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図画工作 - 福岡市教育センター

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図画工作 - 福岡市教育センター
平成24年度
図画工作科研究紀要
[研究主題]
イメージを大切にし 自らの表現をつくりだす
図画工作科学習
~ふりかえり活動の工夫を通して~
はじめに
はじめに
本年度は,子どもたちが自分のイメージを大切にし,自らの表現をつくりだすことができるよう
に,「ふりかえり活動」を効果的に設定することを通して,授業改善に取り組みました。
平成 23 年度から新学習指導要領が完全実施となります。新学習指導要領では,
〔共通事項〕の新
振り返り活動というと,題材の終末に行う自分の表現や活動に対する自己評価ととらえる方も多
設や言語活動の充実など,内容の改善として5つの項目が挙げられています。
くいらっしゃることと思います。しかし,本研究にて定義している「ふりかえり活動」は,題材の
また,平成 20 年度から進められている本市学力パワーアップ総合推進事業においては,義務教育
様々な学習過程における学習のねらいに即して,振り返りの内容や方法,時間配分を工夫しながら
9 年間を見通して,子どもの発達段階やニーズを踏まえ,子どもに確かな学力,豊かな心を育むた
設定する活動です。このようなふりかえり活動を効果的に設定することで,子どもたちは自分で考
めの3つの授業改善ポイントが挙げられています。
えたことを基にして表現を練り上げたり,自己肯定感を高めたりしていくものと考えます。
そこで本研究委員会では,
〔共通事項〕の視点に基づき,本市の授業改善ポイントを踏まえながら
本研究紀要には,各題材の学習全体の流れが分かるように,指導案形式で研究の足跡を載せてい
表現や鑑賞の指導を見直し,指導内容や方法,指導上の配慮事項などを考えることを通して授業改
ます。子どもたちの学習の様子や提示した資料等も画像で載せておりますので,実際の授業場面を
善に取り組みました。
思い浮かべながらご覧ください。
本研究紀要には,各題材の学習全体の流れが分かるように,指導案形式で研究の足跡を載せてい
ます
子ども達
学習
様子や提示した資料等も画像
載せ
おります
実際
授業場面を思
目
Ⅰ
次
研究の基本的な考え方
1.主題設定の理由・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1
2.主題を児童の姿でいうと・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3
3.めざす児童の姿・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4
4.研究目標・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4
5.研究仮説・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4
6.研究の内容・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4
7.各学年部のめざす児童の姿と主な手だて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・5
Ⅱ
指導の実際
1.第1学年・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・8
2.第2学年・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・12
3.第3学年・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・16
4.第4学年・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・20
5.第5学年・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・24
6.第6学年・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・28
7.特別支援教育部・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・32
Ⅲ 研究を通して明らかになったこと(成果と課題)
1. 成果・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・36
2. 課題・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・37
ご指導いただいた先生方・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・38
平成24年度福岡市小学校図画工作科研究委員一覧・・・・・・・・・・・・・・・・・38
Ⅰ 研究の基本的な考え方
[研究主題]
イメージを大切にし 自らの表現をつくりだす 図画工作科学習
~ふりかえり活動の工夫を通して~
1.主題設定の理由
(1) 児童の実態から
○ 図工の学習を好きだと思っている児童は 83.3%,大切だと思っている児童は 81.9%である。
○ 自分でかき方やつくり方を考えたり,表し方を工夫したりすることが好きだという児童は 67.2%であ
り,材料から新しいアイデアを思い付くという児童は 69%,かいたりつくったりしながら新しいアイデ
アを思い付くことがあるという児童は 73.4%である。
○ 友達の表したいことや工夫したことに気付くことがあるという児童は 73.3%,友達と話し合いながら
活動することがあるという児童は 83.3%である。
○ 自分の作品について感じたことや考えたことを話したり書いたりすることが好きという児童は 41.7%,
友達の作品や美術作品を見て感じたことや思ったことを話したり書いたりすることが好きだという児童
は 48.6%である。
○ 友達のつくり方を取り入れたり友達の作品を参考にしたりすることがあるという児童は 81.1%である。
国立教育政策研究所教育課程研究センター「特定の課題に関する調査(図画工作・美術)調査結果」(平成 23 年3月)より
・ 小学校は第6学年対象,全国の国公私立学校から無作為抽出された小学校 119 校,約 3,500 人
このような児童の実態から,「児童自身が考える図工の学習」をつくっていくことが大切であると考
えた。具体的には,児童が自分の表したいことにあう表現方法について,様々な材料や資料,友達の表
現をもとにして考えていけるような指導の工夫をすることである。
児童自身が自分の表現について考えれば,
「先生,次はどうすればいいですか。」とか「先生,これで
いいですか。
」と尋ねていた子も,
「○○したいのだけど,思い通りにできません。先生,いい方法はな
いですか。」というように,自分の表したいことをしっかりともって表現活動に取り組めるのではない
かと考える。
また,「児童が自己肯定感を味わいながら進められる図工の学習」をつくっていくことも,大切であ
ると考えた。具体的には,児童が自己肯定感をもてるようなふりかえり活動を行い,振り返りのよさを
感じられるようにすることである。
ふりかえり活動では,自他の表現活動や作品について思ったことや感じたことを話したり書いたりす
る。このふりかえり活動が,児童にとって自己肯定感をもち,自他のよさを感じ,その後の自分の表現
活動への意欲を高めていけるものになれば,児童は自他の表現活動や作品について思ったことや感じた
ことを話したり書いたりすることに対する苦手意識をなくしていけると考える。
(2) 教育現場のニーズから
○ 学習指導要領の内容について具体的に知ること
○ 教科書を効果的に活用した授業の在り方
・ 指導要領との関連を明確にする。
・ 各題材で身に付けさせたい力を明確にする。
・ 学校の特色を加味して指導計画を立てる。
・ 題材との出合わせ方の工夫をする。
・ 問題意識のもたせ方を考える。
・ 自分の表現の見通しをどうもたせていくのか考える。
教科書の
教材化
(3) 教育界全体の流れから
◎ 学習指導要領改訂の要点
○ 改訂の趣旨
『造形美に対する気付きや感性を高め,創造することの楽しさを感じる学習指導の充実』
○ 改訂の基本方針
・ 感覚や感じ方などの一層の重視
・ 育成する資質・能力と学習内容との関係の明確化
・ 思考・判断し,表現するなどの造形的な創造活動の基礎的な能力の育成
○ 学習指導要領改訂の要点~「(ⅱ)内容の改善」より~
ア 表現領域の内容構成の改善 ~ 内容を発想や構想の能力と創造的な技能の観点から整理する。
イ 鑑賞領域の内容構成の改善 ~ 鑑賞の能力や言語活動の観点から整理して示す。
ウ 〔共通事項〕の新設 ~ 表現及び鑑賞の各活動において,共通に必要となる資質や能力を示す。
指導において,児童自身がとらえた造形的な特徴を基に,自分のイメージを
もつことが十分に行われるようにする。
エ 言語活動の充実 ~ 「B鑑賞」の内容に「話したり,聞いたりする」「話し合ったりする」などの
学習活動を位置づける。
オ 材料や用具の取扱いや鑑賞指導における美術館等との連携 ~ 指導の配慮事項,美術館との連携。
◎ 公教育の福岡モデル
(1) 福岡スタンダード~あいさつ・掃除・自学・立志~
(2) ことばを大切にする教育
・ 授業における言語活動の充実(言語活動指導の手引き)
・ 作品の「よさ」を認める場の充実
(3) 子どもの力を引き出し発揮させる教育
・ 子どもの意欲を高めながら,自発的・主体的な活動を促し,感動・満足感・達成感とともに,自信
や有用感を実感させる。
◎ 本年度福岡市小学校教科等研究委員会の全体テーマ
〔学習指導要領をふまえ,「公教育の福岡モデル」の具現化を図る学習指導のあり方〕2年次/3年間
以上の3点から,言語活動の充実をはかりながら,学習活動を組み立てることや児童が主体的に活
動し,自分の思いをもとに思考しながら表現していくことができるような学習指導をすることが必要
であると考えた。
(4) 昨年度の研究の成果と課題から
「言語活動の効果的な設定」,
「子どもの思考を促すような発問や助言および板書の工夫」,
「題材との出合わ
せ方や明確な表現意図のもたせ方の工夫」を行い,以下のような成果(○)を挙げ,課題(●)を明らかにした。
○ 自分のイメージを明確にもって活動に取り組み,自分の表現意図に基づいて,表現方法について考える
ことができた。
○ 自分や友達の表現のよさについて考え,互いの考えを深め合うことができた。
● 児童の思考をもっと充実させること
● 児童が資料や友達の表現を自分の表現に生かせるようにすること
● 児童の表現意図を見取ること
● 児童の発想を表現意図につないでいくこと
児童が自分の表現意図をしっかりともち,それに基づいて自分の表現について考えながら学習を進
めていけるような指導の工夫について研究を深めていくことが必要である。
2.主題を児童の姿でいうと…
(1) 「イメージを大切にする」とは…
児童が心の中につくりだす像や全体的な感じ,または
心に思い浮かべる情景や姿など(イメージ)を基に,発
想を広げたり,構想をたてたりしながら,表現や鑑賞の
活動を行っている姿であると考える。
児童は,造形的な創造活動を行う上で,身の回りの自然物や人工物,自然環境,人の動きなど,様々
なものを材料とする。それらに出合ったとき,児童は様々な鑑賞の視点を通して自分なりの感じ方で
対象となるもののイメージをつくっていく。(これは,作品などを鑑賞する際にもいえる。)そのよう
にしてつくられたイメージを基にして表現や鑑賞の活動を行っていくことで,児童は「自分の表現」,
「自分の考え」という意識を強くもつようになり,主体的,意欲的になると考える。
【具体的な児童の姿の例】
・ 作品,材料などを様々な鑑賞の視点を通してみることによって,心
の中にそれらから受ける感じを思い描いている。
・ 題材名と自分の経験・体験から,自分の表したいことを思い浮かべ
ている。
・ 自分の表したいことを表すための作品の大まかな感じや全体像を思
い浮かべながら表現や鑑賞の活動に取り組んでいる。
(2) 「自らの表現をつくりだす」とは…
材料にかかわったり友達の表現のよさや美しさを見
付けたりしながら,自分の表し方を考えたり,自分の表
したいイメージを表したりすることであると考える。
ここでいう「表現」とは,完成した作品のことだけをさしているのではない。どの材料を選んでど
のように生かすかなどという表し方(方法)や,作品全体や細部に表したイメージ(内容)も「表現」
であるととらえている。
児童は,自分が表したいことを表すために,様々な材料やそれらの生かし方の組み合わせをいろい
ろと試したり,自分の表したいことにあうかどうかを考えたりする。また,友達の表現の工夫を知り,
自分の表したいことに合うと考えた場合には,その工夫を取り入れる。そのようにして,自分の表し
たいことに合うかどうかをよく考えながら見出した表し方は,自らがつくりだした表現であるといえ,
例え一般的によくつかわれているものでも「自らの表現」となる。
【具体的な児童の姿の例】
・ 様々な材料やその生かし方を試しながら,表したいことを表すため
の最適な表し方を考えている。
・ 友達の表現のよさや美しさなどを見付け,それらを自分の表現に生
かすことができるか考えている。
・ 自分の表し方を見直し,自分の表したいことに合っているかどうか
振り返っている。
(3) 「ふりかえり活動の工夫」とは…
自他の表現活動や作品について,思ったことや
感じたことを話したり書いたりすることによっ
て,児童が自他のよさを感じ,自分の表現活動や
作品に肯定感をもち,その後の表現活動への意欲
を高めたり,自分の思いに合う表現方法を考えた
りしていけるようなふりかえりの活動を行わせ
るための指導の工夫のことである。
「ふりかえり活動」は,題材の学習の終末段階だけではなく,発想構想や表現など,様々な場面で
効果的に設定する。
児童は,自分が感じた自他の表現活動や作品のよさや美しさについて,互いに話し合ったり,カー
ドにかきとめたりする「言語活動」を通して,確かめたりさらに深く考えたりする。
このふりかえり活動をさせること自体が目的になるのではなく,ふりかえり活動を行うことを通し
て,児童が自己肯定感をもち,自分の思考を充実させ,自らの表現をつくりだしていけるようにしな
ければならないと考えている。
3.めざす児童の姿
○ 自分のイメージに基づいて,表し方や表したいことについて進んで考えている児童
○ 材料やその生かし方の組み合わせの中から,自分の表したいことに合うものを選んでいる児童
○ 自分の表現について振り返り,よさや美しさを見付けている児童
4.研究目標
児童がイメージを大切にし,自らの表現をつくりだすことができるように,ふりかえり活動の工夫を取り
入れた図画工作科の学習の在り方を究明する。
5.研究仮説
児童が自己肯定感をもち,自分の思考を充実させるようなふりかえり活動の工夫を取り入れた学習指導を
行うことで,児童は自他の表現活動や作品のよさや美しさについて考え,自分のもつイメージを大切にしな
がら,自らの表現をつくりだすことができるであろう。
6.研究の内容
○ 研究内容について
本研究においては,教科書の教材化と,ふりかえり活動の工
夫について考え,研究を進めていく。
前者では,各題材で身に付けさせたい力を明確にすることに
より,何を教え,何を学ばせるのか,またそのためにどのよう
な手だてをとればよいのか,考えていく。
後者では,児童が自分の学びや気付きについて確かめ,自分
の表現について考えられるような各時間のふりかえり活動の
工夫について考えていく。具体的には,ふりかえり活動の内容,
方法,時間配分である。ただふりかえり活動を設定すればよい
のではなく,児童が短時間で効果的に自分の表現活動や作品について振り返り,学んだことや気付いた
ことを確かめ,自分の表現に生かしていけるようにしなければならない。そのためには,何を振り返ら
せるのかその内容をよく考えて児童に提示すること,記述式,マーク式,対話式など,どのような方法
で振り返らせるのがよいか,児童の発達段階や題材の特性などから考えること,学習のどの段階でどれ
くらいの時間をつかって振り返りをさせるのか十分に検討することが必要となる。
○ 研究内容の2つの関連について
研究内容の2つは関連しており,題材について十分な
研究をした上で,ふりかえり活動の工夫について考えて
いかなければならない。
題材の研究では,その題材で児童に身に付けさせたい
力を明確にし,そのために学習の各段階で何を教え,何
を学ばせるのかを考えていく。そして,それらをどのよ
うにして児童に指導していくかを具体的な手だて・指導
計画として考えていく。
ふりかえり活動のねらいは,段階によって異なる。題
材の終末段階で行うふりかえり活動は,児童が自分の表現方法のよさについて確かめ,自己肯定感を高
めていけるようにすることがねらいである。発想構想や表現の段階では,その題材内での自分の表現を
練り上げることがねらいである。よって,各段階において児童に振り返らせる内容は,このねらいに即
したものでなければならない。例えば,終末のふりかえり活動においては,児童に力が身に付いたとい
う実感をもたせ,自己肯定感を味わわせるために,題材で身に付けさせたい力をもとにして考える。 発
想構想や表現の段階でのふりかえり活動においては,児童が自分の表現を練り上げていけるように,教
えることと学ばせることをもとにして考える。
振り返りの方法や時間配分は,振り返らせたい内容について児童が自分で確かめることができ,分か
りやすく,しかも表現の時間を圧迫しないようなものを考える。その際,題材の具体的な手だてや指導
計画と照らし合わせていくことで,より題材に即したものを考える。
7.各学年部のめざす児童の姿と主な手だて
振り返りの
振り返りの
振り返りの
内容
方法
時間配分
振り返りの
振り返りの
振り返りの
内容
方法
時間配分
振り返りの
振り返りの
振り返りの
内容
方法
時間配分
振り返りの
振り返りの
振り返りの
内容
方法
時間配分
第1学年
1
授業実践
題材名および題材観
「かたちから生まれたよ」
(絵に表す)
本題材は,身近な材料である紙を手でちぎったときにできる形からものの形を楽しく想像し,表し方を
工夫しながら絵に表す題材である。楽しく想像するとは,紙の置き方や組み合わせ方から様々な形に見立
てることを楽しみ発想を広げることである。表し方を工夫するとは,自分が想像した形をより豊かに表現
するために描画材や色を考えて表すことである。
本題材はA表現(1)ア身近な自然物や人工の材料の形や色などを基に思い付いてつくることと関連が
深く,紙の置き方や組み合わせ方をいろいろ試しながら形の見立て遊びをすることは,自分の表したいも
のが思うように表現できない児童にとって,形から発想することができるので楽しみながら想像する力を
高めることができると考える。また,自分のイメージに合わせて描画材や色を選んで絵に表すことができ
るので,自分なりに表し方を工夫する力を高めることができると考える。
2
本題材における指導方法の工夫および指導上の配慮事項
○
発想・構想の段階においては,はじめに新聞紙を破ったりちぎったりする体験を十分に味わわせた後,
白画用紙を使って,自由に形をつくる活動を提案し,安全面に配慮して活動させる。また,紙の切り口
や紙と紙を組み合わせたときの形の見え方をいろいろな角度から確かめられるよう,一人ひとりに黒画
用紙を準備する。紙を置いた時点で,3人グループをつくり,どんな形に見えたか意見交流する場を設
け,自分の作品づくりの参考にさせるように振り返りの時間を設ける。
○ 表現の段階においては,自分が形から想像したものをより豊かに表現するために,背景となる色画用
紙を選んだり,線を描く,色を塗る,模様をかく,など表したいものに見えるように描画材や色を考え
たり,自分の思いにあった活動ができるようにする。
○ 鑑賞の段階においては,互いに作品を紹介し合い,自分が話したことや友人の言葉をきっかけにし
てもう一度作品を見て,見立ての面白さや表し方のよさを感じることができるようにする。
3
題材目標
○ ちぎってできた形の紙を使い,絵に表す活動を楽しんで取り組むことができる。
(造形への関心・意欲・態度)
○ いろいろな形の紙の置き方や組み合わせ方から絵に表したいものを考えることができる。
(発想や構想の能力)
○ いろいろな形の紙の置き方や組み合わせ方を工夫して絵に表すことができる。
(創造的な技能)
○ 自分や友達の表現の面白さやよさを見つけ合い,その感じについて話したり聞いたり,自分の表現に
生かしたりすることができる。
(鑑賞の能力)
4
学習計画(全6時間)
過程
配時
学習活動
1
発想
構想
②
白画用紙を手でちぎ
っていろいろな形をつ
くる。
かみをやぶったり
ちぎったりしよう。
○ 新聞紙を手で破った
り,ちぎったりする。
○ ちぎった白画用紙の
切り口の感じや切り取
られた形からものの形
を想像する。
手だて(※)
ふりかえり活動に関する手だて(◆)
※ 新聞紙を使って手で破る,
手でちぎる活動を十分に体験
させ,白画用紙を用意し,面
白い形にちぎる活動をさせ
る。
児童の姿
◎ 自分がやぶったり,ちぎったり
した紙の形から,意欲的にもの
の形を想像している。
きのこの頭の形に
見えるよ。
2
発想
構想
②
いろいろな形の紙を並
べたり,組み合わせたり
しながら,表したいもの
を思いつく。
かみを くみあわせて
かたちをつくろう。
○ 並べたり組み合わせた
りした紙の形をいろいろ
な角度から見る。
○ 表したい形になるよう
に紙と紙をのりで貼る。
○ 表したい形に合わせて
背景となる色画用紙を選
び,のりで貼る。
少 し ず つ 向 き を 変 え な が ◎ いろいろな形の紙を並べたり
組み合わせたりしたものを鑑賞
ら,大きな形をつくってみる
し合い,それが何の形に見える
ように声をかける。
か話し合うことができる。
※ 紙を並べたり組み合わせた
りするともっと形が面白くな
ることを,例を出して提案す
2枚の紙を重ねる
る。
と,鳥の頭と体ができ
※ 黒画用紙の上に紙を並べ
るな。
て,いろいろな角度から紙の
形が何に見えるか考えさせ
る。
◆ 3人グループで切り口に着
目しながら何の形に見えるか
意見交流させる。
※ 発想を広げさせるために,
並べたり組み合わせたりする
紙は3枚以内にさせる。
※
振り返りの際に,話し手と聞き手の話し合
いの仕方を掲示することで,振り返り発表を
円滑に進められるようにした。
学習の流れがわかるように,前時までの活
動をポイントごとに掲示することで,本時で
いつでも振り返りができるようにした。
3 表したい形に合わせて, ◆ 表現についての発想が多様 ◎ 表したい形をより豊かに表現
するために,形に合った描画材
に出るように3人グループの
クレヨン・パスや色ペン
や色について話し合い,絵に表
形をつくり,活発な意見が出
を選び,絵に表す。(色・
すイメージをもつことができ
るように交流する場を設け
線)
る。
る。
○○にみえるように
茶色のクレヨン
※ 絵に表すためのポイントを
せんで かこう。
で,かたつむりの
提示する。(色・線の太さ)
○ 想像したものの形をよ
からの線をかこう。
り豊かに表現するために
絵に表す。
表現
③
モデルの形の線を濃い色(青)と薄い色
(黄色)で並べて掲示することで,濃い色
の線がより形をはっきりさせることを理解
させることができた。
めあてとまとめを書くことで,本時の学
習で学ぶべき効果をしっかり理解させるこ
とができた。
4 意見交流したことを
もとに,材料を選んだ
り,描画材や色を付け
加えたりして工夫す
る。(鑑賞も含む)
もっと○○にみえる
ように くふうしよう。
◆
絵の表現がさらに楽しくな
るように材料や描き方につい
て,全体で話し合う。
※ 自分のがんばったところを
伝える時間を設ける。
まわりのものをかいたり,
色をぬったりするともっと
○○に見えるようになるな。
まわりのものを考えた
ことで,横から縦に場面
が変化している。
5
鑑賞
①
形に合わせて,手の
位置を考えたり,下に
花壇を描いたりするこ
とができた。
できあがった作品を
鑑賞する。
じぶんや ともだち
の さくひんのよさを
みつけよう。
◆
互いに作品を紹介し合い,
形の見立ての面白さや表現
方法のよさを見つけること
ができる。
◎ 自分や友達の作品の面白さや
よさを伝えている。
まわりにものをか
いたり,色をたくさん
使ってぬったりする
と○○に見えるね。
5 児童の言葉の考察
グループ発表から
A児の振り返り発表の言葉
わたしは,ぞうに見えるように,目やきばを線でかきました。
A児は,自分の考えた
形に見えるように,線でか
いたものについて自信を
もって発表したことで,自
己肯定感が高まったと
考えられる。
6
成果(○)と課題(●)
Aさんの足のつめや
鼻のあなを線でかいた
のがいいです。
ぞうに見えました。
A児が気付かなかったことを見つけてあげる
ことで,A児の自己肯定感が高まると同時に,
友だちのよさを見つける他者肯定感も高めること
ができた。A児は,自分のよさを認めてもらい,
友だちら気付かなかった他のよさを見つけてもら
うことで次時への活動意欲がより高まった。
6 成果(○)と課題(●)
教科書の教材化
○ 白画用紙を使うことで,色をはぶいてより形に着目させながら発想を
うながすことができた。また,形を発想する際に,黒画用紙を下に敷く
ことで,より白画用紙の形が明確になり,児童は楽しみながら,置き方
や組み合わせ方を変えて色々な形を発想する活動をすることができた。
○ 題材名を生かし,より形に着目させて手だてをとったことにより,形
からの豊かな発想が生まれた。
●
面白い形をちぎらせるための活動提案の仕方が難しかった。また,児童の多くが紙の直線部分を使ってし
まい,発想が広がらなかったこともあった。しかし,直線部分を使っても面白い発想もあるので,児童全員
に周囲をちぎり曲線だけの形を使う活動提案をすべきかは検討の余地がある。紙の周りをちぎってから直線
部分を使わない活動提案をするかどうかも課題である。
振り返りの内容
○ 前時までに,紙をちぎる,紙の形を組み合わせる,形に合わせて背景の色を決める,というように1時間
ごとに1つの効果を達成していったことで,本時は線をかくというめあてを理解でき,本時の効果を振り返
りの中で明確化することができた。
振り返りの方法
○ 話し合いの仕方を掲示し,確かめることで,何について話し合うのかが明確になり,振り返り発表を円
滑に進めることができた。
○ 全体発表では,児童から出た言葉を見えたものとその効果(線)に分けて板書
することで,どのような工夫をすればよいのかを明確にした。
○ めあてについて,まとめで振り返らせることにより,本時で教えたことによる
効果(線でかく)を確かめ,そのよさに気付くことができた。
○
○
見えたもの(赤線)
線でかいたもの(黄色の線)
●
図工ノートに書く形式の振り返りについては,十分な時間確保と授業内での位置づけがあまりできなかっ
た。しかし,3人グループでの交流によって振り返り活動ができている面もあるので,低学年においては,
どちらかの方法にしぼり,どんな内容を振り返らせるか明確にしながら取り組ませるとよいのではないかと
思う。
振り返りの時間配分
○ 言語活動や振り返り活動に重点を置いた授業では,今回の時間配分でよかったのではないかと思う。
●
●
文章を書かせるのではなく,マーク式などの自己評価のみでよいのではないかと思う。
時間として長いのではないかという指摘を受けた。入り込みのクラスの事前の指導時間が十分にとれない
ということもあり,図工の本時内に振り返りの仕方の確認等時間をとらざるをえなかった。しかし,年間計
画の中で継続的に取り組ませることで,時間短縮はできるのではないかと思われる。
第2学年
1
授業実践
題材名および題材観
「おはなし
大すき
-グラファロって
なあに?-」
(絵に表す)
本題材は,お話を聞いて,物語の登場人物の様子を想像して自分なりに絵に表すことをねらいとしてい
る。本題材は,A 表現の(2)ア・イと特に関連が深く,児童がお話を聞き,想像を膨らませながら登場
人物の特徴や大きさ,位置を思い浮かべて,その子らしい表現の思いを形や色で表すことができる題材で
ある。
本題材では,絵本「もりでいちばんつよいのは?」をお話として取り扱う。お話の中に,おそろしい生
き物として出てくる「グラファロ」という空想の生き物を想像することは,子どもたちにとって興味深い
であろう。
「グラファロ」という空想の生き物として登場するので,自分のグラファロを表現できる。また,
体の一部分しか語られていないので,語られた部分から想像を膨らませ,思いのままの形や大きさ,色を
選んで楽しくかき表すことができる上でも意義深い題材であると考える。
2
本題材における指導方法の工夫および指導上の配慮事項
○
発想・構想の段階においては,補足説明をしながら読み聞かせを行ったり,本物の動物や想像しにく
い言葉(きば,こぶ,いぼなど)の写真を見せたりしながら,自分の表したい様子を膨らませることが
できるよう,全体で話し合う時間を設ける。その後,自分のイメージした「グラファロ」を明確にする
ために,図工ノートに絵や簡単な文に表す活動を設定する。
○ 表現の段階においては,登場人物が何をしているか分かるように表現できるよう支援していく。線が
きでは,表したいものの大きさや場所,向きを想像するために,いろいろな大きさや形の台紙を使って
構図を考えることができるようにする。彩色では,表したいものの感じを表現するために,パスによる
ぼかし・重ね塗り・スクラッチなど新たな技法を紹介して自分に合うものを選ぶことができるようにす
る。また,その時間のめあてに沿って振り返ることができるように,友達とできたところまでの作品を
見せ合い,よさや工夫を出し合う「交流タイム」を設定する。
○ 鑑賞の段階においては,作品のよさや工夫を伝え合うことができるように,鑑賞の仕方を提示しなが
ら,説明をしていく。また,作品を通して作者と鑑賞者が交流できるように,ワークショップ形式で時
間を設定して,作品を説明する人と鑑賞する人に分けて鑑賞できるようにする。
3
題材目標
○ お話を聞いて,絵に表す活動を楽しむことができる。
(造形への関心・意欲・態度)
○ お話の内容から,登場人物の姿や周りの様子を想像することができる。
(発想や構想の能力)
○ 自分の表したい様子が分かるように画面構成や表現技法を工夫して表すことができる。
(創造的な技能)
○ 自分や友達がかいた絵を見て,よさや工夫を見つけることができる。
(鑑賞の能力)
4 学習計画(全6時間)
過程
手だて(※)
学習活動
配時
ふりかえり活動にかんする手だて(◆)
1 想像しながら,お話を聞く。 ※ グラファロの特徴が分かる
ようにいろいろな動物の体の
グラファロって何か,しっかり聞きとろう。
一部の写真を見せる。
○ お話の内容について話し ◆ グラファロの特徴を板書で
まとめ,図工ノートにも記入
発想
合う。
できるようにする。
構想
本物の動物を
②
見せることで,自
・きば
分の表したいイ
・かぎづめ
メージを持たせ
るようにする。
・あご
・は
・した
・こぶ
・とげ
児童の姿
◎
お話を聞いてグラファロの
様子を話し合っている。
おそろしい歯があ
るって聞こえたよ。グ
ラファロは,おおかみ
みたいなイメージだ
ったよ。
・いぼ
むらさき色のとげ
があるよ。きょうり
ゅうみたいにこわそ
うだな。
自分が想像したグラファロ ※ アイデアスケッチをたくさん ◎ 自分が考えたグラファロ
を何枚もかいている。
かけるように,用紙を数枚準備
の姿をアイデアスケッチする。
する。
ぼくは,オレンジ色
2
自分の考えたグラファロをかこう。
自分の考えたグラファロ ◆ 3人の活動グループをつくっ
て,自分のグラファロを友達に
が何をしているところをか
見せ合う場を設定する。
きたいか簡単な文に表す。
○
発想
構想
②
の目を3つかいたよ。
妖怪に似ているよ。
本物の動物や想像しにくい言葉(き
ば,こぶ,いぼなど)の写真を掲示す
ることで,自分の表したいグラファロ
様子がより明確になるようにする。
特徴を生かして,自分の考えたグラ
ファロを何枚もスケッチする。
自分が表したい様子を線が ※ かきたい形の大きさや場所, ◎ 表したいものの形,大き
さ,場所,向きを考えながら
向きを明確にするために,いろ
きする。
線がきをしている。
いろな大きさや形の台紙を準備
とう場人ぶつが何をしているか
しておく 。
分かるように,大きさ,場しょ,む
グラファロが,おそ
※ 登場人物や周りの様子を想像
きを考えて,線がきしよう。
ろしく見えるように
できるように,グラファロ以外
大きくかいたよ。
の登場人物の写真を掲示してお
○ 表したいものの大きさや
く。
場所,向きを考える。
大きくかいてい
○ 決めた大きさや場所,向き ◆ 3人グループの活動を円滑に
るから本当におそ
ろしそうだね。ねず
進めることができるように,交
に気をつけて登場人物や様
みと比べると,全然
流の仕方を提示し説明する。
子を線がきする。
大きさが違うね。
3
いろいろな大きさの台紙を置いて動か
すことで,登場人物の大きさ・かく場所・
むきを明確にし,何をしているかがより
表現
③
分かるようにする。
交流タイムで,自分の作品で工夫した
ところや友達のよいところを円滑に出
し合うことができるように,ヒントカー
ドを用意しておく。
4・5
いろいろな大きさの台紙
を生かして,登場人物の大
きさや場所や向きを考えよ
うとしている。
自分のイメージに合った ※ パスの表現技法を実際に児童 ◎ 自分の感じに合うパスの
表現技法を選んで表してい
の前でやってみせ,黒板に掲示
彩色をする。
る。
する。
じぶんのかんじに合うぬりかた
で,さい色しよう。
いろいろなパスの表現技 ◆ 3人の活動グループの中で自
分らしくかけたところを伝えた
法を知り,自分が表したい技
り,聞いたりする時間を設定す
法を選んで彩色する。
る。
○
グラファロの体
の色は,赤と青の重
ねぬりのわざをつ
かおう。
グラファロのオ
レンジ色の目は,ぼ
かしのわざをつか
ったよ。
6 互いの作品を見せ合い,表現
のよさや工夫を鑑賞する。
※
作品のよさやくふうを伝え合おう。
鑑賞活動を円滑に進めるた
めに,鑑賞の仕方を提示し説
明する。
○
鑑賞
①
自分らしくかけたところ
を伝える。
○ 友達の絵を見てよいと思
ったところを伝えたり,聞い
たりする。
◆
作品を通して作者と鑑賞者
が交流するために,ワークシ
ョップ形式で時間を設定して
作品を説明する人と鑑賞する
人に分かれるようにする。
◎
互いの作品のいろいろな表
し方のよさを見つけて伝えた
り,聞いたりしている。
グラファロのきば
が,すごくとがってい
て今にも食べられそう
だな。ライオンみたい
に強そうだね!
こぶや紫色のと
げをたくさんかい
ているところが,と
てもいいね。
登場人物のどんな様子をかいたのかを伝
えたり,大きさや場所や向きを考えてかいた
りしたことなど自分らしくかけたところを
伝えようとしている。
5 児童の言葉の考察
A児の図工ノートより
「グラファロは,おおかみみたいなイメージ
でした」
↓
「おおかみのようなおそろしい生き物」という
自分の「グラファロ」を明確にし,自分の表し
たい様子を膨らませることができたといえる。
「大満足のところに○をつけていること」や
「ねずみに,にていることをつたえた」
↓
自分の作品のよさや工夫を交流タイムで出
し合うことができたということがわかる。
B児の振り返りの言葉より
ぼくは,もう少しグラファロを大きくかこうとしたけど,か
いてみると,おもっていたより大きくかけませんでした。でも
Cさんが「Bさんのグラファロは,すごく大きくて強そうです。」
と言ってくれたり,Aさんからは「向かい合っている様子がよ
く分かるね。
」と言ってくれたりしました。自分の作品のいいと
ころを自分が思っていたところの他にも見つけてくれて嬉しか
ったです。自分の作品のいいところを見つけてくれたので,ぼ
くもお友達の作品のいいところをたくさん見つけよと思えるよ
うになりました。
この言葉から,交流タイムの中で自分や友達のよさ
を認め合う力が高まり,それとともに自分の表現につ
いて自信をもって話せるようになったということが
分かる。
6
成果(○)と課題(●)
教科書の教材化
○ 子どもたちが知らないお話を選ぶことで,発想が広がった。
○ 大きさや場所や向きを確かめさせる台紙を使わせることによって,お話を
思い浮かべながら位置関係や大小関係を考えた画面構成をしていた。
○ 実際にいる生きものの体の部分を資料として見せることが,想像上の生き
ものを発想させる手がかりと意欲につながった。
○ 台紙の黒(目玉)を用意したことは,向きを表すのに有効だった。
● 台紙の使い方,その意図が十分理解できず,台紙の形をそのまま写し取る児童が見られた。今後は,台紙
の活用の仕方の具体的な指導を工夫していくことが必要と考えられる。
振り返りの内容
○ 前時までに,お話をきいて登場人物の特徴を理解する,自分が想像した登場人物をアイデアスケッチする
というように1時間ごとに1つの効果を達成していったことで,本時は線をかくというめあてを理解でき,
本時の効果を振り返りの中で明確化することができた。
振り返りの方法
○ 話し合いの仕方を掲示し,確かめることで何について話し合うのかが明確
になり,円滑な振り返り発表を進めることができた。
○ 全体発表では,児童から出た言葉を,場所(はしとはしにかく),大きさ
(こわさを表す),むき(にげる様子を表す)に分けて板書することで,ど
のような工夫をすればよいのかを明確することができた。
○ めあてについて,まとめで振り返らせることにより,本時で教えたことに
よる効果(線でかく)を確かめ,そのよさに気付くことができた。
●
図工ノートに書く形式の振り返りについては,十分な
時間確保と授業内での位置づけがあまりできなかった。
しかし,3人グループでの交流によって振り返り活動が
できている面もあるので,低学年においては,どちらか
の方法にしぼり,どんな内容を振り返らせるか明確にし
ながら取り組ませるとよいのではと思う。
振り返りの時間配分
○ 言語活動や振り返り活動に重点を置いた授業では,今回の時間配分でよかったのではないかと思う。
●
●
文章を書かせるのではなく,マーク式などの自己評価のみでよいのではないかと思う。
時間として長いのではないかという指摘を受けた。入り込みのクラスの事前の指導時間が十分にとれない
ということもあり,図工の本時内に振り返りの仕方の確認等時間をとらざるをえなかった。しかし,年間計
画の中で継続的に取り組ませることで,時間短縮はできるのではないかと思われる。
第3学年
1
授業実践
題材名および題材観
「大好き!生き物!」
(絵・版に表す)
本題材は,材料を生かして版をつくり,表したいことを効果的に表すことをねらいとしている。
児童の生活経験や生き物の写真から,自分の好きな生き物についてなぜ好きなのか,どこが心に残っ
ているのか,表したい思いを強くもたせることで,表現に生かすことができると考える。
画用紙以外の材料を用いて表現する本題材は,画用紙とは違った表現が期待でき,表現の幅を広げる
ことができると考えられる。さらに,表現の途中で自分の作品を振り返ったり,友達のよさを見つけた
りしながら,材料の特徴を生かして版をつくることで,自分の思いに合った表現の工夫を引き出すこと
のできる有意義な題材である。
本題材はA表現の(2)ウと特に関連が深く,表したいことに合わせて,材料や用具の特徴を生かし
て使うとともに,表し方を考えて表すことができるものである。
2
本題材における指導方法の工夫および指導上の配慮事項
○
発想・構想のつかむ段階で,題材と出合わせる場面では,児童自身の生活体験や,生き生きとした
生き物の写真から,自分の表したい好きな生き物を決める。絵や言葉などで自分の好きな生き物につ
いて,なぜ好きなのか,どこが心に残っているのか,はっきりとさせることで,表したい思いを強く
もって表現していくことができると考える。
○ 表現の段階においては,活動の始めに,少人数のグループで振り返りの時間をもつことで,自分の
めあてを明確にし,活動に見通しをもち,自信をもって取り組むことができるようにする。最初は紙
だけで版をつくり,その後,好きな生き物を表すために効果的な材料を使うということに目を向けさ
せる。材料を選ぶ際には,試しの場を設定し,児童が自分の思いを確かめながら表現ができるように
する。活動の終わりには,自分の思いが表現できているか,自分のめあてに対する振り返りの時間を
設定する。
○ 鑑賞の段階においては,自分の表した生き物について,友達に話したり質問を受けたりして,表現
を振り返る。また,友達の作品を見て感じたことを話したり,交流したりすることを通して,表し方
や材料の感じの違いや,自分や友達の表現のよさや面白さなどに気づくことができるようにする。
3
題材目標
紙版をつくったり,刷ったりする活動に興味をもち,進んで取り組もうとしている。
(造形への関心・意欲・態度)
○ 表すものを想像し,使う材料やいろいろな表し方を考えている。
(発想や構想の能力)
○ 材料を生かして版をつくり,刷り方を工夫して表している。
(創造的な技能)
○ 友達と作品を見せ合い,形の組み合わせや版のよさなどをとらえている。
(鑑賞の能力)
○
4
学習計画(全7時間)
過程
配時
学習活動
児童の姿
いろいろな生き物の ※ 生活経験を想起させたり, ◎ 生き物の写真を見て,表したい好き
な生き物と,その生き物のどこが好き
生き物の写真を見せたりす
写真を見て,表したい
かを考えている。また,その生き物が
ることで,生き物の形や動
好きな生き物につい
何をしているところを表したいのか,
き,毛並みや模様などに注目
て,図工ノートに絵や
どんな感じにしたいのかを決めてい
させる。
言葉でかく。
る 。
◆ 自分の思いをもとに表現
していけるように,自分の表
ぼくは、のこぎり
したい生き物を選んだ理由
の刃がかっこよ
を,図工ノートに詳しく絵と
くて,強いからク
言葉でかかせる。
ワガタがすき!
1
発想
構想
①
手だて(※)
ふりかえり活動に関する手だて(◆)
2
紙だけをつかって版 ◆ 生き物が何をしていると
◎ 前時の図工ノートをもとに,どんな
をつくる。
ころか振り返らせ,動きに注
生き物が何をしているところを表し
○ 紙だけで,表したい
目して形をつくらせる。
たいのか確かめ,動きに気をつけて表
好きな生き物の動きを ※ はさみで切ったときと,手
したい形に版をつくっている。
表す。
でちぎったときの感じの違
・ はさみで
いに気づかせる。
・ ちぎって
※ 生き物の動きをよく表せるよう
・ 重ねて貼って
に,
部品を貼る前に十分机上で動か
すようにさせる。
ぼくは、ジャンプして
走っている感じを出し
いる感じが出るように
たいな・・・。脚の向
つくりたいです。
きを変えてみよう。
3
もっと自分の思いを ※ 材料を使って刷ったもの ◎ 自分の表したい思いが,何の材料を
表すために,形や材料
の資料を見せ,感じの違いに
使うと表せそうか試したり,形をつく
を工夫する。
気づかせる。
り直したりしている。
○ 表したい好きな生き
くまをかわい
材料とそれを
物をもっとよく表すた
くしたいか
ら,おなかに
めに,どの部分に材料
刷ったものを
レースを使っ
を使うか決める。
並べて提示。
てみよう!
交流する内容を
板書で示した。
表現
⑤
※
自分の表したいことを表
すために,どんな材料を使う
といいか,試しの場で試し
て,活動させる。
フク ロ ウの 羽 には
果物 ク ッシ ョ ンを
材料毎によい
接着の方法と
顔が見え、話しやすい
使って,きれいに表
そう!
手順を提示。
3 人グループで交流。
◆
○使ってみたい材料を試
し,自分の版に生かす。
学習の初めに前時までの
作品と図工ノートを基にし
て,作品作りでがんばってき
たことや工夫してきたこと
を交流させ,自分のめあてを
明確にさせるとともに,本時
の活動に自信をもたせる。
トラの模様を本物っぽ
く,目立たせることが
できた!
※ 重なりや前後,版の並べ ◎ 版を動かしたり新たにつくったり
構図を工夫する。
方,数,大小,向きを工夫し, して,いろいろな画面構成を試してい
重なりや前後などの
配置や,並べ方や向き
それぞれの表現の違いや面
る。
などを試して,画面構
白さに気づかせる。
一番目立たせたいところ
が真ん中にくるように置
成を工夫する。
◆ 表したい生き物の動きや
こう!
周りの様子を思い通りに表
ななめにおくと,走って
すにはどうしたらよいか,試
いるように見えるかな。
しながら交流する。
4
○
5
互 い の 作 品 を 鑑 賞 ※ 刷り上った作品を展示し, ◎ 鑑賞の観点をもって,友達の作品の
し,表現のよさや面白
班で交流させる。
よさや面白さを見つけている。
さを伝え合う。
◆ 自分や友達が表した作品
鑑賞 ○ 班で交流する。
をから,思いを表す材料とそ
① ○ 鑑賞の観点をもっ
の使い方に視点を置き,作品
て,図工ノートに振り
のよさや面白さを見つけさ
返る。
せる。
5 児童の言葉と考察
A児の図工ノートより
自分のめあて
今日は,果物クッションをつかって,ふくろうの羽をきれいにつくる。
自分のめあての振り返り
満足
クッションをつかって羽を表したところが,思っていた以上にじょうずに
できました。今度やるときは,インクを使うと思うのでがんばりたいです。
「大満足・満足・もう少し工夫したい・もう
少しがんばりたい」の 4 つから選択して活動
を振り返り,その理由を書くようにした。
自分のめあてに対して「満足」に○をつけていることや,
「思った以
上に上手にできた」と書かれていることから,自分の表したい羽の部
分に果物クッションを使って表現でき,めあてが達成できたというこ
とが分かる。また,次時への意欲を強くもっていることもわかる。
B児の図工ノートより
自分のめあて
くまのからだにレースをつけて,かわいくしたい。
自分のめあての振り返り
大満足
くまのからだにレースをつけて,前よりかわいくなってうれしかった。
自分のめあてに対して「大満足」に○をつけていることや,
「前よりもかわいくなった」
「うれしかった」と
書かれていることから,選んだ材料(レース)を使ったことで,かわいくしたいという思いを表すことができ,
めあてが達成できたということがわかる。
C児の図工ノートより
「絵が描けない(アイデアスケッチ)ので,がんばりたい」から「かっこよく飛ぶポーズができてうれしか
った」「羽に果物クッションをつけたい」というように,だんだんと具体的に表したい感じを明確にすること
ができてきたことがわかる。自分の表現を練り上げることができた。
振り返りは「もう少しがんばりたい」から「大満足」へと,段階を経るごとに変化が見られた。「できてう
れしかった」
「ほめられてうれしかった」
「せいこうした」という言葉から,C児の自己肯定感が高まり,自信
をもつことができたということがわかる。
6 成果(○)と課題(●)
教科書の教材化
○ 表したい生き物の特徴や動き(表したいと思った自分の思い)がよく表れるように,パーツを作った後,
十分に動かして版遊びをさせた。その後,思いに合うように貼り合わせた。視覚的にわかりやすいように,
色画用紙で見本となる版をつくり,動かしながら指導を行ったことで,自分の思いに合った動きを表すこと
ができた。(資料①)
○ さまざまな材料をつかうのではなく,自分の思いに合う材料を選んで使用するように,材料を5種類にし
ぼって提示したことで,自分が特に表したい部分に1つ選んで使うことができた。材料の感じの違いに気づ
かせ,思いと材料をつなげるために,刷ったものの資料を見せることによって(資料②),自分の表したい
ことを表すために,どんな材料を使うといいか考えることができた。また,迷っている子どもには試しの場
(資料③)で試して考えさせるようにした。思いに合った材料を接着するためにどのようにすればよいか,
材料ごとに適した接着の方法を資料で提示したことで,材料にあった接着ができた。(資料④)
● 自分の思いを基に表したい生き物を図工ノートに描く際,思いはあるがそれを絵に表すことに時間がかか
る児童がいた。発想構想段階での手だてを検討する必要がある。
版の動かし方の工夫について(資料①)
試しの活動の場(資料③)
材料の接着に関する資料(資料④)
材料の特徴をつかませるための
刷った物の資料(資料②)
振り返りの内容
○ 毎時間,導入段階で振り返りの時間をもち,自分のめあてを明確にし,図工ノートに自分のめあてを書い
てから活動に入った。そのため,活動の見通しをもち,自信をもって活動することができた。
3人グループで交流しながら,「今までがんばってきたこと・工夫してきたこと」と「今日がんばろうと
思っていること・工夫したいところ」を話し合ったことで,自分の表したいことを確かめ,意欲をもたせる
ことができた。
○ 授業の終末の振り返り活動では,自分のめあてに対してどうだったか振り返ることができるように,図工
ノートに「大満足・満足・もう少し工夫したい・もう少しがんばりたい」の4項目から選択して,その理由
を書くようにした。「大満足・満足」をつけた児童は,記述欄で自分の思いがうまく表せたことを確認し,
自己肯定感をもつことができ,次時への意欲が高まった。
「もう少し工夫したい・もう少しがんばりたい」
につけた子どもも,次時へとつながる肯定的な振り返りとなった。
振り返りの方法
3 人グループでの交流
○ 導入段階での振り返りは,互いに顔が見え,自然と交流が生まれやすい
3人グループで交流しながら行った。図工ノートや,自分や友達の作品を
見ながら,自分の思いを確かめたり,友達に認められたり,友達のよさを
取り入れて自分の表現へ生かしたりすることができ,効果的であった。交
流の際には,発表する内容や話を聞くときの約束を板書で確認してから行
ったことで,どの児童も今日自分がしようと思っていることを「どこに・
どんな材料を使う」という形で,図工ノートに書くことができた。自分の
めあてをはっきりともたせてから活動に入ることによって,活動が止まる
ことなく,意欲をもち続け集中して活動することができた。
○ 授業の終末段階の振り返りでは,図工ノートに「大満足・満足・もう少
し工夫したい・もう少しがんばりたい」の4項目から選択して自己評価し,
その理由を書くようにした。
「大満足・満足」をつけた児童は,自己肯定感
を味わうような振り返りができていた。また,めあて通りに活動できなか
本時(第 5 時)の板書
った場合でも,残りの選択肢を「もう少し工夫したい」
「もう少しがんばり
たい」という項目にし,理由を書いたことで,次時につながる肯定的な振り返りとなった。このように,図
工ノートを用いることは,自分の思いを確かめながら表現活動を行うのに有効であった。
振り返りの時間配分
○ 授業の導入場面での振り返りは 10 分,授業の終末での振り返りは 5 分として,表現活動の時間を十分確
保するようにした。
○ 毎時間図工ノートに自分のめあてを書き,終末に振り返りをすることをパターン化することで,児童も振
り返りの活動を短時間で行えるようになってきた。
第4学年
1
授業実践
題材名および題材観
「切って
組み合わせて
木の世界」
(工作に表す)
本題材は,はじめにのこぎりの扱いに慣れ,次に木を切ってできるいろいろな形を組み合わせてできる
ものから表したいものを思いつき,自分の思いに合ったものをつくることをねらいとしている。
まず,のこぎりの使い方を学習し木切れを自由に切ることで,楽しみながらのこぎりの扱いに慣れ,様々
な大きさや形の木片を多く作り出していく。次に,それらを組み合わせながら見立て活動をすることで,
操作の中で生まれる形を楽しみ,発想を広げていくことができると考える。さらに,表現の途中で自分の
作品を振り返ったり友達の作品のよさを見つけたりしながら,木片の形を生かしたり,組み合わせ方を考
えたりすることで,自分の思いに合った表現の工夫を引き出すことができ,有意義な題材といえる。
本題材はA表現の(1)ウと特に関連が深く,木という材料の「手触り」「香り」「軽い」「堅い」「切れる」
といった特徴を感じながら,木を切る,組み合わせるといった活動を体験できるものである。
2
本題材における指導方法の工夫および指導上の配慮事項
○
発想・構想の段階においては,まず,のこぎりで自由に木切れを切ってできたたくさんの木片を組み
合わせて見立て活動を楽しむ。その操作の中で生まれる形を楽しむことに重点を置き,つくりたいもの
のイメージを膨らませ,つくりたいもののイメージを絵や言葉に表し明確にする。イメージが広がるよ
うに,小グループで思ったことや感じたことを話し,見立て活動を振り返りながら進めていく。
○ 表現の段階においては,活動の始めに振り返りの時間をもつことで,自分のめあてを明確にし,活動
に見通しをもち,自信をもって取り組むことができるようにする。最初は,つくりたいもののイメージ
をもとに木片の大きさや形の特徴を生かして組み合わせ,くぎや木工用接着剤を使って接着する。表現
する際に自分の思いに合った木片がない時は,好きな木片を切れるようにのこぎりコーナーを設ける。
活動の終わりには,自分の思いが表現できているか,自分のめあてに対する振り返りの時間をもつ。
○ 鑑賞の段階においては,木片の切り方,組み合わせ方に視点を置き,互いの作品のよさを見合い,表
現のよさや面白さを見付ける活動を行う。作品のよさや面白さを共有し,自分の作品を友達に認められ
る体験を通して,自己肯定感を感じられるようにする。
3
題材目標
○ のこぎりで木を切ることに興味をもち,思いついたものをつくることに取り組んでいる。
(造形への関心・意欲・態度)
○ 木を切ってできる形から,自分の表したいものについて考えている。
(発想や構想の能力)
○ 木片の形や大きさを生かしながら,いろいろな組み合わせ方を工夫して表している。 (創造的な技能)
○ 自分と友達の作品を見て,表し方のよさや面白さなどを見つけ,伝えることができる。 (鑑賞の能力)
4 学習計画(全7時間)
過程
学習活動
配時
1 のこぎりの使い方に
ついて知る。
・持ち方や姿勢
・切り始めと切り終わり
・切る角度
発想
構想
2 のこぎりで木切れを
②
切る。
・切る形について
3 切った木片を組み合
わせて見立ての活動を
楽しむ。
手だて(※)
児童の姿
ふりかえり活動に関する手だて(◆)
※ 写真を用いることで,持ち
「日々の授業改善の
方・切り方が視覚的に分かる
工夫」にある資料を
ように工夫する。
活用し,のこぎりの
使い方を確認した。
※ のこぎりの基本的な扱い方
については,GTの学校用務
◎ 安全なのこぎりの使い方を守り,意
員とともに指導・支援にあた
欲的に木材を切っている。
る。
※ 豊かな発想ができるように,線 ◎ 木切れを横・斜めなど様々な方向に切
りながら,のこぎりで切ることを楽しみ,
を引かず横・斜めなど様々な方向
のこぎりに慣れることができる。
に切るようにする。
◎ 様々な大きさや形の木片を組み合
◆ 操作の中で生まれる形を楽
わせて,できるもののイメージを広げ
しみ,イメージが広がるよう
ている。
に,小グループで思ったこと
や感じたことを話しながら活
動できるようにする。
4
見立ての活動をもと
に,つくりたいものの
イメージをもつ。
5
イメージをもとに,
木片を組み合わせる。
○ 木片の接着について
確認する。
(くぎや木工用接着剤)
○ 材料コーナー,くぎ
打ちコーナー,のこぎ
りコーナーを活用しな
がら,木片の組み合わ
せ方を工夫し,思いに
合った表現をする。
つくりたいもののイメージ
をはっきりさせるために,ア
イデアスケッチをかかせた
り,文や言葉にかき表わせた
りする。
※ 資料提示を行うことで,木
片の組み合わせ方を工夫でき
るようにする。
※ 木片を形ごとに分類し,材
料コーナーで提供する。面白
い形や多角形のものも入れ,
児童の発想が広がるようにす
る。
友達と交流しな
がら十分に見立て
活動を楽しむこと
で,つくりたいもの
のイメージをつく
っていった。
※
◎
つくりたいもののイメージを図工
ノートにかき表している。
◎ 自分の思いに合わせ,木片の組み合
わせ方を工夫しながら表現している。
◎ 様々なコーナーを活用し,自分の思
いに合った表現をしようとしている。
くぎ打ち
コーナー
材料コーナー
のこぎり
コーナー
多角形やくぎ
を打った木片を
準備した。
※
必要に応じて木材を切るス
ペースを確保する。
※ のこぎりやくぎ打ちなどに
ついては,GTとともに指
導・支援にあたる。
表現
④
くぎでの接合やのこぎりの切り方など,難しい技
術面の支援を学校用務員の先生と協力して指導し
た。技術面における個別の支援が充実し,児童の表
したい思いを十分に表現できる環境をつくることが
できた。
◎
友達の作品から自分の思いに合っ
た木片の形や大きさ,組み合わせ方を
探すことで,自分のめあてを明確に
し,表現を工夫することができる。
◆
一人一人が自分のめあてを
明確にもつため,学習の始め
に振り返り活動を行う。
授 業 の導 入 段階 で
振り 返 りを す るこ と
で,自分のめあてをも
つことができた。そう
することで,活動の見
通し を もっ て 表現 す
ることができた。
◆
自分の作品について振り返
ったり,友達の作品を鑑賞し
たりすることで,木片の形や
大きさ,組み合わせ方などを
工夫し,自分の思いを表すよ
うにつくることができるよう
にする。
見立て遊びで見られた組
み合わせ方の具体例を平面
や立体で示した。組み合わせ
方を工夫し,自分の思いに合
う表現ができた。
6
鑑賞
①
互いの作品を鑑賞
し,作者の思いをもと
に表現のよさや面白さ
を味わう。
新幹線を作りまし
た.くぎと小さな木片
を使うことで,車体同
士を動くように接合
することができた.
小さな木片をずら
して積み重ねること
で,階段を表現してい
ます。すべり台を斜め
の木片で支えたり,木
片をすきまなく接着
したりすることがで
きた。
木片の形・大きさ,切り方, ◎ 自分の工夫したことを友達に伝え
たり,友達の作品からよさを感じ取っ
組み合わせ方に視点を置き,
たりしている。
作品のよさや面白さを見つけ
るようにさせる。
◆
5
児童の言葉と考察
「大満足・満足・もう少し工夫した
い・もう少しがんばりたい」の4つ
から選択して活動をふりかえり,そ
の理由を書くようにした。
A児の図工ノートより
自分のめあて
たりないものを切
って,どんどん組み
合わせよう。
土台になるいい木へんを見つけられたのでよか
ったです。次は,柱にしっぽと魚をつけるのを
がんばりたいです。
自分のめあてに対して,「満足」に○をし,土台の木片を見つけて組
み合わせていることからめあてが達成できていることが分かる。さら
に,次にがんばりたいことも見つけ,自分の思いをもち,見通しをもっ
て表現活動をしていることが分かる。
B児の図工ノートより
「もう少し大きくしてみたい」というめあてに対し,
「やろうと思っていたことがで
きて大満足です。」とふりかえり,自分のめあてを達成できている。その満足感から,
さらに自分の思いに合うものにしようと,「もう少しかざりや家などをつくるのを工
夫したい」と意欲的に活動している姿が窺える。
C児の図工ノートより
授業の導入で交流活動をした第5時の自分のめあてに,
「○○さんのようにつなげて
かんらん車を完成させたい」と書いていた。友達のつくったものから表現のヒントを得
て自分のめあてをもっていることから,交流活動が児童の表現活動に有効に働いている
ことが分かる。
6 成果(○)と課題(●)
教科書の教材化
○ のこぎりの技能を身に付けるため,視覚的に分かりやすい資料を活用し,のこぎりの指導を行った。また,
のこぎりに慣れることも必要だったので,つくるものを想定してから切るのではなく,どんな形でもいいの
で切ることに専念できるようにした。そうすることで,時間いっぱいたくさんの木片を切ることができ,子
どもたちも満足していた。
○
自分の思いに合わせて木片の組み合わせ方を工夫できるために3つの手立てを行った。1つ目は,見立て
活動の時間を取り,木片の組み合わせ方を試す時間を設定したことである。2つ目は,見立て活動の中で見
られた組み合わせ方を整理して資料提示(平面と立体)を行い,表現活動の際に参考にできるようにしたこ
とである(①,②,③)
。3つ目は,材料提供の工夫である。材料コーナーに面白い形や大きさのものを入
れておいた(④)。そうすることで,発想が広がり,いろんな組み合わせ方が見られ,表現の幅が広がった。
②木片の組み合わせ方(立体)
①木片の組み合わせ方(平面)
③見方を変えるための立体資料
④材料コーナーの木片(一部)
振り返りの内容
○ 授業の導入段階で振り返りをすることで,自分のめあてをもたせた。そうすることで,児童自身がその時
間にしたいことを明確にし,見通しをもつことができるようになったので,自信をもって表現している姿が
見られた。この導入段階での振り返りには,前時に図工ノートで振り返りをしたことが生かされていた。
「大
満足・満足」をつけた児童は自己肯定感を味わうような振り返りができ,さらにつくり進めたいという気持
ちをもっていた。また,めあて通りに活動できず,
「もう少し工夫したい」
「もう少しがんばりたい」を選択
した場合も,次時につながるような肯定的な振り返りをすることができていた(⑤)。このように図工ノー
トを用いることは,自分の思いをもち続けなが
ら表現活動するのに有効であった。
⑤図工ノート(一部)
振り返りの方法
○ 見立て活動でいろいろな組み合わせ方を試すため,小グループで交流し
ながら行った。つぶやいたり,アドバイスし合ったりしながら見立てるこ
とができ,友達の面白い組み合わせ方を参考にする姿も見られ,効果的で
あった。
○ 自分の思いに合うよう工夫をするため,第5時の授業の導入場面で交流
活動を取り入れた(⑥)
。友達の作品から自分の思いに合った木片の切り方
や組み合わせ方を探すことで,思いに合うように工夫する方法が明確にな
⑥第5時の板書(一部)
り,
自分のめあてをもって表現活動に取り組むことができた。
● 今回は,第5時に意図的に交流活動を位置づけたが,つくる活動の中で,自然に友達の作品を見ては参考
にしてつくる姿も見られた。図工ノートに「もう少し工夫したい」「もう少しがんばりたい」と振り返って
いる児童の必要感に応じて,グループ構成をしたり,交流活動を位置づけたりするなど,今後も検討が必要
である。
振り返りの時間配分
○ 導入場面での振り返りは10分以内,最後の振り返りは5分を目標に取り組んだ。そうすることで,表現
活動の時間を十分に確保することができた。
○ 毎時間,図工ノートに自分のめあてを書き,最後に振り返りをするというパターン化をすることで,児童
が慣れ,短時間で書けるようになり,次時の自分のめあてに生かすことができるようになった。
第5学年
1
授業実践
題材名および題材観
「わたしの生き物物語」(工作に表す)
本題材は,切り抜く形を思い付き,形や色等の特徴を生かした作品を表現する力と,自分や友達がつく
った作品で遊びながら,互いの表現のよさを感じ取っていく力を身に付けさせることをねらいとしている。
そこで,パーツの色づかい,向き,形の組み合わせ等のよさを紹介する中で,自分の思いにあった作品
を発想することができる。またでき上がった作品で友達と遊ぶことを想像することで,作品に児童の豊か
な思いをさらに深めることができ,熱中して取り組める題材であると考える。また,本題材はA表現の(2)
ア【感じたこと,想像したこと,見たこと,伝え合いたいことから,表したいことを見付けて表すこと】
をもとに構成されており,一人一人が発想を広げることができる点で意義深い題材である。
2
本題材における指導方法の工夫および指導上の配慮事項
○
発想・構想の段階においては,想像を膨らませるために,今までの生活経験や生き物の姿などについ
ての友達との交流を通して,自分の作品のイメージを膨らませるようにする。そして,児童が自分の思
いを明確にもてるように図工ノートに下絵をかかせる。また,作品にこめたい自分の思いを計画するこ
とができたか,記述を基に振り返らせる。
○ 表現の段階においては,始めに発想・構想の段階でかいた下絵を基にむだなく木取りをさせる。次に
木取りをもとに,板を切り抜き,着色する。木取りの後と表現の最後に,自分の思いが作品に表れてい
るか,計画通りにできたかについて視点を与えてふりかえり活動をさせる。
○ 鑑賞の段階においては,友達や自分の作品のよさや面白さを発見するために,友達の作品で遊びなが
ら交流する場を設定する。遊びながら見付けたよさについて交流することで,自分の振り返りを行わせ,
作品への思いをさらに豊かにする。
3
題材目標
○ 1枚の板材を生かして,楽しみながらパズルをつくる活動に取り組もうとしている。
(造形への関心・意欲・態度)
○ 切り抜いた一つ一つのピースと,組み立てたパズル全体の形や色の面白さのあるパズルを考えている
(発想や構想の能力)
○ 安全に電動糸のこぎりときりを使いながら,板材の切り方を工夫している。
(創造的な技能)
○ 自分や友達がつくったパズルで遊びながら,互いの表現のよさを感じ取っている。
(鑑賞の能力)
4 学習計画(全6時間)
手だて(※)
過程
学習活動
児童の姿
配時
ふりかえり活動に関する手だて(◆)
1 好きな生き物の話を ※ 発想が思い付かない児 ◎ 好きな生き物の話をする中で,物語パズル
童には,これまでの生き物
したり,提示資料を見
のイメージをふくらませている。
との経験や好きな動物の ◎ つくりたいもののイメージを図工ノ
たりしながら,自分が
話をしたり,資料を提示し
つくってみたいパズル
ートにかき表している。
発想
たりする。
のイメージをもつ。
ぼくは,海の中と海の上の
構想
◆ 自分の思いをもとに,パ
生き物が旅行をしている
②
ズルに表したい物語をイ
ところを表したいな。
メージすることができた
わたしは,猫が出てきて,
か,振り返りをさせる。
草原で楽しくお話をしてい
る物語を表したいな。
表したいパズルの形 ※ 板をむだにしない配置に ◎ 前時の図工ノートをもとに,どんな物
語を表したいのか確かめ,板と同じ大き
ついて考えさせる下絵の見
や色について考える。
さの紙を無駄にしないように意識して
本を提示する。
(1) メインになるも
組み合わせや配置を考えている。
※ 児童が学習の見通しをも
のをかく。
てるように学習の流れを提
(2) 周りのスペース
みんなでリンゴを見ている
示する。
をかく。
ところだからどの生き物も
(1)木取り
目線は上向きにしよう。
(2)パーツを切る
(3)着色(ニス)
◆ 自分の下絵を振り返った
ここの隙間には,クジラ
り,友達の下絵を鑑賞した
の水しぶきをかこう。
りしながら,形,色,組み
合わせを計画することがで ◎ 自分の作品を振り返ったり,友達の作
品を鑑賞したりすることで,自分の思い
きたか振り返りをさせる。
にあった表現方法を見付けている。
2
自分のイメージを生 ※ 電動糸のこぎりの安全な ◎ 下絵を基に無駄なく木取りをしてい
る。
使い方を教え,安全な使い
かして作品をつくる。
方カードを掲示しておく。 ◎ 電動糸のこぎりを正しく使い,思い通
○ 下絵をもとに,木取
りの線で板を切り抜いて部品をつくろ
※ 切り始めの場所について
りをする。
うとする。
考えるようにさせる。
○ 線に沿って電動糸の
こ ぎ り で 板 を 切 り 抜 ※ 資料コーナーを設置し,
児童がいつでも自由に見ら
く。
ゆっくり板を回すと猫の
れるように参考作品を置
○ 切り抜いたパーツに
頭が丸くできたよ。
く。
絵の具で着色する。
◆ 表現段階の途中に,作品
に思いが表れているか,計 ◎ 自分や友達の表現のよさや面白さに
気づき,自分の表現活動に生かそうとし
画通りにできたかについて
ている。
振り返りをさせる。
◎ 自分の思いに合うような色を考えて
いる。
3
表現
③
楽しい冒険を表すために,
たくさん出てくる鳥は全
部違う色にしよう。
自分や友達の作品を ※ 児童自身で形や色,組み ◎ 自分や友達の表現のよさや面白さを
味わいながら作品鑑賞を行っている。
鑑賞し,作者の思いを
合わせのよさや面白さに気
もとに作品の面白さを
づくように,交流の場を設
犬と猫が出てくるのか。
味わう。
定する。
○
題名はどんな題名だろ
う。
鑑賞
①
なるほど,犬と猫が冒険
前半の3人グループ
で交流している様子
する物語だったんだ。
紹介カード
材料の形や色,組み合わ ◎ 友達との交流をもとにして,自分の表
現のよさについて考えている。
せの工夫から感じた思いや
よさを図工ノートに書かせ
る。
○○くんからのキラキラ
◆
カードに「とってもおも
後半のペアで交流し
ている様子
しろかったよ」と書いて
あってうれしかったな。
いろいろな大きさの違う
鳥をかいていたら「いろん
な色をまぜてぬっていて
上手だったよ」と言われて
鑑賞後に書く,コメントカ
ード
うれしかったです。
5 児童の言葉と考察
A児の図工ノートより
第2時の振り返りで,次に工夫をしたいとこ
ろを「きれいな色をつけたい。」として,そ
れがA児の次時の明確なめあて「色をていね
いにぬる。」につながっている。色の視点で
自分の表したいことを練り上げている姿が
表れているといえる。
B児の図工ノートより
第4時の終わりにめあての「色をて
いねいにしよう。」をもとに振り返
り,
「題にあった色にして,なるべく
とびださないようにしました。」と色
に 注目 して振 り返 ってい るこ とか
ら,B児が色という視点をもって活
動しているといえる。
C児の図工ノートより
C児の作品:大好きな人参に出あい,草原
を案内してもらっている楽しさを,うさぎ
で周りを囲むということと,それぞれのう
さぎの表情の変化で表している。
視点として,作者の思いと形・色・
組み合わせにしぼり鑑賞会を行った
ことで,作者が見てほしいところを
鑑賞し合うことができていた。その
結果,
「つくってみて,本当によかっ
た。」と振り返っている。この言葉か
ら,C児の自己肯定感が高まり,自
分の表現について自信をもつことが
できたということが分かる。
6
成果(○)と課題(●)
教科書の教材化
○ 「生き物の物語」をテーマにしたことで,子どもの発想が豊かになり,物語性のあ
る作品ができあがった。
○ パズルは1枚の板材,パズルの土台は板材ではなく段ボールにすることで,土台は
板材と遜色なく経済的に仕上げることができた。
○ 4~6人のグループで活動する場を設定することで,パーツの形や組み合わせ,色
等自他の表現のよさに気付くことができた。
● 題材名には解釈の深さが表れる。学習内容が子どもへの価値があるように,題材名
の分析が必要である。
第1時の図工ノート
振り返りの内容
○
形や色等の視点を通して自分の表したい生き物の物語を表
すことができたか振り返らせたことで,自分が表したいこと
を表せたか考え,自己評価することができた。
● 自分の表したいことの振り返りが形や色等の視点とつなが
らない子どもがいた。自分の表したいことと形や色等の視点
が明確につながるように,図工ノートへの視点の提示等の手
だてを検討する必要がある。
視点をもって振り返っている図工ノート
振り返りの方法
○
線分図と記述式が連動した振り返り形式にし,視点をしぼ
りこんで提示したことで,自分の表したいことをどのくらい
どのように表せたか,また表せなかったか具体的に振り返り,
次時の自分のめあてにつなげることができた。
● 子どもが自分の表したいことを自由に振り返りやすいよう
に,記述する欄を枠のみのフリースペースにする等の方法を
検討する必要がある。
振り返りと次時の活動がつながっている
振り返りの時間配分
○
導入,終末の短時間のふりかえり活動の設定をしたことで,子どもは自分のめあてをもって学習に取り組
み,自分の表したいことを表すことができたか振り返ることができた。
● 終末のふりかえり活動に時間がかかる子どもがいた。子どもが表現の時間を十分に取れるよう,学習時間
内の配分を再検討する必要がある。また,表現しながら子どもは振り返っているという視点から,学習デザ
インを考える必要がある。
第6学年
1
授業実践
題材名および題材観
「墨から感じる形や色」
(絵に表す)
本題材は,使う用具でできる多様な形や,墨と水でできる色の濃淡から感じる様々な表情から表現主題を
連想させ,抽象的なものを表現する力を身に付けることをねらいとしている。
墨は,水の加減により様々な色を感じさせ,筆や用具の動かし方によって,かすれたり,にじんだりとい
った様々な表情を見せる。このことから墨の表現のよさや美しさを味わいながら創造的な学習を深めること
ができると考えられる。
本題材は表現の(2)ウ【表したいことに合わせて,材料や用具の特徴を生かして使うとともに,表現に適し
た方法などを組み合わせて表す】と特に関連が深く,児童が自分の表現主題に合った墨の濃淡,使う用具を
選択し,それらを組み合わせることで,一人一人が自らの表現をつくりだすことができる点で意義深い題材
である。
2
本題材における指導方法の工夫および指導上の配慮事項
○
発想・構想の段階においては,体験活動を設定することで,墨に十分に親しみをもたせるとともに,墨
の様々な表情を知り,発想を広げさせる。
○ 表現の段階においては,その日の作品が表現主題をどれほど表すことができたかを振り返らせ,視覚的
に分かりやすくする。また,表現主題について振り返りをすることで,表し方の組み合わせと墨の濃淡に
ついて,うまく表現できたところともう少し工夫が必要なところを児童自身に見付けさせる。
○ 鑑賞の段階においては,一つ一つの作品の表現のよさやちがいに気付かせるために,作品の表し方の組
み合わせと墨の濃淡を視点として与える。
3
題材目標
○ 墨と水,用具でできる形や色に興味をもち,墨の形や色から感じる様々な表情を表現することに取り組
もうとしている。
(造形への関心・意欲・態度)
○ 墨の形や色から感じる様々な表情を表現するために,墨の色の濃淡や用具でできる多様な形を試しなが
ら,表し方を考えている。
(発想や構想の能力)
○ 用具を活用しながら表し方を工夫している。
(創造的な技能)
○ 自分や友達の作品を見合ったり,話し合ったりして,墨の美しさや表し方のよさ,面白さをとらえてい
る。
(鑑賞の能力)
4 学習計画(全4時間)
過程
学習活動
配時
1
手だて(※)
ふりかえり活動に関する手だて(◆)
児童の姿
いろいろな表し方を知り,試す。
(1)基本的な表し方(かくもの・
かかれるもの・墨)を知る。
(2)いろいろな表し方を試す。
発想
構想
①
※
墨に親しみを感じることがで
使う道具
きるように体験活動の時間を十
・筆
分にとる。
・霧吹き
※
試す活動をするときに次の視
・スポイト
点を与える。
・色紙を五㎝ほど
・線を中心にした試し
の四角形に切っ
・ぼかしを中心にした試し
たもの
・道具を使った試し
・スポンジ
・自由な試し
◎
墨の濃淡の感じや用具の扱い方を考え
ながらいろいろな表し方を試している。
色紙をつかってみようかな。
スポイトも使いたいな。
筆でポンポン叩いてみよう。
きりふきでやってみたいな。
(3)試した表し方のよさを振り
◆
本時で試した表し方のよさを
返る。
振り返ることができるように図
板書
工ノートに記入する。
◎
試した表し方のよさを振り返っている。
版画みたいにかすれてい
ていいな。
ぼかすとどんどん広が
っていっていいな。
スポイトで点々を表す
と美しいな。
2
2つの試しがきを組み合わせ
て,新しい作品を表現する。
(1)試しがきの中からお気に入
りを1つ選ぶ。
※
活動がしやすい場づくりを行う。
※
机間指導をしながら,工夫し
◎
お気に入りの試しがきを自分のもの,友
達のものから1つずつ選んでいる。
自分の試しがきはこれに
しよう。このにじみ方が気
に入っているから。
ているところを賞賛したり,つ
(2)友達の余っている試しがき
の中からお気に入りを1つ選ぶ。
まずきに応じて助言したりする。
○○君は,僕の試しがきに
はないような墨の表情が
表現できていてすごいな。
(3)2つの試しがきを組み合わ
◎
せて新しい作品をつくる。
2つの試しがきを組み合わせてよりよ
いものを表現しようとしている。
自分と友達の試しがきの
線をつなげて線路みたい
にしよう。
広々と活動できるような場づくり
ホールにビニルシートを敷き,グ
ループごとに道具を準備した。上
靴を脱ぎ,床に座ってグループで
◎
表し方の組み合わせと墨の濃淡を工夫
して表現をしている。
活動をさせることで心を開放さ
せ,広々と,のびのびと活動がで
試しがきを組み合わせると
森のような感じがするな。ス
ポイトで垂らして葉を表現
しよう。
きた。
表現
②
(4)工夫できたことと次時にや
◆
表現主題について振り返り,
ってみたい工夫を視点に,活
視覚的に分かりやすくすること
動を振り返る。
で,表し方の組み合わせと墨の
◎
活動を振り返り,本時で行った工夫と次
時で行いたい工夫を見付けている。
今日は 60%達成かな。ス
ポイトで葉みたいにして工
夫できた。でも濃い墨しか
使わなかったから,次は薄
い墨も使おう。
濃淡について,本時での工夫と
次時での工夫を児童自身に見付
けさせる。
振り返り図工ノート
① 今日の作品に対する達成度(0~100%)
を考える。
②達成度に応じてメーターを区切り,振り返り
ノートを分割する。
③分割した左側には工夫できたこと,右側には
次に工夫したいことをかく。
3
前時に引き続き,新しい作品
を表現する。
4
自分や友達の作品を鑑賞し,
※
表現の違いやよさを話し合う。
友達の作品について表し方の
森
◎
友達との交流をもとに自分や友達の作
品のよさを考えている。
ら鑑賞し,題名を考えさせる。
自分の作品のいいところは,
好きなぼかしを中心に完成
させたことだ。
雨と雪
組み合わせと墨の濃淡を視点か
◆
友達との交流をもとに自分の
作品の表し方の組み合わせ,墨
の濃淡のよさを図工ノートに書
鑑賞
①
かせる。 ハチャメチャなダンス
○○君の作品は,不思議な墨
がリズムにのっているよう
な感じがして楽しそうだな。
◎
墨を使った表現のよさや美しさ,楽しさ
を感じ取っている。
濃い墨や薄い墨を使うと墨
の不思議な世界が表現でき
るんだな。
光とか
げの中
家でも作品をつくってみた
いな。
の線路
5 児童の言葉の考察
図工ノートより
振り返らせる際,墨の表情の
組み合わせ,墨の濃淡の視点
を与えた。さらに今回工夫が
できたこと,次に工夫したい
ことを分類して書くことで,
振り返りの内容を次時のめあ
てにつなげることができた。
※ ノートのオレンジ枠参照
第
2
50%
時
第
3
80%
時
次時のめあてを明確にするこ
とで,自分がこの時間に何を
するのかを意識して表現で
き,結果的に達成度メーター
の上昇につながった。
※ ノート赤メーター参照
第
2
60%
時
振り返りの内容からも自己肯
定感が上がったと思われる。
※ ノート緑枠参照
第
3
時
80%
表現主題
6 成果(○)と課題(●)
教科書の教材化
○ 用具を限定することで,用具の特徴を生かしたり様々な表現方法を組み合わ
せたりしながら構成して表すことができた。
○ 表現主題を掲示し,試しの活動を設けることで,墨の特徴に気付き自分の
思いを表現できた。
○ 5人グループで活動させる場を設定することで,道具による表し方の
5人グループ
違いや墨の濃淡の美しさなど,自他の表現のよさに気付くことができた。
● 自分の表したいことに近付けるために,墨の濃淡
梅鉢皿
の幅が広がる梅鉢皿を使用するなど,今後用具の検
討をしていく。
振り返りの内容
○ 色(墨の濃淡)形(表し方の組み合わせ)の視点を意識させるために,板書に掲示したり発問で振り返ら
せたりした。結果,自分の表したいことを表せたか振り返る時に,
ほとんどの児童がぶれずに自己評価できていた。
視点を貼った黒板
● 色(墨の濃淡)形(表し方の組み合わせ)の視点をさらに意識
させるため,図工ノートに振り返りの視点を明記しておくことも
考えられる。
振り返りの方法
○ 0から100の目盛に色を塗らせ,色を塗った理由と塗らなかった理由を書かせることで,本時の活動や
思考を整理し,自己分析できた。また,具体的な活動内容が次時のめあてとなっていった。
● 活動時間を十分にとりたいので,短時間で書ける図工ノ
図工ノート
ートの工夫や,図工ノートを毎時間ではなく書く段階を限
定していくことが必要である。教師の見取りのため,児童
自身の自己分析のため,活動や思考を整理させるため,な
ど用途を整理し,焦点を当てた時間に書かせるなど再検討
していく。
振り返りの時間配分
○ 毎時間の導入時に全体で3分ほどの振り返りをしたことで,本時活動の大事な視点を共通理解することが
でき,具体的な本時の自分のめあてをたてることができた。また,終末時に5分ほどの振り返りをしたこと
で,自分の活動を練り上げることができた。また全体に広めることで,自他のよさを感じ自己肯定感を高め
ることとなり,新たなる表現活動への意欲を高めることができた。
全体で交流している様子
自己肯定感が高まったノート
特別支援学級
1
授業実践
題材名および題材観
「パズルでアート」
(造形遊び)
本題材は,パズルを使って,自分のイメージに合った色や形を選び,模様や形をつくることを楽しん
だり,自分や友達の作品のよさや表現の面白さを味わったりすることをねらいとしている。
何度も修正できるパズルを用いて,貼ったり剥いだりを繰り返しながら自分のイメージに合った表現
ができると考える。また,友達や教師とかかわり合いながら活動することで,友達の表現の工夫のよさ
や面白さを味わったり,作品を飾り,友達に見てもらうことで,作品に愛着をもったりするなど初歩的
な鑑賞活動に発展すると考える。
本題材は,特別支援学校学習指導要領小学部(知的)の図画工作 1段階(1)「かいたり,つくったり,
飾ったりすることに関心をもつ。」と特に関連が深く,かくことと同様に,パズルで模様や形を表現し,
その作品で表したものに意味付けし確かな自己表現をすることにつながると考える。
2
本題材における指導方法の工夫および指導上の配慮事項
○
発想・構想,表現の段階においては,思い思いにパズルを並べて模様や形をつくる。並べ方や組み
合わせる形や色によって,できる模様や形がたくさんあることに気付かせる。第1時では,教師がつ
くった模様や形の見立てクイズをしたり,教師と一緒にパズルを並べてできた模様や形の色や形など
を基に,自分のイメージをもったりする。第2・3時には,粘着性のあるボードに模様や形をつくり
ながら,何かに見立てる活動を楽しむ。児童の表現の工夫や,児童が見つけた表現の面白さやよさを
教師が価値付けをし,自信をもって活動に取り組めるように支援する。
○ 鑑賞の段階においては,できた作品を階段踊り場に展示し,全校児童にも鑑賞してもらう。友達か
らもらったコメントを読み,振り返りを行う。
○ 振り返りの内容については,表現方法の工夫だけでなく,活動のよさについても振り返るようにす
る。
○ 振り返りの方法や時間配分については,児童の実態を十分に考慮する。方法については,教師や友
達とのやりとりや「いいねカード」など視覚的な方法で振り返る。また,時間配分については,表現
活動の時間を十分確保できるようにする。
3
題材目標
○ 模様や形をつくりながら,その活動自体を楽しんでいる。
(造形への関心・意欲・態度)
○ パズルで模様や形をつくることを楽しみながら色や形を工夫し,自分のイメージを広げている。
(発想や構想の能力)
(創造的な技能)
○ 作品を見ながら表現した内容を説明したり聞いたりしている。
(鑑賞の能力)
4
学習計画(全4時間)
過程
配時
発想
構想
・
表現
①
手だて(※)
児童の姿
ふりかえり活動に関する手だて(◆)
1 「パズルで アート」 ※ 活動計画を提示する。
の活動内容を知り,活動
の見通しをもつ。
2 パズルを並べ,できた ※ 材料を十分に準備し,活 ◎ できた模様や形からイメージを広げ,
模様や形からイメージ
動に浸れるようにする。
何かに見立てている。
を広げる。
※ 材料を色・形ごとに分ける。 ◎ 思いついたことを試みようとしている。
○ 見立てクイズをする。 ※ パズルに慣れるため,不 ◎ パズルの並べ方を工夫している。
○ パズルを並べて,模様
織布の上で自由にパズルを
三角と三角をくっつけたら
や形をつくり,何かに見
操作できるようにする。
ちょうちょうみたいになった
立てる。
◆ 作品を鑑賞し,見つけた
よ。
○ 次時の活動を知る。
よさや面白さを自由に出し
合わせる。
◆ 活動や表現の工夫のよさ
ここのところが魚の形に
見えるよ。
を教師が賞賛する。
学習活動
並べ方や組み合わせ ※ 活動計画を提示する。
方を工夫しながら活動
を楽しむ。
活動を提示し,見通しをもたせ
た。また,終わった活動は薄文
字にした。児童の実態に合わせ
て,児童の手元にもスケジュー
ルカードを用意した。
3
パズルを並べ,模様や ※ 材料を十分に準備し,活
動に浸ることができるよう
形をつくる。
にする。
○ できた模様や形から
イメージを広げ,何かに ※ 材料を色・形ごとに分け
る。
見立てる。
○
◎
思いついたことを試みようとしてい
る。
◎ 組み合わせや配置を生かした表現の
方法を考えている。
活動に浸ることができる
ように,十分な材料を準備
し,色や形ごとに分けて材
料を提示した。
発想
構想
・
表現
②
※ 貼ったり剥いだりが容易
にできるようなボードを用
意する。
※ 言葉がけなどを通して,
児童の活動のよさを価値付
けし,自信をもって活動で
きるようにする。
※ 作品を階段踊り場に展示
することを知らせ,意欲的
に活動できるようにする。
○ 作品を鑑賞し,自分の ◆ 作品を鑑賞し,見付けた
よさや面白さを「いいねカ
がんばりを確かめたり,
ード」や口頭で自由に出し
表現のよさや面白さを
合わせる。
味わったりする。
◆ 活動や表現のよさを教師
○ 次時の活動を知る。
が賞賛する。
青色のパズルを使って
みようかな。
三角をいっぱい並べたら
波みたいに見えるよ。
お友達に見てもらえるの?
うれしいな。
◎
パズルを並べる活動を楽しみながら,
イメージを広げている。
◎ 作品のよいところや面白いところを
見つけて「いいねカード」を貼っている。
児童は「いいねカード」を自
分や友達の作品に置き,よさ
や面白さを伝えた。教師は「は
なまるカード」で活動や表現
のよさを視覚的に示した。
教師や友達 とのやりと り
の中で,自分の作品のお気
に入りを指 さしや言葉 で
伝えた。
友達から「いいねカード」をもらった
よ。うれしいな。他の学級の友達にみて
もらうのが楽しみだな。
できた作品を紹介 ※ 全校児童にも鑑賞してもら ◎ 自分や友達の表現のよさや面白さを味
うため,階段踊り場に作品を
わいながら作品を鑑賞している。
し,自分や友達の表現
展示する。
◎ 友達からのコメントカードを教師から
のよさや面白さを味
◆ コメントカードを用意し,友
読んでもらい,活動を振り返っている。
わう。
達の思いを感じ取ることがで
○ お気に入りの形や
友達から「すごいね。」と言
われてうれしいです。
きるようにする。
色を紹介する。
またつくってみたいです。
○ 友達のコメントを
聞く。
4
鑑賞
①
今度つくるときは,動
物をいっぱいつくりた
いな。
5 児童の言葉の考察
A児の活動の様子より
次は,何色のうさぎにしようかな。お友
達の○○ちゃんうさぎもつくろうっと。
友達や教師から賞賛されたこと
によって,自己肯定感が高まり,意
欲的に表現活動に取り組んでいる
ことがわかります。
ヒントカードを参考にしながら自分が
イメージしたうさぎや花の形ができて表
現する楽しさを味わうとともに,友達や教
師から表現のよさを賞賛されたことで表
現活動に浸っています。
B児とC児の振り返り交流の様子より
すごいな。水色の三角は波みたい!
おひさまはどうやってつくったの?
友達の作品のよさ
や面白さを味わうこ
とで,友達の表現の
よさを次時の活動に
生かそうとしていま
す。
夏の海をつくりました。工夫したと
ころはここだよ。
僕がつくったのをわかってくれて
うれしいな。おひさまは,このパズ
ルとこのパズルでできるよ。
B児から「すごい。」と言わ
れ,自分の表現について自信を
もって説明しています。また,
自分の表現方法や作品につい
てのよさを伝えてもらい,C児
の自己肯定感が高まり,次時も
意欲的に活動しました。
6 成果(○)と課題(●)
題材の工夫
○ 普段の学習等で教材として使ったことのあるブロックを平面のパズルにしたことにより,児童が活発に活
動することができた。また,隙間なくパズルを敷きつめられるので,こだわりの強い児童にとっても有効で
あった。
○ パズルを描画材にしたことで,混色による色の濁り等を心配することなく活動に浸ることができた。また,
貼ったり剥いだりと何度もやり直しができるので,形や色を手掛かりにしながら繰り返し表現でき,失敗に
抵抗感の強い児童にとって有効だった。
○ 平面のパズルは敷き詰めるだけでなく,重ねて表現することもできたため,児童の表現に広がりが見られ
た。
● 発想や表現を広げるために,形を丸型等に限定したり,限定した型の大きさを変えたり等,手などの感覚
を十分に働かせて表現できるような材料を工夫する必要がある。
● かくことやつくることに楽しさを見出せるような題材,「できた」という喜びを味わわせる題材の開発が
必要である。
振り返りの内容
○ 一人一人の表現に合った振り返りの内容であった。自分の表した
いものやテーマがはっきりしている子どもへは「何を表したの?」
などと問いかけたり,形を並べ,活動に浸った子どもへは「お気に
入りはどこ?」などと問いかけたりした。
● 個に応じた振り返りの内容が必要となる。多面的な評価視点をも
った教師の存在が大きな意味をもつと考える。
振り返りの方法
○ 作品を固定できるボードを活用したことで,互いの作品を見なが
ら活動を振り返ることができた。
○ 児童の「いいねカード」や教師の「はなまるカード」は,活動や
表現のよさを視覚的にとらえるのに有効であった。また,言葉でよ
さを伝えるのに困難さがある児童にとっても,これらのカードは有
効であった。付箋紙の活用も一つの方法であると考える。
● 教師とのやりとりで振り返ったり,友達どうしでお気に入りを伝
え合ったりするなど様々な振り返りの方法が考えられる。一人一人
の特性や発達段階に合った振り返りの方法を検討していく必要が
ある。
振り返りの時間配分
○ 児童が表現している途中,教師が「はなまるカード」を提示し,活動や表現のよさをその都度賞賛した。
表現する楽しさを味わったり,自信をもって表現したりするのに有効だった。
● 学習の終末に振り返り活動を設定したが,特性や発達段階が異なる児童が在籍する特別支援学級において,
一斉に振り返りの時間を設定することは難しい。教師が一人一人の児童の表現のテンポを見取り,振り返り
の時間を設定していく必要がある。
Ⅲ 研究を通して明らかになったこと(成果と課題)
1.成果
教科書の教材化
〔実際に行ったこと〕
○ 教科書の題材名をそのまま使うのではな
く,題材名やテーマを学校の特色や児童の
実態に即して考えること
○ 材料や用具を精選して提示すること
○ 材料の生かし方や用具の使い方について
視覚的に分かりやすい資料を提示すること
○ 活動中のグループ構成(人数や組み合わ
せ方など)を,学習のねらいに即して工夫
すること
〔児童の姿から見られる成果〕
○ 発想を広げたり深めたりすることがで
きた。
○ 材料や用具の特徴を生かしながら,表
し方を工夫して自分の思いを表すことが
できた。
○ 自他の表現のよさに気付き,充実感や
満足感を味わっていた。
ふりかえり活動の工夫
〔振り返りの内容〕
○ 各題材で身に付けさせたい力を基にし
て,各段階で児童に学ばせることを明確に
し,それを基にして色や形などの視点を通
してふりかえり活動を行わせたこと
○ 一単位時間の導入段階で自分のめあてを
もたせるために,作品や図工ノートを基に
して自分の思いや表現について振り返らせ
たこと
○ 一単位時間の終末段階で自分のめあてに
対する振り返りを肯定的に行わせたこと
〔児童の姿から見られる成果〕
○ 自分が表したいことを表せたか考え,
自己評価することができた。
○ 自分自身でめあてを考え,活動の見通
しをもつことで,自信をもって意欲的に
表現や鑑賞の活動に取り組むことができ
た。
○ 次時や後の題材での学習に対する意欲
が高まるとともに,自己肯定感をもつこ
とができた。
〔振り返りの方法〕
○ 振り返りの視点を明確にする形式,振り
返りの記述方法など,図工ノートの工夫を
行ったこと
○ 児童の表現に価値づけをするためにカー
ドを活用したこと
○ 少人数グループによる交流活動を効果的
に設定したこと
○ 全体発表の際に板書の工
夫を行ったこと
〔児童の姿から見られる成果〕
○ 活動や表現のよさを視覚的にとらえる
ことができた。
○ 思いや表現について具体的に振り返
り,自分のめあてをもつことができた。
○ 思いに合うように工夫する方法が明確
になり,自分のめあてに沿って表現活動
に取り組むことができた。
○ 肯定的な振り返り
を行うことができた。
〔振り返りの時間配分〕
○ 各時間の学習内容を基にして,表現の時
間を圧迫しないようにどの段階でどれくら
いの時間ふりかえり活動を設定するか考え
たこと
・ 段階…一単位時間の導入,途中,終末
・ 時間…導入:3~10分程度
終末:5分程度
〔児童の姿から見られる成果〕
○ 表現活動の時間を十分に確保すること
ができ,表現する楽しさを味わったり,
自信をもって表現したりした。
○ 自分のめあてをもって学習に取り組
み,自分の表したいことを表すことがで
きたか振り返ることができた。
○ 自他のよさを感じ,自己肯定感を高め
ることとなり,新たなる表現活動への意
欲を高めることができた。
2.課題
教科書の教材化
●
児童が自分の表したいことを思い通りに表すことができるように,材料や用具の使い方について児童自身
が考えることのできる資料の提示及び支援の工夫についてさらに研究を深めていく必要がある。
● 題材名を学校の特色や児童の実態に即して考えるとともに,活動提案の仕方をさらに工夫して,児童の表
現意欲を高め,発想を促すことが必要である。
ふりかえり活動の工夫
●
ふりかえり活動が自分の表現の練り上げや自己肯定感の高まりにつながっていない児童もいた。個に応じ
た振り返りの内容について考えるなど,さらに研究を深めていくことが必要である。また,児童の図工ノー
トへの記述や授業中の発言など,言語活動を行う中で発せられた言葉について,造形的な視点を通して多面
的に見取り,指導に生かしていく必要もある。
● 題材の特性や児童の実態などに応じて,振り返りの方法は様々なものが考えられる。本研究では,多くの
成果が上がったが,他の題材でも研究を行い,振り返りの方法についてさらに検討を重ねていくことが大切
である。
● 図工ノートに記述する振り返りを行う場合,書くことを苦手としている児童と得意としている児童では,
記述内容や記述に要する時間に差ができる。いくつかの方法を提示して児童に選択させるなど,個に応じた
振り返りの方法の提示についても研究を進めていく必要がある。
● 特性や発達段階が異なる児童が在籍する学級の場合,一斉に振り返りの時間を設定することは難しい。教
師が一人一人の児童の表現の進み具合を見取り,振り返りの時間を設定していくことも手だてとして考えら
れる。
平成 24 年度 ご指導いただいた先生方
低学年部
教育センター
研修課
研修指導員
坂口
満
様
中学年部
教育センター
研修課
主任指導主事
宮野
直哉
様
高学年部
指導部
学校指導課
主任指導主事
片山
寛詞
様
特別支援教育部
福岡市立能古中学校
教
小﨑
俊司
様
頭
平成 24 年度 福岡市小学校図画工作科研究委員
委
員
長
大石
京子
(東住吉小学校
校長)
副委員長
納屋
亮
(香椎東小学校
教頭)
研究部長
岡﨑
教昭
(南当仁小学校)
研究副部長
北田
尚雄
(馬出小学校)
事
局
西村
洋子
(博多小学校)
低学年部長
香月
悟
(田島小学校)
低学年部員
隈本
裕寿
(飯原小学校)
水城
久美子
(多々良小学校)
西田
義幸
(当仁小学校)
池邉
真理子
(別府小学校)
中学年部長
足立
順子
(塩原小学校)
中学年部員
田中
夕子
(和白小学校)
池田
裕美
(野多目小学校)
石田
遥子
(愛宕小学校)
高学年部長
林田
公与
(壱岐小学校)
高学年部員
小田
ひろみ
(有田小学校)
中島
ゆきえ
(席田小学校)
後藤
祐生
(那珂小学校)
沼瀬
真寿美
(原小学校)
務
特別支援教育部
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