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CIOビュー
2014 年 10 月 Deutsche Asset & Wealth Management ドイチェ・アセット&ウェルス・マネジメント CIOビュー 欧州中央銀行によるストレステスト 銀行セクターの安定性をさらに高められるか? CIOビュー| 2014年10月 1 9 つの見解 注目ポイント 世界経済の展望 信号の色で示す投資戦略 ポートフォリオ 9つの見解 足元の市場動向要因 世界経済: 2014 年成長率見通しをやや下方修正 3.3 %* 世界 ユーロ圏経済: 2014年成長率見通しを下方修正 世界経済の牽引役: 米国、次いで日本、 そしてユーロ圏の 順で景気改善へ 0.8 %* ユーロ圏 *2014年9月18日時点のドイチェ・アセット &ウェルス・マネジメント予測値 *2014年9月18日時点のドイチェ・アセット &ウェルス・マネジメント予測値 大規模な金融緩和: ユーロ圏や日本で継続 米ドル: 2015年は米国政策金利の引き上げが 見込まれ、米ドル高へ 債券利回り: インフレ圧力の弱さが、利回り上昇を 抑制 $ ! 株式: 低金利環境が株式投資を下支え 株価上昇の牽引役: 企業収益の改善 モデル・ポートフォリオにおける資産配分 コモディティ 2.5 % オルタナティブ 10.0 % 株式 € 50.0 % 37.5 % 債券 当資料は、情報提供を目的としたものであり、特定の投資商品の推奨や投資勧誘を目的としたものではありません。当資料は、信頼できる 情報をもとにドイチェ・アセット&ウェルス・マネジメントが作成したものをドイチェ・アセット・マネジメント株式会社が翻訳して提供しており ますが、正確性・完全性についてドイチェ・アセット・マネジメント株式会社が責任を負うものではありません。上記の予測は、 2014年9月末 時点のドイチェ・アセット&ウェルス・マネジメントの見解であり、市場の環境やその他の状況によって予告なく変更することがあります。 2 CIOビュー| 2014年 10月 9 つの見解 注目ポイント 世界経済の展望 信号の色で示す投資戦略 ポートフォリオ 投資家の皆様へ よりゆるやかな、 より長く続く景気回復へ 世界経済は拡大しつつあるものの、拡大ペースは緩慢です。 このため金利水準は低くとどまり、今後も株式が選好されやすいと考えます。 世界経済の拡大は、 リーマンショック以降、 5年間 続いています。 もっとも拡大ペースは鈍く、 目覚まし い経済成長率ではありません。 日本は金融危機前 の生産水準を取り戻しつつありますが、 ユーロ圏は なお大幅に下回っています。英国は、拡大ペースは 速いとはいえ、危機前の2007年1- 3月期から直近 の2014年4 - 6月期にかけての間、実質国内総生 産(GDP) の拡大は僅か3%程度です。米国は、同じ 時期に8.5%程度拡大しており、 唯一、 目覚ましい勢 いです。それでも米国で は、生産設備や雇用人員 を生 産 能力一 杯に100 %稼働させている企業は 多くないのが現状です。 こうしたマイナスの (総需 要が総供給を下回る)需 給ギャップは幾つもの国 々において顕著であり、 インフレ率を低くとどめ る要因になっています。 業度が低下し過剰な生産能力を抱え込むことにな りました。一方、各国の財政出動や金融緩和策に よって世界的な景気後退は食い止められましたが、 代償として政府債務残高は急増しました。国際決 済銀行(BIS)によれば、主要7カ国(G7)の政府 債務残高は、対GDP比率でみて平均で約40%ポ イント上昇して約120%へと悪化しました。各国 中央銀行は、政策金利引き上げが国債の利払い 負担を急増させることを理解しています。 こうした 危険を回避する観点から も金融緩和策は長期化 すると見込まれ、短期金 融市場や債券市場では 低い金 利 水 準が 続くと 見込まれます。 投資家はリスク許容 度を高め長期的な株式 投資を増やす可能性 低い経済成長率やマイナスの需給ギャップは、企業 や家計が過去に借入れた債務の返済を進める 「バ ランスシート調整」に伴う景気低迷からの回復局 面において典型的に見られます。 リーマンショック 直後の2009年までの数年の間に、住宅価格の上 昇が続くと見込んだ家計はローンを組み、住宅購 入を進めました。 その後、景気後退局面入りすると、 これら過剰な借入れ債務のために需要はなかなか 回復せず、下落した住宅価格が程なく持ち直す可 能性の芽は摘み取られました。 このため企業は、操 長期化する低金利環境 において、株 式 市 場は、 利 回りを求める投 資 資 金の潜在的な受け皿になると考えられます。 「将来 に備えた貯蓄(ネスト・エッグ)を増やすためには、 リスク許容度を高め、長期的な株式投資を増やし ていく必要がある」 と気づき始めた投資家は増えつ つあるようです。 アソカ・ヴァマン チーフ・インベストメント・ オフィサー CIOビュー| 2014年10月 3 9 つの見解 注目ポイント 世界経済の展望 信号の色で示す投資戦略 ポートフォリオ 注目ポイント 大手銀行のストレステスト 欧州中央銀行(ECB) は2014年11月よりユーロ圏の銀行を一元的に監督することが決まっています。 それに先立って現在、資産査定(AQR) やストレステスト (健全性審査) を実施中です。 金融システムの安定性を高め、銀行貸出市場の分断を是正する―― これが、 銀行同盟を通じて欧州連合 (EU) が達成しようとしている第一 の目標です。E C Bはユーロ圏の銀行を一元的に監督することで、 「大手銀行の救済に公的資金を注入すれば財政負担増となる」 と いう金融不安と財政不安の 『負の連鎖』 を断ち切ることを目指してい ます。第二の目標が、ユーロ圏の周縁国と中核国の国債利回り格差 の縮小です。 さらに、不良債権についても考慮は十分とは言えません。 このため今 回のストレステストは、過去に実施されたテストよりも合格基準は厳 しいとみられるものの、前回同様、大手銀行が不合格とならないよう 設計されているのではないかとの疑念も生じさせかねません。一方 でECBは、 ユーロ圏の金融セクターの健全性を時間をかけてじっく り高めていくことができるという見方もあります。 銀行同盟の構想は、単一監督メカニズム、単一破綻処理メカニズム、 そして共通の預金保険制度という3本の柱から成り立っています。 このうち預金保険制度は、今のところほとんど協議が進んでいません。 一方、単一破綻処理メカニズムに関しては合意がなされました。 その一環として、EU閣僚理事会と欧州議会は、総額550億ユーロ規 模の欧州銀行破綻処理基金の創設を承認しています。 マイナス面としては、銀行再編がこれだけ求められているにもかかわ らず、 先送りされようとしている点が挙げられます。 結果的に、 自己資本 が不十分なために金融仲介機関としての責務を果たせない銀行を、 市場から撤退させるのに時間がかかります。 これは、一刻も早い銀行 借入れを望む中小企業にとっては問題です。2012年5月以降、 ユーロ 圏の銀行貸出残高は減少が続いており、景気改善を抑制する一因と なっています。 銀行各行にストレステストを実施 過去の 「負の遺産」一掃に向けて ECBにユーロ圏の大手銀行を直接監督するなどの権限を与える単 一監督メカニズムが、2014年11月4日から稼働します。 その稼働の 前段階として必要となった銀行各行への包括的審査が、現在進行中 です。ECBは現在、資産査定を通じてユーロ圏の銀行約120 行の 財務状況を審査し、資産の質を検証しています。それに続くストレス テスト (健全性審査) では、銀行が市場の混乱時(ストレスシナリオ) でも耐えうるだけの十分な自己資本を保有しているかを検証します。 ユーロ圏の銀行貸出の低迷は、欧州債務危機が発端です。家計の過 大な銀行借入れが不良債権の増加につながりました。不良債権は 銀行の自己資本比率を低下させ、 ひいては貸し渋りの原因となりま した。 こうした過去の負の遺産を一掃するには、銀行セクター再編 や資本増強を促す圧力となるような、 より厳しいストレステストが望 まれます。 平常時(標準シナリオ) を想定したテストでは、各銀行は普通株式等 Tier1 (CET1) 自己資本比率を8%以上に維持しなければなりません。 一方、 ストレスシナリオは、欧州の域内総生産(GDP)成長率を2014 年に−0.7%、2015年に−1.5% 、2016年に−0.1%と想定してい ます。加えて、失業率の上昇(2016年に13%) や不動産価格の下落 (同20%) などを想定しています。 また、債券・株式市場の動揺や、中・ 東欧諸国の通貨危機、国債価格の下落なども想定しています。 この ストレスシナリオにおいては、 CET1自己資本比率を5.5%以上に維 持できる銀行がテストに合格します。 とはいえ、単一監督メカニズムや単一破綻処理メカニズムの導入は 評価できます。なぜなら、銀行各行の格付け (信用力)が、自国の国 債格下げに伴う悪影響を受けにくくなり、ユーロ圏全体で統一され た目線による銀行の格付け (信用力)評価につながり、結果的に、金 融不安と財政不安の 『負の連鎖』を生じにくくするからです。さらに ECBは、銀行同盟が実現しても、 ユーロ圏の銀行貸出市場の分断を 十分に是正できないと分かっています。 このため、4,000億ユーロ 規模の 「的を絞った長期資金供給策(TLTRO)」を新たに導入しま した。企業向け貸出促進に的を絞って各行に資金を供給することで、 ECBは企業の資金調達難を軽減することを目指しています。同時に ECBは、周縁国と中核国の国債利回り格差に起因する、周縁国にお ける中小企業向け貸出金利の高止まりの是正を目指しています。 これらテストで不合格となった銀行は、 14日間以内に自己資本不足 額を補う方策を示さなければなりません。 そして、資産査定で不合格 となった銀行は、 6カ月以内に自己資本を増強する必要があります。 またリスクシナリオで自己資本不足が判明した場合、9カ月以内に 不足分を調達しなければなりません。 もっとも、今回のストレステス トは、2008 ~2009年の金融危機で各行が被った規模の損失を想 過去の運用実績は、将来の運用成果等を保証もしくは示唆するもので 定するシナリオまでは考慮していません。 はありません。 当資料は、信頼できる情報をもとにドイチェ・アセット& ウェルス・マネジメントが作成したものをドイチェ・アセット・マネジメント 株式会社が翻訳して提供しておりますが、正確性・完全性について ドイチェ・アセット・マネジメント株式会社が責任を負うものではあり ません。 4 CIOビュー| 2014年 10月 9 つの見解 注目ポイント 世界経済の展望 信号の色で示す投資戦略 ポートフォリオ 欧州連合(EU) の歴史 1957年 3月25日 欧州経済共同体 (EEC) と欧州原子力 共同体(Euratom) を 設立するローマ条約 に調印 1951年 4月18日 欧州石炭鉄鋼共同 体(ECSC) を設立 するパリ条約に調印 1968年 7月1日 加盟国間の 関税を撤廃 (関税同盟完成) 1965年 4月8日 1979年 3月13日 欧州通貨制度(EMS) マーストリヒト条約 が発足。域内の為替相 (欧州連合条約) に 場安定化が目的 調印。通貨同盟ながら 政治同盟の側面も 1972年 4月24日 欧州3共同体 (ECSC、EEC、 Euratom) の理事会 および執行機関を 統合するブリュッセル 条約に調印 1992年 2月7日 加盟国通貨間の 為替相場変動幅を 制限する欧州通貨 共同フロート制度 (「トンネルの中の スネーク」制度) 開始 1979年 6月10日 欧州単一通貨 ユーロ誕生 (当初は銀行 間決済通貨と して) 1997年 6月17日 加盟国市民による 直接普通選挙に よる初の欧州議会 選挙を実施 ユーロ圏の民間向け貸出の増加率 1999年 1月1日 アムステルダム条約 (新欧州連合条約) に 合意。欧州議会の 権限を拡大 2009年 12月1日 2014年 3月20日 リスボン条約発効。 欧州議会の権限を 強化 単一破綻処理メカ ニズム (SRM) によ る銀行破綻処理の 一元化に欧州議会 が合意 2002年 1月1日 2011年 1月1日 ユーロ紙幣・ 欧州銀行監督機構 硬貨の流通開始 (EBA) が稼働。 銀行セクターの ルール共通化の 動きが始まる 2014年 11月 欧州中央銀行 (ECB) が主体と なる単一監督 メカニズム (SSM) による銀行監督一 元化が稼働予定 120 前年比(%) ECBが11月から直接監督下に置く ユーロ圏の銀行数 14 出所:ECB、2014年9月4日時点 12 銀行同盟は、真の経済・通貨同盟を形成し、深化させる、 そしてユーロ圏の隅々にわたって銀行貸出にとって良好な 環境を取り戻す、 という我々のコミットメントを象徴するものだ。 加えて、銀行経営難による金融不安と、 財政赤字による財政不安の『負の連鎖』を 断ち切るためにも必要不可欠なものだ。 10 8 6 4 2 ジョゼ・マヌエル・ドゥラン・バローゾ 欧州委員会委員長の発言 ─ストラスブール (フランス) にて 2014年1月14日 0 -2 -4 2004年1月 2005年1月 2006年1月 2007年1月 2008年1月 2009年1月 2010年1月 2011年1月 2012年1月 2013年1月 2014年1月 出所:ECB、2014年9月3日時点 貸出残高の減少: 金利が低下傾向にあるにもかかわらず、民間向け貸出は減少し ています。 これは、ユーロ圏の景気低迷や周縁国における民間 向け貸出金利の高止まりが主因です。貸出の低迷は、 ユーロ圏 景気の回復を抑制する大きな要因となっています。 36 %近い 資金調達が困難と回答した中小企業の 割合を地域別に比較すると、ユーロ圏 周縁国は中核国を36%ポイント近く上 回る 出所:ECB、2014年4月SAFE調査 過去の運用実績は、将来の運用成果等を保証もしくは示唆するもの ではありません。指数に直接投資することはできません。当資料は、 信頼できる情報をもとにドイチェ・アセット&ウェルス・マネジメントが 作成したものをドイチェ・アセット・マネジメント株式会社が翻訳して 提供しておりますが、正確性・完全性についてドイチェ・アセット・ マネジメント株式会社が責任を負うものではありません。 当資料記載の 情報は、作成時点のものであり、市場の環境やその他の状況によって 予告なく変更することがあります。 CIOビュー| 2014年10月 5 9 つの見解 注目ポイント 世界経済の展望 信号の色で示す投資戦略 ポートフォリオ 世界経済の展望 ドイチェ・アセット&ウェルス・マネジメントの見通し 2009年の金融危機からの景気回復ペースは亀の歩みのように かなりゆるやかです。 バランスシート調整(負債を減らす動き) が 景気回復を抑制しています。 このため国債利回りが急上昇する 可能性は低いとみられます。 アソカ・ヴァマン チーフ・インベストメント・オフィサー 経済データ (予測) GDP 成長率(前年比、 %) インフレ率 (前年比、 %) 2014年(予測) 米国 2.3 2015年(予測) 3.2 ユーロ圏 0.8 1.3 英国 3.0 2.8 日本 1.5 1.5 中国 7.2 7.0 世界 3.3 3.7 2014年(予測) 2015年 (予測) 1.5 1.8 米国 ユーロ圏のGDP成長率(%) 0.8 % 1.3 % 2014年 (予測) 2015年 (予測) 1.9 0.5 1.1 2.5 中国 ユーロ圏 2.5 2.0 2.3 1.5 英国 日本 ユーロ圏景気の改善ペースは2015年に上向く見通しです。一方、 2014年と2015年の成長率見通しはそれぞれ0.2%ポイント下方 修正しました。周縁国の一部の国での構造改革の遅れや、緊張が続 日本政府は2014年4月に、消費税率を5%から8%に引き上げまし いていたロシア・ウクライナ情勢がユーロ圏景気の改善を抑制する た。第2四半期はインフレ率が上昇し、経済成長率はマイナスとなり 要因となっています。 ました。賃金は減少しており、 日本はデフレから抜け出せていないと いえます。構造改革の速やかな実施が不可欠です。 2014年と2015年の予測は2014年9月18日時点の見通しです。 過去の運用実績は、将来の運用成果等を保証もしくは示唆するもので はありません。指数に直接投資することはできません。 当資料は、信頼 できる情報をもとにドイチェ・アセット&ウェルス・マネジメントが作成 したものをドイチェ・アセット・マネジメント株式会社が翻訳して提供し ておりますが、正確性・完全性についてドイチェ・アセット・マネジメント 株式会社が責任を負うものではありません。 当資料記載の情報は、作 成時点のものであり、市場の環境やその他の状況によって予告なく変 更することがあります。 6 CIOビュー| 2014年 10月 9 つの見解 注目ポイント 世界経済の展望 信号の色で示す投資戦略 資本市場 ポートフォリオ 商品市況 (米ドル建て) 世界の株価指数 (単位:ポイント) 現在値* 2015年9月(予測) 現在値* (%) 2015年9月 (予測) (%) 2,100 5.47 原油(WTI) 91.29 94 2.97 345 365 5.80 金 1,238 1,250 0.97 3,237 3,500 8.12 銀 18.59 20 7.58 9,698 10,600 9.30 銅(LME) 6,827 6,700 –1.86 6,800 7,100 4.41 アルミニウム (LME) 2,045 1,800 –11.98 804 850 5.72 595 650 9.24 MSCI エマージング・マーケット・インデックス(米ドル建て) 1,071 1,150 7.38 MSCIラテンアメリカ指数 3,495 3,660 4.72 米国(S&P 500種) 1,991 欧州(ストックス・ヨーロッパ600指数) ユーロ圏(ユーロ・ストックス50指数) ドイツ (DAX指数)** 英国(FTSE100指数) 日本(MSCI ジャパンインデックス) MSCIアジア 除く日本(米ドル建て) アルミニウム (LME) 2,045 現在値 * 1,800 2015年9月 (予測) ユーロ圏(ユーロ・ストックス50指数) WTI:ウェスト・テキサス・インターミディエート LME:ロンドン金属取引所 2014年9月18日時点 3,237 アルミニウム市場は供給過剰で、在庫量も高水準です。過大な供給能 力がさらなる価格下落圧力となる可能性があります。 現在値 * 3,500 2015年9月 (予測) 2014年9月18日時点 ユーロ圏では、金融緩和が強化されつつあります。欧州中央銀行 (ECB)や各国政府の役割が高まっています。 これにより、ユーロ圏 景気の改善ペースは上向き、株価上昇を下支えする見込みです。 国債利回り (単位:%) 現在値* 2015年9月 (予測) 米国2年物 0.50 1.50 米国10年物 2.53 3.15 ドイツ2年物 –0.07 0.00 ドイツ10年物 1.04 1.25 英国10年物 2.50 3.15 日本2年物 0.07 0.00 日本10年物 0.56 0.70 ドイツ10年物 1.04 % 現在値 * 1.25 % 年 2015年9月 (予測) 2014 年9月18日時点 経済成長率の低さと期待インフレ率の低下を受けて、 ドイツ国債利 回りは低下しました。一方、ユーロ圏景気は2015年はゆるやかな 改善が進む見通しです。 このため、利回りは小幅上昇する可能性が あります。 2014年と2015年の予測は2014年9月18日時点の見通しです。 *出所:Bloomberg Finance LP、2014年9月11日時点 * *トータルリターンインデックス (配当込) * * * 0 ~ 0.25%の範囲内の下限水準 指標金利 (単位:%) 現在値* 米国(政策金利)** * 2015年9月 (予測) 0 – 0.25 0.25 – 0.50 ユーロ圏(政策金利) 0.05 0.05 英国(政策金利) 0.50 0.75 日本(無担保コール翌日物金利) 0.10 0.10 英国(政策金利) 0.50 % 現在値 * 0.75 % 2015年9月 (予測) 2014 年9月18日時点 英国の景気改善ペースが上向けば、イングランド銀行は2015年 第1四半期に利上げを開始する可能性があります。 為替相場 現在値* 2015年9月 (予測) (%) ユーロ/米ドル 1.2939 1.20 –7.26 米ドル/日本円 106.85 112 4.82 ユーロ/スイスフラン 1.2092 1.22 0.89 1.623 1.600 –1,42 6.13 6.015 –1.87 英ポンド/米ドル 米ドル/中国元 ユーロ/米ドル 1.2939 1.20 $ /€ 現在値* 2015年9月 (予測) 過去の運用実績は、将来の運用成果等を保証もしくは示唆するもの ではありません。指数に直接投資することはできません。 当資料は、信 2014 年9月18日時点 頼できる情報をもとにドイチェ・アセット&ウェルス・マネジメントが 作成したものをドイチェ・アセット・マネジメント株式会社が翻訳して 米 連 邦 準 備 制 度 理 事 会(FRB)が 資 産 購 入 額を縮 小する一 方、 提供しておりますが、正確性・完全性についてドイチェ・アセット・マネ ECBはバランスシートを拡大する計画です。 これは、ユーロが対米 ジメント株式会社が責任を負うものではありません。 当資料記載の情 ドルで下落する要因となるでしょう。 報は、作成時点のものであり、市場の環境やその他の状況によって予 CIOビュー| 2014年10月 7 告なく変更することがあります。 9 つの見解 20 15 向こ う1 ~ 信号の色で示す投資戦略 ポートフォリオ 年 3カ 月 世界経済の展望 9月 まで 注目ポイント 株式 信号の色(緑・黄・赤) で 示す投資戦略 ドイチェ・アセット&ウェルス・マネジメントの 見通し 地域別 米国 欧州 ユーロ圏 ドイツ 日本 日本を除くアジア 新興国 業種別 株価指数の見通し (向こう1~ 3カ月間) ポジティブ ニュートラル ネガティブ 債券と為替相場の見通し: 堅調な推移を予想 横ばい傾向を予想 下落の可能性あり 過去の信号表示は各項目の右側に小さなグラフで表示しています。 二重丸の項目は別途コメントを設けています。 2015年9月までの投資見通し 株価指数、為替相場及びオルタナティブ投資:株価指数や為替相場 及びオルタナティブ投資の場合、矢印は以下の見通しを示します。 ( )横ばい傾向、 ( )下落の可能性 ( )堅調な推移、 債券: 国債の場合、矢印は以下の見通しを示します。 ( )利回り上昇、 ( )横ばい傾向、 ( ) 利回り下落 社債や証券化商品等、新興国債券の場合、矢印は国債に対する スプレッド (利回り格差、 オプション調整後) の見通しを示します。 ( )利回り格差の拡大、 ( )横ばい傾向、 ( )利回り格差の縮小 矢印の色はロングオンリー戦略でのリターンの見通しを示しています。 プラスのリターンの可能性 プラスリターンの機会は限定的で、 マイナスリターンの可能性 もあり マイナスリターンの可能性 生活必需品 ヘルスケア 情報通信 公益事業 一般消費財 エネルギー 金融 資本財 情報技術 素材 投資スタイル別 中小型株 米国(株式) 9/2013 9/2014 2015年の企業収益の増加は数%程度と考えられます。 このため向 こう1年間は、米国株価はゆるやかに上昇する可能性があると考え ます。一方、株価収益率は過去の平均をやや上回り、株価の割安感 が薄れていることを踏まえ、短期的には米国株式をニュートラルとし ます。 ユーロ圏(株式) 9/2013 9/2014 ユーロ圏企業は、最近の米ドル高の恩恵を受け、業績見通しを達成 しやすくなったと考えられます。一方、欧州主要国の景気回復力が弱 いことや、 ロシア・ウクライナ情勢を巡る不透明感から、 ユーロ圏株式 を短期的にニュートラルとします。 過去の運用実績は、将来の運用成果等を保証もしくは示唆するもので はありません。指数に直接投資することはできません。 当資料は、信頼 できる情報をもとにドイチェ・アセット&ウェルス・マネジメントが作成 したものをドイチェ・アセット・マネジメント株式会社が翻訳して提供して おりますが、正確性・完全性についてドイチェ・アセット・マネジメント 株式会社が責任を負うものではありません。当資料記載の情報は、 作成時点のものであり、市場の環境やその他の状況によって予告なく 変更することがあります。 8 CIOビュー| 2014年 10月 日本(株式) 9/2013 9/2014 日本では景気回復が幅広いセクターに波及しつつあります。 しかしな がら、東京市場の株価はすでに大きく上昇しており、大型株には割高 感もあります。 このため短期的に日本株式をニュートラルとします。 向こう1年間の見通しはポジティブです。 9 つの見解 注目ポイント 9月 まで 3カ 月 15 年 ポートフォリオ 20 向こ う1 ~ 世界経済の展望 信号の色で示す投資戦略 債券 国債利回り 米国国債(2年物) 米国国債(10年物) 米国国債 (30年物) 一般消費財セクター(株式) 英国国債(10年物) 9/2013 9/2014 世界各国で景気拡大が見込まれます。低迷していたユーロ圏ですら 景気は改善し始めています。世界経済が拡大しつつある状況下ではこ れら景気循環セクターのパフォーマンスが高まります。 さらに新興国 でも消費者心理が改善すると見込まれます。 このため、引き続き一般 消費財セクターを短期的にポジティブとします。 欧州周縁国国債 ドイツ国債(2年物) ドイツ国債(10年物) 日本国債(2年物) 金融セクター(株式) 日本国債(10年物) 社債 9/2013 9/2014 金融セクターの株価上昇は、増配や自社株買いが原動力となってい ます。金融セクター各社は、 コスト削減によって、金融規制の強化や 収益を上げにくい低金利環境にも対処しています。割安感に加え増 収見通しが、金融セクターを有望と考える理由です。同セクターの短 期的なポジテイブの見通しを継続します。 米国投資適格社債 米国ハイ・イールド社債 ユーロ・投資適格社債 ユーロ・ハイ・イールド社債 アジア社債 米国国債(10年物) 新興国社債 証券化商品等 9/2013 9/2014 米国では主要経済指標が景気拡大を示唆しています。一方、FRBの イエレン議長は、労働市場の需給にはさらなる改善が必要と認識し ており、政策金利引き上げ開始時期に関するフォワードガイダンス (先行きの金融政策指針)をまだ変更していません。 このため、短期 的には米国国債の大幅な価格下落(利回り上昇) の可能性は低いと 考えます。 カバード・ボンド 米国地方債 米国住宅ローン担保証券 為替 ユーロ(対 米ドル) ドイツ国債(10年物) 米ドル(対 日本円) ユーロ(対 英ポンド) 9/2013 9/2014 期待インフレ率の低下を受けて、ECBは資産担保証券(ABS)等の 購入プログラムを発表しました。 もっとも、 ユーロ圏景気の回復はか なりゆるやかであるため、国債利回りの上昇(価格の下落)は限定的 とみられます。短期的にはニュートラルとします。 ユーロ(対 日本円) 英ポンド(対 米ドル) 新興国市場 新興国国債 米ドル (対円) オルタナティブ投資 インフラストラクチャー 9/2013 9/2014 日本銀行はデフレ心理の改善に失敗し、追加緩和策が必要との見方 が出てきています。消費者心理に目立った改善はみられず、賃金引き 上げの動きも広がりはみられません。短期的な見通しとして、米ドル は107円前後で推移する可能性が高いでしょう。 コモディティ 不動産 (上場) 不動産 (非上場) コモディティ 新興国市場(株式) 9/2013 9/2014 ここ数カ月の米ドル高を受けて、現地通貨建コモディティ価格は割高 感が強まり、需要減退も懸念されます。 とりわけ、中国のコモディティ エネルギー分野では、 シェー 2014年前半において、新興国の株価は先進国よりも大きく上昇し 需要は予想より落ち込んでいます。一方、 ました。 その結果、新興国の株価は割安感が薄れました。短期的には、 ルガス/オイルの供給増により、原油・天然ガス価格には下落圧力が 各国の政策金利引き上げが株価上昇を抑制する圧力となり得るで かかっています。 しょう。 9/2013 9/2014 CIOビュー| 2014年10月 9 9 つの見解 注目ポイント 世界経済の展望 アジア・パシフィック 信号の色で示す投資戦略 ポートフォリオ ポートフォリオ ドイチェ・アセット&ウェルス・マネジメントの 資産配分 コモディティ 2.5 % オルタナティブ 10.0 % 50.0 % 株式 コア資産配分 当社のコア・ポートフォリオは、伝統的資産であり、流動 性が高い株式、債券、 コモディティといった投資対象を 組み入れています。右のグラフは、現在の資産配分を 示しています。 債券:米欧の国債利回りはいずれ上昇へ 米国の国債利回りは低めの水準にとどまっています。 ドイツの国債利 回りはさらに低い水準です。現状、地政学的リスクやユーロ圏景気の 悪化懸念が、国債利回り上昇を抑える要因として市場で材料視され ています。先行き、市場の関心が米連邦準備制度理事会(FRB) の政 策スタンスに戻り、量的金融緩和策(QE) の終了が再び意識されてい くに連れ、国債利回りは上昇し始めると考えられます。国債利回り上 昇は、 ユーロ圏周縁国国債やハイ・イールド債券に対しては、 パフォー マンス向上を抑制する要因になる可能性があります。新興国の債券 市場に対しては、現地通貨建て債券よりも米ドルなど主要先進国通 貨建て債券を選好する動きにつながる可能性があります。米国金利 等の先高観で米ドル高・現地通貨安などが進めば、為替レート調整 後の債券リターンは、先進国通貨建てが現地通貨建てを上回る市場 が多くなるとみられるからです。 株式:現状の割高感は薄れ一段の株価上昇へ 株価が一段と上昇した市場が多いため、各市場では割高感も意識さ れています。 しかし世界的な景気回復に伴って、企業業績の改善が見 込まれることから、株価が一段と上昇する可能性があります。同時に、 先行き、株価のボラティリティ (変動性) がやや高まる恐れもあります。 これまでドラギ総裁が率いる欧州中央銀行(ECB)の金融緩和策の 強化は、市場心理の悪化を抑える要因でしたが、今後、 ユーロ圏だけ でなく、世界のあちこちで市場が動揺する可能性も否定できません。 新興国の株式市場は好調が続くと見込まれますが、 各市場間でパフォー マンスには大きなばらつきが出る可能性があります。 コモディティ:悪材料が目立つ コモディティについては慎重な見方を維持しています。 まず、 米ドル高が 進めば、 コモディティの各市場には、現地通貨建て価格の上昇を通じ た需要減退などが見込まれ、相当な悪材料になる可能性があります。 加えて、地政学的リスクは高まっていますが、原油価格や金価格など の上昇につながりにくく、 さほど影響はなさそうです。 原油価格は、 米国 での増産などが上昇を抑える要因となっています。金価格は、米国の 政策金利引き上げが迫っていることから、上昇余地は限定的と考え られます。 10 CIOビュー| 2014年 10月 4.5 % 41.0 % 8.5 % 13.0 % 11.5 % 9.0 % 37.5% 債券 株式 投資比率 先進国市場 41.0 % 新興国市場 9.0 % 債券 社債 11.5 % 国債 13.0 % 新興国債券 8.5 % 現金 4.5 % コモディティ コモディティ 2.5 % オルタナティブ オルタナティブ 10.0 % 出所:ドイチェ・アセット&ウェルス・マネジメント 地域投資 委員会(RIC) 、 ドイツ銀行(香港) 2014年9月22日時点 上記の資産配分は米ドル建てであり、 すべての投資家に適して いると保証もしくは示唆するものではありません。 オルタナティブ 資産のポートフォリオについては12ページに記載しています。 過去の運用実績は、将来の運用成果等を保証もしくは示唆す るものではありません。当資料は、信頼できる情報をもとに ドイチェ・アセット&ウェルス・マネジメントが作成したものを ドイチェ・アセット・マネジメント株式会社が翻訳して提供 しておりますが、正確性・完全性についてドイチェ・アセット・ マネジメント株式会社が責任を負うものではありません。 当資料記載の情報は、作成時点のものであり、市場の環境や その他の状況によって予告なく変更することがあります。 9 つの見解 注目ポイント 世界経済の展望 信号の色で示す投資戦略 ポートフォリオ エルケ・ショイプルヨースト ドイチェ ・アセット&ウェルス・マネジメント アジア太平洋地域 チーフ・インベストメント・オフィサー(CIO) エルケ・ショイプルヨーストに聞く-ポジティブ?ネガティブ? アジア太平洋地域CIOの6資産への視点 米国景気-拡大の勢いは続くか? ポジティブ ここ数カ月の経済指標は、 税収データや、新規失業保険申 請件数、米供給管理協会(ISM)製造業景気指数、新車販売台数、 資金借入需要などが景気改善を示唆しています。加えて、原油価格 の落ち着きも追い風となり、住宅需要や消費者心理も上向きつつあ ります。 このため米国の景気拡大の勢いが衰える可能性は低いと考 えます。 中国・香港-取引所間の相互接続は好材料か? ポジティブ 香港と上海の証券取引所の相互接続が2014年10月に予 定されています。個別株式や市場環境に幅広い影響が予想されます。 もっとも、 プラスの影響は中長期的に現れてくるとみられ、市場は短期 的な影響を過大評価している可能性があると考えます。 欧州株式-さらなる上昇余地はあるか? ポジティブ ユーロ圏の経済指標はなお強弱まちまちです。 欧州株式 資産価格の変動性-安定した市況推移は続くか? は、株価収益率 (PER) でみると、 もはや割安感が薄れています。 一方、 株 ネガティブ 株式などリスク性資産を選好しています。 では、なお割安感があります。 また最近のユー ただし、株価など 価純資産倍率(PBR) 資産価格は上下動し変動性が高まっています。 これは、金融政策が ロ安も企業収益を下支えすると見込まれます。加えて、欧州中央銀行 正常化に向かう投資環境の変化を反映した動きと考えられます。 (ECB) の金融緩和策や、米国や他の主な輸出相手国の景気改善も、 加えて米国では、中間選挙の年は株価が調整する傾向にあります。 欧州株価を下支えすると考えられます。 またユーロ圏もやや厳しい局面を迎える可能性があります。新興国 市場も、2013年に米国の量的緩和の縮小懸念で市場が大きく動揺 したほどではないにせよ、米国の政策金利引き上げから少なからず 影響を受ける可能性があります。 米国の景気敏感株-なおディフェンシブ株より有望か? ポジティブ 市場では来年 (2015年)見込まれる米連邦準備制度理事 会(FRB)の政策金利引き上げの影響に関心が高まっていますが、 景気敏感株についてはなおポジティブです。 というのも、FRBの利 上げは、 インフレ懸念によるものではなく、景気拡大の勢いがある米 国経済のファンダメンタルズ(基礎的条件) の強さによるものであり、 これは景気敏感株にとっても好材料であるからです。加えて、過去の 政策金利引き上げ開始までの局面を振り返ると、景気敏感株はディ フェンシブ株(景気循環の影響を受けにくい銘柄)のパフォーマンス を上回る傾向にあります。 (注) ポジティブ ポジティブな見通しを意味します。 ネガティブ ネガティブな見通しを意味します。 過去の運用実績は、将来の運用成果等を保証もしくは示唆するもの ではありません。 当資料は、信頼できる情報をもとにドイチェ・アセット &ウェルス・マネジメントが作成したものをドイチェ・アセット・マネジ メント株式会社が翻訳して提供しておりますが、正確性・完全性につ いてドイチェ・アセット・マネジメント株式会社が責任を負うものでは ありません。 当資料記載の情報は、 作成時点のものであり、 市場の環境 やその他の状況によって予告なく変更することがあります。 アベノミクス-なお有効か? ポジティブ 日本の国内総生産 (GDP) は2014年4-6月期に大幅なマイ ナス成長となりましたが、 これは4月の消費税率引き上げによるもの であり、予想されていました。名目賃金上昇率や消費者態度指数など 他の経済指標は概ね良好です。一方で、期待インフレ率の低下は懸念 材料です。 このため日本銀行は 2014年10 -12月期にも追加緩和策 を実施する可能性があり、2015年3月に向けて 「物価安定の目標」 達成を図ると考えられます。 CIOビュー| 2014年10月 11 9 つの見解 注目ポイント 世界経済の展望 信号の色で示す投資戦略 ポートフォリオ ポートフォリオ 流動性の低いオルタナティブ資産 ドイチェ・アセット&ウェルス・マネジメントの 非伝統的資産クラスに対する見通し 低流動性 ヘッジ・ファンド プライベート・ エクイティ インフラスト ラクチャー 不動産投資 オルタナティブ資産配分 各資産クラスの性質は独特であることから、流動性の 高い資産と低い資産に分けて見通しを示します。 流動性の高いオルタナティブ資産 株式ロング・ショート戦略 米国景気の力強い拡大や欧州・日本の金融緩和策により、株式市場 では一桁台後半のリターンが見込まれます。 当戦略のヘッジファンド 各社は、米国では幅広く投資機会を見出す一方、欧州ではアルファ (超過収益) を高める投資機会を探っています。 マクロ戦略/ CTA戦略 マクロ戦略のヘッジファンド各社は、今年に入って債券市場や為替市 場で投資機会を見出しています。 またCTA(Commodity Trading Advisors)戦略の最近のパフォーマンス改善は、長期金利や為替市 場の動きが一因です。 流動性の低いオルタナティブ資産 プライベート・エクイティ プライベート・エクイティの年初来リターンは引き続き堅調です。 これ は好調なIPO (新規株式公開) や企業のM&A(合併・買収) による好 条件での投資資金回収や資産評価益の拡大によるものです。低金利 環境が続き、 かつエグジット (投資資金回収) も高水準で続いているこ とから、 プライベート・エクイティ市場は今後も底堅く推移すると見込 んでいます。 不動産投資 不動産投資における表面利回りは、 世界的にみて国債利回りよりも引 クレジット戦略 き続き魅力的です。加えて、国債利回り対するスプレッド (利回り差) の 社債のロング・ショート戦略は、 スプレッド (国債に対する利回り差) 厚さは、市場金利水準が予想以上に上昇した場合にも、損失吸収の の一段の縮小は見込み薄とみられるものの、 引き続き財務状況や事 バッファーとなり得ます。将来の市場金利上昇リスクを抑えるため、 業環境等の改善がプラス材料になるとみられます。 コール・リスク (繰 長期契約のリース資産はアンダーウェイトとし、景気改善に伴う賃料 上償還リスク)に注目した戦略のパフォーマンスは期待薄とみられ、 上昇等により恩恵を受ける景気に敏感な不動産セクターをオーバー 銘柄選択がカギを握ると考えます。 ウェイトとするのが一案と考えます。 イベント・ドリブン戦略/レラティブ・バリュー戦略 企業各社は収益性を向上させるため、引き続き、事業の垂直統合や 地理的分散を模索しています。M & A(合併・買収)が増加している のは、企業がバランスシート調整(過去の過大な借入債務の返済) を 経て財務状況が改善しつつあることに加え、低コストで資金調達でき る市場環境であることが主な理由です。 このため、イベント・ドリブン 戦略はなお有望と考えます。 流動性の高いオルタナティブ資産 イベント・ ドリブン戦略/ レラティブ・ バリュー戦略 株式ロング・ ショート戦略 クレジット 戦略 12 マクロ戦略/ CTA戦略 CIOビュー| 2014年 10月 インフラストラクチャー インフラ資産への投資家の需要は、安定的なキャッシュフローが見 込まれることや対象事業の成長性に下支えされ、 引き続き旺盛です。 成長性の低い公益企業にとっては、市場金利上昇リスクは逆風とな り得ます。一方、エネルギー企業は持続的な成長が続いているため、 市場金利上昇リスクを相殺すると期待されます。 低流動性ヘッジ・ファンド 長期的戦略に有望な投資機会があると考えます。特に、アクティビ ズム、一部のストラクチャード・クレジット、保険リンク証券、セカン ダリー投資、 レギュラトリー・アービトラージ、直接融資などに関連 する戦略です。 出所:ドイチェ・アセット&ウェルス・マネジメント・インベストメント GmbH、 ドイチェ・バンク・トラスト・カンパニー・アメリカ。2014年9月 22日時点。上記の資産配分はすべての投資家に適していると保証 もしくは示唆するものではありません。 ドイチェ・アセット&ウェルス・ マネジメントの資産配分では、現在約10%がオルタナティブ資産への 投資となっています。 (10ページの 「ポートフォリオ」 をご参照ください。 ) 過去の運用実績は、将来の運用成果等を保証もしくは示唆するもの ではありません。 当資料は、信頼できる情報をもとにドイチェ・アセット &ウェルス・マネジメントが作成したものをドイチェ・アセット・マネジ メント株式会社が翻訳して提供しておりますが、正確性・完全性に ついてドイチェ・アセット・マネジメント株式会社が責任を負うもので はありません。当資料記載の情報は、作成時点のものであり、市場の 環境やその他の状況によって予告なく変更することがあります。 9 つの見解 注目ポイント 世界経済の展望 信号の色で示す投資戦略 ポートフォリオ ティム・ガスコインに聞く─ポジティブ?ネガティブ? リキッド・オルタナティブ — ヘッジファンド部門責任者の視点 リキッド・オルタナティブ(流動性の高いオルタナティブ投資)への 資金流入は極めて好調だが、 この傾向は今後も続くのか? ポジティブ リキッド ・オルタナティブ市場への資金流入は急増しています。 欧州のUCITS指令や米国の40Act(1940年投資会社法) が定める 投資信託等の形態のオルタナティブ・ファンドへの資金流入がその 例です。 この理由は、 株式など伝統的な資産クラスの価格上昇はピーク に近づき、 さらなる上昇が見込めないと判断する投資家が増えつつ あるためです。加えて、機関投資家がリキッド・オルタナティブ資産へ の資産配分を増やす長期的なトレンドについても継続しています。 リキッド・オルタナティブ全般に対する見通しは? ポジティブ 向こう1年間を見通すと、 リキッド・オルタナティブは、 絶対的 なパフォーマンスも、伝統的資産に対する相対的なパフォーマンスも、 上向くと期待しています。最も有望視しているのは、イベント・ドリブ ン戦略です。 また、株式ロング・ショート戦略およびマーケット・ニュー トラル戦略も、高いリターンが期待されます。 ( 金融モデルを組み込 んだシステムは使わずマクロ経済動向を見極めながら運用する) ディ スクレショナリー・マクロ戦略のヘッジファンドには、為替市場のボラ ティリティ (変動性)上昇が追い風となりつつあります。 こうしたヘッジ ファンドにとっては、今後の政策金利引き上げのタイミングを正確に 伝統的な資産クラスと比較したパフォーマンスは? 見極めることがカギとなります。 また、CTA(Commodity Trading ネガティブ リキッド・オルタナティブ資産で構成される指数の多くが年 Advisors)戦略についてはやや慎重にみており、小幅なアンダーウェ 初来、 プラスのリターンとなっています。 しかし、厳しい投資環境を背 イトとします。 これは、方向感を見い出し難い市場環境となっているた 景に、 オルタナティブ資産全体としては伝統的な資産クラスのリターン めです。そしてディストレスト戦略は、企業の経営破綻が減少傾向に を下回っています。 もっとも、個別の戦略ごとにリターンは異なります。 あることから、厳しい局面が続くと予想されます。 最も良好なのはイベント・ドリブン戦略であり、活発なM&A(合併・買 収) が追い風となっています。 クレジット戦略も極めて好調です。 今年、 株式ロング・ショート戦略は良好な運用成果が期待されていたが、 それは実現したのか? ネガティブ いいえ。 実際、 2014年4-6月期は、 株式ロング・ショート戦略 のパフォーマンスは最も低迷しました。長期金利が予想外に低下し、 グロース株を売却しバリュー株へ乗り換える動きが加速したことが、 この戦略を採用する多くのヘッジファンドが打撃を受けた理由です。 一般消費財、情報技術、バイオテクノロジーなどの各セクターを ロング (買い持ち) にしたポートフォリオは、 それまでは好調でしたが、 パフォーマンスが大きく悪化しました。 株式ロング・ショート戦略のパフォーマンスは改善が見込まれるか? ポジティブ はい、 改善を期待しています。株式ロング・ショート戦略の パフォーマンスは5月以降持ち直しつつあり、2014年末にかけてこ の戦略に有利な市場環境が続くと予想しています。米国景気の拡大 や市場金利上昇の流れを背景に、多くの地域やセクターでアルファ (超過収益) を高める投資機会があると考えられます。特に最近の傾 向として、 ロング・ショート戦略のヘッジファンドの間でユーロ圏銘柄 に対する関心が高まっています。新興国市場に関しては、中国本土や 香港からインドへ投資対象を移す動きがみられます。 (注) ポジティブ ポジティブな見通しを意味します。 ネガティブ ネガティブな見通しを意味します。 過去の運用実績は、 将来の運用成果等を保証もしくは示唆するもので はありません。 当資料は、信頼できる情報をもとにドイチェ・アセット& ウェルス・マネジメントが作成したものをドイチェ・アセット・マネジメント 株式会社が翻訳して提供しておりますが、 正確性・完全性についてドイ チェ・アセット・マネジメント株式会社が責任を負うものではありません。 当資料記載の情報は、作成時点のものであり、市場の環境やその他の 状況によって予告なく変更することがあります。 オルタナティブ投資の募集および販売は規制要件の適用対象となり、 同投資手法は1940年米連邦投資会社法により定義される 「適格購 入者」 および1933年証券法の“Regulation D”に定義される 「適格投 資家」 に該当する投資家に限って利用できることがあります。 オルタナ ティブ投資制度は一部投資家には適さない場合があります。 CIOビュー| 2014年10月 13 ご留意事項 当資料は、 情報提供を目的としたものであり、 特定の投資商品の推奨や投資勧誘を目的としたものではありません。 当資料は、 信頼できる情報をもとにドイチェ・アセット&ウェルス・マネジメントが作成したものをドイチェ・アセット・マネジメント株式会社 が翻訳して提供しておりますが、正確性・完全性についてドイチェ・アセット・マネジメント株式会社が責任を負うものではあり ません。 当資料記載の情報は、作成時点のものであり、市場の環境やその他の状況によって予告なく変更することがあります。 市場や経済に関するデータや過去の運用実績は記載時点のものであり、将来の傾向、数値等を保証もしくは示唆するもので はありません。 ドイチェ・アセット・マネジメント株式会社について 金融商品取引業者 関東財務局長 (金商) 第359号 加入協会:一般社団法人投資信託協会、 一般社団法人日本投資顧問業協会 ドイチェ・アセット・マネジメント株式会社は、 ドイチェ・アセット&ウェルス・マネジメントの日本における資産運用拠点であり、 投資信託ビジネス・公的年金・企業年金運用の長年にわたる経験、 ノウハウ及び実績を有します。 グローバルな運用体制と 独自の洞察力を駆使した質の高いサービスをご提供するとともに、 日本市場の資産運用ニーズに的確にお応えすることを 目指します。 ドイチェ・アセット&ウェルス・マネジメントは、 約9,550億ユーロの運用資産を有する世界有数の運用グループです。 投資信託 のほか、ETF、 不動産投資戦略、 ヘッジファンド運用戦略を中核としたオルタナティブ投資など多彩な運用ラインアップを取り 揃え、個人及び機関投資家など幅広い層のお客様を対象にグローバルな資産運用のソリューションを提供しています。 また、 世界中の富裕層向けに、 個々のお客様のニーズにお応えするウェルス・マネジメント・ソリューションやプライベート・バンキング・ サービスを提供しています。 2014 年 6月末時点 ※ドイチェ・アセット&ウェルス・マネジメントは、 ドイツ銀行グループのアセット&ウェルス・マネジメント部門のブランド名です。 © 2014 Deutsche Bank AG D-141028-2 CIOビュー| 2014年10月 14