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連 載 第4回 正弦波 DDS の製作(前編)

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連 載 第4回 正弦波 DDS の製作(前編)
連 載
R8C/15 付録マイコン基板活用企画
第4回 正弦波 DDS の製作
(前編)
笠原 政史
Masaji Kasahara
DDS(Direct Digital Synthesizer)は,高精度かつ高
分解能の波形発生方法です.最近はアナログ・デバイ
いて解説し,LF モード,LD モードについては後編
で解説します.
セズなどの半導体メーカから DDS 専用 LSI が数多く
ハードウェアの概要
発売され,とても手軽に使用できるようになりました.
本稿では R8C の高速性を評価するために,ソフト
ウェアで DDS の信号処理を行い,限界を追求してみ
ました.また,通常の DDS では多ビットの D − A コ
● 回路はバッファとロー・パス・フィルタだけ
本器の回路図を図 4 − 1 に示します.部品表を表 4 − 2
ンバータでアナログ信号に変換しますが,本器では
R8C/15 内蔵のタイマ(PWM 波形を生成)を使用し,
に示します.製作した回路基板を写真 4 − 1 に示しま
す.R8C の PWM 波形出力を 74AC244(IC 2)に入力し,
主なハードウェアは CPU と OP アンプ 1 個だけで構成
しました.
本器の概略性能を表 4 − 1 に示します.以前,PIC
マイコンでソフトウェア DDS を実現した記事があり
ましたが,それによると PIC マイコンでは DDS クロ
OPA2134UA
チョーク・
コイル
ックの上限が 40 kHz 程度とのことでした(1).単純な
比較はできませんが,今回は演算がより高速な R8C
マイコンを使うことで,HF モードでは約 134 kHz と
MB−R8CQ
UP
約 3 倍にスピードアップできました.
LF(低周波)モードでは, ΔΣ 変調を追加すること
で量子化ノイズを大幅に低減しました.
LD(低ひずみ)モードでは PWM 出力の 2 次ひずみ
補償と波形データの直線補間を追加することで,さら
に低ひずみかつ低スプリアスが得られました.
なお,本稿前編では,DDS の原理と HF モードにつ
SELECT DOWN
写真 4 − 1 製作した正弦波 DDS の外観
表 4 − 1 製作した正弦波 DDS の性能概要
比較項目
動作モード
動作原理
DDS クロック
HF
(高周波)
モード
LF
(低周波)
モード
LD(低ひずみ)モード
DDS
DDS +ΔΣ変調
DDS +ΔΣ変調
2 次ひずみ補償
波形の直線補間
約 134.228 kHz
周波数設定分解能
ロー・パス・フィルタの周波数特性
ひずみ率
スプリアス
出力振幅機能
DC オフセット機能
2005 年 9 月号
約 33.557 kHz
1 mHz
∼ 35 kHz ± 3 dB
∼ 1 kHz ± 3 dB
(ハードウェア共通)
18 % @19 kHz
1.5 % @500 Hz
0.017 % @500 Hz
− 46 dBc
− 58 dBc
− 90 dBc
約 2 VRMS 固定
0.1 mVRMS 分解能で設定可能
機能なし
0.1 mV 分解能で設定可能
このマークは当該記事で使用されている部品の相当品一式の購入サポー
トが行われる予定であることを示します.詳しくは広告ページ「トラン
ジスタ技術 サポート企画」
(p.12)
を参照ください.
249
表 4 − 2 部品表
品名
型名・仕様(メーカ名)
数量
品名
型名・仕様(メーカ名)
数量
付録マイコン基板
MB − R8CQ(注 4 − 1)
1
4.7 kΩ
2
標準ロジック IC
74AC244
1
22 kΩ
(許容差 1 %)
1
OP アンプ
OPA2134UA
(TI)
1
1.3 kΩ
(許容差 1 %)
2
3 端子レギュレータ
7905
1
82 kΩ
(許容差 1 %)
1
整流ダイオード
S5688G
(東芝)
1
47 kΩ
(許容差 1 %)
1
ツェナー・ダイオード
RD6.2
(NEC)
1
36 kΩ
(許容差 1 %)
1
LCD モジュール
SC1602(Sunlike Display)
1
100 μF/35 V 以上
電解コンデンサ
10 Ω
1
1
1 kΩ
2
3.3 μF/6.3 V 以上
1
16 kΩ
1
470 μF/6.3 V 以上
1
3.3 kΩ
1
750 Ω
1
6.2 Ω
1
30 kΩ
1
5 kΩ
1
47 μF/7 V 以上
(OS − CON)
積層セラミック・コンデンサ
抵抗
1
0.1 μF/30 V 以上
3
半固定抵抗
(トリマ)
セラミック・コンデンサ(注 4 − 2) 1000 pF
(許容差 5 %)
1
3300 pF
(許容差 5 %)
2
チョーク・コイル
0.01 μF
(許容差 5 %)
1
BNC コネクタ
2
8200 pF
(許容差 5 %)
1
タクト・スイッチ(注 4 − 3)
5
4700 pF
(許容差 5 %)
1
コネクタ類(注 4 − 3)
フィルム・コンデンサ(注 4 − 2)
10 mH/LHB0812(OEL)
2
TI :テキサス・インスツルメンツ
注 4 − 1 :本誌 2005 年 4 月号付録
注 4 − 2 :高誘電率系セラミック・コンデンサは不可.耐圧 30 V 以上
注 4 − 3 :写真 4-1 参照
+5V.D
+5V.D +5V.D
E8エミュレータ用
コネクタ
14
13
R1
R2
4.7k
4.7k
+5V.D
I C1
MB-R8CQ
1
VCC
2 GND
P3_7
3 MODE
P3_5
4 RES
P3_4
5 P4_5
P3_3
6 P1_7
CMP0_0
7 P1_6
P1_1
P1_5
8V
P1_2
9 CC
TZOUT
10 FORCEOFF
P1_4
11 FORCEON
TxD
12 GND
RxD
13 I NVAL I D
GND
14 DEBUG RxD
GND
DEBUG TxD
1
2
S1
SELECT
D.G.
D.G.
I C4
LCDモジュール
SC1602
(Sunlike Display)
14
13
R/W
Vo
1
+5V.D
D.G.
28
27
26
25
24
23
22
21
20
19
18
17
16
15
S2
S3
S4
S5
DOWN
UP
D.G.
D.G.
E(STB)
RS
2
+5V.D
R3
30k
コントラスト
D.G.
図 4 − 1 正弦波 DDS の回路図
250
2005 年 10 月号
Fly UP