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GUIDELINES - World Bank

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GUIDELINES - World Bank
GUIDELINES
世界銀行の借入者による
コンサルタントの選定と
世界銀行
(ワシントン本部)
1818 H Street N.W.
Washington, D.C. 20433 U.S.A.
Tel:
(202)477-1234
Fax:
(202)477-6391
Telex:
MCI 64145 WORLDBANK
MCI 248423 WORLDBANK
ホームページ: http://www.worldbank.org
Eメール:
[email protected]
雇用に関する
ガイドライン
(仮訳)
世界銀行 東京事務所
〒100-0011
東京都千代田区内幸町2-2-2
富国生命ビル10F
Tel:
(03) 3597-6650(代)
Fax:
(03) 3597-6695
ホームページ: http://www.worldbank.or.jp
PIC東京(世界銀行情報センター)
世界銀行情報センター(Public Information Center,通称PIC)は、
世界銀行の業務や政策、開発問題に関する情報窓口です。PIC東京
では、世銀の出版物や資料に関する情報サービスを行うとともに、
世界銀行の途上国支援の取り組みについて、皆様にご理解いただく
ことを目的とし、どなたでも気軽にご参加頂ける様々なプログラムおよび
イベントを開催しています。
開館日:月曜日∼金曜日 午前10時−午後7時
休館日:土日、祝祭日、年末年始
(臨時休館させていただく場合があります)
連絡先:〒100-0011 千代田区内幸町2-2-2 富国生命ビル1F
電話:03-3597-6650 E-メール: [email protected]
2004年5月
GUIDELINES
世界銀行の借入者による
コンサルタントの選定と
雇用に関する
ガイドライン
(仮訳)
日本語版は、あくまでも読者の理解を容易にする
ためのものであり、英語による本文が正文です。
日本語版は仮訳です。
第1部 はじめに ....................................................1
1.1
目的 ............................................................1
1.4
一般的考慮 ................................................2
1.7
ガイドラインの適用 ....................................3
1.9
利害抵触 ....................................................4
1.10 不公正な競争上の優位性 ........................6
1.11 適格性 ........................................................6
1.12 事前請負契約と遡及融資 ........................7
1.13 コンサルタント間の提携 ...........................8
1.14 世銀の審査、援助、および
モニタリング ..............................................8
1.17 誤調達 ........................................................9
1.18 世銀についての引用 ..............................10
1.19 研修または知識の移転 ..........................10
1.20 言語 ..........................................................11
1.22 不正と腐敗 ..............................................11
1.24 調達計画 ..................................................14
第2部 質およびコストに基づく選定
(QCBS).................................................15
Copyright © 2004年
国際復興開発銀行/世界銀行
1818 H Street, N.W.
Washington, D.C. 20433, U.S.A.
第1刷:2004年4月
日本語版第1刷:2004年9月
2.1
選定過程 ..................................................15
2.3
業務指示書(TOR)..................................16
2.4
コスト見積り(予算)................................16
2.5
広告 ........................................................ 17
2.6
コンサルタントのショート・リスト ...........17
2.9
提案要求書(RFP)の作成と発行...........19
2.10 招請状(LOI)...........................................19
2.11 コンサルタントへの指示書(ITC)..........20
2.12 請負契約 ..................................................20
2.13 プロポーザルの受領 ..............................21
2.14 プロポーザルの評価:
質とコストに対する考慮 .........................22
2.15 質の評価 ..................................................22
2.20 コストの評価............................................24
2.23 質とコストの総合評価 ............................26
2.24 請負契約の交渉と落札者決定 ..............26
〔仮訳〕
ii
iii
〔仮訳〕
2.28 落札者決定の公表 ..................................28
略語
2.29 結果の説明 ..............................................28
2.30 すべてのプロポーザルの拒絶と招請の
再開 ..........................................................28
2.31 守秘義務 ..................................................29
第3部 その他の選定方法 ..................................30
CQS
コンサルタントの資格に基づく選定
FBS
固定予算での選定
IBRD
国際復興開発銀行
IDA
国際開発協会
ITC
コンサルタントへの指示書
3.1
一般事項 ..................................................30
3.2
質に基づく選定(QBS)...........................30
3.5
固定予算での選定(FBS)......................31
LCS
最低コストに基づく選定
3.6
最低コストに基づく選定(LCS).............32
LOI
招請状
3.7
コンサルタントの資格に基づく選定
(CQS)......................................................32
MOS
業務要約月報
単一供給源からの選定(SSS)...............33
NGO
非政府組織
3.9
PAD
プロジェクト評価文書
3.15 特殊なコンサルタントの選定..................34
PAs
調達機関
第4部 請負契約のタイプと重要規定 ..............38
PID
プロジェクト情報文書
3.14 商業慣行 ..................................................34
4.1
請負契約のタイプ ....................................38
QBS
質に基づく選定
4.6
重要規定 ..................................................40
QCBS
質とコストに基づく選定
RFP
提案要求書
SSS
単一供給源からの選定
第5部 個人コンサルタントの選定 ..................43
付記1:コンサルタント選定にかかる
世銀の審査 ..............................................45
1
選定過程のスケジュール設定 ...............45
SWAps
セクターワイドアプローチ
2
事前審査 ..................................................45
TOR
業務指示書
5
事後審査 ..................................................48
UN
国際連合
UNDB
国連開発ビジネス
付記2:コンサルタントへの指示書(ITC)......50
付記3:コンサルタントへの手引き ..................53
1
目的 ..........................................................53
2
コンサルタント選定に対する責任..........53
3
世銀の役割 ..............................................54
5
コンサルタント・サービスに関する情報 ....54
7
コンサルタントの役割 ...............................55
10
守秘義務 ..................................................56
11
世銀の対策 ..............................................57
15
結果の説明 ..............................................58
〔仮訳〕
iv
v
〔仮訳〕
第1部 はじめに
目的
1.1
本ガイドラインの目的は、国際復興開発銀
行(IBRD)の貸付、国際開発協会(IDA)1の融資、
世銀グラント、あるいは、世銀が管理し受益者が
実施する信託基金2グラントから、全額もしくは一
部が融資されたプロジェクトにおいて、必要とな
るコンサルタントの選定上、業務請負上、監督上
の方針および諸手続きを定義することにある。
1.2
貸付契約は、借入者と世銀との法的関
係を規定し、さらに、本ガイドラインは、同契約書
に記述されたプロジェクトのためのコンサルタン
トの選定と雇用に適用される。借入者3とコンサ
ルタントの権利および義務は、借入者によって発
行される提案要求書(RFP)4 の具体的内容と借
入者がコンサルタントと結んだ請負契約書に示
されており、本ガイドラインや貸付契約の内容に
基づくものではない。貸付契約の当事者以外の
者には、同貸付契約のもとで与えられた権利や、
貸付金の支払いを請求する権利は一切与えられ
ていない。
1.3
このガイドラインで用いられる「コンサル
タント」という用語には、コンサルティング会社、
エンジニアリング企業、建設会社、管理会社、調
達代理店、検査機関、監査人、国連機関(UN)
を
はじめとする多国籍機関、投資銀行およびマー
1 IBRDとIDAの
(本件に関する)要件は全く同一である。そのた
め、本ガイドラインで使用される「世銀」
という用語にはIBRDとIDA
の両方が含まれ、また「貸付」
という用語には、IBRDの貸付とIDA
の融資/グラントおよびプロジェクト準備金(PPAs)が含まれる。さ
らに「貸付契約」という用語には、開発融資契約、開発金融契約、
開発グラント契約、プロジェクト契約が含まれる。
「借入者」という
用語には、IDAグラントの受取者も含まれる。
2 信託基金あるいはグラントの契約が本ガイドラインの規定に違反
しない限りにおいて有効とする。
3 場合によっては、借入者が仲介者としてのみ機能し、別の機関
または法人がプロジェクトを実施することがある。本ガイドラインで
使用される「借入者」
という用語には、これらの機関や法人、さらに
「転貸し契約」下の転借人も含まれる。
4 付記2を参照。
1
〔仮訳〕
チャント・バンク、大学、調査研究所、政府機関、
非政府組織(NGO)、それに個人5など、多岐にわ
たる民間・公共組織が含まれる。世銀の借入者
は、これらの組織をコンサルタントとして利用して、
政策助言、制度改革、マネジメント、エンジニア
リング・サービス、建設監督、金融サービス、調
達サービス、社会・環境調査、さらに、このような
分野で借入者の能力を補完する意味でプロジェ
クトの識別や準備、実施を進めるといった広範な
活動に役立てるものとする。
一般的考慮
1.4
借入者は、プロジェクトの準備作業と実
施の責任を負っているため、コンサルタントの選
定と、請負契約の締結、その後の契約の管理と
いった責任を負う。コンサルタント雇用の際に従
うべき特定の規則や手続きは、個々のケースの
置かれた環境に左右されるが、選定手続きにか
かる世銀の方針には、主に次の5つの項目が考慮
されている。
(a)質の高いサービス。
1.5
世銀は、上述の考慮事項は、大半の場
合、適格としてショート・リストに残った企業間で
の競争によるのが最善の形での対応であると考
えている。コンサルタントの選定は、プロポーザ
ルの質、さらに場合によっては、提供されるサー
ビスのコストに基づいて行われる。本ガイドライ
ンの第2部および第3部では、世銀が認めるコン
サルタント選定のさまざまな方法とそのような選
定方法が適している状況について説明している。
質とコストに基づく選定(QCBS)は最も一般的に
推奨される方法なので、本ガイドラインの第2部
では、このQCBSの手続きについて詳しく説明し
ている。ただし、すべての場合にQCBSが必ずし
も最善の選定方法とは限らないので、第3部では、
それ以外の選定方法と、そのような選定方法の
方が適している状況について説明している。
1.6
コンサルタントの選定に用いる個々の方
法は、どのプロジェクトについても、貸付契約に
定められている。各プロジェクトで融資対象とな
る契約およびその選定方法は、貸付契約の条項
と矛盾してはならず、本ガイドライン1.2節の調達
計画に定めるものとする。
(b)経済性と効率。
(c)すべての有資格コンサルタントに対し、世
銀の費用負担となるサービスの提供につい
て競合できる機会を与える。
(d)加盟途上国の国内コンサルタントの開発と
利用を奨励しようとする世銀の関心。
(e)選定過程の透明性確保。
ガイドラインの適用
1.7
本ガイドラインの対象となるコンサルティ
ング・サービスは、知的および助言的性質をもつ
ものである。物理的な活動が主体となる他のタイ
プのサービス
(例:建設作業、製品製造、設備ま
たは工場の運用と保守、調査、試掘、航空写真
撮影および衛星画像、測定可能な物理的結果で
示される実績に基づいた契約によるサービス)6
には本ガイドラインは適用されない。
6
5 特殊なコンサルタントについては、3.15節∼3.20節を参照。個人
コンサルタントは第5部に記述されている。
これらのサービスは、測定可能な物理的結果で示される実績に
基づいて、請負契約が入札で決められ、調達は、
「IBRD貸付およ
びIDA融資下の調達ガイドライン(Guidelines: Procurement under
IBRD Loans and IDA Credits)」
(以下「調達ガイドライン」
と略称)
に
従って行われる。
2
3
〔仮訳〕
〔仮訳〕
1.8
本ガイドラインで概説されている手続き
は、
全額または一部を世銀の貸付またはグラント、
あるいは受益者が実施する信託基金7の資金で賄
われるあらゆるコンサルティング・サービスの請負
契約に適用される。それらの資金源から資金を
受けないでコンサルティング・サービスを利用する
場合には、借入者が他の手続きを取ることができ
る。この場合、世銀は、
(a)他の手続きを利用す
れば専門的資格を有するコンサルタントが選定さ
れる、
(b)選定されたコンサルタントが合意の日程
に従って委託業務を履行する、
(c)サービスの範
囲がプロジェクトの諸要件に合致している、こと
を確認するものとする。
利害抵触
1.9
世銀はその方針として、コンサルタントが
偏見のない専門的助言を客観的立場に立って与
え、将来の思惑にとらわれることなく常にクライア
ントの利益を最優先させること、さらに、助言を
提供するに当たっては他の委託業務や自社の利
害への抵触を避けることを義務付けている。コン
サルタントを、他のクライアントに対する現在また
は過去の義務と相反するような委託業務、および、
借入者の利益を最優先できない立場に立たされ
るような委託業務のために雇用してはならない。
さらに、上記規定の一般的性格に制限はないが、
以下のような状況にあるコンサルタントを雇用し
てはならない。
(a)コンサルティング業務と、機材、工事、サービ
ス
(本ガイドラインに定められたコンサルティ
ング・サービスを除く8)の調達の利害抵触:
あるプロジェクトのもとで機材、工事あるいは
サービス
(本ガイドラインに定められたコンサ
ルティング・サービスを除く)
を提供するため
に、借入者と請負契約を結んだ企業とその
子会社各社は、かかる機材、工事、あるいは
7 信託基金契約が本ガイドラインの規定に違反しない限りにお
いて有効とする。
8 本ガイドラインの1.7節を参照。
〔仮訳〕
4
サービスに関連したコンサルティング・サービ
スを提供することはできないものとする。逆
に、あるプロジェクトの準備作業や実施に関
連したコンサルティング・サービスのために雇
用された企業とその子会社各社は、その後、
かかる準備作業や実施のための自社のコン
サルティング・サービスから生じる、あるいは
直接に関連する機材や工事、サービス
(本ガ
イドラインに定められたコンサルティング・
サービスを除く)
を提供することはできないも
のとする。
(b)コンサルティング業務間の利害抵触:コンサ
ルタント
(その職員および下請けのコンサルタ
ントを含む)
とその子会社は、業務の性質上、
他の委託業務と矛盾する可能性のあるいか
なる委託業務にも雇用されてはならない。た
とえば、インフラストラクチャー・プロジェクト
の技術設計の準備作業に雇用されたコンサ
ルタントが、同一プロジェクトの独立環境アセ
スメントの準備作業に従事してはならない。
また、クライアントの公共資産の民営化を支
援するコンサルタントは、このような資産を購
入しても、購入者に対し資産購入についての
助言を行ってもならない。同様に、ある業務
についての業務指示書(TOR)作成のために
雇用されたコンサルタントを、その業務のた
めに雇用してはならない。
(c)借入者の職員との関係:
(i)契約のTOR作成
(ii)かかる契約の選定プロセス
(iii)かかる契
約の監督のいずれかに直接あるいは間接に
関与している借入者の職員(あるいはプロ
ジェクトを実行する代理業者や貸付の受益
者)
と業務上の関係あるいは姻戚関係にある
コンサルタント
(その職員および下請けのコン
サルタントを含む)
とは、その契約を結んでは
ならない。ただし、この関係から生じる利害
抵触が、その契約の選定プロセスあるいは
履行を通じて世銀の容認し得る方法で解決
される場合を除く。
5
〔仮訳〕
不公正な競争上の優位性
1.10
選定プロセスには公正性および透明性
が求められるため、特定の業務獲得をめぐって
争っているコンサルタントやその子会社がかつて
かかる業務に関連したコンサルティング・サービ
スを提供したことによって優位に立つことは認め
られない。そのため、借入者は候補として絞られ
たすべてのコンサルタントに対して、競争上優位
となるすべての情報を開示すると共に、かかる情
報の提示を求めるものとする。
適格性
1.11
競争を促進するため世銀は、世銀の融
資するプロジェクトに対してコンサルティング・
サービスを提供することを、すべての国の企業お
よび個人に認めている。参加のための条件は、
問題の契約を実行する能力を確認するのに不可
欠なものに限られるものとする9。ただし、
(a)
(i)借入国の法規によって、コンサルタントの
国との通商関係が禁止されている場合(ただ
し、このような例外の取扱いにより、必要とさ
れるコンサルティング・サービスの調達上の競
争が損なわれないと世銀が判断した場合に
限られる)、あるいは(ii)国連憲章第7章のも
とで下された国連安全保障理事会の決定に
従って、借入国により国、個人または法人に
対する支払いを禁じられている場合、そのコ
ンサルタントは除くことができる。借入者の
国がかかる決まりにより特定の企業への、あ
るいは特定の機材のための支払いを禁じて
いる場合、その企業は除くことができる。
(b)借入国内の国営企業あるいは機関の場合、
それが(i)法的および財務的に自立しており、
(ii)商法のもとで営業活動を行っており、
(iii)
借入者あるいは転借人に従属する機関でな
いと立証できる場合に限り参加できる。
9 世銀は、台湾の企業および個人が世銀の融資するプロジェク
トにコンサルティング・サービスを提供することを認めている。
〔仮訳〕
6
(c)上記(b)の例外として、借入国内の国立大学
あるいはリサーチ機関によるサービスが独
自性に富み、特に優れたものであり、かつそ
の参加がプロジェクトの実行にとって不可欠
である場合、世銀はケースバイケースでか
かる機関の雇用に同意する場合がある。同
様に、大学教授やリサーチ機関の科学者も
世銀の融資を受けて個々に契約を結ぶこと
ができる。
(d)政府役人および公務員は、
(i)無給休暇中で
ある
(ii)休暇に入る直前に勤めていた機関
に雇用されていない、かつ(iii)雇用されるこ
とが利害抵触を生まない(1.9節を参照)
こと
を条件に、個々に、あるいはコンサルティング
企業のチームメンバーとして、コンサルティン
グ契約によってのみ雇用が可能である。
(e)本ガイドラインの1.22節(d)に基づき世銀が
不適格と判断した企業は、世銀の決める期
間、世銀の融資による契約を結ぶことはでき
ない。
事前請負契約と遡及融資
1.12
プロジェクトの実施を加速させるといっ
た特定の状況では、貸付契約の締結前にコンサ
ルタントの選定を借入者が希望する場合がある
(ただし、世銀の承認を得る必要がある)。この
過程を事前請負契約と呼んでいるが、このような
場合、広告を含めた選定手続きは、本ガイドライ
ンに従って行うものとし、世銀が借入者の用いる
プロセスを審査するものとする。このような事前
請負契約は借入者自身のリスクで行われ、その
手続きや文書作成、認可のプロポーザルに対し
て世銀が「異議なし」と回答した場合でも、当該
プロジェクトへの貸付を約束したことにはならな
い。このような請負契約が締結された場合、貸付
契約の締結前に借入者が請負業者に支払った金
額を世銀が払戻すことを遡及融資と呼び、これ
は貸付契約に規定された範囲内でのみ認められ
るものとする。
7
〔仮訳〕
コンサルタント間の提携
1.13
コンサルタントは、各々の専門分野の知
識を補完する、自身のプロポーザルの専門的対
応度を高める、より多くの専門家を提供できるよ
うにする、よりよいアプローチや方法を提供する、
また場合によっては提示価格を引き下げるため
に、合弁事業やコンサルティング業務下請け契約
の形で互いに協力し合うことができる。このよう
な提携は長期間に及んだり
(ただし、特定の委
託業務とは無関係に)、特定の委託業務を対象
とすることがある。借入者が合弁事業の形での
提携を行う場合、その中の1社を指名してその提
携を代表させ、参加企業全員が請負契約書に署
名し、それぞれが委託業務全体の責任を負うも
のとする。請負業者のショート・リストが完成し、
提案要求書(RFP)が発行された後に、ショート・
リストに掲載された企業同士が合弁事業または
サブコンサルティングという形式で提携するとき
は、借入者の承認を必ず得るものとする。借入
者は、コンサルタントに対して特定の企業または
企業グループと提携するよう義務付けてはならな
いが、適格な国内企業との提携を奨励すること
はできる。
世銀の審査、援助、およびモニタリング
1.14
世銀は、選定過程が本ガイドラインの条
項に従って行われていることを確認するために、
借入者によるコンサルタントの雇用を審査する。
審査手続きは付記1で述べている。
1.15
特別な状況においては、また借入者の書
面による要請に応えて、世銀は委託業務の実行
能力があると思われる企業のショート・リスト10ま
たはロング・リスト11を借入者に提供するが、この
リストがコンサルタントの質を保証しているとは限
らない。借入者は、ここから自由に名称を削除し
たり加 え たりすることが できるが 、最 終 的 な
ショート・リストは借入者がRFPを発行する前に世
銀に提出してその承認を受けるものとする。
1.16
借入者は、コンサルタントの業務を監督
し、請負契約に従って委託業務を確実に遂行し
ているかを確認する責任を負う。一方、世銀の
スタッフは、コンサルタントの業務が適切な基準
とデータに基づいて履行されているかどうかを
必要に応じてモニターするが、借入者とコンサル
タントに課された責任を肩代わりするものではな
い。世銀は、適切と思われる場合に借入者とコ
ンサルタントの討議に参加し、必要とあれば、委
託業務に関連する事項への取組みで借入者に援
助の手をさしのべることができる。また、プロ
ジェクトの準備作業のほとんどがコンサルタント
の国内事務所で進められる場合には、コンサル
タントの業務を審査するために、世銀スタッフが
借入者の同意を得て、これらの事務所を訪問す
ることができる。
誤調達
1.17
貸付契約の手続きや世銀の承認した調
12
達計画 に従ってコンサルタントが選定されな
かったり、そのサービスの請負契約が手続きどお
りに行われなかったりした場合、世銀は、コンサ
ルティング・サービスにかかった経費を負担しな
い。このような場合、世銀は誤調達であると判断
し、貸付金額のうち、調達が不成功に終わった
サービスに割り当てられた金額を解約するのが
その方針となっている。さらに世銀は、貸付契約
に定められた他の損害賠償権を行使することもで
きる。また、世銀が請負契約に対して「異議なし」
と回答したあとでも、借入者側から提供された
情報が不完全、不正確、あるいは誤解を招くよう
な内容であったために「異議なし」の回答を出し
た、あるいは契約条件が世銀の承認を受けるこ
となく変更されたと判断した場合、世銀はこれを
誤調達と見なすことができる。
10
ショート・リスト:2.6、2.7、2.8の各節を参照。
ロング・リスト:ショート・リスト作成の候補となる企業の予備リ
スト。
11
〔仮訳〕
8
12
1.24節を参照。
9
〔仮訳〕
世銀についての引用
1.18
借入者が提案要求書(RFP)や請負契約
の書面上で、世銀について引用する場合は次の
ような文言13を用いるものとする。
「[借入者の名称]は、
[プロジェクト名]
のコストとして米ドル_____に相当する額
の融資を国際復興開発銀行(世銀)から
受領し[または同銀行に申請し]、その
[融資の]一部を本請負契約下で認めら
れた支払いに充当する意向である。世
銀による支払いは、
[借入者またはその
指名者の名称]から要請があり、しかも
これは世銀が承認した場合にのみ履行
され、あらゆる点で[貸付]契約書の諸条
件に見合ったものでなければならない。
[貸付]契約によると、世銀が知る限りに
おいて、個人または法人への支払いあ
るいは機材の輸入が、国連憲章第VII章
のもとで国連安全保障理事会の下した
決定により禁止されている場合、このよ
うな個人または法人への支払いあるい
は機材の輸入を目的に[貸付]勘定から
その資金を引き出すことが禁じられてい
る。
[借入者の名称]以外の者は、
[貸付]
契約にいかなる権利も有することがな
く、
[貸付]金を請求するいかなる権利も
有していない。」
研修または知識の移転
1.19
委託業務の中に、借入者のスタッフや国
内コンサルタントの研修または知識の移転を目的
とした重要な要素が含まれる場合は、研修プログ
ラムの目的、性質、範囲、目標をTORに明記する
ものとする。この中には、講師、受講者、移転す
る知識、時期、それに、モニタリングと評価の取
決めといった細部にわたる項目が含まれる。研修
プログラムのコストは、コンサルタントとの請負契
約と委託業務の予算に含まれているものとする。
言語
1.20
RFPとプロポーザルは、英語、フランス
語またはスペイン語の3言語のうち借入者の選択
したいずれかで作成されるものとし、選定された
コンサルタントが署名する契約書は、RFP用に選
択した言語で書かれるものとし、その言語が借入
者と選定されたコンサルタントの間の契約上の関
係を定義するのに使われるものとする。
1.21
本ガイドラインの1.20節にあるとおり英
語、フランス語、あるいはスペイン語で作成する
のに加え、借入者が希望する場合、RFPは借入
者の自国語(あるいは借入者の国での商取引で
広く使われている言語)14で作成してもよい。RFP
と入札書類が2つの言語で作成された場合、コン
サルタントは、そのいずれかひとつの言語で作成
したプロポーザルを提出することが認められる。
その場合、選定されたコンサルタントは、プロ
ポーザル提出に使われた言語で作成された契約
書に署名するものとし、借入者と選定されたコン
サルタントの契約上の関係は当該言語が定義す
るものとする。締結される契約書が英語、フラン
ス語、あるいはスペイン語以外で作成され、かか
る契約書が世銀の事前審査の対象となる場合、
借入者はかかる契約書をRFP作成に使われた、
国際的に使われている言語に翻訳し、それを世
銀に提出するものとする。コンサルタントに対し、
異なる言語で作成された2つの契約書に署名す
るよう求めてはならない。
不正と腐敗
1.22
世銀はその方針として、貸付対象となっ
た請負契約下で活動するコンサルタントと同様、
借入者(世銀貸付の受益者を含む)に対しても、
請負契約の業者選択と実施の期間中に最高の倫
13
IDA融資、グラント、信託基金の場合は、この内容を適切に修
正する。
〔仮訳〕
10
14
世銀は使われた言語に満足であるものとする。
11
〔仮訳〕
理基準に従うよう要求している。この方針を全う
するにあたり世銀は以下の措置を講じている。
(a)本ガイドラインの規定上、各用語を以下のよ
うに定義する。
(i)「腐敗行為」とは、選定過程または請負
契約の実施中に公務員15の行動に影響
を与える目的で、直接あるいは間接に、
有価物を提供したり、贈与したり、受領
したり、要求したりする行為を指す。
(ii)「不正行為」とは、選定過程または請負
契約の実施に当たって借入者に損害を
与えるような影響力を行使する目的で、
不実表示や省略を行うことを意味する。
(iii)
「共謀行為」とは、借入者が承知してい
るか否かにかかわらず、2人以上のコン
サルタントが、不自然で競争力のない
水準に価格を設定する目的で行う計画
や申し合わせを意味する。
(iv)
「強制行為」とは、調達プロセスへの参
加あるいは契約の履行に影響を与える
目的で、直接あるいは間接に、人やそ
の財産に危害を加える、あるいはそう
威嚇することを意味する。
(b)請負契約先として推薦を受けたコンサルタン
トが、当該契約の受注競争中に直接あるい
は代理業者を通じて腐敗、不正、共謀、ある
いは強制行為を行ったと世銀が判断した場
合は、このようなプロポーザルの認可を拒否
する。
(c)選定過程または請負契約の実施中に、借入
者または貸付の受益者の代表が、腐敗、不
正、共謀、あるいは強制行為を行ったと世銀
が判断し、かつ借入者が世銀の満足するよう
な適切な是正措置を時宜よく講じなかった
場合はいつでも、貸付金額のうち契約に割り
当てられた部分を解約する。
(d)世銀の貸付対象になった請負契約の受注競
争中、あるいはこのような請負契約の実施中
に、コンサルタントが直接あるいは代理業者
を通じて腐敗、不正、共謀、あるいは強制行
為を行ったと世銀が判断した場合はいつで
も、このようなコンサルタントの資格を無期限
あるいは一定期間中、剥奪するなど、コンサ
ルタントに制裁を加える。
(e)世銀は、プロポーザルの提出や請負契約の
履行に関連して、コンサルタントの口座や記
録をはじめとする文書を検査し、かつ世銀が
任命した監査人にそれを監査させることをコ
ンサルタントに容認させる条項を、世銀貸付
の対象になった請負契約に盛り込むよう要求
をする権利を有する。
1.23
借入者は、世銀の具体的合意を得て、世
銀の貸付対象となった大口請負契約のRFPの中
に、コンサルタントが請負契約の受注競争中ある
いは同契約の実施中に、RFPにリストされた自国
の不正・腐敗(収賄を含む)防止法を順守する約
束16をプロポーザルの中に盛り込むよう義務付け
ることができる。このような条項の組み入れを借
入国が要請した場合、世銀は、かかる行為が世
銀にとって満足できるものであることを前提に、
これを承諾する。
16
15 世銀職員や調達についての決定を下すまたは審査するその他
の機関の従業員を含む。
たとえば、このような条項として次のようなものが使える。
「我々
は、上記請負契約の受注競争中(さらに、同請負契約落札者に決
定された場合はその契約履行中に)、クライアント国で施行されて
いる不正/腐敗防止法を順守することをここに約束する。かかる法
規は本請負契約のRFPの中にクライアントが掲載している」
12
13
〔仮訳〕
〔仮訳〕
調達計画
1.24
プロジェクト準備の一環として、借入国
は世銀が認め得るもので以下を定めた調達計画
17 を作成し、融資交渉に先立ち世銀に提出する
ものとする。
(a)最短でまず当初の18カ月間プロジェクトを実
行するのに必要なコンサルティング・サービス
のための詳細な契約
(b)
コンサルタント・サービス選定方法案
(c)関連する世銀による審査手順18
借入者は、プロジェクトの期間中毎年もしくは
必要に応じて、調達計画を最新のものとする。
借入者は、世銀に認められたとおりに調達計画
を実行するものとする。
第2部 質およびコストに基づく選定
(QCBS)
選定過程
2.1
QCBSとは、ショート・リストに入っている
企業の中からの選定において、プロポーザルの
質とサービスのコストを考慮した競争によって請
負契約先が選定されるプロセスをいう。コストは
選定基準として慎重に利用する必要がある。質
とコストに与えられる相対的ウエイトは、委託業
務の性質によって個別に決定されるものとする。
2.2
選定過程には次の段階が含まれるものと
する。
(a)TORの作成
(b)コスト見積りおよび予算の作成
(c)広告
(d)コンサルタントのショート・リストの作成
(e)提案要求書(RFP)の作成と発行:
「招請状
(LOI)、コンサルタントへの指示書(ITC)、
TORと請負契約案を含むものとする。
」
(f)プロポーザルの受領
(g)技術プロポーザルの評価
質に対する配慮
(h)財務プロポールの公開開封
(i)財務プロポーザルの評価
17 プロジェクトに機材、工事、非コンサルティング・サービスが含ま
れる場合、調達計画にも「国際復興開発銀行貸付および国際開発
協会の融資による調達に関するガイドライン」に従った機材、工事、
非コンサルティング・サービスの調達方法を含めなければならな
い。世銀は、関連する貸付が承認された後に、当初の調達計画を
開示する。以降の更新は、世銀による承認後に開示される。
18 付記1を参照。
〔仮訳〕
14
(j)質およびコストの最終評価
(k)交渉および選定企業への請負契約の授与
15
〔仮訳〕
業務指示書(TOR)
2.3
委託業務用のTORを作成する責任は借
入者にあるものとする。TORは、委託業務分野を
専門とする個人または法人によって作成されるも
のとする。TORに記述されたサービスの範囲は
予算内であるものとする。TORには、委託業務の
目的、目標、範囲が明確に定義され、コンサルタ
ントのプロポーザル作成を促進するために委託
業務の背景情報(既存の関連研究リストと基礎資
料を含む)
も含まれるものとする。知識の移転ま
たは研修が目的である場合は、研修を受けるス
タッフの数といった詳細を具体的に明記して、コ
ンサルタントが所要資源の見積りを行いやすくな
るようにしなければならない。TORには委託業務
の遂行に必要なサービスや調査だけでなく、どの
ような成果を期待しているかを記載するものとす
る
(たとえば、報告書、データ、地図、調査結果)。
しかし、競争するコンサルタントが各自の方法や
人員手配を提案できる余地があるよう、TORが詳
細過ぎたり、融通性に欠けるものであったりして
はならない。各企業がTORに関するコメントを自
社のプロポーザルに含めるよう奨励されるものと
する。さらに、借入者とコンサルタントの各々の責
任がTOR上に明確に定義されていなければなら
ない。
コスト見積り(予算)
2.4
実際の予算金額に対して、コスト見積り
に十分な配慮を払わなければならない。コストの
見積りは、スタッフ・タイム、後方支援、物的投入
物(たとえば、車両、実験機器)
など、委託業務の
遂行に必要な資源を借入者が評価し、それに基
づいて作成するものとする。コストは、
(a)
(利用
する請負契約の形態に基づいた)手数料または
報酬、
(b)払戻金という2つの広いカテゴリーに分
けられ、さらに、各々のカテゴリーを海外コストと
国内コストに分類するものとする。また、スタッ
フ・タイムについては、外国スタッフと国内スタッ
フ別に実体ベースで見積るものとする。
〔仮訳〕
16
広告
2.5
借入者は、すべてのプロジェクトについ
て一般調達通知書(GPN)案を作成して世銀に提
出しなければならない。世銀はこれを国連開発
ビジネスオンライン
(UNDBオンライン)およびディ
ベロップメント・ゲートウェイのdgマーケット19に掲
載する手配を行う。コンサルタントの関心表明を
集めるため、借入者は、予定のコンサルティング
委託業務のリストを一般調達通知書20に含め、コ
ンサルティング企業から各契約に「関心表明」を
集めるため官報や国内の新聞、あるいは無料で
アクセスできるインターネットのポータルに広告し
なければいけない。さらに、20万米ドル以上に達
しそうな契約については、UNDBオンラインおよ
びdgマーケットに借入者は広告するものとする。
借入者は「関心表明」を集めるために、これらの
請負契約を国際的な新聞や技術雑誌に広告する
ことができる。提出を義務付ける情報は、企業の
適性を判断できる最小限の範囲にとどめ、コンサ
ルタントに関心を表明する興味を失わせるような
複雑な情報は避けるようにする。関心表明提出
期限はUNDBオンライン掲載の日から14日間以上
とする。そのあとショート・リストの作成にとりか
かるものとする。
コンサルタントのショート・リスト
2.6
ショート・リストの作成は借入者の責任で
行う。借入者は、請負契約に関心表明を示した、
適切な資格をもった企業をまず検討する。ショー
ト・リストは、地理的に広域に分布した6社で構成
されるべきであり、一国から2社以下、また途上
19
UNDBは国連が発行しており、購読のための情報は、以下の住
所またはウェブサイトで入手できる。Development Business, United
Nations, GCPO Box 5850, New York, NY 10163-5850, USA(ウェブ
サイト:www.devbusiness.com;メール:[email protected])。ディ
ベロップメント・ゲートウェイ・マーケットは、ディベロップメント・ゲー
トウェイ財団(1889 F Street NW, Washington, DC 20006, USA)のイ
ンターネット上のポータルである
(ウェブサイト:www.dgmarket.com)。
20 一般調達通知書は、借入者により作成され世銀に提出される。
世銀はこれを国連開発ビジネス(UNDBオンライン)およびディベ
ロップメント・ゲートウェイ・マーケット
(dgマーケット)に掲載する手
配を行う。
17
〔仮訳〕
国に適格企業が見当たらない場合を除いて、途
上国から少なくとも1社を含めるものとする。世銀
は契約の規模ゆえにより広範な競争がふさわしく
ないなど特別な場合、関心表明企業が少ない場
合も認めることがある。また、ショート・リストの
作成上必要となる企業の国籍とは、当該企業が
登録された国、あるいは設立された国を指し、
合弁企業の場合はその合弁企業の代表に指名さ
れた企業の国を指す。世銀が、借入者による
ショート・リストの拡張または縮小に同意すること
ができる。しかし、世銀がショート・リストに「異議
なし」と回答したあとは、世銀の同意なしに社名
を 追 加したり削 除したりすることは できな い 。
ショート・リストの最終版は、請負契約に関心を示
した企業や、送付を要請した他の企業に送付さ
れるものとする。
2.7
委託業務が世銀の承認した調達計画に
定められた制限を越えておらず21、競争的な価格
で競い合える適格企業がショート・リスト作成に
十分な数揃っており、しかも外国のコンサルタン
トを含めた競争が明らかに正当化されない、あ
るいは外国のコンサルタントが関心を表明しな
かった場合は、ショート・リストを国内コンサルタ
ント
(国内で登録または設立された企業)だけで
構成することができる。セクターワイドアプローチ
(SWAps)22をサポートする世銀の融資業務(政府
および/あるいはドナー基金がプールされている)
に、この同じ金額が、世銀が同意した手順により
選定された国内企業だけでショート・リストを構成
することになる限界として用いられる。しかし、
外国企業が関心を示した場合は、これら企業を
考慮するものとする。
21 限度額は、プロジェクトの性格、国内のコンサルタントの能力、
業務の複雑さを考慮して、各ケースごとに決定されるものとする。
限 度 額 は い か なる 場 合 にも、借 入 国 の 国 別 調 達 評 価 報 告 書
(CPAR)
に定められた額を超えてはならない。各借入国の限度額
は世銀のウェブサイトに掲載される。
22 SWApsは、開発機関が単一のプロジェクトよりも規模が大きい、
国主導のプログラムを支援するアプローチを指す。通常、セクター
全体やセクターの中の大きな部分が対象となる。
〔仮訳〕
18
2.8
ショート・リストは 、同 一 カテゴリーで
キャパシティや事業目的が似通ったコンサルタン
トで構成するのが望ましい。従って、ショート・リ
ストは通常、似通った経験を有する企業や同じ専
門分野で活動する非営利組織(NGOや大学、国
連機関など)で構成するべきである。混同する場
合には、質に基づく選定(QBS)やコンサルタント
の資格に基づく選定(CQS)
(小規模な業務用)23
を用いて選定を行うべきである。ショート・リスト
には、個人コンサルタントは含めないものとする。
提案要求書(RFP)の作成と発行
2.9
RFPには、
(a)招請状、
(b)
コンサルタント
への指示書、
(c)TOR、
(d)契約書草案が含まれ
る。借入者は、世銀が発行したRFP標準書式の
うち該当するものを、プロジェクト固有の条件に
対応するための変更を世銀が容認し得る範囲内
でかつ最低限にとどめ、利用するものとする。か
かる変更は、RFPデータシートを通じてのみ導入
するものとする。また、借入者はRFPに含まれる
全書類の一覧表を記載するものとする。借入者
は、電子システムを使ってRFPを配信することが
できる。ただし、世銀がかかるシステムの妥当性
に満足である場合に限る。電子的にRFPを配信
する場合、その電子システムはRFPへの変更が行
われ得ない安全なものでなければならず、ショー
ト・リストに残ったコンサルタントによるRFPへの
アクセスを制限してはならない。
招請状(LOI)
2.10
LOIには、コンサルティング・サービスの
提供にかかる請負契約の締結の意図、資金源、
クライアントの詳細、日時に加え、プロポーザル提
出先の住所が明確にされていなければならない。
23「小規模」
という用語が意味するドル建てでの限度額は、委託
業務の性質と複雑さを考慮に入れて各ケースごとに決定されるが、
20万米ドルを超えてはならない。
19
〔仮訳〕
コンサルタントへの指示書(ITC)
2.11
ITCには、コンサルタントの回答用プロ
ポーザルの作成に役立つ必要情報がすべて含ま
れていなければならない上、評価過程に関する
情報を提供し、評価の基準と要素、これら基準
や要素をどれほど重視しているかを示す加重率、
質に関する最低合格点を明示して、選定過程を
できるだけ透明なものとする必要がある。また
ITCにはコンサルタントに必要な主要専門家の予
想投入量(スタッフ・タイム)あるいは総予算のい
ずれか (両方ではなく) を明示するものとする。
しかしながら、コンサルタントは、委託業務の遂
行に必要なスタッフ・タイムの見積りを自分で自由
に作成し、プロポーザルの対応コストを自由に提
示できるものとする。さらにITCには、プロポーザ
ルの評価、落札者の決定、世銀による審査、契約
の最終交渉のために十分なプロポーザル有効期
間を明記するものとする。ITCに記載すべき情報
の詳細は付記2に記述されているとおりである。
請負契約
2.12
本ガイドラインの第5部には、最も一般的
な請負契約の形式が簡潔に論じられている。借
入者は、特定の国やプロジェクト課題に対応する
ため、世銀発行の適切な標準契約書式(Standard
Form of Contract)
を使用し、変更は世銀が容認し
得る最小限のものにとどめるものとする。このよ
うな変更は、いかなる場合も、契約データ・シー
ト
(Contract Data Sheets)または特別契約条件
(Special Conditions of Contract)だけを用いて行
い、世銀の標準書式(Bank’s Standard Form)
に含
まれ る一 般 契 約 条 件( General Conditions of
Contract)の文面を変更してはならない。この契
約書式はコンサルティング・サービスの大部分を
カバーする。この書式が適切でない場合(たとえ
ば、出荷前検査、調達サービス、大学における学
生の研修、民営化広報活動または姉妹契約の締
結に)、世銀が容認し得る他の契約書式を使用
するものとする。
〔仮訳〕
20
プロポーザルの受領
2.13
借入者は、コンサルタントに対し、プロ
ポーザル作成に十分な時間を与えなければなら
ない。与えられる時間は、委託業務の内容によ
るが、通常は4週間以上で、3カ月を超えることは
ない(たとえば、複雑な調査手法の確立や多数の
専門分野を網羅したマスター・プランの作成を要
求する委託業務の場合)。その間、企業は、RFP
中の情報について確認のための説明を求めるこ
とができる。借入者はこの説明を書面で提出し、
その写しをショート・リストに含まれる全企業(プ
ロポーザル提出の意志がある企業)に送付しな
ければいけない。借入者はまた、必要に応じて、
プロポーザルの提出期限を延長することができ
る。技術プロポーザルと財務プロポーザルは同
時に提出するものとする。技術プロポーザルと財
務プロポーザルに対する修正は締切日以降は認
められない。手続き過程に不正がないよう、技術
プロポーザルと財務プロポーザルは、封印され
た別個の封筒に収められ提出されるものとする。
技術プロポーザルの封筒は、プロポーザルの提
出締切後、関連諸部門(たとえば、技術部、財務
部、法務部など)の職員で構成される委員会によ
り直ちに開封されるものとする。一方、財務プロ
ポーザルは、公式の場で開封されるまで、封をし
たままの状態で、信頼できる公共監査人または独
立政府機関に預託されるものとする。また、提出
期限後に受領したいかなるプロポーザルも封を
したまま返送されるものとする。借入者は、コン
サルタントがプロポーザルを電子的に提出できる
よう電子システムを使用することができる。ただ
し、世銀がかかるシステムの妥当性に満足であ
る場合に限る。具体的には、安全で、機密や提
出されたプロポーザルの真正性を維持し、プロ
ポーザルがどのコンサルタントによるものかを証
明するための電子署名あるいはそれに相当する
手段を使い、プロポーザルがコンサルタントと借
入者の正当な同時の電子承認によってしか開け
ないことが求められる。その場合も、コンサルタ
ントは引き続き、プロポーザルをハードコピーで
提出する選択肢を有するものとする。
21
〔仮訳〕
プロポーザルの評価:質とコストに対する考慮
2.14
プロポーザルの評価は、最初に質、次い
でコストの2段階で実施されるものとする。技術
プロポーザルの評価担当者は、世銀の審査や
「異議なし」という表明も含め、技術的評価が完
了するまでは、財務プロポーザルに触れてはなら
ない。財務プロポーザルは技術評価の完了後に
初めて開封されるものとし、RFPの規定に完全に
従って評価されるものとする。
質の評価
2.15
借入者は、
(セクターの専門家を3人以上
含めた評価委員会のもとで)
、
(a)委託業務に対す
るコンサルタントの経験、
(b)
提案された方法の質、
(c)提案された主力要員の資格、
(d)TORで求め
られていれば、知識の移転、
(e)委託業務の実施
に参加する主力要員のうち自国民がどれほど参
加することになるかといった基準を考慮に入れ
て、それぞれの技術プロポーザルを評価するもの
とする。各基準は1から100までの尺度で表示さ
れ、次にこれらの表示尺度を所定の比率で加重
され、これが点数となる。以下の加重率は、例示
的なものであり、実際に使われる加重率は、具体
的な業務に合うものとし、世銀の承認がある場合
を除いて、以下に示す数値の範囲内とする。提
案する加重率はRFP中に明記されるものとする。
「コンサルタントの特定の経験」
「方法」
「主力要員」
「知識移転」24
「自国民による参加」25
合計
0∼10ポイント
20∼50ポイント
30∼60ポイント
0∼10ポイント
0∼10ポイント
100ポイント
24 委託業務によっては、知識移転が主要目的である場合もある。
その場合、その旨をTORに明記し、世銀の事前の承認が得られた
場合のみ、その重要性を反映して高い加重率を課すものとする。
25 外国企業と国内企業の主力要員のうちの自国民
(借入国国民―
日本語版注)が占める割合。
〔仮訳〕
22
2.16
借入者は通常、これらの基準をさらに細
かい基準に分類する。たとえば、上記の「方法」
の細部基準としては「革新性」とか「詳細の程度」
といったものが考えられる。しかしながら、細部
基準の数は最小限にとどめるべきである。世銀
としては、プロポーザルの専門的評価をないがし
ろにして、評価作業を機械的にしてしまうほど過
度に細かい基準を設けるのを避けるよう勧めてい
る。コンサルタントの経験については、ショート・
リストの作成時にすでに考慮に入っているので、
ウエイトは比較的小さいものでよい。委託業務が
より複雑な場合には、
「方法」により大きな加重を
おくものとする
(たとえば、多数の専門分野にわた
るフィージビリティ・スタディやマネジメント調査)
。
2.17
評価の対象は「主力要員」だけに限るこ
とを奨励する。
「主力要員」が最終的にパフォーマ
ンスの質を決定することになるので、提案された
委託業務が複雑な場合には、この基準をより強調
するものとする。借入者は、履歴書に基づいて主
力要員の資格と経験を審査するものとし、履歴書
は、正確で不備がなく、しかもコンサルタント自身
と、権限を有するコンサルティング企業の上司お
よび候補者本人が署名したものでなければなら
ない。その際、業務に関連する次の3つの細部基
準に基づいて候補者を評価するものとする。
(a)一般的資格:一般教育と熟練度、経験の長
さ、職歴、コンサルティング企業でスタッフと
して就業した期間、発展途上国における経
験など。
(b)委託業務に関する適性:特定のセクターにお
ける教育、熟練度、および経験、委託業務に
関連した分野、専門課題など。
(c)地域における経験:現地の言語、文化、行政
システム、政府機関の知識など。
23
〔仮訳〕
2.18
借入者は、TORへの対応の度合いに基
づいて各プロポーザルを評価する。プロポーザ
ルが、TORの重要な点に対応していない、ある
いはRFPで規定された技術スコアの最低限に達
していない場合は、この時点で不適格とし拒絶さ
れるものとする。
2.19
この過程の最終段階で、借入者は、プロ
ポーザルの「質」を評価した専門的評価報告書を
作成し、契約により事前審査が求められている場
合、世銀に提出して審査を受け、
「異議なし」
との
回答を得るものとする。同報告書には、評価結果
を具体的に示し、プロポーザルの相対的な長所
と短所を記述するものとする。個人のスコア・
シートなど、評価に関連した記録はすべて、プロ
ジェクトとその監査が終了するまで保管されるも
のとする。
この公開開封の議事録は借入者が作成し、同記
録の写しは速やかに世銀およびプロポーザルを
提出したすべてのコンサルタントに送付されるも
のとする。
2.21
借入者は、次いで財務プロポーザルを
審査し、計算ミスがある場合は訂正するものとす
る。各プロポーザルを比較するため、コストは、
借入者がRFP上で選択した単一の通貨(現地通
貨または完全に換算可能な外貨)
に換算されるも
のとする。借入者は、公的機関(たとえば中央銀
行)、商業銀行あるいは、同様の取引きを掲載し
ている国際紙上の通貨の売値(為替レート)
を用
いてこの換算を行うものとする。RFPには、どの
為替レートを用いるかと、その日付を明記するも
のとする。ただし、為替レートの日付は、プロ
ポーザル提出期限の4週間以前、あるいは、プロ
ポーザルの当初の有効期限以降であってはなら
ない。
コストの評価
2.20
質の評価を完了し、世銀が「異議なし」
と回答した後、借入者は、プロポーザルを提出し
たコンサルタントに各コンサルタントの技術得点
を通知し、合格点に達しなかったプロポーザル、
またはRFPやTORに対応していないと見なされる
プロポーザルを提出したコンサルタントに対しそ
の旨を通告し、契約締結後に、財務プロポーザ
ルが未開封のまま返送される旨を伝えるものと
する。同時に、借入者は、合格点に達したコンサ
ルタントに通知し、財務プロポーザルの開封予定
日と時刻、場所を知らせるものとする。開封予定
日は、コンサルタントが財務プロポーザルの開封
に立ち会うよう手配できるだけの十分な時間を
とって決定されるものとする。財務プロポーザル
は、出席を希望したコンサルタント代表の立会い
(実際に立ち会う、あるいは通信を介して)のも
とで公共の場で開封されるものとする。その際、
コンサルタントの名称、技術得点、および提示価
格が全員に聞こえるように読み上げられ(プロ
ポーザルが電子的に提出された場合はオンライ
ン上にも掲示され)、記録され、この記録の写し
が速やかに世銀に送付されるものとする。また、
26 国、州
(県)、地方自治体レベルで契約書に課せられるすべての
間接税。
24
25
〔仮訳〕
2.22
また評価の対象となる「コスト」からは、
契約にかかる確認可能な現地の間接税 26および
当該コンサルタントの非居住スタッフによって借入
者の国で支払われたサービスの対価に対して借
入者の国が課する所得税を除外するが、コンサル
タントの報酬全額および旅費、翻訳費、報告書の
印刷費、事務費など、その他の経費は含めるもの
とする。さらに、コストの一番低いプロポーザル
には、財務得点として100点が授与され、また、そ
の他のプロポーザルには提示価格に反比例した
得点が与えられる。また、コストに得点を与える
際に、提示価格に正比例した得点方法など、そ
の他の方法を採用できるが、その内容はRFPに
明記されるものとする。
〔仮訳〕
質とコストの総合評価
2.23
総合得点は、まず質とコストの加重率を
加味してから、両者を加えることによって算出す
る。
「コスト」に対する加重は、委託業務の複雑さ
と、質に対する相対的重要性を考慮して選択さ
れるものとする。第3部で記述されたサービス・タ
イプを除いたコストの加重値は通常、100点を満
点とした場合の20点とする。質とコストに対する
加重率の提案はRFPに明記されるものとする。最
高の合計点を得た企業が請負契約の交渉に招請
されるものとする。
請負契約の交渉と落札者決定
2.24
交渉には、TORの討議、実施方法、人員、
借入者の投入量、および契約の特別条件を含む
ものとする。この交渉では、最終結果の質や、コ
スト、当初の評価の重要点に支障をきたさないよ
う、TORの原案または請負契約の当初の諸条件
に大幅な変更を加えてはならない。また、単に予
算に合わせる目的だけで作業量の大幅な削減を
行ってはならない。最終的なTORと、合意した方
法は、請負契約の一部をなす「サービスの記述」
の項に盛り込まれるものとする。
2.25
選定された企業が、主力要員を変更す
ることは認められない。ただし、当事者双方が、
選定過程の大幅な遅延のために、代替人を起用
せざるを得ない、またはこの変更が委託業務の
目的を果たす上できわめて重要であると合意し
た場合は例外とする27。この例外に該当せず、し
かも当該主力要員が雇用可能であるかどうかを
確認をせずにプロポーザルに含めたことが判明
した場合、このような企業を失格とでき、次位の
企業と交渉を続ける。一方、代替として提案され
た主力要員は、当初予定された主力要員と同等、
あるいはそれを上回る資格を有するものとする。
27 RFPに現実的なプロポーザル有効期間を設定し、評価を効率的
に実施すれば、こうした危険性を最小限にとどめることができる。
〔仮訳〕
26
2.26
財務交渉には、借入者の国でコンサルタ
ントが支払うべき税額(このような税金がある場
合のみ)、さらにこの税額が請負契約中にどのよ
うに記載されたか、あるいは記載されるのかを
明確にすることも含まれるものとする。一括請負
契約の支払いは成果物(あるいは商品)の納品
ベースなので、提案価格にはコスト全額(スタッ
フ・タイム、間接費、出張費、ホテル代等)が含ま
れるものとする。従って、一括請負契約選定の方
法に価格がひとつの要素として含まれている場
合、この価格について交渉してはならない。歩合
制の請負契約の場合、支払いは投入量ベース
(ス
タッフ・タイムおよび払い戻し可能な項目)であり、
提案価格にはスタッフ料金および払い戻し可能
な項目の推定額を含めるものとする。価格が選
定要素に含まれている場合、たとえば提案され
たスタッフ料金が同様の契約においてコンサルタ
ントが通常要求するよりもはるかに高いなど特別
な場合を除き、スタッフ料金について交渉しては
ならない。従って、交渉の禁止には、クライアント
が説明を求める権利、また価格がきわめて高額
の場合、世銀との相応の協議の後に価格の変更
を求める権利をあらかじめ排除するものではな
い。払い戻し可能項目の支払いは、領収書が提
示された時点で、発生するコストの実費に対して
支払われるので、交渉の対象とはならない。た
だし、クライアントが特定の払い戻し金(出張費あ
るいはホテル料金など)の単価に制限を設けた
いとする場合、かかる料金の最高水準をRFPに
明示し、RFPに1日当たりの料金を定義しなけれ
ばならない。
2.27
交渉が請負契約の成立につながらない
場合、借入者は交渉を打ち切り、次位の企業を
交渉に招請するものとする。ただし、借入者はこ
の措置をとる前に世銀と相談するものとし、コン
サルタントには、交渉打ち切りの理由を通知する
ものとする。借入者は、次位の企業と交渉を開
始した後に、前回の交渉を再開することはできな
い。交渉が成功し、頭文字で署名した契約に世
27
〔仮訳〕
銀が「異議なし」と回答した後 28、借入者は直ち
にショート・リストに記載された他の企業に、落札
されなかった旨を通知するものとする。
落札者決定の公表
2.28
落札者決定後、借入者はUNDBオンライ
ンおよびdgマーケット上に次の情報を公開するも
のとする:
(a)プロポーザルを提出したすべての
コンサルタントの氏名(b)各コンサルタントの獲得
した技術得点(c)各コンサルタントの評価価格(d)
コンサルタントの得点別最終順位(e)落札したコ
ンサルタント名と価格、期間、契約範囲。同じ情
報は、プロポーザルを提出したすべてのコンサル
タントに送付するものとする。
請する前に、世銀にすべてのプロポーザル拒絶
の理由を伝えて、世銀から「異議なし」の回答を
取り付けるものとする。新規の選定過程にはRFP
(ショート・リストの作成を含む)
と予算の両方の
修正を含めることができるが、修正事項について
は世銀の合意を得るものとする。
守秘義務
2.31
プロポーザルの評価と落札企業の推薦
に関する情報は、2.20節および2.27節の規定を例
外として、落札者決定の公表が行われるまで、プ
ロポーザルを提出したコンサルタントや、選定過
程に正式に関与していない者に公表してはなら
ない。
結果の説明
2.29
2.28節にある落札者決定の公開の際、自
社のプロポーザルが選定されなかった理由を知
りたいコンサルタントは借入者からの説明を求め
るよう借入者はコンサルタントに通知するものとす
る。借入者は、かかるプロポーザルが選定され
なかった理由についての説明を、書面あるいは
説明のための会談のいずれかあるいは両方、コ
ンサルタントの選んだ方で、速やかに提供するも
のとする。説明を求めるコンサルタントは、かか
る会談に出席するためのすべてのコストを負担す
るものとする。
すべてのプロポーザルの拒絶と招請の再開
2.30
借入者は、TOR規定の順守に重大な欠
陥がみられるという形でどのプロポーザルもTOR
に正しく対応していない場合、あるいは当初の見
積りよりかなりコストが高い場合に限り、すべての
プロポーザルを拒絶することが認められる。当初
の見積りより高い場合は、世銀と協議して、予算
の増額または企業のサービス範囲の縮小の可能
性を調査すべきである。借入者は、すべてのプ
ロポーザルを拒絶し、新しいプロポーザルを招
28
世銀による事前審査が必要な契約の場合。
〔仮訳〕
28
29
〔仮訳〕
第3部 その他の選定方法
一般事項
3.1
この部では、QCBS以外の選定方法と、
その選定方法が容認できる状況について記述す
る。なお、競争入札が行われる場合、常に第2部
(QCBS)の関連規定29が適用されるものとする。
質に基づく選定(QBS)
3.2
QBSは次のような形態の委託業務に適し
ている。
(a)TORの定義やコンサルタントの作業量を正確
に行えないもの、クライアントがコンサルタン
トに対してプロポーザルに革新性を求めるよ
うな複雑で高度に専門化した委託業務(たと
えば、国別経済研究またはセクター別研究、
多部門のフィージビリティ・スタディ、有害廃
棄物改善施設または都市マスター計画の設
計、金融セクター改革)。
(b)プロジェクトの他部門への影響度が高く、最
良の専門家の確保がきわめて重要である委
託業務(たとえば、大型ダムのような大規模
なインフラストラクチャーのフィージビリティと
構造上の技術設計、国家的に重要な政策研
究、大型政府機関の管理調査)。
(c)委託業務を大きく異なる方法で実施できるた
めプロポーザルの比較ができない場合(たと
えば、運営上のアドバイス、サービスの価値
が分析の質で決まるセクターや政策の研究)
。
3.3
QBSの場合、RFPにおいて、技術プロ
ポーザルだけ(財務プロポーザルを伴わない)
を
提出するよう求める、あるいは、技術プロポーザ
ルと財務プロポーザルを別々の封筒で同時に提
29 特別な場合のコンサルタント選定方法に必要な修正や削除には
第2部の全規定が適用されるものとする。単一供給源からの選定の
場合、関心表明を求める広告の必要はない。
〔仮訳〕
30
出するよう求めることができる
(2封筒方式)。RFP
には見積り予算あるいは主力要員の推定作業時
間のいずれかを提示した上で、この情報が単な
る例示であって、コンサルタントが自己の見積り
を自由に提案できると注記するものとする。
3.4
技術プロポーザルだけが招請される場
合、QCBSと同様の方法で技術プロポーザルを
評価した後、借入者は、最高得点の技術プロ
ポーザルを提出したコンサルタントに委細な財務
プロポーザルの提出を要請する。その後、借入
者とコンサルタントは、財務プロポーザル 30と請
負契約の交渉を行う。その他の選定過程は、落
札企業の価格のみが公表されることを除き、2.28
節に定められた落札者決定の公表を含めて、す
べてQCBSと同一である。コンサルタントが技術
プロポーザルと共に財務プロポーザルの提出を
求められた場合は、QCBS(2.12節)の規定どおり
の安全対策が講じられ、選定された企業の提案
価格だけが開封され、残りは、交渉が完了した
後に未開封のまま返送されるものとする。
固定予算での選定(FBS)
3.5
この方法は、委託業務が単純で正確に
定義でき、予算が固定されている場合に限って
適切である。RFPに支出可能な予算を示した上
で、コンサルタントに対し、予算の枠内で最善の
技術プロポーザルと財務プロポーザルを別々の
封筒で提出するよう要請するものとする。TORは、
コンサルタントが予定の作業を遂行するのに十分
なだけの予算があるよう、万全を期して作成され
なければならない。QCBSと同様、すべての技術
プロポーザルを最初に評価するものとする。次い
で、価格の含まれた封筒が公共の場で開封され、
全員に聞こえるように読み上げられるものとする。
提示予算を上回るプロポーザルは拒絶され、残
りのうち、最高得点の技術プロポーザルを提出し
たコンサルタントが選定されて、請負契約の交渉
30
QBSでの財務交渉にはすべてのコンサルタントの報酬をはじめ
とする経費の交渉が含まれる。
31
〔仮訳〕
に招請されるものとする。落札者決定の公表は
2.28節に定められたとおりとする。
最低コストに基づく選定(LCS)
3.6
この方法は、きちんと確立された業務慣
行と基準が存在する、標準的な委託業務や定型
の委託業務(たとえば、監査や単純な作業の技術
設計など)
を行うコンサルタントの選定に適してい
る。この方法では、
「質」に関する最低点が確立
されている。プロポーザルは2通の封筒で提出さ
れ、ショート・リストに残った企業がプロポーザル
の提出を招請される。技術プロポーザルの封筒
が先に開封され、評価される。最低基準点 31 を
下回るプロポーザルは拒絶され、残りの財務プ
ロポーザルの封筒が公共の場で開封される。そ
のうち最低価格で入札した企業が選定され、落
札者決定の公表は2.28節に定められたとおりとす
る。この方法では、それを上回ったプロポーザ
ルは「コスト」のみが競争の焦点となることとして、
最低基準点を設定するものとする。なお、最低基
準点は、RFPに提示されるものとする。
コンサルタントの資格に基づく選定(CQS)
3.7
この方法は、競合用のプロポーザルを作
成させ、それらを評価する必要性が正当化され
ないような小規模32の委託業務に用いられる。こ
のような場合、借入者はTORを作成し、コンサル
タントに参加意思の表明と、当該委託業務に対す
る経験や能力といった情報を求め、ショート・リス
トを作成し、最も適切な資格と照会先を有する
企業を選定する。選定された企業は、技術プロ
ポーザルと財務プロポーザルを一つにまとめて
提出するよう求められ、次いで請負契約の交渉に
招請されるものとする。
31
この方法は、QCBSの代用としてはならず、ごく標準的かつ決ま
りきった技術的性質の、知的構成要素の少ない特定の場合にのみ
用いるものとする。この方法では、最低基準点を70点以上とする。
32「小規模」
という用語が意味するドル建てでの限度額は、委託
業務の性質と複雑さを考慮に入れて個別に決定されるが、20万米
ドルを越えてはならない。
〔仮訳〕
32
3.8
借入者は、落札者と決定されたコンサル
タントの氏名、価格、期間、契約範囲をUNDBオ
ンラインおよびdgマーケットに公表するものとす
る。かかる公表は、前期を網羅した概略の表と
いう形で四半期ごとに行うことができる。
単一供給源からの選定(SSS)
3.9
コンサルタントを単一供給源から選定す
ることは、質とコストの競争から得られる利点を
阻害し、選定の際の透明性を欠く上、受け入れ
難い業務慣行を助長する可能性がある。そのた
め、供給源を一つに定めるという選定方法は、例
外的なケースにのみ用いられるものとする。単一
供給源からの選定が妥当かどうかは、クライアン
トの一般的関心およびプロジェクトの内容、なら
びに、経済性と効率性を確保し、資格のあるす
べてのコンサルタントに平等に機会を与えるとい
う世銀の責任の観点から審査されるものとする。
3.10
供給源を一つに定めるという選定方法
は、競争に基づく選定よりも明らかに適切である
場合にのみ認められるものとする。単一供給源
からの選定が正当化されるのは、
(a)同じ企業が
前回の作業をそのまま継続するのが当然の成り
行きである場合(次節を参照)、
(b)災害への対応
など緊急事態や、緊急事態直後の期間に求めら
れるコンサルティング・サービス
(c)
きわめて小規
模33な委託業務、あるいは(d)委託業務に対して
1社だけが適格であるか、または当該業務に対し
て特に優れた経験を持っている場合、のいずれ
かに限られる。
3.11
作業を継続する必要がある場合は、当
初のRFPにこの可能性が記述され、実務的であ
れば、コンサルタントの選定要素の中に継続の可
能性が盛り込まれるものとする。当初の委託業務
のパフォーマンスが満足のゆくものである限り、
33「きわめて小規模」
という用語が意味するドル建てでの限度額は、
委託業務の性質と複雑さを考慮に入れて個別に決定されるが、10
万米ドルを超えてはならない。
33
〔仮訳〕
最初に起用したコンサルタントに技術的アプロー
チを続行させ、経験を習得させ、専門的責任を
続けて負わせる方が、競争によって新しいコンサ
ルタントを選定するより望ましいことがある。こう
した委託業務の継続に際し、借入者は、当初選
定されたコンサルタントに対して、提供するTOR
に基づいて技術プロポーザルと財務プロポーザ
ルを作成するよう要請し、そのあとに交渉が行わ
れるものとする。
3.12
当初の委託業務の落札が競争ベースで
行われなかった場合、タイドの融資のもとで落札
された場合、もしくは後続の委託業務の規模が前
回に比べて大幅に上回っている場合は通常、世
銀が容認し得る競合的選定過程が後に続くものと
する。その際、当初の作業を行ったコンサルタン
トが関心を示しているのであれば考慮の対象か
ら除外されないものとする。世銀は、特別な状況
下で新しい競合的選定過程が実務的ではない場
合に限り、この規則の例外を考慮するものとする。
3.13
借入者は、落札者と決定されたコンサル
タントの氏名、価格、期間、契約範囲をUNDBオ
ンラインおよびdgマーケットに公表するものとす
る。かかる公表は、前期を網羅した概略の表と
いう形で四半期ごとに行うことができる。
商業慣行
3.14
貸付が金融仲介機関を経由して民間セ
クター企業や公共セクターの独立商業企業に対し
て行われる場合、このような貸付の転借人は、世
銀が容認し得ると判断した、十分に確立された
民間セクターの慣行または商業慣行に従うことが
できる。とくに大規模な委託業務については、前
述の競争的手続きの利用も考慮するものとする。
特別待遇を与えることは認められない。ただし、
借入者が、現行の国際協約下で国連機関とその
職員に与えられた特権および罷免の権利を受領
し、世銀の同意のもとで、当該機関の要綱で規
定された特別な支払いの取決めに同意すること
はできる。国連機関の特権ならびに、免税をはじ
めとする便宜や特別な支払い規定といった利点
を対象外とするため、QBSの方法を用いるものと
する。また国連機関は、本ガイドライン3.10節に
概説された基準が満たされる限り、単一供給源
からの選定方法にて雇用することができる。
非政府組織(NGO)の利用:NGOは、国
3.16
内問題、コミュニティーのニーズ、参加型アプ
ローチなどに関与し豊富な知識を有する点で、
プロジェクトの準備、管理、実施面の支援に独自
の適性を有する自発的非利益組織である。NGO
がプロジェクトに関心を示し、借入者と世銀の双
方がその資格に満足している場合は、これを
ショート・リストに含めることができる。借入者は、
NGOの方がより条件にかなったサービスの場合、
ショート・リストにコンサルティング企業を含めな
い方が望ましい。幅広い国内知識と参加型アプ
ローチを必要とする委託業務については、ショー
ト・リストをNGOだけで構成することもできる。そ
の場合、QCBSの手順に従い、NGOならではの資
格、すなわち、任意性、非営利的性格、国内知識、
活動範囲、評判などを反映させた評価基準を設
ける。借入者は、本ガイドライン3.10節で概説さ
れている基準が満たされる場合に限り、NGOを
単一供給源からの選定方式で選ぶことができる。
特殊なコンサルタントの選定
国連機関をコンサルタントとして選定する
3.15
場合:専門分野での技術的支援や助言を行う資
格を有する国連機関は、コンサルタントとして雇
用することができるが、競合的選定過程において
調達機関(PA)
:借入者が必要な組織、
3.17
人材資源または経験を欠く場合は、その代理機
関として、調達専門企業を雇用することが効率的
かつ効果的なことがある。PAが特に特定のアイ
テムの調達を取り扱う
「代理機関」として扱われ、
一般に自らの事務所で働いている場合には、通
常、取扱った調達金額に基づく比率(%)で、ま
たはこの比率と固定手数料を組み合わせた金額
が支払われる。この場合、PAは、QCBSの手続
34
35
〔仮訳〕
〔仮訳〕
きに従って選定される
(この場合のコスト加重率
は最高50%)。ただし、PAが調達に関する助言
サービスだけを行い、通常時給で支払われるよ
うなプロジェクトのために、特定の事務所でプロ
ジェクト全体の
「代理機関」
として機能する場合は、
本ガイドラインに規定されたその他のコンサル
ティング 委 託 業 務 と 同 様 の 手 続 きに 従 って 、
QCBS手順と時間ベースの契約を用いて選定さ
れるものとする。代理機関は、世銀の「プロポー
ザルの標準的要請」、見直し手順、文書化の規定
の利用を含めて、貸付契約および借入者に代
わって世銀が承認した調達計画に定められたす
べての調達手順を踏むものとする。
検査機関:借入者は、物資の出荷に先
3.18
立って、あるいは、借入者の国への到着時に、こ
れら物資を検査し、証明する検査機関の利用を
要請することができる。こうした機関による検査
は通常、当該物資の品質と数量、および価格の
妥当性が対象となる。検査機関の選定に際して
は 、コストに 最 高 5 0 %まで の 加 重 率 を 用 いる
QCBS手続きと、検査・証明済み物資の評価額に
対する比率(%)
に基づいて支払いを行う請負契
約書式を使用するものとする。
銀行:特に民営化事業に関連した資産
3.19
売却や、金融商品の発行、企業金融取引を目的
に、借入者によって雇用された投資銀行、商業銀
行、金融会社、およびファンド・マネージャーは
QCBSの手続きに従って選定されるものとする。
RFPは委託業務に関連した選択基準(たとえば同
種の委託業務の経験、あるいは通常の業務を通
じて買手候補ネットワークとの取引経験の有無
等)
およびサービスのコストを規定するものとする。
報酬は通常報酬(「顧問料」と称する)の他に「成
功報酬」が含まれる。この「成功報酬」は定額に
することも可能だが、通常は売却資産価値または
他の金融商品価格に対する比率で算出される。
また、RFPには、コストの評価の際に、成功時の
手数料を単独で考慮するか、あるいは顧問料と
共に考慮するかが提示されるものとする。単独に
〔仮訳〕
36
考慮する場合は、ショート・リストに記載された全
コンサルタントの標準顧問料を規定し、RFPに提
示する必要があり、財務プロポーザルの得点は、
成功時の手数料に基づくものとする。コストと質
を組合わせて評価する際は(特に大規模な請負
契約に適用)、2.23節で推奨されている加重率よ
り高いものをコストに適用する、あるいは、プロ
ポーザルの質において最低合格点に達したもの
の中からコストだけを考慮して選択することがで
きる。RFPには、プロポーザルの提出方法と比較
方法が明記されるものとする。
監査人:監査人は通常、明確に定義され
3.20
たTORと専門的基準に基づいて監査作業を実施
する。監査人は、コストを重要な選定要素(40∼
50ポイント)
として、あるいは、3.6節に概説した
「最低コストによる選定」の項に基づいて、QCBS
方式で選定されるものとする。きわめて小規模34
の業務委託にはCQSを用いることができる。
3.21 「サービス納入業者」:特に社会セク
ターのプロジェクトでは、請負契約のもとで多数
の人々をサービスの提供に雇用することがある
(たとえば、看護婦、医療補助員といったソー
シャル・ワーカー)。これらの人々の職務の内容、
最低資格、雇用条件、選定手続き、およびこれら
の手続きとその書類を世銀がどの程度審査する
かは、プロジェクトの文書に明記されており、契
約は世銀の承認した調達計画に含まれるものと
する。
34
脚注33を参照。
37
〔仮訳〕
第4部 契約のタイプと重要規定
請負契約のタイプ
4.1 一括請負契約35:一括請負契約は主として、
サービスの内容と期間、それにコンサルタントの所要
作業量が明確に定義されている委託業務に用いら
れる。このような請負契約は、単純な企画やフィージ
ビリティ・スタディ、環境調査、標準的または一般的
な建造物の詳細設計、データ処理システムの設定な
どを対象として広く利用されている。支払いは、報
告書、図面、数量明細書、入札書類、ソフトウェア・
プログラムといったアウトプット
(納入品)
と連結してい
る。一括請負契約は、明確に示されたアウトプットに
対して支払いが行われるため管理が容易である。
4.2 時間ベースの請負契約36:この方法は、サー
ビスが他の人々の活動に影響されるために完了期
間が変わる可能性があるか、あるいは、委託業務
の目標達成に必要なコンサルタントのインプット
(作業
量)
が査定困難であるかのいずれかにより、サービ
スの範囲と期間を確定するのが難しい請負契約に
適している。この種の請負契約は、複雑な研究活
動、建設業務の監督、アドバイザリー・サービス、大
半の研修委託業務に広く用いられる。支払いは、
担当スタッフ
(通常は請負契約書の中で指名)
の時
間給、週給、あるいは月給を基準に当事者が合意
したレートと、実費経費または相互に合意した単価、
あるいはその両方を用いた払戻し項目に基づいて
行われる。担当スタッフのレートの中には、給与、交
際費、事務経費、手数料(または利益)
、さらに適切
な場合には特別手当が含まれる。この種の契約に
は、コンサルタントに対して支払うべき最高額が規定
されているものとする。この最高額には、予期しない
業務が発生した場合とその期間を考慮した偶発手
当や、場合によっては価格の変化に対する予備経
費も含まれなければならない。時間ベースの請負契
35
コンサルタント・サービス請負契約書(一括報酬用)の標準書式。
コンサルタント・サービス請負契約書(時間ベースの複雑な委託
業 務 用 )の 標 準 様 式 。こ れ ら の 文 書 は 世 銀 の ウェブ サイト
http://www.worldbank.org/procureに掲載されている。
36
〔仮訳〕
38
約では、クライアントが綿密に監視し、管理して、委
託業務が順調に進んでいるかどうか、またコンサル
タントによる請求額が適切であるかどうかを確認す
る必要がある。
4.3 顧問料または偶発的手数料(成功時の報酬)
あるいはその両方に基づく請負契約:顧問料と偶
発的手数料に基づく請負契約は、特に民営化事業
の一環として企業の売却や合併の準備作業を進め
るコンサルタント
(銀行または金融会社)
に広く利用
されている。この場合のコンサルタントへの報酬に
は、顧問料と成功時の手数料が含まれ、後者は通
常、資産売却価格に対する比率で算出される。
4.4 歩合制の請負契約:この契約は通常、建築
サービスを対象に広く用いられているが、調達機関
や検査機関にも利用できる。歩合制の請負契約は、
コンサルタントに支払う手数料を、実際のプロジェク
ト建設コストまたは見積り、あるいは、調達・検査の
対象となった商品コストと直接関連づけている。同
契約は、必要なサービスの市場標準価格、またはこ
のようなサービスの推定月間スタッフ・コスト、あるい
はその両方、もしくは競争入札を基にして交渉され
るものとする。一方、歩合制請負契約は、建築サー
ビスやエンジニアリング・サービスにおいて、経済性
を考慮して設計するという動機に欠けるため、敬遠
すべきであることに留意しなければならない。従っ
て、建築サービスにこの種の請負契約を利用するの
は、目標コストが固定され、カバーするサービスの内
容が明確に定義されているとき
(たとえば、作業の
監督以外の業務)
だけに奨励されるものとする。
:この
4.5 無期限納期の請負契約(価格約定)
請負契約は、借入者が、特定の活動に対するアド
バイスをいつでも提供できる
(すなわち「オンコー
ル」の)サービスを必要とする際に適しているた
め、どの程度のサービスをいつ提供するかを事
前に定義することができない。このような請負契
約は通常、複雑なプロジェクト
(たとえば、ダム委
員会)の実施のための「アドバイザー」をはじめ、
係争解決パネルや、制度改革、調達上の助言、
39
〔仮訳〕
技術問題解決のための専門裁定者を常に確保し
ておくときに用いられ、機関は通常1年以上に及
ぶ。専門家に支払う料金は、借入者と企業の間
で合意し、実働時間に基づくものとする。
いを受けることができる。
(b)係争中の金額は支払いが差し止められるが、
請求書の残りの金額については請負契約書の
規定に従って支払われるものとする。
重要規定
4.6 通貨:RFPには、企業がサービス価格を完全
に交換可能な通貨で表示できることが明確に記載
されるものとする。コンサルタントが別の外貨での合
計価格表示を希望する場合は、プロポーザル内で
使用する外貨が3種類以下であることを前提に、そ
のような表示が認められている。借入者は、コストの
どの部分を借入者の自国通貨で表示するかをコン
サルタントに記述するよう義務付けることができる。
また、このような契約のもとでは、プロポーザルの価
格に用いられている通貨(あるいは一連の通貨)
で
支払いが行われるものとする。
(c)クライアント側の責任により、契約上の期限を越
えて支払いが遅延している場合、その分の利
息が支払われるものとする。その利率は請負契
約書に規定されるものとする。
4.7 価格の調整:外国または国内、あるいはそ
の両方のインフレに伴って報酬を調整するため、請
負契約期間が18カ月を超えると予想される場合は、
価格の調整規定を請負契約書に含めるものとす
る。これより短い期間の請負契約でも、国内または
外国で物価が高騰しており、インフレの予測が不可
能と思われる場合は、価格の調整規定を含めるこ
とができる。
4.8 支払いに関する規定:支払い金額、支払い
予定日、支払い手順といった支払いに関する規定
は、交渉期間中に合意に達するものとする。支払い
は、定期的に行う
(時間ベースの請負契約と同様)
、
または、契約で合意したアウトプット
(一括契約と同
様)
に対して行うことができる。契約額の10%を超え
る前払い
(たとえば、動員コスト)
については通常、
前払い保証金を差し入れなければならない。
4.10 入札・履行保証金:入札・履行保証金の差し
入れは、
コンサルタントのサービスには奨励されない。
これらを執行するかどうかの判断は往々にしてまち
まちで、容易に乱用され、また明白な利益なしにコ
ンサルティング業界のコストを増大させる傾向があ
り、そのコストが最終的には借入者側に転嫁される
ことになる。
4.11 借入者の貢献:借入者は通常、委託業務
の様々な任務に自己の専門スタッフを任命する。
これらスタッフ
(通常「カウンターパート・スタッフ」
と呼ばれる)の管理をはじめ、借入者側が提供す
る住宅、事務所スペース、事務員、光熱費、資材、
車両などの施設や設備の詳細は、借入者とコン
サルタントの間で締結した請負契約の内容に従う
ものとする。同契約書には、委託業務の実施中
に、以上の項目のいずれかを提供できなくなった
り、引き上げなければならなくなった場合にコン
サルタント側が講ずることのできる対策と、このよ
うな場合にコンサルタント側が受け取る補償につ
いて明記されるものとする。
(a)コンサルタントは、借入者の要請により、あるい
は例外的に信用状を通じて、世銀より直接支払
4.12 利害抵触:コンサルタントは、契約書に定め
られている報酬を除き、委託業務に関するいかな
る報酬も受けてはならない。コンサルタントとその
系列会社は、契約先であるクライアントの利益と
衝突するようなコンサルティングをはじめとする活
動に従事してはならない。請負契約には、本ガイ
ドラインの1.9節および1.10節の条件に従い、コン
サルタントが提供するコンサルティング・サービス
から生じるあるいは直接に関連する他のサービス
40
41
4.9 支払いは、請負契約の規定に基づいて速や
かに行われ、その際、以下の項目に従うものとする。
〔仮訳〕
〔仮訳〕
第5部 個人コンサルタントの選定
にコンサルタントが将来関与することを制限する規
定を含めるものとする。
4.13 専門家としての責任:コンサルタントは、専門
家に課された現行の職務基準に従って勤勉に委
託業務を遂行するものとする。借入者に対するコン
サルタントの責任は、該当する法律によって規定さ
れているため、当事者同士がこの責任を制限する
ことを望まない限り、これを請負契約上で言及する
必要はない。一方、当事者同士がこのような制限
を望む場合は、以下の項目を明確にしておかなけ
ればならない。
(a)
コンサルタントによる重大な過失
または意図的な違法行為に際しては、このような制
限は適用されない。
(b)借入者に対するコンサルタ
ントの責任は、いかなる場合も、RFPに明示された
額および契約の特殊条件に明示された額の契約
総額を下回ってはならない
(そうした限度額は個々
(c)
どのような制限を課
のケースによって異なる)37。
したにせよ、それはクライアントに対するコンサルタ
ントの責任だけを指し、第三者に対するコンサルタ
ントの責任は対象とならない。
4.14 スタッフの交替:委託業務の実施中にスタッ
フの交替が必要となった場合(たとえば、病気や、
後になって不適格と判明した場合)
、コンサルタント
は、少なくとも同等の資格を有する他のスタッフを
提案して借入者の承認を得るものとする。
4.15 適用法および係争の解決:請負契約書に
は、適用法と、係争解決の場に関する規定を含め
るものとする。コンサルタントの契約には紛争解決
の条項を常に含めるものとする。係争の解決方法
としては、国際商事裁定の利用が他の方法より実
務的といえるかもしれない。そのため、借入者には、
この種の裁定規定を盛り込むよう奨励される。世
銀に対し、裁定者として指名したり、また裁定者を
指名するよう求めたりしてはならない38。
5.1
個人コンサルタントは通常、次のような場
合に委託業務に採用されるものとする。
(a)
コンサ
ルタントのチームを編成する必要がない。
(b)個
人コンサルタント以外の専門家の追加支援を外
部(個人コンサルタントの所属会社など)から必要
としない。
(c)個人の経験と資格が必須条件であ
る。ただし、個人コンサルタントの人数が増し、
協調、管理、総体的責任の面で実施が困難にな
る場合は、企業の採用を奨励する。
5.2
個人コンサルタントは、委託業務に必要
な資格に基づいて選定される。公告は必要なく39、
コンサルタントは見積を提出する必要はない。コ
ンサルタントは、委託業務に関心を示した者や借
入者が直接アプローチした者の中から、最低3人
の候補者の間で資格を比較して選定される。適
任かどうかの比較対照となる個人コンサルタント
は、関連する最低条件を満たすものとし、一番条
件にかない、委託業務を履行する能力が十分あ
る者が選定され借入者が雇用するものとする。個
人コンサルタントの能力は、学歴、経験に加え、
現地の言語、文化、行政体系、政府機関といっ
た国情に関する知識に基づいて判断するものと
する。
5.3
コンサルティング企業の正社員または準
社員がよく個人コンサルタントとして採用されるこ
とがあるが、このような場合には、本ガイドライン
に記載した利害抵触の規定が親会社に適用され
るものとする。
5.4
個人コンサルタントについては、
(a)その
コンサルタントが以前に競争の末選定され実行し
た業務の継続(b)推定継続期間が6カ月未満の業
務(c)
自然災害による緊急事態(d)その個人コン
37
借入者にはこうした限度額を上回る潜在的リスクに対して保険
をかけることが推奨される。
38 ただし、投資紛争解決国際センター
(ICSID)の職員は同組織の
職員としての資格で裁定者を自由に指名できるものとする。
〔仮訳〕
42
39
ただし、場合によって、借入者は広告掲載の有利さを考慮する
ことができる。
43
〔仮訳〕
サルタントが当該業務遂行の資格を満たす唯一
のコンサルタントである場合など、例外的な場合
で相応の正当性がある場合には、単一供給源か
ら選定することができる。
付記1:コンサルタント選定にかかる
世銀の審査
選定過程のスケジュール設定
1.
世銀は、借入者によって調達計画で提案
された選定プロセスが貸付契約および本ガイドラ
インおよびに準拠したものかどうかを審査する。
調達計画は、少なくとも当初の18カ月間を対象と
するものとする。借入者は毎年あるいは必要に応
じて調達計画を更新して、プロジェクト実行の次
の18カ月間が常に網羅されているようにする。調
達計画を改定する場合は提案を世銀に提出して
事前の承認を取り付けるものとする。
事前審査
2.
世銀の事前審査の対象となる請負契約
はすべて、以下の項目に従うものとする。
(a)借入者は、プロポーザルの招請前に、コス
ト見積りとRFP草案(ショート・リストを含め
て)を世銀に提出し、審査を経て「異議な
し」との回答を得るものとし、世銀が正当
に要請する変更をショート・リストと上記の
文書に加えるものとする。その後に修正を
加えたい場合は、ショート・リスト掲載のコ
ンサルタントにRFPを発行する前に、世銀
の「異議なし」という回答を取り付けるもの
とする 40 。
(b)技術プロポーザルを評価した後、借入者は、
世銀による審査の時間を十分に考慮して、技
術評価報告書(世銀の要請があった場合は、
世銀が容認する専門家によって作成されたも
の)
と、世銀の要請に応じてプロポーザルの
写しを世銀に提出する。技術評価の内容が
40
新たな競争プロセスが実際的でなく、3.12節に従い落札者決定
が行われる場合、借入者は最初に世銀に対し、求められている正
当性を証明して考慮してもらい、
「異議なし」
と認められるまでは交
渉を始めてはならない。そうでない場合は、関連するすべての点
で本付記2節の条件に従うものとする。
〔仮訳〕
44
45
〔仮訳〕
RFPの規定と一致していないと世銀が判断し
た場合は、その理由が速やかに借入者に通
告されるものとする。そうでない場合、世銀
は技術評価に対して「異議なし」の回答を行
うものとする。評価報告書で全プロポーザル
を拒絶した場合も、借入者が世銀の「異議な
し」の承諾を求めるものとする。
(c)借入者は、技術評価に対して世銀から「異議
なし」の回答を取り付けてからのみ、財務プ
ロポーザルを開封することができる。価格が
コンサルタント選定の要素となっている場合、
借入者はその後でRFPの規定に従って財務
プロポーザルの評価を行なうことができる。
借入者は、世銀の審査時間に十分な余裕を
もって、落札企業の推薦案と共に最終評価
報告書を参考として世銀に提出する。借入
者は最終評価で最高得点を獲得した企業に
対し、同社を落札者に決定する意図がある
ことを通告し、同社を交渉に招請するものと
する。
(d)コンサルタントから借入者に不満が表明され
た場合、不満表明書の写しと借入者の回答
の写しを参考のため世銀に送付するものと
する。
(f)交渉が終わると、借入者は審査のための十
分な時間をとって、交渉後に頭文字で署名し
た契約の写しを世銀に提出するものとする。
頭文字で署名されたこの契約案により、主力
要員の交替、TORや当初の契約案の変更が
発生する場合、借入者は変更箇所を強調し、
かかる変更が適切かつ必要である理由を説
明するものとする。
(g)最終評価報告書、落札企業の推薦案および/
あるいは交渉された契約案がRFPの規定に
反していると判断した場合、世銀は借入者に
すみやかに通告し、かかる判断の理由を説
明するものとする。そうでない場合、世銀は
落札者決定に最終的に「異議なし」と回答す
る。借入者は、世銀の「異議なし」の回答を
取り付けた後にのみ、落札者決定を正式に
認めるものとする。
(h)契約締結後、借入者は、同契約にかかる第1
回目の支払い申請を提出する前に、最終契
約書の写しを世銀に提出するものとする。
(i)世銀は、借入者が署名後の請負契約の写し
を受領した時点で、同契約の内容と金額を、
請負業者の名称と住所と共に公表することが
できる。
(e)不満の内容を分析した結果、借入者が落札
企業の推薦案を変更する場合、かかる決定
の理由および評価報告書の改訂版を世銀に
提出して
「異議なし」
の回答を得るものとする。
借入者は本ガイドライン2.28節の形式にて落
札者決定の再公表を行うものとする。
〔仮訳〕
46
47
〔仮訳〕
3.
署名後の請負契約の変更。事前審査が
必要な請負契約の場合、規定された契約履行期
間の大幅な延長、サービス範囲の大幅な修正に
合意する、主力要員を交替する、請負契約条件
の適用を免除する、あるいは、当初の契約金額
の15%以上の増加につながる契約内容の変更を
行うにあたり、借入者は、このような延長、修正、
交替、免除、あるいは変更に対し世銀から「異議
なし」の回答を求めるものとする。これらの提案
が貸付契約および/あるいは調達計画の規定に反
すると世銀が判断した場合は、その理由が速や
かに借入者に通告されるものとする。請負契約
の修正や変更はすべて、その写しを世銀に提出
するものとする。
画に詳細が定められている手順に従っていない、
あるいは契約自体がかかる手順に従っていない
と世銀が判断した場合、世銀は借入者に対し、
本ガイドラインの1.17節が適用されることを速や
かに通知し、かかる決定の理由を述べるものと
する。
翻訳作業 。事前審査の対象が必要な請
4.
負契約で、自国語(あるいは借入者の国全体で商
取引に使われている言語)で書かれている場合
は、評価報告書と頭文字で署名された契約案を
RFPに定められた国際的に使用されている言語
(英語、フランス語あるいはスペイン語)
に翻訳し
た正式な翻訳版(公証人による証明が必要)、審
査過程を容易にするため、世銀に提出しするもの
とする。公証人によるこの証明付翻訳は、その後
請負契約を修正するたびに世銀に提出されるも
のとする。
事後審査
5.
プロジェクト実行中および請負契約の満
了日から最長2年の間、第2節に規定されない各
請負契約について、借入者はすべての文書を保
持するものとする。本文書には、署名された契約
書の正本、個々のプロポーザルの分析、および
落札企業の推薦を、世銀あるいはそのコンサル
タントによる審査のために含むが、これに限らな
い。ただし、単一供給源から選定された契約の
場合は、決定の正当性確認の記録、コンサルタン
トの資格と経験、および署名された契約書の正
本を含むものとする。借入者はまた、要請に応じ
てかかる文書を世銀に提出するものとする。貸
付契約に反映され、かつ世銀の承認した調達計
〔仮訳〕
48
49
〔仮訳〕
付記2:コンサルタントへの指示書(ITC)
借入者は世銀が発行する標準RFPを利用するも
のとする。この標準RFPには、委託業務の大半を
網羅したITCも含まれている。例外的な状況下で、
借入者が標準ITCの修正を余儀なくされた場合
は、本文を修正せずに、技術データ・シートを用
いてこのような修正を行うものとする。ITCには、
次のような委託業務面の情報が十分含まれるもの
とする。
(a)委託業務の簡単な内容。
(b)技術プロポーザルと財務プロポーザルの標
準書式。
(c)質問の説明を受けたり、必要に応じてコンサ
ルタントの代表と面会したりする職員の名前
と連絡先。
(d)次の項目をはじめとする、従うべき選定手続
きの詳細。
(i)2段階に分けたプロセスの説明
(妥当な場合に限る)、
(ii)技術評価基準のリ
ストと各基準に与えられる加重値、
(iii)財務
プロポーザルの評価についての詳細、
(iv)
QCBS方式を用いる場合の、質とコストの相
対的加重値、
(v)質に対する最低合格点、
(vi)
財務プロポーザルの公開開封に関する詳細。
(e)コンサルタントに要求される主力要員の投入
量(スタッフ/月で表示)の見積りとや予算総額
のいずれか。
(f)主要要員に求められる最低限の経験や学術
面での達成事項などの記述。
(h)交渉関連の情報、契約交渉中に要求される
選定企業の財務情報やその他の情報。
(i)プロポーザルの提出期限。
(j)サービス・コストの表示、比較、支払いに用
いられる通貨または一連の通貨。
(k)提案のコンサルタント契約に特に該当する借
入者の国内法規に関する記述。
(l)請負契約後に同一のプロジェクトのもとで必
要となる製品、作業またはサービスを提供す
る活動が、委託業務のもとで提供されている
サービスの利害に抵触すると世銀が判断する
場合、このような活動に従事する企業とその
関連会社は資格を失うという記述。
(m)技術評価作業が価格の影響を受けないよう、
技 術 プ ロポー ザルと価 格 プ ロポー ザル は
別々の封筒に封印して提出しなければならな
いといった規定を含む、プロポーザルの提出
方法に関する記述。
(n)招請された企業に対し(i)RFPの受領の通知
と
(ii)
プロポーザル提出の成否を借入者に伝
えるよう求める要請。
(o)プロポーザル提出を招請されたコンサルタン
トのショート・リストと、これに掲載されたコン
サルタント同士の提携が容認されるかどうか
の記述。
(g)外部から資金を調達する場合の詳細と状況。
(p)コンサルタントのプロポーザルの有効期間
(ただし、この期間中、提案の対象となった
主力要員をコンサルタントが変更なく堅持し、
提案中の料金レートと総額の両方を保持する
ものとする)
と、万一、プロポーザルの有効期
間が延長された場合、コンサルタントが自己
のプロポーザルを維持しなくてもよい権利。
50
51
〔仮訳〕
〔仮訳〕
付記3:コンサルタントへの手引き
(q)選定されたコンサルタントが委託業務を開始
できる予定日。
(r)
(i)
コンサルタントの契約と要員が免税措置
を受けるかどうか、また、免税措置を受けな
い場合、
(ii)
どのような税金の課税対象となり
そうか、あるいは、このような情報をどこでタ
イミングよく入手できるかという記述、ならび
に、コンサルタントに対し、財務プロポーザ
ルの中に課税額を個別に明示するよう義務付
ける記述。
(s)TORまたは請負契約書の草案に含まれてい
ない場合、借入者側で提供するサービスや、
施設、設備、およびスタッフの詳細。
(t)適切な場合は、委託業務の段階的実施と
フォローアップ業務の生じる可能性。
(u)RFPに記載された情報の問合せに対する取
扱い方法。
(v)委託業務の一部を下請に出す際の条件。
目的
1.
この付記は、世銀または信託基金の資
金で融資を受けるコンサルティング・サービスと専
門サービスの提供を希望するコンサルタントへの
手引きである。
コンサルタント選定に対する責任
2.
プロジェクトの実施責任と、プロジェクト
のコンサルティング・サービスに対する支払いの
責任は、ひとえに借入者側にある。一方、世銀の
貸付金から資金を引き出せるのは、支出が生じ
たときに限られることを確実にする責任は、世銀
協定により世銀に課せられている。貸付金また
はグラントの支払いは、借入者からの要請があっ
たときにだけ実行される。41 資金が貸付契約およ
び/あるいは調達計画(あるいは信託基金契約)
に
従って支払われたことの証拠を、借入者の引き出
し申請と共に提出するものとする。支払いは、
(a)
すでに借入者の自己資金によって支払われた金
額を借入者に払い戻す、
(b)直接、第三者(コン
サルタント) に対して支払う、
(c)商業銀行の信
用状をカバーする世界銀行特別コミットメントから
商業銀行に支払う。
(コンサルタントの場合は例外
的手続)に対して、行うことができる。本ガイドラ
インの1.4節で強調されているように、コンサルタ
ントの選定と雇用の責任は借入者側にある。借
入者は、プロポーザルを招請し、受領し、評価し、
請負契約を締結する。請負契約は、借入者とコ
ンサルタントの間で交わしたものであって、世銀
はこのような契約の当事者とはならない。
41
世銀の貸付金引出し手続きについての詳細な説明を掲載した貸
付 金 引 出し ハ ンド ブック( 英 語 版 )は 世 銀 の ウェブ サイト
http://www.worldbank.org.cn/English/Projects/Handbook.htmより入手
できる。
〔仮訳〕
52
53
〔仮訳〕
世銀の役割
3.
本ガイドラインの付記1に記述されている
ように、世銀は、RFP、プロポーザルの評価報告、
落札企業の推薦書、および請負契約書を審査し
て、貸付契約に規定され、かつ調達計画に詳細
が定められているとおりの、当事者同士が合意し
た手続きに従って、選定過程が実施されたことを
明確にする。世銀の事前審査が必要な契約につ
いては必ず、世銀が、付記1に記述されているよ
うに、各文書が発行される前にそれらの審査を
行う。また、選定過程中いつでも
(請負契約を締
結した後でさえ)、当事者同士で合意した手続き
から大幅に逸脱したと世銀が判断した場合には、
1.17節で記述されているように、世銀はこれを
「誤調達」
と見なすことができる。ただし、借入者
が世銀の「異議なし」の回答を得て請負契約を落
札してしまった後は、借入者から提出された情報
が不完全、不正確、あるいは誤解を招くようなも
のであったために世銀が「異議なし」の回答を
行った場合にのみ、
誤調達と見なすことができる。
さらに、借入者またはコンサルタントの代表が腐
敗行為または不正行為を行ったと世銀が判断し
た場合も、本ガイドラインの1.22節に規定した制
裁を課すことができる。
4.
世銀は、コンサルティング・サービスのタ
イプに応じて、一連の標準RFPと標準請負契約
書を発行している。本ガイドラインの2.9節と2.12
節に記述されているように、借入者にはこれらの
書類を使用するよう義務づけられている。ただし、
プロジェクト固有の問題に対処するため、世銀が
容認できる最小限の変更は認められている。借
入者は、これらの書類をRFPの一部として作成し、
発行するものとする。
PID)に含まれている。それと同時に、同様の情
報 が 、業 務 要 約 月報( Monthly Operational
Summary: MOS)の各プロジェクト内容の説明の
項にも含まれている。これらの情報は、継続的に
更新されている。各プロジェクトは、国連開発ビ
ジネス(United Nations Development Business:
UNDB)42およびdgマーケットの一般調達通知書
に掲載されなければならない。この告示欄には、
所要サービス、クライアント機関、予算コストにつ
いてさらに詳細の内容が記述されている。大口
の請負契約43の場合は、そのあと、UNDBオンラ
インおよびdgマーケットに「関心を示す者がいる
かどうか」を求めた特定通知を掲載する。さらに
詳しい情報は、プロジェクト評価文書(PAD)
に掲
載される。
6.
プロジェクト情報文書(PID)および月刊
業務概要(MOS)は、インターネットや世銀内のイ
ンフォショップ44から入手できる。PADは、貸付が
承認された後に入手できる。また、UNDBおよび
dgマーケットはオンラインでの購読申込みが可能
である。
コンサルタントの役割
7.
コンサルタントがRFPを受領し、TORの
諸規定や、商業上・契約上の諸条件を満たすこと
ができる場合は、応答用プロポーザルの作成に
必要な準備作業(たとえば、委託業務の実施国へ
の視察、提携先探し、文書の収集、作成チーム
の編成)の手配をすべきである。コンサルタント
が、特に選定手続きと評価基準に関してRFP文書
42
コンサルタント・サービスに関する情報
5.
サービスの性質、時期、コスト見積り、所
要人員(スタッフ/月)などの簡潔な記述をはじめ
とするコンサルタント・サービスの情報は、たとえ
ば、準備中のプロジェクト内容が掲載されたプロ
ジェクト情報書類(Project Information Document:
U N D B は 、国 連 の 出 版 物 で あ る 。 申 込 み の 問 合 せ 先:
Development Business, United Nations, GCPO Box 5850, New York,
NY 10163-5850, U.S.A.(ウェブサイト:www.devbusiness.com、メール
アドレス:[email protected])。Dgマーケット
(www.dgmarket.com)
は、ディベロップメント・ゲートウェイ財団(1889 F Street NW,
Washington, D.C. 20006)のサービスである。
43 契約コストが米ドルに換算して20万ドルを超えるとみられる請負
契約。
44 インフォショップの住所(世界銀行の住所と同様)
: 1818, H
Street, N.W., Washington, D.C., 20433, U.S.A. プロジェクトのデータ
ベースは、http://www4.worldbank.org/sprojects/にて閲覧可能。
54
55
〔仮訳〕
〔仮訳〕
中に何らかの曖昧さや、遺漏または内部矛盾、
あるいは不明瞭、差別的、または制限的に見え
る部分を見つけた場合は、これらを明確にする
ためにRFPに規定された期間内に書面で借入者
の説明を求めなければならない。
8.
これと関連して、本ガイドラインの1.2節
に記述されているように、借入者が発行した特定
のRFPが各選定の基準となっていることを強調す
べきである。コンサルタントは、RFPの規定のい
ずれかが、本ガイドラインと矛盾すると感じた場
合は、この問題を借入者に提起すべきである。
9.
コンサルタントは、RFPで求められている
あらゆる裏付け書類を添付し、完璧な形式で応
答用プロポーザルを提出すべきである。プロ
ポーザルと共に提出した主力要員の履歴書は正
確を期することが重要である。履歴書は、コンサ
ルタントと主力要員の両方が署名し、署名の日付
を記入するものとする。重要な諸条件に従ってい
ないプロポーザルは最終的に拒絶される。ひと
たび技術プロポーザルが受理され、開封される
と、コンサルタントは、その内容や主力要員など
の変更を要求されたり、このような変更を許可さ
れたりすることはない。同様にひとたび財務プロ
ポーザルが受理されると、コンサルタントは、提
示した手数料などの変更を要求されたり、このよ
うな変更を許可されたりすることはない。ただし、
RFPの諸規定に従って交渉を行っているときは例
外とする。ある企業で主要要員が稼動できない
ことがプロポーザルの有効期限延長による場合、
同等あるいはそれ以上の資格を備えた主要要員
との変更が可能となることもある。
性を回避することができる。評価過程の間にコン
サルタントが追加情報を提出したい場合は、借入
者または世銀、あるいはその両方に書面で行な
わなければならない。
世銀の対策
11.
コンサルタントが選定過程について問題
または質問を提起したい場合は、借入者との通
信の写しを世銀に送付するか、または借入者が
速やかに回答しない場合もしくは通信の内容が
借入者に対する苦情である場合は、世銀に直接
書面で連絡することができる。これらの通信はす
べて、プロジェクトのタスク・チーム・リーダー宛に
送付され、その写しがその借入国を担当するの
カントリー・ディレクターおよび地域調達アドバイ
ザー
(Regional Procurement Adviser)宛に送られ
るものとする。タスク・チーム・リ−ダーの氏名は、
PADに掲載されている。
12.
プロポーザルの提出期限前に、世銀が
ショート・リスト掲載のコンサルタントから受けた
問合わせは、妥当な限り、世銀のコメントと助言
を添えて借入者に回送され、借入者による処置
または応答を求めるものとする。
守秘義務
10.
本ガイドラインの2.31節に記述されたよう
に、プロポーザルの評価過程は、2.20節および
2.27節にある技術得点の開示を除いて、落札者
決定が公表されるまで、極秘扱いにされるものと
する。この守秘義務により、借入者と世銀審査担
当者の両方にとって、不適切な介入やその可能
13.
世銀が技術プロポーザル開封後にコン
サルタントから受けた通信は、次のように処理さ
れる。世銀による事前審査の必要のない請負契
約の場合は、どの通信も借入者に回送し、十分
な検討と適切な処置を求める。借入者の回答は、
その後、世銀スタッフによるプロジェクトの監査時
に審査される。世銀による事前審査を必要とす
る請負契約の場合、世銀は、借入者と協議して
当該通信を検討し、追加情報が必要な場合はそ
れを借入者に要請する。追加の情報や説明をコ
ンサルタントから求める必要がある場合は、借入
者にその入手を依頼し、これに対する借入者の
コメントを求めたり、あるいは適切であれば、評
価報告書にこれを盛り込むよう要請したりする。
世銀の審査は、当該通信が十分に調査され、検
討されるまで完了することはない。
56
57
〔仮訳〕
〔仮訳〕
14.
世銀は、選定過程と審査過程が進行して
いる間、請負契約の落札が通知されるまで、通
信の受領を確認する以外、コンサルタントとの討
議や交信は行わない。
結果の説明
15.
落札者が決定された後に、コンサルタン
トが、自社のプロポーザルが選定されなかった
理由を知りたい場合は、2.29節に定められたとお
り、借入者にその依頼状を送らなければならな
い。コンサルタントが受けとった説明に満足でき
ず、世銀との会合を希望する場合は、当該借入
国に関係する地域調達アドバイザーに申し入れ
ることができる。これを受けて、地域調達アドバ
イザーは、適切なレベルの関連スタッフとの会合
を手配する。この際、当該コンサルタントのプロ
ポーザルだけが討議の対象となり、競合企業の
プロポーザルは対象とならない。
〔仮訳〕
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