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そんぽのホント」を使用した授業展開例

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そんぽのホント」を使用した授業展開例
そんぽのホント」を使用した授業展開例
高校生も社会の一員として高校生活で、あるいは高校から大
学へ進学、または就職する場面等、様々な生活シーンにおいて
リスクを負担していることを認識する必要があります。本ガイ
ドではそれらのリスクを認識するとともに自身のそして社会の
安全と安心を支える損害保険に対する基礎的な知識を身につけ
ていただくことを目的として作成されています。
この冊子を使用し、授業をしていただくための展開例として、
次のとおり3部構成で作成しております。
家庭科や総合学習の一環としてご利用いただくほか、ホーム
ルームなどで交通安全の注意喚起を行う際、また、修学旅行の
事前説明会などで注意を呼びかける際など、本冊子の中から話
題として取り上げていただければ幸いです。
「Ⅰ.身の回りのリスクを認識する。」では、
クイズと解説により、身近に存在する自動車事故、自転車事故、火災などがどのくらいの割
合で起こっているのか、交通事故を起こしてしまうと最大でどのくらいの負担が生じるのか等
を考えてもらいます。そのことにより、高校生の身の回りにリスクが潜んでいること、いつ自
分の身にふりかかってくるかわからないこと、そして、高校生であっても交通事故の被害者に
なるだけではなく、加害者にもなりうることを認識することにより、安全意識に目覚めていた
だくことができます。
「Ⅱ.事故や災害などによる損害に備える方法について学ぶ。」では、
クイズと解説により、
「貯蓄」と「保険」の特徴を理解し、万一の事故や災害による損害に備
える効果的な方法の一つとして「保険」があることを、また、保険が「相互扶助」といった社
会や生活を支える重要な制度であること等を通し、保険の制度を自然とご理解いただけます。
「Ⅲ.暮らしのシーンにあわせた安心のために」では、
高校生の段階で、あるいは近い将来、経験するであろうシーン(海外旅行・ドライブ・一人
暮らし)について、どのようなリスクがあるのか、またそれに備えるための損害保険にはどの
ようなものがあるか、実例を交えながらご認識いただけます。
以 上
授業等でご利用いただける場合、無償でご提供させていただきますので、ご希望部数・
納品先(住所・学校名・教科名・ご担当教諭名・電話番号)を明記のうえ、
FAX(048-485-2302)にて株式会社毎日ビジネスサポート物流センター内 「そんぽ刊行物発送
事務局」あてお申し込みください。なお、講師派遣も受け付けております。詳細は同封の「講
師派遣のご案内」をご参照ください。
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「そんぽのホント」を使用した授業展開例
Ⅰ.身の回りのリスクを認識する。
1.Q1から
他人事ではない事故や災害。あなたのすぐ隣に、ほら、まさかの危険が。
⇒
事故や災害の発生割合について学ぶ。
○目的 (1)身近な事故の発生件数の多さと発生頻度の高さを理解する。
(2)事故がいつ、自分の身に起こるかわからないことを理解する。
○クイズ 1「40 秒に 1 件 さて、これは何の数字?」(P2∼P3)
答え:A 自動車事故件数(年間
787,139 件)
B 自転車事故
約 3 分に 1 件
(年間
171,018 件)
C 火災発生件数
約 10 分に 1 件
(年間
53,276 件)
☆特に、高校生により身近な自転車事故を見てみると、
・自転車事故は、年間 17,018 件(平成 19 年)
、約 3 分に 1 件起きている。
理解促進のため、カップラーメンが出来上がる間に、日本全国のどこか
で自転車事故が 1 件起きているという説明をし、身近に感じてもらう。
・自転車乗用中の死傷者数は 171,923 人で、年代別にみると 16∼24 歳の若
者は 36,448 人(21.2%)と 15 歳以下の子供 34,024 人(19,8%)で全体の約
4 割(41.0%)を占めている。(詳細は別紙の「1.自転車乗用中の事故」参照)
(警視庁交通局「平成 19 年中の交通事故の発生状況」より)
2. Q3から
事故を起こすと被害者だけでなく、あなたの、そしてあなたの家族の一生も
だいなしに
⇒近年の交通事故による損害賠償額は、高額に及ぶケースが増えているこ
とを認識する。(P6∼P7)
○目的 (1)車での人身事故や対物事故の賠償額は、1億円を越えるケース
が増えており、支払いには相当な年月がかかることを理解する。
(2)高校生により身近な 自転車での人身事故でも高額な賠償額に
なるケースがあることを理解する。
(3)高校生であっても交通事故の被害者だけではなく、加害者にも
なることがあることを理解する。
○クイズ3
交通事故による損害賠償額で最高額は、次のうちどれ?
2
答え:C 最高で 3 億円以上:サラリーマンの平均年収(435 万円)で払い
終わるのに 70 年近くかかる。(車での人身事故:3 億 8,281 万
円)
ちなみに、
A の 1,000 万円程度でも:サラリーマンの平均年収(435 万円)
で払い終わるのに 2 年以上かかる。
B の 1 億円程度でも:サラリーマンの平均年収(435 万円)で払い
終わるのに 20 年以上かかる。
(参考)
車での物損(物に対する損害)事故は、2 億 6,135 万円の損害額。
☆特に、高校生とってより身近な自転車事故を見てみると、
・自転車での人身事故でも 6,008 万円の損害額が認定された例がある。
(詳細は別紙の「2.高校生の交通事故高額賠償事例」参照)
・高校生にとって必需品ともいえる携帯電話。
携帯電話を操作しながらの片手運転で引き起こした高校生による事故
では、5,000 万円の賠償責任を負った事例もある。
1,000 万円の場合でも、高校生が時給 900 円のアルバイトで毎日 8
時間働いても払い終わるのに 4 年近くかかる計算となる。
社会の一員として果たさなければならない責任がある
・交通事故を起こしてしまった場合の責任としては、次の3つ。
①刑事上の責任:
事故の相手を死傷させた場合の責任。「危険運転致死傷罪」などの罪によ
り、罰金や懲役・禁固に処される。
②行政上の責任:
一般に行政処分といわれるもの。自動車やバイクなどの場合、運転免許
証の取り消し・停止・減点・反則金の処分など。(自転車の場合は対象外)
③民事上の責任:
交通事故で他人に損害を与えた場合、民法 709 条の不法行為による損害
賠償責任(被害者に対して金銭により償う責任)が生じる。例えばケガを
させてしまった場合の「治療費」など
このほか、人としての最低限のマナー「被害者に対して心から謝罪する」
という「道義的な責任」を果たす義務もある。この最低限のマナーを守れ
ない大人もいる。次世代を担う皆さんは、人としてのマナーを忘れずに!
3
Ⅱ.事故や災害などによる損害に備える方法について学ぶ。
1.Q2から
いざという時、あなたはどうする。
⇒万一に備えてお金を用意する方法について学ぶ。(P4∼5)
○目的 (1) 保険に入ることは、「安心」を準備することであることを理解す
る。
(2) 「貯蓄は三角、保険は四角」それぞれの特徴・効用を理解する。
(貯蓄と保険の違いについて理解する。)
(参考)
保険期間中に事故や災害が起きなかった場合、保険料が無駄になったと
思いがち。
→無駄ではなく、保険に入るということは何かあった時のための「安心」
を買ったということ。それがみんなで社会を支えることになる。
(クイズ4を参照)
○クイズ2
損害に備える効果的な方法は?
答え:C 保険に入る :保険期間を通じて、十分なお金を準備できる。
A お金をコツコツ貯める :貯まるまでに時間がかかる。事故や災
害などが起きたときに十分なお金が貯まっているとは限らな
い。
B 宝くじで一攫千金 :必要なお金を用意できる確率が極めて低い。
・貯蓄(貯金)は、時間に比例して増えていくもの。(P5 の図を参照)
(例)1 ヶ月 1 万円ずつ貯めていくと、6 ヵ月後には、6 万円貯まっている。
そこで、10 万円の損害があった場合には、4 万円の不足が生じる。
一方、保険は、契約した時から保険期間中はずっと補償してくれるの
で、契約する金額が必要額に達していれば安心。
→この特徴から、「貯蓄は三角、保険は四角」と呼ばれている。
保険に加入することにより、事故・災害に備えるための準備としての
お金を積み立てておくことが不要となることから、その分だけお金の
有効活用が可能となり、生活の合理化を図ることができる。
(参考)
旅行費用やブランド品の購入費用を貯めることは、保険ではできないの
で貯蓄が向いている。
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2.Q4から
社会は一人では成り立たない。皆で支えあってできている。あなたも社会を
支える大事な存在。
⇒保険の仕組みについて学ぶ(P8∼P9)
。
○目的
保険は、
「相互扶助」
(「一人は万人のために、万人は一人のため
に」
)という精神をもとに成り立っているということを理解して
もらう。
○クイズ 4
「損害保険の精神」を表す言葉は次のうちどれ?
答え:A 相互扶助
B 自給自足
C 独立独歩
・「相互扶助」とは、
「相互」
:お互いに、「扶助」:助け合うことをいい、保険
はこの「助け合いの精神」で成り立っている。(P9 の図参照)
<参考>
「自給自足」とは、他からの世話にならず、自分で必要なものをまかない、
満たすこと。
「独立独歩」とは、他の人に助けられることなく、自分の信じた道を自分ひ
とりで進むこと。
(成語林「旺文社」より)
・保険は、日頃からみんなで少しずつお金を出し合ってプールしておき、お
金を出している人のうちの誰かが事故に遭ったときに、プールしたお金の
一部を渡し、お互いに助け合う仕組み。
(P9 の図を参照)
近い将来、社会を担う存在になる高校生に対して、保険の制度を通じて、
社会を支える一人ひとりの存在の重要性を認識してもらう。
3.ラストQから
多数の人が集まって、危険を分担し合うのが保険
⇒保険料はどのようにして決まるかを理解してもらう(P10∼P11)
○目的
保険料が確率に基づいて算出されていることを理解する。
○クイズ 5
保険料はどうやって決まる?
答え:C
事故・災害の発生確率によって保険料が決まる。
A 占いによって保険料が決まる。
B 毎年、裁判所によって保険料が決まる。
・保険料は以下のルールに則って、保険料を適正水準にしている。
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①サイコロを振る回数を増やせば増やすほど、それぞれの目が出る確率が
1/6 に近づくように、事故の発生率も膨大なデータを分析すると発生確
率を予測できる。(大数の法則)
②例えば、「鉄筋コンクリート造の住宅」の方が、「木造住宅」よりも燃えに
くい分、 保険料が低く設定されるなど、危険に遭う確率の大小により保
険料を設定している。(公平の原則)
③保険契約者から集めた保険料の総額と、保険会社が支払う保険金と経費
の総額を等しくし、妥当な保険料水準になるようにしている。(収支相
等の原則)
Ⅲ.暮らしのシーンにあわせた安心のために
高校生に身近な場面別(海外旅行・ドライブ・一人暮らし)に、リスクとそ
れに備える損害保険について学ぶ。
(P13∼P18)
○海外旅行にはどんなリスクが?
○ドライブ(車・バイク)にはどんなリスクが?
○一人暮らしのアパートにはどんなリスクが?
1.海外旅行編
楽しい旅行のためにかかせないもの
⇒楽しい海外旅行には危険もいっぱい。事前に備える必要を学ぶ。
○目的
海外旅行に潜むリスクとそれに備えるための海外旅行傷害保険
を理解する。
(P14)
○海外旅行中のリスク例(詳細は別紙「3.海外旅行中の保険金支払例参照」)
①海外旅行中に盲腸になり入院するはめに!(卒業旅行などで海外に行っ
た場面でのリスクを学ぶ)
海外では、その場で日本の健康保険が使えないことから、もしもの場合
入院・手術費用などの医療費が高額になったり、海外旅行傷害保険に入
っていないと治療してもらえないケースがある。
②観光中、足を滑らせて転倒してしまった。
③他人にケガをさせてしまった。
④カメラを落として壊してしまった。
⑤風呂を溢れさせ、ホテルの部屋を水浸しにしてしまった。
(参考)海外旅行傷害保険の保険期間は、海外にいる期間だけではなく、自宅
∼空港∼自宅までの日本国内にいる期間も含む。
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○体の保険を高校生にとってより身近な日常生活で見てみると
①階段で転倒してケガをしてしまった:「傷害保険」で治療費が支払われ
る。
②スノーボードをしていて他人にぶつかり、ケガをさせてしまった:「個人
賠償責任保険」で賠償金(被害者への治療費など)が支払われる。
③テニスをしていて誤ってラケットをコートに打ちつけ壊してしまっ
た:「傷害保険」にセットで携行品損害を補償(ラケットの損害を補償)
(詳細は別紙「4.傷害保険・個人賠償責任保険」参照)
2.ドライブ編
ハンドルを握ることは、命を預かること
⇒ドライブに潜むリスクとそれに備えるための保険を理
解する。
(P15∼P16)
○ドライブ編:脇見運転で、事故発生!相手の車が壊れて、
ケガまでさせてしまった。
○目的 (1)自動車の保険には、自賠責保険(強制保険)と自
動車保険(任意保険)
があり、それぞれの特徴
を理解する。
(2)強制保険で不足する補償には任意の保険でカバ
ーする必要があることを理解する。
(3)250cc 以下のバイクや自転車の場合の注意点は
何かを理解する。
○自賠責保険(強制保険)の特徴
①加入義務がある:怠ると 1 年以下の懲役または 50 万円以下の罰金。免停。
②補償は対人賠償(他人を死傷させた場合)のみ:交通事故の被害者を救済することを目的とした制度。
③保険金の金額に限度:死亡 3,000 万円、後遺障害 75 万円∼4,000 円、傷害 120 万円
※最近の賠償例(P7:3億円):自賠責保険の上限金額を超える分は自腹!⇒任意の自動車保険の必要性
→自賠責保険(強制保険)を超える対人賠償や、相手の物の損害への賠償、自分や同乗者のケガ、自分
の車の損害に備えるために、任意の自動車保険が必要。
なお、任意の自動車保険は、自分で必要な保険を選ぶことになる。
○高校生にとってより身近なバイクを例に見てみると、
・車と同様に自賠責保険(強制保険)に入らなくてはならない。
・ただ、車と違い、250 CC 以下のバイク(原付(原動機付自転車)を
含む)には車検がないため、有効期限を見逃しがち。
→ナンバープレートに張られているステッカーで日頃から確認する
ことが必要。
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<自転車>
自転車事故は自賠責保険(強制保険)・自動車保険(任意保険)の対象ではない。
→では、リスクに備えるにはどうすればよいか。
①他人にケガをさせた・他人の物をこわした(法律上の賠償責任が発生した場合)
○他人にケガをさせてしまった:個人賠償責任保険で治療費、休業損害、慰謝料が支払われる。
○他人のモノを壊してしまった:個人賠償責任保険で修理費が支払われる。
②自分がケガをしてしまった:傷害保険で補償
⇒「個人賠償責任保険」+「傷害保険」で補償
このほか、TS マーク付帯保険などがある。
(詳細は別紙「TS マーク付帯保険・人身傷害補償保険」を参照)
3.一人住まい編
隣からのもらい火で全焼。損害を補償してよ---!?
⇒ 一人暮らしに潜むリスクとそれに備えるための保険を
理解する。
(P17∼P18)
○目的
(1)アパートなどの賃貸契約を結ぶ際に火災保険
を合わせて契約する理由を理解する。
(2)一人暮らしをする際に必要な家財はどのくら
いあるのかを考えてもらい、それを失うリスク
と保険の必要性を理解する。
(例)テレビ、冷蔵庫、洗濯機、電子レンジ、
衣類、靴、バッグなど
事例:①自分が借りているアパートが火事に!
アパートなどを借りて一人暮らしをする場合、火災保険に入ることが条件となる場合が多い。
その理由は?
・「隣の部屋からのもらい火」にあった場合、失火責任法の規定(詳細は別紙「6.失火責任法」参照)
により、隣の住人に損害賠償を請求できない。→「家財の火災保険」への加入しておくことが必要。
②「自分の部屋で火事」を出してしまった!
賃貸契約上、借りた部屋に損害を与えた場合は元の状態に戻して返さなければならない。(原状回復義
務)→「借家人賠償責任保険」へ加入しておくことが必要。
⇒アパートに入るときに保険に入るのは自分のためなのだ
以
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