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明石海峡海難事故事案検証報告書 - 兵庫県災害医療センター HEMC

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明石海峡海難事故事案検証報告書 - 兵庫県災害医療センター HEMC
明石海峡海難事故事案検証報告書
1
検証会議概要
開催日時:平成 20 年 4 月 14 日(月)15:00∼17:00
開催場所:兵庫県災害医療センター研修室 3
出 席 者:第五管区海上保安本部
神戸市消防局
警備救難部救難課
警防部警防課
警防係長
同
警防部救急救助課
同
水上消防署
神戸市危機管理室
同
救急係長
主査
中村 文郎
担当
桧垣 隆好
救急部長
神戸大学医学部附属病院
石井 昇
兵庫県健康福祉部健康局医務課
兵庫県災害医療センター
谷本 裕幸
大西 和哉
神戸市立医療センター中央市民病院
救急部長
西田 昭一
水野 厚
高度救命推進係長
兵庫県企画県民部災害対策局消防課
2
救難業務係長
佐藤 慎一
安全・指導係
企画調整係
センター長
岡 秀樹
木下 邦彦
小澤 修一
同
副センター長
中山 伸一
同
副センター長
当麻 美樹
同
事務部長
河合 一男
同
救急部長
冨岡 正雄
同
事業課長
上谷 節雄
同
事業課主事
池田 史子
検証の目的
この海難事故では、船舶が沈没し乗務員 9 名が海に投げ出され、行方不明者が 3 名(1
名は翌日遺体で発見)、CPA が 1 名、中等症 5 名が発生した。
これまで、船舶による海難事故に対する救急救助医療対応の検証が行われてこなかった。
このため、今回の事案について検証することにより、海難事故救急事案に対応できる救急
医療体制の整備に資することを目的とする。
3
検証方法
検証会議を開催し、各関係機関からの活動報告を受け、本事案の状況及び課題を把握す
る。
4
事故の概要
平成 20 年 3 月 5 日(水)14 時 55 分頃、明石海峡航路第 3 号灯浮標西方付近(北緯 34
度 36 分、東経 135 度 03 分)で、西航中のガット船第五栄政丸と西航中のタンカーオーシ
ャンフェニックスが衝突し、その後、オーシャンフェニックスが西航中の貨物船ゴールド
リーダーに衝突し、ゴールドリーダーが沈没した。
ゴールドリーダーの救助状況については、乗組員 9 名のうち 3 名は行方不明、4 名を遊魚
船住吉丸が救助、垂水漁港まで搬送し救急隊に引き継いだ。また、2 名(1 名は救助され、
1 名は橋の上で救助を待っていた。
)も栄政丸搭載艇による救助後、オーシャンフェニック
スに収容、その後巡視艇まやざくらで垂水漁港まで搬送し、救急隊に引き継いだ。
神戸市消防局の救急隊により、住吉丸に救助された CPA1 名を神戸市立医療センター中
央市民病院へ搬送、同じく住吉丸に救助された軽症者 3 名を神戸大学医学部附属病院へ搬
送した。巡視艇により搬送された、2 名については、兵庫県災害医療センタードクターカー
医師の診察後、神戸大学医学部附属病院へ救急搬送された。
5
検証結果と分析
(1) 現場での救急救助活動
・ 海から救助したゴールドリーダー乗組員の陸上への搬送方向については、距離的に
は淡路島側の岩屋漁港の方が少し近かったが、結果的に垂水漁港に搬送した。これ
については、消防力や病院力を考えると妥当であったと考えられる。
・ 先着救急隊には、
「垂水漁港、傷病者4名」という指令を受けて現場到着するまで、
要救助者が他にもいるという情報がなかった。結果として問題はなかったが、早期
に多数傷病者発生事故対応が必要である。
・ ブルーキャットは現場救急指揮のために出動し、医師が同乗していないという情報
がなかったため、兵庫県災害医療センタードクターカーの活動にタイムロスが生じ
た。また、この事案では、ブルーキャットによる災害現場への中央市民病院医師の
派遣が必要であったと考えられる。
(2) 傷病者搬送先の選定
・ 結果的に、遠方の神戸大学医学部附属病院へ 5 名を搬送することとなったが、いず
れも中等症以下であるので、受入れについても特に問題はなかったと考えられる。
今回は通訳者が神戸大学医学部附属病院へ行ったこともあり、適切な選定であった。
・ CPA1 名を神戸市立医療センター中央市民病院へ搬送したことについては、現場か
ら遠方ではあるものの、外国人の傷病者といった社会的な判断も含まれていたと考
えられるため、特に問題はなかったと考えられる。
(3) 救急ヘリコプター搬送
・ 本事案では、消防防災ヘリコプターによる救急搬送は行われなかった。
・ 今回、神戸市消防局が管理する消防防災ヘリコプター「神消ひょうごヘリ5」につ
いては救急活動も視野に入れて出動したが、すでに傷病者 4 名搬送後であったため、
行方不明者の捜索活動に切り替えた。
・ 第五管区海上保安本部の航空機は4機出動したが、ヘリコプターによる救急搬送は
なかった。海上保安本部所属のヘリコプターは、重量が 5tと 11tのものがあるが、
11tについては、兵庫県災害医療センターのヘリポートには着陸できない。今後、
11tのヘリコプターによる救急搬送ということになれば、神戸大学医学部附属病院
へリポート、近隣の公園及び神戸空港が想定される。
(4) 兵庫県救急医療情報システムの活用
・ 本事案において救急医療情報システムは活用されたが、かなりの時差があった。本
来であれば、ブルーキャット出動指令と同時に緊急搬送要請が発令されるはずであ
るが、今回の事案においては両者に 30 分程度の時差があった。
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検証結果からの提言
・ ある一定数以上の傷病者が発生する事案では、速やかに緊急搬送要請を発令する。
・ ヘリ搬送の可能性がある場合は速やかに要請し、着陸場を確保する。
・ 海難事故を想定した訓練を実施し、各関係機関の連携を強化する。
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