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2. リサイクル材料の品質及び加工・改良技術 2.1 建設発生土

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2. リサイクル材料の品質及び加工・改良技術 2.1 建設発生土
2. リサイクル材料の品質及び加工・改良技術
2.1
建設発生土
建設発生土を利用する際には、利用する発生土の土質性状や対象用途の要求品質、地盤
条件、施工条件、経済性等を勘案して、「特段の処理を行わず利用する」、「施工上の工夫
を施したり、土質改良等の処理を行ったりして利用する」等、適切な方法を選定しなけれ
ばならない。
なお、利用に際してはコンクリート塊等の異物混入を防止するとともに、セメント系改
良材等による安定処理を行う場合には溶出水のpHや六価クロム等有害物質の溶出に留
意すること。
(解説)
建設発生土は建設工事に伴い副次的に発生する土砂であり、港湾・空港等工事におい
て有用な土質材料として位置付けられる。この建設発生土は「廃棄物処理法」の廃棄物
には該当しない。また土質区分の第1∼4種建設発生土は「リサイクル法」の指定副産
物に指定されており、一定規模以上の工事について利用の促進が義務付けられている。
建設発生土は港湾・空港等工事の埋立用材として特段の処理を行わず直接利用するこ
とができる場合が多い。また、一方では、一部に施工上の工夫を施したり、土質改良等
の処理を行ったりすることにより利用されている。
(1) 建設発生土の品質区分
建設発生土の発生側及び利用側の品質に関する認識を統一する目的で、
「建設発生土利
用技術マニュアル(第2版) 1997年10月(
(財)土木研究センター)」において、表 2.1.1
に示す土質区分が定められている。
発生土の土質区分は、原則として、コーン指数と日本統一土質分類を指標とし、土質
改良を行った場合には、改良後の性状で判定するものとしている。
一般に港湾・空港等工事の盛土や陸上部の埋立用材として、同表の第1∼3種建設発
生土に相当する発生土が用いられ、水面埋立には第4種発生土以下のものを用いること
もあるが、埋立後の地盤の挙動や性状並びに予定される地盤改良等の施工や土地利用等
を勘案して、適用土質を検討して用いることが重要である。
なお、建設発生土利用技術マニュアル(第2版)については、現在改定作業中であり、
近々第3版として改訂版が発刊される予定である。よって、改訂版発刊後はそちらを参
照されたい。
2-1
表2.1.1
土質区分基準表
[出典:建設発生土利用技術マニュアル(第2版)1997年10月、
(財)土木研究センター]
同マニュアルでは、土質区分判定のための調査試験方法について表2.1.2に示す方法を
判定指標としている。
表2.1.2
土質区分判定のための調査試験方法
判定指標
試験項目
試験方法
コーン指数*1)
締固めた土のコーン指数試験
JIS A 1228
日本統一土質分類
土の工学的分類方法
JGS 0051
土の粒度
土の粒度試験
JIS A 1204
液性限界・塑性限界
土の液性限界・塑性限界
JIS A 1205
自然含水比
土の含水比試験
JIS A 1203
*1)上記試験方法に準拠する。ただし、1層ごとの突き固め回数は、25 回とする。
*2)改良土の場合は、コーン指数のみを測定する。
[出典:建設発生土利用技術マニュアル(第2版)1997年10月、
(財)土木研究センター]
2-2
(2) 土質改良工法および施工上の工夫
要求される品質に達しない低品位な発生土については、土質改良や施工上の工夫をす
ることにより利用用途が拡大する。これらには、低品位な発生土をそのまま埋立て、埋
立後に軟弱な既成地盤と同時に改良する方法(地盤改良)等もあることから、利用する
発生土の土質性状や対象用途の要求品質、地盤条件、施工条件、経済性等を勘案して適
切な方法を選定することが重要である。
土質改良や施工上の工夫による効果(付 加機能)には以下に示すもの等がある。
① 強度、耐変形性の付与
高含水な発生土でもセメント系や石灰系などの改良材により安定処理を行えば、反応
後は強度と耐変形性が生じる。この場合、処理前は泥状、スラリー状(流動状態)であ
ることが許容できる。改良材の種類や添加量は、土の含水量や有機物含有量等に影響さ
れる。同質の土に関する資料があれば、ある程度の想定が可能であるが、一般的には室
内試験によって決定される。
② 脱水促進
含水比の高い粘性土でも脱水することにより強度が大きくなり、安定性が増す。粘性
土であっても、有効な排水層があれば脱水は可能である。従って、盛土内に適宜排水層
を設ける等により、高含水の粘性土による盛土の安定性を向上させることが可能となる。
袋詰脱水処理工法も脱水を促進する工法の一つであり、袋による土の分散や流れ出しを
防止するとともに、袋の張力を利用して積重ね、盛土などへの利用を可能とするもので
ある。
③ 盛土補強
盛土内への補強材(ジオテキスタイル等)の配置により、安定性を向上させ、高盛土
や急勾配盛土が可能となる。また、盛土材への繊維補強材の混合により、混合土の強度・
靱性を向上させることが可能であり、また浸食に対する抵抗力などを向上させることが
可能となる。
(3) 適用用途
建設発生土を港湾・空港等の埋立地の造成や盛土の材料として利用する場合は、埋立
地の土地利用計画や埋立後に予定される工事のトラフィカビリティ等の施工性を勘案し
て使用する土質が決定される。
また、陸上工事への適用について建設発生土利用技術マニュアルにおいて、土質区分
別に工作物の埋戻しや道路盛土等の一般的な適用目安として、表2.1.3に示す適用用途標
準を定めている。
2-3
表2.1.3
用 途
土質区分
建設発生土の適用用途標準
工作物の埋戻し
道路(路床)盛土
土木構造物の裏込め
道路路体用盛土
評
価
付帯条件
評
価
付帯条件
評
価
付幣条件
評
価
付帯条件
第1種
発生土
第1種
発生土
◎
最大粒径注意
◎
最大粒径注意
◎
最大粒径注意
◎
最大粒径注意
砂、礫及び
これらに準
ずるもの
第1種
改良土
◎
−
◎
−
◎
−
◎
−
第2a種
発生土
◎
最大粒径注意
◎
最大粒径注意
◎
最大粒径注意
◎
最大粒径注意
第2b種
発生土
◎
−
◎
−
◎
−
◎
−
第2c種
発生土
○
粒度調整
安定処理
◎
−
◎
−
◎
−
第2種
改良土
◎
−
◎
−
◎
−
◎
−
第3種
発生土
第3a種
発生土
○
粒度調整
含水比低下
安定処理
○
粒度調整
含水比低下
安定処理
○
粒度調整
含水比低下
安定処理
◎
−
通常の施工
性が確保さ
れる粘性土
及びこれに
準ずるもの
第3b種
発生土
△
安定処理
○
施工上の工夫
安定処理
○
施工上の工夫
安定処理
◎
−
第3種
改良土
○
施工上の工夫
○
施工上の工夫
○
施工上の工夫
◎
−
第4種
発生土
第4a種
発生土
△
安定処理
△
安定処理
○
施工上の工夫
安定処理
○
施工上の工夫
安定処理
粘性土及び
これに準ず
るもの(第
3種発生土
を除く)
第4b種
発生土
△
安定処理
△
安定処理
○
施工上の工夫
安定処理
○
施工上の工夫
安定処理
第4種
改良土
×
○
施工上の工夫
○
施工上の工夫
泥土
泥土a
△
安定処理
△
安定処理
○
施工上の工夫
安定処理
○
施工上の工夫
安定処理
概ねqcが
200kN/㎡以
下のもの及
び建設汚泥
泥土b
△
安定処理
△
安定処理
○
施工上の工夫
安定処理
○
施工上の工夫
安定処理
泥土c
×
第2種
発生土
砂質土礫質
土及びこれ
らに準ずる
もの
×
×
×
×
凡例(評価)
◎:そのままで使用可能なもの
○:施工上の工夫もしくは簡易な土質改良(安定処理を含む)を行えば使用可能なもの
△:安定処理等の土質改良を行えば使用可能なもの
×:使用が不適なもの
[出典:建設発生土利用技術マニュアル(第2版)1997 年 10 月、
(財)土木研究センター]
(4) 建設発生土利用の留意事項
建設発生土を利用するに際して、
「ガラ混じり土」
「汚染土」
「処理土・改良土」等が廃
棄物処理法や海防法等の法的な規制を受ける場合もあり、環境保全上の支障を来たす恐
れがあるため、以下について留意する必要がある。
2-4
① ガラ混じり土
「ガラ混じり土」は建設発生土にコンクリート塊や木片等の異物が混入したものをい
い、物理的に利用が困難になるだけでなく、廃棄物ではない建設発生土と廃棄物が分離
されない状態で存在する場合には、その全体が廃棄物と判断されることがある。
「建設発生土利用技術マニュアル」では、建設発生土に廃棄物が混入したガラ混じり
土について、ガラの最大粒径30㎝以下かつ混入率(重量比)30%以下のものについては、
土質工学的に礫混じり土と同様に扱えるものの、廃棄物と判断される場合もあるので注
意が必要とされている。
② 処理土・改良土
建設発生土にセメント系や石灰系の改良材等を混合し、土の性状を化学的に改良する
ことを「安定処理」といい、安定処理された土を「改良土」という。改良土を含め、脱
水、乾燥等を行い、その性状を改良したものを総称して「処理土」という。
陸上では建設現場で発生した高含水比の建設発生土の処理には、現場内でセメント系
もしくは石灰系で安定処理されるものと、土質改良プラントで処理されるものとがある。
前者の用途は埋立用材として利用されることが多く、後者はCBR値等の締固め特性
で管理されることから、用途としては道路用盛土や工作物の埋戻し等にも利用できる。
改良土を港湾・空港等工事で利用する場合には、海域に改良土から高 pH の溶出水が流
出する恐れがあるため、その利用にあたっては中和処理や余水処理を施す等の施工 上の
配慮が必要である。余剰水の海域への排出は「水質汚濁防止法」の排水基準に pH5.0∼9.0
と定められているのでこの基準に準拠する必要があり、また、地方自治体によってはこ
れより更に厳しい基準を設けているところもあるので、注意が必要である。
また、セメント及びセメント系の固化材で安定処理した改良土は、
「1.4(3)①」で述べ
たとおり、六価クロムの溶出に関して調査を実施する必要がある。
なお、高炉セメントは比較的六価クロムの溶出の恐れが少ないとされており、また、
最近では、溶出抑制タイプの固化材がセメントメーカー 各社により開発されている。
③ 汚染土
関係法規の規定を越える有害物質が含まれている発生土については、本指針の適用外
であり、関係法規の定めに従い処理する必要がある。一般に汚染に係る判定基準として
は、
「水底土砂の判定基準(総理府令第6号)」があり、一部の自治体では、
「土壌の汚染
に係わる環境基準(環境庁告示第26号別表)」を適用している。
2-5
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