...

第4章 計]浜ー玉ブロセスのパフォーマンス評価と設計

by user

on
Category: Documents
15

views

Report

Comments

Transcript

第4章 計]浜ー玉ブロセスのパフォーマンス評価と設計
第4章
計 測 プ ロセ ス の パ フ ォー マ ン ス 評 価 と設 計
前 章 ま で に述 べ て き た 計 測 シ ス テ ム の 評 価 で は 、 実 際 に 測 定 を 行 う測 定 シス テ ム を 対 象
と して 、 そ の 信 頼 性 の 評 価 を 行 っ て き た 。 そ れ に 対 して 、 計 測 活 動 全 体 の パ フ ォ ー マ ン ス
評 価 の 観 点 か ら,そ の 合 目的 性 、 有 効 性 を 如 何 に 確 保 す る か と い う問 題 が 残 る 。 測 定 を 行
う測 定 プ ロ セ ス と は 区 別 し て 、 計 測 の 必 要 が 認 識 さ れ 、 実 際 に 測 定 が 行 わ れ 、 目的 を達 す
る ま で の 一 連 の プ ロセ ス を 計 測 プ ロセ ス と呼 ぶ 。 こ の 章 で は 、 計 測 の 信 頼 性 を 確 保 し 、 パ
フ ォ ー マ ン ス を 上 げ る 立 場 か ら、 計 測 プ ロセ ス の 意 図 的 な 組 立 を 進 め て い く た め の 方 法 と
して 、 「計 測 プ ロ セ ス 設 計 」 を提 案 す る。 さ ら に 、 計 測 プ ロ セ ス の 中 で 重 要 で あ る 計 測 特
性 の 検 討の 例 に つ い て 、 プ ラス チ ッ ク 歯 車 の 簡 易 計 測 の 例 を も と に 述 べ る。 また 、 計 測 プ
ロセ ス 設 計 の 実 際 の 適 用 に つ い て は 、 次 章 で 述 べ る 。
4.1計
測 プ ロセ ス とそ の 設 計
4.1.1計
測 プ ロ セ ス と測 定 プ ロ セ ス
計測の問題が生 じ、計測が行われ、問題が解決 され までの計測活動の過程を時系列的に
追って整理す ると次のよ うになる。
ス テ ッ プI:生
産 シ ス テ ム の 中 の 問 題 が 、 「計 測 の 問 題 」 と し て 認 識 さ れ る 。 例 え ば 、 生
産 プ ロ セ ス の あ る 段 階 で 問 題 が あ り、 そ れ を解 決 す る た め に 、 工 程 の 情 報 を
得 よ う とす る 。
ス テ ッ プII:問
題 解 決 の た め に 必 要 な 計 測 が 想 定 され 、 「計 測 の 目的 」 が 設 定 さ れ る 。
ス テ ッ プIII:計 測 の 目 的 か ら計 測 内 容 を 具 体 化 す る 。 ま ず 、 「目 的 特 性 」 を 決 定 し 、 そ れ
を知 る た め に 「
計 測 特 性 の 選 定 」 を行 う 。
ステップIV:決 め られた計測特性を測 定す る方法が選定され る。併せて、目的特性を代表
して いる測定対象が規定 される。
ス テ ッ プV:計
測 特 性 と 測 定 方 法 が 選 定 さ れ た 後 は 、 まず 、 測 定 器 、 測 定 者 、 装 置 な ど の
測 定 シ ス テ ム の 内 容 を 明 らか に す る 。
ス テ ップVI:こ
の 測 定 シス テ ム に よ り測 定 が 行 わ れ 、 測 定 結 果 が 得 ら れ る 。
ステップVII:ステップIVからVIの測定プロセスの中で、適切な計測方法がないとか、校正
の た め の 標 準 が な い 、 ト レー サ ビ リテ ィ が 取 れ て い な い 、 と い う よ うな 状 況
が あ れ ば 、 そ れ は 管 理 の 問 題 で あ り、 サ ポ ー ト側 の 問 題 と して 計 測 プ ロセ ス
の 中で 解 決 され る。
ス テ ップVIII:測 定 シ ス テ ム の 評 価 は 測 定 の 誤 差 の 大 き さ に よ っ て 行 わ れ る 。
ステ ップIX:測 定の結果は測定の計画 の下でのデータとして利用 される。データ解析が行
われ、一連の測定すなわち実験あ結果が得 られる。
ス テ ップX:こ
れ が 正 当 に 評 価 さ れ 、問 題 解 決 の た め の ア ク シ ョ ン が 取 られ る と い う 形 で 、
計 測 の 問 題 が 発 生 した 場 面 に 結 果 が フ ィ ー ドバ ッ ク され る 。
ス テ ッ プIVま で の 部 分 は 「
計 測 プ ロセ ス 」 の 出 発 点 と な る 。
計測特性が選定されたステ ップIVか らで計測結果を得 るステ ップVIま での作業的な部分
は 「
測 定 プ ロセ ス 」 で あ る 。 測 定 プ ロ セ ス は 、 ス テ ッ プVIで 信 頼 性 の 高 い 測 定 の 結 果 を 得
る こ と に よ っ て 完 結 す る。 ス テ ッ プVII、VIIIは
、オ フライ ン的 に 、測定 システ ム を確 立す る
と い う測 定 プ ロ セ ス を サ ポ ー トす る 計 測 プ ロセ ス で あ る。
ス テ ッ プIX、Xの
部 分 が 管 理 的 な 計 測 プ ロ セ ス の 完 結 部 で あ る 。特 に 、 結 果 が フ ィ ー ド
バ ッ ク され 、 問 題 が 解 決 す る こ と に よ っ て 、 計 測 プ ロセ ス は 完 結 す る 。
トラ ブ ル が あ っ た こ と が 出 発 点 で あ れ ば 、 終 着 点 は トラ ブ ル の 解 決 で あ る 。 この た め の
一 連 の 活 動 が 計 測 プ ロセ ス で あ る 。 計 測 の 目的 が 達 成 さ れ 、 問 題 が 解 決 す れ ば 、 計 測 プ ロ
セ ス は 全 体 と し て パ フ ォ ー マ ン ス の 高 い も の で あ る 、 と結 論 す る こ と が で き る 。
こ の よ うな 一 連 の 計 測 に 関 わ る 活 動 の 過 程 を 、 管 理 的 な 部 分 で あ る 計 測 プ ロセ ス と作 業
的 な 部 分 で あ る 測 定 プ ロセ ス と に 分 け て 整 理 して 示 し た も の が 、 図4-1-1で
あ る。右 の列
は 作 業 的 な 測 定 プ ロ セ ス で あ り 、 中 央 の 列 は 目的 設 定 か ら結 果 を 得 る ま で の メ イ ンの 計 測
プ ロ セ ス で あ り、 左 の 列 は メ イ ンの プ ロセ ス を 支 援 す る部 分 で あ り、 や は り計 測 プ ロセ ス
の一 部 で ある。
図4-1-1計
測 プ ロ セ ス と測 定 プ ロ セ ス の 構 造
この 段 階 で 、 パ フ ォ ー マ ンス の 高 い 計 測 プ ロセ ス を 如 何 に 設 計 して い く か 、 と い う問 題
は 、次 の二 つ の問題 に分 ける ことが で き る。
① 計測の目的に照 らして、如何に信頼性の高い計測 プロセス を実現するか。
②測定方法が決 まった段階で、如何 に信頼性 の高い測定プロセス を実現するか。
それぞれ、計測 システムと測定 システムの設計に対応 し、その内容 と方法を規定すること
によ り計測プロセス設計が実現する。
② の 測 定 プ ロ セ ス の 段 階 で は 、 計 測 特 性 ・計 測 方 法 が 決 ま っ た 後 、 信 頼 性 の 高 い測 定 が
可 能 に な る よ う に 計 測 方 法 とそ の 管理 方 法 、 す な わ ち 測 定 シ ス テ ム を 明 らか にす る こ とが
要 求 さ れ る 。こ こで 、信 頼 性 の指 標 に な る の が 、測 定 の 誤 差 の 大 き さ で あ る 。 この部 分 は 、
前 章 ま で に見 て き た よ う に 、 ハ ー ドウ ェ ア に偏 っ て は い る が 、 比 較 的 検 討 が 進 ん で い る 部
分 で あ る。 この段 階 を 「
計 測設 計」 と呼 び、全 体 の 「
計 測 プ ロセ ス設計 」 と区別す る。
① の 主要 な部 分 は 、問題 の ある外 部 とのイ ンター フ ェイ ス の部分 、す な わ ち計 測プ ロセ
ス の 初 め と 終 わ りの 段 階 の 問 題 で あ る 。 初 め の 段 階 で は 、 信 頼 性 の 高 い 「計 測 」 を実 現 す
る には 「
何 を如 何 に 測 るか 」 と い う計 測 特 性 と計 測 方 法 の 選 定 が 行 わ れ る が 、 個 別 的 な 検
討 が 中 心 で 、 一 般 的 な 方 法 論 は あ ま り検 討 が 進 ん で い な い 部 分 で あ る 。 ま た 、 計 測 の 実 行
段 階 で は、 「
如 何 に デ ー タ を 集 め 、 何 を 評 価 特 性 とす る か 」 と い う実 験 計 画 と 評 価 指 標 の
選 択 が キ ー ポ イ ン トに な る 。 実 験 計 画 の 内 容 と解 析 に つ い て は 多 く の研 究 が 進 め られ て い
る が 、 計 測 の 中 で 有 効 に 活 用 され て い る と は い え な い。 ま た 、 評 価 指 標 と い う点 で は 、 比
較 的 安 易 に 考 え られ て お り 、 測 定 で き た と こ ろ で 安 心 して い る 部 分 が 大 き い 。
4.1.2計
測 設 計-測 定 シ ス テ ム の 設 計
計 測 特 性 が 決 め られ た こ と を 前 提 に して 、 測 定 シ ス テ ム を 構 成 す る 要 素 で あ る 、 ソ フ ト
とハ ー ドの 二 つ の 面 、 す な わ ち 、 測 定 方 法 と そ の管 理 方 法 を 含 ん だ 総 合 的 な 設 計 を 計 測 設
計と呼ぶ4-1)。それは、次に示す測定システムの内容を規定することである。
・測 定 シス テ ム の 規 定
・測定方法
(ハー ドウェア)測
測定対象の規定
定方法 ・測定器の規定
測定設定条件の規定
・管理方法
(ソフ トウェア)測
測定環境条件の規定
校正方式(標 準/管 理限界/校 正間隔)
定の計画 と解析
測定 システムの管理
測定手順の管理
・測 定 シス テ ム の パ フ ォ ー マ ンス の 評 価
測 定 の誤差 評 価
シス テ ムの最 適 化
従 来 の測 定 シス テム の研 究 で は 、 「
測 定 の 誤 差 は 使 用 し た 計 測 器 の 誤 差 で あ る 」 と して
ハ ー ド中心 に検 討 が 進 め られ て き た 。 そ れ に対 して 、 そ の 周 辺 条 件 、 ソ フ トを 含 め た 測 定
シ ス テ ム を 規 定 し 、 評 価 の 対 象 と し て 取 り上 げ る こ と を 第 一 に 主 張 す る 。2、3章
で述 べ
て き た よ う に測 定 シ ス テ ム 全 体 を 規 定 し て は じ め て そ の 性 能 で あ る誤 差 の 評 価 が 可 能 に な
る 。 特 に 、 校 正 方 式 、 管 理 の 内 容 に よ っ て 、 測 定 結 果 の 信 頼 性 に大 き な 差 が 生 じ る 。 そ の
意 味 で 、 測 定 とい う 限 定 的 な 用 語 を 使 わ ず 、 広 く 計 測 の 立 場 か ら測 定 シ ス テ ム を設 計 す る
と い う意 味 で 「計 測 設 計 」 と い う用 語 を用 い る 。
測 定 シ ス テ ム の ハ ー ドウ ェ ア 、 ソ フ トウ ェ ア が 規 定 され た 場 合 、 そ の パ フ ォー マ ンス を
評 価 す る 指 標 は 測 定 の 誤 差 の 大 き さ で あ る 。 従 来 の 誤 差 評 価 の 限 界 は 、 ソ フ トウ ェ ア を 抜
き に し て 、 ハ ー ドウ ェ ア だ け で誤 差 を 評 価 し よ う と した と こ ろ で あ る 。 評 価 対 象 で あ る 測
定 シ ス テ ム の 内 容 を 明 らか にす る こ と に よ っ て 、誤 差 の 内 容 が 明 らか に な る 。 最 終 的 に 、
測 定 の 誤 差 の 大 き さ が 要 求 精 度 を満 足 して い る か ど うか に よ っ て 、そ の 測 定 シ ス テ ム の 採
否 が 決 め られ る 。 した が っ て 、 計 測 設 計 の 方 法 と して は,次 の2つ が あ る 。
① 測定の誤差評価:測 定の誤差をいかに評価す るか。
② システムの最適化:誤 差の小さい測定 システムをいかに実現するか。
測定の信頼性 を向上させるための計測設計の方法論として、4.2節
で述べるよ うに計測
の機能 に着 目し、機能性の評価 と改善の方法を提起 している品質工学の考え方 を活用す る。
① の 誤 差 評 価 の 方 法 に つ い て は 、2章
の 方 法 は 、 「JISZ9090測
定-校
に 述 べ た よ う に 、SN比
の 方 法 を用 い る 。SN比
正 方 法 通 則 」 の 中 に も 採 用 さ れ て お り 、測 定 を 実 際 に 行
うた め の 測 定 シ ス テ ム を 最 適 化 す る 基 礎 とな る 、 測 定 の 誤 差 の 大 き さ の 評 価 方 法 を 与 え て
い る。
② の 誤 差 の 改 善 を 行 うた め の 方 法 と して 、SN比
に よ る ば らつ き の 大 き さ の 評 価 を ベ ー
ス に し て シス テ ム の 最 適 化 設 計 を 実 現 す る 、品 質 工 学 の パ ラ メ ー タ(ロ バ ス ト)設 計4-2)、
許 容 差 設 計 を 適 用 す る。 計 測 の 誤 差 の 場 合 も 、 か た よ り は校 正 に よ りな くす こ とが で き る
が 、 ば らつ き に は そ の補 正 の 手 段 が な く、 そ れ を 最 小 に して お く こ とが シ ス テ ム の 設 計 の
第 一歩 で あ る。
測 定 シ ス テ ム に は 必 ず 何 等 か の 変 動 が 発 生 し 、 測 定 の 誤 差 と な る が 、 そ れ を 小 さ く抑 え
る こ とが 出 来 る の は 測 定 シ ス テ ム の 設 計変 更 か 、 校 正 か の いず れ か で あ る 。 従 来 、 測 定 の
高 精 度 化 は 測 定 の 環 壌 条 件 を 整 備 す る こ と に よ って 実 現 して き た が 、 そ の ま ま で は現 場 で
は 使 え な い 場 合 が ほ とん ど で あ る 。 メ ー カ は 良 い 計 測 器 を 設 計 し、 ユ ー ザ に 供 給 す る の が
任 務 で あ り、 ユ ー ザ は 、 そ れ を 使 っ て 校 正 を 含 め て 計 測 器 の 正 し い 使 用 と管 理 、 す な わ ち
測 定 シ ス テ ム の 設 計 ・運 用 を 行 う こ と に な る 。 測 定 シ ス テ ム の パ フ ォ ー マ ン ス を 確 保 す る
責 任 は 、 あ く ま で も 計 測 を 行 う ユ ー ザ の 側 に あ る4-3)。 ま た 、 ユ ー ザ は そ の 責 任 を果 た す
た め に 、 メ ー カ に 良 い 測 定 器 を 製 造 す る こ と を 要 求 す る か 、 自 分 で 良 い測 定 器 を 開 発 す る
こ とにな る。
4.1.3計
測 プ ロセ ス 設 計
パ フ ォ ー マ ン ス の 高 い 計 測 を 実 現 す る た め に 、 一 連 の 計 測 プ ロ セ ス を組 み 立 て る 活 動 を
「計 測 プ ロ セ ス 設 計 」 と呼 ん だ 。前 に 述 べ た 計 測 の プ ロセ ス と 測 定 の プ ロセ ス の 構 造 か ら、
計 測 プ ロセ ス 設 計 の 内 容 は 次 の よ う に 規 定 され る 。
① 計測特性の選定
② 測定方法の選定
③ 計測設計:測 定 システムの規定
④ 測定の計画の策定
⑤ データの解析 と結果 の評価
⑥ 目的の実現:対 策の選定
大 き く括 れ ば 、 計 測 の 計 画 と結 果 の 活 用 で あ る 。
① の 何 を 測 定 した ら よ い か と い う 計 測 特 性 の 選 択 の 問 題 は 、 計 測 の パ フ ォ ー マ ン ス 確 保
の上 で は重 要 で あ るが、個 々の ケー ス 、技 術 内 容 な どによ る ところが大 き く、一 般 的な解
法 は ま だ 見 い だ され て い な い 。 目的 特 性 と 相 関 の 高 い特 性 を 選 ぶ こ と が 一 般 に は 言 わ れ て
い る 。 次 項 で 硬 さの 例 を検 討 す る と と も に 、4で3節 で プ ラ ス チ ッ ク歯 車 の か み あ い 試 験 で
得 られ る 特 性 に つ い て 検 討 した 例 を 示 す 。
② の測定方法の選定では、主 として測定 の精度 と要求精度 との比較が行われている。最
終的 には、③ の計測設計の結果 として 比較 ・確認が行われるが、この段階では経験的な数
値が利用 される。また、破壊測定か非 破壊測定かな どの制約条件や経済条件な ども考慮さ
れる。基本的 には、現場で必要 とされ る条件 と計測方法が持つ条件の比較の問題で、デー
タベースの利用やス コア付 けなどの方 法が用い られる。適切な測定方法がない場合には、
測定方法 の開発が必要になる。 ここの部分の体系的な組立がで きれ ば、計測の活用は容易
になって い くが、現状では、① も② も、熟練者の経験 に基づいた判断 による部分が大き く、
計測の重要な ノウハ ウとなっている。
③ の計測設計 につ いては前項で述べた。
④ と⑤ は 対 応 して い る部 分 も多 く、 こ の 部 分 を 実 現 す る た め に は 、 実 験 計 画 法 、 そ れ に
対 応 した分 散分 析や 予測 な どの方 法 が使 わ れ る 。 この部 分 の方 法 は 、計測 にお け る統 計的
方 法 と し て 研 究 さ れ て い る 。 しか し 、 従 来 、 実 験 の 組 立 は 計 測 プ ロセ ス の 一 部 と して 認 識
さ れ て こ な か っ た た め 、計 測 プ ロ セ ス の 中 で 十 分 に 活 用 され て い る と は い え な い 。しか し、
計 測 の 目 的 を 実 現 す る と い うパ フ ォ ー マ ン ス の 観 点 か ら は 、 ど の よ う な 空 間 で デ ー タ を集
め る か を 規 定 す る 測 定 計 画 は 計 測 プ ロセ ス の 中 で 、 計 測 特 性 の 選 択 に 次 い で 重 要 な ス テ ッ
プで あ る 。
4.1.4試
験 法 開 発 に お け る 計 測 プ ロセ ス 設 計-硬
さ試 験 の 開 発 の 場 合
計 測 プ ロ セ ス 設 計 の 内 容 を 、 材 料 試 験 の 一 つ で あ る 硬 さ 試 験 の 開 発 の 場 合 を 想 定 し 、検
討 す る4-4)。 こ の 部 分 は 、 メ イ ン の プ ロセ ス と い う よ りは 、 支 援 プ ロ セ ス の 部 分 で あ る 。
材料の強度試験を例 にした場合 、試験(測 定)の 目的は材料強度評価 という意味である
程度明確で ある。 どのような強度 を評価 したいかで試験法が選択され る。試験 片を作成 し
てオ フライ ン的 に試験する場合 には引張試験や シャル ピー衝撃試験な どが行われ るし、オ
ンライ ン的 に工程内で試験する場合には、準非破壊試験で ある硬さ試験な どが選 ばれる。
強度試験方法の正 しさを調べ、校正を行 うためには標準が必要であ り、また、現場の強
度試験機 を校 正するためには、標準試験片の開発が不可欠で ある。 しか し、破壊試験であ
る強度 試験 の場合、同 じ試験片を何回 も測定す ることはできな いため、標準試験片の開発
は難 し く、他の測定方法 に比べ遅れている。
強度試験方法及び標準試験片の開発 を通 して、硬 さ試験 を確立するという一連の研究プ
ログラムの場合 について、仮想的に計測プロセ ス設計の考え方 をあてはめる。計測法確立
のため に必要な事項 を整理すると、次のようになる。
①
測定量の定義
②
量の定義を実現する試験 システムの選択
③
標準試験片の製作技術の開発
④
試験機 と試験条件の設計
⑤
標準の設定
⑥
試験法の管理方法の整備
① は 測 定 す る 量 の 定 義 を 明 確 に す る と い う最 初 の 段 階 で 、 計 測 の 目的 にそ っ て ど の よ う
な 種 類 の 硬 さ 値 を 測 るか と い う試 験 法 を 決 め る 問 題 に 対 応 す る 。 こ こ で は 、 ロ ッ ク ウ ェ ル
Cス ケ ー ル 硬 さ 試 験 を選 ん だ と 仮 定 す る 。 ロ ッ ク ウ ェ ル 硬 さ 値 は 、 頂 角120度
ン ド圧 子 に 試 験 荷 重150kgfを
か け て 押 込 ん だ と き の 押 し込 み 深 さ をh(μm)と
のダ イ ヤ モ
した と
き、
と定 義 さ れ て い る 。 直 接 測 定 さ れ る 量 は 押 し込 み 深 さ(μm)で
れ を 硬 さ 値(HRC)に
あ り、 試 験 機 と し て は こ
変 換 して 表 示 す る 。
② は 試 験 方 法 を ハ ー ドウ ェ ア の 測 定 シ ス テ ム と し て 規 定 す る こ と で あ る 。 硬 さ 試 験 機 の
試 作 の 場 合 、 定 義 を 実 現 す る 硬 さ試 験 機 を ハ ー ドウ ェ ア と し て 実 現 す る 段 階 で あ る 。 例 え
ば 、 荷 重 負 荷 方 式 に つ い て 、 デ ッ ドウ ェー ト式 、 油 圧 式 、 サ ー ボ 式 の いず れ を 取 る か な ど
を 選 択 す る シ ス テ ム 設 計 の 段 階 で あ る 。 市 販 品 を選 ぶ 場 合 で あれ ば 、 型 式 の 選 択 に な る 。
③ では、測定量 の基準 となる硬 さ試験片 を製作するための製造技術 の開発が行われ る。
次の④ の段階で試験方法の最適化や正 しさを求めるためには、標準試験片が必要である。
硬 さ試験 にお いては、 目的特性である強度の違いを実現す る標準強度試験片を製作す るた
めの技術 としては熱処理技術の開発 が中心になる。標準試験片は、安定で再現性が高 い物
であること、さ らに、試験片の値 に意 図的 に差 を作る ことが要求され る。試験片の値 の差
は製造条件を変化 させ ることによ り実現で きるような計画 を組む。
④ では、測定 システム として選定 した具体的な試験方法 を、ハー ドウェア としては安定
した試験機 として、また、ソフ トウェア としては普遍性の高い強度値を実現す る試験条件
の設定として実現す る。硬さ試験の場合、試験方 法として荷重付加パ ター ンな どの試験条
件は定義 されてお らず任意性が あるが 、現実 たは これ らの条件を決めなけれ ば試験法 とし
て完結 しない。 これ らについて試験の機能性の立場か ら条件設定する。その際 、③ の段階
で作 られ た安定 した基準片を用いて、再現性 、安定性 、比例性 の立場か ら条件設定 を行 う。
また、この段 階で、試験機を構成す る条件や要素の仕様の単位と、求めたい強度の単位 と
は異なる ことか ら、試験機の各要素の誤差を硬 さの誤差に変換するために、影響の大 きさ
を表現する比例係数 を見積 もることが必要 とな る。
⑤ で は、標準 を決める。量の定義が完全で あれば、それ を忠実に実現する装置によ り標
準 を実現 できる。硬 さ試験 の場合、標準試験機を標準 とす る。標準試験機によ り試験片の
絶対値 を決定す る。この試験片も標準物質として標準 にな り得る。 しか し、試験片はその
使用範 囲に限度があ り、スケールを内部に持 つ試験機 を標準 とすることによ り、よ り一般
的な システムを構成す ることができる。 どち らを基準 として用 いるかは、その時点での技
術 力による。標準値 を実現するもの(標 準試験機)の 経時的、あるいは環境的な安定性 に
ついて も評価す る。
⑥で は、開発 された試験法 を高精度で維持 してい くための管理方法を設定す る。その中
には、試験機 と試験片 による測定 システムの管理 と校正方式が含まれる。特 に、一次標準
で ある国の標準試験機の場合、それが トレーサ ピリティの トップにあることか ら、標準試
験機の変化を他 の試験機 によ り校正するとい うわけにはいかな い。そのため、試験機 の要
素の管理 を中心 に、試験片で管理状態を確認するとい う管理 システムを取ることが必要で
ある。
こ れ ら一 連 の 活 動 は 、 従 来 、個 別 に検 討 さ れ る こ と が 多 か っ た が 、 試 験 技 術 の 性 能 を よ
り向 上 さ せ ト レー サ ピ リ テ ィ体 系 と し て 確 立 さ せ て い く た め に は 、 計 測 シス テ ム と して 捉
え た総 合 的 な 計 測 プ ロセ ス設 計の立 場 か らの研 究が 必 要 とな る。
このような計測法及び標準の確立 は、計量研究所 の様な標準研究所だけで必要なのでは
な く、実物標準な ど生産現場で本当に使える標準 と測定 システムを確立するため には、 ど
こでで も必要 になる技術である。特 に、現場で使えるという意味では、それぞれの生産現
場での計測 の問題で もある。
4.2生
4.2.1生
産 シ ス テ ム に お け る 計 測 の パ フ ォー マ ン ス
産 シ ス テ ム に お け る 計 測 の パ フ ォ ー マ ンス
生 産 シ ス テ ム に お け る 計 測 と計 測 プ ロセ ス 設 計 を 、 計 測 の パ フ ォ ー マ ン ス の 立 場 か ら 明
らか に す る 。 す な わ ち 、 計 測 を 生 産 シ ス テ ム の 中 で の 活 動 の 目 的 に 照 ら して 検 討 し 、 計 測
の パ フ ォ ー マ ン ス を 向 上 さ せ る た め の 方 向 を 明 らか に す る 。
製 品 の 生 産 シス テ ム に お い て 、 あ らゆ る 活 動 は 、"品 質 の 良 い 製 品"を
作 り出 す た め に
行 わ れ る 。 そ の 中 で 、 計 測 は 、 工 程 が どの よ う な 製 品 を 作 り出 して い る か を評 価 す る た め
の 活 動 で あ り、 ア ク シ ョ ン の 基 に な る 情 報 を 生 産 して い る と い う意 味 で 、 品 質 管 理 の 基 礎
で あ る とい わ れ て き た。 例 え ば 、 「
検 査 計 測 」 「計 測 制 御 」 と い う こ と ば に 象 徴 さ れ る よ
う に 、 計 測 と い う こ と ば は 単 独 に 使 わ れ る よ り は 、 そ の 目的 とす る 意 図 と強 く結 び 付 け ら
れ て き た 。 す な わ ち 、 計 測 は検 査 と 同 等 に み ら れ る こ と が 多 く、 制 御 の た め の 計 測 と位 置
づ け ら れ て い る こ とが 多 か っ た 。 こ の よ う に 計 測 が 計 測 単 独 と して 存 在 す る こ とが 難 し い
状況 は、 む しろ計測 関 係者 以外 の 部分 で 強 く認 識 され てお り、逆 に、計 測 関係 者 の 中で は
そ の よ うな意 識 は 希薄 で あ った とい うのが現 実 で あ る。
従 来 の 計 測 あ る い は 計 量 管 理 が 単 に 測 定 値 を 出 す だ け と い う形 で 、 生 産 シ ス テ ム の 大 き
な 目的 に 対 し て 間 接 的 な ま ま に終 わ る 場 合 が 多 か っ た が 、 積 極 的 に 、 生 産 シ ス テ ム に お け
る 計 測 の 役 割 を 規 定 して 、 目的 に 対 す る 寄 与 の 大 き さ を 主 張 し て い く こ とが 必 要 で あ る 。
生 産 シ ス テ ム に お い て 、"評 価 → 対 策 → ア ク シ ョ ン"と
い う流 れ の 中で 、 計測 によ りどれ
だ け の 評 価 が 可 能 に な り 、 ア ク シ ョ ン が 可 能 に な っ た か 、 ま た 、 そ れ を 通 して どれ だ け 製
品 の 品 質 が 向 上 した か に よ っ て 、 計 測 の パ フ ォ ー マ ン ス が 決 ま る 。
4.2.2生
産 シ ス テ ム にお け る 計 測 の 歴 史
生 産 シス テ ム に お け る 計 測 の歴 史 は 品 質 管 理 の 歴 史 と 表 裏 一 体 で あ っ た と い え る 。 工 程
に お け る 計 測 は 検 査 か ら始 ま っ た 。 工 業 化 ・大 量 生 産 が 始 ま っ た 初 期 の 段 階(第
一 段 階)
では、生産工程の工程能力がなくばらつきが大きいため、作った製品を測定し、良品、不
良 品 に 選 別 す る 検 査 が 、 市 場 に不 良 品 を 出 荷 し な い 唯 一 の 手 段 で あ っ た 。 こ の よ う な 状 態
は 現 在 で も 見 られ る 。 例 え ば 、 半 導 体 産 業 に お い て 、 生 産 技 術 が 未 熟 な 初 期 の 時 点 で は 最
終 的 な 製 品 の 保 証 は検 査 に頼 らざ る を 得 な か っ た 。
生 産 技 術 が 向 上 し、 工 程 能 力 が 上 が り、 製 品 の ば ら つ き が 小 さ く な る に つ れ て 、 第 二 段
階として,シューハートに代表されるような統計的管理図手法が使われるようになった。
管理 図 法 は 、工 程 の ば らつき を監視 す る こ とに よ って 工程 の異 常 を検 出す るた め の シ ステ
ム で あ り、 現 在 で も多 く の 製 造 業 で 利 用 さ れ て い る.そ
こで の 計 測 の 役 割 は 、 工 程 の 出 力
で あ る 製 品 の 特 性 の 測 定 で あ り、 検 査 と基 本 的 に は 同 じで あ る 。 た だ 、 計 測 結 果 に 基 づ く
ア ク シ ョンの対 象 が 、検 査 の場 合 に は個 々 の製 品で あ った の に対 し、 管理 図 法で は これ か
ら生 産 さ れ る 製 品 で あ り、 工 程 そ の も の で あ る 点 で 検 査 と は 異 な る 。 管 理 図 法 で は 、 統 計
的 管 理 状 態 か ら は ず れ た 場 合 に は 工 程 を 停 め 、 原 因 を 追 求 し直 す と い う こ とが 中 心 で 、 現
実 に 生 じた 工 程 の 大 き な 変 動 に 対 し て 対 処 す る こ と は で き る が 、 許 容 限 界 内 で の 製 品 の ば
らつ き を 滅 らす と い う 工 程 の 改 善 に は つ な が り に く い 。
工 程 を 改 善 す る と い う 観 点 か ら 、 第 三 段 階 と して 、 工 程 で 品 質 を 作 り込 む と い う 形 で の
品質管理運動が展開された。QCサークルや"KAIZEN"など、日本的な品質管理活動が
世界的な注 目を浴びた。 ここでは、原因系の調査のために多 くの計測が導入 され、工程の
ば らつ き原 因を丹念 につぶ していくとい う活動が活発に行われた。 また、 この段階で工程
内計測が多 く出現 しているが、その多 くは、製 品を作る過程 における条件管理のための計
測が中心であり、いろいろな工程条件がある決め られた統計的管理状態 にあることを監視
す るとい う、検査的な考 えのもとにおかれたものが中心で あった。
第 四 段 階 で は 、 工 程 を 制 御 す る た め に工 程 内 で の 計 測(オ
ン ライ ン 計 測 と い う)が 行 わ
れ 、 そ の 結 果 に よ っ て 工 程 の 制 御 が 行 わ れ る 。 現 在 の 多 く の 生 産 シス テ ム は こ の 計 測 ・制
御 シ ス テ ム を 前 提 に 組 み 立 て られ て い る 。 オ ン ライ ン 計 測 に よ っ て 工 程 の 状 態 を 正 し く把
握 し,こ れ か ら作 られ る 製 品 に 対 す る ア ク シ ョ ン が 正 し く行 わ れ る な らば,工 程 の 最 後 に
お い て 個 々 の 製 品 を 検 査 す る必 要 は な く な り,製 品 の 監 査 的 な 計 測 が 残 され る.し か し、
計 測 設 計 の 立 場 か らみ れ ば,工 程 内 で の 動 的 な プ ロセ ス を 含 む 対 象 に対 す る 計 測 の 正 し さ
を確 保 す る た め の 方 策 は 必 ず し も 十 分 と は い え な い.
さ ら に,第 五 段 階 と し て,品 質 工 学 が 提 起 し て い る よ う に,よ
り源 流 で あ る 設 計 段 階 で
の 技 術 に よ っ て 品 質 を 確 保 す る 段 階 に 入 っ て い る.こ こ で は,製 品 や 工 程 の 設 計 にお い て,
ノイ ズ の 存 在 の も とで 製 品 の 機 能 や 工 程 の 機 能 が ば らつ か な い よ うな 最 適 化 設 計 を 行 う こ
と を め ざ し て い る.従
来 の 品質管 理 がそ の対 象 を量産 段 階 で の生 産 工程 の 中で の対 策 を考
え て き た が,量 産 に は い る 前 の 検 討 が 重 要 で あ る こ と が 提 起 さ れ 、 開 発 設 計 にお け る 計 測
(オ フ ラ イ ン計 測 と い う)の 重 要 性 が 強 調 され て い る.
この よ う な 歴 史 的 側 面 を 見 て も 、 品 質 の 基 に な る デ ー タ を 作 り 出 す 計 測 の 重 要 性 は 一 般
的 に は 強 調 され て き て い る.し か し,そ れ は情 報 と して の 重 要 性 で あ り、 計 測 が 直 接 に 製
品 を 生 み 出 す わ け で は な い 。 情 報 を ど う活 か す か 、 活 か さ な い か は 、 情 報 を 生 産 し た 計 測
部 門 の 手 を 離 れ て い た の が 現 実 で あ る 。 ま た 、 製 品 が 不 完 全 で あ っ た り、 ク レー ム に な っ
た よ うな と き に 、 トラ ブ ル の 原 因 追 求 の 手 段 と して 計 測 が 利 用 さ れ る と い う場 面 も多 くみ
ら れ る 。 そ の 意 味 で 、 計 測 は 余 計 な も の で あ り 、 な け れ ば な い方 が よ い と い う 考 え も ま た
一 般 的 で あ る 。 オ フ ラ イ ン計 測 に 基 づ い た 工 程 の 設 計 段 階 が う ま く機 能 す れ ば 、 工 程 内 の
オ ン ライ ン 計 測 は 簡 単 な も の で よ く、 工 程 で の 計 測 や 検 査 は 省 略 可 能 で あ る。 こ れ か らの
計 測 は 、 製 品 や 工 程 の 設 計 段 階 で 新 た な 価 値 を 生 み 出 す た め の 計 測 が 中 心 に な る と考 え ら
れ る。
4.2.3品
質 の 評 価 と 改 善-品
質工 学 の 活 用
生 産 シ ス テ ム に お け る キ ー ワー ドで あ る 「品 質 」 は 、 「品 物 叉 は サ ー ビ ス が 、 使 用 目 的
を 満 た して い る か ど う か を 決 定 す る た め の 評 価 の 対 象 とな る 固 有 の 性 質 ・性 能 の 全 体 」(品
質 管 理 用 語:JIS
Z8101)と
定 義 され て い るが 、そ れ を具体 的 に ど う定 量化 す るか につ い
て は 、多 く の 議 論 が 行 わ れ て い る 。 大 き く分 け る と 、 使 用 者 側 か ら の 定 義 、 生 産 者 側 か ら
の 定 義 、 ま た 、 そ れ を 融 合 さ せ た も の が 上 げ られ る が 、 こ こで は 、 田 口 に よ り開 発 さ れ た
品 質 工 学 に お け る 品 質 の 定 義 を 援 用 す る4-5)。
田 口は 「品 質 と は,製
品 が 出 荷 後 、 社 会 に 与 え る 損 失 で あ る 。 た だ し、 機 能 そ の も の に
よ る 損 失 は 除 く 。」 と定 義 して い る 。 こ こ で 、 損 失 の 中 に は 、 機 能 を 満 た さ な い こ と に よ
る 、 予 定 の 効 用 を 満 足 しな い た め の ユ ー ザ の 損 失 、 あ る い は 、 予 定 の 効 用 を満 た す た め に
使 わ れ る 予 定 外 の 支 出 な ど を含 む 。 す な わ ち 、 社 会 に 与 え る 損 失 を 、 ユ ー ザ に 依 存 す る 製
品 の 機 能 に よ る効 用 そ の も の で は な く 、 個 々 の 製 品 に よ っ て 異 な る 機 能 の ば らつ き に よ っ
て 製 品 に 期 待 さ れ た 効 用 を 満 た さ な い こ と に よ る ユ ー ザ の 損 失 を 、 金 額 の 形 で 定 量 化 しよ
う と し て い る。 こ の よ うな 定 義 を 用 い る こ と に よ っ て 、 品 質 評 価 に 、 技 術 評 価 と して の 客
観性 を もた せ る こ とが 可能 とな る。
具 体 的 に は 、 こ の よ うな 損 失 は,個
能 特 性yの
目 標 値(設
計 値)mか
々 の 製 品 の 機 能 の ば らつ き に よ っ て 生 じ,製 品 の 機
ら の 差 の2乗 平 均(誤
差 分 散 の 大 き さ)に 比 例 す る と い
う損 失 関 数 と し て 、 定 量 的 に 表 現 さ れ る 。 式 で 表 せ ば 、 個 々 の 製 品 に対 して は 、
で あ り 、 標 準 偏 差 σの ば らつ き を持 つ 製 品 群 に 対 し て は 、 個 々 の 製 品 の偏 差 の2乗(ym)2は
製 品 群 の分 散
σ2に
置 き換 え る ことが で き 、
となる。ただし、係数kは、製品が許容差Δを超えたときの損失の大きさAにより、次の
よ うに決 め る ことが で き る。
ま た 、 計 測 に 誤 差 が あ る 場 合 、 そ の 誤 差 は 目標 値 か ら の 差 と して 評 価 さ れ る こ とか ら 、 測
定 の 誤 差 の 大 き さ を 分 散 σm2で
表 せ ば 、 測 定 の 誤 差 に よ る損 失 は
で 表 さ れ る 。 す な わ ち 、 損 失 関 数 は 測 定 の 対 象 で あ る 製 品 に依 存 す る。
こ の よ うな 損 失 関 数 の 立 場 か らは 、 目標 値 す な わ ち 設 計 値 か らの 偏 差 の 小 さ い 製 品 が 、
ば らつき が小 さ く、 品質 の 高 い製 品 で あ る。 この よ うな 製品 を製造 す るた め の 、生産 シス
テ ムの管 理 の問 題 と して は、
①
製 品 の 平 均 値 を 目標 値(設
計 値)に
合 わせ る。
②
製 造 の ば らつ き そ の も の を 小 さ くす る 。
の 二 つ の 課 題 に な る 。 こ れ は 、 計 測 に お け る か た よ り と ば らつ き の 問 題 と 同 じで あ り 、 計
測 プ ロセ ス と工 程 と を 相 似 的 に 検 討 す る こ とが 可 能 で あ る 。4.1.2項
の計 測設 計 の課
題 と対 応 す る 。
こ こで 、 ① は 平 均 値 の 校 正 あ る い は チ ュ ー ニ ン グ の 問 題 で あ る 。 比 較 的 研 究 も進 ん で お
り、 工 程 の 時 間 的 な 変 動 を 検 出 し 、 予 測 に基 づ く修 正 を 「
工 程 の 校 正 」 と して 実 現 す る オ
ン ラ イ ン管 理 の 問 題 と して 解 決 す る こ とが 可 能 で あ る 。 基 本 的 に は 、 計 測 の か た よ り を修
正 す る た め の 校 正 の 考 え 方 は 工 程 の 校 正 に お い て も 有 効 で あ る4-6)。 オ ン ラ イ ンで の 工 程
の構成 の問題 については第5章 で検討する。
一 方 、② は ば らつ き の 改 善 の 問 題 で あ る 。 ば らつ き の う ち 、 工 程 の 長 時 間 の 変 動 は 一 定
時 間 間 隔 で の 校 正 に よ っ て 修 正 さ れ る と して も 、 そ の 時 間 間 隔 内 の ば らつ き を小 さ くす る
こ とが 問 題 の 中 心 で あ る 。 従 来 、 ば らつ き の 問 題 は 扱 い が 難 し く 、 余 り研 究 が 行 わ れ て こ
な か っ た 。 田 口 がSN比
の 方 法 を 用 い た パ ラメ ー タ 設 計 の 方 法 を提 起 し て 以 来 、 ば ら つ き
を い か に 減 らす か と い う ロバ ス トネ ス の 改 善 の 問 題 が 生 産 シス テ ム の 中 で 重 要 視 さ れ る よ
うにな った 。
この よ う に 、① の 校 正 の 問 題 は オ ン ライ ンの 管 理 シ ス テ ム の 問 題 と して 、 ま た 、 ② の ロ
バ ス トネ ス の 改 善 の 問 題 は オ フ ライ ン の 設 計 の 問 題 と して 解 決 して い く こ とが で き る 。
こ こで 、 オ ン ラ イ ン 、 オ フ ラ イ ン を 次 の よ う に考 え て い る 。
オ フ ラ イ ン:生
産 準備
→ 製 品 ・工 程 の 設 計
オ ン ラ イ ン:製
造段階
→ 工 程 ・製 品 の 制 御
生 産 シス テ ム の 流 れ を 、 生 産 準 備 段 階 の オ フ ライ ン と製 造 段 階 の オ ン ラ イ ン と に大 き く 区
分 す る。 オ フ ラ イ ン の 部 分 は 、 製 品 の 設 計 、 工 程 の 設 計(生
産 技 術)な
どにお いて 、多 く
の ば ら つ き 原 因 に対 す る 対 策 が 設 計 問 題 と して 行 わ れ る 。オ ン ラ イ ン の 部 分 は量 産 段 階 で 、
製 造 の ば らつ き を 制 御 す る た め に 、 量 産 工 程 の 管 理 シ ス テ ム を 最 適 に 設 計 す る。
品 質 工 学 で は 、 製 品 や 工 程 な ど の シ ス テ ム の 設 計 段 階 を 次 の4つ
の 段 階 にわ け る こ と を
提 案 して い る。
① システム選択
②パ ラメータ設計
③許容差設計
④ 許容差の決定
シ ス テ ム 選 択 に お い て は 、製 品 や 工 程 の 機 能 を 発 揮 させ る よ う な シス テ ム の 構 成 要 素 の
組 み 合 わ せ を 決 め る も の で あ る 。 基 本 的 に は 、 物 理 現 象 を 基 に 、 目 的 とす る 機 能 を 実 現 す
る 製 品 や 工 程 を実 現 す る 段 階 で あ る 。 この よ うな 機 能 を実 現 す る シ ス テ ム に ば らつ き を検
出 して 修 正 す る シ ス テ ム を 付 加 す る か ど うか を 決 め る の も シ ス テ ム 選 択 の 一 つ で あ る が 、
修 正 シス テ ム は あ く ま で も 付 加 機 構 で あ り 、 主 シ ス テ ム の 設 計 の 最 終 段 階 で 行 わ れ る こ と
が 多 い。
パ ラ メ ー タ設 計 は シ ス テ ム の 構 成 要 素 の 定 数 を 決 め る 段 階 で あ り 、 許 容 差 設 計 は 、 そ れ
ら定 数 の 許 容 差 を 決 め る 段 階 で あ る 。 シス テ ム 設 計 は 対 象 シ ス テ ム の 固 有 技 術 者 に よ り行
われ るが 、パ ラメー タ設 計 、許 容差 設 計 は品質 工学 の対 象 で あ る。 す なわ ち、安 定性 設 計
の 立 場 か ら シ ス テ ム の 出 力 に ノ イ ズ が 影 響 しな い よ うな 設 計 定 数 を 選 択 す る こ と、 及 び 、
シ ス テ ム の 出 力 に影 響 す る ノイ ズ の 許 容 さ れ る 範 囲 を決 め る こ と に よ って 、 ば ら つ き の 少
な い シス テ ム を 作 り 上 げ る 共 通 の 方 法 論 が 提 起 さ れ て い る 。 パ ラ メ ー タ設 計 は,製 品 の ば
らつ きが 小 さ くな る 条 件 の 組 合 せ を 求 め る た め の,実
る,ば
らつ き の 原 因 系 を 追 求 し,取
験 計 画 法 を用 い た最適 化 の方 法 で あ
り除 く と い う対 策 に 対 し,最 適 成 形 条 件 の 値 を 設 定 す
る こ と に よ って ば らつ き の 小 さ い シス テ ム を 実 現 す る と い う対 策 は,特 別 の コス トが か か
らな い 方 法 で あ る.
パ ラ メ ー タ 設 計 だ け で 十 分 製 品 の ば らつ き が 小 さ くな ら な い 場 合 に は,許
り,ば
容差 設 計 によ
らつ き の 原 因 と な る 条 件 の 変 化 の 幅 を小 さ くす る.一 方 、 パ ラ メ ー タ 設 計 に よ って
十 分 ば ら つ き の 小 さ い シ ス テ ム が 実 現 した 場 合 に は 、 許 容 差 を 広 げ る こ と に よ り コ ス トの
削 減 を 図 る こ とが で き る 。 最 終 的 に は 、 許 容 差 の 決 定 の 段 階 で 、 損 失 関 数 に よ り表 現 され
る 品 質 と コ ス トと の バ ラ ンス を 取 り、 許 容 差 を 決 め る 。 こ の こ と に よ り製 品 あ る い は 工 程
の仕 様 が 決 ま り、品 質水 準が 決 ま る。
4.2.4品
質 設 計 システ ム
生 産 シ ス テ ム の 中 で こ れ ら設 計 活 動 を 有 効 に 働 か せ る シス テ ム と し て 、 品 質 設 計 シス テ
ム を 提 案 す る 。 品 質 設 計 シ ス テ ム は 、 「量 産 の 初 期 か ら品 質 の 高 い 製 品 を 生 産 で き る」 と
い う 目的 を持 つ シ ス テ ム で あ る 。 従 来 、 品 質 問 題 は 製 造 過 程 の 結 果 と し て 生 じ る と考 え ら
れ て き た の に 対 し 、 意 図 的 に 品 質 を 設 計 し 、 設 計 通 り の 品 質(ば
らつ き)を 実 現 しよ う と
い う考 え 方 で あ る 。
品 質 設 計 シ ス テ ム に よ る 生 産 の 過 程 を ま と め る と表4.2.1の
よ う に な る 。 製 品 設 計 、工
程 設 計 の 中 は 、 シ ス テ ム 選 択 、 パ ラ メ ー タ 設 計 、 許 容 差 設 計 、 許 容 差 の 決 定 の 各 段 階 に対
応 し 、実 験 の 方 法 な ど は 共 通 の 方 法 が と られ る 。実 験 の 制 御 因 子 は 共 通 して 対 象 シ ス テ ム 、
す な わ ち 、 製 品 や 工 程 の 構 成 要 素 が 取 り上 げ られ る が 、 誤 差 因 子 の と り方 は 、 製 品 設 計 に
お い て は ユ ー ザ 段 階 で の 使 用 環 境 条 件 や 劣 化 の 条 件 が と られ 、 工 程 設 計 に お い て は 量 産 時
の 工 程 の 変 動 条 件 が と られ る点 で 異 な る 。
表4.2.1品
質設 計 シス テ ム によ る 生産 の過 程
品質設計システムの中で、その基本 を計測 設計 と品質工学 に基づ く評価 と最適化におい
た。計測の側か ら見れば、生産 システムの目的である品質の設計のために計測が寄与でき
るものを明 らか にす るための システムであるということができる。
オンライ ン管理の設計で は,工 程の管理 システムの最適化が行われ る。最適化の基準 と
し て は 、 総 損 失 す な わ ち コ ス トと製 品 の ば らつ き に よ る 損 失 の 和 を 最 小 に す る 。 管 理 の 内
容 と し て は 、 工 程 の フ ィ ー ドバ ッ ク 制 御 、 オ ン ラ イ ン 計 測 器 の 校 正 シ ス テ ム 、 工 程 の 異 常
を 対 象 に した 工 程 の 診 断 と 調 整 、 さ ら に、 検 査 設 計 な どが あ る 。
オ ン ライ ン 計 測 に 関 わ りが 深 い 問 題 と して は 、 量 産 時 に,製 品 の オ ン ラ イ ン計 測 に 基 づ
い て 行 わ れ る工 程 の 予 測 ・制 御 の フ ィ ー ドバ ッ ク制 御 で あ る 。 パ ラ メ ー タ 設 計 に よ っ て,
ば ら つ き が 小 さ くな り,目 標 値 か ら の か た よ りが 小 さ くな る 条 件 が 見 つ け られ,そ
量 産 が 行 わ れ て い る が,実
の下 で
際 に は,環 境 条 件 や 考 慮 さ れ て い な か っ た 条 件 に よ っ て 工 程 が
変 動 し,結 果 と して 製 品 の ば ら つ き が 大 き くな る可 能 性 が あ る.こ
の よ うな か た よ り を修
正 す る た め に,成 形 直 後 の 成 形 品 を 直 接 計 測 し,目 標 値 に 合 わ せ る よ う に 制 御 す る.実 際
の 予 測 ・制 御 は オ ン ライ ン(量 産 段 階)で
行 わ れ る が,そ
の ため の最 適 な条 件設 定 は量 産
開 始 前 の 品 質 設 計 シ ス テ ム に お いて 検 討 さ れ る.
一方
,オ ン ライ ン 計 測 が 行 わ れ る よ う に な る と,生 産 設 備(加
工 機)と
して 設 備 さ れ る よ う に な り,そ の 区 別 が つ か な くな っ て き て い る.さ
計測 器 は一 体 と
ら に,多
くの 場 合 全
体 を 機 能 させ る た め に マ イ ク ロ プ ロセ ッ サ や チ ップ が 組 み 込 ま れ て い る 。 そ の よ う な 場 合
に,全 体 と して の 機 能 を 一 つ の シ ス テ ム と して み る こ と が 多 い.す な わ ち 、 途 中 は ブ ラ ッ
ク ポ ッ ク ス と して も、 加 工 の 意 志 を 信 号 因 子 と して 入 力 し た と き の 出 力 を 見 る事 に よ っ て
評 価 が 可 能 で あ る。 しか し,い
して み る こ と も 可 能 で,計
くつ か の 基 本 要 素 の 機 能 部 分 に 分 解 して 個 々 の シ ス テ ム と
測 サ ブ シ ス テ ムや 加 工 サ ブ シ ス テ ム な ど機 能 の 規 定 の 仕 方 に よ
っ て 評 価 の 方 法 が 異 な っ て くる,
オ フ ラ イ ン 計 測 の 中 で は 、 製 品 設 計 、 工 程 設 計 の 中 で どの よ うな 計 測 プ ロセ ス を 取 る べ
きか が 中心 的 な 問題 で あ る。
まず第一 に、製品や工程の技術開発のための計測 として機能の計測を如何に実現す るか
という問題がある。一般 に、製品の品質を証明するための計測は、製 品や工程 の仕様 に決
め られた特性 を測定 し、評価する ことが求め られる。それに対 し、仕様 を決める設計の段
階では、必ず しも仕様に こだわる必要 はない。何を計測特性に選んで も良い。品質工学で
は製品や工程 の機能を測定 し、その機能性 を評価すべ きであることを提案 している。計測
プロセス設計の立場か らこれを定式化するな らば、計測特性 を製品や工程の機能か ら決め
るべきであるということになる。製 品や工程の機能は本質的に動的な機能で あ り、信号因
子の値 と目的特性の値の対応性 、再現性、安定性が問題 になる。 これ らは、動的機能のS
N比 によって評価が可能である。いろいろな製品や工程の評価 の試みが実験 的になされて
お り、部分的に成功を収めているが、機能 と計測特性を決め る方法は定式化 されていない。
第 二 に 、 ど の よ うな 形 の 測 定 の 計 画 を採 る か と い う 問 題 が あ る 。 こ の 問 題 に 関 して は 、
設 計 問 題 を パ ラ メ ー タ 設 計 と許 容 差 設 計 の 組 合 わ せ と し て 定 式 化 して お り 、 品 質 設 計 シ ス
テ ム で は 明 確 に さ れ て い る 。 す な わ ち 、SN比
によ る評 価 を前 提 に 、パ ラメー タ設 計 あ る
い は 許 容 差 設 計 の 実 験 計 画 に従 っ た 因 子 の 選 定 が 可 能 で あ る 。 因 子 と して は 、 制 御 因 子 、
誤 差 因子 、 信 号 因子 の選 定 が必 要 で あ る。 いず れ も、 具体 的 な 因子 の選 定 は対 象 技術 に よ
るが、実 験 計 画 とい う観 点で の方 法 は 明確 で あ る。
4.3計
測特性の検討の試み
二歯面かみ あい試験によ るプラスチ ック射出成形歯車の評価
4,1節
において、計測の信頼性 を確保 していくための計測プロセス設計を、測定 を行
う測定 システムを設計す る立場 と計測活動全体 を管理する立場 とか ら検討 した。計測特性
が決め られた上で測定を実際に行 う測定 システム に関わる研究は進んでお り、その信頼性
を評価 し、向上 させてい く方法 は明確 にされていると考え られる。一方、何を計測 した ら
よいか という計測特性の選択の問題 は、計測の信頼性 の確保の上では重要であるが、個々
のケース、技術内容などによるところが大きく、まだ一般的な解法は見いだされていない。
計測 によって得 られ る特性が意味す るものを明 らかにす る1つ の試みとして、プラスチ
ック射 出成形歯車の評価 の問題 を取 り上げた。
4.3.1実
験 の 目的
プ ラ ス チ ッ ク 成 形 歯 車 は,キ ャ ビ テ ィ 内 に 樹 脂 を 射 出 成 形 す る こ と に よ り作 られ る た め,
切 削 加 工 に よ る 歯 車 と は 誤 差 の 現 れ 方 が 異 な っ て い る 。 一 般 的 に は,成
形時 の収縮 を予測
してキャビティを設計し,電鋳加工や放電加工により金型の中の個々のキャビティを加工
する。更に,ある成形条件の下で,キャビティ内に樹脂を射出することにより製品として
の 歯 車 が 作 られ る.し
に,個
た が って 成 形 さ れ た プ ラス チ ッ ク 歯 車 に は,キ
々 の キ ャ ビ テ ィ の 加 工 に よ る 変 動,成
ャ ピテ ィ設 計 とは別
形 条 件 の 違 い に よ る変 動 が 現 れ,歯
の 誤 差 の 状 態 は 複 雑 に変 化 し て い る と考 え られ る 。 ま た,材
車 と して
質 が 軟 ら か く,あ る 程 度 の 形
状 誤 差 が あ っ た と し て も,機 能 的 に は 支 障 の な い 場 合 も あ る た め,幾
何学 的 な 形状 の測定
だ け で な く,か み あ い 試 験 等 に よ る 機 能 的 な 測 定 も必 要 で あ る 。
更 に,成
形 加 工 の 特 質 か ら,加 工 条 件 へ の フ ィー ドバ ッ ク を行 うた め に,加 工 さ れ た 多
数 の 歯 車 の 良 否 を短 時 間 で 判 定 しな け れ ば な らな い.一 歯 面 か み あ い 試 験 は 測 定 及 び そ の
評 価 が 難 し く,試 験 機 も高 価 で あ る な ど の 理 由 が あ り,二 歯 面 か み あ い 試 験 が 広 く歯 車 成
形 現 場 に お い て 使 わ れ て い る 。 最 近,成
形 歯 車 の 加 工 精 度 に 対 す る 要 求 が 厳 し くな っ て お
り,歯 車 と して の 誤 差 の 測 定 方 法 を 改 善 し て い く必 要 が 増 大 して い る,
金属歯車の場合,個 別誤差がかみあ い試験 においてどのように検 出されるか,加 工工程
の問題も含 めて研究 は進んで いる4-7)が,プ
ラスチ ック成形歯車の場合,加 工工程が複雑
で あ り,樹 脂の収縮 に異方性がある と考え られるな どの特殊性があり,十 分に検討されて
いるとは言えない。いろいろな条件の下で変化す る誤差の状態 をとらえるためには,実 際
に起 こり得 る条件 の下で成形された歯車 の個別誤差 とかみあい試験の結果 について統計的
評価方法を利用 して検 討す る必要がある。
本節では,成 形加工の改善 を目的 とした二歯面かみ あい試験による成形歯車の評価方法
を検討するために次の ことを行った。同一金型か ら成形された歯車につ いで二歯面かみあ
い試験 によ り得 られ た波形記録よ り,フ ー リエ振幅,各 種の誤差分散等 の特性値 を波形特
性 として得た。次に,個 別誤差の測定値か ら形状特性 を表す特性値 を求めた。両者の特性
値の関連か ら,か みあい試験 によ り得 られ る情報 の内容 と有効性を明 らかにした。
計測プロセス設計の立場か ら言えば、歯車の現実的な測定方法である二歯面噛み合い試
験 の結果得 られる特性を検討 し、測定 で得 られる情報 を整理 した事例で ある。 このような
方法 は計測特性 の選択の方法 として適用可能で ある。
4.3.2実
験の方法
増沢ら4-8)はプラスチック製(成形及び切削)歯車について,個別誤差と二歯面かみあい
誤差 の測定 を行 い,重 回帰分析 によ り両者 の結果を解析 して いるが,そ こではプラスチ ッ
ク製歯車全般を母集 団としている。 しか し,成 形加工工程の改善を目的 とした歯車の評価
方法を検討するためには,同 一の金型か ら成形加工された歯車を母集団として選ぶ ことが
現実的 である。 したが って,こ こでは6個 取 りの金型か ら,成 形条件を変化 させで加工 さ
れた歯 車を、検討対象となる試験歯車 とした実験 を行 った。
表4.3.1歯
車 の諸 元 と成形 条 件
試 験 歯 車 の 諸 元 及 び 成 形 条 件 は 表4.3.1の
通 りで あ る,材 料 の ホ リ アセ タ ー ル は プ ラ ス
チ ッ ク と して は 強 度 が 強 く機 械 部 品 と し て 広 く使 用 され て い る.成 形 加 工 の 中 で 成 形 条 件
の う ち 金 型 温 度 の 影 響 が 大 き い こ と が 分 か って い る4-9)の で,金
型 温 度 を加 工 上 の影響 因
子 と して 選 ん だ 。 温 度 の 水 準 は 標 準 的 な 条 件 と そ の 前 後 の3水 準 に 変 化 さ せ た 。 そ の 他 の
条件は標準的なものを選んだ。金型の中に埋め込まれた6個のキャビディのうち,一つは
軸 穴 の 緑 か ら樹 脂 を 射 出 す る フ ィ ル ム ゲ ー トか キ ャ ビテ ィ で あ り,他 の5つ
は,軸
穴 と歯
先の中間の2か所から樹脂を射出する2点ピンゲートのキャビディである。各キャビティ
は 電 鋳 加 工 に よ り作 られ た もの で あ る 。 ま た,金
の シ ョ ッ トで 得 られ た 歯 車,計36個
まず,金
型 温 度3水
準 そ れ ぞ れ で,連
続 し た2回
を実 験 に使用 した 。
属 製 基準 歯 車 を用 いた二 歯 面 か み あい試 験 を行 った。 二歯 面か み あ い試 験 の プ
ロ ッ ク ダ イ ア グ ラ ム は 図4.3.1の 通 りで あ る 。 基 準 歯 車 に対 し約0.57N(60gf)の
押付力で
試 験 歯 車 を 押 付 け,基 準 歯 車 側 を 駆 動 側 と して 回 転 さ せ た 時 の 軸 間 距 離 の 変 動 を か み あ い
波 形 と して 記 録 した 。 基 準 歯 車 の 回 転 角 及 び 軸 間 距 離 の 変 動 は,電 気 マ イ ク ロ メ ー タ に よ
っ て 検 出 し,ア
速 度 は3-2rpmと
ン プ を 通 し,A-D変
算機 に同時 記 録 した。 基準 歯 車 の 回転
し た が,回 転 速 度 に よ る か み あ い 波 形 の 変 動 は 小 さ い 。 サ ン プ リ ン グ時
間 は1歯 の か み あ い に つ き20デ
した 。
換 し た 後,計
ー タ とれ る よ う に 設 定 し,試 験 歯 車 の4回 転 分 の 記 録 を
図4.3.1か
み あ い試 験 の ダイ ア グ ラム
か み あ い 波 形 の デ ー タ か ら,次 節 で 詳 し く 述 べ る 波 形 特 性 、寸 法 特 性 を 計 算 に よ り求 め,
か み あ い 試 験 に よ り得 られ る 特 性 値 と考 え た 。 こ れ ら を か み あ い 特 性 と呼 ぶ 。
一 方 ,同 じ歯 車 に つ い て 歯 み ぞ の ふ れ,各 種 ピ ッチ 誤 差,歯 形 誤 差,圧 力 角 誤 差 の 形 状
誤 差 の 測 定 を 行 っ た 。 測 定 デ ー タ よ り,形 状 を 表 す 値 を 計 算 に よ り求 め た 。 こ れ ら を 形 状
特 性 と呼 ぶ 。
更 に,か みあい試験 によ り得 られる特性値の意味 を明 らかにす るため に,形 状特性を含
めて 因子分析を行い,両 者の対応関係 を調べた。
4.3.3か
図4.3.2は
み あい特 性
二 歯 面 か み あ い 試 験 に よ り得 られ た か み あ い 波 形 の 一 例 で あ る 。 全 体 的 な 特
徴として,フィルムゲートキャビティにより成形された歯車に比べ,ピンゲートキャビテ
ィ に よ り成 形 さ れ た 歯 車 の か み あ い 波 形 は複 雑 で 高 次 の フ ー リエ 成 分 が 大 き い と考 え ら れ
る 。 か み あ い 波 形 の デ ー タ を も と に,次
の よ うな か み あ い 試 験 に よ り得 られ る 特 性 値 を 求
め た。
図4.3.2か
み あ い波 形 の例
か み あ い 波 形 の,試
波 成 分 を 求 め,そ
験 歯 車1回
れ ぞ れ1次
転 を基 本 周 期T0と
し た フ ー リエ1次
成 分 及 び2次
振 幅 、2次 振 幅 と呼 ぶ 。 か み あ い 波 形 の デ ー タ をx(t)と
高調
お
けば,i次振幅αiは
と な る.
図4.3.3か
ま た,基
み あい波 形 の分 割
本 周 期 の 正 弦 波 の位 相 分 だ け ず ら し 、 総 平 均 値 の レベ ル を 出 発 点 と す る デ ー タ
に 変 換 し,図4.3.3の
よ う た8次
て 扱 い,便
分 割 単 位 と呼 ぶ.各
宜 的 に9次
単 位 ま で の 分 割 を行 っ た,4回
分 割 単 位j内
転 分 の波形 は繰 返 し とし
の 変 動Sejは 、
但 し,
で あ る 。 こ こ でXiは
∈kはj次
か み あ い 波 形 の デ ー タ,njはj次
分 割 単 位 のk番
目 の 単 位 に含 ま れ る デ ー タ に つ い て 和 を と る こ と を意 味 し て い
る。 また
とす る 。Nは
分 割 単 位 に含 ま れ る デ ー タ 数,i
デ ー タ の 総 数 で あ る,
表4.3.2か
み あ い 波 形 の 分 散 分 析 表 の 例(μm2)
Σσi2は、高次のi次純分散成分の和である。
こ の よ う な 計 算 は,基
例 を 表4.3.2に
本 的 に は枝 分 か れ 配 置 の 分 散 分 析 と 同 等 で あ る。 分 散 分 析 表 の 一
示 す 。 各 分 割 単 位 で の 分 散 の 期 待 値 か ら,各 分 割 で の 純 分 散 成 分 を 求 め,
そ れ と 高 次 の 純 分 散 成 分 aj2をプ ー ル し て,誤
差 分 散 Σaj2を 計 算 す る 。 Σaj2に
ついて、
j≧i
次の対数変換を行 う。
こ の よ う なSN比
の 形 に変 換 して 、 か み あ い 特 性 値 と し,1次
∼8次
誤 差 と呼 ぶ 。9次
差 は か み あ い 試 験 の 繰 返 し誤 差 と な っ て い る 。 ほ と ん ど の 歯 車 に お い て,2次
誤 差 は 高 次 の 誤 差 に 対 して 有 意 に な らず,他
誤
誤 差,5次
の誤 差 は ほ ぼ 有 意 とな っ た 。
か み あ い波形 は歯 車 のか み あいの 誤差 そ の も
で あ る が,そ
の 総 平 均 値 は 歯 車 の ピ ッチ
円 の 大 き さ を 反 映 した か み あ い の 位 置 の 変 化 を 表 して い る 。 か み あ い 波 形 の 総 平 均 値 を ピ
ッ チ 円 の 大 き さ を表 す 寸 法 特 性 値 と考 え る 。 今 回 の 実 験 で は,個
々の歯車 の か み あ い位 置
の 絶 対 値 が 必 要 な の で は な く,成 形 条 件 等 の 変 化 に よ る 相 対 的 な 変 動 の み が 問 題 で あ る 。
ま た,押
付 力 を 変{ヒさ せ た と こ ろ,0.57N(60gf)付
近 で は,か
み あ い波形 の総 平 均 値 の変
化 は 小 さ く,押 付 力 が 一 定 しな い こ と に よ る影 響 は 小 さ い こ とが 分 か っ た 。
ま た,日
本 歯 車 工 業 会 規 格(JGMA)4・10)と
の 対 応 を み る た め に,1ピ
誤 差 及 び 全 か み あ い 誤 差 も 波 形 特 性 値 と し た 。1ピ
ッチ か み あ い
ッ チ か み あ い 誤 差 は,す べ て の1ピ
ッ
チ か み あ い 誤 差 の2乗 平 均 値 を 代 表 値 と し た 。
4.3.4形
状特 性 の測 定
歯 車 の 精 度 を 表 す 形 状 誤 差 に つ い て はJIS4-11)に
歯 車 の 形 状 特 性 と し て,次
性 を考 え,低
規 定 さ れ て い る が,そ
の 中 で,試
験
の も の を 選 ん だ 。 いず れ の 測 定 に お い て も,プ ラ ス チ ッ ク の 特
測 定 力 の 測 定 を 行 った 。
(1)各 種 ピ ッ チ 誤 差:万
能 測 定 顕 微 鏡 を 用 い,円
ピ ッ チ 角 度 測 定 法 に よ り測 定 し た 。
使 用 し た フ ィ ー ラ は,φ0.5mmで
ッチ 誤 差,累
あ る 。JISの
手 順 に 従 い,単
一 ピ ッチ 誤 差,隣
接ピ
積 ピ ッチ 誤 差 を 計 算 し,形 状 特 性 値 と し た 。
(2)歯 み ぞ の ふ れ:歯
み ぞ の ふ れ は φ1.Ommの
フ ィ ー ラ を 使 用 し,万 能 測 定 顕 微 鏡
に よ り測 定 し た 。 歯 み ぞ の ふ れ は 偏 心 に よ る う ね り及 び 外 径 の ゆ が み な ど に 基 づ く大 き な
変 化 と 歯 み ぞ の 幅 及 び ピ ッ チ の 変 化 に よ る細 か い 変 化 と の 重 な り と して 観 測 され る こ と か
ら,式(1)と
同 様 に,歯
そ の 残 差 の2乗
み ぞ の ふ れ の デ ー タ をx(t)と
お い て,1次
振 幅,2次
振 幅 お よび
平 均 を形 状 特 性 値 と し た 。
(3)歯形誤差,圧 力角誤差:歯 形試験機 によ り歯の ほぼ中央部の歯形記録図をとり,歯
形誤差及び圧力角誤差の測定 を行 った。歯形誤差 は圧力角誤差成分を除 いたものを用いた。
また,圧 力角誤差は2点 のゲー トを結ぶ径 を境 にほぼ対称に現れることが予備測定 によっ
て明 らか になった ことか ら,ゲ ー ト位置に対 して片側4か 所(6歯
お き)の 歯 の左右の面
について測定し平均値を特性値とした。
(4)歯 す じ方 向 の 誤 差:歯
で,歯
形 試 験 機 に よ り,上 記4か
所 の 左 右 の 歯 面 の ほ ぼ ピ ッチ 円 上
す じ方 向 の 誤 差 を 測 定 した 。 多 く の 歯 車 で は 、 ゲ ー トに 近 い側 が 凸 で あ っ た 。 歯 す
じの 誤 差 曲 線 の 最 大 差 を 形 状 特 性 値 の 一 つ と して 選 ん だ 。
4.3.5か
(1)因
み あ い 特 性 と形 状 特 性 の 閻 連
子 分 析 による解 析
測 定 した 特 性 値 相 互 の 関 連 を明 ら か に す る た め に,多
変 量解 析 の手 法 の一つ で ある 因子
分 析 法4-12)を 適 用 した 。
因子分析の 目的は,多 特性値 によ り表される多次元空間にお ける複雑な変動をよ り少な
い代表的な因子 の変動によって説明 し,多 変量情報を簡約化す ることにある。簡約化 され
た特性値 の性質 は,因 子 を軸 とした多次元空間 の点 と して表 される。 この場合 には,36
個の歯車について,前 に述べた方法 によって計算 した特性値をデータとし,因 子分析 を行
った。各特性につ いて36個
の値の変動の独立性及び共通性 を簡 約化 してほぼ三つの因子
軸 における変動 によって表す ことがで きた。変動 に対 して寄与率の高 いものから第I因 子,
第II因 子 と名付けた。
図4.3.4各
特 性 値 の 因子負 荷 量
図4.3.4は,第
I∼ 第III
因 子 に 対 す る 各 特 性 の 因 子 負 荷 量 を プ ロ ッ トした も の で あ る 。
○ 印 は か み あ い 特 性,×
印 は 形 状 特 性 で あ る.各 因 子 を 軸 とす る 多 次 元 空 間 に お け る 距 離
に よ っ て,各 特 性 の 共 通 性 が 明 らか とな る 。 各 特 性 間 の 距 離 を も と に,か み あ い 特 性 お よ
び 形 状 特 性 を 三 つ の グル ー プ に分 け る こ とが で き る 。
表4.3.3か
表4.3.3に
み あ い 特 性 と形 状 特 性 の 相 関 係 数 表
そ れ ぞ れ の グル ー プ 内 及 び 間 で め 特 性 値 間 の 単 相 関 係 数 の 値 を 示 す 。 ま た,
形 状 特 性 の う ち 隣 接 ピ ッチ 誤 差 は ど の グル ー プ に も属 さ ず,か
み あい特 性 との関 連 はな い
と考 え られ る 。
1)第 Iグ ル ー プ
第 I因 子 負 荷 量 の 高 い 第 Iグ ル ー プ に は,か み あ い特 性 の1次 振 幅,1次
全 か み あ い 誤 差 が 属 して い る 。 形 状 持 性 と して は,歯
み ぞ の ふ れ の1次
∼4次
振 幅,累
誤 差,
積 ピ ッチ
誤 差 の 最 大 差 及 び1次
振 幅 が 同 じ第 Iグ ル ー プ に属 し で い る 。 こ の グ ル ー プ に属 し て い る
か み あ い特 性 の う ち,1次
られ る 。 ま た,累
娠 幅 な ど は,か
み あ い波 形 の 大 き な う ね り を表 して い る と考 え
積 ピ ッチ 誤 差 の 最 大 差,歯
み ぞ の ふ れ の1次 振 幅 な ど の 形 状 特 性 は,歯
車 の 偏 心 に よ っ て 変 化 す る 特 性 値 で あ る と考 え られ て い る 。
偏心量eと最大累積ピッチ誤差Ftの間には,
の関係があると言われている4一13)。ここでαoは基準圧力角である。また,歯みぞのふれ
の 振 幅 は,偏 心 量eで
あ る 。 これ ら の 関 係 を用 い て 推 定 し た 偏 心 量 と か み あ い 波 形 の 一 次
振 幅 と の 関 係 を 図4.3.5(a)に 示 す 。 一 次 振 幅 は,偏 心 推 定 値 の 約0.9倍
者 は ほ ぼ 対 応 して い る と い え る 。 キ ャ ビ テ ィ 番 号3の
とな っ て お り,両
み が 大 き く は ず れ で い る が,そ
れを
調べるために金型の測定を行った。成形歯車の歯元円に相当する位置を基準に各キャビテ
ィ の 軸 の 偏 心 を 求 め る と10∼40μmで
あ っ た が,必
ず しも成形 歯車 の偏 心量 とは対 応 し
て い な い。
図4.3.5波
形 特 性 と形 状 誤 差 の 関 係
こ の こ とか ら,歯 元 円 と歯 先 円 ま た は ピ ッチ 円 が 別 々 に 偏 心 して い る こ と も考 え られ る 。
ま た,軸
穴 ピ ン は,金 型 本 体 と は 一 体 に な っ で お らず,ピ
ン穴 に 対 しガ タ を も っ て い る こ
と,成 形 時 に は,抜 取 りの た め ピ ン を 冷 却 して い る こ と,更 に 樹 脂 射 出 時 にか な り大 き な
圧 力 が か か る こ と な どか ら,成 形 歯 車 の 偏 心 の 現 れ 方 は 複 雑 とな っ て い る と考 え られ る 。
2)第IIグ ル ー プ
第IIグ ル ー プ と して は,か み あ い 特 性 の う ち2次
振 幅 及 び 形 状 誤 差 の うち 単 一 ピ ッチ 誤
差(2乗 平 均 値),歯 み ぞ の ふ れ の2次 振 幅,2次
残 差 、 歯 す じ方 向 の 誤 差 が 属 して い る 。
一 方 ,こ れ らの 歯 車 の 歯 先 円 直 径 を 測 定 した と こ ろ,フ ィ ル ム ゲ ー トの 歯 車 は ほ ぼ 円 形
で あ っ た が,2点
角 方 向 で は,歯
ピ ンゲ ー トの キ ャ ピ テ ィ か ら成 形 さ れ た 歯 車 は,ゲ ー ト穴 を 結 ぶ 径 と 直
先 円 直 径 が15∼25μm小
さ く,だ
円 に近 い 形 とな っ て い る 。 こ の 様 子 を
み る た め に と っ た 真 円度 測 定 器 の チ ャー トを 図4.3.6に
示 す 。 こ の よ うな 歯 先 円 の だ 円 成
分は,基本周期の1/2のフーリエ成分,つまりかみあい波形の2次振幅に反映する。図4.3.5
(b)に,歯先円直径のゆがみと波形特性の2次振幅の対応関係を示す。フィルムゲートの
キャビティ(キャビティ番号4)より成形された歯車は,金型温度T3においてのみ2次振
幅 が 大 き く,特
異 な 点 と な っ て い る.こ
の 特 異 な 点(T3)に
お い て も,歯 先 円 直 径 の ゆ
が み は 小 さ い こ と か ら,こ の2次 振 幅 の 増 加 は,外 径 の ゆ が み に よ る の で は な く,歯 の 形
状 の ゆ が み の 変 動 に よ っ て 生 じ て い る と 考 え られ る 。 っ ま り,金 型 温 度 に よ る 樹 脂 の 流 動
性の変化により歯形のゆがみの変化を生じている.一方,2点ピンゲートのキャビティに
よ っ て 成 形 さ れ た 歯 車 に つ い て は,金 型 温 度 に よ る2次
図4.3.6ゲ
振 幅 の 変 動 は 小 さ い.
ー トに よ る 歯 先 円形 状 の 違 い
一 般 に ,成 形 品 の 形 状 が 金 型 温 度 の よ う な 成 形 条 件 に よ って 変 化 す る こ とは よ く知 られ
て い る こ と で あ る.ま
た,同
一 の 成 形 条 件 で あ っ て も,ゲ ー トの 種 類 や 位 置 に よ って 成 形
品 の 形 状 が 変 化 す る こ と も あ る.こ の よ う に,2次
振 幅 に つ い て も,成 形 条 件 だ け で な く,
金 型 の 条 件 と の 組 合 わ せ に よ っ て 変 化 す る特 性 値 で あ る と 考 え られ る.
第IIグ ル ー プ の 特 性 は,2点
ピ ン ゲ ー トの 場 合,歯 車 全 体 の 形 状 に 関 係 して い る 。ま た,
フ ィル ム ゲ ー トの 場 合 に は,歯
と は,ピ
ッ チ 誤 差,歯
の 形 状 の 変 動 に も 関 係 し て い る と考 え られ る 。 こ れ らの こ
み ぞ の ふ れ の 測 定 原 理 か ら考 え て,測 定 結 果 に この よ う な 形 状 の 影
響 が 強 く現 れ る こ と が 考 え られ る 。 こ の よ う な 形 状 誤 差 は 切 削 加 工 に よ る 金 属 歯 車 に お い
て は 小 さ い と考 え られ,収 縮 等 の 存 在 す る 成 形 加 工 歯 車 に 特 有 の もの で あ る と 考 え られ る 。
また,これらの特性については,ゲートの種類,位置などのキャビティの条件と成形条件
に よ っ て 変 化 の 様 子 が 変 わ る と思 わ れ る こ とか ら,十 分 注 意 す る 必 要 が あ る.
3)第IIIグ ル ー プ
第IIIグル ー プ に は,か
状 誤 差 の う ち,歯
み あ い 特 性 の う ち6次
形 誤 差,圧
∼8次
誤 差,1ピ
ッチ か み あ い 誤 差 及 び 形
方 角 誤 差 が 属 して い る 。 これ らの 特 性 は,一 つ 一 つ の 歯 の か
み あ い の 良 否 に 関 係 した も の で,歯 形 の 良 否 とか み あ い の 良 否 が 対 応 して い る と考 え られ
る.これらの特性の分散分析の結果,キャビチィ間の変動より金型温度の変化による変動
の 方 が 大 き く,歯 形 の 良 否 は 金 型 温 度 に 依 存 して い る こ と が 明 らか と な っ た 。
(2)寸
法特 性
か み あ い 波 形 の 総 平 均 値 の 変 動 は,歯
車 の か み あ い 円 の 平 均 的 な 直 径 の 変 動,つ
ま り樹
脂 の 収 縮 率 の 違 い に よ る 成 形 歯 車 の 平 均 的 な 大 き さ の 変 動 を 表 し て い る 。 近 似 的 に は,歯
先 円 直 径 の 変 動 に 対 応 し て い る と考 え て よ い 。 図4.3.7に,プ
ラス チ ツク寸 法測 定器 によ
って測定した歯先円直径(キャビティごとの平均値)とかみあい波形の総平均値(キャビ
テ ィ ご と の 平 均 値)の 対 応 関 係 を示 す 。 相 関 係 数0.70で
有 意 な 相 関 が み られ た 。 また,図
よ り分 か る よ う に,歯 車 の 直 径 は 金 型 温 度 に よ り,大 き く変 化 す る特 性 で あ る と 予 想 さ れ
る。
図4.3.7か
み あ い 波 形 の 総 平 均 値 と歯 先 円 直 径
(い ず れ も 、 キ ャ ビ テ ィ ご と の 平 均 値 を示 す)
表4.3.4波
(3)か
形 特 性 と形 状 特 性 の 対 応
み あ い特性 の 分 類
因 子 分 析 の 結 果,か
み あ い 特 性 は3つ
の グ ル ー プ に 分 け られ,更
つ の 特 性 値 群 を も と に検 討 した 結 果,表4.3.4の
つ の 特 性 値 群 を 大 き く ま と め る と;1つ1つ
に 寸 法 特 性 を 含 め,4
よ う に ま と め る こ と が で き る 。 更 に,4
の 歯 形 の 良 否 を 表 す 特 性 と,偏 心,ゆ
がみ な
ど全体 の形状の良否を表す特性 に分 けられた といえる。
ま た,プ
ラ ス チ ック 成 形 歯 車 の 場 合,以
上 の 特 性 は,ゲ ー トの 種 類,位 置 や 金 型 の 良 否
な ど金 型(キ ャ ビ テ ィ)に よ り決 ま る も の と,成 形 条 件 に よ り変 動 の大 き い も の と が あ る。
表4.3.4に
あ げ た 特 性 が い ず れ に属 して い る か 知 る 必 要 の 生 じた 場 合 に は,成 形 条 件 と 上
記特 性 とを対 応 させ た実 験 に よ って確 認す る ことが可 能 で あ る。
4.3.6結
論
1つ の金型か ら,金 型温度 を変化 させ射出成形 した小型歯車 について,二 歯面かみあい
試験および個別誤差の測定を行 い,両 者の結果 の関連 を因子分析法によ り求め,二 歯面か
み あい試験 によるプラスチ ック成形歯車の評価 の有効性について検討 した,
①かみあい試験の解析によ り,歯 車全体の形状を表す特性 および歯形の良否 を表す特性が
得 られた.
②歯車全体の形状を表す特性は,偏 心 を表す特性、歯先 円のゆがみを表す特性,収 縮率の
変化 を表す特性 を含んでいる,
③以上の特性 について射出成形歯車の評価 を行 う上で,二歯面かみあい試験は有効である。
また,プ ラスチ ック成形歯車の場合,歯 先円のゆがみによる形状誤差への影響が大きいの
で,歯 車 として評価する場合注意する必要がある。
こ こ で 示 し た よ う な 方 法 は 、 試 験 で 得 ら れ る 各 種 特 性 の 意 味 を 明 らか に し、 計 測 特 性 と
し て 選 定 す べ き か ど うか を 決 め る た め の 方 法 と して 採 用 す る こ とが で き る。 そ の 際 、 次 の
点 に注 意 す べ きで あ る。
④検 討の対象 となる母集団を明確 にし、その母集団の中でのデータに基づいた検 討をすべ
きである。
⑤ 計測特性 の意味を明確にするため に、他の計測特性 との従属性、独立性を明 らかにする
方法 として、因子分析法が活用できる。
4.4第4章
第4章
の ま とめ
で は,計 測 の 問 題 が 生 じ、 計 測 を 行 い 、 問 題 を 解 決 す る ま で の プ ロ セ ス を 計 測 プ
ロセ ス と規 定 し 、 パ フ ォ ー マ ン ス概 念 に 基 づ い て 、 計 測 プ ロ セ ス の 設 計 と評 価 に つ い て 検
討 した。
第4.1節
で は 、 計 測 活 動 を構 成 す る 、 計 測 の プ ロ セ ス と 測 定 の プ ロセ ス の 構 造 を 明 ら
か に し 、 計 測 プ ロセ ス 設 計 の 考 え 方 を提 案 を した 。
1)計測 の問題が生 じ、解決 されるまでの過程 は、管 理的な部分である計測 プロセス と作
業 的な部分である測定プロセスとに分 ける ことができる。
2)計 測プロセスの設計は、計測の合 目的性の確保 と測定の信頼性の確保の問題に要約す
る ことができる。
3)計 測 特 性 が 決 め られ た 後 の 測 定 の 評 価 は 、 測 定 プ ロセ ス の 問 題 と し て 行 わ れ る 。
4)測 定 シ ス テ ム は 、 測 定 プ ロセ ス の 実 施 に 必 要 な ハ ー ドウ ェ ア と ソ フ トウ ェ ア の 総 体 と
して規 定 され る。
5)計 測 システムの確実性 を確保するための計測プ ロセス設計の考え方 を提案 し、硬 さ試
験の開発 を例 としてそれ を検討 した。
第4.2節
で は 、 計 測 プ ロ セ ス の パ フ ォ ー マ ンス を 確 保 す る立 場 か ら、 生 産 シ ス テ ム に
お け る 品 質 確 保 の た め の 品 質 設 計 シ ス テ ム を 整 理 し、 提 案 した 。
1)生 産 シ ス テ ム に お け る 計 測 プ ロ セ ス の 役 割 を 、 生 産 プ ロセ ス で あ る 検 査 、 統 計 的 工 程
管 理 、 工 程 改 善 、 工 程 の 制 御 、 工 程 設 計 、 製 品 設 計 の 立 場 か ら整 理 した 。
2)製 品 の 生 産 シス テ ム を 最 適 化 す る た め の 品 質 設 計 シ ス テ ム の枠 組 み を 、 オ ン ラ イ ン計
測 、 オ フ ラ イ ン 計 測 の 立 場 か ら明 らか に し た 。
第4.3節
で は 、 計 測 プ ロセ ス 設 計 の 中 で 一般 的 な 検 討 が 難 し く、 共 通 的 な 方 法 が 確 立
して い な い 部 分 で あ る計 測 特 性 の選 択 の 問 題 に つ い て 、 プ ラ ス チ ッ ク歯 車 の 測 定 の 場 合 を
実験 的 に検 討 した。
1つ の金型か ら,金 型温度 を変化 させ射出成形 した 小型歯車について,二 歯面かみ あい
試験および個別誤差の測定 を行 い,両 者の結果 の関連を因子分析法 によ り求め,二 歯面か
みあい試験 によるプラスチ ック成形歯車の評価 の有効性について検討 した.
1)かみあい試験の解析 によ り,歯 車全体の形状 を表す特性お よび歯形の良否を表す特性
が得 られ た.
2)歯 車全体 の形状を表す特性は,偏 心を表す特性 、歯先円のゆがみを表す特性,収 縮率
の変化 を表す特性 を含 んで いる,
3)以 上の特性 について射出成形歯車 の評価 を行 う上でも,二 歯 面かみあい試験 は有効で
ある。
4)プ ラスチ ック成形歯車の場合,歯 先円のゆがみによる形状誤差への影響が大 きいので,
歯車 として評価する場合注意する必要がある。
5)こ こ で 示 した 方 法 は 、 試 験 で 得 ら れ る 各 種 特 性 の 意 味 を 明 らか に し 、 計 測 特 性 と して
選 定 す べ き か ど う か を 決 め る た め の 方 法 と して 採 用 す る こ と が で き る 。
6)ま た,プ
い の で,歯
ラ ス チ ッ ク 成 形 歯 車 の 場 合,歯
先 円の ゆ がみ に よ る形状 誤 差へ の 影響 が 大 き
車 と して 評 価 す る場 合 注 意 す る 必 要 が あ る 。
こ こで 示 し た よ う な 方 法 は 、 試 験 で 得 られ る 各 種 特 性 の 意 味 を 明 ら か に し 、 計 測 特 性 と
して 選 定 す べ き か ど うか を 決 め る た め の 方 法 と して 採 用 す る こ と が で き る 。 そ の 際 、 次 の
点 に注 意 す べき であ る。
7)検 討の対象 となる母集団を明確 にし、その母集団の中でのデータの加法性 と相関に基
づ いた検討をすべきである。
8)計 測 特 性 の 意 味 を 明 確 に す る た め に 、 従 来 の特 性 と の 対 応 、 従 属 性 、 独 立 性 を 明 らか
に す る方 法 と して 、 因 子 分 析 法 が 活 用 で き る 。
第5章
パ フ ォ ー マ ンス 概 念 に よ る 計 測 プ ロセ ス 設 計 の 試 み
-プ ラ ス チ ッ ク工 程 に お け る オ ン ラ イ ン 管 理 シ ス テ ム の 設 計-
前 章 で 提 案 した 品 質 設 計 シ ス テ ム を 、 プ ラ ス チ ッ ク 成 形 工 程 を 対 象 に した プ ラ ス チ ッ ク
品 質 設 計 シ ス テ ムCAMPSを
実 現 した 。 そ の 中 で 、 工 程 の オ ン ライ ン管 理 シ ス テ ム の 設
計 を行 う た め の 一 連 の 実 験 を行 つ た 。 成 形 中 に成 形 品 を オ ン ラ イ ン計 測 す る こ と に よ り工
程 の 予 測 を 行 い 、 成 形 品 の 目標 値 に 近 い 製 品 を実 現 し、 製 品 の ば らつ き を減 らす と い う オ
ン ラ イ ン 計 測 の 目的 で あ る 。 この 目的 を 達 成 す る た め の 計 測 プ ロセ ス の 設 計 を実 際 の 工 程
の 中で 実現 した。
5.1プ
ラ ス チ ッ ク品 質 設 計 シ ス テ ム の 実 現
オフライン段階 の設計 における工程条件の最適化 と,オ ンライ ン段階での計測 と制御の
最適化 を通 して品質向上を図る方法 としての品質設計 システムをプラスチック射 出成形工
程に適用 し、その可能性 にっいて検討を行 った。
図5.1.1品
質設 計 システ ム
そ の 中 で は 、 品 質 設 計 シ ス テ ム を 図5.1.1の
様 に 主 要 な3つ
の 設 計 と オ ン ラ イ ン 管 理 を 対 象 に 、 プ ラ ス チ ッ クCAMPSと
PSは、Computer
Aided
Measurement
and Process
Design
の 部 分 を 取 り上 げ て 、 工 程
し て 実 現 を 図 っ た 。CAM
and Control Systemの
略 称 で あ る。
図中の② は工程 のばらつきの最適化 を工程条件の選択によって実現す るオフライ ンの工
程設計の段階,③ は量産段階において生 じる工程 のかたよ りを修正す るオ ンライ ン管理方
法 を決める段階である.そ のいずれ の段階においても,成 形品を直接計測 し,評 価す るた
めの計測設計①が基礎となる.
最初の計測設計の段階にお いては,い ろ いろな成形 品の特性 を計測 し,機 能特性 との関
連 を明らか にし,②,③,④
の段階 において管理 の対象とす る製品の計測特性 を選択する.
さらに,そ れ らの特性の計測方法を最適化す る.
従 来,量 産 前 の 成 形 条 件 の 検 討 や,量
産 時 の 成 形 品 の 検 査 は行 わ れ て い る が,ば
を 考 慮 し た 組 織 的 な 検 討 は 十 分 で あ る と は い え な い.特
に,成
計 測 特 性 の 検 討 は ほ とん ど成 され て い な い と い っ て も よ い.そ
らつ き
形 品 の 機 能 を考 え に い れ た
れ に 対 し,計 測 設 計,パ
ラ
メ ー タ 設 計 か ら オ ン ライ ンで の 制 御 ま で 一 貫 し た 設 計 思 想 を 新 しい 成 形 シ ス テ ム に 取 り込
ん だ.
図5.1.2品
質設 計 システ ム の 流れ
5.1.1シ
ス テム適 用 の概 要
本 来 な らば 製 品 や 金 型 の 設 計 に お い て も 同 様 の検 討 が 成 され る べ き で あ る が,研
象 を 工 程 の 設 計 に 限 定 し た.ま
究 の対
た,工 程 の シ ス テ ム 設 計 の 部 分 も含 ま れ て い な い.す な わ
ち,生 産 シ ス テ ム の 基 本 構 成 要 素 で あ る 成 形 機,金 型,周 辺 機 器,樹 脂 は す で に 決 め られ,
与 え られ た こ と を 前 提 に 、 品 質 の よ い 製 品 を作 り出 す 工 程 の 設 計 の 実 現 を 図 つ た5-1)。
図5.1.2にCAMPSに
5.1.2ハ
盛 り込 ん だ 品 質 設 計 シ ス テ ム 適 用 の な が れ を 示 す 。
ー ドウ ェ ア シ ス テ ム
品 質 設 計 シ ス テ ム を 効 果 的 に 適 用 す る た め に 、 対 象 工 程 に 相 当 す るCAMPSの
ウ ェ ア 構 成(図5.1.3)を
図5.1.3(a)品
図5.1-3(b)品
つ ぎ の よ う な 形 に し た5-2)。
質 設 計 シ ス テ ム の ハ ー ド ウ ェ ア:写
質 設 計 シス テ ム の ハ ー ドウ ェ ア
真
ハー ド
基 本 的 な 部 分 は プ ラ ス チ ッ ク 成 形 工 程 で あ る 横 型 射 出 成 形 機((株)山 城 精 機 製SS-7)
で あ る 。 そ の 他 ハ ー ドウ ェ ア と して 必 要 な 条 件 は 次 の よ う な も の で 、 そ れ を 満 た す 機 器 構
成 と して は 、 表5.1.1の 通 りで あ る 。
① 成 形 条 件 の 変 更 を 容 易 に し試 作 を 自動 的 に 行 うた め に 、 成 形 機 に コ ン ト ロー ラ を 備 え て
いる。
② オフライ ンの実験 のために、製品の多種の特性 を迅速 に測定可能な フレキ シブル計測器
を備 えている。
③オ ンライ ン計測のための計測器 を備えて いる。
④量産 段階でのオンライ ン計測のために定期的 に製品をサ ンプ リング し、計測器 にセ ッ ト
す るための自動装置を備えている。
⑤成形 きれた製品を成形順に整列管理できる装置を備えている。
⑥ シ ス テ ム 全 体 を 集 中 的 に コ ン ト ロー ル し、 計 算 処 理 、 デ ー タ 収 集 す る た め のパ ソ コ ン シ
ス テ ム 及 び 周 辺 機 器 と の イ ン タ ー フ ァイ ス を 備 え て い る 。
表5.1.1CAMPSの
機 器構 成
図5.1.4モ
デ ル 製 品 の2重
成 形 対 象 の モ デ ル 製 品 と して は 、 図5.1.4の2重
品 に 多 く 使 わ れ るPOM(三
カム
カ ム を 用 い た 。 材 料 と して は 、 機 構 部
菱 ガ ス 化 学 製 ユ ピ タ ー ル)を
用 いた 。
5.1.3ソ
フ ト ウ ェ アCAMPS
品 質 設 計 シ ス テ ム の 中 で 行 う パ ラ メ ー タ 設 計 、 制 御 設 計 、 オ ン ライ ン 制 御 、 計 測 設 計 を
効 率 的 に 行 う た め に 、 実 験 の 計 画 、SN比
の計 算 、分散 分 析 、損 失計 算 、割 引 係数 の 計算
な ど をパ ソ コ ン の 中 で 行 わ せ る ソ フ トウ ェ アCAMPSを
開発 した 。 ソ フ トウ ェ ア は 品 質
設 計 シ ス テ ム の 主 要 部 に 対 応 して お り 、 そ の た め の 作 業 や 計 算 の順 序 に 従 っ て 対 話 的 に入
力 して い け ば 、 結 果 が 得 られ る よ う に な っ て い る。
5.1.4成
果
最 終 的 に 、 品 質 設 計 シス テ ム の 適 用 に よ っ て 、 次 の よ う な 成 果 が 上 げ られ た 。
1)計
測 設 計 に よ り、 モ デ ル 製 品 の 各 部 の 寸 法 特 性 に つ い て 検 討 し、 オ フ ラ イ ン 、 オ ン ラ
イ ン の 管 理 特 性 と して カ ム 高 さ 及 び 外 径 を 選 択 した 。
2)計
測 設 計 に よ り 、 オ フ ライ ン用 フ レキ シ ブ ル 計 測 器 を 開 発 し、 パ ラ メ ー タ 設 計 の 方 法
に よ り測 定 条 件 の 設 定 を行 っ た 。
3)パ
ラ メ ー タ 設 計 に よ り、 工 程 に お け る 成 形 条 件 を 最 適 化 す る こ と に よ っ て 、 成 形 の ば
ら っ き を標 準 偏 差 で16μmか
ら5μmに
な り、1/3に
低 減 で きた。
4)製
品 の独 立 な二 特 性 の制御 の方 法 を明 らか に した。
5)制
御 設 計 に お い て 、 オ ン ライ ン計 測 の 条 件 と、 制 御 の 条 件 の検 討 を行 い 、 割 引 係 数 法
を 用 い た 制 御 を 設 計 し、 設 計 の 方 法 を 明 らか に した。
6)設
計 さ れ た 制 御 方 法 を 実 際 に 工 程 に適 用 し 、 生 産 開 始 時 に起 こ る ドリ フ トの 改 善 と、
平 均 値 の制 御 を行 つた。
7)品
質 設 計 シス テ ム の体 系 的 な ア プ ロー チ と 実 験 に よ り 、 短 時 間 で の 成 形 工 程 の 最 適 化
を行 う ことが 出来 た 。
8)品
質 設 計 シ ス テ ム 適 用 の 方 法 は パ ソ コ ン ソ フ トウ ェ アCAMPSの
次 節 以 降 で は 、CAMPの
述 べ る。
形 に ま とめ た。
研 究 の 内 、 制 御 設 計 、 オ ン ラ イ ン管 理 の 部 分 に つ い て 詳 し く
5.2オ
ンライ ン計測の考 え方 と実験の組立
5.2.1工
程 のオ ンライ ン制御
製品の品質向上(品 質特性 のば らつきの減少)の ために,原 則的には製品設計段階,工
程設計段階でのオフライン品質管理が重要であるが,企 業の現実か らいえば、製造工程の
管理方式 を定め,オ ンライ ン計測 によ り工程の変動 を的確 にとらえるというオ ンライ ンで
の品質管理を行うことがより重要視されている。しかし、現実に行われているオンライン
計測 はいわゆる管理図的な品質管理や検査が中心で、計測 の間隔、工程へのアクションな
どの方法論は必ず しも十分 とは言えない。
図5.2.1オ
第4章
ン ラ イ ン管 理 の 概 念
で 提 案 し た 品 質 設 計 シ ス テ ム の 中 で 、 オ フ ライ ン管 理 が 工 程 の ば らつ き と,初 期
値 と し て の か た よ りの な い工 程 を 設 計 す る た め に,パ
ラ メー タ 設 計 を 行 う の に対 し,オ
ン
ライ ン管 理 で は 、 工 程 の 経 時 的 な 変 化 を 検 出 し,目 標 値 か らの か た よ りを 小 さ くす る よ う
に 工 程 を 制 御 す る こ と に よ っ て,最
終 的 な 製 品 の ば ら つ き を 小 さ くす る こ と を 述 べ た 。 そ
の た め に,計 測 特 性 に つ い て,定 期 的 に製 造 工 程 中 で 直 接 製 品 の 計 測 を行 い,必
て,条 件 を 変 更 し,目 標 値 に 合 う よ う に 制 御 す る.す な わ ち,CAMPSの
図5.2.1の よ う に,あ
る 時 間 間 隔 で,成
形 品 の 寸 法 を 測 り,そ の 結 果,成
値 か ら大 き く外 れ る と予 想 され た 場 合 に は,寸
変 数 で あ る 調 整 条 件 の 設 定 値 を 変 え る.こ
要 に応 じ
場合 で あれ ば 、
形 品 の寸 法 が設 計
法 を 目標 値 に 合 わ せ る 為 に 取 り 上 げ た 操 作
の と き,製 品 の 寸 法 が な ぜ 変 動 した か の 原 因 の
追 求 は オ ン ライ ン 制 御 で は 行 わ な い.計 測 した 製 品 が 作 られ て か ら,実 際 に 制 御 が 行 わ れ
る ま で の 間 に も 製 品 は 作 られ て お り,こ の よ うな 制 御 の タ イ ム ラ グ を 小 さ く す る た め に も,
オ ン ラ イ ン 計 測 は 迅 速 に 行 う必 要 が あ る.ま
た,オ
ン ライ ン 計 測 に よ り 目 標 値 か らの 差 が
検 出 さ れ た と き,制 御 の し過 ぎ に よ っ て,工 程 の ハ ン チ ン グ を起 こ さ な い よ う に す る た め,
計 測 や 予 測 の 誤 差 を 考 慮 して 少 な 目 に 修 正 す る 割 引 係 数 法 が,調
の に 使 わ れ る.
整 条 件 の設 定 値 を決 め る
オ ン ラ イ ン予 測 ・制 御 シ ス テ ム を 有 効 に 機 能 させ る た め に は,オ
の 設 計 と し て,特
ン ライ ン管 理 シ ス テ ム
に 重 要 な 項 目 と し て,計 測 間 隔 と,計 測 方 法 の 問 題 が あ る.オ
ンライ ン
計 測 の 間 隔 は 実 際 の 工 程 の 変 動 の 状 態 に よ つ て 決 め ら れ る.一 般 に,時 間 間 隔 が 長 くな る
とそ の 間 の ば らつ き は 増 す が,計 測 誤 差 や,要
て,最
求 され る ば らっ きの大 きさ との 比較 に よっ
適 な オ ン ライ ン計 測 の 時 間 間 隔 が 決 め られ る.パ
ラ メ ー タ 設 計 が う ま く い っ て,長
時 間 で の 工 程 の 変 動 も 十 分 小 さ く な っ た と して も,工 程 が 正 し く動 い て い る こ と を チ ェ ッ
クす る た め に,オ
ン ラ イ ン 管 理 は行 わ れ る.そ
の 場 合,計
測 間 隔 は 長 くな り,余
り厳 しい
計 測 を しな くて も よ い こ とが 多 い.
オ ン ライ ン 計 測 の 考 え 方 は 、 検 査 と は 根 本 的 に 異 な り,工 程 で 次 に 作 られ る 製 品 集 団 を
対 象 と す る も の で あ る,生 産 シ ス テ ム の 中 で の 計 測 の 歴 史 を み る と 、 「
検 査 ・計 測 」 と よ
く い わ れ る よ う に 、 い ま だ に 計 測 と検 査 は 同 列 に 扱 わ れ て い る 場 合 が 多 い 。 こ こで は,生
産 シス テ ムの 中で の 「
計 測」 と 「
検 査 」 を 次 の 点 で 区 別 す る.検 査 と は,す
で に出来 上 が
っ た 製 品 に 対 し て 合 格 ・不 合 格 を 判 定 し 、 ア ク シ ョ ン を と る た め の も の で あ る 。 これ に対
し 、 オ ン ライ ン管 理 は 、 こ れ か ら 生 産 す る 製 品 の ば ら つ き す な わ ち 工 程 の ば ら つ き を 推 定
し 、 工 程 を 制 御 す る5-3)。 す な わ ち 、 オ ン ラ イ ン 計 測 は 工 程 そ の も の を ア ク シ ョ ン の 対 象
と して い る こ と で 全 く 異 な つ た 概 念 で あ る.こ の よ うな 制 御 は"工 程 の 校 正"と も 呼 ば れ,
そ の 基 本 的 な 考 え 方 は 計 測 器 の 校 正 と 同 じ で あ る.
従 っ て 、 オ ン ラ イ ン 計 測 は,そ
の 時 点 の あ と で 工 程 が 作 り 出 す 製 品 の 平 均 値 を推 定 す る
こ と を 目的 に して 行 わ れ る も の で あ る 。 一 般 に 、 オ ン ラ イ ン 計 測 は 同 じ様 な 製 品 を 計 測 し
て い る こ と か ら,測 定 範 囲 は狭 くて も 感 度 の 高 い も の が よ い.オ
ン ライ ン計 測 の 信 頼 性 を
確 保 す る た め に は,計 測 器 の校 正 方 法 とそ の 時 間 間 隔 が 適 正 に 取 ら れ な け れ ば な らな い.
校 正 方 法 と し て は,製 品 に近 い現 場 標 準 に よ る 定 点 校 正 で 十 分 な 場 合 が 多 い.
5.2.2オ
ン ラ イ ン 計 測 と 工 程 の 予 測 ・制 御
予 測 ・制 御 の 流 れ を 詳 し く検 討 す る た め に,工 程 稼 働 時 の 手 続 き を 図5.2.2に ま とめ た.
オ フ ラ イ ンで の 設 計 段 階 で,い
実 際 の 手 続 き は ス テ ッ プI-Vに
く つ か の 式 を 前 提 条 件 と して 決 定 し て お く必 要 が あ る.
な る が,予 測 ・制 御 の 信 頼 性 を 高 め る た め に,次
の方法
が 考 え られ る.
ス テ ッ プI:オ
ンライ ン計測 に よ って 、定 期的 に工程 の状 態 を把 握す る。測 定値 の信
頼 性 を高 め る た め に,測 定 の サ ン プ リ ン グ数 を 増 し,そ の 平 均 値 を 測 定 値xと
す る.但 し,
数 を 大 き くす る と タ イ ム ラ グ に よ る 制 御 遅 れ の た め の 誤 差 を 生 じ る.
ス テ ッ プII:オ
ン ライ ン計 測 の 結 果 か ら次 の 製 品 の 工 程 平 均 を 予 測 す る。 設 計 段 階 で
求 め て お い た 予 測 式f(x)を
使 い,工
程 稼 働 時 に 工 程 平 均yの
測 式 は 制 御 間 隔 の 初 期 値 を 独 立 変 数x,制
次 回 帰 式y=βx+α
に よ り表 す.予
る よ う に 予 測 工 程 平 均 値=測 定 値,つ
予 測 を行 う 。 一 般 に,予
御 間 隔 内 の 製 品 の 平 均 値 を 従 属 変 数yと
測 式 を 使 わ な い 場 合 は,従
ま りy=xの
した1
来 の 制 御 で 考 え られ て い
予 測 が 行 わ れ て い る.
図5.2.2予
ス テ ッ プIII:目
測 ・制 御 の 流 れ
標 値 と 工 程 平 均 の 予 測 値 の差 を も と に 、 工 程 の 修 正 量zを 決 定 す る 。
工 程 の ハ ンチ ン グ を 起 こ さ な い よ う に す る た め,予
で あ る割 引 係 数 法 を 適 用 す る.一 般 に,予
測 の 誤 差 を 考 慮 した 修 正 量 の 決 定 方 法
測 の 誤 差 分 散 をVc,yの
目 標 値x0か
らの差 を
Δy=y-x0とすれば,
とお い た 時 に,割
と して,計
引 係 数 β を,
測 特 性 で の 修 正 量 をz=β
・Δyと す る.割
引 係 数 法 に よ り、 実 際 の 修 正 量 は
小さめになる.これを適用しない場合は,z=Δyとなる.
ス テ ッ プIV:計
測 特 性 で の 修 正 量zか
か ら操 作 量 へ の 変 換 式g(z)の
ら 調 整 因 子 の 実 際 の 操 作 量wを
決 め る。修 正量
信 頼性 を上 げ るに は、 工程 稼 働 前 に、再 現 性確 認 の た め
の 実 験 を行 っ て お く 。
ステップV:調
整因子(例 えば射出圧 力)の 値 を実際 に変える操作 を行 う。人間に起
因す る設定誤差は、条 件設定装置でのデ ジタル値による自動設定 によ り避 けられ る。
既 に オ フ ラ イ ン 段 階 で の パ ラ メ ー タ 設 計 等 に よ り 工 程 変 動 が 小 さ くな る 最 適 工 程 条 件 が
選 ば れ て い る が,そ
れ で も 調 整 し き れ な い 変 動 を 小 さ くす る た め に,ま た,予
条 件 変 化 に よ る 製 品 の 特 性 の 変 化 に 対 応 す る た め,こ
測 で きな い
の よ う な 工 程 の 計 測 ・予 測 ・制 御 が
行 わ れ る.も
し,パ
ラ メ ー タ 設 計 で 選 ば れ た 最 適 条 件 に よ り,十 分 に 小 さ な ば ら つ き で 生
産 が 可 能 な ら ば,予
5.2.3オ
測 ・制 御 シ ス テ ム と して で は な く,監 査 的 な 計 測 が 残 され る.
ン ラ イ ン管 理 シス テ ム の 設 計
こ の よ う な 予 測 ・制 御 シ ス テ ム を オ ン ラ イ ン管 理 シ ス テ ム と して 有 効 に 機 能 さ せ る た め
に は,オ
ン ラ イ ン管 理 シ ス テ ム を設 計 す る 際 に,表5.2.1の 条 件 に つ い て 決 定 し て お く必 要
が あ る.こ
れ ら の パ ラ メ ー タ は,試 作 の な か で 検 討 を 行 い,量 産 試 作 を す る 段 階 ま で に 決
め られ る も の で,オ
ン ラ イ ン管 理 シ ス テ ム の オ フ ライ ン段 階 で の 設 計 に 相 当 す る.
表5.2.1オ
ン ラ イ ン 計 測 予 測 制 御 シス テ ム の 設 計 で 決 め られ る 条 件
① か ら③ は,製 品 の 設 計 に 関 わ る 問 題 で,製 品 設 計 段 階 に お い て 決 定 され る事 項 で あ る.
工 程 に お い て 計 測 し管 理 す る特 性 は 必 ず し も 品 質 特 性 で あ る と は 限 らな い.品 質 特 性 と 関
連 が あ り,オ ン ラ イ ン で 測 り易 い も の で あ れ ば よ い.ま
る 事 が で き 、SN比
た 、 調 整 因 子 は 、特 性 を 変 化 させ
に 影 響 しな い 条 件 を 取 り上 げ る 。
④ の 計 測 方 法 と し て は,迅 速 性,環
境 条 件 に 対 す る 頑 健 性,測
定範 囲が狭 くて も高感 度
で あ る こ と,等 が 必 要 で あ り、 ⑤ の 計 測 方 法 の 管 理 方 法 及 び 計 測 誤 差 に つ い て 、 計 測 設 計
の 課 題 と し て 検 討 し て お く こ と が 重 要 で あ る.
⑥ か ら⑩ は,工
め られ る,⑥
程 の 予 測 ・制 御 に 直 接 関 わ る も の で あ り,工 程 変 動 の 状 況 に 合 わ せ て 決
は,工
程 変 動 の 周 期 分 析 に よ り最 適 間 隔 が 決 定 さ れ る.⑦ ∼ ⑩ に つ い て は,
前 項 で 検 討 し た 通 りで あ る.
また、 これ ら設計 された システムは経済的 にも最適なものでなければな らな い。その評
価 には損失関数の考 え方が応用される.
5.2.4計
測 プ ロセ ス 設 計 の 実 験 の 考 え か た
前項で述 べたよ うにオンライ ン計測 に基づいた工程の予測制御 システムの設計の過程 を
整 理 す る と次 の よ う に な る 。
① オ ン ラ イ ン 計 測 の た め の 測 定 シ ス テ ム を定 め る。
②工程変動データを実験的 に得て,制 御周期 を求める。
③計測特性か らの工程平均の予測式を求める。
④修正量を決定するための方法を決める。
⑤変換式のため に信号因子の変化 に対す る特性の変化量を求める。
こ の よ う な 検 討 を 行 う こ と を 制 御 設 計 と して 行 い 、工 程 稼 働 の た め の パ ラ メ ー タ(表5.2.1)
を決 定 す る 。
オ ン ライ ン 計 測 に よ る 工 程 の 予 測 制 御 シ ス テ ム の効 果 を確 認 す る と と も に 、 制 御 設 計 、
量 産 段 階 で の オ ン ラ イ ン管 理 の 手 法 適 用 上 の 問 題 点 に つ い て 検 討 す る た あ に 、 プ ラ ス チ ッ
ク 成 形 工 程 を モ デ ル 工 程 と して 、 次 の よ うな 実 験 を 行 っ た.
成 形 実 験1モ
デ ル 工 程 の 工 程 変 動 と 制 御 シ ミ ュ レー シ ョ ン
成形実験2成
形品の特性予測のための条件の検討
成形実験3成
形品の冷却履歴 と寸法変化の検 討
成形実験4予
測制御システムによる制御実験
これ らの 実 験 を 通 し,オ ン ライ ン 計 測 の 設 計 過 程 上 の 問 題 に つ い て の 検 討 を 行 っ た.ま た 、
この 一 連 の 実 験 は プ ラスチ ック射 出成 形 工 程 で の 制 御 設 計 の モデ ル 化 の た め の も の で あ
る。
Fly UP