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リニューアルのコストベネフィット分析 - 日本オペレーションズ・リサーチ学会

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リニューアルのコストベネフィット分析 - 日本オペレーションズ・リサーチ学会
冒覆-盟臨璽量 1111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111
拡張 AHP 手法を利用した
リニューアルのコストベネフィット分析
木下栄蔵,宮坂房千加,石川良光,東幸彦
来の定性値を使った一対比較による総合評価としての
1.はじめに
重要度を求めるプロセスに客観的な定量データを取り
OR の意思決定手法として利用されている AHP
込むことで、その重要度を信頼性の高い方に修正する
は、意思決定のコンセンサスを得るのに有用と考えら
ことができる。この定量的データは毎年得られるの
れている。 AHP 手法には多くの研究事例があり、今
で、もちろんアンケートを再実施しでもよいが、あま
回紹介するコストベネフィット分析などにも利用され
り手間をかけずに定性的データを数年間そのままにし
ている。本報では、ピル設備のリニューアルに AHP
て、コンピュータによる自動繰り返し計算を行えば、
を適用した事例について紹介する。
AHP を手軽に再利用する機会を大幅に増やせるであ
ピル設備のリニューアルの決定要因、プロセスは
様々であるが、リニューアルの必要性について妥当な
判断材料を意思決定者に提供することは、合意を得る
うえで重要である。特に、リニューアルにおけるベネ
フィットとコストの関係が明かなほど決定に際して満
ろっ。
2
. AHP 手法
2
.
1 概要
1971 年、 Thomas L
.Saaty(ピッツパーグ大学教授)
足が得られやすいと考えられる。今回は、メーカ一、
は、不確定な状況や多様な評価基準における意思決定
サーピス会社の立場から、多数のピルに対してリ
手法として、階層分析法 (AH P) を開発した。この方
法とは、
ニューアルの有効性を解析した。
本解析の特徴としては、多数のピルを評価対象とす
①問題の要素を最終目標、評価項目、代替案の関係
で捉えて、階層構造に分解する。
るため、アンケートにもとづく絶対評価法を用いた。
また、どのピルも自動制御設備のメンテナンス契約を
②各レベルの要素聞の重み付けを行う。これは、
l
つのレベルにおける要素聞の一対比較を l つ上の
結んでおり、不良、故障に関する定量的データが毎年
集まり、このデータをアンケートの定性的データと統
レベルにある関係要素を評価項目として行う。 n
合した。さらに、評価項目聞の従属性についても評価
を比較要素数とすると、
を実施したことである。
を 1/9 ,
ピルの運営には個人所得と比べて、莫大なコストが
8,
n(n- 1) /2 個の比較
1 / 8 ,…,
1/2 ,
1 ,
2 ,…,
9 の表 1 に示す数値で行う。
かかり、そのコストのかけ方はなかなか判断しずら
③各レベルの要素聞の重みを計算し、この結果を用
く、ともすれぽ慣習的になされる。こういった決定を
いて目標に対する各代替案の総合評価を行う。
利益面で考えるには、それなりの手法を適用する必要
表 1 一対比較値の意昧
があり、 AHP は一つの有効なアプローチとなりう
重要性の尺度
定
義
(以前は後者に比べて)
同じくらい重要 (equa1
る。さらに、 AHP 手法の一般的な使い方として、従
3
5
7
9
きのした えいぞう
名城大学都市情報学部
干 509-02 岐阜県可児市虹ケ丘4ふ3
i
m
p
o
r
t
a
n
c
e
)
やや重要 (weakimpo口組問)
かなり重要 (strong impon朗自)
非常に重要 (very s回ng impo由n田)
極めて重要 (abso1ute impo由n田)
(2 .4,6, 8 は中間の時に用いる)
みやさかふさちか
山武ハネウエル(株)ピルシステム事業部マーケティング部
干 150 東京都渋谷区渋谷2-12司 19 東建インターナショナルピル
いしかわ
干 108 東京都港区芝浦4-3-4 田町きょたピル
A2'
….
An のすぐ上のレ
場合、
ai のしに対する重要度を aij とすれば、要素
A1 , A2 ,…, An の一対比較行列は A = (aij) とな
ゆきひこ
山武計装(株)ピルマネージメント事業部営業開発部
干 108 東京都港区芝浦4-3-4 田町きょたピル
受付
あるレベルの要素 AI ,
ベルの要素に対する重み Wl , Wz ,…, W n を求める
よしみつ
山武計装(株)ピルマネージメント事業部営業開発部
あずま
2.2 数学的背景
る。もし、 WI ,
WZ ,…,
W n が既知の時、 A=(aiJ
は、
9
4
.
1
0
.
1
7 採択 9
5
.
3
.
2
0
1995 年 8 月号
© 日本オペレーションズ・リサーチ学会. 無断複写・複製・転載を禁ず.
(17)411
つの階層図の同じピル間でベネフィットのウェイトを
)
l
(
A,
A ,…
A.
A ,rWd W , WdW, .,. W ,/
W.l
A ,I W
,/ Wr
, W"2~,/ W
, ・・ W"11
, /W.
A=(a
;
j
)
= ~JI
rr2~ r
J
"2
r
r
"I
I
る。
A.LW./W, W./ W, ・・ W ,/ W.
1
3
.
1 A H P の拡張
ただし、
a <j =W,/Wj,
a
WT=(W , W 2
2 章で述べた従来の AHP 手法では、各評価項目に
,= l/a'j
…
W.J ,
コストのウェイトで割ってリニューアル有効度を求め
関する代替案の評価は、各代替案聞の一対比較で行っ
i, j =1 ,2; ・ 1
た。 Saaty はこのやり方を Relative Measurement法と呼
そして、一対比較行列 A に重み列ベクトルを掛けると
A .w =n .w
んでいる。ところが、この方法には次の問題点がある。
①代替案が追加された時、もう一度一対比較をやり
となり、この式は固有値問題
直さなければならない。
(A-n' I
).w=O
(
2
)
に変形できる。ここで、 w 宇 O が成り立つためには、
②代替案が追加された時、代替案の順位が逆転する
ことカf ある。
n が A の固有値になる。この時 w は A の固有ベクトル
③代替案の数が多くなると、一対比較の数が極めて
となる。さらに、 A のランクは l であるから、固有値
多くなり、一度に一対比較するのは困難になる。し
À;(i=1
, 2 ,…,
n) は 1 つだけが非零で他は零
となる。また、 A の主対角要素の和は n であるから、
ただ l つ零でない À; を Àmax とすると、
,= 0 ,
タ
タ~=
n(À , 宇」叩
となる。したがって、 A 1 ,
(3)
Az , …,
An に対する重
みベクトル w は、 A の最大固有値 Àmax に対する正規化
した (~w;= l)固有ベクトルとなる。
かも
整合性が悪くなることが認められている。
そこで Saaty はこのような不都合を克服するために
r
A
b
s
o
l
u
t
eMeasurement法j を提唱した。この方法は各
評価項目に対する各代替案の評価は一対比較 (Relative
Measurement) で行うのではなく、絶対評価 (Absolute
Measurement) で行うのである。
本研究では多数のピルを評価対象とするため、上記
実際に問題を解決する時は w が未知であり、 W' を求
③の理由で従来の AHP 手法を用いることが難しい。
める必要がある。そこで、 W' を意思決定者の答えか
そこでAbsolute Measurement法を用いることにした。
ら得られた一対比較行列より計算する。このような問
しかし、この手法を種々のシステムに適用する場合、
題は、
各代替案のデータの質によって様々なやり方が考えら
A'W'=タ'
m
a
xW ,( タ'max は A' の最大固有値)
れる。そこで木下は各代替案のデータがクリスプな場
となる。これにより未知の W' が求められる。
合とファジィな場合の具体的な計算方法を提案してい
しかし、状況が複雑になるほど意思決定者の答えは
整合しなくなり、 Saaty の定理
Àm副 =n+~
~
る。 1) 以下、その手法を簡単に説明する。
まず、問題の階層構造を決定、各評価項目間の寸す
(
4
)
比較を行い、重み (W) を計算する。これは従来の AH
Àmax 孟 n がなりたち、等号は首尾一
の評価値を決定する。データがクリスプな場合、評価
(W'ja ,j-W' ,)2/W' ,W'jajn
P 手法と同じである。次に各評価項目ごとに各代替案
により、常に、
貫性の条件が満たされる時のみ成立する。これから
タ'_.-n
(
5
)
C.I.= 一一;ニー?
n-l
項目 i における代替案 j の評価値 (e ;)を与える際に
一対比較を行うのではなくて実際の値を用いる。例え
ば年間故障回数という評価項目に対し、実数で評価す
を整合度 (consistency index) とし、 S銅.ty は、 C. 1.の債
るといった与え方である。しかしこれでは絶対値の大
が 0.1 (場合によっては 0.1 5) 以下であれば合格と
きさに左右されてしまうので、さらに e ;j を i におけ
することを経験則より提案している。
3.リニューアルのコストベ.ネフィッ卜分析
ここでは、自動制御設備のリニューアルのコストベ
ネフィット分析に AHP を応用する例を紹介する。評
る最大評価値 e imaxで割った値 Sij を新たに i における
代替案 J の評価値とする。すなわち
S q,,=
~
...,
(
6
)
JmlX
とする。
価対象としてメンテナンス契約を結んでいる複数ピル
次にデータがファジイな場合、各評価項目ごとに各
のリニューアル要求度(ベネフィットに相当)と改修費
代替案の評価値を決定する際に、まず評価項目におけ
用(コストに相当)に関する階層図を別々に作り、それ
る評価水準を設ける。例えば部品供給停止については
ぞれ拡張した AHP 手法により評価する。さらに、 2
A(悪い)、 B( 普通)、 C( 良い)の 3 段階の評価水準で
4
1
2(
1
8
)
© 日本オペレーションズ・リサーチ学会. 無断複写・複製・転載を禁ず.
オベレーションズ・リサーチ
ある。(ただし、評価水準の数は評価項目によって異
み込むことは可能であるが、本研究ではコストとベネ
なってもよい。)そして、これら 3 段階の評価水準問
フィットの要因は別々の階層構造とし、最終的に単位
の一対比較を行う(表3参照)。この場合の固有ベクト
コスト当たりのベネフィット(ベネフィット÷コスト)
ルが部品供給停止の悪さ(評価値)を表している。した
をリニューアル有効度として求めた。
がって、ある評価項目 i (例えば部品供給停止)におけ
1)リニューアル要求度(ベネフィット)
る代替案 j (例えば部品供給停止が普通のピル)の評価
まず、最上層に最終目標であるリニューアル要求度
値e
を置き、リニューアルの評価項目を検討して図 1 の
i
j
*(この場合0.207)
を 1 における最大評価値 e
i
m
a
x*
(この場合0.735) で割った値(この場合0.282) を新たに
l における代替案]の評価値 Sij* とする。すなわち
e
e
"
.'=ーームー
Sリ,、・
(
7
)
ような階層図を作成した。この過程で ISM
(Inte甲凶veStn剛山首1M崎ling) による階層構造の決定
を行った。レベル 2 において定量的基準と定性的基
準とに分け、定量的基準には定期点検、オンコール
し,四
とする。
(非常要請)において見つかった故障に関するデータ
そしてデータがクリスプな評価項目の評価値 (S i
j
)
とファジィな評価項目の評価値(
Si
j*)を組み合わせて
評価マトリックス T(Tij) を作成する。以上の結果よ
り計算した
を利用した。また、定性的基準には、自動制御設備
の改修を実際に実施した複数ピルの意思決定者に対
して、改修に至った動機についてヒアリングした結
果に基づいて基準:@-⑬を設定した。
0
0
~=~W
が代替案 j の総合評価値である。
2) リニューアルコスト
コストの階層構造は、ユーザのリニューアルに対
以上説明した手法を用いることによって代替案(ピ
ル)が増えても一対比較をやり直す必要がなく、各ピ
ルのデータはそのまま利用でき、追加データを入力し
て再計算を行えばよい。
する積極性を定性値とし、定量値として改修費用
を用いた。階層図を図 2 に示す。
3
.
3
フィールドデータ
1)ベネフィットデータ
また、定量的データに対して AHP を使うために定
①定量的データ
性値に変換することも考えられるが、定量値のまま利
メンテナンス契約を結んでいるピルの内、竣工後
用することも可能である。ただし、定量値がマイナス
10-20年程度経過しているピルを中心にリニュー
値を含む場合は、非負にするためその評価項目全体に
アル要求度調査対象を選定した。この段階で対象
ついて妥当な変換を行う必要がある。
ピル数は 128 ピルであった。次に、データベース
3
.
2 コストベネフィット分析
化されている保守データの中から、過去 3 年間の
自動制御設備のリニューアルを行うことにより効用
中央監視の故障回数、ローカル自動制御機器の不
(ベネフィット)があるが、マイナスの効用(コスト)も
良率について平均値を算出した。また、故障回
生じるため、コストについてもベネフィットと同様に
数、不良率の傾向を見るため年毎の偏差平均を過
考慮しなければならない。 AHP 手法による分析で
去 3 年に渡って求めた。
は、コストの要因も他の要因と同じ階層構造の中に組
量畏象寄目相模
v'--<' ノレ 2
(書平イ商韮車時!!I)
し/.--<.ノレ 3
(圏平イ面差底究悼)
一一一ーーーーー
一
一一一一一一一ー
ー一一一一一一一一. I? ピル|多数
書平イ面安寸禽昆
(千号事書舞軍司
図 1 リニューアル要求度の階層図
1995 年 8 月号
© 日本オペレーションズ・リサーチ学会. 無断複写・複製・転載を禁ず.
(
19
)4
1
3
えた。このうち省エネについては A~D の 4 段階
の評価水準とし、充分な回答が得られた 71 ピルに
ついて表2 にまとめた。また、定性値 A ,
B, C
のウェイトについては、表3 に示す値とした。レ
ベル 4 の評価項目聞の一対比較は、ユーザの意向
については図 3 に示すように既にリニューアルを
実施したユーザの動機を調査した結果をもとに与
図 2 リニューアルコストの階層図
えた。
②定性的データ
2
) コストデータ
①で対象としたピル設備管理責任者にピル設備リ
改修費用として対象ピル毎に現在設置されている
ニューアルについての意見を求めた。その結果を
自動制御機器および建物規模から置き換え機器を
元にして定性的な評価項目(レベル 4) 7 つについ
想定し、機器費用に工事・調整費を含めた改修コ
て A(悪い),
c(良い)の評価水準を与
B(普通),
ストの概算値を使用した。
表2 定量・定性データ
ベネフイヲト
ピル
No
故障数平均
00
7
8
09
10
11
12
13
14
15
16
17
11
9
8
20
21
22
23
22
5
4
26
27
28
29
30
31
32
却損聖位偏差
0.75
0.00
0.50
0.0
33
0.00
0.00
0.25
0.33
一
0.00
0.00
0.00
0.00
0.50
0.50
0.75
0.75
0.00
0.00
0.00
0.00
2.75
1
.5 0
0.25
1
.0 0
0.67
0.00
0.25
0.00
一
1
.2 5
0.00
-0.33
2.50
2.50
0.25
0.33
0.33
0.33
0.50
0.00
0.303
0.00
36
5
33
8
7
8
4B
B
0
441
2
43
44
45
46
47
44
9
8
50
51
0.25
2.50
0
1
.
.
3
3
3
3
0.33
2.00
54
8
2
0.75
0.67
55
8
5
1
.2 5
1
.5 0
0.00
0.667
0.67
57
58
59
8
6
6
2
1
0
63
64
65
66
67
68
71
7
414(
2
0
)
.50
3.50
0.75
1
.5 0
6.00
0
0
.
.
7
05
0
0.25
。
定性値
ロカ凡機器
01
0
08
4
2
コスト
定量値
中央監視義置
o 。
2.67
0.00
一 0.33
3.33
0
0
.
.
0
00
0.33
0.25
0.33
0.00
0.00
音量rn
不良耳坪均
不良率偏差
4.85
15.94
0.25
1
.2 2
0
1.71
.45
0.91
0.80
4.33
2.67
3.92
7.03
0.71
0.36
1
.3 5
1
.0 0
2.71
0.51
3
1.70
.57
0.91
0
1.10
.47
12.26
1
.6 9
1
.2 2
0.66
5.21
4.47
2.31
0.78
1
. 13
2.88
1
.7 9
6.98
0.14
1
.5 2
0.32
1
.4 6
8
.
g
g
2.33
2.19
1
.9 4
1
.0 7
4.93
1
.6 6
2.53
1
.2 5
3.42
8.72
2.14
4.54
6.70
1
. 14
2.87
0.50
1
. 19
1
.7 6
2.55
0
3
.
.
5
08
0
0.90
0.73
0.38
171..
6
89
6
0.30
0.00
0.69B
4.94
0.00
一 0.93
0
0
.
.
3
5
8
0
0.27
-2.14
0.32
1..90
7
8
0
0.00
.20
-02..80
2
3
0
0
.
.
9
2
2
4
ー 000...0716
0
8
0.00
0.23
0.41
o
.16
1
.5 7
0.61
0.89
0.52
0.27
-1.2 4
-1. 19
8.79
-0.08
0.00
0.05
1
. 11
-00..
10
06
-0.02
0.48
-4.22
0.25
-2.77
0
0
.
.
0
5
7
4
0..91
0.32
-2.06
17Z
O
14
-0.1
。
o 。
-0.21
-0.28
-01..
8
02
0
0.24
0.12
0.18
0.00
0.00
-00.-01
0
9
0.00
機能
7,1"
A
A
A
C
A
A
B
A
A
C
C
B
C
A
A
。場合
省力
改修
管理
A
A
A
C
B
A
B
A
A
C
C
A
B
A
A
A
B
A
A
B
B
B
A
A
A
A
B
B
A
A
A
B
A
A
B
B
C
B
B
A
A
C
A
A
B
A
C
A
C
A
A
B
A
B
A
A
A
B
A
A
A
A
B
A
B
A
A
B
A
B
B
A
C
B
C
A
A
C
C
A
A
A
C
c
c
c
八
A
B
B
C
B
B
B
B
A
C
B
C
B
B
B
A
B
C
B
B
B
B
B
B
A
B
B
B
C
B
C
A
C
C
C
C
C
c
c
C
C
A
c
E
g
A
C
A
A
C
A
C
C
C
C
C
A
C
C
C
A
C
B
A
C
c
C
C
C
A
A
A
C
A
C
A
A
C
C
Ec
g AC
B
A
B
A
B
C
A
B
B
8
C
B
B
B
A
B
B
C
B
B
C
C
B
B
C
B
B
B
A
C
B
B
B
C
C
C
C
C
C
A
E
A
C
C
c
C
C
A
A
c
c
E
C
C
C
C
A
C
C
C
c
A
C
C
c
A
C
A
C
C
A
C
C
C
A
A
C
C
g
定量値
広峨
c
A
A
C
A
A
A
A
B
A
A
A
へ
A
A
B
A
A
C
C
A
A
B
A
A
C
A
B
B
A
A
A
A
A
A
A
C
A
B
A
C
A
C
C
A
A
C
C
C
A
A
A
C
$"{ント
省時
追加
A
C
C
B
C
C
A
A
B
c
C
B
B
B
C
A
B
C
A
C
C
B
A
B
B
A
B
B
A
B
B
B
A
B
A
B
A
A
A
B
A
B
D
B
A
A
B
B
A
A
B
A
B
B
B
A
A
B
B
B
B
B
の鯉国主
A
C
B
C
c
c
4
1
6
9
7
7
0
5
9
5
c
C
B
A
A
g
120
5
56
151
0
4
C
B
A
C
A
C
3357
7
0
A
C
A
c
2
572
3
8
9
4
10
12
7
A
C
A
C
545マ0
c
4457
2
3
4
C
C
460
304
c
B
C
C
A
5
A
B
C
2 日5602
6
1
.244
358
3
640
7
240
4
4
B
A
B
B
C
A
C
B
B
A
B
c
c
c
5
1
8
3
6
9
5
4
A
B
A
C
B
84
7
4
C
A
C
C
3977
673
c
c
8
3
4
5
7
9
0
0
C
C
C
c
c
C
B
c
© 日本オペレーションズ・リサーチ学会. 無断複写・複製・転載を禁ず.
4
1
1
0
0
3
2
3
9
ユザ
C
A
C
D
A
C
A
A
B
A
A
B
3
2
6
6
5
2
8
0
11
定性値
4
1
0
71
C
C
C
D
改修費
4 29
6
19
168
2
5
2400
8
0
12
g
5
398o
2
85
0
c
E
C
B
C
B
c
C
C
A
5
5
1
4
8
00
7
1
c
3552
6
B
C
146
2
11
c
c
c
2075
5
5
A
B
C
A
オベレーションズ・リサーチ
3 .4計算処理
1
)
果を表4 に示す。要求度・コストは、 0 から 1 の聞に
AHP による処理手順
分散する。
図 l のリニューアル要求度の階層図ては、レベル
ニューアルコストが高いことを示す。 64,02 ピルは 0.9
2-4 の評価項目については、各レベルごとに通
1 に近いほどリニューアルの要求度・リ
を超え要求度が高い。この 2 ピルでは定量・定性値共
常の一対比較を行った。
に高いためである。また、 02 ピルと同じ定性値を持つ
また、 3.1 節で述べたようにレベル 4 の年間故
01 ピルは、ローカル機器の不良率が低いために要求度
障回数から不良率変化の 4 評価項目(定量的デー
は約 0.3低くなった。しかし、 01 ピルは改修費が低い
タ)ならびに部品供給停止からポイント追加不能
ためコストが低く、最終的なリニューアル有効度では
の 7 項目(定性的データ)に関する各評価対象の評
逆転している。コストに関する処理結果では、ユーザ
価は、 ~bsolute ~easurernent法を用いた。コスト
の態度の評価値による影響が大きくなり、階層図を検
についても同様の手順で処理した。
討する必要がある。
2)中央監視装置の有無
3
.
6 感度解析結果
中央監視装置はすべてのピルに設置されているわ
対比較値をパラメータとして、いろいろ変化させた
けではない。設置されていないピルでは、中央監
時の要求度・コスト・有効度の変化を調べた。要求度
視装置の故障に関するデータは存在しない。従っ
の定量と定性の比を定量重視から定性重視へと変化さ
て中央監視装置のないピルにおいては図 1 の階層
せると、図4のように要求度はばらつく傾向にある。
図から④⑧⑨の要因を除いて処理を行った。
コストについても同様の結果となるが、定性値を重視
3
.
5
処理結果
すると定性値の影響が大きく計算結果は、図5 のよう
リニューアル要求度、コストおよぴ有効度の処理結
表3
に 3 つのクラスターに分類される。有効度について
定性値のウェイト
置舗問問 ω叩
~'--~l:
7・
明細沼
1
9
。
E ポト
図。鵜
Z7 プ
圃縦ッ
田工
思力
盟書
崎温今A守
血官
血広
岨噌開白
脳域自
Li
且麟
428
淘
図 3 ユーザの更新動機
表4 処理結果
ピル
No
01
02
03
04
05
06
07
08
09
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
21
22
23
24
ヲ要ニr
求苅
度
0.612
0.916
0.431
0.101
0.195
0.402
0.208
0.526
0.380
0.126
0.104
0.610
0.188
0.414
0.414
0.370
0.509
0.457
0.565
0.346
0.187
0.272
0.376
0.534
リニ.,-7'
コスト
0.110
0.348
0.601
0.545
0.553
0.664
0.541
0.272
0.541
0.526
0.572
0.402
0.528
0.550
0.428
0.104
0.544
0.226
0.649
0.104
0.609
0.247
0.232
0.132
有効度
5.564
2.632
0.717
0.185
0.353
0.605
0.384
1
.934
0.702
0.240
0.182
1
.517
0.356
0.753
0.967
3.558
0.936
2.022
0.871
3.327
0.307
1
.101
1
.621
4.045
ピル
No
25
26
27
28
29
30
31
32
33
34
35
36
37
38
39
40
41
42
43
44
45
46
47
48
1要
jニ求
r度
7
'
0.539
0.415
0.536
0.413
0.493
0.447
0.435
0.266
0.461
0.454
0.239
。目 247
0.184
0.326
0.299
0.516
0.545
0.443
0.477
0.455
0.191
0.436
0.142
0.521
リニ,-71ル
コスト
0.102
0.720
0.220
0.233
0.682
0.685
0.325
0.118
0.521
0.607
1
.000
0.347
0.757
0.529
0.221
0.164
0.115
0.257
0.729
0.116
0.519
0.660
0.771
0.641
有効度
5.284
0.576
2.436
1
.773
0.723
0.653
1
.338
2.254
0.885
0.748
0.239
0.712
0.243
0.616
1
.353
3.146
4.739
1
.724
0.654
3.922
0.368
0.661
0.184
0.813
ピル
No
49
50
51
52
53
54
55
56
57
58
59
60
61
62
63
64
65
66
67
68
69
70
71
りこ,-7~
要求度
0.460
0.367
0.513
0.478
0.261
0.410
0.248
0.470
0.315
0.402
0.416
0.371
0.437
0.324
0.336
0.921
0.358
0.192
0.228
0.438
0.535
0.342
0.307
1995 年 8 月号
© 日本オペレーションズ・リサーチ学会. 無断複写・複製・転載を禁ず.
qニ3.-71島
コスト
0.838
0.532
0.671
0.580
0.526
0.573
0.219
0.580
0.550
0.240
0.358
0.524
0.741
0.575
0.701
0.300
0.643
0.521
0.559
0.545
0.165
0.530
0.225
有効度
0.549
0.690
0.765
0.824
0.496
0.716
1
.132
0.810
0.573
1
.675
1
.162
0.708
0.590
0.563
0.479
3.070
0.557
0.3 日 9
0.408
0.804
3.242
0.645
1
.364
(
2
1
)4
15
1
H
I
l
l
u
1
;
1
u
t.11.ι-
醐 IHa
間四dMM出血
M
盟l
国lJMM
定量:定性=
凪
1
1
1
:
L
1
1
J
l
E
図5
図4 要求度に関する感度解析
2リ
定量値重視
f
6
1:
1
5
査型店
A『
U 令。内
1
5
コストに関する感度解析
JL
. .
. .
.
. ...
•
I•
..s
R
=
f
z
.s
.
.
ま
8
5
0.8 1
.
6 2.4 3.2
4
.
.・・
1
0
ー
2リ
1
5
4.8 5.6
:
25
3リ
経過年数
図 6 有効度の度数分布
図 7 有効度と経過年数
は、要求度・コスト共に定量重視から定性重視へと変
異なる利用法を示した。すなわち、メンテナンス契約
化させた結果では、大きな変化は見られなかった。
ピルを評価対象として、各ピルのリニューアルの有効
3
.
7 有効度と経過年数
性を調べるわけであるからピル数は多くてよい。ま
リニューアル有効度の分布を図6 に、有効度と経過
年数の関係を図7 に示す。有効度が2.0以上のピル数は
20% を占め、それらの経過年数は 11 年目以降であり、
経過年数と共に有効度が増加する傾向にある。一方、
有効度1.0以下のピル数は 68% で、ピル経過年数と有
効度は比例していないことがわかる。これまで、リ
ニューアル実施時期はピル経過年数により大きく影響
を受け、自動制御設備は他の設備改修と同期をとって
実施される傾向が強かったが、より効果的な時期を判
断するうえで、有効度は役に立っと考えられる。
た、 AHP を拡張して定性的データと定量的データを
統合化する方法は、数値データがあればそれを役立
て、より総合的な評価に貢献することにつながる。し
かも、ユーザ側とメンテ側の評価値を組み合わせた総
合的な処理を行うことができる。多くの評価対象に対
して順位づけを行う今回の手法は、いろいろと応用で
きる。現在、アンケートデータに焦点をあてて、顧客
満足度の定量化に利用することも考えている。
コストベネフィットを意思決定問題の対象として扱
うためには、定量的データと定性的データの評価があ
り、 AHP 手法はこの 2 つを統合する方法を提供する
ことができる。言い替えれば、数値データが一人歩き
4.おわりに
しにくく、感情論のみで決定しないで、バランスのと
本報では、従来の AHP の一般的使用法とはかなり
れた判断ができやすい、ということである。
[参考文献]
I
) 木下栄蔵:階層分析法による多目的意思決定問題への適用に関する研究、交通工学、 Vo128 ,No.1 、 1993年 1 月
2
)
3
)
4)
木下栄蔵 :AHP 手法と応用技術、総合技術センター(1 993)
木下栄蔵:マネジメントサイエンス入門、啓学出版(1 993)
東幸彦、石川良光、宮坂房千加、木下栄蔵拡張 AHP 手法によるリニューアルのコストベネフィット分析手法の研究"、 1994年度空気
調和・衛生工学会学術講演会原稿
4
1
6(22)
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オベレーションズ・リサーチ
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