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モバイルICT医療応用の開発と実証 - 東京大学大学院医学系研究科

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モバイルICT医療応用の開発と実証 - 東京大学大学院医学系研究科
22世紀医療センター
22nd Century Medical and Research Center
講座名
健康空間情報学講座
英文講座名 Department of Ubiquitous Health Informatics
モバイルICT医療応用の開発と実証
藤田英雄、脇嘉代、林亜紀、李花映、加藤滋子、小林春香
モバイル・クラウド12誘導心電図の開発と臨床実証
救急医療において、受け入れ医療機関は限られた社会資源として発症者の病状
や治療適応・重症度・空床状況から受け入れを決定するが、現状では電話ベース
の医療情報共有によるものがほとんどである
救急患者の病状・リスク・緊急性を共有し
救急患者の病状
リスク 緊急性を共有し、搬送の条件を最適化するために、さら
搬送の条件を最適化するために さら
なる医学的医療情報の共有が求められる
循環器疾患の診断とリスク評価には12誘導心電図伝送が重要である
救急遠隔医療に求められる12誘導心電図伝送のしくみをモバイル・クラウドICT
を用いて開発・構築し、時空間・コスト等制約を低減し、医療的アウトカム向上をめ
ざして救急医療フィールドにおいてこれを実証する
開発
Cardiospy Mobile® App
リアルタイム伝送の必要性はAED普及により低下した。固定レンダリング伝送
EC-12RM
クラウドコンピューティングの仕組みは確実な伝送と瞬時共有に有用であり、さらに
スケーラビリティ等、拡張性も大
、拡張
タブレット・スマートフォンなど民生モバイル機器の使用は信頼性・コスト低減に有
利である
背
景
/
課
題
スマートフォンを用いて糖尿病患者に療養指導を行うシステムは多数開発され
ているが、それらの臨床的効果に関する検討は限られる
2型糖尿病患者の自己管理を支援するシステムを開発しその臨床的効果を検
討する
クラウド
薬事法承認済 患者情報匿名化
12誘導心電図は正確な診断・リスク評価のために必須である
REST ECGSYSTEMS
背
景
/
目
的
2型糖尿病患者の自己管理支援システム―DialBetics
PC
NetECG® software
EC-12RM
実証
Labtech, Ltd. (Debrecen, Hungary)
臨床試験(1)―急性心筋梗塞臨床アウトカム
北里大学病院においてモバイルクラウド心電図を搭載したドクターカーと、従来救急車群
で急性心筋梗塞患者の病着ー再疎通 (D2B)時間、現着ー再疎通(E2B)時間を比較した。
心筋梗塞と診断
スタッフをコール
カテ室を起動
ドクターカー群
ドクター
カー群
(MCECG)
N=22
REST ECGSYSTEMS
北里大学病院救命救急センター
(神奈川県相模原市)
Door to balloon
time [分]
従来
P
救急車群 value
N=52
52.0 ± 12.1 74.1 ± 15.8
<
0.0001
91.5 ± 11.1
<
0.0001
EC-12RM
緊急カテーテル治療
(PCI) PCI
心筋梗塞と診断
カテ室を起動
従来型救急車群
▲現着
病着▼
EMS to balloon
time [分]
CPK [IU/L]
111 ± 19.1
2874 ± 1513 2933± 2419
NS
結果
急性心筋梗塞症例においてモ
バイルクラウド心電図はD2Bお
よびE2Bを有意に減少させた
Door-to-Balloon (D2B) Time
EMS-to-Balloon (E2B) Time
臨床試験(2)―広域救急医療連携
DialBetics使用群では非使用群に比較してHbA1cが有意に改善に改善した
(使用群-0.4 ± 0.8%、非使用群では+0.1± 0.7%変化、p=0.01)
北海道十勝地方においてモバイルクラウド心電図を配備した
遠隔地の診療施設からの救急搬送判断において実際に搬送
リスク層別化により、救急搬送の判断がより適切化した
となった症例を記録した
道のり
期間
(km)
(月)
足寄
50
池田
24
新得
45
100km
総回数
救急搬送
救急搬送率(%)
19
12
2
17
14
8
0
0
7
3
1
33
広尾
78
10
1
0
0
えりも
125
10
8
1
13
64±39
12±4.6
32
4
12.6
平均・総計
モバイルクラウド心電図によって循環
クラウ
電図
循環
器リスクの正確な層別化により、搬送
要不要の判断がより正確になること
(救急医療体制資源の合理的再配分
につながる有効性)、および急性心筋
梗塞症例においては発症―再疎通時
間の短縮(疾患治療効果と症例の予
後改善への有効性)が示唆された
更なる検証と改良開発・臨床フィール
ドの拡大、さらにマルチモダリティシス
テムへの拡張を行っている
携帯端末を活用し救急医療連携をターゲットとした
画像連携システムの開発
背
景
/
目
的
クライアントサーバシステムを用いた統合プラットフォーム
ク イ
バ
を
た統合プ
Smart PHR
背
景
/
課
題
利用者(患者)及び医療関係者が日常携帯している携
帯端末で実現可能な低コストで汎用性の高いシステムが
求められている
スマートフォンのみにより構成されるC-Sモデルは
臨床現場での有用性が期待される
医療への応用モデルの構築と臨床学的効果の検証
救急領域において患者の重症度層別化により適切な診療を施す医療連携が求め
られている
本研究ではスマートフォンやタブレット等の携帯端末でも参照可能な救急医療連携
をターゲットとした画像連携システムとして、画像診断クリニックの診断画像等の医療
情報に特化した連携システム(Image Sharing System for Acute Medicine:
ISSAM)を開発し、より緊密な医療連携を実現させることを目的とした
連携先
画像診断クリニック
DICOM画像転送
画像管理システム
ISSAMシステム概要
連携元病院
ISSAM
画像DB
VPN
DICOM画像転送
Sharing
SV
携帯端末から
の参照
Internet
各種DICOMソフトウェア
診療情報
文書登録
文書DB
PCブラウザ
PCからの参照
従来のFAXによる連携ではA4一枚に60秒を
要していたが、ISSAMでは短時間に重症度
の判断を行う とが可能であ た
の判断を行うことが可能であった。
今後、画像診断クリニックと病院間での救急
搬送における医療連携において冠動脈CTや
心臓MRIの迅速な画像診断による重症度の
層別化により救急患者受け入れの適格性や
患者の治療予後の変化について臨床試験を
行い、更に脳神経外科を始めとした他の救
急領域での医学的有用性エビデンスの構築
を目指す。
パイロットスタディを実施中で透析PHRの利用により透析間の体重変動が小さく
なることが期待される。ランダム化比較試験を予定している。
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