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校長 信方 壽 幸 学校だより 平成25年度 第8号 聴覚障害とオリンピック
学校だより 平成25年度 第8号(108号) 発行日 平成25年12月2日 東京都立立川ろう学校 校長 信方 壽幸 〒190-0003 東京都立川市栄町1-15-7 Tel 042-523-1358 Fax 042-523-6421 聴覚障害とオリンピック・パラリンピックについて考える 校長 のぶかた としゆき 信方 壽幸 去る11月7日(木)から9日(土)まで、第50回記念全国聾学校陸上競技大会東京大会が、駒沢オ リンピック公園総合陸上競技場で開催されました。この大会は、全国のろう学校高等部の主に陸上部の 生徒が集まって記録を競う陸上の全国大会です。第1回の大会は、昭和39年6月7日、横浜三ツ沢陸 上競技場で行われたそうです。昭和39年というのは、アジアで始めてのオリンピック・パラリンピッ クが東京で開催された年です。日本中の人々が、アジアで始めてのスポーツの祭典に胸を躍らせていた 年に、全国聾学校陸上競技大会が始まったのです。ちょうど日本が高度経済成長の時期で、新幹線や高 速道路、カラーテレビなど、新しいものがどんどん作られた時でした。 この記念すべき50年目の年、7年後の2020年のオリンピック・パラリンピックの開催地が東京 に決定しました。今後は、ますます、日本中のスポーツの取組が盛り上がっていくでしょう。 ところで、皆さんは、障害者スポーツの最高峰の大会と言われるパラリンピックには、聴覚障害と知 的障害が除外されていることをご存知だったでしょうか? 日本の国民体育大会の後に行われる全国 障害者スポーツ大会には、聴覚障害も知的障害も含まれているのに、パラリンピックには、聴覚障害者 と知的障害者が出場できる競技種目がないのです。なので、聴覚障害者の最高峰の大会はデフリンピッ ク、知的障害者の最高峰の大会はスペシャルオリンピックスになっています。 なぜ、パラリンピックには、聴覚障害が除外されているのでしょう? 理由は次のことです。 「国際パラリンピック委員会が 1989 年に発足した当時は、国際ろう者スポーツ委員会も加盟して いましたが、デフリンピックの独創性を追求するために、1995 年に組織を離れました。そのために、 パラリンピックにろう者が参加できない状況が続いています。なお、デフリンピックの独創性とは、コ ミュニケーション全てが国際手話によって行われ、競技はスタートの音や審判の声による合図を視覚的 に工夫する以外、オリンピックと同じルールで運営される点にあります。また、パラリンピックがリハ ビリテーション重視の考えで始まったのに対し、デフリンピックはろう者仲間での記録重視の考えで始 まっています。(以下、略)」 ( 「全日本ろうあ連盟スポーツ委員会デフリンピック啓発サイト)より) 「記録重視なら、デフリンピックだけでなく、オリンピックも目指せばいい!」と考える人もいるで しょう。しかし、そう簡単にはいきません。例えば、陸上競技の短距離走では、聴覚障害のある選手は、 ピストルの音が聞こえにくいので、スタートが微妙に遅れたり、フライングしたりするからです。 「やっぱり、オリンピックは無理か!」 そう簡単にあきらめないでください。可能性はあるのです。 その一例として、昨年7月、ろう学校の体育科の先生方や大学、スポーツメーカーなどが協力して完成 させた「光刺激スタートシステム」があります。このシステムは、スタートラインに赤黄青3つのラン プがついた10cm四方のボックスを設置し、「位置について」で赤ランプ、「用意」で黄色ランプが 点滅、「ドン!」で青ランプが点いたらスタートというシステムです。これにより、これまでスタータ ーの方を向いて煙や音等を確かめていた選手たちは、顔をゴール方向に真っ直ぐ向け、真下を見てスタ ートできるので、姿勢が安定しフライング等の失敗もほとんど見られなくなりました。このシステム開 発後、関東や全国の聾学校陸上競技大会で試行してきました。選手 は聴力等によって、このシステムの使用を選択することができます。 でも、現在のところ、このシステムには大きな壁があります。それ は、このシステムを使ってスタートした選手の記録は、公式記録と して認めてもらえないことです。現在、日本陸上競技連盟に申請し ていますが、公認され、あらゆる大会でこのシステムが使えるよう になれば、聴覚障害者と健聴者が同じ条件で走れるようになります。 2020年の東京オリンピックで、立川ろう学校の在校生や卒業 生が活躍する姿を見ることができるかもしれません。 全国陸上女子 100mで優勝した普通科 1 年生徒 幼 稚 部 【立川祭】 幼稚部はみんなが大好きなお話「3びきの こぶた」のげきあそび発表をしました。 幼稚部の“練習”は何といってもごっこあそび!好きな役になり好きなおうちに入って遊んだり、お おかみ鬼ごっこをしたりして心ゆくまで物語の世界で遊びこみました。 いよいよ役が決まってステージ練習になると、年長のお兄さんやお姉さんがやさしく年中・年少をリ ードしながら、どんどん劇を作り上げてくれました。 本番はみんな緊張していましたが、客席のお父さんやお母さんを見つけると、満面の笑みで手を振っ ていました。幼稚部の可愛いこぶたとオオカミたち。衣装のまま教室外へ繰り出し、他学部の展示で胸 をはずませながら遊んでいました。楽しい秋の2日間でした。 小 学 部 【立川祭】 今年は小低部と小高部に分かれて展示発表をしました。小低部の展示の テーマは「海ぞくだ!宝さがしに出発だ!」です。4つのエリア「みなと」 「うみ」 「ふね」 「どうくつ」に分かれ、お客さんに海賊となって楽しんで もらえるよう工夫し、準備しました。海賊の帽子やアクセサリー作り、魚 つり、ばくだんゲーム、宝さがしと、お客さんが主体となって楽しんでい ただけたのではないでしょうか。 小高部「エコ・エコランド」では、リサイクル班・エネルギー班・環境班の 3グループに分かれて取り組みました。夏休みにエコ作品を作ったり、2学期 が始まってからは調べ学習をしたりと、エコについて学んでから準備を進めま した。手回しモーターカーのレース、風力発電、ペットボトル でのおもちゃ作り、クイズ、コントなど、バリエーション豊か な展示となりました。お客さんにも堂々と親切に応対し、子供 から大人までみなさんに楽しんでいただけた立川祭となりました。 中 学 部 【立川祭】 今年度の中学部は、劇の年!1つは「木」、もう1つは「☆運命の高 校生☆」でした。限られた時間の中、台詞を覚え、演技、道具の準備な ど一生懸命頑張っている様子が見られました。見てくださったお客様か ら「気持ちが伝わった」、 「面白かった」などと感想をいただきました。 劇だけでなく、学習、部活の展示も行い、それぞれ昨年にも負けない ようなすばらしい展示内容になっていました。 さらに 3 組の「わたしたちのお店」では、絶品のマドレーヌをはじめ、 かわいいストラップ、趣向を凝らした学習活動の展示と大好評でした。 和太鼓演奏では、 「一打入魂」の言葉を胸に息のあった演奏を聞かせて くれました。今年度の立川祭をとおして、生徒たちの新たな一面や成長 を見ることができました。また来年の立川祭にご期待ください! 【立川祭】 高 等 部 高等部は、 「タッチランド」と称し、普通科、専攻科による作品展示、映像作品の発表、サブレ販売、 ミニ電車の乗車体験などを行いました。また1年生と専攻科によるダンス発表、2年生の映画「タッチ ーズ」の上映、ゲーム「関東を制覇しろ」など、皆が楽しめる内容で、大盛り上がりでした。3年生は、 沖縄修学旅行での平和学習をもとにした劇「てぃんさぐの花」で、戦争の悲劇と平和の大切さを訴えま した。3組は、牛革の星座ストラップや木製のおもちゃなどを販売し、大好評でした。他にも、総合学 習展示、美術展示、部活動展示などで日頃の成果を発表しました。 高等部後夜祭では、ダンス、 ものまね、コントなどの出し物 で、それぞれの意外な一面が発 揮され、笑いが絶えませんでし た。 乳幼児教育相談 ひよこぐみ 【秋の遠足】 雨で順延になったひよこ組の秋の遠足。10月30日(水)に1,2歳児の親子 19 人で、井の頭自然文化 園に行ってきました。興味の先は様々。あひるに歓声を上げたり、あらいぐまから離れなかったり、脇の小石 の小道をひたすら歩いたり、おっかなびっくりモルモットを抱っこしたり・・・じっくりゆっくり、子供たち のペースに合わせて進みました。お昼には、手作りの おいしいお弁当。たくさん歩いたから、みんなびっくり するくらいたくさん食べました。ミニ新幹線にも乗り、 楽しい秋の一日を満喫しました。