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「労働安全用具技術分野」における 標準化戦略 日本工業

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「労働安全用具技術分野」における 標準化戦略 日本工業
「労働安全用具技術分野」における
標準化戦略
日本工業標準調査会 標準部会
労働安全用具技術専門委員会
日本工業標準調査会 標準部会 労働安全用具技術専門委員会 構成表
(委員会長)吉識
芦谷
晴夫
彰克
東京大学 生産技術研究所 教授
(社)日本消費者生活アドバイザリー・コンサルタント
協会
常任顧問
市川
健二
(社)産業安全技術協会 理事・技術部長
太田
克海
(財)日本防炎協会 理事・技術部長
笠井
一治
ミドリ安全フットウェア総括部 生産品質
保証グループ 品質保証チーム課長
川越
康宣
電気事業連合会 工務部長
寺岡
忠嗣
厚生労働省 労働安全基準局 安全衛生部
環境改善室長
竹内
宣博
(株)千代田テクノル営業推進本部 部長
利岡
信和
(株)シモン 代表取締役社長
中西
勲
スターライト工業(株) 部長
村上
博幸
日本原子力研究所 東海研究所保健物理部
線量管理課 課長
森
正晴
川重防災工業(株) 技術部長
山本
為信
山本光学(株)代表取締役 社長
山崎
弘志
建設業労働災害防止協会 技術管理部 建設業
務労働安全衛生マネジメントシステムトータルサービスセンター
システム企画課長
吉田
孝一
(社)日本電機工業会 技術部 課長
目
次
頁
1.
標準化対象分野の状況
4
1.1
標準化対象分野
4
1.2
JIS の 制 定 状 況
4
1.3
JIS と 強 制 法 規 、 調 達 基 準 と の 関 係
6
(1 ) 労 働 安 全 衛 生 法 関 係
6
(2 ) 鉱 山 保 安 規 則 関 係
6
(3 ) 消 費 生 活 用 品 安 全 法
6
(4 ) 放 射 線 障 害 防 止 法 関 係 法 令
6
1.4
国際規格の動向
7
( 1 ) ISO/TC94 ( 個 人 用 安 全 - 保 護 衣 及 び 保 護 具 )
7
( 2 ) ISO/TC85/SC2 ( 放 射 線 防 護 )
8
2.
標準化・国際標準化活動の問題点、課題及びその対応策
2.1
全般について
8
8
(1 ) 当 該 規 格 の 特 色
8
(2 ) 原 案 作 成 団 体
8
(3 ) 共 管 規 格
8
2.2
個別分野について
(1 ) 労 働 安 全 衛 生 分 野
9
9
( a ) 社 会 ニ ー ズ に 適 応 し た JIS の 整 備
9
( b ) JIS 適 合 表 示
9
( c ) 強 制 法 規 に 関 係 す る JIS
10
(d ) 国 際 標 準 化
10
(2 ) 鉱 山 用 保 安 用 具 分 野
12
(3 ) 放 射 線 防 護 分 野
12
労働安全用具技術専門委員会所管規格
14
1. 標 準 化 対 象 分 野 の 状 況
1.1 標 準 化 対 象 分 野
労働安全用具技術専門委員会が所掌する標準化対象分野は、主とし
て鉱山保安、労働安全衛生、放射線(能)防護分野である。
標準化対象分野の分類を、表1に示す。
表1
労働安全用具技術専門委員会の標準化対象分野
標準化対象分野
鉱山保安分野
主要分類
標 識 、 保 護 具 ( CO マ ス ク 、 安 全 帯 )、 測 定
器、検知器、防爆工具
労働安全衛生分野
呼吸用保護具の選択・使用及び保守管理方
法、保護具(安全靴、防護手袋、安全帽、
保 護 め が ね 、 マ ス ク な ど )、 測 定 器
放射線(能)防護分野
バッジフィルム材料、フィルムバッジ、放
射線保護具(防護手袋、防護服、遮へいマッ
ト)など
その他
殺菌紫外線などの測定方法
1.2 JIS の 制 定 状 況
現 在 ま で に 制 定 さ れ て い る 各 分 野 ご と の JIS 規 格 数 、 JIS マ ー ク 対 象
規格数及び主要規格例を表2に示す。なお、巻末に所管規格リストを掲
載する。
-1-
表2
分 野 ご と の JIS 規 格 、 JIS マ ー ク 件 数 及 び 主 要 規 格 例
標準化対象
JIS
JIS
分野
規
マーク対
格
数
象
主要規格例
規
格数
鉱山保安分
19
3
M 7602 干 渉 計 形 精 密 可 燃 性 ガ ス 検 定 器
M 7611 一 酸 化 炭 素 用 自 己 救 命 器 ( C O マ
野
スク)
M 7624 安 全 帯
M 7615 防 爆 用 ベ リ リ ウ ム 銅 合 金 工 具 類
労働安全衛
33
6
T 8001 呼 吸 用 保 護 具 用 語
T 8101 安 全 靴
生分野
T 8141 し ゃ 光 保 護 具
T 8147 保 護 め が ね
T 8151 防 じ ん マ ス ク
放 射 線( 能 )
17
0
K 7557 X 線 用 バ ッ ジ フ ィ ル ム
防護分野
Z 4323 広 範 囲 用 フ ィ ル ム バ ッ ジ
(医療用具
Z 4811 放 射 性 汚 染 防 護 用 作 業 服
技術専門委
Z 4819 放 射 線 遮 へ い マ ッ ト
員会の所管
を除く)
その他
2
0
Z 8811 殺 菌 紫 外 線 の 測 定 方 法
Z 8812 有 害 紫 外 放 射 の 測 定 方 法
合計
71
9
-2-
1.3 JIS と 強 制 法 規 、 調 達 基 準 と の 関 係
(1 ) 労 働 安 全 衛 生 法 関 係
労働安全用具については、労働安全衛生法(構造規格)において
保護帽、安全帯、防じんマスク、防毒マスクが対象になっている。
構 造 規 格 の 記 載 事 項 で JIS と オ ー バ ー ラ ッ プ し て い る 部 分 は 、 ほ ぼ 同
様の記述となっている。
JIS の 活 用 と し て は 、 法 律 上 の 運 用 を 補 完 す る も の と し て 位 置 付 け
られる。
・ JIS T 8131 産 業 用 安 全 帽
・ JIS M 7624 安 全 帯
・ JIS T 8151 防 じ ん マ ス ク
・ JIS T 8152 防 毒 マ ス ク
(2 ) 鉱 山 保 安 規 則 関 係
鉱山保安用品については、鉱山保安規則において直接JIS番号
を 引 用 。 内 容 的 に は 、 JIS の 基 準 を 満 た す も の の 使 用 を 義 務 付 け る こ
ととしている。
・ JIS T 8151 防 じ ん マ ス ク
(3) 消 費 生 活 用 品 製 品 安 全 法 ( 通 商 産 業 省 関 係 特 定 製 品 の 安 全 基 準 等 に
関する省令)
規 格 番 号 を 直 接 引 用 し 、 当 該 JIS の 試 験 方 法 の 部 分 を 引 用 。
・ JIS T 8133 乗 車 用 安 全 帽
(4 ) 放 射 線 障 害 防 止 法 関 係 法 令
法 令 で は 、 実 効 線 量 、 等 価 線 量 に 対 す る 線 量 限 度 が 規 定 さ れ 、 1cm
線 量 当 量 、 70 μ m 線 量 当 量 で 測 定 す る す る こ と と な っ て い る 。 JIS
で は 、 カ ー マ か ら 1cm 線 量 当 量 、 70 μ m 線 量 当 量 へ の 換 算 係 数 を 規
定している。
・ JIS Z 4301 X 線 用 フ ィ ル ム バ ッ ジ
・ JIS Z 4302 γ 線 及 び 硬 X 線 用 フ ィ ル ム バ ッ ジ
・ JIS Z 4323 広 範 囲 用 フ ィ ル ム バ ッ ジ
・ JIS Z 4332 X 線 及 び γ 線 用 個 人 線 量 計 通 則
・ JIS Z 4335 屋 内 環 境 用 フ ィ ル ム バ ッ ジ
・ JIS Z 4510 高 速 中 性 子 用 フ ィ ル ム バ ッ ジ に よ る 線 量 当 量 算 出 方 法
-3-
1.4 国 際 規 格 の 動 向
労 働 安 全 用 具 分 野 に 関 し て は 、 ISO/TC94 ( 個 人 用 安 全 - 保 護 衣 及 び 保
護 具 ) 及 び TC85/SC2 ( 放 射 線 防 護 ) に お い て 国 際 規 格 案 策 定 が 進 め ら
れている。
( 1 ) ISO/TC94 ( 個 人 用 安 全 - 保 護 衣 及 び 保 護 具 )
< 国 内 審 議 団 体 > [( 社 ) 日 本 保 安 用 品 協 会 ]
TC94 、 TC94/SC1 、 3 、 4 、 6 、 13 ( TC94 : O メ ン バ ー 、 SC 1 、 3 : P メ
ン バ ー 、 SC4,6 : N メ ン バ ー 、 SC13 : P メ ン バ ー )
TC94 で は 、 放 射 線 以 外 の 各 種 災 害 か ら 人 体 を 保 護 す る た め の 衣 服
及び機器の品質と性能に関する標準化を進めており、幹事国はオース
トラリアが担当。
( a ) SC1 ( 安 全 帽 )
産業用安全帽、スポーツ、レジャー用保護帽に関する国際規格を
扱っており、幹事国は米国。
( b ) SC3 ( 安 全 靴 )
安全靴のすべり、安全性、構造要件に関する国際規格を扱ってお
り、幹事国は英国。
( c ) SC4 ( 安 全 帯 )
柱上安全帯、取り付け設備、水平命綱に関する国際規格を扱って
おり、幹事国は英国。
( d ) SC6 ( 保 護 め が ね )
産業用保護めがね、サングラスに関する国際規格を扱っており、
対 応 す る JIS が あ り 、 幹 事 国 は フ ラ ン ス 。
( e ) SC12 ( 聴 力 保 護 )
耳覆い試験、ヘルメット装着耳覆いに関する国際規格を扱ってい
る。現在、幹事国は未定。
( f ) SC13 ( 防 護 服 )
防護服の一般特性、危険化学薬品に対する防護服、消防隊用防護
服等に関する国際規格を扱っており、幹事国はスイス。
な お 、 消 防 隊 用 防 護 服 に つ て は SC13 か ら 独 立 し て SC14 と し て 設
立予定であり、国内審議団体として(財)日本防炎協会を予定して
いる。
(g ) そ の 他
新 た に 防 護 マ ス ク 関 係 の SC15 が 設 立 予 定 で あ り 、 国 内 審 議 団 体 と
しては(社)日本保安用品協会を予定している。
-4-
( 2 ) ISO/TC85/SC2 ( 放 射 線 防 護 )
< 国 内 審 議 団 体 > [( 社 ) 日 本 保 安 用 品 協 会 ( P メ ン バ ー )]
SC 2 で は 、 α 、 X 、 γ 、 β 及 び 中 性 子 線 防 護 用 品 、 フ ィ ル ム バ ッ
ジ、ポケット線量計等の国際規格を扱っており、幹事国はフランス。
な お 、 平 成 1 2 年 度 に は 、 東 京 で 当 該 SC の 国 際 会 議 を 開 催 し た 。
2. 標 準 化 ・ 国 際 標 準 化 活 動 の 問 題 点 、 課 題 及 び そ の 対 応 策
2.1 全 般 に つ い て
(1 ) 当 該 規 格 の 特 色
欧米諸国においては、労働安全衛生に対する概念は非常に高く、
我が国での労働災 害発生状況では、労働災害による死傷者数は約1
4万人(平成11年度)にのぼり、製造業約3万9千人、建設業約
3万5千人、陸上貨物運送業約1万5千人の順になっており、労働
安全衛生用具の必要性は十分に認識されているが、生産活動に直接
関係する製品ではないため、縁の下の力持ち的な製品としての意味
合いが強い。
また、製品の成熟度が高いため規格の新規制定は少なく、既存規
格の改正に主眼が置かれているのが当該分野の特色である。
当該分野は前記のとおり、鉱山保安、労働安全衛生、放射線防護
など、いずれも人体の保護に密接な関係を有するものであり、一義
的 に JIS に 求 め ら れ る 役 割 は 使 用 者 ( 消 費 者 ) の 保 護 ・ 安 全 性 の 確
保があげられる。
(2 ) 原 案 作 成 団 体
JIS 原 案 の 作 成 団 体 と し て は 、 経 済 産 業 省 と 厚 生 労 働 省 の 共 管 団 体
である(社)日本保安用品協会が中心となり、作成にあたっている。
( 3) 共 管 規 格
厚生労働省との共管規格は、以下の15規格が存在する。
・ JIS T 8114 防 振 手 袋
・ JIS T 8115 化 学 防 護 服
・ JIS T 8116 化 学 防 護 手 袋
・ JIS T 8117 化 学 防 護 長 靴
・ JIS T 8141 し ゃ 光 保 護 具
・ JIS T 8143 レ ー ザ 保 護 フ ィ ル タ 及 び レ ー ザ 保 護 め が ね
・ JIS T 8150 呼 吸 用 保 護 具 の 選 択 、 使 用 及 び 保 守 管 理 方 法
-5-
・ JIS T 8151 防 じ ん マ ス ク
・ JIS T 8152 防 毒 マ ス ク
・ JIS T 8153 送 気 マ ス ク
・ JIS T 8157 電 動 フ ァ ン 付 き 呼 吸 用 保 護 具
・ JIS T 8160 微 粒 子 状 物 質 用 防 じ ん マ ス ク
・ JIS T 8161 防 音 保 護 具
・ JIS T 8204 検 知 管 式 硫 化 水 素 測 定 器 ( 測 長 形 )
・ JIS T 8205 硫 化 水 素 計
2.2 個 別 分 野 に つ い て
[ 論 点 -今 後 の 標 準 化 の 進 め 方 ]
(1 ) 労 働 安 全 衛 生 分 野
( a ) 社 会 ニ ー ズ に 適 応 し た JIS の 整 備
最近の労働安全衛生用具に要求される性能は、従来の強度、耐久
性等の他に軽量で快適なフィット感覚を求める傾向が強くなってお
り 、 そ の た め の 各 種 技 術 開 発 が 進 め ら れ て い る 。 JIS の 制 定 ・ 改 正
に当たってもこのような社会ニーズに適応した独創的な発想や技術
開発を阻害することのないように、標準化のタイミングと標準化項
目を検討していくことが重要である。
労働安全用具は作業内容により、種々の防護性が要求される。作
業 内 容 ・ 防 護 特 性 を 分 類 し 、 ISO/TC94/SC13 に 提 案 さ れ て い る
“ Criteria
for
selection
of
hand
protection ” の よ う な 規 格 作 成 を 進
めれば、色々な要求に対応できるので、今後の規格整備に役立てて
いくべきである。
ま た 、 一 部 の 安 全 衛 生 用 具 に お い て JIS 規 格 の 適 用 外 の 商 品 が 、
JIS 規 格 と 紛 ら わ し い 名 称 で 市 場 に 出 回 ま わ っ て い る 事 実 が あ り 注
意を払う必要がある。
具体的には最近、価格、デザイン面で従来の安全靴とは概念が異
なる外国製の“スニーカー形の安全靴”が数多く出回っている。こ
の製品の中には安全靴として性能を満足しないものもあり、安全性
の 確 保 と 社 会 ニ ー ズ の 観 点 か ら JIS 化 の 準 備 を 進 め る 。
( b ) JIS 適 合 表 示
保護具等は、有害な環境から人体を保護するためのものであり、
そ の 性 格 上 少 な く と も JIS の 基 準 を 満 足 し て い る こ と が 必 須 条 件 と
さ れ て い る 。 特 に 、 化 学 防 護 服 、 呼 吸 用 保 護 具 等 の 製 品 で は JIS と
の適合性を問われるケースが多い。
-6-
JIS と の 適 合 性 を 証 明 す る 手 段 と し て 、 以 下 の 3 つ が 考 え ら れ る 。
1) 製 造 業 者 に よ る 自 己 適 合 宣 言
・製造業者の自己責任で宣言ができるため適用が容易。
・信頼性の問題がある。
2) 工 業 標 準 化 法 に 基 づ く 試 験 事 業 者 認 定 制 度
・自己適合宣言より信頼性が高い。
・認定試験事業者の申請の有無の問題がある。
〔参考〕試験事業者認定制度
指 定 品 目 以 外 の 鉱 工 業 品 の JIS 規 格 に 適 合 す る こ と を 明 ら か
にするのに必要な試験を実施する能力をもっていると認定さ
れた試験事業者に対して、主務大臣の認定書が発行される制
度。
3 ) JIS マ ー ク 表 示 制 度
・信頼性が高い。
・新規に表示制度に組み込むため時間がかかる。
特に、試験事業者認定制度は労働安全用具の分野での必要性が高
いが、製品の数量が小規模等の面から実際の適用には困難が多い。
上 記 3 制 度 に つ い て は 、 そ れ ぞ れ 長 所 短 所 が あ る が 原 則 1 ) 、 3 )、 2 )
の優先順位として適用する。
ま た 、 既 存 の JIS マ ー ク 制 度 か ら 自 己 適 合 宣 言 に 切 り 替 え る 場 合
に は 、 認 定 工 場 数 等 を 加 味 し な が ら JIS マ ー ク 指 定 品 目 の 見 直 し を
行う。
( c ) 強 制 法 規 に 関 係 す る JIS
ヨ ー ロ ッ パ で 実 施 さ れ て い る CE マ ー ク は 製 品 の 使 用 環 境 の 危 険
度によってグループ分けし、人体の死亡事故や傷病に関係するよう
な製品については、販売について試験事業者認定制度を実施してお
り、我が国よりも労働安全衛生用具に対する基準は厳しい内容に
なっている。このため、製品の種類によっては、ヨーロッパと同様
に表示と使用の強制を要望されているものもある。
我が国の規制緩和の概念は、安全に関わる規制と経済活動に関わ
-7-
る規制が同レベルの議論で進められているため、現時点では法制面
で強制することは難しい情勢にある。
JIS 制 度 に お い て も 任 意 法 規 か ら 成 り 立 っ て い る た め 、 JIS 表 示 は
任 意 で あ る が 、 人 体 の 安 全 に 大 き く 関 係 す る 商 品 に つ い て は 、 JIS
マークの新規指定を視野に入れ検討する必要がある。
(d) 国 際 標 準 化
労働安全衛生用具の製品形態を大まかに分類すると、欧州形、米
国形、日本形に区分され、我が国の製品はどちらかと言うと米国形
に近い製品形態と言われている。
ISO で 作 成 さ れ る 国 際 規 格 は 、 加 盟 国 に 欧 州 諸 国 が 多 い た め 欧 州
色の強いものとなっており、必ずしも我が国の実情を反映した内容
で あ る と は 言 え な い が 、 昨 今 は 、 グ ロ ー バ ル 社 会 の 進 展 、 WTO/TBT
協定(貿易の技術的障害に関する協定)の対応もあり、国際規格を
無 視 し た 内 容 の JIS は 許 さ れ な い も の と な っ て き て い る 。
〔 ISO で の 参 加 状 況 〕
ISO /TC94 個 人 安 全 - 保 護 衣 及 び 保 護 具
O メ ン バ ー( オ ブ ザ ー バ ー )
TC94/SC1
安全帽
P メンバー(積極参加
TC94/SC3
安全靴
P メンバー
TC94/SC4
安全帯
N メンバー(不参加)
TC94/SC6
保護めがね
N メンバー
TC94/SC12
聴力保護
Nメンバー
TC94/SC13
防護服
Pメンバー
〔 参 考 〕 WTO/TBT 協 定 ( 貿 易 の 技 術 的 障 害 に 関 す る 協 定 )
第2条(強制規格の中央政府機関における立案、制定及び適用)
2.4
加盟国は、強制規格を必要とする場合において、関連する国際
規格が存在するとき又はその仕上がりが目前であるときは、当該国
際規格又は関連部分を強制規格の基礎として用いる。
上 記 ISO で の 参 加 状 況 に 示 す と お り 、 O メ ン バ ー ・ N メ ン バ ー の
ものが約半数を占めており、我が国の意見を国際規格に反映させる
ためには、事務局引受け団体のマンパワー、財政面の制約があるが
少なくとも、O又はNメンバーのものはその参加地位を引き上げて
いく必要がある。
-8-
我が国の意見を更に反映させる方法として、国際規格の作成に当
たっては、その原案段階から参加していくことが上げられる。
JIS と 国 際 規 格 整 合 化 の 手 法 と し て 、 製 品 に よ っ て は ISO が 存 在
し JIS の 成 立 し て い な い も の は そ の 重 要 度 を 勘 案 し つ つ 、 積 極 的 に
ISO 規 格 を 取 り 入 れ て い く こ と も 必 要 で あ る 。 ま た 、 外 国 人 と 日 本
人との身体的特徴、使用環境等によって国際規格との整合化が困難
な場合は、その理由を明確にしておくことも重要である。
(2 ) 鉱 山 用 保 安 用 具 分 野
現 在 主 と し て 、 炭 坑 の 保 安 の 用 途 で 「 鉱 山 用 保 安 用 具 」 の JIS が 整
備 さ れ て い る 。 国 内 炭 坑 の 廃 坑 に よ っ て 当 該 JIS の 必 要 性 が 問 題 と な
るが、製品によっては従来の炭坑用から工場、船舶、地下鉄工事現
場等の用途に移行したものもあり、一概に「炭坑の減少」→「規格
の廃止」とはならないものが多い。規格を廃止する場合は、単に規
格名称だけで判断せず使用実態を考慮して判断すべきである。
(3 ) 放 射 線 防 護 分 野
我が国の放射線防護分野の基準、技術水準とも一般的に非常に高
いレベルにあり、国際規格を直接採用すると、技術水準の低下を招
く 恐 れ が あ る 項 目 も あ る 。 JIS の 制 定 ・ 改 正 に 当 た っ て は 国 際 規 格 を
尊重しながらも、技術水準、安全性の低下に繋がらないよう留意す
る 。 た だ し 、 我 が 国 で 使 用 さ れ て い な が ら JIS が 存 在 し な い 線 量 計
の 規 格 な ど も あ り 、 こ れ ら に つ い て は ISO の 取 り 入 れ を 含 め て 検 討
する必要がある。
ISO 、 IEC 共 に 新 規 規 格 が 制 定 さ れ つ つ あ る が 、 こ の 分 野 で は 国 内
審議団体が複数存在するため、連携に努めるべきである。また、標
準化の検討にあたっては、計量法、トレーサビリティ制度との整合
も考慮すべきである。
ま た 、 国 際 放 射 線 防 護 委 員 会 ( ICRP ) の 勧 告 等 を 受 け 国 内 関 係 法 規
が 改 正 さ れ た 場 合 、 速 や か に JIS と 関 係 法 規 と の 整 合 を 図 っ て い く も
のとする。
国 際 規 格 へ の 対 応 に つ い て は 現 在 、 我 が 国 に な い 規 格 ( 1) に つ い て
国 内 の 必 要 性 を 鑑 み 積 極 的 に JIS 化 の 検 討 を 進 め る 一 方 で 、 従 来 の 国
際規格受入れ型から我が国の優れた放射線防護技術を国際規格の場
に提案していくべきである。
-9-
注 ( 1) : 例 え ば 、 現 在 我 が 国 に は 、 中 性 子 線 量 計 に 係 る JIS 規 格 は 十
分なものがなく、実際に利用されているもの(例えば、固
体 飛 跡 検 出 器 な ど ) を 対 象 と し て ISO な ど の 規 格 を 取 り 入 れ
た JIS を 早 急 に 整 備 す べ き で あ る 。
国内法規との整合化については、関係国内法規の改正動向を注視
してできる限りタイムラグが発生しないように努めていくものとす
る。
-10-
労働安全用具技術専門委員会所管規格
【鉱山保安関係】19規格
( 1 ) JIS M7001
( 2 ) JIS
鉱山保安警標
M7002
防爆用ベリリウム銅合金製工具類の非着火性試験方
法
( 3 ) JIS
M7102
ビニル加工布風管
( 4 ) JIS M7601
圧縮酸素形循環式呼吸器
( 5 ) JIS M7602
干渉計形精密可燃性ガス検知器
( 6 ) JIS M7604
鉱山用ビラム形測風器
( 7 ) JIS M7605
検知管式一酸化炭素測定器(比色形)
( 8 ) JIS M7606
鉱山用熱式風速計(携帯形)
( 9 ) JIS M7610
定着安全電灯
( 10 ) JIS M7611
一 酸 化 炭 素 用 自 己 救 命 器 ( CO マ ス ク )
( 11 )
BJIS M7612
( 12 ) JIS M7613
軸流形電動機内操局部扇風機
遠心形局部扇風機
( 13 )
BJIS M7615
防爆用ベリリウム銅合金工具類
( 14 )
BJIS M7624
安全帯
( 15 ) JIS M7625
干渉計形可燃性ガス自動警報器
( 16 ) JIS M7626
定置形可燃性ガス検知警報器
( 17 ) JIS M7650
検知管式一酸化炭素測定器(測長形)
( 18 ) JIS M7651
閉鎖循環式酸素自己救命器
( 19 ) JIS M7653
携帯型可燃性ガス検知器
【労働安全衛生関係】33規格
( 20 ) JIS T8001
呼吸用保護具用語
( 21 ) JIS T8010
絶縁用保護具・防具類の耐電圧試験方法
( 22 )
BJIS T8101
安全靴
( 23 )
BJIS T8103
静電気帯電防止用安全・作業靴
( 24 ) JIS T8112
電気用ゴム手袋
( 25 ) JIS T8113
溶接用かわ製保護手袋
-11-
【労働安全衛生関係(続き
)】
( 26 ) JIS T8114
防振手袋
( 27 ) JIS T8115
化学防護服
( 28 ) JIS T8116
化学防護手袋
( 29 ) JIS T8117
化学防護長靴
( 30 ) JIS T8118
静電気帯電防止作業服
( 31 )
BJIS T8131
産業用安全帽
( 32 )
BJIS T8133
乗車用安全帽
( 33 ) JIS T8134
( 34 )
自転車用安全帽
BJIS T8141
しゃ光保護具
( 35 ) JIS T8142
溶接用保護面
( 36 ) JIS T8143
レーザ保護フィルタ及びレーザ保護めがね
( 37 )
BJIS T8147
保護めがね
( 38 ) JIS T8150
呼吸用保護具の選択、使用及び保安管理方法
( 39 ) JIS T8151
防じんマスク
( 40 ) JIS T8152
防毒マスク
( 41 ) JIS T8153
送気マスク
( 42 ) JIS T8155
空気呼吸器
( 43 ) JIS T8156
酸素発生形循環式呼吸器
( 44 ) JIS T8157
電動ファン付き呼吸用保護具
( 45 ) JIS T8159
呼吸用保護具面体の漏れ率試験方法
( 46 ) JIS T8160
微粒子状物質用防じんマスク
( 47 ) JIS T8161
防音保護具
( 48 ) JIS T8165
柱上安全帯
( 49 ) JIS T8201
酸素計
( 50 ) JIS T8202
一般用風速計
( 51 ) JIS T8204
検知管式硫化水素測定器(測長形)
( 52 ) JIS T8205
硫化水素計
-12-
【放 射 線 ( 能 ) 関 係 1 7 規 格】
( 53 ) JIS K7557
X線用バッジフィルム
( 54 ) JIS K7559
広範囲用バッジフィルム
( 55 ) JIS Z4301
X線用フィルムバッジ
( 56 ) JIS Z4302
γ線及び硬X線用フィルムバッジ
( 57 ) JIS Z4323
広範囲用フィルムバッジ
( 58 ) JIS Z4331
X・γ線及びβ線個人線量計校正用ファントム
( 59 ) JIS Z4332
X線及びγ線用個人線量計通則
( 60 ) JIS Z4335
屋内環境用フィルムバッジ
( 61 ) JIS Z4501
X線防護用品類の鉛当量試験方法
( 62 ) JIS Z4510
高速中性子用フィルムバッジによる線量当量算出方
法
( 63 ) JIS Z4808
放射性物質取扱作業用グローボックス
( 64 ) JIS Z4809
放射性汚染防護用保護衣類
( 65 ) JIS Z4810
放射性汚染防護用ゴム手袋
( 66 ) JIS Z4811
放射性汚染防護用作業服
( 67 ) JIS Z4812
放射性エアゾル用高性能エアフィルタ
( 68 ) JIS Z4817
放射線遮へい用鉛ブロック
( 69 ) JIS Z4819
放射線遮へいマット
【その他】
2規格
( 70 ) JIS Z8811
殺菌紫外線の測定方法
( 71 ) JIS Z8812
有害紫外放射の測定方法
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