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アニュアルレポート2016

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アニュアルレポート2016
テルモ株式会社
アニュアルレポート2016
資料提供: 学校法人北里研究所
テ ル モ は 、第 一 次 世 界 大 戦 の 影 響 で 輸 入 が 途 絶 え た 体 温 計 を 国 産 化 す る た め に 、
北 里 柴 三 郎 博 士 をはじめとする医 師らが 発 起 人となり、1 9 2 1 年 に 設 立 されました 。
「学者は、高尚な研究で自己満足してはいけない。これを実際に応用して社会に貢献する
ことこそ、本分である」これは、世界的な業績をあげた北里博士が生涯貫いたスピリッツであり、
「医療を通じて社会に貢献する」というテルモの創業以来の企業理念に通じるものです。
北 里 博 士 の イノベ ー ションと挑 戦というスピリッツを 受 け 継 ぎ 、患 者 さん の た め に 、
優 れ た イノベ ー ション を 医 療 現 場 に 届 けることが 、テ ル モ の 企 業 活 動 の 原 点 で す 。
1
TERUMO CORPORATION Annual Report 2016
企業理念
医療を通じて社会に貢献する
私たちは、医療の分野において価値ある商品とサービスを提供し、
医療を支える人・受ける人双方の信頼に応え、社会に貢献します。
開かれた経営
5つの
ステートメント
私たちは、開かれた経営を基本とし、適正な利潤の確保・還元につとめ、
リーディング企業にふさわしいグローバルな事業発展を図ります。
新しい価値の創造
私たちは、科学的思考と時間と柔軟な発想を重んじながら、
安全と安心の提供
私たちは、誠意とこだわりを持って
アソシエイトの尊重
価値ある商品とサービスを創造し、
より深くお客様のニーズに応えます。
技術と品質の向上にとりくみ、安全と安心を提供します。
私たちは、個の尊重と異文化の理解を大切にし、
アソシエイト・スピリッツのもとに、
未来にチャレンジする風通しのよい企業風土をつくります。
良き企業市民
グローバル
ビジョン
私たちは、公正な企業活動と環境への責任ある行動を展開し、
信頼される企業市民をめざします。
Innovating at the Speed of Life
私たちは、世界で絶え間なく変化する社会の環境と、科学と技術の進化の中で、
患者さんのいのちに寄り添い、
いち早く、医療の現場に新たな価値を届けます。
TERUMO CORPORATION Annual Report 2016
2
目次
2 企業理念/グローバルビジョン
3 目次/編集方針
4 特集 新たな視点や組み合わせで
価値あるイノベーションを創出
13 社長メッセージ
17 トピックス
19 事業紹介
33 研究開発・生産
37 マネジメント体制
41 役員紹介
43 5年間財務サマリー(連結)
44 財務報告
47 連結財務諸表
51 グローバルネットワーク
53 会社情報/株式情報
編集方針
「アニュアルレポート2016」
は、企業理念「医療を通じて社会に貢献する」
の実現に
向けた事業活動をステークホルダーの皆様に分かりやすく報告し、社会とのコミュ
ニケーションを促進することを目的に作成しました。
レポートは、以下の3部構成(英語版は4部構成)
で発行されています。
テルモのウェブサイト
(http://www.terumo.co.jp/ir/library/annualreport/)
ではすべてのセクションをPDFにて配布いたします。
名称
言語
発行形態
アニュアルレポート
(本編)
日本語・英語
印刷冊子・PDF
Financial Information
英語のみ
PDFのみ
Technology and Quality Section
日本語・英語
PDFのみ
Sustainability Section
日本語・英語
PDFのみ
「アニュアルレポート
(本編)」
および「Financial Information(英語のみ)」
では、
主要な企業活動や業績に関する情報を中心に掲載しています。巻頭特集では、企
業理念の実現に向けて、新たな視点や組み合わせで、医療現場にとって価値あるイ
ノベーションの創出を目指すテルモの取り組みを紹介しています。
「Technology and Quality Section」
では研究開発・生産に関する詳しい情報
を、
また、
「Sustainability Section」
では、環境や社会貢献などへの取り組みにつ
いて、情報を掲載しています。
対象範囲
可能な限り国内外の連結決算対象のテルモグループを報告対象としましたが、
項目により、報告対象が異なる場合があります。
対象期間
2015年度(2015年4月1日~2016年3月31日)
活動には一部直近の内容も含みます。
将来の見通しに関する注意事項
本レポートには、将来についての計画や戦略、業績に関する内容が含まれておりま
す。
これらは、現在入手可能な情報から当社が判断した見通しであり、経済情勢、
事業環境、需要、為替レートの変動などにより、実際の業績が見通しと大きく異な
る可能性があります。
3
TERUMO CORPORATION Annual Report 2016
特集
新たな視点や組み合わせで
価値あるイノベーションを創出
テルモグループでは、
「医療を通じて社会に貢献する」
という企業理念のもと、
新たな視点や組み合わせを徹底的に考え抜くことで、
医療現場に価値あるイノベーションを届けてきました。
今後も、社内外の多様な視点を柔軟に取り入れ、挑戦を続けることで、
医療を受ける人、支える人双方にとって価値あるイノベーションを
創出していきます。
CASE 1
日本発、世界初の重症心不全治療用の
再生医療等製品「ハートシート®」
p.05
治療を待つ患者さんに
新たな選択肢の提供を目指して
CASE 2
手首の血管から冠動脈にアプローチする
カテーテル治療「TRI」
p.07
患者さんのQOLと
医療経済性の向上に貢献
CASE 3
独自の針構造を持つ日本初の
皮内注射デバイス
「イムサイス®」
p.09
難しい皮内への注射を
より簡便かつ確実に
イノベーションの源泉となる
研究開発力の強化
p.11
医療現場の視点から、価値あるイノベーションを追求
● 卓越した専門性で研究開発を牽引する
「テルモフェロー」
● バイオデザイン・プログラムによる医療機器の開発
TERUMO CORPORATION Annual Report 2016
4
特集 新たな視点や組み合わせで価値あるイノベーションを創出
病院で
筋肉組織採取
輸送
テルモ施設で
骨格筋芽細胞を
培養
病院へ返送
ハートシートを用いた
治療の流れ
移植
CASE 1
日本発、世界初の重症心不全治療用の
再生医療等製品「ハートシート®」
治療を待つ患者さんに
新たな選択肢の提供を
目指して
5
TERUMO CORPORATION Annual Report 2016
シート調製
新たな治療選択肢の提供を目指して
「ハートシート」
は、虚血性心疾患による重症心不全の
産学官の連携による成果
ハートシートは、産学官の連携による成果です。開発・
患者さんの治療を目的とした製品です。2015年9月に、
製造には、東京女子医科大学の岡野光夫教授が確立し
世界初の重症心不全治療用の再生医療等製品として製
た
「細胞シート工学」、大阪大学の澤芳樹教授による
「骨
造販売承認※を取得し、2016年5月に販売を開始しまし
格筋芽細胞シート技術と移植術」、テルモの「細胞製品
た。
ハートシートを用いた治療は、
患者さん自身の細胞を
の製造・品質管理技術」
が活用されています。
また、2014
採取し、培養した後、
シート状にして患者さんの心臓の
年に施行された医薬品医療機器法における再生医療等
表面に移植するという流れで行われます。薬剤や冠動脈
製品の承認審査の仕組みを活用し、早期の開発・承認を
バイパス術などの標準的な治療で効果が不十分な方を
取得しました。
ハートシートは本制度の承認を受けた初
対象とし、心機能の回復を図る新たな治療法として期待
の製品です。
されています。
また、
培養する細胞は患者さん自身から採
取するため、
拒絶反応がないことが大きな特長です。
再生医療の産業化を加速する突破口に
ハートシートには
「新たな治療の選択肢を提供する」
と
※条件及び期限付承認
いう価値に加えて、
もう1つ大きな意義があります。
それ
発想の転換によるブレイクスルー
は、再生医療の産業化を加速させる突破口になったこと
ハートシートの開発は、治療の選択肢が少ない重症
です。
これまで再生医療等製品は有効性の証明が難しく、
心不全に対し、心筋の再生医療を用いて機能回復を図
販売開始まで時間と費用がかかることが課題とされてい
ることを目指し、2002年にプロジェクトがスタートしま
ました。
しかし、
再生医療等製品を早期承認する仕組みが
した。当初は患者さんから細胞を採取・培養して注射で
導入され、
ハートシートが第一号として承認を受けたこと
投与する方法を想定していましたが、2007年に、有効性
で、
今後より多くの再生医療等製品が開発・実用化される
を高めるため、
シート化して移植する方法へと転換しま
ことが期待されます。
再生医療の産業化が進むことで、
こ
した。
この新たな組み合わせへの転換が、本プロジェク
れまで有効な治療法がなかった疾患を治療できる可能性
トの突破口となります。2012年からの臨床試験を経て、
が広がり、
社会的に大きな価値をもたらします。
2014年に製造販売承認を申請、
その後1年弱で承認を
テルモは、有効な治療法を待つ患者さんに価値ある医
療を届けることを目指し、心筋再生医療の可能性をより
得ることができました。
広く追求していきます。
新たな治療の選択肢を提供
心不全の治療法
既存の治療法
新たな治療法:ハートシートを用いて心機能の回復を図る
薬剤
カテーテル治療※
外科手術
心臓移植
補助人工心臓
調製されたシート
※心不全の原因の1つとされる虚血性心疾患の治療などに用いられています。
TERUMO CORPORATION Annual Report 2016
6
特集 新たな視点や組み合わせで価値あるイノベーションを創出
CASE 2
手首の血管から冠動脈にアプローチするカテーテル治療「TRI」
患者さんのQOL と
医療経済性の向上に貢献
※
※Quality of Life(生活の質)
世界で普及が進むTRI
トレーニングを通じて、医師から医師へ伝承
TRI(Transradial Intervention)
とは、橈骨(とうこ
新しい医療は、
医療従事者が適切に施行することで初め
つ)動脈と呼ばれる手首の血管からカテーテルを挿入
て効果を発揮します。
そのためには、
教育とトレーニングが
して行う心臓(冠動脈)のカテーテル治療のことです。従
欠かせません。
テルモの総合医療トレーニング施設
「テルモ
来は足の付け根からカテーテルを挿入していましたが、
メディカルプラネックス」
では、
医療現場と同様のカテーテ
TRIでは合併症が少ないことや大幅に入院期間が短く
ル室などを有し、
製品を適正に使用するためのトレーニン
なることから、患者さんのQOLおよび医療経済性の向
グや研修を提供しています。
TRIについても、
体系化された
上に寄与します。先進国を中心に医療費の増大が課題
教育プログラムを提供しており、
手首からの穿刺用に独自
となる中、TRIは急速に普及が進んでいます。米国では、
に開発した血管モデルを用いて、
難しいとされる血管内へ
8年前まで、心臓(冠動脈)のカテーテル手術数に占める
の穿刺やカテーテルの操作を確認するトレーニングなどを
TRIの比率は5%※にも満たない状況でした。
しかし、現
行うことが可能です。
海外の医師を招き、
日本の医師がTRI
在は30%※を超えるまでに広がりを見せ、2020年までに
のトレーニングを実施する活動などを着実に積み重ねるこ
50%※を超えることが期待されています。
とで、
海外でもTRIへの理解と普及が進んでいます。
※テルモ調べ
社会に価値をもたらすイノベーションの創出
社内知の融合によるデバイス開発
手首の血管は細いため穿刺が難しく、
また心臓までの
患者さんや医療従事者を含め、
社会的に価値ある医療
を広く普及させるためには、
優れた製品の開発に加えて、
血管走行も蛇行していることから、血管内および病変部
その技術の価値を広く理解してもらうための活動が必
までのアクセスが難しいとされてきました。
テルモでは、
要です。
テルモは、
トレーニングや研修を通じてTRIのグ
血管への入り口を作るイントロデューサーシースにおい
ローバルな普及を推進するとともに、
全身に拡がる血管
て、従来のカテーテル類が通れるよう内径を保ちながら
内カテーテル治療において、
社会的な価値をもたらすイノ
も、外側を細径化することに成功し、
これまで血管が細
ベーションの創出を目指し、
今後も取り組んでいきます。
く難しいとされてきた高齢者や女性にも治療が可能とな
りました。加えて、
カテーテル類を病変部までガイドする
ワイヤーには、蛇行した血管でもスムーズに走行できる
よう、形状記憶合金を使用し、
また表面の潤滑性が高ま
るコーティングが施されています。
このように、
テルモ独
自の技術を融合して開発されたデバイスにより、従来困
難であると言われていたTRIによるカテーテル治療が可
能となり、普及の契機となりました。
7
TERUMO CORPORATION Annual Report 2016
テルモメディカルプラネックスでの
TRIのトレーニング
TRIのトレーニング用に
独自に開発した血管モデル
ガイドワイヤー
曲がっている
血管でも
スムーズに走行
手首の血管に
シースを留置
従来のシース
TRI用シース
同じ内径
細い外径
従来の内径を保ちつつ
手首の細い血管への
アプローチを可能に
TRI用シース
TERUMO CORPORATION Annual Report 2016
8
特集 新たな視点や組み合わせで価値あるイノベーションを創出
針を垂直に皮膚に当て、
押すだけの
簡単な注射方法
皮内注射デバイス
「イムサイス」
リミッター
皮膚を張り、
垂直穿刺を
助ける
フランジ
適正な押し付け
具合を確認する
皮内
33G※、
1.15mmの
細く短い針
※直径0.2mm
9
TERUMO CORPORATION Annual Report 2016
薄い皮内に簡便かつ確実に
注射することを目指した
独自の針構造
CASE 3
独自の針構造を持つ日本初の皮内注射デバイス
「イムサイス®」
難しい皮内への注射を
より簡便かつ確実に
様々な可能性が期待される皮内注射
注射を行う場所は、薬剤の種類や目的により異なり、
める中で
「皮膚に接触する面の構造」
と
「針の長さ」
が重要
な要素であることが判明します。
針を刺しやすいよう、
皮膚
皮内、皮下、静脈、筋肉の4つがあります。通常、
インフル
を押さえて盛り上がった状態を作る構造と、
適切な深さま
エンザなど感染症を予防するためのワクチンは、皮下や
で刺すことができる針の形状について、
最適な組み合わ
筋肉に注射されます。一方、表皮や真皮などの皮膚の上
せを徹底的に追求し、
試行錯誤を重ねました。
その結果、
層部(皮内)
には、免疫を担当する細胞が多く存在してい
薄い皮内にも簡便かつ確実に注射するための新たなデバ
ます。近年、皮内への注射では、従来と同じワクチン量で
イスの開発に成功しました。
より早く効果が得られることや、
従来より少ないワクチン
量で皮下や筋肉注射と同等の効果が得られること、高齢
者のように免疫機能が衰えた人でも高い効果が得られ
ることなどが分かってきました。皮内注射の方法として
製薬メーカーとの連携による開発と
応用先の拡大
テルモは、
日本で初めてのプラスチック製プレフィルド
は、
細い針を皮膚に沿わせるように刺す方法があります。
シリンジや、
インスリンの自己注射における患者さんの痛み
しかし、皮内の厚みはわずか2mm程度のため、注射を
の軽減を目指した、
世界で最も細いペン型注入器用注射
行う医師の技能によりその効果が左右されるというデメ
針
「ナノパスニードルⅡ」
を開発するなど、
シリンジ・注射針
リットがありました。
の分野で豊富なノウハウと実績を有しています。
イムサイ
スの開発には、
これらのノウハウが活かされています。
また、
「簡便に、確実に」注射することができる形状を
徹底的に追求
そこで、
テルモは従来困難であった皮内注射を
「簡便に、
イムサイスを使用したワクチンの開発・量産化は、
テルモ
のノウハウと製薬メーカーのワクチン開発・製造のノウ
ハウを合体することで可能となります。
2015年9月に、
確実に」
できることをコンセプトとした皮内注射デバイス
イムサイス皮内注射針が日本で製造販売承認を取得しま
「イムサイス」
の開発に着手しました。
2010年に、
第一三
した。
今後は、
インフルエンザワクチンにとどまらず、
他の
共株式会社と提携し、
皮内投与型季節性インフルエンザ
ワクチンにも応用が期待されます。
また、
日本だけでなく、
ワクチンの共同研究を開始します。
イムサイスの開発で
海外への展開も検討しています。
このような取り組みを通
は、
薄い皮内に針を簡便かつ確実に注射するため、
上から
じて、
皮内注射デバイスの持つ価値をより広く医療現場
垂直に押し当てる方法が検討されました。
さらに開発を進
に届けていくことを目指します。
TERUMO CORPORATION Annual Report 2016
10
特集 新たな視点や組み合わせで価値あるイノベーションを創出
イノベーションの源泉となる研究開発力の強化
医療現場の視点から、価値あるイノベーションを追求
テルモグループでは、
すべての業務においてイノベーションを追求しています。
その中でも、
医療現場に新たな価値を
もたらすイノベーション創出の源泉となるのは研究開発力であり、
それを担う
「人」
であると考えています。
医療を取り巻く環境が変化する中で、
テルモグループでは、
研究開発を担う人材の育成にも新しい視点や手法を積
極的に取り入れることで、
医療現場のニーズに応える優れたイノベーションをより速く、
より多く生み出すことを目指
しています。
革新的な技術で、医療現場に新たな価値を届ける
卓越した専門性で研究開発を牽引する
「テルモフェロー」
テルモは、
技術・研究・臨床開発の分野で、
卓越した専
た。
テルモがグローバルビジョンを制定するずっと以前
門性と業務経験を持ち、
世界の医療現場で顕著な功績を
から、
“Innovating at the Speed of Life”を実践し、
各
あげた社員をフェローとして任命する
「テルモフェロー制
分野の医療現場に大きな足跡を残してきたのです。
度」
を2016年4月に新設し、
4名の社員を任命しました。
テルモフェローは、
今後もイノベーションを促進する
この4名は、
医療現場に新しい価値を提供するため、
不
担い手として、
またテルモグループの成長を担う若い技
断の努力と信念でこれまでとは異なる視点や組み合わ
術者たちの良きアドバイザーとして、
各分野で研究開発
せを考え抜き、
優れたイノベーションを生み出してきまし
を牽引する役割を担っていきます。
野川 淳彦
Dragica Paunovic,
M.D.
フェロー
心臓血管カンパニー
CV事業
フェロー
テルモヨーロッパ NV
Chief Medical Officer
主な功績
人工肺および関連デバイスの
開発、製品化。内視鏡下血管
採取用デバイスの開発。
主な功績
薬剤溶出型冠動脈ステント、
OFDI(光干渉断層診断)装置
の臨床試験を担当。
矢上 弘之
Dennis Hlavinka
フェロー
心臓血管カンパニー
TIS事業
主な功績
国産初の心冠状動脈内超音
波診断装置を開発。
これに必
要なセンサーやカテーテル、
素材などを開発。
フェロー
テルモBCT, Inc.
主な功績
輸血用血小板採取において、
遠心分離技術を用いた白血
球除去法を確立。
テルモフェローの功績の詳細についてはテルモのウェブサイト
(http://www.terumo.co.jp/company/publicity/ad2016/)
をご覧ください。
11
TERUMO CORPORATION Annual Report 2016
医療現場の観察によりニーズを発見し、
イノベーションを創出
バイオデザイン・プログラムによる医療機器の開発
「バイオデザイン・プログラム」
は、
米国スタンフォード
用性の高いニーズを絞り込み、
製品のコンセプトを明確に
大学で実践されている医学・工学・ビジネスの3分野を
して開発を行うため、
開発スピードが速く、
また市場性の高
連携させた教育プログラムです。医療機器の開発に必
い製品をより高い精度で開発することが可能となります。
要とされる、
課題解決型のイノベーションを創出するた
テルモは、
バイオデザインの手法を、
研究開発を担う人
めの考え方やスキルを、
体系的かつ実践的に習得するこ
材の育成や実際の医療機器開発のプロセスなどに幅広
とを目的としています。
く応用しています。
2013年より研究開発部門における人
バイオデザインが提唱する開発手法では、
まず医療現場
材育成の手法として導入し、
イノベーションを創出するた
に潜むニーズを観察から洗い出し、
その中から有用性の高
めの考え方やスキルの習得に取り組んでいます。
さらに
いニーズを選択します。
そのニーズに基づき、
実現性や市
2014年には、
バイオデザインの手法を用いて医療機器の
場性などの観点とプロトタイプでの早期検証を踏まえて、
開発を行う
「メドテックデザインチーム」
を発足させ、
医療
製品のコンセプトを検討・選択します。
さらに開発戦略やビ
現場のニーズに応える優れたイノベーションをより速く、
ジネスプランを策定し、
最終的には事業化を目指します。
有
より多く生み出す力を高めることを目指しています。
バイオデザイン:医療機器の体系的な開発手法
ニーズの
探索
ニーズの
選択
●医療現場の観察、
徹底的な
ニーズの洗い出し
●有用性の高いニーズを選択
コンセプト
創造
コンセプトの
選択
開発戦略の
検討
●製品のコンセプト創造
●実現性、
市場性などの観点と
プロトタイプによる検証から
コンセプトを選択
病院で活動するメドテックデザインチーム
(左右各2名、
中央1名)
ビジネスプラン
の策定
事業化
●知的財産、
薬事などの
開発戦略を検討
●ビジネスプランの策定
社内での活動風景
TERUMO CORPORATION Annual Report 2016
12
社長メッセージ
新たな発想と挑戦で、
医療現場に価値あるイノベーションを届け続ける
テルモグループでは、
「医療を通じて社会に貢献する」
という企業理念のもと、
世界中の患者さんや医療現場に高品質な医療機器やサービスを安定的に供給するとともに、
医療を取り巻く様々な課題の解決に向けて積極的に取り組んでいます。
変化し続ける世界の医療現場、
そして治療を待つ患者さんに、
新たな発想や視点で、
価値あるイノベーションを届け続けるため、
これからも挑戦を続けていきます。
代表取締役社長CEO
13
TERUMO CORPORATION Annual Report 2016
したグローバルな組織体制へ移行しました。
2015年度に
2015年度を振り返って
は、
カンパニーの成長を支えるグローバル本社機能の強
化を図るため、
CXO制を導入しました。
財務・経理、
法務・コ
売上高、利益は過去最高を更新
再生ロードマップの目標を1年前倒しで達成
ンプライアンス、
研究開発、
臨床開発・レギュラトリーアフェ
アーズ、
品質管理、
ITなどグループ全体の重要機能を担う
2015年度、
テルモグループの業績は、
海外のTIS
(カテー
6名のCXOを任命し、
カンパニーの事業運営の自律性を
テル)
事業、
ニューロバスキュラー
(脳血管)
事業の売上が
維持しつつ、
全社最適化やリスク管理を行う体制を整備し
二桁伸長となるとともに、
心臓血管カンパニーを中心とし
ました。
た高収益品の売上拡大やコスト改善により、
売上高は前年
事業のグローバル化に伴い、
コーポレート・ガバナンス
度比7.3%増の5,250億円、
営業利益は同21.1%増の817億
も更なる強化を図っています。
2015年6月に監査等委員
円となりました。
売上高は5,000億円を突破し、
営業利益、
会設置会社へ移行し、
取締役会の監督機能強化、
業務執
経常利益、
純利益ともにすべて過去最高を更新しました。
さ
行の権限委譲を通じた意思決定の迅速化、
グローバルな
らに、
2013年度に収益改善に向けて策定した
「再生ロード
監査体制の整備などを進めてきました。
さらに、
トップマネ
マップ」
の目標である、
のれん等償却前営業利益率20%を、
ジメントの後継者人事等について審議を行う指名委員会
1年前倒しで達成しました。
株主還元については、
着実に増
を新たに設けました。
配を続け、
2015年度の1株当たり配当金は前年度比8.5円
増の39円となりました。
また、
株式持ち合いの解消、
資本
再生医療の事業化に向けて
効率の向上を目的として、
それぞれ110億円、
500億円、
合
新規事業として開発に取り組んできた再生医療の分
計610億円の自己株式取得を行いました。
ROEも2014年
野では、
世界初の重症心不全治療用の再生医療等製品
度の7.2%から2015年度は9.3%へと改善しました。
「ハートシート」
が、
2015年9月に日本での製造販売承認※
を取得しました。
2016年5月に販売を開始し、
虚血性心疾
カンパニー経営を支えるグローバル本社機能と
コーポレート・ガバナンス体制を強化
テルモは2014年度に、
グローバルなカンパニー経営を
導入し、
機能を中心とした縦割りの組織から、
事業を軸と
患による重症心不全の治療で、
薬物治療や冠動脈バイパ
ス手術などの標準治療では十分な効果が期待できない
場合の新たな選択肢として期待されています。
※条件及び期限付承認
売上高/営業利益
(億円)
売上高
(億円)
営業利益 営業利益
(のれん等償却除く)
2015年度 売上高5,000億円突破
6,000
1,200
5,000
1,000
4,000
800
3,000
600
2,000
400
1,000
200
0
1990
1995
2000
2005
2010
2015(年度)
0
TERUMO CORPORATION Annual Report 2016
14
社長メッセージ
合が進み、規模の拡大により購買力が増大しています。
今後の戦略
一方、医療機器業界でも上位企業同士の統合が進み、巨
大な競合企業が複数誕生しています。
持続的かつ収益性のある成長の実現に向けて
このような環境の変化の中で、
持続的かつ収益性のある
2013年度の再生ロードマップ策定以降、
患者さんの
成長を実現するため、
テルモグループの強みを活かした中
負担軽減や医療経済性の向上などに貢献する高付加価
長期成長戦略を策定します。
その方向性は3つあります。
値分野の強化や、
継続的な原価低減、
事業の棚卸しなど、
第一に、
グローバルで高い競争力を持ち、
今後も成長が
収益性の改善に注力した結果、
環境の変化にも柔軟に対
期待できる重点分野の積極的な強化を図ります。
TIS事業
応し得る、
筋肉質な経営体質を構築しつつあります。
さら
やニューロバスキュラー事業などは、
これまでもグローバ
に、
今後の成長を支える研究開発活動の強化や他社との
ルで高い成長を続けており、
今後も重点分野として競争力
提携、
買収なども実行し、
着実に成果が上がっています。
を強化することで、
全社の成長を牽引していきます。
これらの成果を基に、
新たな中長期成長戦略を2016年
12月に発表する予定です。
第二に、
日本におけるトップの堅持と、
その強みを活かし
た成長機会を追求します。
日本では今後も高齢者人口が増
2016年度は、新たな成長戦略のスタートに向けて、足
加し、
医療需要の拡大が見込まれます。
日本で幅広く事業を
場固めを行う年と考えています。短期的な環境変化にと
展開している強みを最大限に活かし、
需要の拡大を取り込
らわれることなく、中長期の成長に向けて必要な投資や
むことで、
安定的かつ継続的な収益の確保を目指します。
施策を着実に実行していきます。
第三に、
新規分野の開発強化と買収による新技術の獲
得を通じて、成長の加速を目指します。再生医療分野で
新中長期成長戦略の方向性
医療機器業界では、
マクロ経済や医療を取り巻く環境
後も開発を継続し、本格的な事業化を目指して取り組ん
の変化を受けて、業界構造や競争環境が大きく変化しつ
でいきます。血液システムカンパニーでは、
がんに対する
つあります。先進国を中心に高齢化が進み医療需要が
免疫細胞療法など、
今後拡大が期待される分野での製品
増える一方、成長減速や財政制約の影響で、医療経済性
開発を推進します。
また、
ベンチャー企業など、新技術の
や効率化への要求が高まっています。
獲得を目的とした買収機会の探索に注力するとともに、
このような動きを受けて、米国を中心に医療機関の統
新中長期成長戦略の方向性(2016年12月発表予定)
海外では
選択と集中
15
は、ハートシートの技術を、
より広く応用を図るため、今
成長性、
競争力がある分野
●
大型の買収機会についても検討を継続していきます。
研究開発費
(億円)
研究開発費
対売上高比率(%)
8
400
カテーテル、
脳血管など
●
高齢者向け医療需要の拡大
日本では
総合力の発揮
●
新規分野開発
買収
●
成長機会活かし日本トップ堅持
●
再生医療、
細胞療法など
ベンチャー技術買収に注力
●
TERUMO CORPORATION Annual Report 2016
300
6
200
4
100
2
0
2011
2012
2013
2014
2015
(年度) 0
この成長戦略の先駆けとして、2016年7月に、脳動脈
信頼され続ける企業となるため、
今後もコーポレート・ガ
瘤治療用の新形状塞栓デバイス
「WEB」
を世界で初めて
バナンスの強化を通じた経営の透明性向上やグループ
製品化した米国のシークエントメディカル, Inc.を買収
全体での法令遵守の徹底に注力します。
また、
お客様を
しました。
このデバイスは、すでにドイツ、英国などで販
はじめとして、株主、社員、取引先、地域社会など、国内外
売を開始しており、破裂した瘤の緊急手術や、
コイルで
の様々なステークホルダーの皆様と常に誠実な対話を
は治療が難しいとされる形状の瘤の治療などにも使用
心掛け、
テルモグループの状況を正しく、分かりやすく伝
され、脳動脈瘤治療の新たな選択肢として期待されてい
えていきます。
ます。現在、最大市場である米国で他社に先駆けて治験
経営の透明性向上に加えて、多様な価値観(ダイバー
を実施しており、いち早く米国に導入することで先行者
シティ)
を認める風通しの良い企業風土の醸成にも注力
として優位な地位を築き、重点分野であるニューロバス
し、
グローバルな成長を支える社員の新たな発想とチャ
キュラー事業の成長加速を目指します。
レンジ精神を促すことで、価値あるイノベーションを創
外科領域では、
日本初のスプレー式癒着防止材「アド
出します。
スプレー」
を開発し、2016年6月に日本での製造販売承
2016年4月に発生した熊本地震では、
日々変わる被災
認を取得しました。外科手術後の臓器・組織面の癒着軽
地のニーズに的確かつ迅速に対応すべく、
現地社員と本
減を目的として、現在、世界的にフィルム貼付式の癒着
社、
工場が医療機関や代理店と緊密に連携し、
入院中の
防止材が多く使用されていますが、
「アドスプレー」はス
患者さんのための濃厚流動食や腎機能が低下している
プレー式のため、開腹術や腹腔鏡手術といった術式を
方に配慮したたんぱく質調整食品、
被災地での深部静脈
問わず処置部位へ簡便にアクセスでき、
目的とする部位
血栓症
(エコノミークラス症候群)
の予防に役立つとされ
への適切な噴霧を行うことができます。保険収載を経て
る弾性ストッキング、
避難所での医療を支える体温計や
2016年度中に販売を開始する予定です。
血糖測定キットなどの医療物資を届けました。
このような取り組みを通じて、患者さんや医療現場の
世界中のステークホルダーから
信頼され続ける企業となるために
ニーズに応え、社会に貢献することで、持続的かつ収益
性のある、質の高い成長の実現を目指してまいります。
テルモグループの企業理念である
「医療を通じて社会
皆様の変わらぬご支援をよろしくお願い申し上げます。
に貢献する」を実践し、世界中のステークホルダーから
ROE
1株当たり配当金/配当性向
配当金/配当性向
1株当たり配当金
配当性向(%)
(%)
(円)
15
50
50
12
40
40
9
30
30
※2
※1
6
20
20
3
10
10
0
2011
2012
※1 一時的な税効果を除く
2013
2014
2015
(年度)
0
2011
2012
2013
2014
2015
(年度) 0
※2 一時的な税効果を除く
注:当社は2014年4月1日を効力発生日として普通株式1株につき2株の株式分割を行っています。
2013年度以前の配当金については、
当該株式分割を考慮した額を記載しています。
TERUMO CORPORATION Annual Report 2016
16
トピックス
※を出展
テルモ、伊勢志摩サミットに
「ハートシート®」
日本の再生医療技術を世界に発信
テルモは、
2016年5月に開催された伊勢志摩サミットの
政府広報展示スペースにおいて、
世界初の重症心不全治療
用の再生医療等製品である
「ハートシート」
を出展しました。
展示では、
テルモが製造販売するハートシートと、
大阪大学
大学院医学系研究科が臨床応用を目指し研究中のiPS細胞
由来の心筋細胞シートを紹介し、
日本の再生医療技術の先
進性を世界に発信しました。
※一般的名称:ヒト
(自己)骨格筋由来細胞シート
テルモが製造販売する
「ハートシート」
を出展
(写真は調製されたシート)
ハートシートの詳細につきましては、特集(5ページ)
をご覧ください
を日本で発売
薬剤溶出型冠動脈ステント
「Ultimaster®」
2015年10月に薬剤溶出型冠動脈ステント
「Ultimaster」
を日本で発売しました。
2014年5月に欧州で発売され、
現在、
アジア、
中南米など40カ国以上で販売されており、
売上も各
地域ともに好調に推移しました。
また、
製品の特徴が評価され
「2015年日経優秀製品・サービス賞 最優秀賞 日経産業新
聞賞」
を受賞しました。
適量の薬剤が放出されるようにポリ
マー・薬剤が小さなステントに的確に塗布されていること、
ス
テント自体を薄くし血管の曲がった部分などにも留置しやす
独自の薬剤コーティング技術
拡張後のステント
い構造などが評価されました。
テルモの人工肺、大河内記念賞を受賞
テルモの人工肺
「キャピオックス」
の開発および生産技術
の確立に対し、
その功績が認められ、
「第62回大河内記念賞」
を受賞しました。
大河内記念賞は、
生産工学や生産技術に関
し、
学術の進歩と産業の発展に寄与した者に贈られる大河
今回の受賞は、
世界初の多
内賞※の中でも最高位の賞です。
孔質ポリプロピレンの中空糸
(細い筒状の繊維)
を用いた人
「第62回大河内記念賞」
を受賞
工肺の開発に成功したことに加え、
その後も患者さんの負担
の低減を追求し、
独自の製造方法による中空糸の内製化や
仕様の見直しによってガス交換比率をより高め、
世界の心
現在の人工肺
「CAPIOX FX」
臓外科手術の発展に貢献してきたことが評価されました。
※大河内賞:理化学研究所所長を務めた大河内正敏博士が生産工学の普及を通
じて近代国家の発展に貢献した功績を記念して設立された権威ある賞。生産
工学、生産技術分野での卓越した業績を表彰。
17
TERUMO CORPORATION Annual Report 2016
中空糸
(左:写真)/断面図(右:イメージ)
テルモ英国子会社バスクテック、
英国女王賞(イノベーション部門)
を受賞
英国の子会社バスクテック Ltd.が、英国ビジネス分野
で最高栄誉とされる
「英国女王賞」のイノベーション部門
賞を受賞しました。今回の受賞は、胸部大動脈に起こる解
離や瘤の治療に使用される人工血管
「Thoraflex Hybrid」
(ソラフレックス ハイブリッド)の技術が評価されたもの
です。本製品は、2012年に欧州で発売され、現在、世界約
30カ国で販売、累計で1,400例以上の使用実績がありま
す。
バスクテック Ltd.が世界的に高いシェアを持つ外科用
人工血管の技術に、同じく同社が有するステントグラフト
技術を組み合わせることで、治療成績の向上と患者さんの
負担軽減を実現したことが評価されました。
人工血管「Thoraflex Hybrid」
「Thoraflex Hybrid」
を
胸部大動脈に留置したイメージ図
経済産業省と東京証券取引所が選ぶ
「健康経営銘柄」
と
「なでしこ銘柄」
に選定
テルモは、経済産業省と東京証券取引所が選ぶ「健康経
営銘柄」
に2年連続で選定されました。
「健康経営銘柄」
は、
経営的視点から社員の健康増進を推進し、かつ財務指標
が優れている企業が候補となり、東京証券取引所の業種区
分ごとに1社ずつ選定されます。今回は、社員とその家族が
家族と一緒に参加する禁煙セミナーを開催
一緒に参加する禁煙セミナーや全社および営業拠点での
ウォーキングイベントの開催など、
自社の健康課題に即し
た取り組みと、
その質の高さが評価されました。
また、女性
活躍推進に積極的な企業として、2015年度の
「なでしこ銘
柄」にも選定されました。
テルモは、経営トップが率先する
ダイバーシティ推進の一環として、女性がさらに活躍でき
る制度の整備と風土づくりを全社的に推進しており、
その
体制と実績が高く評価されました。
女性リーダーの成長を支援する研修を実施
TERUMO CORPORATION Annual Report 2016
18
事業紹介
テルモは3つの事業領域で、医療の革新に挑戦しています。
テルモは
「医療を通じて社会に貢献する」
という企業理念のもと、3つのカンパニーを通して事業活動を展開し、
世界の医療現場に、最適な製品やサービスを提供しています。
安全性や使いやすさを向上させる改良改善、適正な使用のためのトレーニングの実施、
また、
医療現場全体の課題に応えられるようなシステムの提案などを通じて、医療の質の向上を追求しています。
事業別売上高/構成比
TIS※1事業
1,766億円 33%
血液システム
カンパニー
1,050億円
20%
DM※4・
ヘルスケア事業
253億円
5%
2015年度
ホスピタル
カンパニー
5,250 2,586億円
億円
1,614億円
31%
D&D事業※3
584億円 11%
心臓血管
カンパニー
49%
ニューロバスキュラー
事業
263億円
基盤医療器事業
CV※2事業
777億円 15%
418億円
血管事業
※1
※2
※3
※4
139億円
Terumo Interventional Systems:心臓・下肢などのカテーテル治療領域を扱っています。
Cardiovascular Systems:心臓外科領域を扱っています。
Drug and Device:医薬品と医療機器の技術を組み合わせた製品などを扱っています。
Diabetes Management:糖尿病治療領域を扱っています。
地域別売上高/構成比
アジア他
926億円
18%
海外
3,378億円
64%
欧州
2015年度
1,018億円 5,250
億円
19%
米州
1,435億円
27%
19
TERUMO CORPORATION Annual Report 2016
日本
1,872億円
36%
5%
8%
3%
心臓血管カンパニー
全身の各所に展開するカテーテル治療と
心臓血管外科手術において
患者さんの負担軽減を追求しています
心臓血管カンパニーでは、
カテーテル(細い管)
を血管に通して診断や
治療を行う血管内治療(インターベンション)領域と、心臓血管外科手術
の領域に注力しています。全身の様々な病変部で血管内治療は行われて
おり、
テルモはその中でも心臓血管
(冠動脈)
疾患・下肢動脈疾患・脳血管疾
一方、心臓
患の治療と、
肝臓がんの化学塞栓術※の分野で貢献しています。
血管外科の領域では、心臓手術などで使用する体外循環システムや人
工血管などを展開しています。
それぞれの領域で、患者さんの負担軽減や
治療効果の向上をサポートしています。
※24ページに詳しい説明があります。
ホスピタルカンパニー
安全性と使いやすさを追求した
医療機器や医薬品をシステムで提案し
幅広い医療の質の向上に貢献しています
病院のベッドサイドから患者さんの自宅まで、
多様化する医療の現場に対
して、
医療機器や医薬品もそれぞれに合った機能や使い勝手が求められてい
ます。
ホスピタルカンパニーは、
医療機器や医薬品を適正かつ効率的に扱える
よう組み合わせたり、
ITを活用してデータを連携させるなど、
一連のシステム
として患者さんや医療現場に提供しています。
これにより、
医療現場の安全性
や医療従事者の業務効率の向上など、
新しい価値の提供を目指しています。
血液システムカンパニー(テルモBCT)
より安全で高品質な輸血の提供と
血液・細胞治療の発展に寄与し
医療インフラと先端医療を支えます
献血でドナーから提供された血液は、血液センターで製剤化されて、事
故や手術で大量の血液が失われた患者さんや、正常な血液が十分に作れ
ない病気を抱える患者さんなどに輸血されています。血液システムカンパ
ニー(テルモBCT)
は、血液センターで用いる全血や成分での採血装置、血
液自動製剤システム、
また、病院で行う血液治療に用いる遠心型血液成分
分離装置、細胞増殖システムなどを通じて、輸血医療を支えるとともに、世
界中の血液の病気を抱える患者さんの治療に貢献しています。
TERUMO CORPORATION Annual Report 2016
20
事業紹介
心臓血管カンパニー
グローバルなブランド力の向上を図り、
利益ある持続的成長で全社を牽引
2015年度業績
売上高
2,586億円
事業利益※
634億円
事業利益率※
25%
事業別売上高(億円)/構成比
地域別売上高(億円)/構成比
血管
アジア他
日本
510
20%
516
20%
139 5%
CV
418 16%
2015年度
2,586億円
TIS
2015年度
1,766
69%
ニューロ
バスキュラー
263 10%
2,586億円
欧州
米州
667
26%
894
34%
※のれん等償却を除く
2015年度の業績
2015年度の主な取り組み
海外を中心にTIS(カテーテル)事業、
ニューロバスキュラー事業の売上が大きく伸長
グローバルな成長を牽引する製品の
開発・導入に注力
2015年度のカンパニーの売上高は、海外を中心にTIS事
TIS事業では、
日本で発売したUltimasterが医療従事者か
業とニューロバスキュラー(脳血管)事業の売上が大幅に伸
ら評価を得て、競争の激しいDES市場で大きく売上を伸ばし
長し、前年度比13.9%増の2,586億円となりました。
ました。
TIS事業では、2015年10月に日本で薬剤溶出型冠動脈ス
海外では、患者さんのQOL(生活の質)
と医療経済性の向
テント
(以下、DES)
「Ultimaster」
を発売しました。前年度に
上に寄与するTRIの普及に注力しました。特に近年TRIの普
発売した欧州、中南米およびアジアを含め、各地域で売上が
及が進む米国で医療従事者へのトレーニングを強化し、関連
好調に推移しました。
製品の販売も好調に推移しました。
米国では、
TRI
(手首の血管から冠動脈にアプローチするカ
末梢血管向けの製品では、膝上の動脈疾患治療などに用い
テーテル手技)関連製品の売上が二桁伸長となり、
アジアも
られるステント
「Misago」
が、米国で心臓・血管治療分野にお
中国を中心に売上が伸長しました。
ける体内埋め込み型の医療機器として、
日本企業初となる米
ニューロバスキュラー事業も米国を中
国食品医薬品局(FDA)の販売承認を取得しました。
さらに、
心に販売が好調に推移し、売上は大き
株式会社カネカとの共同開発契約に基づく初の製品である、
く伸長しました。
末梢動脈疾患治療用バルーンカテーテル
「Metacross RX」
を
カンパニーの事業利益は前年
米国で発売しました。
これまでアクセスデバイスが中心であっ
度比33.7%増の634億円、事業
た米国のTIS事業に、末梢血管の治療用デバイスが新たに加
利益率も4ポイント改善し、25%
わり、
今後の事業拡大に向けた大きな一歩となりました。
となりました。
より収益性の高い
ニューロバスキュラー事業では、
コイル以外の製品開発と
製品・事業の売上が拡
導入地域の拡大に注力しました。入口の広い脳動脈瘤の治療
大したことに加え、継続
に使われるコイルアシストステント
「LVIS」は、米国で販売が
的な原価改善も寄与し
好調に推移し、
日本でも販売を開始しました。
ました。
CV事業では、
子会社のテルモカーディオバスキュラーシス
テムズ Corp.
(TCVS社)
の米国アナーバー工場で、
FDA基準
心臓血管カンパニー
プレジデント
佐藤 慎次郎
21
TERUMO CORPORATION Annual Report 2016
の品質システム確立のために必要な人工心肺装置のデータ取
得・検証作業を予定通り年度内に完了し、
その後に実施された
FDAの査察でも指摘事項はありませんでした。
この結果、
2011
年以降続いていた新規顧客への販売制限がすべて解除され、
通常のオペレーションが可能な状態となりました。
クイレムメディカル B.V.と提携し、
同社が開発する肝臓がん治
血管事業では、
子会社のバスクテック Ltd.が、
英国ビジネス
療用の放射線放出ビーズのグローバル独占販売権を取得しま
分野で最高栄誉とされる
「英国女王賞」
のイノベーション部
した。
高いシェアを持つアクセスデバイスに加えて、
治療デバイ
門賞を受賞しました。
この受賞は、
人工血管とステントグラフ
スのフルライン化を進め、
グローバルで事業拡大を図ります。
トを組み合わせた、
ユニークかつイノベーティブな製品である
ニューロバスキュラー領域では、
脳動脈瘤治療用の新形状塞
「Thoraflex Hybrid」
(ソラフレックス ハイブリッド)
の技術が
栓デバイス
「WEB」
を世界で初めて製品化した米国のシークエ
評価されたものです。
本製品の使用により、
従来は2回に分けて
ントメディカル, Inc.を2016年7月に買収しました。
このデバイ
手術が必要であった症例が、
1回の手術で済むようになり、
治
スはすでに欧州などで販売しており、
破裂した瘤の緊急手術や、
療成績の向上と患者さんの負担軽減に貢献しています。
既存の塞栓術では治療が難しいとされる症例でも使用され、
治
療の新たな選択肢として期待されています。
現在米国で治験を
行っており、
最大市場の米国で他社に先駆けて導入を図ること
今後の戦略
で、
ニューロバスキュラー事業のさらなる成長を目指します。
グローバルなブランド力の向上を図り、
利益ある持続的成長で全社を牽引
3. 基盤デバイスでグローバルNo.1の地位を堅守
心臓血管カンパニーは、
世界の心臓血管分野で医療の進化
血管内カテーテル治療で病変部への道筋を作るガイドワイ
に貢献することで、
グローバルなブランド力向上を図り、全社
ヤーやイントロデューサーシースなどのアクセスデバイスは、
の成長を牽引します。
この目標を実現するため、
4つのテーマ
治療のプラットフォーム(基盤)を担うデバイスです。新たな
に取り組みます。
手技の普及などに伴い、今後も持続的な需要の拡大が見込ま
れます。当社はガイドワイヤー、
イントロデューサーシースで
1. グローバル化の加速
世界的に高いシェアを有しており、今後もTRIの普及を推進
2015年度のTIS事業、ニューロバスキュラー事業の売上
高は、米国、中国を中心に海外が牽引し、二桁伸長となりまし
た。今後も両事業を中心に、米国や中国で治療用デバイスの
販売を伸ばし、
グローバルで高い成長を目指します。
収益貢献の大きいUltimasterは、2016年度より市場規模
の大きいフランスでも販売を開始し、国内外で売上を伸ばす
ことで、
カンパニーの収益成長を牽引します。
し、需要の拡大を着実に取り込むことで、
グローバルリーダー
の地位を堅守していきます。
4. 成長を支えるオペレーション能力への投資強化
新製品の開発から市場導入までを支える、
グローバルなオ
ペレーション能力の強化も重要なテーマです。
TISおよびニューロバスキュラー事業では、
米国、
欧州を中
心に治療用デバイスの販売拡大を目指し、
販売やマーケティン
2. 治療用デバイスのポートフォリオ拡充
グとともに、
医療従事者へのトレーニングや臨床試験の支援な
血管内カテーテル治療の中でも、末梢血管、
カテーテルを
どを担う人員を拡充します。
用いたがん治療(インターベンショナル・オンコロジー、以下
開発・生産では、
当カンパニーの中核を担う愛鷹工場のエン
IO)、
そしてニューロバスキュラーの領域は、今後も高い市場
ジニアを100名規模で増員し、
抜本的な強化を図ります。
2015
成長率が見込まれます。
これらの領域で医療現場のニーズを
年度にガイドワイヤーの生産を開始した山口工場では、
年間フ
充たす治療用デバイスの開発を加速し、
アクセスデバイスと
ル稼働を目指すとともに、
さらなる生産性改善に取り組みます。
合わせたトータルな製品ラインアップを実現することで高い
CV事業では、
TCVS社のアナーバー工場で生産・供給の安
成長を実現します。
定化に向けた準備に注力します。
血管事業では中長期的なコス
IOの領域では、2016年1月にオランダのベンチャー企業
ト競争力向上を目指し、
英国からベトナム工場への生産移管を
進めます。
開発、
生産に加えて、
サプライチェーンなどグローバルなオペ
売上高/事業利益率
(億円)
売上高
事業利益率(%)
30
3,000
レーションを担う機能の能力向上に注力し、
医療現場が必要と
する製品を、
より迅速かつ効率的に供給できる体制を強化して
います。
2,000
20
1,000
10
0
2012
2013
2014
2015(年度)
0
脳動脈瘤治療に用いる
新形状塞栓デバイス
「WEB」
「WEB」
を脳動脈瘤内に留置した
イメージ図
TERUMO CORPORATION Annual Report 2016
22
事業紹介
心臓血管カンパニー
血管を内側から治療するカテーテル治療や
心臓や血管の外科手術で、
先端医療に貢献します。
TIS事業/ニューロバスキュラー事業
バスキュラーインターベンション領域(血管内治療領域)
アクセスデバイス
手首や足の付け根の血管を入口
に、
カテーテルを挿入し病変部ま
での道筋を作るためのデバイス。
画像診断(イメージング)
治療デバイス
心臓や下肢などの詰まった血管を拡げたり、
脳の動脈瘤の破裂
を防ぐなど、
病変部に対する治療を行うためのデバイス。
脳血管(ニューロバスキュラー)
治療前後の血管に、専用のカ
テーテルを通し、血管内壁の
表面や断面を、超音波または
光で観察する。
イントロデューサーシースセット
脳動脈瘤治療用コイル
血流改変ステント
心臓血管(カーディオロジー)
血管内光診断システム
(OFDI)
ガイドワイヤー
薬剤溶出型冠動脈
ステント
(DES)
血管造影用カテーテル
バルーンカテーテル
末梢血管領域(エンドバスキュラー)
橈骨動脈用止血器
末梢血管用ステント
血管内塞栓用コイル
血管内超音波診断システム
(IVUS)
ハートシート®事業
再生医療等製品
2015年に世界初の製造販売承認※を取得した、心筋の再生医療等製
品。重症心不全の患者さんの大腿部から筋肉組織を採取、組織内に含
まれる骨格筋芽細胞を培養してシート状にし、心臓に貼って使用しま
す。薬物や外科手術による回復が難しい症例への新たな治療の選択
肢として期待されています。
※条件及び期限付承認
23
TERUMO CORPORATION Annual Report 2016
心臓表面に
移植して使用
ヒト
(自己)骨格筋由来細胞シート
CV事業/血管事業
インターベンショナル
オンコロジー領域(がん治療領域)
体外循環関連デバイス
心臓外科手術中に停止させた心臓や肺に代わって血液を全身に循環させ
たり、
血液中の酸素交換を行う装置。
IVR関連製品
肝臓がんの治療法「肝動脈化学塞栓術」
用デバイ
スや、
その他の薬剤投与デバイスなどを展開。
動脈フィルター
内蔵型人工肺
マイクロバルーンカテーテル
人工心肺装置
体外循環装置用
遠心ポンプ駆動装置
肺の代わりに血液中の 心臓の代わりに体内に 血液を循環させる遠心ポ
酸素交換を行います。 血液を循環させます。 ンプを制御します。
人工心肺システムとは?
マイクロカテーテル マイクロガイドワイヤー
心臓手術中に血液を体外へ導き出し、
人工肺で酸素などのガス交換を行い
ます。
そしてポンプで血液を体に戻し、
患者さんの生命維持を行います。
人工肺
動脈
フィルター
人工心肺
装置
人工血管領域
薬剤溶出性ビーズ
大動脈瘤などの破裂を防ぐため、
傷んだ血管の代わりに移植したり、
血管内に
内挿して治療するデバイス。
肝動脈化学塞栓術とは?
大動脈瘤の人工血管置換術、
ステントグラフト内挿術とは?
肝臓のがん細胞へ栄養を送る肝動脈に、
マイク
ロカテーテルという細い管を挿入し、抗がん剤と
詰め物となる塞栓剤を流して閉じ込め、がん細
胞を兵糧攻めにして死滅させる治療法です。
がん細胞
弓部置換用人工血管付き
ステントグラフト
肝臓
注:日本では販売されておりません。
大動脈の一部がこぶのように大きくなる大動脈瘤
は、
進行すると破裂する恐れがあるため、
外科手術
などにより人工血管に置き換えたり、ばね状の金
属(ステント)
を取り付けた人工血管(ステントグラ
フト)
を血管内に内挿し、
破裂を防ぎます。
抗がん剤
人工血管
ステント
グラフト
肝動脈
下行・弓部
大動脈置換
マイクロカテーテル
腹部大動脈瘤
ステントグラフ
ト内挿術
腹部大動脈瘤治療用
ステントグラフト
注:日本では販売されておりません。
TERUMO CORPORATION Annual Report 2016
24
事業紹介
ホスピタルカンパニー
医療現場の多様なニーズに応える
高付加価値製品の拡大により成長軌道へ
2015年度業績
売上高
事業別売上高(億円)/構成比
1,614億円
アジア他
DM・ヘルスケア
253
16%
196 12%
2015年度
226億円
事業利益※
1,614億円
D&D
※
事業利益率
14%
地域別売上高(億円)/構成比
584
36%
基盤医療器
777
48%
日本
欧州
93 6%
2015年度
1,614億円
1,242
77%
米州
83 5%
※のれん等償却を除く
2015年度の業績
2015年度の主な取り組み
着実に収益改善が進む
国内では高付加価値製品が拡大、
海外では収益改善を推進
2015年度の売上高は、
日本では増収となりましたが、海外
ホスピタルカンパニーでは、
医療現場の安全や効率的な医療、
は事業ポートフォリオの見直しなどにより減収となり、
カンパ
痛みの少ない治療、
早期退院・早期回復の促進など、
患者さんや医
ニー全体ではほぼ前年並みの1,614億円となりました。
療従事者のニーズに応える高付加価値な製品をシステムとして
日本では、閉鎖式輸液システムに加え、腹膜透析や疼痛緩
提案することで、
安定的な成長と収益性の改善を目指しています。
和製品の販売が好調に推移しました。
また、血糖測定システ
日本における主な取り組みとしては、基盤医療器事業にお
ムやインスリンの自己注射に使われるペン型注入器用注射針
いて、ITの活用により薬剤量の誤設定や過剰投与などを防ぐ
などの売上も伸長しました。海外では、
アジアで輸液ポンプ、
輸液ポンプ、
シリンジポンプや、院内感染の予防や接続誤りな
シリンジポンプなどの売上が堅調に推移する一方、欧州、中
どのリスク低減を追求した閉鎖式輸液システム「シュアプラ
南米やアジアの一部を中心に事業ポート
フォリオを見直し、低収益事業の縮小を
進めました。
事業利益は、
国内工場を中心とした継
グAD」
の提案を強化し、
着実に採用が拡大しました。
D&D(ドラッグ&デバイス)事業では、
これまで困難であっ
た、皮内への注射を簡便かつ確実にできることをコンセプト
とした皮内注射デバイス
「イムサイス」の開発を進めました。
続的な原価改善などに加え、
原油安に伴
2015年9月には、
イムサイス皮内注射針が日本での製造販売
う材料価格安も寄与し、
前年度比8.5%増
承認を取得しました。疼痛緩和の領域では、患者さんの痛み
の226億円となりました。
事業利益率も
の軽減への貢献を目指し、
「アセリオ静注液1000mg」
の導入
13%から14%へと1ポイント改善し、
着
実に収益改善が進みました。
を推進しました。
DM・ヘルスケア事業では、
院内で患者さんの血糖値、
体温、
血
圧などの測定データを、
NFC
(近距離無線通信技術)
を使って電
子カルテに取り込めるバイタル測定機器シリーズ
「HRジョイン
ト」
の普及に向けて注力しました。
外来診療時に、
患者さんが自宅
で測定した血糖値や血圧などを確認できる生活習慣データ管理
システム
「スマイルデータビジョン」
も合わせて導入を推進し、
血
ホスピタルカンパニー
プレジデント
羽田野 彰士
25
TERUMO CORPORATION Annual Report 2016
糖測定システムなど関連機器の販売も着実に伸長しました。
インスリンの自己注射に使用される、
痛みの軽減を追求した
ペン型注入器用注射針
「ナノパス」
は、
2005年の発売から10年
目を迎え、
市場への更なる浸透を図り、
売上も伸長しました。
海外での主な取り組みとしては、
収益性改善を目指し、
欧州、
中南米やアジアの一部を中心に低収益事業の縮小を進めると
の製品を、
病院の基幹ITシステムや電子カルテなどと連携させる
ことで、
医療現場の業務効率と安全性向上を支援していきます。
同時に、
今後も成長が見込まれるプラスチック製のプレフィラブ
疼痛緩和の領域では、
「アセリオ静注液1000mg」
の手術後
ルシリンジなど、
製薬企業向けビジネスの拡大に注力しました。
の定時処方などを通じて、患者さんの痛みの軽減への貢献を
目指します。
今後の戦略
患者さんや医療従事者の多様なニーズに応え、
持続的な収益改善と成長を目指す
2. 海外:事業環境の変化に耐え得る
強い収益体質への転換と拡大
海外では、
欧州、
中南米やアジアの一部を中心に低収益事業の
医療を取り巻く環境は、
先進国では厳しい医療財政に対して
縮小を進めてきました。
為替変動など、
事業環境の変化にも耐え得
医療経済性へのニーズが高まっています。
一方、
新興国では医療
る強い収益体質を実現するため、
今後も収益改善の取り組みを継
インフラの整備とレベルアップに伴い、
引き続き医療需要の拡大
続するとともに、
高付加価値製品に注力し、
事業拡大を目指します。
が見込まれます。
日本では、
高齢者人口の増加により疾病数が増
ITを活用した高機能な輸液ポンプ、
シリンジポンプはアジ
加、
それにより医療・介護費が更に増加するという
「2025年問題」
アを中心に海外でも着実に採用が増えており、今後は他地域
が大きな課題として挙げられています。
この対策として地域医療
での活動も強化し、
着実に販売を伸ばしていきます。
連携の推進や、
病床数の減少など医療制度改革が進められてい
ます。
これにより、
病院のコスト意識も更に高まっており、
急性期
を中心に効率的な医療、
入院期間の短縮が求められています。
3. 製薬企業向けビジネスのグローバル展開の拡大
製薬企業向けのビジネスでは、製薬企業の多様なニーズに
一方、
製薬企業では、
バイオ医薬品の開発を強化しており、
薬剤
応える高付加価値なデバイスの開発・供給拡大を通じて、高
の特性に合わせたデバイスへのニーズが高まっています。
い成長を目指します。
このような事業環境の変化に対し、ホスピタルカンパニー
グローバルでの事業拡大に向けて、開発と生産の機能をグ
では、医療現場における患者さんや医療従事者の多様なニー
ローバルで統合し、
より迅速にニーズに応える体制の構築に
ズを的確に捉え、付加価値の高い製品を提供することで、持
も取り組んでいきます。
続的な収益改善を図りつつ、成長を目指します。具体的には、
以下4つのテーマを掲げて取り組んでいきます。
1. 日本:テルモの強みを活かして成長へとシフト
ホスピタルカンパニーの売上の約8割を占める日本では、
医
4. 成長を支える新製品開発と継続的なコスト改善
今後の成長を支える新製品の開発も重要な課題です。
2016年
度は、
皮内注射デバイス
「イムサイス」
が季節性インフルエンザワク
チンの皮内投与への使用目的で製薬企業向けに販売が実施され
療費増加の抑制が課題である一方、
高齢者人口の増加による医
ます。
今後は他のワクチンへの適用や、
海外への展開も目指します。
療需要の増加という医療ニーズが拡大していきます。
日本にお
外科領域では、
手術後の大きな課題である臓器や組織の癒
ける医療機器のリーディングカンパニーとして、
幅広い製品ライ
着の軽減を目指した、
日本初のスプレー式癒着防止材
「アドス
ンアップを提供できる強みを活かし、
安全・効率、
感染予防、
早期
プレー」
が、
2016年6月に日本での製造販売承認を取得しまし
回復と早期退院、
合併症抑制など、
医療の質と効率を高める製
た。
現在はフィルム貼付式の癒着防止材が多く使われています
品をシステムとして提案し、
成長軌道へのシフトを目指します。
が、
本製品はスプレー式のため、
開腹手術や腹腔鏡手術といっ
重点活動として、閉鎖式輸液システムなど高機能な輸液ラ
た術式を問わず処置部位に簡便にアクセスでき、
目的部位に適
インの導入拡大を推進します。操作手順の統一化によるミス
切な噴霧を行うことができます。
アドスプレーの提供を通じて、
の防止や、
ライン交換作業の効率化、感染リスクの低減など、
手術を受けた患者さんの癒着を起因とした腸閉塞、
不妊症、
慢
様々な付加価値を訴求し、
院内全体への採用拡大を図ります。
性骨盤痛などの合併症リスク低減にも貢献していきます。
また、
輸液ポンプ、
シリンジポンプや血糖計、
血圧計、
体温計など
今後もこのような医療現場に価値あるイノベーションをも
たらす新製品の開発を進めると同時に、
競争力のあるコストの実現にも取り組み
事業利益率
(%)
ます。市場の変化に柔軟に対応できる効
16
率的な生産体制を整備し、持続的な収
15
益改善と成長を目指します。
着実に収益性が改善
14
13
12
~
~
0
2012
2013
2014
2015(年度)
輸液ポンプ・シリンジポンプ
閉鎖式(クローズド)輸液システム
「シュアプラグAD」
(イメージ)
TERUMO CORPORATION Annual Report 2016
26
事業紹介
ホスピタルカンパニー
病院や自宅での治療に使われる製品で、
安全性と使いやすさを追求しています。
基盤医療器事業
D&D事業
輸液投与システム
ドラッグ&デバイス領域
病棟や集中治療室など、
至るところで行われる点滴。
正しい薬剤を適切な量で投与します。
また、感染や針刺しなどのリスクを低減した、
より安全性の高い投与をシステムで実現
します。
薬と医療機器の技術を組み合わせ、
緊急性の高い医療現場での安全な
薬剤取り扱いを追求しています。
薬剤投与の安全をシステムで実現
輸液ポンプ・シリンジポンプ
クローズド輸液システム
部門ITシステムと接続した投与
データ管理を実現。
使いやすさと安全性を追求し、感染対
策に寄与する輸液システム。
プレフィルドシリンジ製剤
薬剤充填用シリンジ
静脈留置針
針刺し防止機構を搭載。
栄養・医薬品領域
食事の摂取が難しい場合や、
脱水症
状の改善が必要な場合などに栄養
素や準備手順等に工夫を施した輸
液剤や栄養食品を提供しています。
閉鎖式抗がん剤投与システム
がん化学療法に携わる
薬剤師や看護師が安心
して作業やケアに専念で
きるよう、調剤・投与時の
抗がん剤の飛散や漏れ
のリスクを低減します。
高カロリー輸液
閉鎖式抗がん剤投与システム
27
TERUMO CORPORATION Annual Report 2016
濃厚流動食
(バッグタイプ)
濃厚流動食
(経口タイプ)
DM
(糖尿病)
・ヘルスケア事業
腹膜透析領域
在宅で行う透析療法「腹膜透析
(PD)」を行うためのデバイスや
透析液などを展開しています。
糖尿病治療領域
糖尿病患者さんに、
使い勝手と痛みの軽減を追求したデバイスを提供しています。
血糖測定システム
ペン型注入器用注射針
腹膜透析液
通信機能付き測定機器シリーズ
血糖測定器、血圧計、体温計などに通信機能を搭載。
患者さんの日々のバイタルサインをタイムリーかつ効率的に管理します。
自動腹膜透析装置
疼痛緩和領域
がん治療を支える薬剤を提供し
ています。先発品のほかジェネ
リック医薬品もあり、薬剤費低
減に寄与します。
・血糖測定器
・歩行強度計
・電子血圧計
・体組成計
・電子体温計
・パルスオキシメータ
鎮痛薬
HRジョイントとは、通信機能を持ったテルモの
測定機器と管理ソフトのシリーズ名です。
その他ヘルスケア製品
・女性体温計 ・転倒予防商品 ・口腔ケア商品 ・尿試験紙
TERUMO CORPORATION Annual Report 2016
28
事業紹介
血液システムカンパニー(テルモBCT)
変化する市場環境の中で将来を見据え、
事業の成長と多角化を推進
2015年度業績
売上高
分野別売上高(億円)/構成比
1,050億円
事業利益※
169億円
事業利益率※
地域別売上高(億円)/構成比
細胞処理
アジア他
83 8%
アフェレシス
治療他
203
19%
日本
115
11%
220
21%
2015年度
1,050億円
16%
血液センター
765
73%
2015年度
欧州
1,050億円
258
25%
米州
457
43%
※のれん等償却を除く
ましたが、
アフェレシス治療分野および細胞処理分野の売上
2015年度の業績
新興国、
アフェレシス治療および
細胞処理分野の売上が伸長
に血液センター向け製品の販売も堅調に推移しました。
その
結果、
カンパニー全体の売上高は、前年度比3.9%増の1,050
血液システムカンパニーは、血液センター、
アフェレシス治療・
億円となりました。米国における血液センター向け製品の契
細胞採取、細胞処理という3つの事業分野を持ち、各分野におけ
約価格改定に加えて、米国生産、欧州販売における収益が対
るグローバルリーダーとして、特長ある製品、
サービス、
ソリュー
米ドル・ユーロ安によりマイナスの影響を受けたこともあり、
ションを幅広く提供しています。血液センター分野では、成分採
血、全血採血(手動)、血液の自動製剤化、病原体低減化などの
技術や、
ソフトウェアの提供を通じて、顧客に戦略的なサプライ
チェーンのソリューションを提供し、経済的、臨床的な価値をも
たらしています。
アフェレシス治療・細胞採取分野では、患者さん
に先進的な治療の選択肢を提供していま
す。細胞処理分野では、細胞治療技術や、
手術室およびベッドサイドで行うポイン
ト・オブ・ケア細胞治療向け製品の提供
を通じて、高い効果が期待できる治療方
法への貢献を目指しています。
2015年度の売上高は、
日本では、献血
数の減少傾向が続き、採血時に使用され
る関連製品の需要にも影響があり、減収
となりました。海外では、米国で血液セン
ター 向け製 品 の 契 約 価
格の改定が実施された結
果、売上の伸びが鈍化し
血液システムカンパニー
プレジデント
デビッド・ペレス
29
が伸長するとともに、中国およびアジアなどの新興国を中心
TERUMO CORPORATION Annual Report 2016
事業利益は前年度比8.6%減の169億円、事業利益率は2ポイ
ント減の16%となりました。
市場環境の変化とその影響
●PBM※により血液の使用量が減少しています。
血小板より
も赤血球に対する影響が大きく、今後も先進国でこの影響
が続くと考えられています。
●競争の激化に加え、
成分採血関連製品や血液バッグなどの
コモディティ化が原因となり、先進国における価格下落が
想定よりも早く起きています。
●成分採血から、
全血採血由来の血液製剤へと移行が進みつ
つあります。
●カンパニーの収益基盤がグローバル化する中で米国にコス
トが集中しており、
継続的な米ドル高が課題となっています。
※PBM (Patient Blood Management: 血液の使用適正化)
医療費の高騰を課題とする多くの先進国において、PBMは重要な取り組
みです。輸血の需要と供給を適切に管理することで、使用する血液の量を
削減します。
2015年度の主な取り組み
収益性を伴う成長の実現
血液センター分野の売上高は、
PBM、
価格下落および全血
成長戦略の基礎となるのが研究開発です。
世界中の顧客の
採血由来の血液製剤へ移行が進む中で、前年並みの水準を
声に耳を傾け、
医療機関と力を合わせて、
新しいイノベーショ
維持しました。
主に北米、
英国、
オーストラリア、
フランスで価
ンの実現や次世代の製品開発を進めていきます。今後は、治
格下落の影響がありましたが、
販売数量増を伴う長期かつ収
療効果と医療経済性の高い治療法の確立を目指します。
また、
益性のある契約の締結を実現しました。
アフェレシス治療・細
研究開発のプロセスを改善することで、
製品化までのリードタ
胞採取分野では、
遠心型血液成分分離装置でCOBE Spectra
イムを短縮し、
市場トレンドと顧客のニーズに沿った次世代の
(コーブ スペクトラ)
からSpectra Optia
(スペクトラ オプティ
ア)
への移行を進め、
売上高は二桁伸長となりました。
細胞処
理分野では、
Quantum
(カンタム)
細胞増殖システムの販売
技術をタイムリーに提供していきます。
将来の成長機会:多角化の推進
が寄与し、
増収となりました。
新興国での売上高は総じて堅調
コアとなる技術や強み、既存市場における事業基盤を最大
に推移し、
中国を含むアジアでは、
3つの事業分野すべてにお
限に活かして多角化戦略を推進し、収益性のある成長の実現
いて二桁伸長となりました。
また、
市場・収益環境が厳しい中
を目指します。新規市場および既存事業に隣接する市場への
で、
革新的な技術・製品開発のための投資も行いました。
参入を進めるとともに、臨床・経済・市場および技術面におけ
る厳密な情勢分析に基づき、提携や流通の形態についても検
討していきます。
今後の戦略
厳しい事業環境が続くことが見込まれますが、
顧客毎に特
化した戦略を推進し、
市場シェアの維持、
収益性のある成長、
グローバル生産戦略
グローバルな戦略に基づき、
世界にある6つの生産工場を
運営しています。
ベトナムに新工場を開設し、
米国、
インド、
北
事業の多角化と生産量の維持を目指します。
アイルランドでは生産設備の拡張を行い、
当社の生産性およ
既存事業の維持・拡大
び効率性は今までになく高まっています。
これらの生産インフ
業界におけるリーダーとしてのポジション、
ブランド、
グロー
バルな事業のインフラストラクチャーは、
市場へのアクセス拡
ラストラクチャーを活用することで、
品質を最大限に高め、
事
業継続性を強化していきます。
大と収益性のある成長を実現する基盤となり、
市場シェアの
維持・拡大を実現するために必要です。
顧客のアンメットニー
すべてのステークホルダーに価値を提供するという確固た
ズを充たす製品ポートフォリオの提供により、
経済的・臨床的
る熱意を持ち、
厳しい事業環境の中でも、
引き続き収益性のあ
価値を生み出し、
顧客との関係を強化していきます。
る安定的な成長を目指します。
長期にわたる持続的成長を遂
げてきた実績と、
イノベーションと多角化による成果をもとに、
今後も着実に戦略的な歩みを続けていきます。
分野別売上高の推移
(億円)
1,000
血液センター
+0.4%
800
600
アフェレシス治療他
400
+14%
細胞処理
2014 2015
2014 2015
200
0
2014 2015
+17%
(年度)
2014年7月に開設したベトナム工場
TERUMO CORPORATION Annual Report 2016
30
事業紹介
血液システムカンパニー(テルモBCT)
献血者から提供される血液を、
高品質に効率よく採血・製剤化して輸血治療を支えるとともに、
血液の病気を抱える患者さんの治療に貢献します。
血液センター分野
全血採血領域
献血者から提供される血液を、
安全に採血・保存します。
成分採血領域
成分献血において、効
率よく安全に必要な血
液成分を採取します。
採血
献血ルーム
など
白血球除去フィルター付き血液バッグ
成分採血システム
全血の分離・製剤化
病原体低減化技術
効率的に、均一で高品質な全血の遠心分離を実現し
ます。
血液製剤中にある、検査では発見できない病原体を低
減し、残存白血球を不活化することで、輸血の安全性
向上に貢献する技術です。
血液自動製剤システム
病原体低減化システム
分離
・
製剤化
血液センター
輸血・血液治療を必要とするケース
大量に血液が
失われた場合
事故や手術での
大量出血など
輸血
医療機関
(患者さんへ)
十分に血液が
作れない病気
がん治療の際や
再生不良性貧血など
31
TERUMO CORPORATION Annual Report 2016
正常な血液が
作れない病気
白血病や骨髄腫など
アフェレシス治療と細胞採取分野
血液治療
病気の原因となる、血中の不要な成分を血液から除去
したり、治療に用いる成分を取り出すために使用しま
す。血液の病気をかかえる患者さんに新しい治療の選
択肢を提供します。
細胞処理分野
細胞増殖
治療・研究などのために必要な細胞を効率的に培養し
ます。現在は研究機関を中心に使用されています。医
療を根本的に向上させる可能性を持つ細胞療法の開
発を支援します。
細胞増殖システム
遠心型血液成分分離装置
TERUMO CORPORATION Annual Report 2016
32
研究開発・生産
グローバルな研究開発体制
テルモでは2014年度よりカンパニー経営に移行し、
や、現行カンパニーにはない新たな事業を創出する研究
研究開発体制も
「カンパニー研究開発」
と
「コーポレー
開発を担っています。カンパニー、
コーポレートがそれ
ト研究開発」の2つのグループに分かれています。
「カン
ぞれの研究開発を推進するとともに、両グループの連携
パニー研究開発」
では、3カンパニーの経営戦略に基づ
による研究開発にも取り組むことで、新しい価値の創出
き、各事業がそれぞれ製品開発から生産・販売まで一気
を目指しています。
また、
カンパニー、
コーポレートを含
通貫の運営を担い、各事業戦略に沿った製品パイプラ
むテルモグループ全体の研究開発を統括する責任者と
インの開発を担っています。研究開発本部が担う
「コー
して、
チーフテクノロジーオフィサー(CTO)
を任命して
ポレート研究開発」
では、既存事業の次世代製品の開発
います。
テルモグループ全体の研究開発を統括するCTO
2015年7月、
テルモはグローバル本社機能の強化を図るため、
全社の重要機能
を担う責任者として6名のCXOを任命しました。
その一人であるCTOは、
コーポ
レートの研究開発を主導するとともに、
グループ全体の研究開発の連携および内
部開発力の強化を推進する役割を担っています。
カンパニーや事業の枠を超えた
横断的プロジェクトを発足させ、
新事業創出に向けた研究開発に取り組むととも
に、
将来の医療トレンドを把握・分析して経営メンバーと共有し、
成長戦略を立案
します。
また、
CTOをサポートするCTOチームとともに、
事業の枠を超えた戦略的な研
究開発の推進に加え、
技術やノウハウ、
知識を持つ開発者の横の連携を促進する
人的ネットワークの構築にも取り組んでおり、
テルモグループ全体の研究開発力
の最大化を追求しています。
カンパニー経営における研究開発体制
心臓血管
カンパニー
TIS事業
ニューロ
バスキュラー
事業
● CV事業
● 血管事業
●
●
ホスピタル
カンパニー
バスクテック Ltd.
基盤医療器
事業
● D&D事業
● DM・
ヘルスケア
事業
●
コーポレート
研究開発
血液システム
カンパニー
●
執行役員
チーフテクノロジーオフィサー(CTO)
研究開発本部長 テルモグループの研究開発拠点(2016年6月30日現在)
チーフテクノロジーオフィサー(CTO)
カンパニー
研究開発
粕川 博明
テルモメディカル Corp.
テルモカーディオ
バスキュラーシステムズ Corp.
テルモヨーロッパ NV
テルモBCT, Inc.
マイクロベンション, Inc.
研究開発
本部
血液システム
事業
テルモ
テルモペンポール
プライベート Ltd.
研究開発本部 テルモメディカル
イノベーション, Inc.
愛鷹工場
富士宮工場
甲府工場
カンパニー研究開発との連携・支援
33
TERUMO CORPORATION Annual Report 2016
テルモ・クリニカル
サプライ
(株)
テルモが目指す研究開発:新しい価値の創出
世界的に高齢化が進む中、発症後の治療に加えて、健
これらの取り組みを通じて、
グローバルな医療市場で
康維持や予防医療へのニーズが高まっています。
また、
求められるイノベーション創出のための視点やマインド
医療におけるITの活用も進み、患者さん一人ひとりに応
セット、
ノウハウの習得、人的ネットワークの構築などを
じた最適な個別化医療や遠隔・在宅医療の発達などが
目指しています。
見込まれます。医療を取り巻く環境とニーズが変化する
※バイオデザイン・プログラムによる人材育成と開発の取り組みについては、
特集(12ページ)
もご覧ください。
中、研究開発の役割も、新たな技術や製品を開発するだ
けではなく、医療現場の中から、社会的・経済的にも重要
性の高いニーズを的確に把握し、
ニーズを充たす価値あ
るソリューションを生み出すことが求められています。
成長機会の探索
医療技術の進歩やITの進化とともに、従来の医療の
在り方が大きく変わりつつあります。
また、世界的な高齢
テルモの研究開発では、
ニーズの探索とソリューション
化の進展や、新興国における経済成長を背景とした生活
の開発という2つの活動サイクルのスピードと精度を上げ
スタイルの変化などを背景に、予防から発症予知、診断・
ることで、
医療現場に新しい価値をもたらすイノベーショ
治療、治療後のQOL(生活の質)の改善までをトータル
ンを、
より速く、
より多く創出することを目指しています。
に捉え、
その中から社会的・経済的により価値のある医
療を提供することが求められています。
内部開発力の強化
テルモの研究開発は、そうした価値を生み出すイノ
医療現場に新しい価値を提供するためには、
患者さんや
ベーションに挑戦し、世界の医療現場に貢献すること
医療従事者とのコミュニケーションを通じて、
重要性の高い
で、
テルモグループの持続的な成長を支えることを目指
アンメットニーズを洞察する力が求められています。
また、
ア
しています。その1つの例が、増え続ける循環器疾患の
ンメットニーズを充たすソリューションの開発では、
自社技
予防・治療です。心臓血管カンパニーでは、血管内のカ
術だけでなく、
オープン・イノベーションを通じて、
社内外の
テーテル治療や心臓外科手術用の製品開発における豊
技術やノウハウを柔軟に組み合わせることが必要です。
富な開発実績とノウハウを保有しており、
これらを活か
テルモでは、
このようなオープン・イノベーションを担
う研究開発人材の育成に力を入れており、新しい視点や
し、循環器およびその周辺領域において新たな取り組み
を検討していきます。
手法を積極的に取り入れています。
その1つとして、米国
もう1つの大きな柱は、再生医療の本格的な事業化の
のスタンフォード大学で提唱された
「バイオデザイン・プ
推進です。世界初の重症心不全治療用の再生医療等製
ログラム」
の実践的な開発手法を取り入れています※。
こ
品「ハートシート」
の開発で培った技術を活かし、心不全
の手法では、医療現場のニーズを自らの目で観察し、
そ
治療における再生医療のポテンシャルを幅広く検討して
の中から医療現場にとって最も重要性が高いと思われ
いきます。
るニーズを選択します。そのニーズを充たすために、市
また、病気の治療だけでなく、術後合併症、疼痛管理
場性があり、かつ実現可能なコンセプトを立案し、事業
など、術後のケアに注目し、患者さんのQOLの改善を目
化を目指します。
この手法のメリットは、学びながら実践
指す医療の提供にも取り組んでいます。
その他にも、IT
することで、人材育成と開発の成果を同時に追求可能で
を活用した診察や病気の発症予知、予防、医療データの
あることです。その他にも、経済産業省主催のグローバ
解析技術などを応用し、新たな製品・サービスの開発を
ル起業家等育成プログラムへの参加や、先端技術習得
行うことも検討していきます。
のための留学などを実施しています。
TERUMO CORPORATION Annual Report 2016
34
研究開発・生産
研究開発活動の状況
心臓血管カンパニーでは、
欧州、
中南米およびアジアで
血液システムカンパニー
発売した薬剤溶出型冠動脈ステント
「Ultimaster」が日
主に当社研究開発本部、テルモBCT, Inc.が中心と
本でも製造販売承認を取得し、2015年10月から販売を
なって、輸血関連製品などの開発を行っています。当カ
開始しました。今後、
さらに品種拡充を進め、
より幅広い
ンパニーに係る研究開発費は79億円となりました。
ニーズへの対応を図っていきます。
また、
米国では末梢動
脈疾患治療用ステント
「Misago」
が、
心臓・血管治療分野
なお、
2015年度の研究開発費331億円には、
再生医療を
における体内埋め込み型の医療機器として、
日本企業で
含め、
各事業分野に配分できない基礎研究費48億円が含
初となる米国食品医薬品局
(FDA)
の販売承認を取得し
まれております。
ました。
さらに、
株式会社カネカとの共同開発契約に基づ
く初の製品である末梢動脈疾患治療用バルーンカテー
テル「Metacross RX」
を2015年10月に発売しました。
これにより、米国で下肢等の末梢血管内カテーテル治療
分野への本格展開に向けた足掛かりを実現しました。
ホスピタルカンパニーでは、
ワクチンの効果を高めるこ
研究開発費■/対売上高比率●
(億円)
(%)
400
6.3
300
243
とが期待される皮内投与を、
簡便かつ確実に実施できる
ことをコンセプトとした皮内注射デバイス
「イムサイス」
の
注射針の日本における製造販売承認を2015年9月に取
得しました。
再生医療分野では、
大阪大学と共同研究を進めてきた
6.7
8
6.4
6.0
301
271
294
6.3
331
6
200
4
100
2
0
2011
2012
2013
2014
2015
(年度)
0
虚血性心疾患による重症心不全を対象としたヒト(自己)
骨格筋由来細胞シート
「ハートシート」
が、再生医療等製
品として初となる条件及び期限付承認を取得しました。
テルモグループの2015年度の研究開発費は331億円
(対売上高比率6.3%)
となりました。
心臓血管カンパニー
主に当社研究開発本部、テルモカーディオバスキュ
ラーシステムズ Corp.が中心となってカテーテルシステ
2015年度研究開発費のセグメント別内訳
基礎研究費
48億円
血液システム
カンパニー
331
億円
79億円
心臓血管
カンパニー
164億円
ホスピタル
カンパニー
38億円
ムや人工心肺システムを、主にマイクロベンション, Inc.
が中心となってニューロバスキュラー製品を、主にバス
クテック Ltd.が中心となって人工血管の開発を行って
います。
当カンパニーに係る研究開発費は164億円とな
りました。
ホスピタルカンパニー
2015年度パイプライン製品のローンチ状況
領域
心臓血管
末梢血管
主に当社研究開発本部が中心となって、輸液器具類、
輸液剤、
プレフィルドシリンジ、電子体温計、電子血圧計
脳血管
などの研究開発を行っています。
当カンパニーに係る研
究開発費は38億円となりました。
35
TERUMO CORPORATION Annual Report 2016
CV
製品
地域
DES(Ultimaster)
日
末梢動脈疾患治療用ステント
(Misago)
米
PTAバルーンカテーテル
(膝上)
欧・米
塞栓用ビーズ
欧
コイルアシスト・ステント
日
液体塞栓剤
欧
遠心ポンプ・ディスポーザブル
(PCPS用)
日
グローバル生産体制の強化
テルモでは、
事業のグローバル化が加速する中、
世界
じて、
グローバルな成長を支えるコスト競争力の強化に
の医療現場に、
高品質な製品を安定的かつ迅速に供給す
も取り組んでいます。
2014年7月には、
ベトナムのホーチ
るため、
グローバル生産体制の強化に取り組んでいます。
ミン市近郊に同国で2拠点目となる工場を開設し、
血液
日本の工場は、
ものづくりのコアとなる高度な生産技
バッグや成分採血キットの生産移管を進めています。
術力を磨き、
ノウハウを蓄積するとともに、
その技術を海
アジア以外の地域では、2013年に、米国子会社のマイ
外の工場に伝達・移管するマザー工場の役割を担ってい
クロベンション, Inc.が、
コスタリカに工場を開設しまし
ます。現在、静岡県の富士宮工場、愛鷹工場、
山梨県の甲
た。
グローバルで需要拡大が続く脳動脈瘤治療用のコイ
府工場や2016年1月より商業生産を開始したテルモ山
ルやステントなどを安定的に量産し、各地域に供給して
口、
テルモ山口D&Dなどを含め、計7拠点で生産を行っ
います。
今後も、競争力の源泉となる高度な生産技術力を磨く
ています。
海外では、
アジアをテルモグループの生産センターと
とともに、
コスト競争力の継続的な強化にも取り組み、
位置付け、
品質の高い製品を安定的に供給すべく、
フィ
事業環境や需要の変化にも柔軟に対応できる生産体制
リピン、
ベトナムなどの生産拠点に、
マザー工場からの技
を構築していきます。
術移管を進めています。
さらにアジアでの生産拡大を通
テルモグループの生産拠点(2016年6月30日現在)
欧州
5
拠点
英国
3拠点
ベルギー 2拠点
アジア他
5
ベトナム
フィリピン
中国
インド
拠点
2拠点
1拠点
1拠点
1拠点
日本
7
米州
拠点
日本
海外
計
7
18
拠点
8
拠点
米国
7拠点
コスタリカ1拠点
拠点
25
拠点
TERUMO CORPORATION Annual Report 2016
36
マネジメント体制
コーポレート・ガバナンス
基本的な考え方
コーポレート・ガバナンス体制
テルモは、
「医療を通じて社会に貢献する」
を企業理念
取締役会・取締役の監査・監督機能の充実をはじめ、
とします。
その理念のもと、世界中のお客様、株主、社員、
コーポレート・ガバナンスの一層の強化に繋げるととも
取引先、社会などのステークホルダーの期待に応え、長
に、
それを通じて中長期での企業価値の向上を図るため、
期にわたる持続的成長および企業価値の最大化を達成
監査等委員会設置会社の体制を採用しています。
加えて、
するために、
価値ある商品とサービスを提供します。
企業
経営の透明性と客観性を高めるため、
コーポレート・ガバ
理念をより具体化するため、
「開かれた経営」
「新しい価
ナンス委員会、
指名委員会、
内部統制委員会およびリスク
値の創造」
「安全と安心の提供」
「アソシエイト※1の尊重」
管理委員会を任意の機関として設置しています。
取締役会決議により制定したコーポレート・ガバナン
「良き企業市民」を5つのステートメントとして設定し、
全アソシエイトの活動および判断の基準とします。企業
ス基本方針※2の中で、監査等委員を除く取締役の員数
理念および5つのステートメントを基本に、経営の透明
を15名以内とすること、監査等委員である取締役の員数
性・客観性を保ちつつ迅速な意思決定を実現するコーポ
を5名以内とし、
その過半数は社外取締役とすること、取
レート・ガバナンスの仕組み作りを推進します。
また、株
締役総数のうち、社外取締役は2割以上を目途とするこ
主との対話の推進等、
ステークホルダーへのアカウンタ
とを規定しています。
また、社外取締役は、
当社の定める
ビリティ
(説明責任)
を充実させることにより、社内外か
「社外取締役の独立性判断基準」の要件を満たす者で
らの理解と信頼が継続して得られるよう努めます。上記
あることを規定しています。
社外取締役のうち、
所属事務
に加え、
コーポレートガバナンス・コードを軸に、良き企
所のルールで届出を行わない1名を除く全員を、独立役
業市民としてグローバルに活動する体制を構築します。
員として東京証券取引所に届け出ています。
また、
コーポレート・ガバナンス体制が実効を上げるに
※2「テルモ コーポーレート・ガバナンス基本方針」
につきましては、
当社の
ウェブサイトをご覧ください。
http://www.terumo.co.jp/company/about/governance.html
は、
自由闊達な、
明るい、
働きがいのある企業風土が不可
欠であり、
その風土の醸成に努めています。
※1 テルモでは共に働く仲間という意味を込めて社員を
「アソシエイト」
と呼
んでいます。
コーポレート・ガバナンス体制図
報告・
意見陳述
選任・解任
報告
選任・解任
株主総会
選任・解任
提案
報告・助言
取締役会
指示
内部統制委員会
リスク管理委員会
報告
決定・監督
提案・報告
指示
経営会議
投資委員会
各部門・関連会社
(注) 監査等委員は取締役として議決権を持ち、
取締役会の構成メンバーとなります。
監査等委員会は取締役会・取締役の監査・監督機能を担います。監査等委員会の過半数は社外取締役が占めます。
37
TERUMO CORPORATION Annual Report 2016
答申
諮問
提案・報告
報告
代表取締役社長
決定・監督
指示・
指導
監査
監査
連携
内部統制室
指示
法務・
コンプライアンス室
監査・
監督
業務監査室
監査等委員会
会計監査人
連携
コーポレート・
ガバナンス委員会
指名委員会
諮問
取締役会
取締役会は、企業価値の最大化に向け経営の基本方
指名委員会
指名委員会は、
コーポレート・ガバナンスの観点から、
針等に関する適切な意思決定に努めるとともに、意思決
取締役会にとって最重要の責務の1つである、
社長および
定の迅速化のため、
取締役会で決議した経営の基本方針
会長の後継者人事等について審議します。
メンバーは取
に基づく業務執行については、取締役・執行役員への権
締役の中から取締役会が選定する委員で構成し、
うち過
限委譲を進め、
その業務執行を監督する役割を担ってい
半数が独立社外取締役です。
委員長は委員の互選により
ます。
また、
コーポレート・ガバナンスの維持向上および
独立社外取締役の中から選任しています。
経営の健全性の観点から、
重要な責務の1つとして、
社長
後継者の指名プロセスを適切に監督する役割も担ってい
ます。
メンバーは15名(監査等委員を含む)
で構成され、
内部統制委員会
内部統制委員会は、取締役会の下部機関として、
当社
うち5名が社外取締役です。
また、2名が女性取締役(社
※3に基づき、
「内部統制システム整備の基本方針」
テルモ
内取締役1名、社外取締役1名)、1名が外国人取締役(社
グループの内部統制システムの整備・運用を担っていま
内取締役)です
(2016年6月24日開催の当社第101期定
す。
メンバーは代表取締役、
常務以上の取締役、
専門部会
時株主総会承認)
。
社外取締役の選任にあたっては、
ガイ
長、内部統制部門長および顧問弁護士で構成され、委員
ドラインを設け、異なる経歴・専門分野、
男女など可能な
長は、
代表取締役社長が務めます。
また、
監査等委員は出
範囲で多様性のある構成を考慮することとしています。
席し、
意見を述べることができます。
監査等委員会
※3「内部統制システム整備の基本方針」
につきましては、
当社のウェブサイ
トをご覧ください。
http://www.terumo.co.jp/company/about/compliance.html
監査等委員会は、
テルモグループにおける業務の適法、
妥当かつ効率的な運営のため、
取締役等の職務執行の監
リスク管理委員会
査・監督を行い、
その遂行のため、
直接、
内部統制室、
業務
リスク管理委員会は、
取締役会の下部機関として、
全社
監査室、法務・コンプライアンス室に指示・命令すること
横断的視点のリスク認識・評価・分析および優先度等を
ができます。
メンバーは3名で構成されており、
うち2名が
踏まえ、
テルモグループのリスク管理体制の整備・運用を
独立社外取締役です。監査等委員会のサポート組織とし
担っています。
メンバーは常務以上の執行役員、
内部統制
て
「監査等委員会室」
を設置し、
専任スタッフを配置して、
部門長、主要なコーポレート機能担当部門長ならびに委
監査・監督業務の一層の強化を図っています。
員長が指名する者で構成され、委員長は、代表取締役社
長が務めます。
また、監査等委員は出席し、意見を述べる
コーポレート・ガバナンス委員会
ことができます。
コーポレート・ガバナンス委員会は、経営の健全性と
コーポレート・ガバナンスの維持向上の観点から、
取締役
内部統制
会の諮問機関として、
審議および助言を行い、
委員会での
当社は、
会社法に基づく
「内部統制システム整備の基本
審議内容は適宜取締役会へ報告します。
メンバーは取締
方針」
を取締役会において決議し、
テルモグループにおけ
役の中から取締役会が選任する者により最大委員6名で
る内部統制システムの整備を推進しています。
構成し、
その半数以上は独立社外取締役、
また少なくとも
1名は代表取締役としています。
委員長は、
委員の互選に
より独立社外取締役の中から選定しています。
TERUMO CORPORATION Annual Report 2016
38
マネジメント体制
コンプライアンス
役員報酬について
コンプライアンス体制
業務執行取締役の報酬は固定報酬、賞与および株式
テルモは、
取締役会で決議した
「内部統制システム整備
報酬型ストックオプションから構成されます。全体に対
の基本方針」
に基づき、
テルモグループの内部統制システ
し各々が占める割合として50%、30%、20%を目標に設
ムの整備を担う内部統制委員会において、
コンプライアン
計しています(業務執行取締役合計の数字)。非業務執
スに係る重要な施策を審議・決定し、
その活動状況を定
行取締役の報酬は固定報酬のみで構成されています。
期的に取締役会および監査等委員会に報告します。
また、
固定報酬(監査等委員を除く)、賞与および株式報酬
チーフリーガルオフィサー
(CLO)
において、
テルモグルー
型ストックオプションの役位毎の標準額については、社
プ全社の横断的なコンプライアンス体制の整備を一元的
外専門機関調査による他社水準などを考慮しながら、
に担い、
関係ルールの整備、
教育・啓発の実施、
誓約書の
コーポレート・ガバナンス委員会にて審議した上で取締
徴集およびテルモグループ各社のコンプライアンス活動
役会にて決定しています。
を推進する役割を担うコンプライアンスオフィサーとの連
取締役の報酬等は、
有価証券報告書および事業報告を
当社ウェブサイト上に掲載する等により開示しています。
携による問題の早期把握等の諸施策を推進しています。
重大なコンプライアンス違反等が発生した場合、
内部統
制委員長の指揮のもと、
直ちに対応チームを立ち上げ、
事
情報の適時開示について
案の対応・解決に当たるとともに、
同チームは、
発生原因
および再発防止策を内部統制委員会に報告・提言します。
テルモは、広く社会から信頼されることを目指し、株主
や投資家、
お客様をはじめとする皆様に対し、透明性、公
平性、継続性を基本に、金融商品取引法および東京証券
「テルモグループ行動規準」
の遵守
取引所の定める適時開示規則に則った情報の開示を行
テルモの企業理念である
「医療を通じて社会に貢献す
います。
また、
当社を理解いただくために有効と思われる
る」
は、企業としてだけでなく、全アソシエイトの目指すと
情報についてもタイムリーかつ積極的な情報開示に努め
ころです。医療に関わる企業としての高い倫理観を持っ
ます。
て事業を行っていくために、
これからも法令遵守と企業倫
理を軸とした公正・公平な事業活動を進めていきます。
適時開示体制
テルモでは、
「コーポレート・ガバナンス方針」
に基づき、
これらの要請により深く応えるため、海外を含むテル
モグループの全社を対象に日常の行動規範を定めた
「テ
内部統制委員会の専門部会としてディスクロージャー部
ルモグループ行動規準」
を2008年4月に制定し、
テルモ
会を設置しています。
当部会が、
情報開示の必要性、
開示
グループ全社を挙げて、法令遵守はもとより社会倫理に
時期、
開示文書案の適法性・適正性の審査を行い、
必要な
従って行動するように取り組んでいます。
「テルモグルー
対応を指示しています。
プ行動規準」
では、
「アソシエイトひとりひとりは公正な
事業活動と環境への責任ある行動を展開し、信頼される
企業市民の模範とならなければなりません」
と宣言し、
各
職場に応じた研修を実施するなど、企業倫理の重要性を
認識できる環境を整備しています。
また、差別の排除等についても明文化し、
グローバル
企業として徹底した取り組みをしています。
39
TERUMO CORPORATION Annual Report 2016
「公務員との適正な関係」
について
テルモグループの全アソシエイトは、当社が制定した
「テルモグループ行動規準」および「テルモグループグ
業界ルールの遵守
テルモは、医療機器や医薬品の適正なプロモーショ
ンに向けて、業界の自主ルールである
「公正競争規約」
ローバル贈賄防止基準」に従い、行政機関、その職員お
「コード・オブ・プラクティス」
「プロモーションコード」等
よびこれらの国公立医療機関関係者等の公務員等と業
の遵守に努めるとともに、
自社の
「テルモ コード・オブ・プ
務を行う場合、透明性をもって、
その業務を公正かつ誠
ラクティス」
を策定しています。
また継続した社内研修を
実に行い、
日本の不正競争防止法、米国の海外腐敗行為
行い、
コンプライアンス意識向上と周知に努めています。
防止法(Foreign Corrupt Practices Act; FCPA)
なら
今後も、
これらの遵守に努めてまいります。
びにテルモが事業活動を行うすべての地域・諸国におけ
る汚職防止法令を遵守する活動を推進しています。
企業活動と医療機関等の関係の透明化
テルモは「医療を通じて社会に貢献する」
という企業
「談合・カルテルの禁止」
について
理念のもと、事業活動を通じ、
ライフサイエンスの発展に
談合・カルテル行為等、競争法違反の嫌疑で摘発さ
寄与してまいりました。高度な医療ニーズに応える医療
れ、厳しい制裁を課される事例は、世界的に数多く発生
機器や医薬品の開発には、
企業独自の研究活動だけでは
しています。
テルモは、
これらの行為に関与することがな
なく、大学等研究機関・医療機関等との連携が不可欠で
いように
「テルモグループグローバル独占禁止法令遵守
す。
その際に対価として金銭の支払いが発生する活動も
基準」
を2015年1月に制定しました。
また、
テルモグルー
あり、
テルモでは、
医薬品医療機器法をはじめとする関連
プの国内・海外アソシエイトを対象に、
カルテル防止の
法規はもちろん、公正競争規約、
コード・オブ・プラクティ
e-Learning研修を実施し、
グループ全体で自由かつ公
ス等の高い倫理基準に基づく業界自主規制を遵守し、
透
正な競争の維持に努めています。
明性を高めるように努めてきました。
海外はもとより、国内においても医学会等で産学連携
反社会的勢力への対応について
における利益相反に関する指針が出されるなど、
近年のさ
テルモは、
反社会的勢力との一切の関係遮断は企業の
らなる透明性確保に向けた取り組みを受け、業界の自主
責務として、
反社会的勢力との関係は断固拒否し、
これら
ルールに則り、
「企業活動と医療機関等との関係の透明性
に関係する企業、団体、個人とは一切取引を行いません。
に関するガイドライン」
および「企業活動と患者団体との
また、反社会的勢力排除に向けて、警察当局等の外部専
関係の透明性に関するガイドライン」
を定め、
医療機関や
門機関と連携して組織的な対応を図ります。
医療従事者、
患者団体への資金提供の状況を公開※4して
います。
内部通報制度
テルモは、当社グループの役職員がコンプライアンス
※4 詳細につきましては、
当社のウェブサイトをご覧ください。
http://www.terumo.co.jp/company/about/compliance.html
違反等を知ったとき、職制を通さずに通報することがで
き、
かつ通報者が不利益な取り扱いを受けないことが保
障される内部通報システムを構築・運用しています。ま
た、
その運用状況は、適宜、監査等委員会に報告すること
としています。
TERUMO CORPORATION Annual Report 2016
40
役員紹介
2016年6月24日現在
11
12
10
9
14
7
15
13
8
取締役
6
新宅 祐太郎
1
代表取締役社長CEO
三村 孝仁
松村 啓史
2
1
3
5
2
代表取締役副社長執行役員
渉外、総務部、
ダイバーシティ推進室、営業管理部担当
3
佐藤 慎次郎
4
高木 俊明
5
羽田野 彰士
6
取締役専務執行役員
取締役常務執行役員
取締役常務執行役員
取締役常務執行役員
中国地域代表
心臓血管カンパニープレジデント
チーフクオリティーオフィサー(CQO)
品質保証部、安全情報管理部、環境推進室、
テルモ・コールセンター担当
ホスピタルカンパニープレジデント
昌子 久仁子
デビッド・ペレス
荒瀬 秀夫
7
8
9
松永 真理
取締役上席執行役員
取締役上席執行役員
取締役上席執行役員
社外取締役
アジア・インド地域代表
テルモアジアホールディングス社取締役
Managing Director
チーフクリニカル&レギュラトリー
アフェアーズオフィサー
(CRAO)
レギュラトリーアフェアーズ部長
臨床開発部担当
血液システムカンパニープレジデント
テルモBCTホールディング社
取締役社長兼CEO
松永真理事務所 代表
森 郁夫
上田 龍三
社外取締役
11
12
社外取締役
愛知医科大学医学部腫瘍免疫寄附講座 教授
41
4
TERUMO CORPORATION Annual Report 2016
10
監査等委員である取締役
関根 健司
ー
松宮 俊彦
13
取締役
(監査等委員)
ー
米 正剛
14
ー
15
社外取締役(監査等委員)
社外取締役(監査等委員)
公認会計士
弁護士
執行役員
北畠 一明
戸田 成重
赤池 義明
冨田 剛
西端 亮
国際部、IR、広報室、
デザイン企画室担当
グローバルタレントマネジメント担当
営業管理部長
ホスピタルカンパニー
D&D事業オペレーション部門
バイスプレジデント
生産部長
調達部担当
ホスピタルカンパニー
基盤医療器事業プレジデント
チーフアカウンティング&
ファイナンシャルオフィサー
(CAFO)
財務部長
経理部担当
村山 啓
鮫島 光
マーク・サター
西川 恭
中込 宏
心臓血管カンパニーTIS事業
オペレーション部門バイスプレジデント
心臓血管カンパニー愛鷹工場長
心臓血管カンパニー
TIS事業プレジデント
心臓血管カンパニー
CV事業プレジデント
テルモカーディオバスキュラー
システムズ社取締役社長兼CEO
東欧・ロシア・中東・アフリカ地域代表
テルモヨーロッパ社取締役社長
品質保証部長
原口 昌隆
竹内 寿一
川端 誠次
西村 正人
東京支店長
テルモアメリカスホールディング社
取締役社長兼CEO、
中南米地域代表
ホスピタルカンパニー北米担当
心臓血管カンパニー
ニューロバスキュラー事業プレジデント
マイクロベンション社取締役社長兼
CEO
ホスピタルカンパニー
国内販売推進本部長
生産部技術センター長
松本 幸助
星野 正紀
南雲 浩
ジェイムス・
ラッシュワース
粕川 博明
人事部長
人材開発室担当
健康管理担当
ホスピタルカンパニー
DM・ヘルスケア事業プレジデント
テルモBCTホールディング社
シニアバイスプレジデント&GM(日本)
テルモBCT株式会社代表取締役社長
柴﨑 崇紀
内田 一広
粂井 哲也
泰尓茂(中国)投資有限公司董事長兼
総経理
知的財産部長
ホスピタルカンパニー
D&D事業プレジデント
広瀬 和紀
水口 美穂
坂口 至
長田 敏彦
ホスピタルカンパニー基盤医療器事業
オペレーション部門バイスプレジデント
チーフリーガルオフィサー(CLO)
法務・コンプライアンス室長
テルモ山口株式会社
取締役工場長
経営企画室長
常務執行役員
上席執行役員
執行役員
執行役員
執行役員
執行役員
上席執行役員
上席執行役員
執行役員
執行役員
執行役員
執行役員
上席執行役員
執行役員
リチャード・カペッタ
執行役員
執行役員
執行役員
執行役員
上席執行役員
上席執行役員
執行役員
執行役員
執行役員
執行役員
心臓血管カンパニーTIS事業営業部門
地域プレジデント
(米国)
テルモメディカル社社長兼CEO
竹内 克也
執行役員
チーフインフォメーションオフィサー
(CIO)
情報戦略部長
SCM推進室担当
執行役員
執行役員
チーフテクノロジーオフィサー(CTO)
研究開発本部長
テルモメディカルプラネックス担当
鮫島 正
執行役員
ハートシート事業室長
研究開発本部再生医療リーダー
執行役員
TERUMO CORPORATION Annual Report 2016
42
5年間財務サマリー(連結)
テルモ株式会社およびその連結子会社
3月31日に終了する会計年度
単位:百万円
会計年度
売上高
2011年度
2012年度
2013年度
2014年度
2015年度
(2012年3月期) (2013年3月期) (2014年3月期) (2015年3月期) (2016年3月期)
¥386,686
¥402,294
¥467,359
¥489,506
¥525,026
営業利益
63,049
53,216
65,288
67,456
81,703
税金等調整前純利益
49,649
52,285
52,907
64,046
76,920
純利益(注1)
24,167
47,014
34,096
38,470
50,676
営業活動によるキャッシュ・フロー
56,200
50,270
96,259
73,110
80,303
投資活動によるキャッシュ・フロー
(247,182)
(31,293)
(52,744)
(40,421)
(23,495)
フリーキャッシュ・フロー
(190,981)
18,976
43,515
32,689
56,808
財務活動によるキャッシュ・フロー
182,982
(22,340)
(31,785)
44,121
(79,936)
研究開発費
24,322
27,128
30,130
29,360
33,147
設備投資額
26,620
32,164
46,624
41,441
31,454
減価償却費(注2)
28,835
32,554
39,881
40,692
44,674
1株当たり指標(注3)
単位:円
純利益
¥127.28
¥247.60
¥89.78
¥101.33
¥135.14
配当金
39.00
44.00
58.00
30.50
39.00
純資産
1,855.25
2,304.42
1,306.72
1,513.73
1,408.53
財政状態(会計年度末)
単位:百万円
流動資産
¥256,867
¥286,955
¥310,985
¥412,458
¥374,746
流動負債
157,997
115,844
160,936
129,947
168,835
総資産
692,520
771,032
832,814
992,073
901,685
純資産
352,537
437,909
496,245
573,523
511,544
資本金
38,716
38,716
38,716
38,716
38,716
ROE
7.0%
11.9%
7.3%
7.2%
9.3%
ROA
4.3%
6.4%
4.3%
4.2%
5.4%
50.9%
56.7%
59.6%
57.8%
56.7%
189,879
189,877
379,749
378,829
362,969
18,112
18,893
19,263
19,934
20,697
経営指標
自己資本比率
(注3)
期末発行済株式数(千株)
期末社員数(名)
(注) 1. 親会社株主に帰属する当期純利益
2. 減価償却費には、
のれん償却費を含んでいます。
3. 2014年4月1日を効力発生日として、普通株式1株につき2株の株式分割を行っております。2013年度の
「1株当たり純利益」
「1株当たり純資産」
「期末発
行済株式数」
につきましては、
当該株式分割が2013年度の期首に行われたと仮定し算定しております。
また、2014年度における
「1株当たり配当金」
につ
きましては、
当該株式分割を考慮した額を記載しております。
「期末発行済株式数」
につきましては自己株式数を除いた数を記載しております。
43
TERUMO CORPORATION Annual Report 2016
財務報告
売上高・利益の状況
売上高
全社の売上高は前年度比7.3%増の5,250億円となり
ました。
日本では、
心臓血管カンパニーでTIS事業、
ニューロバス
キュラー事業の売上が伸長するとともに、
ホスピタルカン
パニーで輸液システムや腹膜透析向け製品などの販売が
堅調に推移し、
前年度比2.2%増の1,872億円となりました。
売上高(日本■/海外■)
(億円)
6,000
4,674
5,000
4,000
3,867
3,000
4,895
5,250
4,023
1,962
2,164
1,905
1,859
2,783
3,064
3,378
1,890
1,831
1,872
2,000
1,000
海外では、米国および中国を中心とするアジアでTIS
0
事業とニューロバスキュラー事業の売上が好調に推移
2011
2012
2013
2014
2015 (年度)
し、
前年度比10.3%増の3,378億円となりました。
営業利益■/営業利益率●
売上総利益
TIS事業やニューロバスキュラー事業の売上が伸長する
とともに、
グローバルでUltimasterの販売が好調に推移する
など、
心臓血管カンパニーを中心に収益性の高い事業・製品
の売上が伸長しました。
加えて継続的な原価低減も寄与し、
売上総利益は前年度比11.3%増の2,849億円となりました。
(億円)
1,000
750
(%)
20
16.3
630
13.2
532
14.0
653
13.8
675
15.6
817
15
500
10
250
5
0
営業利益
2011
2012
2013
2014
2015 (年度) 0
欧州、米国におけるTIS事業、
ニューロバスキュラー事
業での販売投資増、研究開発費の増加などにより、販売
費および一般管理費は前年度比7.8%増となりましたが、
売上総利益の増加が販売費および一般管理費の増加を
上回り、
営業利益は21.1%増の817億円となりました。
のれん等償却除く営業利益は19.7%増の1,019億円、
のれん等償却除く営業利益率は19.4%となりました。
のれん等償却除く営業利益■/のれん等償却除く営業利益率●
(億円)
1,200
1,019
760
800
19.6
816
668
16.6
17.5
851
19.4
0
2014年度は66億円の為替差益を計上しましたが、
20
17.4
10
400
経常利益
(%)
30
2011
2012
2013
2014
2015 (年度) 0
2015年度は円高の影響により75億円の為替差損を計上
しました。
その結果、経常利益は前年度比3.3%増の731
億円となりました。
純利益
(親会社株主に帰属する当期純利益)
2014年度は欧州のホスピタル事業ポートフォリオ改革
に伴う特別損失56億円を計上しましたが、
2015年度は、
本社の土地売却に伴う特別利益44億円を計上しました。
加えて、
税制改正などにより税負担率が低下したこともあ
り、
純利益は前年度比31.7%増の507億円となりました。
純利益※■/ROE●
(億円)
600
507
470
11.9
450
341
300
242
7.0
7.3
12
385
9.3
7.2
8
4
150
0
(%)
16
2011
2012
2013
2014
2015 (年度) 0
※ 親会社株主に帰属する当期純利益
TERUMO CORPORATION Annual Report 2016
44
財務報告
セグメント別の状況
■心臓血管カンパニー
2015年度セグメント別売上高
TIS事業では、
2015年10月に薬剤溶出型冠動脈ステント
Ultimasterを日本で発売しました。
前年度に販売を開始した欧
■ 心臓血管カンパニー
州、
中南米およびアジアを含め、
各地域で売上が好調に推移し
ました。
また、
米国ではTRI
(手首の血管から冠動脈にアプロー
(億円)
ニューロ
バスキュラー
TIS
CV
血管
合計
日本
371
25
99
21
516
米州
562
90
214
27
894
欧州
460
73
55
79
667
きく伸ばしました。
その結果、
心臓血管カンパニーの売上高は
アジア他
373
75
50
12
510
前年度比13.9%増の2,586億円となりました。
海外のTIS事業お
合計
1,766
263
418
139
2,586
チするカテーテル手技)
関連製品の販売が好調に推移するとと
もに、
中国を中心にアジアの売上も伸長しました。
ニューロバス
キュラー事業も、
米国および中国を中心にアジアでの売上を大
よびニューロバスキュラー事業の売上伸長や、
Ultimasterのグ
ローバルでの売上拡大など、
収益性の高い事業・製品の売上拡
■ ホスピタルカンパニー
大に伴う粗利益の増加により、
事業利益は前年度比33.7%増
の634億円、
事業利益率は4ポイント改善し、
25%となりました。
■ホスピタルカンパニー
日本では、
閉鎖式輸液システムや腹膜透析、
糖尿病向
(億円)
基盤
医療器
DM・
ヘルスケア
D&D
合計
日本
499
528
214
1,242
米州
68
15
0
83
欧州
45
38
10
93
け製品などの売上が伸長し、
増収となりました。
海外では、
アジア他
165
2
29
196
アジアで輸液ポンプなどの売上が堅調に推移する一方、
合計
777
584
253
1,614
欧州および中南米を中心に低収益事業の縮小により事業
ポートフォリオの見直しを進め、
収益性の改善に努めまし
■ 血液システムカンパニー
た。
その結果、
ホスピタルカンパニーの売上高は、
ほぼ前年
度並みの1,614億円となりました。
事業利益は、
日本の工
場を中心とした継続的な原価改善に加え、
原油安にともな
う材料価格安なども寄与し、
前年度比8.5%増の226億円、
事業利益率は1ポイント改善し、
14%となりました。
■血液システムカンパニー
(億円)
血液
アフェレシス
細胞処理
センター
治療他
合計
日本
107
7
1
115
米州
268
119
69
457
欧州
203
47
8
258
アジア他
186
29
5
220
合計
765
203
83
1,050
日本では、
献血数の減少傾向が続き、
採血時に使用される関
連製品の需要にも影響があり、
減収となりました。
海外では、
米国
で血液センター向け製品の契約価格の改定が実施された結果、
売上の伸びが鈍化しましたが、
アフェレシス治療分野および細胞
セグメント別事業利益※ ■心臓血管カンパニー/■ホスピタルカンパニー/■血液システムカンパニー
(億円)
1,200
処理分野の売上が拡大するとともに、
新興国を中心に血液セン
ター向け製品の販売も堅調に推移しました。
その結果、
血液シス
テムカンパニーの売上高は、
前年度比3.9%増の1,050億円とな
169
900
185
600
208
300
474
226
りました。
米国における血液センター向け製品の契約価格改定
に加えて、
米国生産、
欧州販売の収益が対米ドル・ユーロ安により
マイナスの影響を受けたこともあり、
事業利益は前年度比8.6%
減の169億円、
事業利益率は2ポイント減の16%となりました。
45
TERUMO CORPORATION Annual Report 2016
0
※ のれん等償却を除く
2014
634
2015
(年度)
貸借対照表およびキャッシュ・フローの状況
総資産
総資産は、前年度末と比べて904億円減少し、9,017
億円となりました。有価証券(譲渡性預金)
の償還による
減少、無形固定資産の減少および為替の影響が主な要
因です。
負債
総資産■/ROA●
(億円)
8,000
(%)
9,921
10,000
6,925
8,328
7,710
15
9,017
12
9
6,000
6.4
4,000
4.3
4.3
負債は、
前年度末と比べて284億円減少し、
3,901億円
2,000
となりました。長期借入金の返済、未払法人税等および
0
5.4
6
4.2
3
2011
2013
2012
2015 (年度) 0
2014
仕入債務の減少が主な要因です。
純資産
純資産は、利益剰余金の増加に対し、自己株式の取
得や為替の影響もあり、前年度末と比べて620億円減少
純資産■/自己資本比率●
(億円)
(%)
5,735
6,000
4,500
し、
5,115億円となりました。
3,525
50.9
80
5,115
4,962
4,379
59.6
56.7
60
56.7
57.8
3,000
40
1,500
20
営業活動によるキャッシュ・フロー
営業活動の結果得られた資金は803億円(前年度は
731億円の取得)
となりました。税金等調整前当期純利
0
2011
2012
2013
2014
2015 (年度)
0
益は769億円、減価償却費337億円、のれん償却費110
億円となりました。
また、
法人税等の支払額は365億円と
なりました。
営業活動によるキャッシュ・フロー
(億円)
963
1,000
※
投資活動によるキャッシュ・フロー
投資活動の結果使用した資金は235億円(前年度は
404億円の使用)
となりました。有形固定資産の取得に
よる支出282億円が主な要因です。
600
803
731
800
562
503
400
200
財務活動によるキャッシュ・フロー
財務活動の結果使用した資金は799億円(前年度は
0
2011
2012
2013
2014
2015 (年度)
※ 米国子会社再編に伴う税負担減
441億円の取得)
となりました。
自己株式の取得による支
出610億円および配当金の支払い132億円が主な要因
キャッシュ・フローの状況
です。
現金及び現金同等物の期末残高
以上の結果、当年度末における現金及び現金同等物
の残高は、
前年度末より297億円減少し、
1,469億円とな
りました。
(億円)
2014年度
2015年度
営業活動による
キャッシュ・フロー
731
803
投資活動による
キャッシュ・フロー
(404)
(235)
財務活動による
キャッシュ・フロー
441
(799)
現金及び現金同等物の
期末残高
1,767
1,469
増減額
72
169
(1,241)
(297)
TERUMO CORPORATION Annual Report 2016
46
連結財務諸表
連結貸借対照表
テルモ株式会社およびその連結子会社
2015年度および2014年度
単位:百万円
単位:百万円
2015年度
資産
2014年度
(2016年3月31日)
(2015年3月31日)
売上債権
貸倒引当金
¥ 149,672
¥ 129,679
104,426
104,944
(1,390)
(1,458)
103,035
103,485
—
50,000
たな卸資産
96,454
101,472
繰延税金資産
14,963
13,949
その他
10,621
13,871
374,746
412,458
売上債権計
有価証券
流動資産合計
22,023
建物及び構築物
167,612
161,029
機械装置及び運搬具
233,310
220,685
2,141
2,182
建設仮勘定
21,417
39,029
その他
43,683
42,422
491,463
487,373
(315,668)
(308,877)
175,794
178,496
減価償却累計額
有形固定資産合計
投資その他の資産
投資有価証券
(非連結子会社及び関連
会社に対する投資を含む)
のれん
37,724
166,990
顧客関連資産
90,750
103,217
繰延税金資産
3,436
259
—
6,786
75,524
78,402
退職給付に係る資産
投資その他の資産合計
資産合計
47
45,461
143,707
その他
短期借入金
351,143
401,118
¥ 901,685
¥ 992,073
TERUMO CORPORATION Annual Report 2016
¥
61
¥
364
19,839
1年内償還予定の社債
40,000
—
仕入債務
36,294
38,484
256
208
9,778
19,714
35,555
35,841
リース債務
未払法人税等
未払費用
その他
流動負債合計
5,417
27,049
29,916
168,835
129,947
—
40,000
100,184
100,233
58,873
79,141
固定負債
社債
転換社債型新株予約権付社債
リース債務
23,297
リース資産
2014年度
1年内返済予定の長期借入金
長期借入金
有形固定資産
土地
2015年度
(2016年3月31日)
(2015年3月31日)
流動負債
流動資産
現金及び預金
負債及び純資産
退職給付に係る負債
役員退職慰労引当金
286
278
8,656
7,020
66
66
資産除去債務
230
233
繰延税金負債
45,079
50,013
その他
7,925
11,615
固定負債合計
221,304
288,602
負債合計
390,140
418,550
38,716
38,716
資本剰余金
50,928
52,103
利益剰余金
419,573
383,317
自己株式
(64,040)
(3,035)
445,178
471,102
16,308
16,910
純資産
資本金
発行可能株式総数
1,519,000,000株:
発行済株式数
379,760,520株:
株主資本合計
その他有価証券評価差額金
繰延ヘッジ損益
(13)
—
為替換算調整勘定
63,182
89,043
退職給付に係る調整累計額
(13,403)
(3,611)
66,074
102,341
新株予約権
183
78
非支配株主持分
109
—
純資産合計
511,544
573,523
¥ 901,685
¥ 992,073
その他の包括利益累計
額合計
負債純資産合計
連結損益計算書
テルモ株式会社およびその連結子会社
2015年度および2014年度
単位:百万円
2015年度
2014年度
(2016年3月期) (2015年3月期)
売上高
¥ 525,026
¥ 489,506
240,125
233,480
売上原価
売上総利益
284,900
256,025
203,197
188,569
81,703
67,456
受取利息及び受取配当金
942
932
受取ロイヤリティー
209
200
販売費及び一般管理費
営業利益
その他収益(費用)
持分法による投資利益(損失)
固定資産売却益
投資有価証券売却益
補助金収入
328
(65)
4,917
692
793
559
1,783
—
—
2,030
支払利息
(1,395)
(1,254)
為替差益(差損)
債務勘定整理益
(7,485)
6,598
たな卸資産処分損
(82)
(267)
構造改革関連費用
(222)
(797)
固定資産処分損
(895)
(1,160)
減損損失
(1,010)
(1,625)
和解金
(1,656)
—
関係会社整理損
(102)
(597)
事業再編損
—
(5,607)
事業整理損
—
(974)
その他(純額)
(907)
(2,071)
(4,782)
(3,409)
76,920
64,046
法人税、住民税及び事業税
27,718
29,954
法人税等調整額
(1,427)
(4,378)
税金等調整前当期純利益
法人税等
当期純利益
非支配株主に帰属する当期純損失
親会社株主に帰属する当期純利益
¥
26,290
25,575
50,630
38,470
(46)
—
50,676
¥
38,470
単位:円
1株当たり情報
1株当たり当期純利益
135.14
101.33
潜在株式調整後1株当たり当期純利益
126.36
99.12
¥   39.00
¥   30.50
テルモ株式会社は、2014年4月1日を効力発生日として、普通株式1株につき2株の株式分割を行っています。
1株当たり情報につきましては、
当該株式分割が前連結会計年度の期首に行われたと仮定し算定しています。
1株当たり配当額
TERUMO CORPORATION Annual Report 2016
48
連結財務諸表
連結包括利益計算書
テルモ株式会社およびその連結子会社
2015年度および2014年度
単位:百万円
2015年度
2014年度
(2016年3月期)(2015年3月期)
当期純利益
¥ 50,630
¥ 38,470
(602)
5,640
その他の包括利益
その他有価証券評価差額金
繰延ヘッジ損益
為替換算調整勘定
(15)
2
(25,864)
45,665
(9,792)
(795)
2
1
退職給付に係る調整額
持分法適用会社に対する持分相当額
その他の包括利益合計
(36,272)
50,515
¥ 14,358
¥ 88,986
親会社株主に係る包括利益
¥ 14,408
¥ 88,986
非支配株主に係る包括利益
(50)
—
包括利益
内訳:
連結株主資本等変動計算書
テルモ株式会社およびその連結子会社
2015年度および2014年度
単位:百万円
株主資本
2014年
3月31日残高
会計方針の変
更による累積
的影響額
会計方針の変
更を反映した
当期首残高
剰余金の配当
親会社株主に
帰属する
当期純利益
自己株式の取得
株主資本以外
の項目の当期
変動額(純額)
2015年
3月31日残高
会計方針の変
更による累積
的影響額
会計方針の変更
を反映した当期
首残高
剰余金の配当
親会社株主に
帰属する
当期純利益
自己株式の取得
株主資本以外
の項目の当期
変動額(純額)
2016年
3月31日残高
49
資本金
資本
剰余金
¥ 38,716
¥ 52,103
利益
剰余金
¥ 353,600
自己
株式
¥ (24)
その他の包括利益累計額
退職給付に
繰延
その他
新株
為替換算
係る
ヘッジ
有価証券
予約権
調整勘定
調整累計額
損益
評価差額金
¥ 11,269
¥ (2)
¥ 43,377
¥ (2,816)
¥ 20
非支配
株主
持分
¥—
2,258
38,716
52,103
355,859
38,716
(24)
11,269
(2)
43,377
(2,816)
20
—
(11,012)
38,470
38,470
52,103
383,317
(1,175)
(1,220)
50,928
382,097
¥ 50,928
(3,035)
(3,010)
5,640
2
45,665
(795)
58
16,910
—
89,043
(3,611)
78
50,571
—
573,523
(2,396)
(3,035)
16,910
—
89,043
(3,611)
78
—
571,126
(13,200)
(13,200)
50,676
50,676
¥ 419,573 ¥ (64,040)
TERUMO CORPORATION Annual Report 2016
498,504
(11,012)
(61,004)
¥ 38,716
¥ 496,245
2,258
(3,010)
38,716
純資産
合計
(61,004)
(602)
(13)
(25,860)
(9,792)
105
109
(36,053)
¥ 16,308
¥ (13)
¥ 63,182
¥ (13,403)
¥ 183
¥ 109
¥ 511,544
連結キャッシュ・フロー計算書
テルモ株式会社およびその連結子会社
2015年度および2014年度
単位:百万円
2015年度(2016年3月期) 2014年度(2015年3月期)
営業活動によるキャッシュ・フロー
税金等調整前当期純利益
減価償却費
減損損失
のれん償却額
持分法による投資損益
(マイナスは益)
退職給付に係る資産の増減額(マイナスは増加)
退職給付に係る負債の増減額(マイナスは減少)
貸倒引当金の増減額
(マイナスは減少)
役員賞与引当金の増減額(マイナスは減少)
受取利息及び受取配当金
支払利息
為替差損益
(マイナスは益)
構造改革関連費用
固定資産売却損益
(マイナスは益)
固定資産処分損益
(マイナスは益)
投資有価証券売却損益
(マイナスは益)
補助金収入
債務勘定整理益
和解金
関係会社整理損
事業再編損
事業整理損
売上債権の増減額
(マイナスは増加)
たな卸資産の増減額
(マイナスは増加)
仕入債務の増減額
(マイナスは減少)
その他
小計
利息及び配当金の受取額
利息の支払額
法人税等の支払額
構造改革関連費用の支払額
補助金の受取額
関係会社整理損の支払額
事業再編損の支払額
事業整理損の支払額
システム障害対応費用の支払額
営業活動によるキャッシュ・フロー
投資活動によるキャッシュ・フロー
定期預金の預入による支出
定期預金の払戻による収入
有形固定資産の取得による支出
有形固定資産の売却による収入
無形固定資産の取得による支出
投資有価証券の取得による支出
投資有価証券の売却による収入
敷金の回収による収入
営業譲受による支出
その他
投資活動によるキャッシュ・フロー
財務活動によるキャッシュ・フロー
短期借入れによる収入
短期借入金の返済による支出
長期借入れによる収入
長期借入金の返済による支出
新株予約権付社債の発行による収入
社債の償還による支出
非支配株主からの払込みによる収入
ファイナンス・リース債務の返済による支出
自己株式の取得による支出
配当金の支払額
財務活動によるキャッシュ・フロー
現金及び現金同等物に係る換算差額
現金及び現金同等物の増減額(マイナスは減少)
現金及び現金同等物の期首残高
現金及び現金同等物の期末残高
¥ 76,920
33,679
1,010
10,995
(328)
(6,890)
(220)
(22)
28
(942)
1,395
4,321
222
(4,917)
895
(793)
(1,783)
—
1,656
102
—
—
(3,138)
398
(1,492)
5,583
116,679
1,751
(1,445)
(36,451)
(409)
1,783
(83)
(1,390)
(132)
—
80,303
¥ 64,046
30,363
1,625
10,329
65
1,135
(215)
14
32
(932)
1,254
(4,483)
797
(692)
1,160
(559)
—
(2,030)
—
597
5,607
974
1,317
(1,241)
(801)
(2,242)
106,121
1,165
(1,282)
(31,001)
(382)
—
(565)
(515)
(179)
(250)
73,110
(1,766)
1,796
(28,209)
5,135
(4,703)
(3,505)
10,802
39
—
(3,082)
(23,495)
(1,201)
1,505
(37,342)
1,168
(3,683)
(429)
1,434
459
(54)
(2,276)
(40,421)
—
(298)
—
(5,416)
—
—
181
(197)
(61,004)
(13,200)
(79,936)
(6,606)
(29,734)
176,662
¥ 146,927
257
(202)
3,018
(4,963)
100,250
(40,000)
—
(214)
(3,010)
(11,012)
44,121
7,353
84,164
92,498
¥ 176,662
TERUMO CORPORATION Annual Report 2016
50
グローバルネットワーク
2016年4月1日現在
日本
テルモ(株)(東京都)
テルモ・クリニカルサプライ
(株)
(岐阜県)
テルモ山口(株)(山口県)
テルモ山口D&D(株)
(山口県)
米州
●●●■■▲
●■▲
●■
●■
テルモハート(株)(東京都)
●
テルモBCT(株)
(東京都)
●
テルモアメリカスホールディング, Inc.(アメリカ)
テルモメディカル Corp.(アメリカ)
■
●●■▲
テルモカーディオバスキュラーシステムズ Corp.
(アメリカ)
テルモラテンアメリカ Corp.(アメリカ)
●■▲
●●
テルモメディカル・デ・メヒコ S.A. de C.V.(メキシコ) ●●
テルモメディカル・ド・ブラジル Ltda.(ブラジル)
●●
テルモチリ Ltda.(チリ)
●●
テルモコロンビア・アンディーナ S.A.S.(コロンビア) ●●
テルモパナマインターナショナル, Inc.
(パナマ)
マイクロベンション, Inc.(アメリカ)
●
●■▲
マイクロベンションコスタリカ S.R.L.(コスタリカ) ●■
テルモBCTホールディング Corp.(アメリカ)
テルモBCT, Inc.(アメリカ)
テルモBCTラテンアメリカ S.A.(アルゼンチン)
テルモハート, Inc.( アメリカ)
テルモメディカルイノベーション, Inc.(アメリカ)
● 心臓血管事業
● ホスピタル事業
● 血液システム事業
■ 持株会社
■ 生産拠点
▲ 研究開発拠点
51
TERUMO CORPORATION Annual Report 2016
■
●■▲
●
●■
▲
欧州・中東・アフリカ
テルモヨーロッパ NV(ベルギー)
中華圏
●●■▲
泰尓茂(中国)投資有限公司(中華人民共和国)
■
テルモドイツ GmbH(ドイツ)
●●
泰尓茂医療産品
(上海)
有限公司
(中華人民共和国) ●●
テルモフランス S.A.S.(フランス)
●●
泰爾茂中国(香港)有限公司
(中華人民共和国)
●●
テルモイタリア S.R.L.(イタリア)
●●
台灣泰爾茂医療産品股份有限公司
(台湾)
●●
テルモヨーロッパ・エスパーニャ S.L.(スペイン)
●●
テルモスウェーデン AB(スウェーデン)
●●
テルモUK Ltd.(イギリス)
●●
テルモロシア LLC.(ロシア)
●●
テルモミドルイースト FZE.(UAE)
●●
バスクテック Ltd.(イギリス)
泰尓茂医療産品(杭州)有限公司
(中華人民共和国)
●●■
微仙医疗科技(杭州)有限公司
(中華人民共和国)
●
泰爾茂比司特(亞太區)有限公司(中華人民共和国)
●
●■▲
バスクテックドイツ GmbH(ドイツ)
●
マイクロベンション UK Ltd.(イギリス)
●
マイクロベンションヨーロッパ S.A.R.L.(フランス)
●
マイクロベンションドイツ GmbH(ドイツ)
●
テルモアジアホールディングス Pte. Ltd.(シンガポール)■
テルモBCTヨーロッパ N.V.(ベルギー)
●
テルモシンガポール Pte. Ltd.(シンガポール)
●●
テルモ(タイランド)Co., Ltd.(タイ)
●●
テルモマレーシア Sdn. Bhd.(マレーシア)
●●
PT. テルモインドネシア(インドネシア)
●●
テルモオーストラリア Pty. Ltd.(オーストラリア)
●●
テルモBCT Ltd.(イギリス)
●■
アジア
テルモマーケティングフィリピンズ, Inc.(フィリピン)●●
テルモベトナムメディカルエクィップメント Co., Ltd.
(ベトナム)
●●
テルモインディアプライベート Ltd.(インド)
●●
テルモコリア Corp.(大韓民国)
●●
テルモ
(フィリピンズ)Corp.(フィリピン)
●■
テルモベトナム Co., Ltd.(ベトナム)
●●■
テルモペンポールプライベート Ltd.(インド)
●■▲
テルモBCTベトナム Co., Ltd.(ベトナム)
●■
TERUMO CORPORATION Annual Report 2016
52
会社情報
2016年3月31日現在
東京オフィス
幡ヶ谷オフィス
(本社)
〒163-1450 東京都新宿区西新宿3-20-2 東京オペラシティタワー
〒151-0072 東京都渋谷区幡ヶ谷2-44-1
設立
資本金
従業員数
1921年9月17日
387億円
20,697名(連結)4,901名(単体)
テルモウェブサイト
http://www.terumo.co.jp
株式情報
2016年3月31日現在
発行可能株式総数
発行済株式総数
株主総数
金融商品取引所
証券コード
単元株式数
1,519,000,000株※
379,760,520株※
29,878名
東京証券取引所市場第一部
4543
100株
※ 当社は、2014年4月1日を効力発生日として、普通株式1株につき2株の株式分割を行っております。
株式所有者別の状況(%)
※1
大株主の状況(上位10名)
自己株式
4.42%
株式数(千株)
日本マスタートラスト信託銀行株式会社 信託口 41,863
個人・その他
8.04%
外国法人等
27.55%
発行済株式総数
信託銀行
33.63%
379,760,520 株
その他金融機関
14.31%
その他の法人
9.42%
金融商品取引業者
2.64%
構成比
11.02%
日本トラスティ・サービス信託銀行株式会社
信託口
24,906
第一生命保険株式会社
20,259 ※2 5.33%
明治安田生命保険相互会社
13,568
3.57%
STATE STREET BANK AND TRUST
COMPANY 505223 12,245
3.22%
6.56%
オリンパス株式会社
9,430
株式会社みずほ銀行
9,215
公益財団法人テルモ生命科学芸術財団
7,360
1.94%
6,755
1.78%
資産管理サービス信託銀行株式会社
(証券投資信託口)
大日本印刷株式会社
2.48%
※3
2.43%
6,063 ※4 1.60%
※1 当社は自己株式16,790千株を保有しておりますが、上記大株主から除
外しております。
※2 第一生命保険株式会社の保有株式には、同社が退職給付信託に係る株
式として拠出している株式3,000千株が含まれております。
※3 株式会社みずほ銀行の保有株式には、同社が退職給付信託に係る株式
として拠出している株式6,518千株が含まれております。
※4 大日本印刷株式会社の保有株式には、同社が退職給付信託に係る株式
として拠出している株式3,861千株が含まれております。
はテルモ株式会社の商標です。
テルモ、
ハートシート、
F2ライト、
ニコペリック、
アセリオ、
HRジョイント、
テルモ メディカルプラネックス、
キャピオックス、
イムサイス、
シュアプラグ、
ナノパス、
アドスプレー、
スマイルデータビジョン、
Ultimaster、
Misago、
Metacross、
TERUMO BCTはテルモ株式会社の登録商標です。
フルカリックは田辺三菱製薬株式会社の登録商標です。
ソラフレックス、
Thoraflexはバスクテック Ltd.の商標です。
LVISはマイクロベンション, Inc.の登録商標です。
COBE、
Spectra OptiaはテルモBCT, Inc.の登録商標です。
QuantumはテルモBCT, Inc.の商標です。
53
TERUMO CORPORATION Annual Report 2016
東京オフィス
〒163-1450 東京都新宿区西新宿3-20-2 東京オペラシティタワー
© テルモ株式会社 2016年8月 16T269
Printed in Japan
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