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金融審議会金融分科会第一部会「中間整理」
平成 17 年 9 月 29 日 金融庁総務企画局市場課内 金融審議会金融分科会第一部会事務局 御中 全国銀行協会 金融審議会金融分科会第一部会「中間整理」に対する意見の提出について 本日、平成 17 年 9 月 2 日付で意見募集のあった標記の件に対する意見を別紙の とおり取りまとめ、提出いたしますので、何卒ご高配賜りますようお願い申しあ げます。 以 上 別 平 成 17 年 9 月 29 日 全国銀行協会 金融審議会金融分科会第一部会「中間整理」に対する意見 金 融 審 議 会 金 融 分 科 会 第 一 部 会「 中 間 整 理 」で は 、 「日本の金融シス テムを巡る局面が将来の望ましい金融システムを目指す未来志向の局 面 に 転 換 す る な か 、( 中 略 )、 利 用 者 保 護 ル ー ル の 徹 底 と そ の 選 択 肢 の 拡大、市場機能の充実とその信頼性の向上、国際化に対応した制度の 構築に取り組み、利用者の満足度の高い、活力ある金融システムを構 築 す る こ と が 喫 緊 の 課 題 」と の 認 識 の 下 、現 在 の 縦 割 り 業 法 を 見 直 し 、 幅 広 い 金 融 商 品 に つ い て 包 括 的・横 断 的 な 利 用 者 保 護 を 図 る と と も に 、 多様化するニーズに応じた金融商品・サービスの提供を可能とするこ とを念頭に、いわゆる投資サービス法(以下「投資サービス法」とい う )を 制 定 す る こ と が 適 当 と さ れ た 。ま た 、そ の 検 討 に あ た り 、 「規制 の 簡 素 化・明 確 化 や 新 た な 金 融 商 品 設 計 の 自 由 度 の 拡 大 を 図 る こ と が 、 適切な利用者保護と金融機関経営の選択肢の拡大をつうじ、利用者利 便 の 向 上 に つ な が る こ と に 配 意 」す る と と も に 、 「 金 融・資 本 市 場 の 国 際化への対応や金融イノベーションの促進といった観点も必要であ る」とされた。 銀行界としては、こうした考え方に基づいて、今後さらに議論が深 められ、わが国金融・資本市場の効率性や革新性を高めるとともに、 利用者利便や国際競争力の向上に資するような制度が整備されること を期待するものである。 本意見書は、今回の「中間整理」において示された考え方にかかわ り、全国銀行協会として基本的な考えを取りまとめたものである。今 後具体的な検討が進められるにあたり、 「 投 資 サ ー ビ ス 法 」の 立 法 趣 旨 を実現し、 「 金 融 サ ー ビ ス 立 国 」の 実 現 に 向 け た 望 ま し い 制 度 を 構 築 す るためにも、次のような点について特段の配慮をお願いしたい。 -1- 紙 ( 1 ) 可 能 な 限 り 幅 広 い 金 融 商 品 を 規 制 対 象 と す る 場 合 で も 、そ れ ぞ れ の 商 品 の 利 用 度 や 認 知 度 を 含 め た 特 性 や 役 割 期 待 、市 場 参 加 者 の行動実態等を十分に踏まえた弾力的、かつ、公正性や効率性、 透明性の実現に資する枠組みとすること。 ・ 例 え ば 、預 金 等 に つ い て は 、① 元 本 が 保 証 さ れ て い る だ け で な く 、社 会 的 認 知 度 が 高 く 、日 常 生 活 に お け る 資 金 の 保 管 や 決 済 の 手 段 な ど と し て 反 復 利 用 さ れ る の が 通 常 で あ り 、利 用 者 も 投 資 性 よ り 、ま ず 安 全 性 や 確 実 性 、便 利 さ と い っ た 点 に 期 待 し て い る 、② 利 用 者 保 護 の 観 点 か ら 制 度 的 に も 目 立 っ た 問 題 は な く 、現 行 の 販 売・勧 誘 ル ー ル が 適 切 か つ 十 分 な 水 準 に 達 し て い る 、③ 預 金 を 取 り 扱 う 業 者 は 、当 局 の 監 督 等 の も と 免 許 業 種 と し て 厳 格 な 規 制 に 服 し 、コ ン プ ラ イ ア ン ス 体 制 の 整 備 や 財 務 の 健 全 性 維 持 等 の 規 律 を 遵 守 し て い る ほ か 、当 局 等 の 検 査 が 制 度 化 さ れ て い る 、と い っ た 点 に 鑑 み れ ば 、実 質的な販売・勧誘規制の追加は必要ないと考えられる。 ・ ま た 、シ ン ジ ケ ー ト ロ ー ン 、A B L 等 に つ い て も 、① 参 加 金 融 機 関 が 、ア レ ン ジ ャ ー( 主 幹 事 )を 通 じ る こ と が 一 般 的 で は あ る も の の 、条 件 や 開 示 内 容 に つ い て 交 渉 を 行 う 余 地 が あ り 、ま た 、そ れ ら も 踏 ま え つ つ 個 別 に 与 信 リ ス ク を 判 断 す る な ど 、相 対 貸 付 と の 境 界 を 引 く こ と が 困 難 で あ る 、② 参 加 者 の 大 宗 が 金 融 機 関 で 自 己 責 任 原 則 が 徹 底 し て お り 、情 報 開 示 の 仕 組 み が 整 備 さ れ て い る う え 、ア レ ン ジ ャ ー が 守 る べ き 行 為 規 範 も 整 備 さ れ て い る ( 注 )、 ③ 高 度 で 強 靭 な リ ス ク シ ェ アリング能力を持った金融システムへの再構築や産業再生 に向けて果たすべき役割が大きく、かつ発展の途上にある、 と い っ た 点 を 勘 案 す れ ば 、新 た な 規 制 を 追 加 的 に 課 す 必 要 は ないと考えられる。 (注)シンジケートローンについては日本ローン債権市場協会(J SLA)から「ローン・シンジケーション取引における行為 規 範 」( 2003 年 12 月 9 日 ) が 公 表 さ れ て い る 。 ・ デ リ バ テ ィ ブ 商 品 に つ い て も 、そ の 多 く が 、投 資 目 的 で は な く 、リ ス ク を コ ン ト ロ ー ル す る こ と を 目 的 に 、中 堅 中 小 企 業 -2- を 含 め て 広 範 に 利 用 さ れ て い る 実 態 を 踏 ま え 、利 用 者 利 便 の 向上およびデリバティブ市場の機能充実を阻害することの な い よ う 、規 制 の 枠 組 み に つ い て 慎 重 に 検 討 さ れ る べ き で あ る 。な お 、デ リ バ テ ィ ブ 預 金 等 の 商 品 に つ い て も 、元 本 を 保 証 さ れ て い る も の が 大 宗 で あ る こ と を 踏 ま え 、そ の 投 資 性 の 有無につき、引き続き慎重な検討がなされるべきである。 ( 2 ) 規 制 に よ る 便 益 と 負 担 の バ ラ ン ス を 考 慮 し 、必 要 以 上 に 過 重 な 規制を課して効率性や革新性の向上を妨げたり、利用者の商品・ サ ー ビ ス 及 び 適 切 な ア ド バ イ ス へ の 円 滑 な ア ク セ ス を 阻 害 し 、却 って利用者利便を低下させることのないようにすること。 ・ こ の 点 に か か わ り 、「 中 間 整 理 」 で 掲 げ ら れ た 英 国 金 融 サ ー ビ ス ・市 場 法 の 規 制 の 目 的( ① 市 場 の 信 頼 確 保 、② 公 衆 の 理 解 の 向 上 、③ 消 費 者 の 保 護 、④ 金 融 犯 罪 の 削 減 )の み な ら ず 、 こ れ に 続 く 規 制 を 遂 行 す る 上 で の 諸 原 則( ① 自 ら の 資 源 の 有 効 活 用 、② 管 理 者 と し て の 責 任 、③ 規 制 の 負 担 ・ 制 約 と 便 益 の バ ラ ン ス 、④ 規 制 対 象 業 務 の イ ノ ベ ー シ ョ ン の 促 進 、⑤ 金 融 サ ー ビ ス・市 場 の 国 際 性 と 自 国 の 競 争 的 地 位 の 維 持 、⑥ 競 争 へ の 悪 影 響 の 最 小 化 、⑦ 規 制 対 象 者 間 の 競 争 促 進 )も 参 考 にすべきと考えられる。 ・ そ の 上 で 、例 え ば 、様 々 な 行 為 規 制 が 利 用 者 利 便 を 損 な う も のとならないか、慎重な検討を進めるべきと考える。 ・ な お 、エ ン フ ォ ー ス メ ン ト の 強 化 に つ い て も 、そ の 重 要 性 に 配 意 し つ つ 、費 用 対 効 果 を 慎 重 に 検 討 し 、金 融 ・ 資 本 市 場 の 効率性を損ねないような枠組みにすべきと考えられる。 (3) 商品設計の自由度の拡大やプロ同士の取引に関わる規制緩和 等 を 徹 底 し 、わ が 国 金 融 市 場 の 活 性 化 を 促 す も の と す る こ と 。そ の 際 、硬 直 的 で 過 剰 な 弊 害 防 止 措 置 や 、業 務 範 囲 規 制 に つ い て 見 直しを進めること。 ・ 例 え ば 、「 プ ロ と ア マ 」 の 区 分 に つ い て は 、 一 義 的 に プ ロ と さ れ る 範 囲 を 拡 大 す る と と も に 、プ ロ 向 け に 係 る 行 為 規 制 や -3- プ ロ 私 募 の 要 件 と さ れ る 転 売 制 限 を 大 幅 に 緩 和 し 、プ ロ 間 の 市場の自由度や効率性を高めてプロの選択を行うメリット が高いような枠組みが構築されるよう期待する。 ・ ま た 、規 制 全 体 に つ い て 点 検 を 行 う に あ た り 、現 在 の 縦 割 り 業 法 の 枠 を 超 え た 複 合 的 な 商 品・サ ー ビ ス の 提 供 を 促 す た め に 、利 益 相 反 防 止 規 定 な ど 今 日 的 な 視 点 か ら 見 て 役 割 の 低 下 し た 弊 害 防 止 措 置 や 、業 務 範 囲 規 制 等 を 見 直 し 、国 際 的 に 平 仄の取れたより自由度の高い枠組みを構築すべきと考える。 なお、これらとあわせ、規制が複雑かつ重層的になることのないよ う、既存の業法との関係が十分に整理されるとともに、金融取引に係 るルールが明確で分かりやすいものとなるよう検討が進められること を期待する。 以 -4- 上