Comments
Description
Transcript
の活動報告書を掲載しました(PDF:3.89MB)。
コーディネート業務に関する事業報告書 [一般]様式 16 事業主体 パナホーム株式会社 対象住宅 団 地 西大和ニュータウン 星和台、中山台、広瀬台、高塚台(奈良県北葛城郡河合町) 関係構築において、河合町街再生協議会への参画や住民向けイベントへの出展参加など交 流を深め、情報共有を図った。事業周知においては、町の広報誌や WEB の活用を継続する 事業概要 とともに、地域メディアの取材対応やシンポジウムによる広報活動を展開した。調査活動 においては各種アンケートによる住宅利活用実態と住民意向の把握分析を行なった。事業 推進においては、現地ご相談センターを開設し、住宅利活用相談の受付・対応を展開した。 1.対象住宅団地の概要 (1)所在および立地環境 対象住宅団地は、奈良市から約 15km、大阪都市圏から約 25km の位置にあり、西大和ニュータウンの 過半を占める総面積 124ha の地域である。 公共交通機関は、近鉄田原本線(最寄り駅:大輪田駅、佐味田川駅)や路線バスが王寺駅に接続して おり、天王寺駅や奈良駅まで約 30~40 分で到達することができる。 図1 対象住宅団地位置図 1 (2)居住者および対象住宅団地の特徴 対象住宅団地は、1970 年代に西大和開発株式会社により開発されたニュータウンであり、恵まれた自 然環境と大阪都市圏の通勤圏という好立地により、開発当初からベッドタウンとして発展してきた。 現在、3,580 世帯、8,164 人が居住し1、50 代~70 代が約半数を占めている。開発当初に入居した親世 代の高齢化が進み、高齢化率は 32.3%と高い状況にある2。世帯構成は、約 9 割が核家族で、就職や進学 を契機とした 20 代~30 代の子世代の転出が目立っている3。 住宅の建て方は戸建て住宅が主体であり、全戸数の約 7 割を占めている4。戸建て住宅の空き家率は、 約 5%と低いが5、今後高齢化の進行に伴う増加が予測される。持家の流通状況は年間 10 件程度である6。 その他に、対象住宅団地固有の特徴として、開発主体が現存しないことが挙げられる。 表1 対象住宅団地の概要 【出典】世帯数・人口・空き家戸数:平成 26 年 6 月末河合町調査、年齢別人口:平成 22 年国勢調査、住宅戸数:ゼンリン住宅地図 グラフ 1 1 2 3 4 5 6 人口・高齢化率の推移(出典:国勢調査) 平成 26 年 6 月末時点(河合町調査) 平成 22 年国勢調査参照 平成 22 年国勢調査参照 ゼンリン住宅地図参照 平成 26 年 6 月末時点(河合町調査) 近畿レインズ参照 2 グラフ 2 10 年間(平成 12 年~平成 22 年)の年代別人口増減(出典:国勢調査) H12 年年齢→H22 年年齢 20 代~30 代の転出が特に多くなっている。 (3)生活利便施設等の立地状況 大型開発が行われた団地であるため、道路や公園などの都市基盤は比較的整備されている。 教育施設や公共施設も充実しており、対象住宅団地の中央を横断するメイン幹線沿いには、ショッピ ングセンター、映画館、飲食店、医院等が立地している。 図2 対象住宅団地概況図 3 2.事業の背景と目的 対象住宅団地の将来的な課題として、高齢化の深刻化や空き家の増加が挙げられるが、現時点では、 空き家率も低く、地域の活力も維持されており、将来に備えた対策を講じることが可能な段階にある。 本事業では、官民連携の取組みとして地域課題の解決を目標とし、将来的な課題の深刻化に備えた長 期的な取組みとすることをねらった。 取組みにおいては、地域との関係構築を図り、解散した開発主体に代わる住宅の維持管理や利活用に 係る窓口となることを目指した。 また、住宅流通においては、親世帯との近居や、子育て期の居住地としてのニーズを喚起し、周辺地 域や近隣都市の子育て世代の居住を誘致し、住宅の世代間循環を図ることとした。 3.事業の内容 (1)事業概要・手順と取組み体制 1)事業概要 図3 事業スケジュール ①地域との関係構築活動 町、自治会、住民と交流を積極的に図り、地域の魅力向上に向けた取組みを行なう。 関係機関との調整や地域における住民イベントを通じた、事業の理解と情報共有の活動を行なう。 ② 事業周知活動 住民向け説明会や専用サイト開設を通じて、地域・周辺住民への事業周知を図る取組みを行なう。 ニュースリリースや関係リンク先から専用サイトへの誘導により、地域内外への情報発信を行なう。 4 ③ 調査活動 アンケートや定性調査により、住宅利活用実態や住民意向の把握および分析を行なう。 調査分析結果から生活利便施設必要性の検討を行なう。 ④ 事業推進活動 現地ご相談センター開設による、住宅利活用相談の受付対応を行なう。 住宅の維持管理や利活用に係る情報提供、相談対応、住宅利活用支援を行なう。 2)取組み体制 図4 実施体制図 ① 地域との関係構築活動 主体:パナホーム株式会社、パナホームリフォーム株式会社、パナホーム不動産株式会社 連携:河合町、自治会、奈良県 ② 事業周知活動 主体:パナホーム株式会社 連携:河合町 ③ 調査活動 主体:パナホーム株式会社 連携:大阪ガス行動観察研究所株式会社(現・株式会社オージス総研) ④ 事業推進活動 主体:パナホーム株式会社、パナホームリフォーム株式会社、パナホーム不動産株式会社 連携:一般社団法人移住・住みかえ支援機構 5 (2)事業の具体的な内容と成果 1)地域との関係構築 ① 自治会(住民)との調整 <取組み内容> 円滑な事業推進を行うため、町の仲介により 2 月 20 日河合町役場にて河合町総代自治会長会会長 及び対象地域の 4 地区 5 自治会長に挨拶と事業内容説明をし、活動について了解を得ることができ た。 更に新事業年度の 5 月 8 日新自治会長に対しても、挨拶と事業内容説明をし、活動についての了 承を得た。 <取組み成果> 事業期間中、自治会長や住民の方からのクレーム等は無く、空き家所有者へ本取組みを紹介いた だくこともあり良好な関係で事業推進を行うことができた。 ② 河合町との連携 <取組み内容> 連携協定に基づき、定期的に河合町幹部と勉強会を開催した。勉強会には奈良県住宅課も出席し、 本年度は 5 月 7 日、10 月 30 日、1 月 29 日に開催した。 <取組み成果> 事業で得たお客様の声やアンケート結果等について勉強会を通じて情報共有することにより、町 幹部と事業推進について相互協力を行うことができた。また、奈良県からのアドバイスにより効率 よく事業推進をすることができた。 河合町との連携を町の広報誌等で告知することにより、住民からも河合町と連携した取り組みと して受け入れられた。 写真 1 河合町幹部との勉強会 (河合町役場会議室) 図 5「広報かわい」掲載記事 6 ③ 関連部門との関係構築 <取組み内容> 河合町と包括連携協定を結び活動中の帝塚山大学 村田武一郎教授とも河合町の人口減や空き家 問題について情報共有を行なった。 7 月 25 日、同教授主宰の地域・まちづくり研究会が主催する講演・情報交換会「ニュータウン地 域の将来を創りだそう!」に特別出演し、情報交換の場を得てアンケート調査の途中経過報告を行 った。 また、会場となった「まほろばホール」内ではリフォーム相談会を開催し、住民の住まいに対す るお困りごと相談に対応した。 <取組み成果> 当日は周辺住民を含み45名が参加し、本事業の取組について直接住民に説明を行うことによっ て、事業認知および活動に対する理解を得ることができた。 住民からの 2 世帯住宅への取り組みによる子世帯の流入促進策等の要望や短期的活動に終わらせ ず長期的な取り組みへの要望、ソーシャルビジネスに対する意見等を受け、河合町への提言内容に 結びつけた。 写真 2 シンポジウム「ニュータウン地域の将来を創りだそう!」 ④ 地域イベントへの参加 <取組み内容> 河合町や社会福祉協議会の主催するイベントに参加し住民とのふれあいの機会を増やすことと、 事業の周知に努めた。 イベントは河合町全体を対象に毎年恒例で行われている、8 月 15 日の「夏休み子供祭り」と 10 月 25 日の「ふれあいの集い」に参加した。 7 <取組み成果> 「夏休みこども祭り」では夏休みで帰省される方も多いということで、河合町に対するアンケー トを行い、住民の意識や、町外に住んでいる方の意識調査も同時に行い河合町への提言内容に盛り 込むことができた。(93 件のアンケート回収/河合町内 65 件、町外 28 件) また、お子様向けのゲーム等も準備し、親子や祖父母に喜ばれ、地域との関係構築に大いに役立 った。 「ふれあいの集い」ではハンドマッサージやフォトフレーム作りを開催し、住民とのふれあいに 役立てた。(約 90 組の来場) また、会場では住まいのお手入れ講習会も開催し、住まいに対する維持メンテナンスへの意識向 上と事業の認知度向上に努めた。 写真 3 夏休み子供祭り 写真 4 ふれあいの集い 8 ⑤ 協議会への参画 <取組み内容> 河合町街再生総合戦略の調査審議組織として編成された街再生協議会に委員として参画した。今 年度は 8 月 31 日および 12 月 3 日の2回開催され、3 月 3 日にも開催される予定となっている。(出 席者 22 名) <取組み成果> アンケート等で得た住民の意向やその結果を踏まえた事業提案アイデアを協議会で説明し、相談 窓口の設置や人口流入に向けたアイデアを街再生総合戦略政策(案)に盛り込むことができた。 写真 5 表2 河合町街再生協議会 関係機関との調整他 関係機関 自治会 (4 地区 5 自治会) 河合町勉強会 帝塚山大学 村田武一郎教授 地域イベント 河合町 「街再生協議会」 実施日 内容 2 月 20 日 河合町総代自治会長会会長及び4地区5自治会長に挨拶 と事業内容を説明 5月8日 新自治会長に挨拶と事業説明を実施 5月7日 今年度事業推進活動の報告と意見交換 10 月 30 日 アンケート調査他の結果報告と政策提案 1 月 29 日 事業結果のご説明と来年度に向けた取り組み内容検討 7 月 25 日 シンポジウムへの参加と参加住民へアンケート調査の途 中報告 8 月 15 日 河合町「夏休みこども祭り」への参加 10 月 25 日 河合町社会福祉協議会「ふれあいの集い」への参加 8 月 31 日 街再生総合戦略政策策定の方向性検討 12 月 3 日 街再生総合戦略政策(案)の検討 9 2)事業周知活動 ① 記者発表の実施 <取組み内容> 広報活動として、プロジェクト開始と地域における早期の事業周知を図るため、2015 年 2 月、2 件のニュースリリースと、現地における記者発表会を実施した。 ニュースリリースは、奈良・大阪・東京の記者クラブへ投函したほか、184 メディアへの個別郵 送、WEBオンラインニュースでの配信、パナホームおよびパナソニックの企業情報サイトや社員 向けイントラサイトへの掲載を行った。 また、記者発表会は、記者に地域の状況を分かりやすく伝えるため、河合町の町職員による説明 や、役場屋上およびバス車中からの対象地見学を盛り込んだ。 表3 記者発表の実施実績 実施日 実施内容 2015 年 2 月 3 日 モデル事業採択に関するニュースリリース 2015 年 2 月 12 日 プロジェクト開始に関するニュースリリース 2015 年 2 月 12 日 河合町における記者発表会(河合町役場・まほろばホール・対象地のバス見学) ■記者発表会の様子(2015 年 2 月 12 日) 写真 6 パナホームと河合町からの概要説明 写真 8 役場屋上から対象地を見学 写真 7 写真 9 10 関係者フォトセッション 町立文化会館「まほろばホール」見学 <取組み成果> 昨年度に実施した広報活動の成果としては、プロジェクトの開始について、記者発表を早期に連 打で行い、既存住宅流通促進の取り組みに対するマスコミの関心を集めた。その結果、新聞やWE B等の多彩なメディアでの報道につながり広く事業周知を行うことができた。 今年度の広報活動は、より具体的な事業の周知を目指し、地元紙(奈良日日新聞)にターゲット を絞った個別の取材対応で、活動内容を深掘りした報道に繋がるよう取り組んだ。奈良日日新聞 2015 年 4 月 24 日付においては、3 月に実施したパナホーム社長インタビューについて記事化され、 藤井社長が街再生についての社会的使命感と展望について語る内容となった。また、7月開催の住 民向けシンポジウムについても取材後に記事化(同紙 7 月 31 日付)されたほか、住宅業界紙等で折々 に記事掲載があり、地域に向けた情報発信強化の成果に結びつけることができた。 図6 2015 年 3 月以降の主な報道実績 奈良日日新聞 4 月 24 日付 奈良日日新聞 7 月 31 日付 パナホーム社長インタビュー記事 住民向けシンポジウム(7/25)取材記事 新聞や WEB 媒体における一連の報道実績は、延べ 23 紙・109 サイト(2016 年 2 月 1 日時点)にお よび、広告換算額で 約 4,200 万円の成果があった7。また、報道を通じて、対象地区の居住者や近隣 地域からコールセンターを通じて問合せがあった。さらに、パナホームWEBサイトに掲載してい るニュースリリース(2 件)ページへのサイト訪問回数は、本年度累計 2,714 件であり、記者発表を した 2015 年 2 月以降もアクセスは続いた。 7 電通 PR による試算 11 表4 主な記事掲載実績 掲載日 2015 年 2月3日 媒体名 朝日新聞デジタル&M タイトル 奈良県・西大和ニュータウンにおけるパナホームグループの提案が 国土交通省「住宅団地型既存住宅流通促進モデル事業」に採択 パナホームグループ、奈良・西大和ニュータウンで 2月5日 Yahoo!ニュース 2 月 13 日 エキサイトニュース 2 月 13 日 日本経済新聞(大阪) 2 月 13 日 奈良日日新聞 2 月 14 日 奈良新聞 2 月 20 日 読売新聞(奈良版) 2 月 20 日 奈良新聞 3月2日 週刊住宅新聞 パナホームの新たな挑戦「団地再生」 4 月 24 日 奈良日日新聞 社長インタビュー記事 7 月 31 日 奈良日日新聞 住民向けシンポジウム(7/25)取材記事 既存住宅の活用・流通を促進 パナホームが国土交通省「住宅団地型既存住宅流通促進モデル事業」 として『かわい浪漫プロジェクト』をスタート 中古住宅リフォーム 奈良・河合町と連携 河合町 パナホームと連携 パナホーム かわい浪漫 PJ 推進 西大和ニュータウン再生へ かわい浪漫プロジェクト リフォームなどに補助 ニュータウン空き家減らせ 河合町とパナホーム <金曜時評>ニュータウン再生 編集委員 松岡智 夢の場所の再構築 ② 地域への広報・宣伝活動 <取組み内容> 奈良日日新聞 2015 年 8 月 7 日付 創刊 117 周年記念号に、プロジェクト活動の半 5 段広告を出稿 した。同載面には、岡井町長インタビューや住民向けシンポジウムの記事が掲載され、河合町の魅 力やプロジェクト活動について訴求した。 図7 奈良日日新聞 8 月 7 日付(創刊 117 周年記念号) 12 また、モデル事業やプロジェクトの紹介、住宅利活用相談への動機づけを図るチラシを毎月作成 し、2015 年 3 月以降アンケートや河合町の広報誌に同封し住民へ配布した。 さらに、定期的に対象地域へのポスティングを実施したほか、パナホームの奈良支社、大阪南支 社管轄の住宅展示場にチラシを設置するなど、地域に根ざす事業周知活動を展開し、イベントへの 来場促進、住宅インスペクションやリフォーム補助に関する申し込みや相談受付募集を重ねた。 図8 河合町広報誌折込みチラシ・ポスティング・DM 例 表5 河合町広報誌折込み「かわい浪漫プロジェクト通信」の展開 配布時期 配布数 主な告知内容 2015 年 3 月 2,500 部 モデル事業の立ち上げ告知 2015 年 5 月 2,500 部 ご相談センター オープン、モデル事業訴求 2015 年 6 月 3,000 部 ご相談センターでのイベント案内、モデル事業訴求 2015 年 7 月 2,600 部 「リフォーム&メンテナンスフェスタ」開催の告知、モデル事業訴求 2015 年 8 月 7,300 部 河合町ふるさと祭り、相談センター案内、モデル事業訴求 2015 年 9 月 3,000 部 空き家の利活用訴求+セミナー案内、住宅インスペクション申込み募集 2015 年 10 月 3,000 部 「ふれあいの集い」出展、住宅インスペクション申込み募集 2015 年 11 月 7,300 部 ご相談センターでのミニイベント案内、住宅インスペクション申込み募集 2015 年 12 月 3,000 部 空き家利活用事例案内、住宅インスペクション申込み募集 2016 年 1 月 3,000 部 イベント案内、空き家利活用事例案内、住宅インスペクション申込み募集 2016 年 2 月 7,300 部 イベント案内、住宅インスペクション申込み募集 13 表6 対象地域へのポスティング・DM 配布件数 実施月 6月 7月 10 月 11 月 12 月 1月 配布数 2,400 2,400 2,400 2,400 2,400 2,400 <取組み成果> 奈良日日新聞(8 月 7 日付)における広告出稿は、パナホームと河合町の連携で取り組むプロジ ェクト活動の主旨について、マスメディアを通じて強く打ち出すことができた。 また、毎月のチラシ配布では、住民とのコミュニケーションを重視した地元密着型の宣伝活動を きめ細かく展開したことで、対象地域におけるモデル事業活動の認知向上、利活用相談件数アップ に貢献した。また、町の広報誌とタイアップすることで、プロジェクトに対する安心感・信頼感の 醸成にもつながった。 ③ WEBサイトの運営、SNS の活用 <取組み内容> 2015 年 2 月 12 日の記者発表と同時に開設した『かわい浪漫プロジェクト』のWEBサイトでは、 本年度、下記のコンテンツを作成し随時更新し、一般ユーザー(世間)、および地域住民を対象に、 プロジェクト活動に関する情報発信を継続している。かわい浪漫プロジェクトのロゴを大きく扱い、 河合町イメージキャラクター「すな丸」も登場させながら、かわい浪漫プロジェクトが地域にとっ て親しみやすいものとなるよう、ブランディング(トーン&マナー)を意識して展開させている。 http://www.kawairoman.jp/ ■『かわい浪漫プロジェクト』専用サイト 【掲載コンテンツ】 ・モデル事業やプロジェクトの趣旨・概要、そこに込めた想い ・現地ご相談センターの案内、相談窓口 ・セミナーやミニイベント案内 ・調査活動の概要、調査結果報告開示 図9 「かわい浪漫プロジェクト」専用サイト画面 14 また、河合町の協力で、河合町の facebook「すな丸の秘密基地 feat 河合町」に、かわい浪漫プ ロジェクトの相談センターOPENや(イメージキャラクターすな丸が現地に登場)、イベントにつ いて楽しく情報発信するなどソーシャルメディアの活用も行った。 図 10 facebook「すな丸の秘密基地」 <取組み成果> かわい浪漫プロジェクト専用サイトの訪問回数累計(2015 年 2/12~2016 年 2/13)は 2,700 件と なった。 下記グラフが示す通り、記者発表の実施月はニュースリリースやWEB記事からの流入が多かっ たが、それ以降は約 100~250 件/月で推移した。印刷物でのURL表記や、パナホームや河合町W EBサイトからのリンク強化も図ったが、アクセス数増加には課題を残した。 グラフ 3 「かわい浪漫プロジェクト」専用サイト 15 訪問回数推移 3)調査活動 ① 住宅利活用実態の把握 <取組み内容> 地域内の住宅および空き家について、 「居宅」として登記された家屋(タワーヒルズ西大和を除く) 2,311 件および現地調査により確認した空き家 82 戸を対象に、登記情報8から現所有者を特定し9、現 所有者の所有経緯や近年の流通状況を読み取ることで、住宅の利活用実態を把握した。 <取組み成果> 地域内の住宅について、登記情報から 2,305 件の家屋の現所有者と所有経緯を特定した。 現所有者の所有時登記理由は、68%が所有権保存、19%が売買、13%が相続・贈与であり、約 3 割 が既存住宅の取得であった。また、近年の所有経緯の傾向として、相続・贈与の件数が増加し、既存 住宅の取得が新築住宅の取得を上回る状況にあることが分かった。 売買の件数は年間 10 数件で比較的安定して推移しており、2014 年に売買による登記が行われた 家屋は 13 件であった。2014 年に売買による登記が行われた家屋 13 件の状況として、10 件(約 8 割) が個人間売買で、奈良県内の近隣居住者による購入が多いことが分かった。 グラフ 4 家屋所有者の所有時登記理由 登記理由 n=2,305 件 グラフ 5 登記理由別年間登記件数の推移 既存住宅の取得 8 9 新築住宅の取得 2015 年 2 月 2 日取得 現所有者が複数名による共同名義の場合は、持分割合が最も高い 1 名を現所有者とした 16 表7 2014 年に売買による登記が行われた家屋の登記情報(2015 年 2 月時点) 所在地 新築年 構造 床面積 地積 2 259.38m 売買状況 購入者住所 2 個人→個人 河合町 星和台 1971 年 木造 108.20m 星和台 1970 年 木造 101.08m2 255.28m2 個人→個人 王寺町 2 2 個人→個人 奈良市 星和台 1974 年 軽量鉄骨造 128.66m 211.34m 中山台 1992 年 軽量鉄骨造 96.05m2 209.71m2 法人→個人 中山台 中山台 1983 年 木造 110.47m2 266.36m2 個人→個人 星和台 2 2 個人→個人 三重県 中山台 1986 年 木造 124.54m 広瀬台 1974 年 木造 140.76m2 209.83m2 個人→個人 所在地住所 木造 146.94m 2 187.21m 2 個人→個人 所在地住所 2 335.54m 2 個人→個人 大阪市 392.58m2 個人→法人 橿原市 2 個人→法人 大阪市 広瀬台 1974 年 広瀬台 1972 年 木造 167.79m 広瀬台 1977 年 木造 193.20m2 2 264.57m 高塚台 1979 年 木造 96.18m 179.74m 高塚台 1983 年 木造 95.71m2 193.69m2 個人→個人 広瀬台 高塚台 1983 年 木造 95.64m2 212.35m2 個人→個人 河合町 地域内の空き家について、登記情報から 79 件の空き家の現所有者と所有経緯を特定した。 現所有者の所有時登記理由は、37%が所有権保存、31%が売買、32%が相続であり、約 6 割が既 存住宅の取得であった。空き家となっている住宅の傾向として、既存住宅の取得により所有した住 宅である割合が高いことが分かった。 また、現地調査10により 82 戸の空き家の利活用状況を確認し、既に売家または貸家として募集が 行われている空き家は 9 戸(約 1 割)であった。売家として募集中の空き家 6 戸の状況として、登 記情報から、3 件(約 5 割)が個人の所有で、うち 2 件は相続後 2 年以上が経過していることが分か った。 グラフ 6 空き家所有者の所有時登記理由 登記理由 n=79 件 表8 10 現地調査により確認した空き家の利活用状況 星和台 中山台 広瀬台 高塚台 合計 空き家戸数 31 戸 20 戸 17 戸 14 戸 82 戸 うち募集中(売家) - 1戸 3戸 2戸 6戸 うち募集中(貸家) 1戸 1戸 1戸 - 3戸 2015 年 2 月 11 日~13 日実施 17 表9 売家として募集中の空き家の登記情報(2015 年 2 月時点) 所在地 新築年 構造 床面積 地積 2 277.02m 登記理由 所有者 2 2008 年売買 個人 広瀬台 1979 年 軽量鉄骨造 138.72m 広瀬台 1983 年 木造 128.79m2 185.94m2 2012 年相続 個人 2 2 2014 年売買 法人 広瀬台 1974 年 木造 193.20m 中山台 不明 不明 不明 270.46m2 不明 不明 高塚台 1979 年 木造 96.18m2 179.74m2 2014 年売買 法人 木造 2 2 2006 年相続 個人 登記理由 所有者 高塚台 表 10 1979 年 83.34m 392.58m 179.67m 貸家として募集中の空き家の登記情報(2015 年 2 月時点) 所在地 新築年 構造 床面積 地積 星和台 1970 年 木造 98.94m2 262.63m2 1995 年売買 個人 300.37m 2 2006 年相続 個人 174.47m 2 1994 年相続 個人 広瀬台 1977 年 中山台 1991 年 軽量鉄骨造 軽量鉄骨造 136.98m 2 104.76m 2 ② 住宅利活用意向の把握 <取組み内容> 地域内の住宅および空き家について、住宅居住者および空き家所有者を対象に、アンケート調査11 を実施し、住宅の利活用や住み替えに関する意向を把握した。 住宅居住者アンケートは、地域内の戸建住宅および集合住宅のうち空き家を除く 3,004 戸を対象 にポスティングで配布し、447 件(うち持家戸建住宅居住者 374 件)の有効回答があった。 空き家所有者アンケートは、登記情報により特定した空き家所有者のうち法人を除く 77 名を対象 に郵送で配布し、16 件の有効回答があった。 表 11 アンケート配布・回答状況 星和台 中山台 広瀬台 高塚台 合計 配布対象 1,029 戸 475 戸 597 戸 903 戸 3,004 戸 有効回答数 133 件 75 件 91 件 148 件 447 件 うち持家戸建 88 件 66 件 79 件 141 件 374 件 空き家 配布対象 28 名 19 名 16 名 14 名 77 名 所有者 有効回答数 7件 4件 3件 2件 16 件 住宅 居住者 <取組み成果> 地域内の持家戸建住宅について、維持管理状況と居住者の住み替え意向を把握することができた。 リフォームを実施済みの持家戸建住宅は約 7 割で、実施したリフォームの内容は「屋根・外装の塗 装・修繕」や「キッチン・水周りのリフォーム」が多いことが分かった。 将来の住み替えについては、 「住み替えの予定や希望がある」が 1 割未満で、ほとんどの居住者が 現時点で具体的な住み替え意向を持っていないことが分かった。 また、プロジェクトへの個別相談や情報提供について 4 割弱が希望すると回答し、今後の調査に ついて 5 割弱が協力すると回答した。 11 2015 年 3 月 23 日~4 月 27 日実施、大阪ガス行動観察研究所(現・オージス総研)調査 18 グラフ 7 実施したことのある住宅の維持管理(複数回答可)[住宅居住者アンケート:Q9、Q10、Q12] ※ 持家戸建住宅に居住していると回答した 374 名を対象 グラフ 8 将来の住み替え意向(複数回答可)[住宅居住者アンケート:Q16] 0% 7.8 20% 40% 60.2 60% 80% 0.5 30.5 (n=374) 100% 1.1 住み替えの予定や希望がある 住み替えの予定や希望はない その他 わからない・具体的な考えはない 無回答 ※ 持家戸建住宅に居住していると回答した 374 名を対象 地域内の空き家について、維持管理状況と所有者の住宅利活用意向を把握することができた。 リフォームを実施済みの空き家は 5 割弱で、居住者のいる持ち家戸建住宅と比較して、維持管理 状況が低い傾向にあることが分かった。 空き家の利活用予定については、 「売却する」、 「賃貸住宅として第三者に貸す」、 「家族や親族が住 むまたは相続する」、「現状のまま維持する」が最多回答に並んだ。複数の物件で売却や賃貸などの 利活用意向が示される一方で、相続や現状維持などの意向により空き家の長期化を招く可能性が高 い物件も多く存在することが分かった。 また、プロジェクトへの個別相談や情報提供について、16 名中 6 名が希望すると回答した。 19 グラフ 9 実施したことのある住宅維持管理(複数回答可)[空き家所有者アンケート:Q13~Q15] ※ 常に住んでいる人はいないと回答した 15 名を対象 グラフ 10 40% 空き家の今後の利活用意向(複数回答可)[空き家所有者アンケート:Q19] 33.3 33.3 33.3 (n=15) 33.3 30% 20% 13.3 13.3 6.7 10% 0.0 0% 家 ま族 たや は親 相族 続が す住 るむ 、 賃 第 貸 三 住 者 宅 に と 貸 し す て 売 却 す る 現 状 の す ま る ま 維 持 自 身 が 住 む 住 宅 をを 活解 用体 すし る、 土 地 そ の 他 特 に 考 え は な い ※ 常に住んでいる人はいないと回答した 15 名を対象 ③ 生活利便サービスのニーズ調査 <取組み内容> 住宅居住者アンケートおよび定性調査12を実施し、地域の居住満足度や生活利便サービスに関する ニーズを調査した。 定性調査は、住宅居住者アンケート回答者から子育て層 4 名、シニア層 4 名を選定し、対象者ご とに自宅訪問やインタビュー調査を行った。 表 12 12 定性調査対象者概要 年齢 居住年数 選定状況 子育て層 30~40 代 10 年未満 新築住宅購入者 2 名、中古住宅購入者 2 名を選定 シニア層 50~70 代 20~45 年 定住意向者 2 名、転出意向者 2 名を選定 2015 年 6 月 19 日~26 日実施、大阪ガス行動観察研究所(現・オージス総研)調査 20 <取組み成果> 住宅居住者アンケートから、全体的に住み心地への評価は高い一方で、若年層においては、子育 て環境に対する未充足感があることが分かった。 また、定性調査では、地域に対する意見や要望として、 「赤ちゃん連れで出かけやすい場所が身近 にない」 (30 代女性)、 「地域のつながりがないのは寂しく感じている」 (30 代女性)、 「若い子育てフ ァミリーに来てもらえるような支援が必要」(70 代女性)、「若い世代が入ってくる工夫が必要」(70 代男性)などの意見があった。 今後、地域における既存住宅の世代間循環を推進するにあたり、子育て支援や世代間交流を図る ためのサービスの充実が求められることを確認することができた。 グラフ 11 西大和ニュータウンの住み心地[住宅居住者アンケート:Q28] (n=447) 0% 20% 40% 60% 30.2 80% 100% 57.7 7.8 2.2 1.6 0.4 住みやすい まあ住みやすい どちらともいえない やや住みにくい 住みにくい 無回答 グラフ 12 西大和ニュータウンに対する不満、困りごと(複数回答可)[住宅居住者アンケート:Q27] 40% 37.2 30% 40代以下 24.4 20.9 19.8 18.7 16.3 20% 15.1 19.8 14.0 9.3 10% 0% 5.1 子 育 て 環 境 が い充 実 し て い な 15.3 10.5 9.37.9 3.4 路 上 駐 車 が 多 い 医 療 ・ 福 祉 施 設 が 少 な い 交 通 の 利 便 性 が 悪 い 通 勤 ・ 通 学 の 便 が 悪 い 公 共 施 設 が 少 な い 地 域 の 充コ 実ミ しュ てニ いテ な ィ い 環 境 が ※ 40 代以下 86 名、50 代以上 353 名を対象 21 買 い 物 に 不 便 防 犯 ・ 防 災 対 い策 が 十 分 で な (n=439) 15.1 16.3 12.2 10.5 4.7 50代以上 29.7 4.75.7 公 園 ・ 充緑 実地 しな てど い自 な 然 い 環 境 が 2.34.0 地 域 に 愛 着 が な い 2.3 そ の 他 特 に 不 満 や は困 なっ いて い る こ と 5.7 無 回 答 ④ 地域の魅力向上に向けた施策の検討 <取組み内容> 一連の調査結果を踏まえ、地域の魅力向上に向けた施策の検討を目的として、プロジェクトメン バー13と河合町職員によるワークショップ14を開催した。 ワークショップでは、調査結果から考察した居住者のニーズや地域の課題を共有した上で、地域 の魅力向上のための提供価値を検討し、具体的な施策アイデア 6 件を作成した。 さらに、作成した施策アイデアの検証を目的として、周辺施設来場者を対象とした住民ヒアリン グ15を行った。 住民ヒアリングでは、河合町総合福祉会館「豆山の里」および「イオン西大和店」の来場者 30 名 の意見を聴取することができた。 写真 10 表 13 ワークショップ(河合町役場会議室) 住民ヒアリング回答者概要 地域内 その他 合計 子育てママ 9名 8名 17 名 シニア男性 5名 2名 7名 シニア女性 3名 3名 6名 合計 17 名 13 名 30 名 <取組み成果> 住民ヒアリングにおいて、施策アイデアとして「スーパー学童の誘致」や「かわいサロンプロジ ェクト(空き家を活用した世代間交流スペースの提供)」、 「かわい子育てネット(河合町育児情報サ イト)」等を提示し、高い期待と「子供が安心して遊べる町にしてほしい」(70 代男性)、「いろんな 世代が集まれる場は良い」 (70 代男性)、 「とても住みやすくて治安も良いので、多くの人に住んでも らえるように、いっぱい PR していけたらと思う」(30 代女性)などの意見を得ることができた。 一連の取組み結果は河合町街再生協議会において報告を行い、今後の施策検討につながった。 また、この他の調査活動として、河合町「豆山の里」で開催された地域イベント 16や、大阪市「あ べのハルカス」で開催された住宅取得希望者向けセミナー 17における来場者アンケートを実施し、周 辺および近隣居住者から見た地域の魅力や居住ニーズを調査することができた。 13 14 15 16 17 大阪ガス行動観察研究所(現・オージス総研)、パナホーム 2015 年 7 月 22 日、23 日、28 日実施 2015 年 9 月 2 日、7 日実施、大阪ガス行動観察研究所(現・オージス総研)調査 2015 年 8 月 15 日開催、「河合ふるさとの日」イベント「夏休みこども祭り」 2015 年 9 月 19 日開催、「子育て家族のマイホーム大作戦」 22 4)事業推進 ① 相談窓口の開設 <取組み内容> 平成 27 年 2 月に事業周知のための記者発表にあわせ、問合せや住宅利活用相談の窓口としてコー ルセンターを開設した。 その後、4 月 18 日に地域の中心にあるショッピングセンターに『かわい浪漫プロジェクト ご相 談センター』を開設し、来店による直接相談対応を行なえる体制を整備した。このご相談センター の稼動により、コールセンター機能は 5 月 31 日に移管統合し、水曜日のみを定休日として土・日曜 日も含め 10 時~18 時までを営業時間に常時担当者が駐在し、全ての窓口業務をご相談センターで行 なうこととした。 写真 11 ご相談センター外観 写真 12 ご相談センター内部 <取組み成果> コールセンターおよびご相談センター等におけるご相談受付は、期間累計で住宅診断関連が 42 件、 利活用相談が 26 件、転入希望相談が 8 件、リフォーム相談が 29 件、その他問合せが 67 件、合計 172 件となった。 表 14 ご相談受付対応件数(累計) ご相談センター コールセンター その他(DM・イベント等) 合計 住宅診断関連 24 6 12 42 利活用相談 17 4 5 26 転入希望相談 6 1 1 8 リフォーム相談 10 0 19 29 その他問合せ 47 20 0 67 合計 104 31 37 172 受付けた相談者には、相談内容に合わせてパナホーム株式会社、パナホームリフォーム株式会社、 パナホーム不動産株式会社が専門的アドバイスなどの対応を行なった。 このように、さまざまな住まいの相談内容に対して、相談窓口を一本化し、その内容に合わせて パナホームグループ各社が連携して対応することにより、相談者のニーズに総合的な情報発信と賃 貸化・売却・リフォーム・建替えなどの住宅利活用について、迅速で多様な選択機会を提供するこ とができた。 23 ② 住生活関連セミナーによる情報発信 <取組み内容> ご相談センターを情報の発信拠点として、地域住民に住宅の利活用に関する情報だけではなく、 「防犯」 「開運・風水」 「食と体温と健康」 「フラワーアレンジメント」などをテーマに、住生活に有 益な情報を提供し、健康で安全な豊かな生活を支援するためのミニセミナーを開催した。 これに合わせて、個別相談にも応える時間を設け、ご相談センターへの来場促進を図った。 表 15 写真 13 住生活関連セミナー開催状況 住生活関連セミナー実施風景 <取組み成果> 参加した一部の方は大変関心を示し、好評な情報提供の場となるとともに、住民同士の交流の場 を提供することができた。 また合わせて、ご相談センターの認知度を高めるとともに、住まいに関する相談のため気軽に来 場できる雰囲気を醸成し、住宅利活用支援活性化の一助となった。 ただし、徐々に参加者は増加したものの、全体の参加人数は少数にとどまり、告知や魅力づくり などの集客促進に若干の課題を残した。 24 ③ インスペクションの実施 <取組み内容> モデル事業地域の住宅を対象に、適切な維持保全や将来の利活用における課題を明確にする目的 で、補助金活用によるインスペクションの実施を提案し、希望者の募集を行なった。 インスペクションの実施については、中古住宅売買における既存住宅瑕疵担保保険付保に対応で きる住宅診断専門会社へ委託し、建築士資格を有する検査員と防蟻処理業者の 2 名体制で、国土交 通省が策定した「既存住宅インスペクション・ガイドライン」に沿った内容に床下侵入による白蟻 被害有無の確認を加えて実施することとした。 写真 14 インスペクション状況(床、壁傾斜) 写真 15 インスペクション状況(雨漏り跡) 写真 16 インスペクション状況(小屋裏) 写真 17 インスペクション状況(床下) <取組み成果> インスペクション実施希望者を募集した結果、合計 36 件の申し込みを受け実施した。 また同時に、耐震診断を希望される場合には、河合町安心安全推進課と連携を図り、河合町が実 施する耐震診断受診をお勧めすることとし 13 件実施した。 個別のインスペクション実施結果では、修復処理後の事象も含めると 83%の物件で「構造耐力上 主要な部分」「雨水の浸入を防止する部分」「給排水配管」のいずれかに関わる不具合事象ありと診 断された。 この結果について、所定のチェックを入れた診断帳票に報告写真を添付した診断報告書を作成し 結果報告を行なうことによって、住宅所有者は現状建物の経年劣化状態を客観的に把握理解するこ とができた。 その後、住宅所有者の要望にあわせ、経年劣化部分の修繕や設備交換・リフォームなどの相談に 対して技術的アドバイスや見積り提案などの情報提供を行なった。 25 グラフ 13 インスペクション実施物件の属性〈n=36〉 13-1 構造区分 13-2 築年数 13-3 居住状況 グラフ 14 インスペクション結果(不具合には修復処理後の分を含む)〈n=36〉 14-1 構造耐力上主要な部分の不具合の有無 14-2 雨水の侵入を防止する部分の不具合の有無 14-3 白蟻蝕害の不具合の有無 14-4 給排水配管の不具合の有無 26 ④ 住宅利活用支援 <取組み内容> モデル事業地域における住宅について、売買および賃貸化を希望する住宅所有者からの相談に対 して、インスペクションの実施による現況把握、売却または賃貸化のための住宅不具合箇所の改修・ リフォーム提案、売却時の査定・仲介対応、賃貸化の家賃査定・賃借人募集対応などの相談対応を 行なった。 また、広報活動やセミナーなどから情報を入手した転入希望者に対し、情報提供を行なうことに より、売買・賃貸化希望とのマッチングによる利活用の活性化促進を図った。 <取組み成果> 売却または賃貸化希望の物件に対しては、まず住宅診断専門会社によるインスペクションを実施 し、建物の現況を客観的に評価し住宅所有者の理解を促した。 その上で、利活用に向けた不具合箇所の改修・リフォーム提案をパナホームリフォーム株式会社 の担当者が実施し、利活用に伴う必要経費を含めアドバイスを行なうことにより、住宅所有者の意 思決定を支援した。 売却または賃貸化については、パナホーム不動産株式会社の担当者が対応し、売却希望者につい て売却金額査定から売買仲介の支援を行ない、賃貸化希望者については家賃査定から賃借人募集の 支援を行なった。 これらの利活用希望者に対し、パナホーム株式会社のご相談センターが総合窓口となり、両社と の連携調整を行なうことによって、それぞれの事情や希望に対し迅速で的確な支援を総合的に行な うことができた。 賃貸化希望者への支援活動の具体的事例として以下の活動を行なった。 築 15 年の木造 2 階建住宅を相続により取得し、現況空き家となっている住宅所有者から賃貸化の 相談を受け、まずはインスペクションを実施し、外壁目地のシーリングのひび割れなどの経年劣化 による不具合事象を確認した。 この結果に基づき、賃貸化の前に貸し主による外壁目地シーリングの打ち替え改修工事および外 壁塗装工事と内部クリーニング工事等を提案し実施した。 これと平行して、賃貸化については「一般社団法人 移住住みかえ支援機構(JTI)」による『マ イホーム借上げ制度』を提案し活用することとなった。 図 11 マイホーム借上げ制度 (移住住みかえ支援機構ホームページより) その後、改修工事完了にあわせ、WEBサイトで賃借人募集を行い、複数の入居希望者から問合 せがあり賃借人が近日中に決定する見込みとなっている。 その他の相談内容と対応状況概要については、以下の表の通りであった。 27 表 16 利活用相談内容一覧 表 17 転入希望相談内容一覧 28 3.今後の取組み課題 1)地域との関係構築 河合町や自治会及び関係機関との関係構築は順調にできたが、住民との接点は町全体でのイベント やご相談センターでのセミナーとご相談対応のみであり、更に住民との関係を円滑なものとし、住ま いが空き家になる前に気軽に相談ができる体制を構築することが大切と考えている。 ワンストップで相談対応できる民間企業の強みを一層アピールするとともに、街再生協議会に参画 する他の民間企業および公的機関とより密接な関係を構築し、引続き住民サービスの充実に努める必 要がある。 2)事業周知活動 今年度の広報活動においては、より具体的な事業取り組みに関する報道を目標にしていたが、その 成果を上げるためには、時間をかけて丁寧にメディアへ個別対応することが有効であることがわかっ た。この点を踏まえ、今後の広報発信は中長期的な視点で戦略的に計画し、実施していく。 対象地域および周辺地域住民に向けた周知活動については、セミナーやシンポジウム、地域イベン ト等を通じて一定の成果が見られたが、周辺地域からの強力な移住誘致につながる活動が不足してい る。今後、より一層の対象地域の魅力の創出に向けた企画の立案・推進が重要と捉えている。 当プロジェクト活動に関する情報発信は、対象地域・周辺地域・奈良県域など、ターゲットごとに 訴求する内容は異なるが、事業活動の進捗とともに「訴求点や訴求価値」が変動していくこともあり、 現実活動と連動した打ち出すべき情報の再整理や体系化、計画的な発信が必要となる。 3)調査活動 アンケート調査により、一部の空き家所有者の意向把握と個別相談につなげることができたが、登 記情報では所有者住所の特定を十分に行うことができず、20 件以上の宛先不明による未着があった。 また、特定した空き家所有者には相続により住宅を取得した県外居住者も多く、相談対応に時間がか かるなどの課題があった。空き家所有者に対する連絡手段や情報提供のあり方について検討が必要で ある。 定性調査や住民ヒアリングでは、プロジェクトに対する住民の協力や期待を得ることができた。今 後は、生活利便サービスの誘致など、地域の魅力向上に向けた具体的な施策の実施が課題となる。 4)事業推進 住宅の経年劣化に対する維持保全の必要性について、住宅所有者は関心があるものの、顕著な不具 合が発生しない内は専門的な診断を行わず静観し、その結果、劣化が進行している場合が多くあると 推測される。従って、住宅の利活用促進の前提として、住宅の現況劣化状況を客観的に調査し情報提 供をすることにより、建物の維持保全の実施啓発をできるようにする機会を継続的に提供するしくみ の設定が課題となる。 特に、相続による住宅取得時には、利活用が行なわれず空き家となるケースがある。この場合、生 活に困るわけではないので、空き家のまま放置される期間が長期に及ぶ結果となりやすい。住宅を社 会資本として利活用促進し空き家増加の抑制を図るためには、相続取得による住宅所有者が対策対象 ポイントの一つである。 29 4.今後の取組みについて 引き続き河合町との連携協定にもとづき街再生協議会に参画し、以下の内容を重点として空き家対 策に向けた提言と活動を継続していく。 1)住民が長く住み続けるための対策 不動産会社、リフォーム会社等町には住まいに関する会社は多数あるものの、長く住み続けるため に安心して相談できる「よろず相談窓口」的な場所で、住まいが空き家になる前の川上での相談対応 が必要となる。 今後も河合町と共同でご相談センターの運営を継続し、住民の相談対応を行っていく。 2)空き家利活用の支援 空き家の多くが相続によるもので、所有者は県外在住者が大半となっている。また空き家になって 10 年を超えるのもが多く、人が住まないことによる老朽化が目立っている。広報活動により利活用に 伴うインスペクションを町と共同で推進することにより、住宅ストックの良質化と新しい家族の転入 促進を図っていく。 3) “街の魅力”の情報発信 河合町への転入者を増やすためには、町の魅力を地域限定的なものとせず、マスコミやWEBを有 効活用して関西圏や日本全国へ発信していく必要がある。そのためにも街再生協議会参加団体と連携 し、河合町と共に街の魅力を更に高めていけるよう活動していく。 図 12 今後の取り組み 30