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Page 1 Page 2 与えられた期限の満了時から、 日に七五フランの
仏法におけるアストラントについて(⇒(萩) 仏法におけるアストラントについて⇔ ハ 蝉ω嘗①ぎ9α②汐蕎<o・確定的アストラント 輔 効果的であるために、単に威嚇︵§塁8︶であるに止まらず、罰︵金︶ ︵冨蓼︶でなければならない。しかし当事者の要求 例えば、ポンレベック民事裁判所の一九四二年一二月一〇日の判決は次のようにいう。﹁本件の場合、アストラントは、 ︵七五︶ ものであり、一部の学説の強い支持を得た。 これは、近年家屋明渡しの執行について、直接強制が行政当局の非協力のため阻害されるのに鑑み、下級審が生みだした と、器貸oぼ$3ヨ旨諾霧−首一騨曾ωにおいて、その金額が非改訂で確定的である点の二つの特徴を組み併せたものである。 っとも効果的に拘東する目的を持って、器窪Φ一旨①8ヨ鼠暴8幕において、その金額が損害に関係なく任意に定め得る点 害賠償のアストラントをも含む広い意味で使われることもあり、響凸專⋮Φは錺鼠。馨。3ヨヨ禮窃山b鼠議3と区別する意味 ヴ で器霞。ぎ3需一器榎マ盆・私的罰金のアストラントという。この狭い意味の器#露旨。念眺巨牙oとは、債務者の意思をも ω器け邑馨。昌88ヨ邑轟鼠お・非威嚇的アストラントともいう。これらの語は器幕葺①3ヨヨ謎霧−言け曾霧・損 大 する日に三〇〇フランは高いから、当事者に不当利得を与えないようその額を修正するのを可と認める。よって、被告は、 一19一 萩 説 論 与えられた期限の満了時から、日に七五フランのアストラントの下に、彼が不法に占拠している家を原告の自由な処理に置 かねばならない。このアストラントは威嚇的なものでない。それは原告の利益のために確定的な宣言である。但し持続期間 ハ えり は三ケ月。﹂と。 又、ブーズィエール民事裁判所の急速審理裁判官︵感憲ひ︶は一九四八年三月一六日の裁判で次のようにいう。 ﹁被告は その占有する原告の部屋をこの命令の送達後八日内に立退かねばならぬ。この期限を過ぎて二ヵ月間は遅延日毎に一〇〇フ パ ロ ランの霧霞虫馨08⇒8旨邑轟§おを宣告する。この宣告は取消すことができない。﹂と。 ㈲ この宣告が確定的なものである限り、それは仮執行が許される。 ハ ロ ハセリムルレ 又、減額が不可能な反面、﹁増額﹂は可能とされる。例えば匡窪器器は﹁裁判官は一月二月三月と持続期間を定める。そ れから先の将来において増額することは裁判官に少しも禁じられていない。﹂という。増額を認める判例もある。 ⑥ 確定的アストラントは威嚇的アストラントと同じく損害と無関係にその額が定められるが、他方それが確定的で ︵八O︶ ある点、成文なくして刑罰なしの原則の侵犯である、或は、債権者に不当利得を与えるものであるという非難がなきれる。 ︵八一︶ 二 器霞鉱箕巴聲巴曾法律上のアストラント 多数の立法が、民事上行政上或は刑事上、履行の遅延に応じ、或は、違反毎に繰返される金銭上の宣言を規定し、その作 用がアストラントに類似し、又アストラントという語が法文中に使用きれることが多いので、これ等のものを、器實。ぎ盆 ㎞鼠§卑曾裁判上のアストラント︵本来のアストラントをきす︶に対応させて、器賃Φ巨巴聲器・法律上のアストラントと 呼ぶ。それ等はアストラントの一般原則が適用され難い場合のためのものである。従って、それ等のものは、ほとんど常に ︵八二︶ 真のアストラントとは何等かの異った性質を持ち、各個にまちまちの特徴を示す。例えば、ωあるものは法の一般規定の適 パムう 用を確保するためのもので特定の債権者がいない、ωあるものはその金が国庫に帰属する、⑥あるものはその宣言を侯たず してそれが義務づけられている、@あるものはそれを宣言すると否との任意性がない、㈲又あるものはその金額が法定きれ或 一20一 仏法におけるアストラントについて(コ(萩) は確定的であり非改訂である、という風に。故に、それ等を一括して統一した原則の下に置くことができず、器貫虫算2猪巴Φ ハ レ は確定的な法律上の一つの範疇を横成しないといわれる。 2 アストラントの手続 イ 8口審ヨ暴ユ8鋤一、器賃o日8・アストラントの宣言 ︵八五︶ ω アストラントは主たる債務を確認する判決と一緒に宣言することもできるし、又後から別個に又数度に亘って 宣言することもできる。 ω アストラントは損害賠償ではない、特に、それは命令権に基づく、という前提に立てば、その管轄権は当然広 ︵八六帽 ︵八七︶ く認めらるべきである。判例はすべての司法裁判所にアストラントを発する権限を認める。甘鴨号泳辱?急速審理裁判 パ ロ 官についても、破殿院は且っては反対の意を表明したが、最近これを取消した。9霧毘α.蝉鉾は、行政裁判所について、 ︵八九︶ ︵九〇︶ アストラントを発することを認めない。又、控訴審で始めて宣言しても仏民訴法八六四条︵新たな請求の禁止︶に反しな い。又、仏民訴法四四二条が商事裁判所にその判決の執行を禁じるにも不拘、アストラントを発することは認められている のも、アストラントは執行の方法ではないとする見解から当然肯定きれる。 じ ⑥ 又、アストラントの基礎を裁判所の命令権に求めれば、それが職権で発し得ることは当然の帰結となる。判例 も認めている。例えば破殿院一八七八年三月一八日判決︵ボーフルモン事件︶は、申立なくして損害賠償を宣言したという ハ ニロ 上告理由に対して、 ﹁裁判官自身も判決の履行を確保する権限を持つ﹂という。 ロ 一β三富貯一8号一.器菖①げ3・アストラントの確定・清算 ω 債務者が履行するか、或は債務の不履行が絶対的となれば、アストラントは確定的に清算きれ、多くの場合そ パ ヨマ の額は減額きれる。これは当初からのアストラント制度の要請であった。しかし、冨器Rによると、 ﹁最初はアストラン トの宣言だけで債務者の履行を得るに充分であったから、清算はあまり問題にならなかった。最近になり、アストラントの 一21一 説 論 宣言の無力さが認識きれ、その威嚇力がおとろえるに従って、一一2置蝕8●清算の要求が多くなった。その時、人ははじめ てこの清算の性質が極めて不確定のものであることに気がついた。﹂という。つまり、清算に際し、何を基準としてその額を 確定するかという間題である。﹁国き三と匹麗二﹂は次のようにいう。﹁清算の時が来れば、アストラントは存在理由を ︵九四︶ ︵九五︶ 失い消滅する。後に存続するものは遅延或は填補賠償だけである。その際、単に金額が改訂されるのではなく、アストラン トに損害賠償がとって代るのである。﹂と。これは伝統的な判例通説の立場を表朋している。しかし、これに対して、学説の 中には別の考え方がある。即ち、アストラントは木来損害賠償とは別個のものであり、従って清算後も損害賠償と別個の存 ハ ふハロ ロ 在を保つべきだ。故に、清算に当って、アストラントと損害賠償を加算し、当初より高い額に確定することができる、とす るものである。破殿院判例も又アストラントと損害賠償の加算を認めるものがある。津曾邑冨は、これを、アストラント ︵九八︶ ロ は清算に際して損害賠償に貫き珠。§するか否かの問題といい、頃昌ω震は葺巳鼠ぎp︵清算︶かおく霞自︵改訂︶かの間 ののロ 題として表現する。零曾磐一まは判例を詳細に検討した結果、アストラント一五〇年の慣行の後尚この聞題は未解決である という。アストラントの効果の上からは、アストラントは清算後もなお残るとする方が望ましいことは当然である。アスト ︵一〇一︶ ︵一〇=︶ ラントは清算によって消滅し、後には損害賠償しか残らないというのであれば、津魯邑冨のいう通り、それは陽炎のいの ちでしかない。しかし、他方、これは器嘗。首9念旨三お・確定的アストラントを認める考え方に連り、確定的アストラ ントに対して与えられる非難がこれにも向けられることになる。現行の司法の慣行が、伝統的な立場により、正面から清算 後のアストラントを認めることを避け、できるだけ損害賠償の額を大きく評価することによって、その効果を補なおうとし ている、ということは、以上のヂレンマをきける妥協であると思われる。 ︵一〇三︶ ㈲ 尚、清算に関する見解は、清算の管轄裁判所を定める基準となる。清算が単に損害賠償の宣言であるという見 ︵瑠〇四︶ 解に立てば、アストラントを宣言し得る裁判所がすべて清算の権限をもつとはいえない。判例・通説はこの見解に立つ。 一22一 仏法におけるアストラントについて(コ(萩) ⑥ 言三α畳8胃。三ω9同o・仮の清算について。審窪ω薯蝕Rはアストラントを効果あらしめる方法として 誇一〇七︾ ︵一〇八︶ ハ の レ 一一2置豊8零窪け①恩8梓一8留急。葱8 ︵裁判の履行前の清算︶を説く。かような清算を言鼠母ぎp旨o≦ω。淳。.仮の清算 コのゐの ともいい・その実質は鷺。≦ωo冨・仮ではなく、部分的に確定した清算であるとされる。 一九四九年七月一二日の法律はか ような仮の清算を禁じたとする学説、判例もあるが、ω磐豊Rは否定する。 ハ o溢o暮一8密一.器貸。日8・アストラントの執行 アストラントが一旦清算されると︵それが所謂仮の清算であっても︶、それを債務名義として、差押等の強制執行をなし 得るのは当然である。問題は債務者が未履行で未だ清算がなきれない前に、鐘透暮。8ヨ巨旨8富 .威嚇的アストラント を宣言した裁判を直接に債務名義として執行し、その金額を取立て得るかということである。これは後で述べる。 3 アストラントの適用 イ 適用を受ける義務の範囲 コの ロ ① 判例はアストラントの適用範囲を次第に拡げ、今日、アストラントの適用を受ける義務の範囲は非常に広い。 ハニのマ 効果と便宣に関する考慮を除いて、その適用を制限する何等の法理上の原則は存在しない。 財産法上の義務、身分法上の義務を問わず、契約に基づく義務、法定の義務、不法行為責任の別なく、又、仏民法にいう 3雪震。供与の債務、︷巴話●作為の債務、濡冨の鼠話・不作為の債務の何れであれ、アストラントは適用きれる。又、国、 公共団体に対してもアストラントを宣言することができる。 ㈲ 3自段・供与の債務は、所有権の移転を目的とする債務と解きれ、しかも所有権の移転は原則として﹁契約当 事者の単なる承諾﹂ ︵仏民法一二二八条︶によって完成するから、その限りでは執行の介入する余地はない。しかし、債務 ︵二一︶ の目的物が種類物である時は引渡しによってはじめて履行きれると解きれるから、その場合アストラント介入の余地があ るo 一23一 説 論 ⑥ 金銭債務︵供与債務の一種︶について。破殿院は一九一八年一〇月二八日の判決で、金銭債務の支払遅延につ いては、法定利息の支払の宣言しかなし得ないとして、アストラントの適用を否定した。しかし、これは、アストラントを コ ニレ ︵一二二︶ ︵一一四︾ 依然として損害賠償視するものであるとし、或は仏民法二五三条四項が悪意の債務者に対しては遅延利息と別個の損害賠 償を認める事を無視するものとして、学説上非難するものが多かった。 ︵二悪 この破殿院の趣旨は、その他の裁判所によっても必ずしも守られなかったが、最近、商事部一九五六年四月一七日の判決に よって、破殿院は、アストラントは仮の手段︵旨霧ξ。鷺oξ8富︶にすぎないとして、前の判例を改めた。 コニの ω ︷巴8・作為債務は﹁すぐれてアストラントの分野﹂ ︵一。3ヨ巴p冒賊窪。亀窪8留一.器#蝕旨。︶或は﹁選ばれ ︵一一七︶ たアストラントの分野﹂ ︵冨3臼巴器α、働8ぎロ号器貸9韓①︶といわれ、アストラントの最も多彩な適用が見られる。例え ば物、文書等の引渡義務︵3彗R.供与の債務に附随するもの、独立のものを含めて︶、家屋の明渡義務、仕事の遂行、完 コメ ワ 成義務︵代替、不代替を問わず︶、法律行為の義務︵特に8暮鵠30一窪需一の場合︶等。 ㈲ ぎ冨ω璽お・不作為の債務についても、一回的不作為義務は別として、作為義務同様、アストラントの適用 が認められている。例えば、ある劇場に出演しない俳優の義務、不正競業避止義務等。但し、この分野では、器霞。一韓① ハ ゾ コニのロ 3導参囲窃山馨曾窪ω ・損害賠償のアストラント︵即ち、非改訂の確定的損害賠償の宣言︶であることが多いといわれる。 ⑥ 家族法、身分法の分野について。 ︵ココ︶ この分野においても、アストラントは、むしろ直接強制のスキャンダルを避ける意味で好ましいときれ、よく利用きれた。 ︵︻二二︶ ︵一二三︶ 例えば、妻の家庭に戻る義務、子供を監護者の手に引渡す義務、或は、別居中の妻に子供に対する悪影響をきけるためその 恋人と同棲させないようにするため、等。しかし、今日では、特別制裁規定ができた事等のため、その理論的可能性にも不 拘、あまり利用されなくなった。 ω 制限。債務の性質・状況から来る制約はある。 一24一 仏法におけるアストラントについて1コ(萩) ︵i︶不可能、不道徳、不法な義務についてはアストラントを適用できない。但し、債務者の単なる履行拒否は、勿 論 、強制執行、アス ト ラ ン ト を 妨 げ な い 。 ︵H︶その適用が債務者の人格を犯し、過度に自由を奪うものにはアストラントは許されない。 ︵m︶芸術家の義務にもアストラントは適用きれない。 一八六五年七月四日のパリ控訴院判決︵ローザ・ボナール事件︶は、画家の作品完成義務についてアストラントを否定し パニ ロ た・又更に、完成した作品の引渡し義務についても、自発的に履行される以外、強制の方法はないとされる。 ロ 他の執行方法に対して例外的、補助的でない。 ω アストラントは他の執行方法に対して例外的、補助的であるか、の問題について、判例は全く否定の態度を示し ている。 ニベ ロ ︵i︶アストラントは直接強制が可能の場合でも使用できる。同一の判決で両者が同時に宣言きれることもある。 コニ ロ ︵n︶代替執行︵仏民法一一四四条︶が可能な場合でもよい。 ︵窟︶不作為義務違反の障害物除去の代替執行が可能の場合もアストラントは許きれる。両者を併料している判例も ある。破殿院審理部の一九〇〇年二月六日判決︵U舞器α対U。篤民窪事件︶によると次のようである。 一審判決が﹁判決 の送達後五日以内に壁をこわせ。期限内に履行しない時、原告に代替執行を授権し、且被告は、その費用と遅延日毎に三〇 フランの損害賠償を支払え。﹂と命じた。被告は、過失・損害の立証なしに、費用の外に三〇フランの支払を命じたのは不法 であると上告したが、破殿院はこれは費用の泊・后℃猷Bo旨︵追加︶でもなく、過失による損害賠償でもない。アストラント 吻 学説の大勢は﹁霊き巨と困窟旨﹂の次の叙述が代表しているように思える。曰く﹁直接強制が可能な時はア であるとして、これを斥けた。 コニセロ 一25一 説 論 ストラントは排除されるか?、 一見そう思える。︷98讐裏。︵公権力︶に訴えて、欲する結果をより直接に、より普通に 獲得できれば、アストラントの効用はないように見える。裁判所は、しかし、その時でも屡々にアストラントを用いる。便 宜性の考慮がアストラントを推せんするからである。直接強制の手段は極端で、複雑で、債務者にとってやや不名誉であ り、屡々こっけいで、或は持続する効果がない。先づ債務者自らの義務の履行を得ることを試みるのが屡々より簡単であ る。債権者は何も不利な事はない。何故なら、もしアストラントが効果がないとわかれば、彼は任意に直接強制に訴えるこ とができるから。事実審の裁判官は、債権者の要求があった場合、果してアストラントを用いるのが有用か、最も便宜な コニ ロ ︷RBΦ︵方式︶は何かを決定する専権を持っている.﹂と。 ハ 金 額 ω 威嚇的アストラントの金額は債務の履行を強制する目的で、損害賠償と無関係に高く定められる。その際、その目 的からいって、債務者の抵抗の度合、債務者の財産、及び係争利益の三つの要素が斜酌さるべきだが、損害賠償と異り、 ︵一、冗︶ その額を決定するについて何等理由を附する必要がなく、自由に定めることができる。従って最高額の制限はなく、むしろ ハニニのロ 無限に増大する可能性がアストラントの効用を保証する所以であるとされた。 山局額判例の例 ︵i︶破股院一八七八年三月一八日。公爵夫人が娘を夫に引渡す義務につき、日に千フラン。 ラン。 ︵”11︶破殿院一八九七年ご一月一日。電気会社がパリの大きなホテルに電気を供給すべき義務について、日に一万フ ︵出︶セーヌ民事裁判所一九四七年四月二日。家屋明渡事件につき、最初の三〇日間一万フラン、次の三〇日間二万 ︵短︶マルセーユ民事裁判所一九四七年二月二一百。家屋明渡事件、日に四万フラン、一月間。 フラン ω しかし、最近の例では、屡々、短い含融Φ︵持続期間・適用期間︶が定められ、そこに一応の限度が認められる 一26一 仏法におけるアストラントについて口(萩) 場合が多くなった。又、孚⑫磐ヨ・は、その理論的立場から、アストラントの額に制限を認むべきことを主張する。彼の趣 ハニベニロ 旨は次の通りである。﹁アストラントは厳格に︵重く︶計算された損害賠償の警告︵巽段静器目の旨︶である。従って、アス トラントの金額は損害賠償の総体の額の内に止めらるべきである。しかし、損害賠償の評価の中には、債務者の抵抗等は充 分斜酌きれるのだから、実質はあまり変らないであろう。問題は過度の︵①図8婁奉︶ アストラントだ。法外な︵急馨雲邑 アストラントを発し、必然的に相当な減額或は取消しを招来する実務の慣行は放郷することが望ましい。もし、アストラン トを効果あらしめようと欲するなら、アストラントが後からも維持きれる事が必要である。従って、当初から可能な損害額 ︵二二二︶ に応じたものであらねばならない.﹂と。 パコニゴコ ︵一、二四︶ ︵;五帽 ⑥ 尚、治安判事︵現在ではピ鴨留賃ぎ琶巴α.首露霞8・小審裁判所判事︶はその取扱う事件について金額の制限が あるから、その発するアストラントも制限を受けるか、については、受けるとする判例があり、寄怠磐旨①はこれに賛意を 表するが、寄冨震は、アストラントは損害賠償でないから、これはあてはまらないとする。 ︵ε六︶ ︵三ヒ︶ 皿 アストラントの現代的問題 1 一①&。冒留置8﹃導巨Φ震Φ象8冨・執行方式の衰退 ︵一三九︾ ω 執行方式とは判決等の債務各義の末尾に記載される文言で、執行吏に執行を実施すべき事検事に執行を監視すべ ごニ マ き事、及び︷蔑8讐藍。︵警察官等をいう︶に執行に協力すべき事を命ずるものである。 O巴9一蚕。は次のようにいう。﹁一九三五年頃より判決の進行性麻痺が始った。経済危機、住宅難がその理由とされた。職 工によって工場を占拠きれた工場主は﹂轟Φ号誌︷曾σの立退命令を得ても、その執行につき警察力の協力を得ることができ なかった。不当な公用徴収についての裁判についても同様であった。一九三六年六月六日の司法大臣通達によると、検事 に、立退︵。巷巳ω一8︶、差押︵毘馨︶、執行︵o濫。葺一9︶について適当と思われる緩和方法を構ずるよう命じた。これは事 一27一 説 論 後の和解手続︵冥。畠含話88蓉一ぎ一一9餌宕窪ぎ5のようなものであった。又、それは執行吏が警察の協力を得るため コ のレ の検事のビザ︵<ぎ︶・承認︵検印︸のようなものであった。 一九四一年二月二二日の通達は、これを修正して、執行吏は、 法律的に錯雑した場合︵匹葺&霞冒ユ象程08氏岳①︶を除き、原則として、判決の執行について検事の承認を必要としな い、といった。しかし、次の困難が生じた。それは、警察の協力を得るための知事の承認︵︿ぎ号雷冥陳9ε邑である。 これは、裁判の執行について警察力を行使する行政当局︵き8吋ま&菖巳ω窪畳ぎ︶は公けの秩序︵o益お讐匿。︶を保つ責任 があるから、強制執行の重大なトラブルを起す危険がある例外的な場合は、警察力︵出a8b昌浮︶の介入を延期することが できる、という行政裁判所の判例︵9拐色α、卑欝費議けO皇譲器︶に由来するものである。知事は、執行吏に警察力を使用 きせた責任をとる事を欲しなかった。彼の承認の某準はまちまちであった。これは権力分立の混乱である。執行方式を具え たものは執行きれるという原則は知事の承認︵<冨︶によって例外となり、例外であるべき行政当局の執行異議が知事の承 認により原則となって終った。司法大臣︵一Φ鴇&。留の零$黄・国爾尚書︶は、家屋の立退を命ずる裁判について、行政 当局による警、察力の協力拒否のため、何等の効果をも持たないものの数が多い事を内務大臣に注意を促した。内務大臣は、 一九四七年一月二〇日の通達で、判決の執行が原則であり、立退判決の実現が公けの秩序に重大なトラブルを齎す時に限 り、例外的にしか延期すことはできない、といった。しかし、この通達が守られているか疑しい。﹂と。 ㈲ かような度重なる執行方式の衰退に直面して、裁判所の採った方策は、アストラントを、従来の伝統的な原則か ら脱却して、より効果的な方法で用いることにあった。 ハ ご 2 冒鴨号菰叡菰・急速審理裁判官による宣告 コ ニロ OD 器弊ぴとは、緊急を要する事件等について、仏民訴法八〇六条以下により認められる第一審の︵大審裁判所の︶ 裁判所長による迅速簡易な審判手続である。 コ う 法欲菰の裁判官がアストラントを発することができるかについては、過去における判例、通説とも否定的であった。その理 一28一 仏法におけるアストラントについて(コ(萩) 由とする所は、菰憲ぴの裁判は本案の裁判を妨げず、とする仏民訴法八〇九条違反である。そうして、この否定論は、アス ︵一四四︶ ︵一四︻一力︶ ︵一囲ニハ︶ トラントは損害賠償である、という前提から導かれたものであった。 ロ ヒレ しかし、エスメーン以後、学説、判例はアストラントを損害賠償から明瞭に区別するようになり、又、近年迅速で安価な ︵一四八︶ ︵一四九︶ 感憲αに持込まれる家屋明渡し事件の数が増加し、他方、裁判の直接強制が行政当局の非協力によって困難になるにつれて 泳欲感裁判官によるアストラントの必要性は益々増大した。従って、近年の判例では、徹欲菰の権限は命令権であるとし、 ︵一五〇︶ ︵一五一︶ ︵一五二︶ 仏民訴法一〇三六条を根拠として、感叡臓によるアストラントの宣言を認めるものが多く、又、破殿院も民事部一九五〇年 三月二八日判決で菰欲&唱蝕邑おについて、アストラントの宣言を認めるに至った。しかし、依然として従前と同じ理由 コさニロ で否定する判例もある。 ハ ヱ ロ こヱヱレ ㈲ 又、誌欲み裁判官による言三α呂8・清算については、今日尚損害賠償説が有力であることを背景として、学 説、判例とも否定的である。しかし、く鼠畠は一5且α豊8鷺。訊ωo富・仮の清算の可能なることを力説し、︾留く蝕震は、 更に、清算なしで仮執行をすることをすら認める趣旨である。 ハのヱぬつ ⑥ 器幕一馨。3旨B謎窃−巨卑簿璽損害賠償のアストラントは、確定的に損害賠償を宣言するものであるから、誌叡詠 裁判宮は宣言することができない、とされる。 ︵一五七︶ 3 器霞。巨Φ念旨三お・確定的アストラントの擾頭 パ ロ ω 確定的アストラントは、執行方式の衰退が最も顕著であった家屋明渡の分野で、下級審により、開拓きれた。 誌ま菰裁判官もこれを用いた。一部の学説は強い支持を与えた。裁判所は、正にそれが履行︵執行︶きれないだろうことを 知っていたが故に、猶予期限を定めず、或は極めて不充分な期限の内に、立退を命じた。これは、執行方式の衰退に対して 示した裁判所の反応の最も強烈なものであったといえよう。しかし、それは同時に、政治的社会的考慮を欠いたまづいやり 2一 9四 『 説 論 方であったと評される。反動はすぐ来た。それは一九四九年七月一二日の法律である。その第一条に曰く﹁家屋の占拠者に ユ レ 立退かせるために定めたアストラントは、常に9。鋒Φ巨。8目鼠旨§噌・・威嚇的アストラントの性格を有し、一旦明渡しの 裁判が履行された時は、改訂され、清算されねばならない。﹂と。少くとも家屋明渡しの分野では、器貫。馨①監旨三ぎ・確 定的アストラントは禁止された。又、破鍛院も、一九五〇年一一月三〇日の判決︵家屋明渡事件︶で、アストラントを、単 に威嚇的のものでなく、不履行の場合は確定的であるものとして、宣言する場合は、それが損害額をあらわす︵審嘆診Φ馨9 ことを理由づけ︵冒の蔑貯︶ねばならぬが、原審判事はそれをしなかった故に破殿、といって、確定的アストラントを否定 ︵㎝六〇︶ する趣旨を表明している。 吻 その後の破殿院の動向も、アストラントは威嚇的なものでなければ損害賠償のものであり、その場合、その金額 コ じ が損害をあらわすことを示さ︵冒&箒ひ島量ねばならぬとする一連の判例と、又、期限がすぎた時はアストラントは確定 ユ ニぜ 的に獲得されると明記する判決は損害賠償を定めたものと解釈さるべきだとする判例、から見て、確定的アストラントに対 ︵一六三︶ ︵一六四︶ しては、依然として否定的であるように思われる。蚕誘曽のいう通り、今日では、確定的アストラントは損害賠償のアス トラントの外被にかくれてしか存在し得ないのかもしれない。しかし、極く最近の破殿院判例︵民事二部一九六二年五月↓ ○日︶は、一審、二審の発した確定的アストラントを肯定している。 4 一β鼠費ぎ昌・清算前の執行 ω この問題は、やはり家屋明渡の分野で起った。︾留く蝕震は、一九四九年七月一二日の法律が、その不手際に も不拘、否多分その不手際の故に、この問題の解明に協力するのに役立ったという。事実、この法律の出現とともに、ぐ ︵一六五︶ ︵一六六︶ の問題が賛否を問わず判例を賑わすようになっている。肯定説の方が優勢のようである。学説においては、ω麩注R軸避ω曾 の肯定論と即息塁竃Φの反対論の極立った対立が興味を引く。 ・3ρ一 仏法におけるアストラントについて口(萩) ︵一六七︶ ⑧ ω薯呂霧は次のようにいう。﹁民法、民訴法によれば、執行の実体的、要件として、債権が。R鼠昌︵存在の確実 性︶、一昼鼠留︵金額の確定性︶、窪芭菖①︵請求可能性︶でなければならないが、反対論者は、アストラントの請求権はこ れ等の要件を欠くと主張する。しかし、例えば﹁8旨鋤ぎ﹂については、アストラントの請求権は条件付債権と考えればよ い。それが執行できることは、未確定の裁判が上訴審で変更、取消しを受ける危険があるにも不拘、仮執行ができるのと同 じである。もし取りすぎた時は債務者に返還するだけである。その際、清算は債権者の保有部分をきめる役割をする。又、 返還を確保するため、仮執行許容の際、保証を立てさせればよい。又、成文法はないが、取立てた金は供託させることが 考えられる。牢凸麩旨Φの新損害賠償説によれば、結局、需一需管ぞ雷 ︵私的罰金︶を認めるのと同じことになる。又、 目①民①。三8︵民事罰金︶も債務者に酷で衡平に反する。アストラントの宣言について即時の執行を認めることが、債権者 ﹁これは結局、債権者の利益のための判例法上の制度と、債務者保護の民訴法上の原則の衝突の問題である。先づ、毘忽? に不当な利得を与えることもなく、アストラントの効果を最もよく発揮きせる方法である。﹂と。 コ ロ ⑥ 区錯ω震は次のようにいう。 ︵一六九︶ 麟講騨︵差留命令・債権差押︶の保全的部面については、アストラントの受益者にそれを許すのは、極めて理由がある。債務 者拘禁が単なる警告に止らなかったのと同じである。破殿院判例も上訴、故障が申立てられた場合の路路山畦簿の執行債 権については緩和した態度をとっている。では、それ以上の執行は不可か。不可とすればアストラントの効果は何もない。 ︵ 一 七 〇 ︶ アストラントは猶予期間中は霧墨8●脅威である。それが過ぎれば、直ちに執行し得るものでなければならない。そうでな ければ、アストラントは案山子にすぎない。﹂と。 ︵一七一﹀ ω これ等に対応して、牢訟麩罠Φは次のようにいう。 ﹁聾ω一中碧冷け以外の執行は全然問題にならない。では、里路6旨2についてはどうか?。なる程、破殿院は、上訴、故障 一δズー 9。 説 論 を申立てられた執行債権についてゆるやかな解釈を示す。しかし、アストラントの場合は性質が違う。アストラントの宣言 による権利は、損害賠償ではなく、清算に際して、消滅し、損害賠償の宣言がこれにとって代る。しかも、その際、金額の 改訂が行われる。アストラントの宣言による権利が﹁8旨巴Eであるとは、到底いえない。賛成論者の議論は、実用論にす ぎない。それは、債務者保護の執行法上の原則を斥けるには不充分である。 特に、実務において、法外なアストラントを科し、極めて低額で清算するのが普通であるから、法外なアストラントの執 行を許すことは、アストラントの使用が極めて頻繁であるのに鑑み、大きな弊害を齋すであろう。﹂と。 5 一九四九年七月二一日の法律 コ ニレ コぬ じ ω 前述のように、この法律は、ようやく発展の端緒についた確定的アストラントを、家屋明渡の分野において禁止し て終った。この法律はその外、清算について次のことを規定する。 な レ ︵i︶アストラントは填補賠償の額を越えて清算することはできない︵同法二条一項前段︶。 ︵H︶損害賠償額を算定するに当って、債務者が遭遇した履行の困難を斜酌しなければいけない︵二条一項後段︶。 ︵鐙︶債務者が、履行を遅らせられ、妨げられた、自分の責任に帰さない、外部の事由の存在を立証した時は損害賠 ハ ゼヱロ 償を免除される︵二条二項︶。 これ等の規定は、債権者にとって、一般の損害賠償の原則より不利であると評される。尚、この法律の適用を受けるアス ︵一七六︶ ︵一七七︶ ︵一七八︶ ︵一七九︶ トラントについては、同法第一条は﹁占有者をして都屋・家屋から立退かしめるために定められたアストラント﹂と規定す るだけである。しかし、判例は逐次適用の除外例を確認しつつある。例えば、不法占拠者、農業用財産の賃貸借等。 6 国B①&①〇三5号8声9曾。8ヨ巨塁8ぎ・威嚇的性格の民事罰金の提唱 ω 今日において、アストラントの効果を維持し高めようとする努力の方向は大体三つあると思う。︵i︶津蕊麩葭Φ の新損害賠償説及びこれと関連する損害賠償のアストラン委の活用、 ︵”11︶確定的アストラント或は窟凶ま震守魯︵私的罰 _32一 仏法におけるアストラントについて口(萩) ︵一八○︶ 金︶論、 ︵m︶ω髪蝕F区曙ω震によって強調される清算前の執行である。 1︶の確定的アストラント或は需ごΦ ︵i︶と︵m︶は、 一応伝統的な制度を尊重する基盤の上に立つものであるが、 ︵”1 冨&Φ・私的罰金論は、既成の概念に反する要素が多く、それだけ強い抵抗を呼びこむものがあった。ところで、威嚇的な 民事罰金という考え方は、この︵n︶の確定的アストラントの基礎の上に立って改善を試みるものといえよう。その特徴は、 確定的アストラント或は冨話冥ぞ諭の欠点を克服して、 ︵i︶このアストラントは国庫に収納される。従って、債権者に不当利得を与えない。 ︵H1 1︶確定的でなく、威嚇的であり、改訂し得る。従って、よく履行強制の目的に合致する。 ω これは仏民訴法改正案が提示するところのものである。 ︵一八﹃︶ 9ま。によって、アストラントに関する、仏民訴法改正委員会の質o糞号8瞬・要綱ときれるもの、によると次の通りであ る。 ﹁終審の判決或は仮執行の宣言を附した判決について、裁判官は、申立又は職権によって、作為義務を宣告された当事者に 対して、遅延日毎の帥菖窪留9昌?民事罰金を発することができる。この民事罰金は、国庫に収納きれ、裁判官はその額及 び倉誌。・持続期問を定める。この規定によって、厳欲み裁判官は自らアストラントを清算することができる。 この罰金は、履行期間経過後、上訴の場合でも、そのまま維持し、或は改訂することもできる。﹂ ︵一八二︶ 又、一九五四年に発表された仏民訴法改正草案九三条二項は次の通り規定する。 マ②曾Φ裁判官は、申立又は職権によって、作為義務を負う当事者に対して、国庫に収納されるべきアストラントを発する ことができる。裁判官は、その額及び持続期間を自由に定め、又何時でもそれを維持し、或は改訂することができる。﹂ ︵本文完︶ 一33一