえる情報提供を行う。自然・文化関係
の情報提供においては、季節性への配慮なども検討する。
さらにWEBサイトに連動した形で中山道リーフレットを作成し、地域WEBサイトへ
の誘導なども行う。
d.事業実施体制
WEB中山道 東信州の会は、1市4町を構成市町として設立された協議会であり、本
事業のために設置されたものである。協議会の形態は緩やかな連絡会形式とし、事務局
の立科町が事務局長を務め事業を展開していく。
事業実施に当たっては、信州短期大学 副学長 中藤教授のアドバイスのもと、各市
町の観光又は企画部署の担当者がコンテンツ収集、作成を行う。また、関係地域の観光
協会も加入することにより行政では選定しにくい食事処の選定等も実施していく。
なお、
協議会のサイト構築については㈱コックスに外部委託を行っている。
41
事業実施体制
実施主体:WEB東信州 中山道の会
事務局 :立科町
WEB東信州 中山道の会
立科町
(事業内容)
:事務局、コンテンツ整備、地域情報の更新、
会議等への参加
長野県佐久地方事務所
(事業内容):関係市町との連絡調整、会議等への参加
㈱コックス
・協議会サイト構築
・共通プラットフォーム
データ入力
佐久市、軽井沢町、御代田町、長和町
コンテンツ整備、地域情報の更新、会議等への参加
関係市町観光協会
(事業内容)
:各地域の情報提供協力、
食事処の選定 等
アドバイザー:信州短期大学副学長
日本余暇学会副会長 中藤保則氏
e.事業スケジュール
事業スケジュールは以下のとおり。
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㪐᦬
㪈㪇᦬
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(2)進捗状況
a.活動状況
事業実施体制の整備のため、参加予定団体、関係機関との打合せを6月から8月にかけ
行い、その後の準備期間を経て、11月に協議会を立ち上げ、併せて委託業者等の選定協
議を行った。その際、事業実施体制についても決定した。1月以降コンテンツ情報の入
力を行い、地域WEBサイトを2月にオープンさせた。
42
時期
内容
平成 20 年 6 月∼ 8 月 参加予定団体、関係機関との打合せ
平成 20 年 10 月
参加団体事務担当者打合せ会議
平成 20 年 11 月
中山道宿場会議でのPR
平成 20 年 11 月
平成 20 年 12 月
平成 21 年 1 月
地域連携イベント「秋の中山道ウォーキング in たてしな」共催
協議会立ち上げ、事業方針決定、委託業者選定協議
アドバイザーとの打合せ
担当者打合せ、コンテンツ情報の入力
WEB 東信州 中山道サイトオープン
平成 21 年 2 月
WEB 連携パンフレット配布開始
事業打合せ
b.成果状況
①広域連携による協議会の立ち上げ
江戸時代の主要五街道の一つである中山道をキーワードに5つの市町が連携し統一し
た情報提供を行うことにより、単独市町では難しかった東信州地域の中山道ブランド構
築に向けた面的な取り組みを行うことができた。
特に個々の宿場情報については、単独市町では対外的に大きくPRすることができな
い状態であったが、複数市町で連携することにより本地域の魅力ある資源として情報発
信することができたことは大きな意義があった。
②地域の共通WEBサイト構築
地域共通のWEBサイトを構築し、2月に試行した。本WEBサイトのメインテーマで
ある「東信州の中山道へいざなう」に基づき、各宿場の案内のみでなく、周辺施設の史
跡等も紹介するなどの工夫を行い、地域を訪れるきっかけ作りとなっている。
なお、サイトのトップページは以下のとおりで、各宿場をクリックすることにより江
戸時代の中山道絵図がスクロールする形で臨場感あふれる江戸時代の旅時間を体験する
事を可能にした。
また、訪問者の利便性を高めるため、事務局である立科町役場内にCMSサーバーを
設置し、食情報などについて関係市町の観光協会等からリアルタイムで更新できるよう
配慮した。
さらに、サイト内には各市町と観光協会、長野県のリンクページを開設するとともに、
専用バナーを作成することで、各市町において相互リンクを可能とした。「中山道に関
する情報サイト」を運営している個人、団体等の情報をとりまとめるための「WEB中
山道」の準備も進めており、次年度以降公開予定である。
43
出所:東信州 中山道WEB(http://www.town.tateshina.nagano.jp/nakasendo/index.htm)
③地域共通プラットフォームへのコンテンツ提供
メインテーマ、サブテーマ及び当地域を訪れている観光客、団塊世代、歴史愛好家な
どのターゲット層を想定し、
コンテンツ枠350に対し、
164のコンテンツを作成、
登録した。
コンテンツは街道に位置する史跡が多く、次いで著名な歌人等の句碑となっている。
メディア種類としては、文字情報、静止画情報を中心に作成、登録。整理すると以下の
とおりである。
コンテンツ一覧
カテゴリ
数
動画
静止画
文字
音声
歴史
115
0
115
115
0
文化
17
0
17
17
0
自然
25
0
25
25
0
祭り
7
0
7
7
0
合計
164
0
164
164
0
④WEBサイト連携リーフレットの作成
東信州地域全体として、
「東信州中山道」をテーマとしたリーフレットを本事業では
じめて連携して作成した。本来のリーフレットは、その単体だけで完結した物がほとん
どであるが、今回のリーフレットは、読み物としてだけではなく、WEBサイトと連携
することにより相乗効果が表れる内容とした。本年度は2月に5,000部を作成し、地域内
の観光施設や観光協会等に設置、配布を開始した。
44
出所:WEB東信州 中山道連絡会 資料
⑤地域学識者からのアドバイスによる事業構築
東信州の中山道に造詣が深く、レジャー論を専門に講義されている「信州短期大学副
学長」
、
「日本余暇学会副会長」である中藤保則氏に本会のアドバイザーとして就任して
いただき、大所高所から助言をいただいた。
また、WEBサイト上で同氏による「東信州中山道コラム」を掲載いただいた。
⑥地域連携イベントの開催
本会のキーワードである「中山道」について立科町では10年以上前より地域住民から
地域振興の起爆剤として利用したいとの希望があった。今回本事業と連携し、地元関係
者が「秋の中山道ウォーキングinたてしな」を開催したところ、約100人の参加者があ
りそのうち、東京、神奈川、埼玉、千葉から約50人の参加者を得たことは大きな成果で
あった。
(3)事業推進上の課題
統一テーマとして非常にわかりやすい内容を選択した結果、地域(集落)に埋もれて
いた身近な情報を再認識できたことは大きな成果であったが、事業採択時期が7月末で
あったことから、情報収集の実施時期が秋から冬に限定されてしまい、四季の画像など
詳細な情報を整理するための時間がなかった。
また、今後各地域で既に実施している中山道関連イベントについて取りまとめるため
の内部打合せ等を多く実施する予定である。
45
(4)次年度以降の展開
協議会市町と関係する観光協会との連携による旅行コースの確立、広域的な連携イベ
ントの模索について研究していく予定である。
46
1−5.源氏物語広域連携情報発信事業
メインテーマ
源氏物語
事業実施主体
源氏物語広域連携協議会
構成市町村
関連団体
京都府宇治市(◎)
、滋賀県大津市、福井県越前市、兵庫県明石市、兵庫県神戸市須
磨区(5市、延べ4府県)
京都府
(◎は申請市町村)
47
(1)事業概要
a.事業の背景と目的
平成20年は、
「源氏物語」が記録の上で確認されてから、ちょうど一千年になること
から、
「源氏物語千年紀」の記念事業が全国各地で展開されている。
各自治体は、それぞれ「源氏物語」ゆかりの地域資源を発信し、観光誘客に努めてい
るところであるが、個々の自治体のみの情報では、世界的な長編小説である「源氏物語」
との関連は、断片的なものにならざるを得ない。
そこで、物語の中で相互に関連している地域資源を、各地域が連携して一つのサイ
トに集約して情報発信を行うことにより、
「源氏物語」及び関係自治体への関心を高め、
地域資源の魅力を向上させることで、来訪者の増加と現地での満足度の向上を図ること
を目的とする。
また、このような取組が千年紀事業として一過性に終わることなく、次年度以降も継
続して情報発信できる仕組みの構築を目指すことを併せて目的とする。
b.事業内容
①現地体験の支援
②共通プラットフォームを活用した情報提供
源氏物語宇治十帖の舞台である宇治市を中心に、源氏物語ゆかりの各地域の情報をつ
なぎ、宇治市内の現地での携帯情報端末や携帯電話を使った詳細な観光情報の提供(現
地体験の支援)と、共通プラットフォームを活用したホームページでの情報提供(事前
情報収集と事後の追体験)を実施する。
①現地体験の支援
現地の携帯情報端末では、写真や文章だけでなく音声、動画をふんだんに活用し、来
訪者の理解と満足度を高める工夫を行う。また、ユニバーサルデザインの視点から、急
増する外国人観光客への対応として4カ国語(日・英・中・韓)での情報提供を実施す
るとともに、
視覚障がい者等の障がい者にもわかりやすい情報提供システムを開発する。
携帯情報端末による情報提供は平成20年秋に実験的に行い、
その後の導入を検討する。
②共通プラットフォームを活用した情報提供
共通プラットフォームを活用したホームページでは、宇治十帖の舞台である宇治市を
中心に、物語の展開に重要な役割を果たす須磨・明石、源氏物語の生まれた地大津、紫
式部が生涯でただ一度都を離れて暮らした越前、そして京都の情報を、物語の展開等と
連携させて提供するとともに、関連するイベントの情報を適宜提供していく。
<地域資源>
宇治市:平等院、宇治上神社、源氏物語ミュージアム、宇治十帖古跡
大津市:石山寺、比叡山延暦寺
須磨区:須磨離宮公園(月見台)
、現光寺
明石市:無量光寺、戒光院
48
越前市:紫式部公園、たけふ菊人形(テーマ:源氏物語)
c.情報発信の方向性(地域資源の利活用)
源氏物語
物語のテーマ施設
源氏物語54帖
物語の舞台となった地
当時のアイテム
紫式部
登場人物「光源氏」
関連著者
ホームページによる情報提供だけでなく、現地での携帯情報端末による各種情報提供
を組み合わせ、事前の情報収集、現地体験、来訪後の追体験という形で、それぞれの段
階に応じた最適な情報提供システムを構築する。
平成20年は「源氏物語千年紀」として、全国各地でイベントが展開されるとともに、
マスコミや旅行会社の関心も高まっているが、源氏物語や紫式部をテーマに地域活性化
に取り組む各市区町村の情報を、物語と関連づけて取りまとめた情報提供手段はこれま
でなく、高い注目が得られると考えられる。
また、本事業のような連携の枠組みを構築し情報発信を継続することにより、千年紀
以降も継続してその効果が期待できる。
情報発信するテーマの構成は、源氏物語に関連する「テーマ施設」
「物語の帖」
「物語
の舞台」
「アイテム」
「作者」
「登場人物」などをサブテーマとして、各地域資源を関連
づけ情報発信を行うこととする。
49
d.事業実施体制
源氏物語広域連携協議会実施体制図
ふるさと財団
京都府宇治市
京都府
実施主体
UCテクノロジ㈱
実証実験実施
福井県越前市
滋賀県大津市
兵庫県明石市
兵庫県神戸市
源氏物語広域連携協議会
本協議会は、宇治市と京都府が事業主体となり、京都府宇治市で携帯情報端末による
源氏物語に関する情報発信を行うとともに、関連市区とは各地域の関連する情報を共通
プラットフォームにより情報発信する。ユビキタスネットワーク技術は京都府の実施実
績を活用し、UCテクノロジ㈱に業務を委託し実施する。
e.事業スケジュール
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(2)進捗状況
a.活動状況
時期
平成 20 年 9 月
〃
内容
関連市区に協議会参加依頼・コンテンツ作成依頼
宇治実証実験業務委託契約の締結(UCテクノロジ㈱)
平成 20 年 10 月
共通プラットフォーム仮運用(コンテンツ一部登録)
平成 20 年 11 月
携帯情報端末による情報発信実証実験実施(11/10 ∼ 11/30)
平成 20 年 12 月
協議会開催(ユビキタスコミュニケータ体験・活用の検討)
平成 21 年 2 月
実証実験の内容検証・コンテンツの改良
平成 21 年 3 月
実証実験の改良コンテンツのホームページの作成・検証
b.成果状況
<携帯情報端末での情報発信> 実証実験で参加者にアンケート調査を実施し、携帯情報端末の活用について、利用者
の半数以上が満足との回答が得られた。携帯情報端末での情報発信は初来訪者に効果的
な地域情報が発信できることや、再来訪者に地域の深い魅力の発信ができることの効果
が確認された。
出所:
「宇治・源氏物語ユビキタスガイド」実証実験資料
<地域住民への情報発信> 地域住民の参加者からも、携帯情報端末の活用について満足との回答が得られた。地
域住民に地元情報を発信することにより、地域住民が意外と地元情報を知らないことが
51
多いことが読み取れた。この結果の中には、「良い所だから是非遊びに来て下さい」と
言うような、地域住民が地域観光資源の魅力を、知人や友人に紹介する宣伝的行動への
展開ができる可能性を秘めた結果として、新しい情報発信方法が発見できた。
<共通プラットフォームの活用> 本協議会は、地元CMSの構築を行わないため、インターネット上の情報発信は共通
プラットフォーム以外にはなく、各テーマ別の横断的検索による集客効果を期待してい
たが、共通プラットフォームの稼働の時期が実証実験の時期とずれたため、携帯情報端
末との関係の効果が確認出来なかった。
<コンテンツの開発> 共通プラットフォームと携帯情報端末のコンテンツを開発することに伴い、同一テー
マで各地域資源を関連づけて情報発信をすることは、初の試みであり地域資源の新しい
発信方法の取り組みの事例となった。引き続き共通テーマによる広域の地域資源の開発
と情報発信を進めることで、各地域の商業振興の効果へとつなげることとなる。
コンテンツ一覧
52
カテゴリ
数
動画
静止画
文字
音声
物語のテーマ施設
3
1
3
3
3
源氏物語 54 帖
12
0
12
12
12
物語の舞台となった地
7
11
23
17
23
当時のアイテム
1
0
1
1
1
紫式部
2
0
3
3
3
登場人物「光源氏」
2
0
3
3
3
関連著者
1
1
0
0
1
合計
28
13
45
39
46
なお、各地のコンテンツを示せば以下のとおり。
53
54
55
出所:源氏物語広域連携協議会資料より作成
<事業の実施体制> 「宇治」が実証実験の事業地であることから、京都府と宇治市が中心になり事業を実
施した。具体的な事業実施体制は、京都府が昨年実施した携帯情報端末を活用した事業
の実績を活用した、携帯情報端末のシステム構築と実証実験の運営、宇治市は実証実験
に必要な機材の調達とコンテンツ作成を受け持つ役割分担を行い、
実証実験を実施した。
また、広域関連市区は、宇治市とともに共通テーマのコンテンツ作成や協議検討を行っ
た。しかし、共通テーマでのコンテンツ開発は明確な効果発現を確認できていない現状
であるため、次年度以降も引き続き協議を継続する必要がある。
<パーソナルホームページの試行> 携帯情報端末に記録されている、無線マーカの受信履歴から、利用者が観光した経路
と受信した観光情報を、ホームページ上に閲覧できる仕組みを、東京大学とYRPユビ
キタス・ネットワーキング研究所が開発し、宇治の実証実験で試行された。実施方法は、
端末返却時に受信履歴をPCに吸い上げ、吸い上げたデータの閲覧が出来るパスワー
ドを利用者に発行する。利用者は、自宅PCでWebページ(パーソナルホームページ)
にアクセスし、パスワードの入力により個々の旅行時に訪れた施設情報を、閲覧できる
56
仕組みとなる。試行の結果、利用者からは、旅行の「思い出アルバム」のような楽しい
記録となるなどの感想を得た。この仕組みは、個々の旅行の思い出や記録になることの
他に、パスワードを友人に渡すことで、魅力的な旅行の情報を友人に伝える手法として、
活用ができる可能性を秘めた結果となり、新しい情報発信方法が発見できた。
出所:宇治源氏物語ユビキタスガイド
(3)事業推進上の課題
<携帯情報端末のコンテンツ改良> 携帯情報端末による情報提供の実証実験の結果、
「画面の文字の大きさ」
「音声のスピー
ド」
「画面の背景の色」などの改善の必要性の結果がでた。携帯情報端末の小さい画面
で発信する情報は限られており、たとえば、画面の文字では、文字の多い情報は画面操
作や文字が小さくなるなど、利用者に不便をかける一方、文字数を減らせば情報が貧相
になり情報の魅力が半減する。また、音声では、女性の声、男性の声、コンピュータ合
成音声など聞き取りやすさに一長一短がある。利用者の年齢、性別にも左右される内容
であることから、対象者の絞り込んだコンテンツの改良が必要である。
<携帯情報端末の機材の選定> 携帯情報端末で本格運用をするためには、機材の選定に課題がある。より多くの観光
客が利用するには、安価に普及する機材を選定することが必要である。実証実験では汎
用性のある専用ユビキタスコミュニケータを使用したが、高価なため本格運用では多く
の機材を調達することが難しい。今後は携帯電話、市販の通信機能付き情報端末など観
光客個人が所有する機材を利用した機材での運用を検討するため、適した機材の開発状
況と、価格の動向を見極める必要がある。
57
<携帯情報端末の多様なニーズの対応> 携帯情報端末の画面や音声などによる情報提供の方法に、まだまだ考察の余地があ
る。利用者の安全確保という観点から、公共の場における携帯電話の利用法の課題と同
様に、公道上で携帯情報端末の音声や画面に気をとられ交通事故等に遭う危険性があげ
られる。また、ミュージアム内での利用では、映画上映や暗い展示スペースでの端末画
面の明るさが、他の利用者に迷惑となることが懸念される。さらに、観光客の大半は2
名以上のグループで行動しており、個々に専用機器を持つことで、グループのコミュニ
ケーションが阻害されることが、旅行の満足度を下げる要因になると予測される。これ
らのことから、多様なニーズに対応した機器や機能の開発が必要である。
<コンテンツの著作権等> 事中の携帯情報端末による情報発信は、事前情報以上の情報であり、実際の現地では
得られない、飛びっきりの情報でなくては、魅力にかけることとなる。たとえば、地域
の有名な祭りの情報発信をする場合では、観光当日に体験できない祭りの映像を発信す
ることや、施設の紹介では普段滅多に会えない著名人による解説などを加えることで、
事中の情報発信の魅力を発揮する。ただし、価値のある映像等はコンテンツの二次転用
のリスクを負い、情報をインターネット上にアップロードすることの、著作権等の課題
を含むこととなる。
(4)次年度以降の展開
平成21年度以降は、引き続き事前や事中の情報発信を行うコンテンツの改良を進める
こととなる。共通プラットフォームの活用は、共通テーマによる情報発信が、新規観光
客の誘客に効果あることの定量的効果を確認する年次としたい。事中の携帯情報端末の
活用については、機材の選定、運用方法の検討、顧客の絞り込み、実施時期等の検討を
行い、実施方法を検討することとする。
今回、テーマとした「源氏物語」で他の地域と連携することで、地域資源の発掘や観
光振興の可能性が確認できた。引き続き、別のテーマとして「お茶」
「おだんご」など
全国のライバル資源と連携を図ることで、相乗効果を期待しつつ新たな展開の観光振興
をも検討していきたい。
58
1−6.飛鳥地方 観光音声ガイド 携帯Q∼あ∼る案内「あたかちゃん」
メインテーマ
日本の飛鳥(れきし)を観聞(みいる)旅
事業実施主体
橿原・高市広域行政事務組合
構成市町村
関連団体
奈良県橿原市(◎)
、奈良県高取町、奈良県明日香村(1市1町1村)
橿原市観光協会、高取町ボランティアガイドの会、飛鳥京観光協会
(◎は申請市町村)
(1)事業概要
a.事業の背景と目的
<背景> 飛鳥地方には、日本最初の都城である「藤原京」を中心に世界遺産登録をめざす3市
町村に点在する歴史遺産や文化遺産をはじめとする地域資源が多数存在している。
近年、これらを見学するために多くの観光客がこの地方を訪れている。また、当地方
は既に「飛鳥」ブランドを確立している明日香村を有している。しかし、観光客の周遊
ルートと市町村の区域が一致しておらず、個別市町村単位でのPRや観光戦略に限りが
あるので、これを広域で取り組むことで観光客の周遊ルートと提供する観光情報が一致
し、飛鳥地方へ観光する際の情報の選択肢が増えることになり、併せて、観光客や来訪
者に対して、奈良県特有の「もてなしの心」に通じるコンテンツを、今や誰もが所有し
ている携帯電話とUコードQRを活用し、観光案内のための文字情報や音声ガイドを最
先端の技術により提供するため、日本の飛鳥(れきし)を観聞(みいる)旅というテー
マで連携して事業に取り組むことにした。
59
<目的> 観光案内の充実をはかることで文化遺産等の観光資源の活用につなげていき、関係市
町村及びボランティア団体、民間企業、文化庁等と連携して観光情報についての情報発
信を行うこととし、それらを地域の活性化につなげていく。
ターゲットには、現状の携帯電話の利用形態からしても、パケット定額制の利用割合
が比較的高い若者を中心に、また飛鳥地方をツアーやガイド付ではなく訪れるファミ
リー層に向けた情報発信としたい。
b.事業内容
飛鳥地方 観光音声ガイド 携帯Q∼あ∼る案内「あたかちゃん」事業では、以下の
5つの事業を実施する。
①事務組合担当者会議
②コンテンツ制作
③ U コードQR付看板の設置
④グッズ・パンフレットの制作
⑤完成記念フォーラムの開催
①事務組合担当者会議 ・構成市町村(橿原市・高取町・明日香村)担当職員と業務委託者(奈良新聞社・岡
村印刷工業)との調整会議
②コンテンツ制作 ・各コンテンツ用に動画(20 ヶ所分)、音声(50 ヶ所分)、静止画(100 ヶ所分)、文
字(100 ヶ所分)の情報を制作
・作業は動画撮影編集、ナレーション録音編集(動画・音声用)、静止画撮影、文字
情報作成
③UコードQR付看板の設置 ・各コンテンツに携帯電話からのアクセスを促すために、
圏域内の約100 ヶ所にUコー
ドQRを印刷した看板を設置。
・作成は業務委託業者により行い、看板設置は組合担当職員立会いのもと委託業者に
より設置。
④グッズ・パンフレットの制作 ・観光音声ガイドPRのためのパンフレット(10,000部)と関連グッズ(ストラップ3,000
個)の制作。
⑤完成記念フォーラムの開催
・橿原市が取り組んでいる「古道冊子」の完成記念とタイアップし、観光音声ガイド
完成の記念フォーラムを開催。
60
・ゲストにナレーション担当の映画作家 河瀨直美氏と音楽担当の茂野雅道氏を招聘。
c.情報発信の方向性(地域資源の利活用)
本事業では、メインテーマを「日本の飛鳥(れきし)を観聞(みいる)旅」とした地
域連携をベースに以下の3つのサブテーマを核として情報発信を行っていく。
日本の飛鳥(れきし)を
観聞(みいる)旅
飛鳥を知る・探す
飛鳥で癒す・見つける
飛鳥を観る・歩く
情報発信の対象が観光客から修学旅行生と多岐にわたるため、将来的なパケット定
額制への移行に期待しながら、現状としては料金のかさむ動画についてはPC専用とし、
携帯電話については、音声・画像情報の提供を中心に行う。音声と動画のナレーターに
ついては、奈良県出身であり、映画「萌えの朱雀」でカンヌ国際映画祭カメラドールを
史上最年少で受賞し、平成19年には「殯の森」でカンヌ国際映画祭グランプリを受賞し
た「河瀬直美」氏を起用するなどの工夫を行っているのが本事業の特徴である。また、
随時、最新情報を提供するために各市町村にPCを配置し、常に最新の情報を配信でき
るようにし、動画や静止画、音声情報については、既存の案内看板では得られない情報
の盛り込み、地域の歴史・文化などにより興味を引くような仕組みづくりを行う。
また、本地域、本テーマへの関心を深めてもらうことから、パンフレットやグッズの
制作に当圏域のマスコットキャラクターである「あたかちゃん」を活用し、若者をはじ
めとした利用客の誘導なども行う。
d.事業実施体制
橿原・高市広域行政事務組合は、橿原市、高取町、明日香村を構成市町村として設立
された一部事務組合であり、組合管理者、副管理者には構成市町村の首長が就任し、そ
の下で総務課の運営を、橿原市企画政策課交流政策係が兼務にて行っている。
実際の事業(コンテンツ用データ収集、作成、登録)については、構成市町村の組合
担当者とプロジェクトチームを作り、橿原市観光協会、ボランティアガイドの会、飛鳥
京観光協会の情報提供をいただきながら行い、事業実施については、株式会社 奈良新
聞社に外部委託を行っている。
橿原・高市広域行政事務組合
構成市町村
奈良県橿原市
奈良県高取町
奈良県明日香村
関連団体
橿原市観光協会
ボランティアガイドの会
飛鳥京観光協会
業務委託先
株式会社奈良新聞社
・コンテンツ、データ作成
・看板制作設置
岡村印刷工業株式会社
・パンフレット、グッズ
61
e.事業スケジュール
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(2)進捗状況
a.活動状況
事業実施体制の整備のためにプロジェクトチームの準備協議について平成20年9月に
開催し、準備期間を経て、プロジェクトチームを設立し、あわせてコンテンツ情報収集、
事業委託先の選定を行った。
コンテンツの作成方針、情報発信の方向性の確認について10月に実施、情報コンテン
ツの収集、登録、加工については、他の作業と並行して10月から12月にかけて実施した。
最終的な地域プラットフォームへの登録については、平成21年2月に立ち上げ、試行
している。
本事業の完成を広く周知するために、3月にフォーラムを開催し、PRにつとめた。
時期
平成 20 年 9 月
内容
プロジェクトチーム設立準備、
プロジェクトチーム設立
平成 20 年 10 月
内容検討、メインテーマ、情報発信方向性の確認、業者選定・委託
平成 20 年 11 月
コンテンツのデータ収集・作成
平成 20 年 12 月
コンテンツのデータ収集・作成
平成 21 年 2 月
共通プラットフォームへの登録、動作確認、試行
平成 21 年 3 月
本格作動、完成フォーラム開催
b.成果状況
<プロジェクトチームの構築> 本事業を複数市町村で取り組んだことで、
もともと国内でも名前の通っている「飛鳥」
ブランドを利用し、周辺市町村と連携して構築をすることで、観光客にやさしいコンテ
ンツ制作の取り組みを行うことができた。
個別市町村がそれぞれ観光PRを行ったところでは、飛鳥地方を訪れる人々には、不
便を感じる部分があったが、広域で連携して共通のシステムにより地域の魅力を情報発
信することができた。
<地域共通プラットフォームへのコンテンツ提供> コンテンツにつき、キーワードで整理すれば、
「知る・探す」
「観る・歩く」に関する
コンテンツが多くなっている。また、メディア種類としては、文字情報、静止画情報、
62
音声情報を中心に作成、動画情報については、メインテーマにかかる飛鳥地方の魅力に
ついて作成・登録した。コンテンツについて、キーワード(カテゴリ)
・メディア種類
で今年度登録分を整理すれば、以下のとおりである。
コンテンツ一覧
カテゴリ
数
動画
静止画
文字
音声
飛鳥を知る・探す
53
11
53
53
30
飛鳥で癒す・見つける
10
6
10
10
7
飛鳥で観る・歩く
37
3
37
37
14
合計
100
20
100
100
51
<UコードQR付看板の設置> 圏域内100箇所に当初の予定どおりUコードQR付看板の設置を行った。
<地域観光パンフレット・PRグッズの作成> 飛鳥地域全体としての「日本の飛鳥(れきし)を観聞(みいる)旅」をテーマとした
観光パンフレットを広域組合で検討し、作成した。本年度事業では3月に7,500部を作成、
地域内の観光案内所、近鉄各駅、公共施設、主要観光スポットなどに設置、配付した。
PRグッズのストラップについては、発注契約を済ませ、4月完成を予定している。
出所:橿原・高市広域行政事務組合資料
63
本事業の完成を記念し、橿原市主催の「古道冊子」の完成とタイアップし、共同開催
により、完成記念フォーラムを開催した。
日時
平成 21 年 3 月 28 日(土)
場所
かしはら万葉ホール
講演
古道関係 京都教育大学名誉教授 和田 萃氏
QR 関係 映画作家 河瀬 直美氏
<新規情報収集・加工・作成コンテンツ> 今回のコンテンツ構築にあたっては、各施設既存の看板に説明されている内容とでき
るだけ重複しない内容に仕上げた。そのため重要文化財の寺などについても外観の静止
画と説明ではなく、内部の秘法物であるとか、日頃は見られない場所の撮影を行った。
また説明文についても地元の方が知っている情報やボランティアガイドの「ウラ話」な
ども盛り込んだ。新規作成コンテンツは、3割程度になる。
(3)事業推進上の課題
将来的には、UコードQRを活用しスムーズな観光案内のためのシステムを構築する
ために、今年度は一時的にUコードQRを活用しているが、飛鳥地方を訪れる観光客の
年齢層を見たときに携帯電話のパケット通信に係る料金について、早期に定額制が定着
するための施策を講じられることを願っている。
また、コンテンツ作成にあたって、観光客の視点に立った内容の構築に心がけ、将来
的には、既存の施設案内板に代わるものとして活用できるようにしていきたい。
(4)次年度以降の展開
当事業をきっかけに、飛鳥地方への観光客の増加を図り、地域資源の活性化、世界遺
産登録への弾みにしたい。
具体的には、
・次年度以降は、将来においてユビキタスの機能を最大限に利用できるためのコン
テンツの作成をめざす。
・県内の大学と連携を図り、学生の目線で見た新たなコンテンツ作りに取り組み飛
鳥地方の魅力を引き出し、話題性のある事業にするため、様々な広報媒体を使っ
たPRを行う。
・ユビキタスコミュニケータの実証実験を財団の協力を仰ぎながら実施し、将来に
おいてUコードQRをよりスムーズに導入するための検討をしていく。
64
1−7.AMA(阿南市・室戸市・安芸市)地域連携情報発信事業
メインテーマ
AMAが結ぶ四国東南海岸 ヒーリングロード ∼184㎞の癒される旅∼
事業実施主体
AMA地域連携推進協議会
構成市町村
関連団体
徳島県阿南市(◎)/ 高知県室戸市 / 高知県安芸市 (3市、延べ2県)
阿南市観光協会、阿南商工会議所、那賀川町商工会、羽ノ浦町商工会室戸市観光協会、
室戸市商工会
安芸市観光協会、安芸商工会議所
(◎は申請市町村)
(1)事業概要
a.事業の背景と目的
<背景> AMA3市を含む四国東南部は、室戸阿南海岸国定公園に代表される素晴らしい自然
や特色ある地域資源を持ちながら、自治体ごとの小規模な観光ブランド、情報発信力に
とどまっているため、不便な交通アクセスと相まって隠れた観光スポットの域を出てい
ない。この状況を打開するため、AMA3市が県境を越えて連携し、3市が核となって広
域的な観光コースの設定や合同観光キャンペーンなど特色ある観光振興を積極的に行う
ことで、観光ブランド力を高めて四国東南部に観光客を呼び込み、地域の活性化をめざ
すことになった。
<目的> インターネットや携帯電話で情報収集して独自の観光プランを楽しむ人や団塊の世代
65
でスローライフをめざしている人を主なターゲットに、(財)地域総合整備財団と構築
する共通プラットフォームへのコンテンツ登録をベースに、民間サイトや地元観光事業
者を巻き込んだ独自のWEBサイトを制作し、AMA地域の魅力を様々な角度からリア
ルタイムに全国発信できるシステムを整備する。
そして、本システムを最大限活用して、自治体や観光業者、農林水産事業者の機運を
高め、広域地域ブランド(AMAブランド)の確立をめざす。
b.事業内容
AMA(あま)
(阿南市・室戸市・安芸市)地域連携情報発信事業では、以下の5つの
事業を実施する。
①AMA地域連携推進協議会の設立と運営
②AMA地域連携推進協議会独自の WEB サイト(CMS サーバー)の構築
③地域共通プラットフォームへのコンテンツ提供(作成、登録)
④現地タグプレート設置による活用
⑤地域観光パンフレットの作成
①AMA地域連携推進協議会の設立と運営 ②AMA地域連携推進協議会独自のWEBサイト
<CMS(コンテンツ・マネージメント・システム)サーバー>の構築 地域の共通テーマ「AMAが結ぶ四国東南海岸ヒーリングロード∼ 184㎞の癒される
旅∼」をコンセプトに、広域観光コースや温泉・グルメなどの情報、特集記事などを掲
載。また、連携する民間サイトに主な観光事業者を登録して一般観光客の口コミ情報を
誘引し多面的な情報を提供する。
具体的な例として、
○地域観光情報のアンテナサイト化
(民間サイトたびけん!、共通プラットフォームとの連携)
○新しいタイプの観光情報の発信・提供の実践
(スタッフブログで各地のリアルタイムな話題を提供する。
)
③地域共通プラットフォームへのコンテンツ提供(作成、登録)
AMA3市及び周辺自治体の観光情報
(地域コンテンツ:200件)
を、
共通プラットフォー
ムへ登録する。
④現地タグプレート設置による活用
AMA市内45箇所に「タグプレート」と「利用案内+パンフレット」を設置し、現地
でのアクセスを推進するとともに、本事業のシンボルとしてPRを図る。
66
⑤地域観光パンフレットの作成
AMAの観光地の魅力、観光プラン、共通プラットフォームのPRを盛り込んだ内容
とし、UコードQRを印刷して共通プラットフォームへの誘導によりアクセス数アップ
をめざす。
c.情報発信の方向性(地域資源の利活用)
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地域連携のメインテーマ「AMAが結ぶ四国東南海岸 ∼ 184(いやし)㎞の癒される
旅∼」をベースに以下の5つのサブテーマを核として情報発信を行っていく。
・歴史街道 → 空海や岩崎弥太郎をはじめとするAMAゆかりの歴史コンテンツ
・海の街道 → 室戸阿南海岸国定公園の景観美や海と暮らす人々のコンテンツ
・味の街道 → AMAゆかりの農水産物やグルメ情報(民間飲食店と提携)のコ
ンテンツ
・花と緑の街道 → AMA四季折々の花巡りや自然に親しむコンテンツ
・テーマ街道 → 光のまち阿南、海洋深層水、童謡の里など3市の旬の情報コンテ
ンツ
本事業では、四国東南部を訪れたことのない観光客やスローライフを求める団塊の世
代、パソコンや携帯電話で情報を探し自由な旅を楽しむ人などをターゲットとして、奥
座敷としての魅力にあふれる自然、歴史、特色ある地域資源(LEDの光・海洋深層水・
童謡の街)などAMA地域の観光情報を発信し、
地域内への入り込み数の増大をめざす。
そのために、共通プラットフォームのコンテンツ登録と合わせて、スタッフブログ
67
や観光客の口コミ機能を有する独自のWEBサイトを運用し、民間事業者も交えた観光
情報の発信を行う。さらに、主な観光スポットにタグプレートを設置し、携帯電話から
のアクセスで現地の観光情報を取得できるようにするとともに、地域の観光情報パンフ
レットを作成し、地域WEBサイトへの誘導なども行う。
観光情報の提供タイミングとしては、事前に観光客が共通プラットフォームや独自の
WEBサイトで情報を入手して旅のプランを立てて実践し、事中として現地のタグプレー
トで情報をリアルタイムに確認しながら旅を続け、事後として「たびけん!」等に旅の
感想を口コミ情報として投稿して公開する。このような、観光サイクルをめざしたい。
d.事業実施体制
AMA地域連携推進協議会は、阿南市、室戸市、安芸市、3市の自治体・観光協会・
商工会議所等を構成員として設立された協議会であり、本事業の実施のために設立され
たものである。協議会の会長、副会長には構成市町村の首長が就任し、会長の属する市
担当部局が事務局となって事業実施を行う。
事業実施において、共通プラットフォームへのコンテンツ編集・登録、WEBサイト
及び観光パンフレット等については(株)ジェイアール四国アーキテクツに、
タグプレー
トの制作はYRPユビキタス・ネットワーキング研究所に外部委託を行っている。
実 施 主 体 : AMA地域連携推進協議会( 2008 年11 月設立)
事
務
局 : 阿南市商工観光労政課
AMA地域連携推進協議会
会 長
【阿南市長】
各プロジェクトチーム
運営事務局
【阿南市商工観光労政課】
・協議会の運営及び調整業務
・地域コンテンツのとりまとめ
・事業委託及び会計処理等
副会長
【室戸市長】
【安芸市長】
地域コンテンツ制作チーム
【構成員担当者】
【(株)ジェイアール四国アーキテクツ】
・編集方針の検討、場所決定
・写真・説明文の収集
・データの編集、登録作業
WEB・観光パンフレット
制作チーム
監事
【室戸市観光協会会長】
【安芸商工会議所会頭】
幹事会
【阿南市、室戸市、安芸市
の担当課長で構成】
・協議会の運営方針の検討
・観光振興策の検討
・共通プラットフォームの活用検討
【構成員担当者】
【(株)ジェイアール四国アーキテクツ】
・編集方針、素材の検討
・観光ルート、たびけん登録の検討
・デザイン、サーバ設定、印刷
タグプレート制作・設置チーム
【構成員】
阿南市、阿南市観光協会、阿南商工会議所、那賀川町商工会、
羽ノ浦町商工会 / 室戸市、室戸市観光協会、室戸市商工会 /
安芸市、安芸市観光協会、安芸商工会議所
68
【構成員担当者】
【YRP ユビキタス・ネットワーキング研究所・
(株)ジェイアール四国アーキテクツ】
・設置場所、タイプの検討
・タグプレート、案内板の制作
e.事業スケジュール
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(2)進捗状況
a.活動状況
事業実施体制の整備として協議会を設立するため、9月に3市の担当者会を開催し、協
議会の構成員や規約等について協議を行った。その後、事業計画の検討や共通プラット
フォームのシステムについての研修を経て、11月に協議会を設立し、事業委託先の選定
を行った。そして、委託業者とコンテンツの作成方針、WEBサイトを使った情報発信
の方向性、観光プラン等の検討を重ね、他の民間サイトやタグプレート制作委託業者と
も連携して、2月にコンテンツの登録、観光パンフレットの制作、タグプレートの設置、
WEBサイトの制作を完了し、システムを試行した。
時期
9月
内容
協議会設立準備、e- 地域資源活用支援事業の計画について協議
10 月
e- 地域資源活用支援事業のシステム概要について研修
11 月
協議会の設立(役員選任、事業計画の承認、記念講演)、
業務委託事業者の選定
12 月
コンテンツの収集・編集
1月
地域 CMS サーバーの構築、観光プランの検討
2月
共通プラットフォームへの登録、観光パンフレットの制作
タグプレートの設置
b.成果状況
①AMA地域連携推進協議会の設立と運営
県境を越えて、3市が連携して本事業に取り組んだことで、地域コンテンツの整理や
共通テーマの協議を通じて、これまで気づかなかったそれぞれの貴重な地域資源を互い
に再発見することができた。さらに、独自のWEBサイトや民間事業者との連携を模索
する中で、今後の広域的な観光情報の発信方針や広域的な地域ブランドの必要性、効果
について共通認識を持つことができた。
69
②AMA独自のWEBサイト(CMSサーバー)の構築
地域共通のWEBサイト「愛され観光・旅サイト AMA ! Navi !」を構築し、2月
に試行。
WEBサイトのトップ画面は以下のとおりで、観光コースを柱に特集ページやスタッ
フブログを充実させた内容で、「たびけん!」を媒体として、地域観光事業者の登録を
行い、口コミ情報への投稿を誘引するシステムとなっている。また、「たびけん!」に
も特集ページを掲載して、AMA地域への口コミキャンペーンを行った。
出所 AMA ! Navi !ウェブページ(http://amanavi.com/)
観光・旅行サイトたびけん!特集ページ(http://tabiken.jp/contents/special/no_019/
index.htm)
③地域共通プラットフォームへのコンテンツ提供(作成、登録)
メインテーマ、サブテーマ及びターゲット層を想定し、コンテンツ枠200に対し、200
のコンテンツを作成、登録した。
コンテンツにつき、キーワードで整理すれば、
「自然景観」
「史跡」
「祭り・イベント」
に関するコンテンツが多くなっている。また、メディア種類としては、文字、静止画情
報を中心に作成して登録した。
70
コンテンツについて、共通キーワード(カテゴリ)
・メディア種類で今年度登録分を
整理すれば、以下の通り。
コンテンツ一覧
カテゴリ
数
動画
静止画
文字
音声
音楽・アート
6
×
○
○
×
観光案内
3
×
○
○
×
スポーツ
7
×
○
○
×
道の駅
6
×
○
○
×
レジャー ・ アウトドア
17
×
○
○
×
観光施設・産業
25
×
○
○
×
祭り・イベント
31
×
○
○
×
史跡・寺社・町並み
32
×
○
○
×
自然・景観
37
×
○
○
×
その他
27
×
○
○
×
郷土料理
6
×
○
○
×
健康
1
×
○
○
×
文化・伝統
2
×
○
○
×
合計
200
0
200
200
0
④現地タグプレート設置による活用
ユビキタスの機能を活用するため、AMA地域の主要観光地45箇所に現地タグプレー
トを設置し、UコードQRによる携帯電話でのアクセスを可能にした。また、卓上型(24
箇所)には、UコードQRの実践と観光パンフレットの配布のダブル効果を狙って、操
作説明用の独自シールを貼ったパンフレットスタンドを併設した。支柱バンド型(22箇
所)についても操作説明用の独自プレートを併設して、タグプレートの利用効果を高め
た。
(独自のシールについては以下の通り)
出所 AMA地域連携推進協議会作成資料
71
⑤地域観光パンフレットの作成
AMA地域全体としての「ヒーリングロード 184㎞の癒される旅」をテーマとした
観光パンフレットについて、3市で検討し作成した。
本年度事業では10,000部を作成し、地域内の各観光施設に配布、設置するほか、イベ
ントや観光キャンペーンで配布し、AMA地域及びe-地域資源活用事業による共通プ
ラットフォームのPRを行う。パンフレットには、共通プラットフォームのUコード
QRを印刷し、アクセスを促す。
パンフレットのイメージは以下の通り。
出所 AMA地域連携推進協議会作成資料
⑥その他の成果 ・ テーマを持った地域連携の実現(面的な観光振興の実現への道筋)
3市が2県にまたがり、さらに飛び地であることが広域連携の障害であったが、共通
テーマを「AMAが結ぶ四国東南海岸ヒーリングロード ∼184㎞の癒される旅∼」
と位置づけたことで、点でなく線へ、さらに周辺自治体(7町3村)を加えた面的な
広がりが可能となった。そのことにより、将来的に四国東南部自治体全てが連携す
る可能性が得られた。
・観光情報発信ツールの多角化と事前・事中・事後の観光サイクルの確立
共通プラットフォーム+現地タグプレート+AMA!Navi!(独自CMSサーバ)+民
間サイト(たびけん!等)+観光パンフレット+3市のホームページが連動するシ
ステムが構築できたため、一つの情報が面的及び時間的に増幅していく効果を生む
可能性が得られた。
72
(3)事業推進上の課題
<情報発信システムの有効活用について> 今回、3市の様々な地域資源を「AMAが結ぶ四国東南海岸ヒーリングロード ∼184
㎞の癒される旅∼」というテーマで結びつけることで、多角的な観光情報の発信が可能
となったが、新鮮な情報や話題を随時、更新していかなければ、ユーザーの心をつかむ
ことは困難である。そのため、
①独自WEBサイトの更新について3市の担当者で更新作業の研修を行う。
②スタッフブログを市、観光協会、商工会議所で連携して更新する。
③「たびけん!」に、3市の観光事業者の登録を促す。
などの対策を立てているが、平成21年度についても、AMA地域連携推進協議会が一
体となってイベントやグルメ情報や地域の身近な話題について積極的に情報発信してい
く必要がある。
<新たな観光ルートや地域資源の魅力アップについて> 今回の情報発信システムの効果で、一時的に観光入込客数が増えてもリピーターを確
保しなければ安定的な観光振興は困難である。常に口コミ情報等に関心を持って観光客
の不満やニーズを把握して、改善すべき点を見いだし、地域が一体となって観光客の満
足度アップを図っていく必要がある。
<AMAブランドの確立について> 3市の広域連携は、観光振興から、さらに地域の振興や活性化をめざすものであり、
これまでの自治体毎の特産品をまとめて、AMAブランドとして付加価値を高めていく
必要がある。そのために、今後、生産団体や商業者を巻き込んだ取り組みが求められる。
<周辺自治体との連携について> 3市が核となって四国東南部全体の活性化をめざすというコンセプトであることから、
共通プラットフォームの連携も含め、周辺自治体と積極的に連携を深める必要がある。
(4)次年度以降の展開
平成21年度については、下記のような事業展開を予定している。
①本事業で整備した各システムがスムーズに機能し、かつ積極的に情報更新ができる
ような運営システムを確立する。
②本事業によるシステムを活用するための観光会議やモニターツアーを企画・開催す
る。
③AMAブランドの実現に向けた共通ロゴの制定や検討会などを開催する。
④京阪神でAMAの観光キャンペーンを行い、パンフレットの配布等を行う。
73
1−8.ケータイ参加型クチコミ観光ガイド
メインテーマ
東御廻り(アガリウマーイ)をテーマとした広域観光振興
事業実施主体
みんなの東御廻り連絡協議会
構成市町村
関連団体
◎南城市、那覇市、与那原町(2市1町)
知念文化財案内講師友の会、玉グスク文化財ガイド友の会
与那原町
(◎は申請市町村)
(1)事業概要
a.事業の背景と目的
<背景> 東御廻り(アガリウマーイ)は、沖縄本島南部の東地域に点在する聖地を巡拝する神
拝の行事であり、南城市、那覇市、与那原町の2市1町にまたがっている。近年、沖縄の
精神文化に興味を持ち、これらの聖地を訪れる県内の若者や県外からの観光客も増えつ
つある。
しかしながら、個別の市町村単位では、聖地を観光振興に結び付けるような取り組み
が難しいため、東御廻りをテーマに連携して取り組むこととした。
<目的> 東御廻りについて、地域で連携した情報発信による地域づくり、観光振興に取り組む
ため、関係市町村及び知念文化財案内講師友の会、玉グスク文化財ガイド友の会や民間
企業などと連携して東御廻りについての情報提供を行うこととする。
東御廻りのメインとなるターゲットとしては、県内の若者や県外からの観光客が有望
74
であり、WEBサイトや携帯サイトでの情報発信による誘客、東御廻りガイドブックで
のUコードQRなどを活用した情報提供による利便性の提供などを目的とする。
b.事業内容
東御廻りをテーマとした広域観光振興事業では、以下の5つの事業を実施する。
①みんなの東御廻り連絡協議会の構築
②東御廻りの共通 WEB サイト(CMS サーバー)の構築
③地域共通プラットフォームへのコンテンツ提供(作成、登録)
④東御廻りガイドブックの作成
⑤ WEB サイトへの口コミやアクセス、クーポン利用等を多角的に分析しフィード
バック
①みんなの東御廻り連絡協議会の構築
②東御廻りの共通WEBサイト
<CMS(コンテンツ・マネージメント・システム)サーバー>の構築
地域の共通テーマ「東御廻り(アガリウマーイ)をテーマとした広域観光振興」を内
容として、東御廻りの本来の意味や歴史や口コミ情報などを掲載し、
「東御廻り」をテー
マとした新しい沖縄(南部)観光として広く発信するサイトを構築する。携帯電話から
のアクセスでの旅行中に必要な情報、クーポンなどの情報を提供する。そのために、以
下の事業を実施する。
○観光情報の情報発信・提供方針の検討
○観光情報コンテンツの提供手段の多様化(文字、音声、静止画、動画、多言語対応
ほか)
③地域共通プラットフォームへのコンテンツ提供(作成、登録)
④東御廻りガイドブックの作成
⑤WEBサイトへの口コミやアクセス、クーポン利用等を多角的に分析しフィードバック
c.情報発信の方向性(地域資源の利活用)
本事業では、メインテーマを「東御廻りをテーマとした広域観光振興」とした地域連
携をベースに以下の2つのサブテーマを核として情報発信を行っていく。
東御廻り(アガリウマーイ)を
テーマとした広域観光振興
東御廻りを活かした広域観光
(地域資源の魅力を発信)
訪問者のマナー向上
(持続可能な観光振興)
75
県内、県外観光客をターゲットに那覇・南部の回遊性を高めるという観点から東御廻
りや世界遺産に関連する資源についてガイドブック、WEB、及び携帯サイトで情報発
信を行う。これらのメディアミックスによりCGMに展開することが可能である。
ガイドブックやWEBは旅行客が観光情報を入手する最もポピュラーな手段であるこ
とから、幅広いターゲット層へ情報を発信することができる。
ガイドブックは那覇空港周辺のレンタカー会社やホテルやツーリスト等へ提供するこ
とで事前・事中に情報を提供する。また、事前の情報提供には共通プラットフォームを
利用して動画を配信することによって、情報を受ける側はイメージしやすくなる。
事中情報についてはCMSサーバー等で提供するクーポン券を携帯サイト等から入手
と、現地で口コミ情報の書き込みが可能である。
さらにアクセス解析によりSEO対策やマーケティング等アクセス数を増加させる仕
組みを取り入れているのも本事業の特徴である。
d.事業実施体制
みんなの東御廻り(アガリウマーイ)連絡協議会 は、南城市、那覇市、与那原町を
構成市町村として設立されたものである。連絡協議会の代表には南城市総務企画部情報
推進課長が就き、運営事務局について総務関係は南城市、システム関連及び事業運用は
民間事業者(株式会社サンネット)へ外部委託を行う。また、WEBサイト内の最新記
事をブログ形式により関連団体等の知念文化協会写真部や一般市民が随時更新していく
予定で、拝所周辺情報に掲載されている企業もブログにより情報を発信していく。
実施主体:みんなの東御廻り協議会
事務局 :南城市総務企画部情報推進課
代表:南城市情報推進課長
副代表:那覇市文化財担当
与那原町企画総務課係長
運営事務局・窓口
【南城市総務企画部情報推進課】
協議会の運営及び調整業務
コンテンツ内容精査及び管理
運用外部委託先
【株式会社サンネット】
システム関連及び事業運用
ブログ情報更新
知念文化協会写真部及び一般市民
周辺情報登録企業
76
e.事業スケジュール
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(2)進捗状況
a.活動状況
事業実施体制の整備のための協議会の準備協議について平成20年9月に開催し、その
後、準備期間を経て、10月に協議会を設立し、あわせて事業委託先を確認した。
コンテンツの作成方針、情報発信の方向性の確認について11月に実施、情報コンテン
ツの収集、登録・加工については12月に実施した。
最終的な地域プラットフォームへの登録、地域WEBサイトについては平成21年2月に
立ち上げ、試行している。
時期
平成 20 年 9 月
内容
協議会設立準備
平成 20 年 10 月
協議会設立(メインテーマ、情報発信方向性の確認)、事業委託
平成 20 年 12 月
コンテンツの収集・作成
平成 21 年 1 月
共通プラットフォームへの登録、地域 CMS サーバーの構築
b.成果状況
<協議会の構築> 本事業により複数市町村で取り組んだことで、単独市町村では難しかった那覇・南部
東地域にまたがる「東御廻り」をテーマとした新しい沖縄(南部)観光としての形を作
る取り組みを行うことができた。
個別市町村にとっては、小さな要素であった「東御廻りの各拝所」を複数市町村で連
携することで地域の魅力ある資源として情報発信することができた。
<地域の共通WEBサイト構築> 地域共通のWEBサイトを構築し、平成21年2月から内容の調整を行いながら試行して
おり、3月から本稼働している。
77
出所:東御廻り.com(http://www.agariumai.com/)
<地域共通の携帯サイト構築> 地域共通の携帯サイトを構築し、平成21年2月から内容の調整を行いながら試行して
おり、3月から本稼働している。
出所:東御廻り.com(http://www.agariumai.com/m)
<地域共通プラットフォームへのコンテンツ提供> メインテーマ、サブテーマ及びターゲット層を想定し、コンテンツ枠500に対し、81
のコンテンツを作成、登録した。
78
コンテンツにつき、キーワードで整理すれば、「食事」
、
「買い物」
、
「拝所」に関する
コンテンツが多くなっている。また、メディア種類としては、文字情報、静止画情報、
動画情報を作成し登録している。また、多言語対応として、全体の全てのコンテンツに
ついては、英語、中国語(北京、広東)対応の文字情報も提供している。
コンテンツについて、キーワード(カテゴリ)
・メディア種類で今年度登録分を整理
すれば、以下の通り。
コンテンツ一覧
カテゴリ
数
動画
静止画
文字
音声
買い物
15
15
15
15
0
宿泊
4
4
4
4
0
0
食事
35
35
35
35
食事・宿泊
3
3
3
3
0
その他
1
1
1
1
0
体験
9
9
9
9
0
拝所
14
14
14
14
0
合計
81
81
81
81
0
<東御廻りガイドブックの作成> 那覇・南部東地域全体としての「東御廻り」をテーマとした周辺情報を記載したガイ
ドブックにつき、本事業を通じてはじめて関係市町村で検討し作成した。本年度事業で
は平成21年2月に11,000部を作成、那覇空港周辺のレンタカー会社やホテルやツーリス
ト及び地域内の観光地などに設置、配付した。ガイドブックに付記されたUコードQR
から地域携帯サイトへのアクセスが可能となっている。
出所:みんなの東御廻り連絡協議会作成資料
79
<その他> ・テーマを持った地域連携の実現(面的な観光振興の実現への道筋)
・これまで市町村を越えた事業は非常に取り組みにくかったが、本事業により取り組
む意義の再確認とノウハウの蓄積が行えたのは大変有意義であった。
・お客様である観光客の動き(事前・事中・事後)で考えた時、ICTと誌面を融合
した情報の提供方法は大変有効的である。
・SEO対策のためのアクセス解析の仕組みや、Myページで顧客情報を蓄積しフィー
ドバックする仕組みが構築できた。
(3)事業推進上の課題
・同一テーマによる取り組みは大変意義深いことではあるが、各市町村や団体等で事
業に対する意識のズレは多少あるため、短期間の取り組みでは大変厳しいものがあ
る。また、事業で整備した物品やコンテンツの所有権等があいまいなことが懸念材
料である。
・短期間かつ初めての事業で、不透明な点が多かったため、見積もりが甘い部分があ
りコンテンツ数の縮小等事業内容の変更が生じた。
(4)次年度以降の展開
南部全体を網羅した取り組みに展開できれば、
コンテンツ数もさらに充実可能となり、
スケールメリットが出て広告収入等も見込める。
80
2
共通プラットフォーム整備事業の概要
<位置づけ>
本事業においては、
各採択事業の観光振興に関しての情報コンテンツを一元的に管理、
一般ユーザーが旅を検討するための検索サイトとして活用するためのデータベースとし
て共通プラットフォームを整備した。
採択事業の実施主体は、このデータベースを利用することで、自地域のみならず他地
域との関連の中でも情報の発信、比較検討をされることで利用機会の増加にも活用が可
能となっている。
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以下、改めて共通プラットフォームの狙い・特徴、意義について整理をする。
<狙いと特徴>
共通プラットフォームの狙いとしては、機能面では、地元コンテンツサーバーと連携
することで観光客のニーズに合わせた情報提供を可能とすることや、一度のコンテンツ
登録でPC向け、携帯電話向け画面を同時に作成できることなどが挙げられる。その他、
構築コストの削減や運用コストの削減、多くの地域が参加することでの広域的なテーマ
の広がりへの期待などがある。
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<特徴>
UコードQRを軸に関連情報を連携させて情報提供を行うこと、コンテンツを簡単に
登録することでのWEBの作成/更新、PC向け・携帯電話向け画面が同時に作成される
ことが特徴である。
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<構築のメリット>
共通プラットフォームを活用することで、基本的な情報プラットフォームにかかる共
通要素に係るコストを共有化でき、さらに高度なスキルを活用できるなどコスト低減の
メリットが大きく、コスト削減分をコンテンツ作成などにあてることが可能となる。
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<運用のメリット>
運用面では、保守管理の一元化によるコスト削減、システム更新/変更が1箇所の共用
サーバーのみの更新/変更で済むといったメリットがある。
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<将来展開>
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<コンテンツ登録から情報提供の流れ>
CMS :コンテンツ・マネージメント・システム
CGM :コンシューマ・ジェネレイテッド・メディア
84
uID
:ユビキタス・アイディ
UC
:ユビキタス・コミュニケータ
HP
:ホームページ
第
3章
「e-地域資源活用事業」の
成果と課題
1.事業の成果 ................................................................................... 86
1−1.地域連携に関する成果 ................................................ 86
1−2.地域資源の利活用・情報発信の成果 ......................... 88
1−3.共通プラットフォーム構築に関する成果 ................. 90
2.事業の課題 ................................................................................... 92
2−1.地域連携による事業推進上の課題 ............................. 92
2−2.地域資源の利活用・情報発信における課題.............. 92
2−3.共通プラットフォームに関する課題 ......................... 94
第
3章
「e-地域資源活用事業」の
成果と課題
1
事業の成果
平成20年度「e-地域資源活用事業」において、採択された8事業および共通プラット
フォーム整備事業の成果は以下のとおりである。
1-1. 地域連携に関する成果
○テーマを持った地域連携の実現
○連携による地域統一ブランドの構築
○地域連携の拡大
1-2. 地域資源の利活用・情報発信に関する成果
○テーマ ・ サブテーマによる地域資源の発掘、 見直し・再編
○観光客の目線に立った情報提供
○実証実験の実施による成果
1-3. 共通プラットフォーム構築に関する成果
○観光コンテンツデータベースの構築
○共通プラットフォーム構築の各種メリットの実現
1−1.地域連携に関する成果
<テーマを持った地域連携の実現>
今回の事業の特筆すべき点は、複数市町村の共同での事業実施を採択の基準としてい
るところである。これまでの観光振興において観光情報の提供は、自治体あるいは行政
圏域に立脚した観光協会などをベースとしたもの、あるいは都道府県単位などに立脚し
ているものが中心となっている。しかし実際に、その地を訪れる観光客、あるいは訪問
を検討している顧客にとっては、行政界は地図上に物理的に引かれている線に過ぎず、
実際の観光行動を決定する中では必要がないものである。逆に、行政界によって情報が
隔絶されていることは顧客にとっては不利益でしかない。
こうした点から、本事業では事業採択を複数自治体、それもテーマを持った連携とす
86
ることで広域的なテーマを求めた顧客にとって有意義な情報提供が行えることを目標と
した。これらの結果、8つの事業が採択され、広域的テーマを持った観光振興のための
体制構築が行われることとなった。
8採択事業の事業実施主体となった申請自治体や関係自治体、それを支援した都道府
県、その他関係団体にとって連携というハードルは、事業体制構築、事業実施において
大変な困難があったことは想像に難くないが、その効果・意義は非常に大きかったもの
と思われる。
テーマを持った地域連携
申請自治体
旭川市
館山市
九十九里町
立科町
宇治市
テーマ
サブテーマほか
大雪山を起点とした周辺観光
を楽しむ
大雪山を知る・学ぶ……歴史、山・自然現象の命名の由来、
解説
大雪山を見る……………自然・景勝地の名所紹介
大雪山で遊ぶ・楽しむ…体験できる施設・イベントの紹介
大雪山の温泉・宿泊……大雪山を源泉とする温泉・宿泊施
設の紹介
大雪山で暮らす・文化…地域移住などの解説
「花海街道」
まるごと体験の旅
自然…………○○海岸などのコンテンツ
歴史・文化…里見八犬伝や戦争遺産、歌碑など
寺社仏閣……神社、寺の羅列
体験…………海関係、花など
イベント……スポーツイベント、花火大会、踊りなど
施設…………道の駅、博物館、鴨川シーワールドなど
食……………郷土料理など
伝統工芸……うちわなど
九十九里海岸の海と大地から
の贈り物
美しい四季・勇壮な大自然−海岸、森・花
…特産物など紹介、その下の階層で CMS サーバーによ
り店舗情報
海・大地からの恵み ・ 豊かな食−やさい・果物、海産物
…同上
祭り・歴史・文化−七夕祭り、神社
歴史浪漫街道
東信州の中山道へいざなう
地域の宿場と歴史
中山道周辺の文学
街道を巡るお勧めコース
源氏物語
物語のテーマ施設…………源氏物語ミュージアムなど
源氏物語45帖−54帖…45帖∼54帖
物語の舞台となった地……平等院、宇治上神社など
当時のアイテム
紫式部………………………モニュメント、石山寺など
登場人物:「光源氏」、「横川」、
「明石入道」
関連著書
飛鳥を知る・探す………史跡、古墳、寺社 ・ 仏閣、陵墓、
石造物、建造物
飛鳥で癒す・見つける…名勝、原風景、祭事
飛鳥を観る・歩く………駅、施設、
(重要)文化財、町並
み ・ 地区、石碑
橿原市
日本の飛鳥(れきし)を観聞
(みいる)旅
阿南市
AMAが結ぶ四国東南海岸
ヒーリングロード
∼ 184(いやし)kmの
癒される旅∼
南城市
東御廻り(アガリウマーイ) 地域資源の魅力を発信(東御廻りを活かした広域観光)
をテーマとした広域観光振興 持続可能な観光振興(訪問者のマナー向上)
歴史街道………四季おりおりの遍路道、名所 ・ 旧跡 ・ 伝説
海の街道………室戸阿南海岸国定公園、個性あふれる漁港
味の街道………海のあじわい、陸のあじわい
花と緑の街道…亜熱帯植物
テーマ街道……光、水、童謡
87
<連携による地域統一ブランドの構築>
本事業により複数市町村が連携することで広域での地域ブランド形成、広域としての
一体的な観光振興などの取り組みが可能となっている。例えば、九十九里地域の取り
組みでは、本事業を通して66㎞にも及ぶ九十九里海岸にまたがる13市町村が連携して、
九十九里としての観光情報の一元化による九十九里WEBサイトを構築、全体としての
情報発信体制を整備した。このことにより観光客は、同WEBサイトにアクセスするこ
とで行政界によって途切れることなく観光に関して欲する情報などを入手することが可
能となった。
<地域連携の拡大>
本事業に採択され事業を進めていくなかで地域連携が拡大していくケースもある。例
えば、九十九里の事業では、申請時には7市町村であったが、最終的には九十九里海岸
66㎞沿線の自治体13市町村が事業に参加するように連携自治体が拡大、地域全体として
の統一的テーマでの情報発信が行われた。また、同様に南房総の事業においても、館山
市と南房総市の2市でスタートしたものの南房総地域としての情報発信を考える上で重
要な鴨川市の地域資源も必要となったことから参画を呼びかけ、3市での取り組みに拡
大、次年度には鋸南町も含めた3市1町での南房総圏域一体での情報発信を進めていくこ
ととしている。大雪山の事業においても次年度、隣接市町村の参画が予定されている。
このように、本件事業の遂行を通して連携が面的に拡大していく効果がみられた。
事業名
連携の拡大
大雪広域観光圏共通プラッ
・次年度は、周辺の美瑛町、上富良野町の参画を働きかけ
トフォーム
九十九里地域連携情報発信
・申請時 7 市町村から 13 市町村に拡大
・66㎞の九十九里海岸に属する全市町村の取り組みへ
南房総地域連携情報発信
・観光客にとって魅力あるコンテンツを有する鴨川市を参画させる
・次年度は南房総一帯としての展開という観点で鋸南町の参画を働きかけ
1−2.地域資源の利活用・情報発信の成果
<テーマ ・ サブテーマによる地域資源の発掘、 見直し・再編>
採択された事業の事業計画の中には多様な地域資源を有しているが、それを効果的に
示せていないと思われるものも見受けられた。しかし、
本事業を通してテーマ・サブテー
マという切り口で地域資源の発掘、再構築などを行ったことでストーリー性のある観光
コースの設定や特色付けができたケースがある。
代表的な例としてはAMA地域の事例が挙げられる。AMA地域には、室戸阿南海岸
国定公園に代表される自然や、特色ある地域資源はあるものの、自治体ごとの情報発信
力の不足、
不便な交通アクセスもあり隠れた観光スポットの域を出ていなかった。今回、
88
都道府県を越えた地域連携により地域資源の発掘・再編を行うことで、
「歴史街道」
「海
の街道」
「味の街道」
「花と緑の街道」及び「テーマ街道」というサブテーマを挙げるこ
とで新たな観光コースの設定を行うことができた。その他、九十九里や館山も地域連携
により地域資源の発掘・再編が行えている。
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<観光客の目線に立った情報提供>
観光情報の提供は、旅の計画を立てる段階、旅先、旅行後のそれぞれの段階によって
欲しい情報の内容、提供方法も含めて大きく異なっている。
提供時期
観光客が欲する情報
・旅への誘い・旅のテーマの提案
旅行前(事前情報) ・旅行企画の支援
・旅行準備支援(顎・足・枕・場)
・ツアーガイドの役割を果たしてくれる情報
(困ったときのお助け情報、コンシェルジュ的機能)
旅行中(事中情報)
・イメージを倍加させる情報
・専門的 ・ ニッチな分野の情報
・旅の記録情報
旅行後(事後情報) ・旅の他人への公開
・次回の旅、お奨めコースの情報
資料:佐藤委員の旭川講演資料を基に作成
本事業では、共通プラットフォームに登録された情報コンテンツを事前情報として提
供することが可能となっている。また、
事中情報については、
携帯電話などで共通プラッ
89
トフォームへのアクセスや地域独自で構築した地域のポータルサイトへのアクセス、そ
こからの情報入手などの体制が構築された。地域によっては地元企業などの協力も得て
クーポン情報や口コミ情報なども提供できる体制を構築している。
<実証実験の実施による成果>
宇治市の事業では11月に携帯情報端末を利用した現地での観光情報支援の実証実験を
実施した。同実証実験では利用者の半数以上が満足と回答しており、初来訪者にとって
携帯情報端末が効果的な地域情報発信を行いうること、再来訪者にとっても深い魅力の
発信ができることなどが確認された。また、携帯情報端末に記録されている無線マーカ
の受信履歴を用いて利用者が観光した経路と受信した観光情報をホームページ上で閲覧
できる仕組みについても試行的に実施し、個人の旅の思い出としての可能性や旅の記録
を人に見せるためのツールとしても活用可能であることなどが確認できた。
その他、携帯情報端末で提供するコンテンツの改良などに関して多くの有益な情報を
得ることができた。
1−3.共通プラットフォーム構築に関する成果
<観光コンテンツデータベースの構築>
本事業を通して各事業主体では共通プラットフォームに動画、静止画、音声や文字情
報からなる情報を登録した。現段階で、UコードQR体系を活用して登録されている観
光情報のコンテンツ数は以下のとおりである。
90
コンテンツ一覧
登録コンテンツ数
事業名
1
大雪広域観光圏共通
プラットフォーム整備事業
2
動画 静止画 音声
文字
端末
多言語化
地域ポータル
サイト
4 ヶ国語対
応検討中
構築検討中
58
2
58
0
58
PC、M
南房総地域連携
情報発信事業
140
48
140
0
140
PC、M
3
九十九里地域連携
情報発信事業
304
0
300
0
304
4
広域観光連携事業 WEB
東信州「中山道の会」
165
0
165
0
165
PC、M
5
源氏物語広域連携情報
発信事業
36
0
36
0
36
PC、M、
UC
6
飛鳥地方観光音声ガイ
ド携帯 Q ∼あ∼る案内
「あたかちゃん」
100
20
100
51
100
PC、M
−
200
0
200
0
200
PC、M
−
81
81
81
0
81
PC、M
英語、中国 地域共通 WEB
語(北京、 サイト、携帯
関東)
サイトを構築済
51
1,084
0
7
AMA(阿南市、室戸市、
安芸市)地域連携情報
発信事業
8
ケイタイ参加型クチコ
ミ観光ガイド「みんな
の東御廻り」
1,084 151 1,080
地域ポータル
サイト構築済
「花海街道」
−
−
注.登録コンテンツ数は協議会申告ベース、一部データは平成21年3月11日時点のも
の(登録ベースの計は872件)
注.端末:PC(パソコン)
、M(携帯電話)
、UC(ユビキタス・コミュニケーター)
<共通プラットフォームの各種メリットの実現>
本事業では、共通プラットフォームの構築により、UコードQRをベースとした採択
事業の観光コンテンツのデータベース構築、PCや携帯電話、モバイル端末向けの表示
作成などを行っている。共通プラットフォームの構築と運用、そこへのコンテンツ登録
によって以下のような成果があげられる。
・一度のコンテンツ登録による複数機種への画面表示が可能
・構築コストの削減効果(同様の機能を持つ仕組みを単独自治体で開発するよりも安
くなった)
・保守管理一元化による運用コスト低減
・変更・更新が容易なデータベースの利用
・他テーマ、他地域との相乗りによる単独サイトに加えた被検索可能性の増加
91
2
事業の課題
2−1.地域連携による事業推進上の課題
<行政間及び行政内他部署も含めた調整の困難さ>
本事業においては、観光では、顧客は行政境界にとらわれずに情報を欲していること
から単独市町村ではなく複数市町村での連携による事業推進を求めた。その成果として
観光客にとって利便性の高い情報提供の手段が確保された。しかし、その一方で事業推
進面では、連携体制の構築の困難さについては、様々な声を聞いている。
連携体制の構築の困難さにおいては、まずは市町村間の調整が挙げられ、また同時に
参加する市町村の担当者が複数の所管課に跨っていることにも起因したといわれる。観
光分野について商工関係の部署が担当はしているが、観光情報については、一部は教育
委員会の内部に情報があったり、公園などは土木関係の部署に属しているなど同じ市町
村内での関係部署の多さ、そのための調整が一つの課題ともなっている。また自治体ご
との予算が確定しないと事業全体を公式に進めることができないという点も、事業推進
においては課題となった。
また、これらの事業推進を進める上では、事業推進担当となったメンバーの積極的な
関係者への働きかけ、事業に対する理念に基づいた粘り強い説得、調整などが大きく寄
与したことは言うまでもない。
<顧客側が欲しい情報と行政圏域とのミスマッチによる温度差>
本事業においてはテーマをベースに地域が連携して事業を推進している。観光という
特性上、単独市町村という行政界にとらわれた場合、観光客にとって欠落した情報が出
てくることを防ぐためである。しかしテーマに即している地域資源は連携した市町村に
均等に存在しているわけではなく偏在していることが大半である。しかし今回の連携に
おいては、
関係市町村が拠出している予算額などは均等となっていることも少なくない。
そのため結果として、共通プラットフォームに登録するコンテンツの枠配分は、テーマ
とする地域資源の配分割合ではなく連携市町村の数での均等割となっていることも想定
される。このことは、情報提供面で必ずしも観光客の欲しい情報が入手できない可能性
がありうることを示す。また、前述の地域資源の偏在は連携市町村の間でも、本事業に
熱心な市町村とあまり熱心でない市町村という温度差を生み出すことにつながっている
可能性もある。
2−2.地域資源の利活用・情報発信における課題
<事前・事中・事後情報への対応>
観光客あるいは顧客にとって旅行の前・旅行中・旅行後の段階に応じて入手したい情
報は大きく異なる。本事業においては、共通プラットフォームでは事前情報を中心にコ
92
ンテンツが登録されている。一部の事業では共通プラットフォームの事中での活用も想
定されているが、多くの事業では事前情報に特化している。しかし事前情報の提供に限
定しても、その提供内容や方法、コンテンツが十分に魅力的、効果的とは言いがたい。
今後、顧客からのフィードバックによるコンテンツの取捨選択なども必要となろう。
一方、事中情報については地域の共有Webサイトなどで情報提供を行う方針や事業
が進められているが、本当に観光客の目線に立って有益な情報であるのかについては、
十分な検証、フィードバックによるコンテンツの検討はなされていない。
一方、事後情報については、提供方法や内容など難しい面はあるが実証実験の中で試
行されたものもあり、今後、さらに提供内容などについて検討していくことが望まれる。
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< IT で支援できるコンテンツの方向性>
本事業ではITを効果的に活用して観光情報の提供をすることが想定されている。現
在の事業では事前情報については、共通プラットフォームを中心にPCで見ることを想
定してコンテンツが登録されている。また事中情報については、携帯電話での情報提供
を想定し、共通プラットフォームあるいは地域で構築した独自の地域共有のWebサイ
トからの情報発信が想定されている。しかし、共通プラットフォームに登録されている
コンテンツについては、現時点では動画情報や音声なども少なく、静止画やテキスト情
報が中心である。実際に旅を企画、計画しようとしている観光客に対しての訴求力とし
ては、強いとは言いがたい。一方、事中情報について音声情報などで、現場で史跡など
を見ながら、説明の碑に書いてある情報ではない現地のツアーガイドしか知らないよう
な情報を聞けるような工夫などが検討されている事業もあるが、少数である。特に○○
跡などのように現在は石碑のみが残っているところなどは、ITを活用して往時の姿を
再現するCGを流したり、あるいは違う時期の同じ場所の映像を流して、さらなる旅を
喚起するといった情報提供の工夫が可能である。また、ITを活用することで自分専用
の案内ガイド、コンシェルジュ的な機能を果たすナビゲーターのような役割を果たすこ
とも想定されうる。今後は、ITを活用することで観光客・訪問者にとって、どういっ
93
た魅力ある情報発信ができるかについて一層、検討していくことが求められる。
例えば、ITが支援できるメニューとして以下のようなものが想定される。
・○○跡の再現(過去にはあったが、今はないものを CG で提供)
・違う季節・違う時間の情報を見せる(時期・時間条件で異なる風景等の提供)
・個人専用ナビゲーター(専用ガイド、ナビゲーション、ヘルプデスク)
・コンシェルジュ機能(好み ・ 予算に応じた旅程作成支援・手配)
資料:佐藤委員の旭川講演資料を基に作成
<コンテンツの取捨選択などフィードバックの徹底>
本事業においては複数自治体での連携が前提となったことから各自治体の議会や予算
との関係から必ずしも十分な事業期間が取れなかったこともあり、共通プラットフォー
ムへの登録のほか、各地域での独自のWEBサイトの構築やWEBサイトなどと連動した
パンフレット作成などが行われてはいるものの、コンテンツの検証などは十分に行われ
てはいない。そのためコンテンツの精査、
取捨選択のためのフィードバックについては、
今後、検討していくべきである。
<提供情報の幅の広がり>
観光における地域づくりを進めていくための一つの方法として単独ではない複数市町
村での広域的なテーマを持った観光情報提供を本事業では進めている。その上で、本事
業を通して地域が連携し観光情報に関するコンテンツを共通プラットフォームにデータ
ベースとして登録し、事業単位での広域の共有Webサイトなどで情報提供を進めるこ
とができたことは大きな成果である。
現時点での情報コンテンツなどをみると地域資源、
観光に関する移動の情報や宿、食に関する情報などが中心である。しかし、実際に旅行
をしているときに、観光客は時にはケガや病気になったり道に迷ったり、盗難や事故に
遭うなどトラブルに巻き込まれることも少なくはない。地域が観光による地域づくりを
進めていく上では、観光客が巻き込まれたトラブルに対して、地域がどのように対応で
きるかが求められる。この場合は観光情報という観点のみならず、地域としての体制整
備なども必要である。
2−3.共通プラットフォームに関する課題
共通プラットフォームは、観光情報コンテンツのデータベースであると同時に、地域
やテーマ、旅に興味あるユーザーが地域や旅の情報を比較検討し、採択事業地域への旅
を誘うためのサイトとしての機能も果たすことが求められる。現時点ではデータベース
としての機能、特徴が強く、そのため、「SEO*対策の強化」や「表示機能の強化」な
どについて検討していく必要がある。
(*SEO:サーチエンジンオプティマイゼーション)
同時に、情報提供方法についてPCや携帯電話以外の無線系の携帯情報端末からのア
クセスについて検討し、利用層の拡大、より利便性の高い情報提供基盤として強化して
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いくことが求められる。
<表示系の強化>
実際に本共通プラットフォームを見て欲しい情報を検索、比較検討して採択事業地域
への旅行などを企画する上では、トップページでのコンテンツの提示方法、テーマなど
の検索手段、主要コンテンツ、新着情報の提示など見やすく、ユーザーにとって使いや
すいトップ画面などが必要となる。そのための表示系の強化について一層の改善が必要
と考える。
<情報提供における多様な端末への対応>
本共通プラットフォームでは、文字情報のほか、動画、静止画、音声情報も登録する
ことが可能である。今後、旅行先で、訪問した先の史跡などを前にCGで再現された往
時の姿が動画情報・静止画で提供され、史跡の裏側にある歴史背景やより深い解説を音
声情報で聞くことができるといったことが可能となると旅で得られる情報がより深く、
立体的に捉えられ、ユーザーにとって本当に有益な情報として提供が可能となる。まさ
に、これがITを活用した情報提供の利点とも考えられる。しかし、現時点では携帯情
報端末や携帯電話のパケット通信を利用した提供方法に限定され、利用機会の問題、コ
スト面での問題などを孕んでいる。そのため、事中での情報提供手段として幅広い無線
系での提供方法などについても、今後、検討していくことが有用と考えられる。
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平成20年度
「e-地域資源活用事業」
報 告 書
平成21年3月 発行
編集・発行 財団法人 地域総合整備財団〈ふるさと財団〉
〒102-0093
東京都千代田区平河町2-5-6 新平河町ビル
TEL 03-3263-5736 FAX 03-3263-5732
URL http://www.furusato-zaidan.or.jp/
E-mail:[email protected]
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