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VIETNAM EMBROIDERY REPORT_TAKEI_MAR2015
MEKONG DESIGN SELECTION [ VIETNAM EMBROIDERY ] INTRODUCTION Reported by ALBATRO DESIGN HIROHIDE TAKEI 1 公益財団法人日本デザイン振興会と国際機関日本アセアンセン 私たちは、 事業提案に 「何百年と続くベトナム刺繍文化を実用的な ターの共催事業「メコンデザインセレクション」は、経済や産業 デザインフォルムの衣服へ」 のコンセプトを掲げ、 歴史・物語性のあ の成長エリアとして国際的な注目を集めるメコン川流域 4 カ国 る普遍的創造 (= 刺繍の手工芸 ) を奨励することが、 コンテンポラ ( カンボジア・ラオス・ ミャンマー・ベトナム ) の企業と、日本 リープロダクトを創造する上での哲学として描くヴィジョンである。 のデザイナーのビジネスマッチングを通じて、国際市場競争力 社会・環境に応じて適切な創造性の問いを持って臨むプロジェク を備えたオリジナル性の高い商品開発支援をおこなう事業である。 トと考える。 ALBATRO DESIGN / SHUNSUKE IKAI _ HIROHIDE TAKEI MEKONG DESIGN SELECTION [ VIETNAM EMBROIDERY ] COMPANY PROFILE 2 ベトナムのハノイ市に在する [Vietnam Embroidery Co., Ltd] が今回事業提携する会社である。 ベトナム刺繍によるホームファッションアイテムを手がけており、 自国を始めアジア、ヨーロッパに卸事業を展開している。 巧みに装飾を施す刺繍は、コットン , リネン , シルク素材に、 “Hand embroidery”,“semi-hand embroidery”,“heim sticth”,“cutwork”によって行われている。 歴史と風土を源流に刺繍の柄を創り、鮮やかな糸で彩られている。 ALBATRO DESIGN MEKONG DESIGN SELECTION [ VIETNAM EMBROIDERY ] HISTORY / CULTURE / TECHNIQUE 3 Mrs.Duong [Vietnam Embroidery Co., Ltd.] の故郷へ刺繍の歴史と技術を学びに赴く。 刺繍職人が数多くおり、村全体で文化が継承されていることを感じる。 工房は風通しが良く開放感があり、各訪問先では職人が一針一針刺繍を丁寧に形づくる。 刺繍工程、技法、製品を目の当たりにして、刺繍の中に宿る意味を読みとることを試みる。 それは人間の手により文化と自然を重んじた創作に励み、刺繍によって真実を描いている。 伝統の刺繍文化に敬意を払い、職人と私たちの思想を創り出すことを通じて新しい概念が生まれることを予期する。 ALBATRO DESIGN MEKONG DESIGN SELECTION [ VIETNAM EMBROIDERY ] INSPECTION(FABRIC, SEWING, PATTERN) / FUTURE PL AN 4 本事業案の衣服製作に向けて縫製、生地探求、パターン製作等の現地調査を行う。 現地での中間調査では、両社の求める製品を実現させるには問題点があり、 ブランド価値創造に向けて、品質を高めるための課題を話し合い、 今後の事業展開に向けて両社のタスクを明確化して契約を取り交わす。 文化と時代性、技術とデザインを通して、人と人が向き合う心を持ち、 世に希望を伝え、社会と環境のためになる物作りを志す。 ALBATRO DESIGN MEKONG DESIGN SELECTION [ VIETNAM EMBROIDERY ] VIETR ADE / SEMINAR 5 ベトナム貿易促進庁 (VIETRADE) において事業展開の会合を行い、 今後のベトナムにおいて「デザイン力の向上」 「デザインの必要性の認識」 「外資デザイン企業とビジネスマッチング」が議題となる。 そして、MDS 事業ではデザインの知的財産権を守るために企業に対して全体で管理していくことに合意する。 また、VIETRADE では日本の G マーク様式の組織設立を目指すアクションプランを掲げている。 ベトナム企業へ向けたセミナーでは、高田公平氏のご挨拶から始まり、 矢島進二氏「ギフト・ライフスタイル商品の日本市場輸出へ向けたデザインコンサルテーション」、 矢内原充志氏の「企業に於けるデザインの領域」、企業交流及び質疑応答、松浦剛氏の総括により幕を閉じる。 ALBATRO DESIGN MEKONG DESIGN SELECTION [ VIETNAM EMBROIDERY ] CONCLUSION 6 3 月のベトナムの乾季は街と人に熱意をもたらすのだろうか。熱気に満ち溢れた街は、訪問者に好奇心と活力を与える。 意の赴くままに形成されていく街の情景は、新旧市街の対比、市内に育む高齢樹木、 建築が中断された無数の高層ビル、雑踏で屋台を営む老女、物売りの少年、車需要による環境問題など様々である。 物事は大きな規模で変化をするが、社会・文化的環境に応じて適切な創造とはなんだろうか。 私たちが仮にアジアの " 先進 " 国家ならば、何を持って " 先進 " なのかを考え行動しなければならない。 文化批判ではなく提案をすること、無論デザイン側面の支援だけではなく、 この時代に生きている私たちにしかできないことに礼を尽くし、創造を通じて共に築くプロジェクトである。 ALBATRO DESIGN