...

高齢者のスキンケアの見直し

by user

on
Category: Documents
40

views

Report

Comments

Transcript

高齢者のスキンケアの見直し
健育会グループ 研究事例
平成11年11月度 第4回合同事例研究会
高齢者のスキンケアの見直し
∼乾燥肌の改善と潤いある肌作りを目指して∼
石巻港湾病院 2階病棟スタッフ 研究チーム
問題点
高 齢 者の皮 脂の多くは皮 脂 腺や汗 腺の機 能 低 下により潤いを失い、著しいケースでは皮 脂の落
屑が多々認められます。当院で実 施した実 態 調 査によると病 棟 患 者 様 4 7 名の内、約 6 割が乾 燥 肌
でありました。得に経 管 栄 養を実 施している患 者 様には入 浴や毎日の清 拭ルチーンのスキンケアで
は不充分であり、何らかのスキンケアが必 要とされました。
目的
<1>高齢者の乾燥肌に及ぼすベビーオイルとマッサージの効 果
<2>療養型医療施設における高齢 者スキンケアの実 態 調 査
経 管 栄 養を実 施している9 名の患 者 様を対 象として、ベビーオイルを使 用したマッサージの老 人
性 乾燥肌に及ぼす効果を試みました。清 拭との関 係、マッサージの回数の関 係などによって皮 膚が
いかに変 化するかの観 察を行いました。高 齢 者の乾 燥 肌のケアは必 要 不 可 欠のものであり、放 置
すれば 重 症 へと移 行する懸 念もあり医 療 的 処 置 が 必 要となります。原 因として皮 脂 欠 乏 が 考えら
れ、特に経管栄養のV B2、V B6欠乏は考 慮しなければならない問 題と思われますが、外からのケア
が有 効であることが判 明したことにより掻 痒 感を自ら訴えることのできない、
または困 難な患 者 様が
ストレスを軽減されたのではないかと思われます。
今回この研 究を通じ看 護 婦として関われるスキンケアの必 要となる高 齢 者の乾 燥 肌 への方 法に
大きな学びがあったのでここに報告します。
高 齢 者の皮 膚の多くは皮 脂 腺や汗 腺の機 能 低 下により潤いを失い、著しいケースでは皮 膚の落
屑が認められます。当院に入 院された患 者 様を対 象とする事 前 調 査では、1 病 棟の患 者 様 4 7 名の
うち、肉眼的にはっきりと認識できる乾燥 肌をもつ高 齢 患 者 様の割 合は約 6 割にも達しました。
中でも経 管 栄 養を実 施している患 者 様に乾 燥 肌 が 多くみられ、入 浴や毎日の清 拭 、緑 茶を使っ
た手 浴・足 浴のスキンケアでは不 十 分と感じ、今 回、当 院 入 院 患 者 様の中から経 管 栄 養を実 施し
ている患者様を対象としたスキンケアの改 善に取り組みました。
この研究の目的は、
1. 高齢者の乾燥肌に及ぼすべピーオイルとマッサージの効 果を把 握する。
2.スキンケアの回数と皮膚の変化を観 察し、適 切な援 助 方 法を見つけることにあります。
この取り組みにあたり、私たちは、当院と同 様の療 養 型 医 療 施 設を対 象として高 齢のスキンケア
の現 状把握を目的とした実態調査を行いました。
健育会グループ 研究事例
平成11年11月度 第4回合同事例研究会
スライド・
・
・
(アンケート内容)
「 老人乾燥肌の定義」は65歳以上でカサカサ肌から落 屑が見られる状 態をいいます。
「 項目」として
1. 患 者様全体に対する
“乾燥肌”
のみられる患 者 様の割 合
2.“カサカサ”
のみられる部位と順位 全身・上 半身・上 肢・下 半身・大 腿・下 腿
3. 食 事摂取形態の違いによる差の有 無・順 位 経口摂 取・経 管 栄 養・
・V H
4. 通 常のスキンケアの方法
5. 乾 燥肌に対する特別なケアの有無・方 法・効 果についてアンケートを出しました。
スライド・
・
・
(アンケート結果)
この調 査で分かったことは、経 管 栄 養の患 者 様に乾 燥 肌 が 多く、具 体 的な部 位としては下 肢に
多く見られるということです。
また、スキンケアの方 法では、ベビーオイルによるマッサージが効 果 的で
あるとする意 見が多くありました。そこで、当院における今 回の取り組みにおいても、ベビーオイルの
塗布にマッサージを併用した方法を検討してみることにしました。
方法
経 管 栄 養を実 施している高 齢 患 者 様 6 人を対 象として、ベビーオイルとマッサージ効 果を調 べて
みました。特に、
カサツキの多い下 肢 全 体に、ベビーオイル約 3 c cを用い、肌に馴 染ませる様にマッ
サージするスキンケアを過2回、2週間サイドで試みました。
同様な方法で週3回、毎日と2週間サイドで実 施した結 果を比 較いたしました。
皮 膚の変 化を肉 眼 的に観 察 する主 観 的データーと皮 膚の油 分 値と水 分 倍を測 定 する客 観 的
データの2点から判定を行いました。
結果
実施前は皮膚の落屑が著しく、
シーツにポロポロ落ちている状態でしたが実施後はほとんど見られ
なくなり、ベビーオイルによるマッサージは効果的であることがわかります。
マッサージの回数と関係は、塗布し始めた噴から効果が表れ回数とはあまり関係はないようです。
スライド・
・
・
(理想値のグラフ)
つづいて、客観的データとして皮膚の乾燥状態を数値で表せないものかと考えて、某化粧品会社
から皮膚の油分、水分を測定できる器械をお借りして測定することにしました。
スライド・
・
(患者様の測定値の変化)
これは、患者様6名の細分、水分の測定結果です。
スキンケアの回数を増すごとに油分、水分の値が理想的に近づいている事がわかります。
Aという患者様の場合、週3回のケアでは、油分4に、水分12まで改善いたしました。
ケアの回数は直接皮膚の状態に影響し、週2回から週3回のケアでは明らかにその結果に変化が
見られ、週3回のスキンケアで十分な目的が達成されたと思います。
健育会グループ 研究事例
平成11年11月度 第4回合同事例研究会
考察
これまでの 結 果 が 示 すように、ベビーオイルを用いたスキンケアは効 果 的 であり、主 観 的 、客 観
的データにしてもそれを裏 づける結 果となりました。
高 齢 者の乾 燥 肌を改 善 するにはスキンケアではなく、栄 養 状 態もまた大きな影 響 因 子 ではあり
ますが、私たち看 護 者として関われる一 つの方 法は効 果 的なスキンケアを確 実に実 施 することに
より現 状を改 善し、又 、悪 化させないことではないでしょうか 。
最 後に、高 齢 者のケアの基 本は、患 者 様のQ O Lを尊 重したケアにあります。
今 回のスキンケアなどの基 本 的 援 助 がとかくルチーンワークになりがちな行 為を反 省し、
この調
査を通じて効 果 的なスキンケアの 援 助 方 法を見 つけた事に、大きな成 果を感じました。今 後さら
に、
この成 果を生かして、高 齢 者の潤いのある肌 づくりを目指したケアにありたいと思います。
質疑応答
Q 特にべピーオイルを選んだ理由は何か( 西 伊 豆 病 院:山本 )
A アンケートをとった結果ベビーオイルが多かったので選んだ
Q ベビーオイルとはなにか。
どういうものか( 座 長 )
A 昔からある。赤ちゃんの肌に良い。皮膚の汚れを落とすと言われている
Q 当院は皮 膚 科のD rからの学 習でナイロンタオルは皮 膚に良くないという理 由で晒に変えた。ナ
イロンを使う理由はなにか(竹川:柴山)
A タオルを使ってみたが汚れが落ちにくかったので、ナイロンに変えた
Q 勉強会で石鹸で泡立てて撫でるようにするだけで汚れは落ちる。油 分は取ってはいけないと学
んだ。ベビーオイルは保 湿 剤として使 用していると思う。水 分の喪 失を防ぐので、入 浴 後、湿 度
のあるうちに使うと良いと言われるが、オイルはいつ使っているのか(竹川 柴山)
A 入 浴 後も清 拭 後も関 係ないという結 果が出たので、1 時 間 以 内に使用している。研 究は夏に取
り組んだので、かさつきの例が少なかったが寒さで今は増えている
Fly UP