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営農はITがお手伝い

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営農はITがお手伝い
National Agriculture and Food Research Organization
農業・食品産業技術総合研究機構
営農はITがお手伝い
~ 農業情報の統合と利用 ~
xCLOPコンソーシアム
SIPアグリイノベーション公開シンポジウム 2015.12.14 ヤクルトホール
吉田 智一(Tomokazu YOSHIDA)
農業情報統合利用プロジェクト研究チーム
(中央農業総合研究センター情報利用研究領域)
農研機構は食料・農業・農村に関する研究開発などを総合的に行う我が国最大の機関です
National Agriculture and Food Research Organization
農業・食品産業技術総合研究機構
はじめに…
「多圃場営農管理システム」
営農管理支援システム
農場管理情報システム
(Farm Management Information System)
とは?
農研機構は食料・農業・農村に関する研究開発などを総合的に行う我が国最大の機関です
多圃場営農管理システムとは?
従来の一般的な理解では,
 圃場地図上で,作物生産に関する種々の栽培管理
情報を圃場に紐付けて記録・蓄積し,生産者の営
農情報管理作業を手助けする情報システム
現状は?
そして,次は何が求め
られている?

では何をし
ようとしている?
SIP公開シンポジウム(2015/12/14,ヤクルトホール)
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National Agriculture and Food Research Organization
農業・食品産業技術総合研究機構
現状 と 課題
農研機構は食料・農業・農村に関する研究開発などを総合的に行う我が国最大の機関です
農場内部の情報管理
販売計画
気象予報
病害予報
作物生体
生育予測
生産計画
農場
生産環境
作付計画
購入計画
作業計画
経理管理
人力作業
機械作業
SIP公開シンポジウム(2015/12/14,ヤクルトホール)
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圃場生産管理の必要性
広域・多数・分散圃場の管理,雇用労働・後継者育成
圃場が分散して増加 → 日常業務の煩雑化
 初めての(見知らぬ)圃場も管理
• そもそも場所を知らない・・・取り違えの危険性
 雇用労働・・・必ずしも農業知識が豊富とは?
• きちんと指示する必要・・・これも結構な手間
 作業指示の混乱・・・文字や言葉では限界
• 圃場の取り違え防止には地図が有効
行政・GAP対応・後継者育成には記録が重要
 増加する圃場・労働に対し記録を残すのも大変
 その中から必要な書類をまとめるのも大変
SIP公開シンポジウム(2015/12/14,ヤクルトホール)
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圃場生産管理の必要性
広域・多数・分散圃場の管理,雇用労働・後継者育成
圃場が分散して増加 → 日常業務の煩雑化
 初めての(見知らぬ)圃場も管理
• そもそも場所を知らない・・・取り違えの危険性
 雇用労働・・・必ずしも農業知識が豊富とは?
• きちんと指示する必要・・・これも結構な手間
 作業指示の混乱・・・文字や言葉では限界
• 圃場の取り違え防止には地図が有効
システム化が必要!
行政・GAP対応・後継者育成には記録が重要
 増加する圃場・労働に対し記録を残すのも大変
 その中から必要な書類をまとめるのも大変
SIP公開シンポジウム(2015/12/14,ヤクルトホール)
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圃場生産管理事務の効率化
圃場利用農業生産工程の「見える化」
1990年頃から多くのシステムが提案される
 圃場地図利用 ⇒ GIS*との親和性
 GPS*利用作業軌跡・ログ収集との親和性
農業者のリタイヤ・農地集積・組織化の進展と
相まって必要性が高まる
 現場生産者が気づき導入が始まっている
• 特に地域の担い手として農地を預かる経営は端的に!
* GIS: 地理情報システム,GPS: Global Positioning System(米国)
SIP公開シンポジウム(2015/12/14,ヤクルトホール)
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主要システムの比較(1)
システム
名称
開発提供元
(状態)
システム基本構成
導入対象
導入/運用
コスト*
サポート体制
GeoMation
Farm
日立ソリューションズ
(市販中)
クライアントサーバ/
スタンドアロン
大規模組織経
営・団体向き
200万円~/構成
により有償
あり
農業日誌V6+
ソリマチ
(市販中)
スタンドアロン
個別・組織経営
向き
63,000円/会員制
有償
あり
facefarm
クラウド(Webアプリ
ケーション)
個別・組織経営
向き
一般 年30,000円,
など
あり
フェイスファーム
ソリマチ
(公開中)
agri-note
アグリノート
ウォーターセル
(公開中)
クラウド(Webアプリ
ケーション)
個別・組織経営
向き
年額39,800円(2012
年12月より)
あり
agricompass
アグリコンパス
アグリコンパス
(公開中)
クラウド(Webアプリ
ケーション)
個別・組織経営
~団体
照会(サービス構成
に依存)
食・農クラウド
Akisai(秋彩)
富士通
(公開中)
クラウド(Webアプリ
ケーション)
個別・組織経営
~団体
有償/有償(月額4
万円~)軽量版あり
日本電気(公開中)
クラウド(Webアプリ
ケーション)
個別・組織経営
~団体
月額98,000円~(選
択するサービス構
成に依存)
CONNEXIVE農
業ICTソリュー
ション
あり
あり
あり
FARMS
農研機構
生研センター
(開発実証中)
クライアントサーバ/
スタンドアロン
個別・組織経営
~団体
無償/無償(協議
会登録が必要)
なし(担当者サポート
のみ)
(期間有限)
PMS
農研機構
中央農研
(開発公開中)
スタンドアロン
個別・組織経営
向き
無償/無償
なし(基本Webサポート
のみ)
(期間有限)
* システム(ソフトウェア)導入・維持・使用料のみ(ハードウェア,通信経費などは除く)
SIP公開シンポジウム(2015/12/14,ヤクルトホール)
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主要システムの比較(2)
システム
名称
主な管理項目
特長
備考(コメント)
GeoMation
Farm
圃場・土壌・生産履歴・農
作業日誌など
生産管理全般に加え,モバイル・GPS・衛星
写真連携など多様
高価だがそれに見合う機能.組織・
団体での導入・運用が中心
農業日誌V6+
農程,作業日誌,販売,
集計
スケジュール管理を基本として,集計・帳票
機能が充実
手軽に導入可能.地図視覚化は補佐
的.
facefarm
フェイスファーム
生産履歴,経営分析,各
種集計
圃場情報全般,掲示板,情報共有(友だち
機能含む),JGAP推奨システム,Y社スマー
トアシスト連携
Google地図ベース,老舗のサービス
につき従来ソフトのデータ継承にも配
慮,さまざまな集計・帳票に対応
agri-note
アグリノート
圃場・作業・生育・収穫,
肥料・農薬など
Webアプリでモバイル対応.圃場ごとに作
業・生育・収穫情報を平易に管理.集計にも
対応
手軽に利用可能.今後機能拡充も予
定.わかりやすい.2012年12月より有
料化,Google地図ベース
agricompass
(アグリコンパ
ス)
生産履歴・生産管理・流
通管理全般
トレースナビ,アグリプランナー,アグリポイ
ントの3サービスで広く対応,GAP対応
生産履歴・流通管理はOCR・バー
コード利用で即実践的.生産管理で
は関係者間でデータ共有可能.
食・農クラウド
Akisai(秋彩)
販売・生産計画,圃場・
作業・気づき・振り返り
生産全般に対応.モバイル・GPS・環境セン
サ対応など実証中.ナレッジ共有を意識
機能を選択して契約,今後拡充予定
あり,地図視覚化はGoogleベース
CONNEXIVE農
業ICTソリュー
ション
環境データ,生育管理,
診断・予測,営農日誌・
農薬記録,など
M2M基盤上の各種サービスとして細かく対
応。センサベース管理が特長。農薬記録な
どでGAP対応。
M2Mセンサベース管理。営農支援機
能は今後充実される方向。地図視覚
化については未確認。
FARMS
圃場・作付・作業履歴・作
業軌跡・稼働状況
独自GISで快適な操作性と視認性.作業履
歴管理とGPS農機・モバイル連携が特長
多様な導入・運用形態に対応,提供
方法(商品化)は模索中
PMS
圃場・作付・作業・生産出
荷・資材在庫
生産管理全般(生産・販売計画は除く)に対
応し,モバイル・GPS連携が可能
生産管理全般に広く対応.Web公開
で,データの標準化を試行中
SIP公開シンポジウム(2015/12/14,ヤクルトホール)
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農業機械メーカも進出・・・
 SMARTASSIST(スマートアシスト)
 機械のリモート診断・盗難対策・・
 フィールドサービスの効率化
• 機械稼働情報,など
 営農支援:facefarm(フェイスファーム)と提携
 KSAS(Kubota Smart Agri System)
 サービスメンテ支援・効率化
• 機械稼働情報,など
 営農支援
• 作物作業情報蓄積 → 栽培履歴管理
 スマートファーマーズサポート
 Akisai(農業生産管理SaaS生産マネジメント)と提携
SIP公開シンポジウム(2015/12/14,ヤクルトホール)
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最近の国の調査事業では・・・
総務省・富士通総研(2014)
 生産管理(22),作業記録(12),農機連携(4),施設環
境制御(14),環境モニタリング(22)
 計74システムが対象(海外製品・システム含む)
農水省・野村総研(2014)
 52のITベンダにアンケート実施
 約40システムについての回答を集約
50を超える農業利用可能なシステム・パッケー
ジ・サービスなどのアプリケーションが存在
SIP公開シンポジウム(2015/12/14,ヤクルトホール)
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情報収集~管理分析~利用
収集
収集はある程度できる
ようになってきた
 産業界でも “M2M”(機
械自動収集)
加工・分析
色んなモデル,統計・マ
イニング手法
支援機能も徐々に充実
利用
ソリューションオリエンテ
ィッド(垂直統合)
SIP公開シンポジウム(2015/12/14,ヤクルトホール)
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情報収集~管理分析~利用
収集
収集はある程度できる
ようになってきた
 産業界でも “M2M”(機
械自動収集)
加工・分析
色んなモデル,統計・マ
イニング手法
支援機能も徐々に充実
利用
ソリューションオリエンテ
ィッド(垂直統合)
SIP公開シンポジウム(2015/12/14,ヤクルトホール)
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National Agriculture and Food Research Organization
農業・食品産業技術総合研究機構
利用者の声
~ PMSユーザ事例から ~
何が求められている?
農研機構は食料・農業・農村に関する研究開発などを総合的に行う我が国最大の機関です
視覚的なデータ管理を実践
・地主(地権者),地代,面積
・利水(いつ水が来るか?)
・作物情報(栽培・管理する作物名・品種名等)
・作業情報(作業名,作業日,作業時間,作業者等)
・栽培資材情報(使用する肥料・農薬・機械・資材)
SIP公開シンポジウム(2015/12/14,ヤクルトホール)
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よく聞かれる質問・要望
導入時
 使い方(どんなことができるのか?これができる?)
 データ準備(手順,不具合報告,…)
• 手間 ~ 挫折! 一歩ずつ,でもどこから手を付ける?
• 既存データ利用は?
運用時
 使い方(細かい操作手順,不具合報告,…)
 他システム・アプリとの連携(データ可搬)
• 資金管理(キャッシュフロー)
• 環境計測,機械・施設情報,作業,生育,…
• 農場外電子取引
SIP公開シンポジウム(2015/12/14,ヤクルトホール)
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たとえば・・・
エクセルの一覧データがあるんだけど・・・
 自分でこれまで作成管理していたが・・・
 取引JAさんブランドの肥料リストがあるけど・・・
A社さんの○○とB社さんの△△を組み合わせ
て使いたいんだけど・・・
機械・設備を更新(入れ替え)するんだけど・・・
機械の稼働(空き)状況を知りたいんだが・・・
組合員さんの合意を得て各戸からの集荷に合
わせて各戸で管理する履歴管理情報を集約し
たいんだけど・・・
SIP公開シンポジウム(2015/12/14,ヤクルトホール)
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そして,ある程度使いこなしてくると
もっと,楽に状況を把握したい・・・
 データ入力・登録を楽にできないか?
 機械・設備など繋がりそうなものは繋げないか?
見える様になったら,次はヒント・ナビが欲しい
 今は・・・
• 作業進捗は圃場管理に入力し,可視化もできている
• 成熟期はWeb上のサイトで確認している
• さらに天気予報も確認して,・・・
• これらを見較べながら,頭の中で/手を動かしながら,収
穫予定を立てている
 これらをつないでヒント・ナビ・指示を出せないか?
SIP公開シンポジウム(2015/12/14,ヤクルトホール)
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National Agriculture and Food Research Organization
農業・食品産業技術総合研究機構
SIP次世代農林水産業創造技術
~ 多圃場営農管理システム開発について ~
農研機構は食料・農業・農村に関する研究開発などを総合的に行う我が国最大の機関です
現在(2014)の営農支援
 経験・観察(見回り)・情報収集→人が統合判断
 農業ICTは一部の観察(計測)・情報収集・栽培管理を省力・
可視化支援
病害虫発生予察情報,予測データ
天気予報,予測データ
計画・立案・
意志決定・・・
取水~配水計画
資料配布,FAX
適期防除
生育・水見回り
入
力
参
照
生育調査
モバイルデータ収集
圃場生産管理・可視化
ICT支援の範囲
ICT支援
SIP公開シンポジウム(2015/12/14,ヤクルトホール)
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SIP生産システム(2018)の営農支援
 多様な客観データに基づく複合的提言→人の判断を
容易化(意志決定支援情報の高度化)
気象データ
広域水資源管理
生育・災害予測
衛星リモセン
複合支援情報提示
近接リモセン
参
照
圃場環境計測網
生育・水見回り
生育計測・可変作業
精細作業管理
収量計測
圃場環境計測網
モバイルデータ収集
多様な客観データ・提言に
基づく最終的な意志決定
SIP公開シンポジウム(2015/12/14,ヤクルトホール)
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SIP:スマート農業想定実装シナリオ
SIP公開シンポジウム(2015/12/14,ヤクルトホール)
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6つの営農場面(シナリオ)
生産者(システム利用者)視点から6つの利用場
面を想定
1. 圃場ごとの作付作業計画立案支援
2. 圃場ごとの省力かつ合理的水管理
3. 農作業の大幅な省力化
4. 圃場ごとの収穫期等作業適期の判定と指示
5. 気象変動(高低温、干ばつ)に対応した農作業指
示
6. 圃場間、圃場内の生育差に対応した最適管理
上記1-6を支援する共通基盤的技術
 農業ドメイン語彙体系,農業基盤オープンデータ
SIP公開シンポジウム(2015/12/14,ヤクルトホール)
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シナリオ上に位置づけた進捗状況
Ⅰ
Ⅱ
Ⅴ
Ⅳ
Ⅲ
SIP公開シンポジウム(2015/12/14,ヤクルトホール)
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シナリオ上に位置づけた進捗状況
Ⅰ
Ⅱ
Ⅴ
Ⅳ
Ⅲ
SIP公開シンポジウム(2015/12/14,ヤクルトホール)
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シナリオ上に位置づけた進捗状況
Ⅰ
Ⅱ
Ⅴ
Ⅳ
営農計画技術体系DB
Ⅲ
肥料銘柄サービス
SIP公開シンポジウム(2015/12/14,ヤクルトホール)
農業語彙サービス
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シナリオ上に位置づけた進捗状況
Ⅰ
Ⅱ
水管理支援機能
圃場環境計測網
Ⅴ
Ⅳ
営農計画技術体系DB
Ⅲ
肥料銘柄サービス
SIP公開シンポジウム(2015/12/14,ヤクルトホール)
農業語彙サービス
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シナリオ上に位置づけた進捗状況
多層化アプリ
空間情報可視化
Ⅰ
予測サービス
Ⅱ
水管理支援機能
圃場環境計測網
Ⅴ
Ⅳ
営農計画技術体系DB
Ⅲ
肥料銘柄サービス
SIP公開シンポジウム(2015/12/14,ヤクルトホール)
農業語彙サービス
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FMIS上での連携実用稼働イメージ
作付管理
水管理
生育ステージに応じた
営農管理ポイント
収穫管理
SIP公開シンポジウム(2015/12/14,ヤクルトホール)
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多圃場営農管理システムの全体像
SIP公開シンポジウム(2015/12/14,ヤクルトホール)
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多圃場営農管理システムの全体像
 既存の多圃場営農管理システム群と共存共栄
 非競争(共通)領域のあり方(プラットフォーム)を提示
→業界全体で多圃場営農管理を実現
SIP公開シンポジウム(2015/12/14,ヤクルトホール)
© 2015 FRI
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出口戦略対応
情報サービス系企業等への技術情報普及を第
一義とする
 農業現場普及はそれら企業等による技術実装を経
た製品・サービスを通じて
企業等参画による早期の製品・サービス提供
 企業等参画による事業中~事業終了後の製品化・
サービス提供を想定した対応に重点
 農業IT普及を業務とする法人参加による開発技術
仕様のオープン化を推進
• 権利保全とコンソーシアム外企業等との情報交換を実施
• 「農と食のICT利活用を推進するための共通化委員会」
SIP公開シンポジウム(2015/12/14,ヤクルトホール)
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National Agriculture and Food Research Organization
農業・食品産業技術総合研究機構
ご静聴ありがとうございました
農研機構は食料・農業・農村に関する研究開発などを総合的に行う我が国最大の機関です
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