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加工マニュアル 第3回 プラスチックで立体をつくる

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加工マニュアル 第3回 プラスチックで立体をつくる
や さ し い
デ ザ イ ン の
理 論
56
デザインのための素材/加工マニュアル
第3回
プラスチックで立体をつくる
飯田吉秋
黒田弥生
アイ・シー・アイデザイン研究所 代表取締役 チーフデザイナー 1 プラスチック成形とは
●図1 射出成形
成形とは、ある素材に熱や外力(圧力など)を加
えて一定の形状にすることです。プラスチックの成
形は、大別すると線状にする紡糸、フィルムを作る
成膜、立体を作る成形があります。ここでは、立体
を作る成形について説明します。
プラスチックの成形加工には多くの方法があり、
さまざまな市場からの要求に対応できる多くの技術
が準備されています。形状が複雑で要求される寸法
精度が厳しく大量に生産する場合は、
「射出成形」、
す。成形する形の金型に注射器のような機械で加熱
簡単な形状で小ロット生産をする場合は、簡易金型
しや柔らかくなったプラスチック原料を注入するこ
による「真空成形」や「注型成形」などが適してい
とからこのように呼ばれています。
ます。
成形材料をホッパーに入れておき、シリンダー内
雨樋のような同一断面の形状を作りたいとき、大
をピストンで押し進めながら熱を加えて、プラス
量に必要な場合は「押出成形」が適していますが、
チックを柔らかくします。柔らかく流動状態になっ
少し必要な場合であればプラスチック板を「曲げ加
たプラスチックを高圧で金型に一定量づつ射出し、
工」して作る方が良いでしょう。
冷却・硬化させた後で金型を開いて成形品を取り出
以上のように、同じ形であってもいくつかの成形
します。成形速度が速く、原料の投入から成形品の
方法がありますので、要求される外観レベル、強度、
取り出しまでを完全自動化することが可能です。成
形の大小、使用樹脂、納期、予算などを総合的に検
形方法の中で最も技術的に高い水準にあり、広く使
討したうえで、最適な成型法を選択する必要があり
用されています。
ます。
どの成形方法より大量生産に適し、きわめて複雑
以下に、デザイナーが必要とする主な成形方法を
な形状のものや精度の高いものまで作ることができ
選び出し、説明します。
ます。欠点としては、射出成形機が高価で、金型費
用も高く、設計的な知識も求められる点です。
2 プラスチック成形方法
私たちが、日常目にするプラスチック製品の多く
を作り出しており、風呂桶や洗濯機ケースなどの大
1)射出成形(インジェクション)[図1]
きいものから、時計の歯車やギアなどの小さいもの
射出成形は英語で「Injection Molding」と呼ばれ
まで射出成形で作られています。また、コップ、バ
ているように Injection =注入という意味がありま
ケツ、食品容器などの各種日用品からテレビ、エア
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やさしいデザインの理論 56
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