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島津環境・社会報告書

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島津環境・社会報告書
P012-0178
SHIMADZU ENVIRONMENTAL AND SOCIAL REPORT
島津環境・社会報告書
2014
島津製作所の社是と経営理念
創業以来、
「科学技術で社会に貢献する」を実践
『 人と地球の健康 への願いを実現する』を経営理念に地球環境問題に取り組む
島津製作所は、1875(明治8)年
3月31日、島津源蔵が京都・木屋
町二条で、理化学器械の製造を
始め、創業しました。
当時の京都は、明治維新の動乱
で荒廃し、東京遷都で沈滞化し
た中、復興の機運が高まり、
「学
初代 島津源蔵
校建営」と「殖産興業」を柱とし
て、近代化が進められようとしていました。初代源蔵は、
せいみ
1870年に木屋町に創設された「舎密局(現在の理化学研
究所のようなところ)」に出入りし、欧米から輸入されてく
創業当時の島津製作所
る新しい理化学実験用機械器具の仕組みを理解すること
に没頭しました。また、国内外の有識者と出会ったこと
で、学識、技術を向上させました。
こうして、資源の乏しい
日本の進むべき道は、科学立国であるとの理想に燃え、
科学知識の普及を通じて社会に貢献することを目指しま
した。
この創業以来の志が、
『科学技術で社会に貢献する』
とい
う当社の社是となり、社員一人ひとりが、それぞれの仕事
を通して、その実現に向けて行動しています。
1992年には、
『 人と地球の健康 への願いを実現する』を
経営理念と制定しました。折しも、地球規模の環境保全が
クローズアップされ、環境と開発に関する国際会議「地球
サミット」が開催された年でした。人類の健康と地球規模
↑明治初期の日本の理化学教育に必
要だった実験器械器具が島津の理
化器械でほとんどカバーできたこと
がわかる資料として、歴史的、学問的
価値があると評されています。
の環境保全は全世界共通の願いであり、社会の一員とし
て地球環境問題を当社の最重要課題の一つとして位置
づけ、企業活動を行い、地球を守り豊かな社会の実現を
目指しています。
←巻末には、
「 お好みしだい、
何品にても製造仕り候なり」
と宣伝しています。
1 8 8 2(明 治 1 5)年 6月に、初 代 源 蔵 が 刊 行した
理 化 学 器 械のカタログ「理 化 器 械目録 表」
詳しくは
WEB へ
02
企業理念、行動方針
http://www.shimadzu.co.jp/aboutus/company/actpln.html
島津製作所 創業記念資料館 http://www.shimadzu.co.jp/visionary/memorial-hall/
トップコミットメント
トップコミットメント
2013年度、島津グループの連結売上高は3,075億円とはじめて
ることができました。
また、廃棄物の削減においては、各部門での
3,000億円を超え、過去最高となりました。そして2014年度からは
排出量削減に向けた取り組みを拡大することによりリサイクル率
新たな3ヵ年中期経営計画がスタートしました。
この新中期計画で
99%以上のゼロミッションを継続し、社会的責務である3Rを推進
は、
「世界の顧客の成長に資するイノベーティブカンパニー」を目
しております。
指すという基本方針のもと、真のグローバル企業となるために一
今後とも当社は、生物多様性、低炭素化社会など益々重要になる
段と高いレベルの仕事に挑戦していきます。
環境問題に積極的に取り組んでまいります。
環境活動におきましては、変化する社会の要請に応え、企業の社
なお、当社は2013年1月、航空機器に関する防衛省との契約で作
会的責任を果たすべく、分析計測機器、医用機器、航空機器、産業
業時間を過大に請求している案件があることが判明し、防衛省より
機器に関わる製品・サービスを国内外の広範な分野のお客様にご
指名停止の措置を受けましたが、2014年3月25日、再発防止策の
提供できるよう努め、経営理念である
「 人と地球の健康 への願い
提出および過大請求に係る返納金の納付を行い、指名停止の措置
を実現する」
を具現化するとともに、
自然エネルギーの普及に向け
は解除されました。当社といたしましては、今後はコンプライアン
た研究開発、生物多様性に関する研究支援など環境保全のための
スの更なる徹底を図り、再発防止に努めるとともに、社会の期待に
活動に取り組んでいます。
また、低炭素化社会を目指し2010年から
応える企業として、一層の努力をしてまいります。
始めた「Save the Energyプロジェクト」
では、当社開発製品の省エ
ネ化を推進し、消費電力を25%以上削減した多くの新製品を開発
本冊子は当社の環境・社会活動について2013年度の実績を中心
し、
ご使用いただくお客様の省エネに貢献しています。
に編集しております。皆様におかれましては、
ご高覧いただき、忌
憚のないご意見をお聞かせいただければ幸いです。
また、2014年7月から当社主要製品にも適用される欧州の有害物
質使用規制であるRoHS指令に対し、
グループあげて対応を図ると
ともに、更に続く化学物質の管理を定めたREACHなどの規制に対
しても、サプライチェーンと連携して対応を進めていきます。
生産活動による環境負荷低減では、設備の省エネ改修、省エネ機
器の導入を引き続き推進するとともに、製造工程の見直しや効率
的な運用などを行い、売上高当たりのCO2排出量を大幅に削減す
株式会社島津製作所
代表取締役
社長
INDEX
島 津 製 作 所 の 社 是と経 営 理 念
02
環境報告
トップコミットメント
03
環境マネジメントシステムの体制と方針
23
環境影響評価・環境管理プログラム
24
中・長期プログラム
25
島津製作所の事業概要
04∼05
特 集
□
□
□
3 生物多様性を利用した環境技術開発の支援
□
4 Save the Energy プロジェクト
1 自然エネルギーの普及に向けた挑戦
06∼08
環境負荷マスバランス・環境会計
26
2 さらなる品質向上に向けて
09∼11
地球温暖化・省エネ対策
27
12∼14
廃棄物・化学物質対策
28
15∼17
製品の環境対策とグリーン調達
29
生物多様性の保全・外部支援活動
30
ステークホルダーとの対話
31
社会報告
コーポレ ートガ バナンス
社会の一員として
人 事・雇 用・健 康
18
19
20∼22
SHIMADZU ENVIRONMENTAL AND SOCIAL REPORT 2014
03
島津製作所の事業概要
多様な技術の集積がSHIMADZUの原動力です
分析機器分野
Analytical Instruments
最先端の分析技術で、さまざまな分野での研究や
技術開発・品質管理に貢献しています。
分析機器
質量分析装置/クロマト分析装置/光分析装置/
表面分析・観察装置 /バイオ関連解 析 装置
環境計測機器
水質計 測装置 /排ガス測定装置
トリプル四重極型 高速液体クロマトグラフ質量分析計
世界最速の分析スピードと最高感度を実現した新しい質量分析計です。
創薬研究、へルスケアや臨床分野をはじめとする幅広い分野で要求される極微量成分の
分析ニーズに応え、信頼性を確保した高速分析により大幅な生産性向上を可能にします。
計測機器分野
Testing and Measuring Instruments
計測・試験・検査技術で、都市の安全、
暮らしの安心をより確かなものにしています。
試験検査・測定機器
材料試 験 機/疲労・耐久試 験 機/構造物試 験 機/
非 破壊 検 査装置 /高速 度ビデオカメラ/
粉 粒体測定機 器/天びん・はかり
精密万能試験機
ゴム、
プラスチックなどの素材から、食品、携帯電話まで、あらゆる対象物の強度試験が可能。
製品開発、品質管理の現場で幅広く活躍しています。
医用機器分野
Medical Systems and Equipment
進化した画像診断機器で病気の早期発見、早期治療に貢献。
医療現場の新たな世界を切り拓いていきます。
医用機器
X 線T Vシステム/血管撮 影システム/X 線 撮 影システム/
PE T/C Tシステム/放 射線治療装置 用動 体追 跡システム/
近赤外光イメージング 装置 /医療情報システム
血管撮影システム(12インチFPD搭載)
「最高画質」、
「優れた操作性」、
「安全と安心」
をキーワードに、患者と術者に優しい装置を開発。
12インチ視野の新型FPDの採用により1台で頭部・心臓・腹部・四肢まで全身をカバーし、増加し
ている血管内治療(インターベンション)
をサポートしています。
04
島津製作所の事業概要
航空機器分野
Aircraft Equipment
搭乗者の「安全・快適・負荷軽減」を実現する
さまざまな航空機器を提供しています。
航空関連機器
フライト・コントロール・システム/エア・マネジメント・システム/
コックピット・ディスプレイ・システム 他
地上支援 関 連 機 器
航空機 器 機能試 験装置 /航空医学訓練装置
フライト・コントロール・システム
航空機の揚力や機体姿勢などを制御するフライト・コントロール・システム。当社はこのシ
ステムにおいて、離着陸を安全に行うためのフラップ舵面制御システムを手がけています。
高品質なメカニカル技術や高信頼性の電子制御技術で安全な飛行に貢献しています。
産業機器分野
Industrial Equipment
高度な製造装置や検査機器を開発し、
先端産業分野における次世代のモノづくりにお応えしています。
産業機械
ターボ分子ポンプ/太陽電池反射防止膜 成膜装置 /
太陽電池セル検 査装置 /成膜装置
油圧機 器
デバイス・コンポーネント
油圧歯車ポンプ/マルチコントロールバルブ/パワーパッケージ
回折格 子/レーザモジュール&レーザデバイス/小形分 光器・分 光センサ/
精密屈折計/レンズ・レーザミラー/MEMSチップ/産業計 測機 器
ターボ分子ポンプ
半導体や太陽電池などの製造プロセスに欠かせない真空環境を作り出すターボ分子ポンプ。世界最大級の排気能力を持つターボ分子
ポンプを製品化し、高精細化が進むタッチスクリーンパネルや大口径化が進むシリコンウエハなどの成膜・加工に対応しています。
商
号
株式会社 島津製作所
SHIMADZU CORPORATION
創
業
明治8年(1875)3月
設
立
大正6年(1917)9月
資
本
金
約266億円
従
業
員
3,121名(単独)、10,612名(連結)
単位:百万円
営業利益
売上高
307,532
300,000
266,255
252,707
264,048
その他、IR関連の情報をはじめ、株主・投資家
の皆様に対しての配当政策、情報開示の推進
に関する活動は、
当社Webサイトを
ご参照ください。
株主の皆様へ
238,255
第151期 事業のご報告
平成25年4月1日∼平成26年3月31日
200,000
世 界の顧
界の顧客の成長に資
顧 客の成 長に資する
長に資
資 する
する
イノベーティブカンパニー
イノベーティブカ
イノベーティブカンパ
イノベーティブカンパニ
ー を目指して
を目指して
を目指
(2014年3月31日現在)
本社所在地
〒604-8511
100,000
京都市中京区西ノ京桑原町1番地
電
話 (0 7 5)8 23 ̶1111(代表) 10,294
16,297
19,365
12,116
24,018
投資家向け情報
株主の皆様へ ・・・・・・・・・・・・ 1
特集:新中期経営計画・・・・・・・・ 6
連結決算の概要・・・・・・・・・・・ 9
トピックス・・・・・・・・・・・・・・ 11
会社概要・株式情報・・・・・・・・ 14
2009年度 2010年度 2011年度 2012年度 2013年度
詳しくは
WEB へ
Contents
事業の概要・・・・・・・・・・・・・・ 3
0
※表紙掲載装置の説明は、11、13頁をご覧ください。
http://www.shimadzu.co.jp/ir/
株主・投資家の皆様へのIR活動 http://www.shimadzu.co.jp/csr/social/ir.html
SHIMADZU ENVIRONMENTAL AND SOCIAL REPORT 2014
05
特集1/自然エネルギーの普及に向けた挑戦
特集1
自然エネルギーの普及に向けた挑戦
太陽電池 反射防止膜成膜装置
※1
「MCXS」の開発
かつて太陽電池反射防止膜成膜装置で大きなシェアを誇った
島津がチャレンジャーになった。市場を奪還すべく掲げた目標は、
にわかには信じがたいものだった。
太陽電池反射防止膜成膜装置「MCXS」
太陽電池市場は、需要地確保や現地企業育成等の観点
このような状況のなか、製造コストを低く抑えることがで
から優遇政策の導入を進める中国、太陽光発電システム
き、
またメガソーラー等の太陽光システム全体の出力を低
にとって良好な条件が整っているアメリカやインド、また
下させるとして大きな問題になっているPID(Potential
再生可能エネルギーの固定価格買取制度が開始された
Induced Degradation:電圧誘起出力低下)※3に対して高
日本などにおいて拡大しています。また長期的にも、新
い耐性をもつ太陽電池が強く求められています。
興国における経済成長や生活水準の向上によりエネル
太陽光の反射を抑えてエネルギーの吸収を高める役割を
ギー需要が急激に増加することに伴い、特に日照条件の
果たし、発電効率向上に貢献する反射防止膜およびその
良好なアフリカ、中東、南米、東南アジアなどにおいて需要
成膜装置についても、
これら課題に対処するべく、高水準
が拡大することが見込まれ、2030年には2012年の3.2倍
の性能と生産性が求められています。
である128,600MWまで出力数が伸びることが予測されて
います※2。
06
特集1/自然エネルギーの普及に向けた挑戦
島津エミット
(株)技術グループ
鈴木正康
市場を奪還せよ
当社は長らく生産性、信頼性の高い太陽電池反射防止膜
成膜装置をリリースしてきましたが、2009年にリリースし
たのを最後に、新製品を発表できずにいました。
このよう
な状況の中、2010年12月、当社秦野工場で新製品の開発
がスタートしました。
リーダーとなったのは技術部開発グ
ループ(現、島津エミット、技術グループ)の鈴木正康。鈴木
は過去の装置の開発者で、
しばらく開発からは離れていま
したが、
ドライプロセスのプラズマ源に関する知見を見込
まれ、当時の製造部長である篠原真(現、半導体機器事業
部長)から開発を託されました。
『同じ時間で生産できる量が2倍』
『消費電力は3分の1』
『壊
れにくく、メンテナンスも容易』実現できれば画期的な製
品となるのは確実でしたが、根拠となる技術は何もない状
態でした。
しかし、そのレポートに描かれた 夢 に引き寄せられるか
のように、鈴木と篠原の間では技術談義に花が咲きまし
た。
「もし厚さ100ミクロンのシリコン板を割らずにつかめるロ
ボットが作れたら、
ここはもっと速いかもしれませんね」
「も
し500℃の真空のなかで100キロを超える重さの台を高速
で搬送できたら、
ここはクリアできますね。聞いたこともな
いですけど」
「もし成膜速度がこれまでの3倍以上のまった
く新しい新プラズマ源があれば、いけそうですね。
まったく
夢物語に引き寄せられて
想像できませんけどね」。
市場調査によると、競合他社の製品はいずれも優れたコ
ンセプトのもとで設計・製造されており、当時の当社の技
術を結集したとしても、他社現行製品と同程度の仕様を引
き出すのが精一杯で、後続となる分、圧倒的な価格差がな
ければ勝負することができない状況でした。
「もっと圧倒的な製品が必要である」
という意識のもと、鈴
木はいったん当社が保有する技術は無視して、競争力のあ
る製品仕様とはどんなものかを整理してレポートを作成し
ました。
※1 太陽電池反射防止膜成膜装置
太陽電池表面に入射する光の反射を抑え、光エネルギーの損失を防
ぐための膜を生成するための装置。
※2 富士経済調べ
※3 PID(Potential Induced Degradation:電圧誘起出力低下) 太陽光発電システムを高電圧(1000V以上印加)
で使うと、モジュール
回路に電流漏れが発生し、出力が落ちる現象。高電圧下で使われるメ
ガソーラーなど産業用太陽電池に特有の問題とされ、高温多湿の環
境下で起きると言われている。
SHIMADZU ENVIRONMENTAL AND SOCIAL REPORT 2014
07
特集1/自然エネルギーの普及に向けた挑戦
ホロー放電を可能にした電極板
ー放電を可能にした電極板
希望を照らす紫色の光
根拠となる要素技術はただのひとつもなく、開発が前途多
最大の難関はクリアできたものの、
まだまだ解決すべき課
難であることは最初からはっきりとしていました。なかでも
題は山積していました。そのどれもが、誰も発想さえしたこ
最大の鍵となるのは、焼き付けを行うプラズマ装置でし
とのない技術の集合で、誰もが実現は到底無理だと考えて
た。
「2倍の速さで焼き付けするためには、チャンバー内の
いたものでした。
アイデアを出し合って、試作品を作っては
プラズマの密度を大幅に高くしなければならない。周波数
昼夜を分かたず検証する日々が続き、いつしか開発室は、
の高い電源を用いれば、高密度プラズマを発生させること
「不夜城」
とあだ名されるようになりました。
ができるが、今度は、肝心のシリコン基板にダメージを与
えてしまう」。本来両立することのできない課題でした。
スタッフの疲労も極限に達しようとしていた2012年の12
唯一可能性があるとすれば、ホロー放電と呼ばれる放電現
月、ついに十分な信頼性をもった装置ができあがりまし
象を利用することでした。ホロー放電は周波数にあまり左
た。
スループットは当初の目論み通り約2倍、電極をシンプ
右されず、電極の形状に立脚する現象です。穴状の電極を
ルな形状にしたことで、
メンテナンスの手間が大幅に軽減
用意し、その穴の中をガスで満たして電気を通せばその穴
し、
ランニングコストでも競合を大きく引き離した、まさに
の中がプラズマで満たされます。ただし、15センチ角のシ
夢の装置が実現したのです。
リコン基板全体にむらなく成膜するためには、小さな穴を
たくさん並べ、そのすべての穴で、同じ密度のプラズマを
こうして2013年3月に発売された新型の太陽電池反射防
発生させる必要があります。そんな電極の形状が、果たし
止膜成膜装置「MCXS」は、市場からの圧倒的な評価を受
てあり得るのか。小さな放電モデルを作ってはテストを繰
け、早々に複数台を受注するに至りました。
しかし鈴木は
り返す日々が続きました。
「我々は市場奪還を目指すチャレンジャー。
ここで立ち止ま
るわけにはいかない」
として今日も秦野工場で夢談義の花
年度がかわり4月に入ったある日、鈴木の頭にまったく新し
い電極の形状が思い浮かびました。金属の板に直径数ミ
リの穴をたくさんパンチングして貫通させただけのシンプ
ルな形状。理論上はこれでいけるはずでしたが、
これまで
誰もこんな形状の電極で放電させた者はいません。早速、
試作品を作成し、小型のチャンバーにセットしました。する
と、
プラズマが発生していることを示す紫色の光がチャン
バー内から発せられたのです。
08
を咲かせています。
特集2/さらなる品質向上に向けて
特集2
さらなる品質向上に向けて
2013年12月
クオリティセンター開設
安心で快適な製品をお客様に
お届けするために必要な設備、
専門スタッフを配置。
本社三条工場内に建設された新施設
「クオリティセンター」
2013年12月、設計・開発から製造段階での品質、さらには
市場における品質の強化・改善を目的に、社内の設備と機
能を集約した品質拠点としてクオリティセンターを開設し
ました。鉄骨3階建て延床面積約5,500㎡の同センターは、
開発段階での安全試験などの品質評価や操作性を改善す
受付事務所
るための設備を拡充しました。
さらに製造段階での品質管
クオリティセンター利用者の
問い合わせに対応
理や市場で発生した不具合を解析・改善するための設備
と専門スタッフを配置しました。
クオリティセンターの機能
1
■
2
■
3
■
4
■
5
■
6
■
EMC測定
精密測定・計測器校正
材料分析・試験
信頼性評価
ユーザビリティ評価
安全性評価
顧客用玄関
お客様の見学時に利用
SHIMADZU ENVIRONMENTAL AND SOCIAL REPORT 2014
09
特集2/さらなる品質向上に向けて
クオリティセンターの機能
クオリティセンターでの取り組みが、島津製品の品質向上にどのように関わっているかご紹介します。
①材料の品質管理
②原因究明のための材料解析
製品に使用される材料が規格通りのもの
かを確認します。例えば成分分析を行い「要
求された材料か」、
「環境に影響を及ぼす有
害な物質が含まれていないか」を確認した
り、材料の引っ張り試験を行い適切な強度
かを調べます。
さらに、材料の硬さや組織を
観察し、適切な処理がなされているか確認
します。
市場において何か問題が発生した場合、その
原因究明・解析を行います。当社の製品である
EPMA(電子線マイクロアナライザ:高分解能
で元素分析ができる電子顕微鏡)などを用い
て、例えば「どういう風に破損したか?」
「異物
はどんな成分か?」などを確認します。他にも
各種の解析方法を駆使して迅速に原因を特
定、解決に導きます。
EPMAを用いた解析の様子
材料分析・試験
材料分
精密
精密測定
・計測器校正
計測
より安全、
製品をお届け
①精密測定
1μm(1mmの1,000分の1)
という細かい単位まで、部
品が設計通りにできているか寸法や形状を測定します。
24時間温度管理された部屋で専門的な知識・資格を有
するスタッフが対応し、厳しい検査に合格した部品を製
品として使用します。
ユーザビリティ
評価
②計測器校正
計測器は製品の検査などを行う際に使用される「もの
さし」
となるものです。
正確な測定による良い品質の製品づくりのため、島津
グループで使用しているすべての計測器を定期的に校
正し、精度を維持します。
③JCSS
(Japan Calibration Service System:
ISO/IEC17025に準拠)
ISO/IEC17025および計量法に準拠した校正事業所とし
て質量計・分銅の校正を行っています。更に国際認定ス
キームによって認定された国際MRA(相互承認)対応事
業所でもあり、発行する校正証明書はMRAに署名してい
る世界各国で活用できます。
ユーザビリティ評価では、製品やサービスの使いやすさを検証します。
クオリティセンターにはユーザビリティ評価を行う専門施設を設置し
ました。社内外のモニターが製品やサービスを使用する様子をハーフ
ミラーで仕切られた別室から観察し、安全性や使いやすさを評価しま
す。ユーザビリティ評価を通して、
「安全・安心」で「使いやすい」製品や
サービスの実現を目指しています。
ユーザビリティ評価の様子
三次元測定の様子
10
JCSS質量校正の様子
特集2/さらなる品質向上に向けて
電磁ノイズ
EMCは日本語で電磁両立性と言います。
「装置が発する電
磁波が周辺の機器に影響を与えないこと」、
「周辺からの
電磁波で装置が誤動作しない耐性があること」、
この両方
を兼ね備えていることです。
例えば、
「携帯の電波で島津製品が勝手に動き出したりし
ないか」、
「島津製品をたくさん並べてもそれぞれの電磁
波の影響で勝手に動き出したりしないか」
といった環境を
想定し、試験を行います。
試験は電波暗室と呼ばれる外部からの電磁波の影響を
受けない環境の下で行われています。
クオリティセンターには新たに10m法対応電波暗室をは
じめ、大小3つの電波暗室を設置しました。各国や地域で
定められた規格に対応するための試験が行えます。
ーガー
ガーガ
10m法では製品から約10m離れた位置で電磁波を測定します
EMC測定
測定
信頼性評価では、製品がお客様のもとで、
「確実」
「正確」に機能
し続けることを確認します。砂漠のような乾燥した状態から宇宙
のような真空状態まで特別な環境を再現できる設備を導入し、
製品の機能を確認します。
快適な
するために
信頼性評価
性評価
安全性評価
①温湿度試験
製品や部品にさまざまな温度や湿度
の負荷をかけて、
どれくらいの耐性が
あるかを確認します。例えば、
「 仕様
温湿度に+αの状態でも装置が勝
手な動きをしないか」を想定し、試験
します。
②真空試験
温湿度試験の様子
真空状態では、気体分子がきわめて
少ない環境のため、部品に残ったご
くわずかな汚れなどが製品の性能に
悪影響を与えることがあります。その
ための専用設備を用いて試験しま
す。
①安全試験
③耐久試験
安全に製品を使っていただくため、
安全規格に対応できているかを確
認します。例えば「万が一、落雷など
で製品に異常な電圧がかかったと
しても、お客様が感電することがな
いか」なども想定し試験します。
④振動試験
安全試験の様子
②環境試験
「製品の電気回路に異常が起こっても、火災のもとにならない
か」、
「防水仕様の場合、製品に水がかかっても安全に機能する
か」
といった万が一の事態を想定し、試験します。
防水試験の様子
耐久試験の様子
製品には蓋や扉、ケーブル、
スイッチ
といった日常的によく使われる部位が存在します。専用の試験装
置を使用して製品の蓋や扉を何万回も開け閉めし、何年も確実
に機能するかどうかを試験します。
異常試験の様子
製品をお客様にお届けするまでには鉄道やトラックなどの輸送
手段が使われます。例えば「輸送時にでこぼこな道だったら…」な
ど製品が受けるさまざまな振動ストレスを想定し、確認します。
なお、製品を載せるパレットには環境にやさしいオールダンボー
ルの梱包材を使用しており、同様に試験します。
振動試験の様子
SHIMADZU ENVIRONMENTAL AND SOCIAL REPORT 2014
11
特集3/生物多様性を利用した環境技術開発の支援
特集3
生物多様性を利用した
環境技術開発の支援
地球上にはさまざまな動植物によって多様な生態系が構成されています。
昨今、
この生態系から我々人間が恩恵(サービス)を享受する上で、
「生物多様性」の保全、持続的な利用、衡平な配分が、
国際的にも注目を集めています。
生物多様性を利用した環境技術開発の最前線を担っている、
大阪大学大学院工学研究科環境・エネルギー工学専攻の
池 道彦教授にお話を伺いました。
まずは池先生のご研究内容について
ご紹介いただけますでしょうか。
レン、ニッケル、
アンチモンなどの元素は、すでに環境基準
などの規制項目に定められています。
私の研究は主に植物や微生物といった自然界の力を上手
この中の「セレン」
という元素は、微量であれば人間にとっ
く使って、排水や土壌の浄化技術を開発するものです。
ては必須栄養素であり、産業界においても、半導体合成や
元々、地球システムや自然界は非常によくできていて、
よほ
コピー機の感光ドラムの材料など、多様な用途がありま
ど無茶をしない限り、自浄作用によって環境は一定の状態
す。
しかし、精錬工場からの排水に高濃度で含まれていた
でバランスしています。
しかもこの働きの一端を担う植物
り、石炭火力発電所などからも排出されており、水環境や
は光合成によってエネルギーを自給しながら、自ら増えて
土壌環境における悪影響が懸念されています。現状では、
いくことができるので、ある意味永久機関のようなものと
セレンは物理化学的プロセスで多大なコストとエネル
もいえます。そこに注目し、工学屋として、植物や微生物の
ギーをかけて除去されてはいますが、最終的には有害性
持つ汚濁物質の分解能力などを上手く引き出すための
のない程度に希釈するか、埋立処分するかでしかなく、
リ
「装置化」について研究をしています。
サイクルされないままになっています。
以前は「エンドオブパイプ(End-of-Pipe)」
と呼ばれる、い
ここで、物理化学的なプロセスと比較して、安価にエネル
わゆる「静脈」的な排水処理などが中心でしたが、最近で
ギーもさほどかけずに無害化処理とリサイクルを両立さ
は資源の回収や循環といった、ものづくりにも関わる「動
せることができるのが微生物です。微生物の中には、排水
脈」
も一体化させることを考えています。
中に溶けているセレンを上手に取り込んで回収し、体内に
具体的にはどのような方法でしょうか?
蓄えるものがいますので、
これを利用します。さらに、カド
ミウムという有害元素も一緒に取り込んで、半導体である
例えば、科学技術の進歩によって近年大量に使用されるよ
「セレン化カドミウム」
という物質を合成することができる
うになってきたレアメタルという物質の一群があります
微生物もいます。
このことは、有害金属を含む排水を処理
が、
これらは現代の産業界にとっては非常に有用なもので
しながら、付加価値の高い材料に転換するという新たな
ある一方、排水や排ガス中に濃縮して排出されることに
12
よって、環境汚染の原因にもなっています。具体的には、セ
「ものづくり」の可能性を示しています。
特集3/生物多様性を利用した環境技術開発の支援
※1
LC:液体クロマトグラフ
※2
GC:ガスクロマトグラフ
※3
EDX:蛍光X線装置
多くの成分が混ざっている試料を液体状
多くの成分が混ざっている試料をガス状
X線を当てることにより非破壊で試料に含
態で分離することにより、試料に含まれる
態で分離することにより、試料に含まれる
まれる元素の種類と量を調べる装置です。
目的成分の量を調べる装置です。
目的成分の量を調べる装置です。
気化する成分について、液体クロマトグラ
フより高精度に調べることができます。
微生物は「浄化」や「資源回収」を担う
非常に多くの項目を調べる必要が
理想的な触媒と思えてきましたが、
あるのですね。
逆に何か問題はないのでしょうか?
こうした調査・分析の段階では、島津製作所さんのLC※1や
微生物によって引き起こされるさまざまな作用は「代謝」
と
GC※2などの分析装置を使った、さまざまな化学物質の分
言いますが、
このプロセスで生じる
「代謝物」にはやっかい
析をしています。なかなか全ての分析装置を所有すること
なものが含まれることもあり、その対策が必要です。微生
もできませんので、時には阪大の他の研究室で所有してい
物は化学的には予測し得ないような中間代謝物を生成し
るEDX※3などの装置を借りて分析することもあります。未知
てしまうことも少なからずあり、結構難しいのです。例えば、
のプロセスを解明するという我々の要望に対して、島津製
ノニルフェノールエトキシレートという洗剤を微生物が分
作所さんには、
どのような方法で分析をするべきか、コン
解すると、
より毒性の高い代謝物が蓄積してしまい、
これが
サルティングに近い形で技術的な面からもご指導をいた
魚のオスをメスに性転換させてしまう環境ホルモンであ
だいており、
とても助かっています。
ることが知られています。洗剤は除去できるものの、別なリ
最近では浮き草と微生物との関係性に注目した研究も
スクを生み出してしまうのです。
行っています。浮き草の根っこ
(根圏)に、非常に優れた化
そのため、微生物を化学物質の分解に利用する際には、代
学物質の分解能力を持った微生物が集まってくるという現
謝物の中に、
こうした有毒なものが生成されていないかを
象を確認しており、それを排水処理や環境浄化に活用しよ
調べる必要があります。
これは言わば、薬の副作用を調べ
うという研究です。
この優れた微生物の根圏への集積は、
るような工程です。
また、
どのような生育環境でどんなエサ
単なる偶然ではなく、浮き草が分泌するビタミン、
タンパク
を与えることで、
より微生物の代謝が促進されるか、あるい
質、
アミノ酸、糖類などの何らかのコミュニケーション物質
は完全な分解が生じるかということも重要な調査対象で
を介した反応によるものと考えています。
この媒介物質の
す。先ほどのセレン関連の研究では、水の中に溶けていた
正体を分析していくことによって、
より高効率な浄化システ
セレンを微生物がしっかりと取り込んでいるかどうかも確
ムが構築できるのではないかと考えており、そこでも化学
認する必要があります。
分析は大きなカギになります。
まだまだ実用化にはいくつ
ものハードルがありますが、実際に使える技術としての研
究をさらに進めていきたいと考えています。
SHIMADZU ENVIRONMENTAL AND SOCIAL REPORT 2014
13
特集3/生物多様性を利用した環境技術開発の支援
今後の研究の展望は?
これからの研究は「予見型」
でなくてはならないと考えてい
ただ、実際には生物多様性を「使う」
という表現は少しおこ
ます。CO2も30年前くらいから問題視してこられた方はごく
がましくて、最近では、環境保全のために植物や微生物た
一握りだったでしょうが、社会経済の進展なども含めた解
ちに無茶をさせたり、酷使したりしているようにも感じてい
析をしっかりしていれば、温暖化という地球規模の現象を
ます。彼らが好む好まざるに関わらず劣悪な環境にさら
も全く想定できないものではなかったはずです。
し、生きていくための生存能力の一部を借りて、私たち人
私の分野では、水や土の生態系を徹底的に分析して、自然
間にとっての有用な面を引き出しているにすぎないのか
界と人間界のそれぞれの営みをしっかり理解していくこと
もしれません。そういう意味では生物たちに少し申し訳な
が必要だと考えています。それによって、次のリスクを早期
いですね(笑)。
に発見し、例えば人間界の営みである経済活動などを変え
ていくように働きかけていくこともできるでしょう。極めて
複雑な自然界の営みの分析においては、島津製作所さん
それは非常に面白い視点ですね。
本日はありがとうございました。
にこれからもお世話になることと思います。
また、
このような形で生物多様性を「使う」
というのは、単
なる自然保護活動とは異なる側面があります。例えば、あ
る植物があって、その地域の固有種であるということのみ
では、その保護を行っていく意義はわかりにくく、自治体が
税金を使って保護していくことすら難しいかもしれません。
しかし、その植物が根圏の微生物を巻き込んで水を浄化し
ており、有害な農薬や化学物質の分解もしているという付
加価値を有していることが明らかになっていれば、
「保全」
することの意義が増すわけです。
これによって、将来世代に
も渡って生態系サービスを享受する仕組みができていけ
ば、
「衡平な配分」につながることも期待できるかもしれま
せん。
14
大阪大学大学院
工学研究科環境・エネルギー工学専攻
博士(工学)教授
池
道 彦 氏
大阪大学大学院工学研究科博士前期課
程修了後、企業勤務の後、1990年大阪大
学助手採用。講師、助教授を経て、2006
年から現職。
この間、1998∼1999年には
文部省在外研究員としてドイツ・ハンブ
ルクーハーブルク工科大学に留学。
特集4/Save the Energyプロジェクト
特集4
Save the Energyプロジェクト
当社は環境負荷低減に貢献する環境計測機器や産業用装
置を提供していますが、
その取り組みに加え、
これからの低
炭素社会に直接的に貢献する製品ラインアップの強化を
図るべく、2010年1月に省エネ対応製品のラインアップ強
化プロジェクトとしてSave the Energyプロジェクト
(以下、
「本プロジェクト」
という)
を策定し、社内外に公表しました。
本プロジェクトでは、高い省エネ効果が見込める主要製品
の新規開発において、お客様先での電力消費量を削減す
当社エコラベル制度認定製品です。
省エネルギー:当社従来機種比●%削減
ることでランニングコストを低減すると共に低炭素社会へ
の対応を図るべく、省エネ率25%以上
※1を実現する新製品
開発を順次進めました。本プロジェクトで多くの製品の省
エネ化を実施し、その中で、25%以上削減された製品は
「省エネ製品」
と定義して、当社のエコラベル制度で認定し
ました。
2013年度までに34機種の省エネ製品が開発され販売さ
れています。内訳は分析計測機器27機種、医用画像診断機
従来機種の消費電力量−開発機種の消費電力量 ※1 省エネ率=
従来機種の機種の消費電力量
器6機種、産業機器1機種です。
当社 エコラベル
(省エネ)
認定製品
機器分類
対象機種
省エネ率[%]※2 機器分類
対象機種
省エネ率[%]※2
分析計測
ガスクロマトグラフ GC-2025
29.3
分析計測
軟質試料長ストローク変位計 DSES-1000
45.2
機 器
分取液体クロマトグラフ用送液ユニット LC-20AP
41.0
機 器
サーボパルサ用油圧源省エネルギーユニット ECU1シリーズ
59.4
超高速液体クロマトグラフ用オートサンプラ SIL-30ACMP
27.9
サーボパルサ用油圧源省エネルギーユニット ECU2シリーズ
41.9
HPLC用フォトダイオードアレイ検出器 SPD-M30A
35.4
島津小型卓上試験機 EZ Test EZ-LX
57.8
ガスクロマトグラフ質量分析計 GCMS-QP2010 Ultra
26.2
島津小型卓上試験機 EZ Test EZ-SX
63.8
ガスクロマトグラフ質量分析計 GCMS-QP2010 SE
27.3
水分計 MOC63u
32.8
ガスクロマトグラフ質量分析計 GCMS-TQ8030
26.2
医 用
撮影専用17インチFPD
79.2
ガスクロマトグラフ質量分析計 GCMS-TQ8040
26.4
画像診断
X線装置用画像処理装置ディジタルサブトラクション
フーリエ変換赤外分光光度計 IRTracer-100
33.5
機 器
DAR-9000
スパーク発光分析装置 PDA-8000
43.3
SDR-100画像処理装置(Flexavisionシリーズ構成品)
蛍光X線分析装置 EDX-8000
44.1
直接変換方式9インチX線平面検出器
蛍光X線分析装置 EDX-7000
44.1
マイクロフォーカスX線透視装置 SMX-800
26.1
全有機体炭素計 TOC-LCSH
36.4
島津万能試験機 UH-200kNXh
81.3
島津万能試験機 UH-300kNXh
81.7
島津万能試験機 UH-F300kNXh
54.0
島津万能試験機 UH-500kNXh
81.9
島津万能試験機 UH-F500kNXh
54.3
島津万能試験機 UH-1000kNXh
81.8
島津万能試験機 UH-F1000kNXh
61.6
(血管撮影システムBRANSIST Safire構成品)
73.7
56.3
65.2
直接変換方式17インチX線平面検出器
(X線TVシステムSONIALVISION Safire構成品)
75.8
PANEL MAIN ASSY, K-17
産業機器
血管撮影システム BRANSIST Alexa
32.9
太陽電池反射防止膜成膜装置 MCXS
68.1
※2 省エネ率は当社が従来機と同様の条件で運用した際のデータより算出
しているため、運転条件によって省エネ率は変わってきます。
そのた
め、本データは性能を保証するものではありません。
SHIMADZU ENVIRONMENTAL AND SOCIAL REPORT 2014
15
特集4/Save the Energyプロジェクト
製品紹介
ガスクロマトグラフ質量分析計
GCMS-QP2010 Ultra
デルチェンジ前の機種を販売し続けた場合の総消費電力
業界初のエコロジーモードを搭載
キャリアガスなどの資源の節約にも寄与
量と比べたところ44%削減できており、高い水準で目標を
ガスクロマトグラフ質量分析計はガスクロマトグラフに質
達成しました。
量分析計を結合した、複合装置です。多くの成分を含む試
また、2013年度に販売された省エネ製品によるお客様先で
イオン化して各成分を正確に定性・定量します。環境、電子
となりました。島津グルー
のCO2削減量※3は約3,500[t-CO2]
/半導体、化学、医薬、食品、残留農薬、生命科学など、あら
[t-CO2]
プの企業活動による2013年度のCO2排出量は44,472
ゆる分野で物質に含まれる微量成分の測定に用いられて
ですので、
島津グループ排出量の約8%に相当します。
います。
2010年度から2013年度に世界中で販売され、お客様先で
GCMS-QP2010 Ultraは、
「エコロジーモード」を搭載し、分
稼働している省エネ製品によるCO2削減量は、10,000t-CO2
析待機時の消費電力を従来機比で36%削減しています。
を超えています。
エコロジーモードを起動すると、
ガスクロマトグラフ
(GC)、
2013年度に販売された省エネ製品の総消費電力量を、モ
料を高温で気化させ成分ごとに分離し、分離された成分を
質量分析計(MS)、パーソナルコンピュータ
(PC)のそれぞ
れの不要な電力を自動的に節電します。更にキャリアガス
12000
10000
削減量[t - ]
CO2
CO2
8000
(分析試料を装置内で運ぶためのガス)の消費も自動的に
Save the Energy
プロジェクト開始
少なくします。連続分析の後でも自動的にエコロジーモー
ドを起動することができるため、夜間分析の後においても
6000
自動的に電力、キャリアガスを節約することができます。
4000
P C
G C
M S
消費電力36%削減
2000
2009
2010
2011
2012
2013 年度
※3 CO2削減量はお客様先において当社標準運用条件で稼働していると
推定した値です。
今後も、製品の省エネ化が低炭素社会への貢献につなが
ると考え、省エネ製品に利用された技術を全社の製品に
消費電力︵W︶
0
PC
通常待機時(W) エコロジーモード待機時(W)
483W
760W
展開することにより更なる省エネ製品の開発を促進すると
その結果、年間の運用でエコロジーモードを適用した場
共に、製品のライフサイクルを考慮し、製品の環境負荷を
合※4、電力消費量で26%、CO2排出量として年間で約1.1ト
低減していきます。
ン/台の削減が可能となります。
※4 年間利用260日、1日使用時間6時間とした場合。
運用条件は当社標準分析条件による。
16
特集4/Save the Energyプロジェクト
島津 能試験機
島津万能試験機
UH-X/FXシリーズ
汎用血管撮影システム
BRANSIST alexa
必要な作動油も大幅に削減
輸送時のエネルギーや
使用時の空調エネルギーも削減
万能試験機は、油圧によって材料や製品に荷重を加えて
血管撮影システムは血管のX線透視像・血管造影像を観察
強度試験を行う装置で、引張・曲げ・圧縮・繰り返し試験な
しながら病気の検査や治療などを行なうための装置です。
どいろいろな試験ができ、製品や材料の品質管理、研究開
BRANSIST alexaは、準先進国・新興国向けに1台で複数の
発になくてはならない装置です。本装置は、各種材料、
とり
診療科(循環器内科、脳外科、放射線科など)
での使用に対
わけ、コンクリートや金属などの強度試験に広く用いられ
応できる、血管撮影システムです。X線平面検出器(FPD)か
ており、建築、鉄鋼、自動車などのメーカーや大学の研究
らデジタル画像処理装置までの画像処理インターフェース
室、官公庁の試験所、商品検査所などになくてはならない
を一新し、従来はFPD制御用PCと画像インターフェース基
試験機として、多様な分野で使用されています。当社は、
板で分かれていた処理を、新作の基板に一体化し、省ス
1955年にその原型にあたる装置を他社に先駆けて国産
ペース・省電力(32.9%)を実現しました。
また、本装置は輸
化して以来半世紀以上にわたり万能試験機を製造販売し
送・使用環境条件を緩和することにより装置本体での省エ
ており、現在、国内シェア約70%を占めるトップメーカー
ネに加え、輸送時や使用時のCO2の排出について間接的
で、全世界でも約10%のシェアを有しています。
に削減できます。輸送保管環境は、従来15℃∼30℃であっ
UH-X/FXシリーズは、ACサーボモータと油圧ポンプを組み
たものを、−10℃∼60℃として、通常の海上輸送を可能に
合わせることで効率の良い制御を実現するハイブリッド油
しました。使用環境も従来20℃∼27℃であったものを
圧源を搭載しています。ハイブリッド油圧源は必要なとき
10℃∼35℃での使用を可能とし、専用の空調を不要にで
のみポンプが駆動する構造を採用しており、必要作動油量
きることで、病院施設の負担を削減することができます。
の 削 減と大 幅 な 消 費 電 力 の 削 減 を 実 現させました 。
UH-500kNXhの場合は、消費電力を82%削減し、作動油も
従来品80リットルを40リットルに半減し、廃棄時の負荷削
減などに寄与できます。
太陽電池反射防止膜成膜装置
MCXS
太陽電池の変換効率向上に寄与
MCXSは高速成膜、縦型基板配置による装置の小型化に
加えて、
メンテナンス周期の長期化により、当社従来機と比
べて消費電力が1/3、ランニングコストが1/2となり、維持
費・メンテナンス費が低減できます。太陽電池を製造する
ためのエネルギーコストを抑え、原料ガスの使用効率も高
めた省エネ設計の製造装置です。
詳しくは本冊子の特集1(6∼8ページ)
をご覧ください。
SHIMADZU ENVIRONMENTAL AND SOCIAL REPORT 2014
17
社会報告/コーポレートガバナンス
コーポレートガバナンス
事業のグローバル化や急激な経済変化、
さらには企業の自己責任が強く求められる中、企業の社会的責任を果たしつつ事業
の継続と発展を達成していくために、企業はその組織運営において適正かつ効率的な業務の遂行に努めることが重要です。
当社では、企業倫理・コンプライアンスを含めたリスクマネジメント体制を整備し、企業倫理コンプライアンスを尊重する風
土の醸成、および事業に関わるリスクを適正に管理するための活動を行っていくことで、社会からの信頼を高めていきたいと
考えています。
リスク自己評価(CSA)について
リスクマネジメント体制
リスクマネジメントの最高責任者である社長の下にその
現場の第一線がリスクを一番良く知っている という考え
審議機関として
「リスク・倫理会議」を設置し、半期ごとに全
のもと、現場レベルで業務の一環としてPDCA(※図1参照)
社課題と定めた優先取組リスクやコンプライアンスに関わ
を回しながらリスクの予防・コントロールを行っていくため
るリスクなどに対する取り組みについて確認・決定を行っ
に「リスク自己評価(Control Self Assessment)
」
というリスク
ています。その活動は、
リスクマネジメント担当役員の統括
マネジメントの手法を用いた活動を当社と国内グループ
の下、
リスク所管責任部署が中心となり、事業部をはじめ
会社で行っています。評価対象者があらかじめパターン化
各部署・グループ会社へとトップダウンで展開しています。
されたリスク項目(全社共通リスク61項目)を「影響度」
「発
生率」の2つの視点から自己評価し、その評価結果を参考
リスク・倫理体制
社 長
に部署(またはグループ会社)
ごとに重要なリスクを特定
リスク・倫理会議
RM担当役員
RM:リスクマネジメント
統制活動
指導・支援
各リスク所管
責任部署
各 種
委員会
PDCAサイクルを回す
︵1年間︶
〈図1〉
RM事務局(総務部)
事業部
各部署
グループ会社
し、
コントロール策を策定・実行しています。
CSA活動内容
① リスク評価
② アクションプラン策定(
③ アクションプランの実行(
④ アクション評価
(リスクの洗い出しと重要度評価)
リスクの優先順位付け、
リスク低減策の策定
)
業務担当者への
落とし込み→実行
)
(責任者による活動の振り返り)
※PDCA:Plan→Do→Check→Actionの継続的な改善に向けた仕組み
リスク検討会(全社的リスク評価)
企業倫理に関する相談・通報窓口について
2年に1度会社の経営層によって、全社的リスク評価及びそ
企業倫理に関する問題の予防および早期発見・早期対策の
の対策の検討を行っています。
ために、
「企業倫理に関する相談・通報窓口」を4つ設置してい
2013年の「リスク検討会」
では、
この2年間の事業環境の変
ます(1.島津倫理ヘルプデスク 2.外部ホットライン3.セクハ
化を踏まえて島津グループで起こりうるリスクを改めて洗
ラに関する窓口 4.法律相談)。
い出し、特に優先してリスク対策を講じる必要があるリス
その中の「島津倫理ヘルプデスク」
と
「外部ホットライン」の2
ク事項を特定し、
「優先取組みリスク
(4項目)」、
「重要コン
つの窓口では、企業倫理全般に関する内容についての相談
プライアンスリスク
(4項目)」
として設定し、それぞれ責任
や通報を受け付けており、必要に応じて関係部署と協力し問
を持つ担当役員・担当部署を定めました。2015年まで2年
題事案の調査および是正措置の実行、再発防止のための対
間かけてリスク低減対策を進め、その進捗はリスク・倫理
策をとっています。2013年度は9件の相談・通報がありました。
会議で確認していきます。
なお、
「外部ホットライン」は、社外の弁護士が相談・通報を受
け付ける国内グループ会社共通の制度であり、2013年9月に
新設しました。窓口の客観性・信頼性をより高めるため、相談・
通報者が利用しやすくなるよう運用の拡充を図りました。
詳しくは
WEB へ
18
リスクマネジメントの考え方、内部統制、企業倫理規定、各種委員会の活動など
http://www.shimadzu.co.jp/csr/social/governance.html
社会報告/社会の一員として
社会の一員として
ぶんせき体験スクールについて
子ども達に「理科や科学に興味を持ってもらう きっかけ
を提供したい」
との思いから分析装置を実際に操作する
「島津ぶんせき体験スクール」を開催しています。
早期臨床試験での薬物評価を可能にした
日本初の分子イメージング技術を導入した
創薬研究システム
当社は、
(独)国立がん研究センターとの包括共同研究契
2007年より始めたこのスクールはこれまでに約100回、
約を2011年4月に締結し、がんの超早期診断技術や薬理
1400名が受講。
評価技術の開発を目的に共同研究を進めています。共同
2011年度からは高校生を対象としたクロマトコースを新
研究では、当社の質量分析技術や分子イメージング技術
設し、従来の分光コースと2コースで開催しています。
が、細胞レベルでの薬剤分布の可視化や薬効との関連評
価に有効であることを示し、必要な薬剤が目的の組織に集
〈分光コースプログラム〉
まるという創薬コンセプトの証明を可能にしました。
また、
● 講座
(光と色)
● 分光器の製作と光の観察
抗体医薬品の血中濃度を測定する手法の開発という成果
● 分析装置で分析
(分光光度計)
も得られました。
さらに、
この成果を導入した分子イメージ
ング技術の有用性評価、臨床研究が始まっています。今後
はこの研究をさらに推進し、より効果的で副作用の少な
ぶんせき体験スクール
受講者の声
い、患者さんにやさしい抗がん剤開発に取り組んでいき
ます。
2008年7月(分光コース)受講
2008年7月、当時中学3年生の時に
フィリピン台風被害への支援活動
受講した「島津ぶんせき体験スクー
2013年11月8日にフィリピン中南部を直撃した超大型台
ル」の記憶の中でも特に鮮明に残っ
ているのが、講師の方が用意してく
ださっていた ツール(治具)の存
在です。両面テープを27mmに揃え
西京高等学校・
附属中学校卒
京都大学工学部
情報学科在学中
森井 崇斗 氏
て切るための道具などを見て、ただ
風ヨランダ(台風30号、アジア名:ハイエン)はフィリピン
中部のレイテ島を中心に死者・行方不明者7,000人を超
える大きな被害をもたらしました。
フィリピン北部のマニラ首都圏に拠点を置く島津グルー
単純に切ったり貼ったり組み立てたりをするだけの「物を作
プの関係会社Shimadzu Philippines Corporation(SPC)
る」行為だけでなく、その「物を作る」
ことを支えるための道具
と、首都圏から南に約30kmに位置するカビテ市のShimadzu
(治具)からしっかりと作ることで「誰でも同じ物が作れるもの
Philippines Manufacturing Inc.(SPM)の社員は、11月
づくり」を実現させることが重要なのだと教えて頂いたことを
26日から週に1∼2回のペースでマニラ市、マカティ市、
今でも覚えています。
僕は今、小学生にプログラミングを教える活動をしています。
今思えば、
この「島津ぶんせき体験スクール」で体験した「も
パサイ市近郊の避難所を訪れ、ボランティア活動として
救援物資の仕分けや配布作業を行いました。また、島津
のづくり」の楽しさを今度は自分なりにプログラミングという
グループでは、島津製作所が500万円を拠出し、さらにグ
ものづくりの手法を通して伝えられればと思っているのかも
ループ会社の拠出金と社員による募金を合わせ、総額
しれません。
1,000万円を超える義援金をフィリピン赤十字社などに寄
「島津ぶんせき体験スクール」
では「ものづくり」
と科学、
この2
付しました。
つの楽しさを分かりやすくかつ真髄まで教えて頂いたと思っ
ています。
ありがとうございました。
詳しくは
WEB へ
その他「社会の一員として」の取り組み
http://www.shimadzu.co.jp/csr/mecenat/
SHIMADZU ENVIRONMENTAL AND SOCIAL REPORT 2014
19
社会報告/人事・雇用・健康
働きやすい職場づくり
有給休暇の取得推進
育児・介護支援
年次有給休暇の取得は、従業員のワークライフバランスの
年次有給休暇の取得と並んで、育児・介護などの個々人のラ
観点からも非常に重要です。当社では労働組合において
イフステージにあわせた「仕事と家庭の両立」を支援する
も年次有給休暇の取得推進を重点課題としていますが、
制度の充実に力を入れています。
2013年度の有給休暇使用率は、75.3%でした。
(2013年度
例えば、育児休職の期間は原則として1年間ですが、最長
の製造業平均は58.4%。)
で保育所に入所できるまで延長することができます。
また、育児休職中でも希望すれば、キャリアを維持するた
年次有給休暇取得率の推移
当社実績
めの情報や復職後の業務などに関する講習を受けること
製造業平均
78.2%
ができる職場復帰支援講習制度を設けています。
75.3%
75.1%
くるみんマークの取得
59.7%
58.4%
57.4%
当社の仕事と家庭の両立支援への取り
組みが認められ、2009年に厚生労働省
より次世代育成支援対策推進法に基づ
2011
2012
2013
く基準適合一般事業主の認定を受け、認
定マーク
「くるみん」
を取得しています。
各種制度利用者数の推移
制 度
法 定
当 社
子が1歳に達するまで
育児関連
育児休職制度
当社 制度利用者数 ※( )内は男性
2011年度
2012年度
2013年度
(保育所に入所できる
まで延長可能)
21(5)
19(2)
25
産後休暇後、1年間
(事情により1歳6ヵ月
まで延長可能)
介護関連
育児短時間勤務制度
小学校の始期まで
小学校3年修了まで
88(8)
101(11)
90(12)
産前産後休暇制度
産前6週間、産後8週間
産前8週間、産後8週間
16
18
12
介護休職制度
93日
1年間
0
0
0
介護短時間勤務制度
93日
介護事由消滅まで
1
1(1)
2(1)
労 働 組 合 に お ける 取り組 み
島津労働組合では、組合員を対象とした様々な研修・セミナーを開催しています。
50歳前後の組合員を対象としたライフプランセミナーでは、定年後の生活を考えるきっ
かけを作ることを目的としており、健康管理や年金・退職金制度に関する講義、定年後
のライフプランの作成などを行います。
また、30代までの女性組合員を対象とした研修では、女性に関わる各種社内制度につ
いての理解を深めると共に、部門を越えた交流を図る活動です。入社から40代中頃ま
でに起こる結婚や出産、育児などのさまざまな出来事において、
どのような社内制度が
活用できるのか、などをグループワーク方式で学びます。
詳しくは
WEB へ
20
人事方針
各種福利厚生制度、教育体系など
女性組合員向けの研修の様子
http://www.shimadzu.co.jp/csr/social/pp.html
http://www.shimadzu.co.jp/csr/social/wp.html
社会報告/人事・雇用・健康
グローバル採用について
従業員数の推移
ら高い評価をいただいています。島津グループ総人員約
単独
10,395
当社は現在、海外売上比率47%、現地法人を置く海外拠点
は24ヵ国に及び、
グローバル企業として世界中のお客様か
連結
9,819
10,612
10,132
9,624
10,600名のうち、海外現地法人で働く現地社員(外国人)は
約3,800名、本社新卒採用の外国人留学生は10名となって
います。当社は今後さらに「真のグローバル企業」を目指し
3,134
3,125
3,069
て、国籍を問わず多様な価値観や考え方を持つ人材の採
3,063
3,121
用を積極的にすすめていきます。
2009
2010
2011
2012
2013
グ ロ ー バ ル 採 用 に よる 外 国 人 社 員 の 声
私は2009年に日本へ留学し大学院で経営を学びました。就職活動の際、島津の高い技術力と先輩社員
の人柄に魅力を感じ、入社を決めました。入社後は人事部で主にグローバル人材育成関連の仕事を担
当しており、社内で行われる一連のグローバル人材育成施策に関して、企画から事前準備や当日の運
営、
フォローアップに至るまで全てのフェーズにわたって参画しています。
グローバル人材育成の仕事
は、国籍や言語、文化の面など多種多様なバックグラウンドを持つ社員を対象としていることなど難しい
ところもありますが、
とても面白い仕事だと実感しています。同時に人事の仕事は、従業員の成長、さら
には組織の成長につながる仕事ですので、やりがいの大きい仕事だと感じています。
今後の目標としては、現在の業務を通して、海外と日本の架け橋となり、島津グループの更なるグローバ
ル化に貢献していきたいと思います。また、失敗を恐れず、積極的に新しい取り組みにチャレンジし続
人事部グローバル人事課人事グループ
郭 斐斐
(2012年入社 中国出身)
け、英語と日本語の能力を磨いて、人事業務に関するプロフェッショナルを目指したいと思います。
若手社員を鍛える
「海外現場研修」
当社では、入社5年前後の若手社員を対象として、最長2年
材を育成することが研修の目的です。
間、海外のビジネス現場に派遣する「海外現場研修」を実
研修に参加する社員は、海外ビジネスにチャレンジしたい
施しています。
という本人の意欲と、今の職場で一人前の仕事ができてい
異なる文化の中での生活や、多様な価値観を持つ人々と
るかどうかを重視して選んでいます。2013年度末時点で
一緒に働く経験を通じて、語学力を含めたコミュニケーシ
は、女性4名を含む14名が、中国、インド、米国、カナダなど
ョン能力と、海外ビジネスの「土地勘」を身につけさせ、
こ
の各国で奮闘中です。
れからの当社事業の更なるグローバル化をけん引する人
インドでの現場研修
私はインドのムンバイで研修中です。街中で大量の牛が歩き、犬が無防備に寝転んで
いる光景は見慣れてきましたが、スラム街と高層の立派なホテルが隣接する空間に
はまだ違和感を覚えます。
国土の広大さや、顔なじみになると急に親しげになるお客様に驚かされる日々です
が、急速に変貌しつつあるインド市場において、
これからも着眼大局、着手小局の心
構えで課題に取り組んでいこうと思います。
詳しくは
WEB へ
新卒採用Web
Shimadzu Analytical (India) Pvt. Ltd.
郡山 邦彦
(写真中央)
http://www.shimadzu.co.jp/aboutus/recruit/graduate/
SHIMADZU ENVIRONMENTAL AND SOCIAL REPORT 2014
21
社会報告/人事・雇用・健康
禁煙推進活動
健康チャレンジマラソン
安全衛生委員会にて、喫煙所の削減と喫煙率の低減を決
健康をベースにした「いきいき職場づくり」を目指し、健康
議したのを受け、様々な禁煙推進活動を行っています。
チャレンジマラソンを実施しています。
定期健康診断時には、健康保険組合との協働による
「健康
3年目を迎え、
より多くの従業員が参加できるようグループ
展」を実施。禁煙PRや禁煙相談を行う一方、社内診療所に
参加や歩数ランキングコースを企画しました。職場で声掛
禁煙外来を設けています。
け合って、気の合う仲間と楽しく2ヵ月間の食生活や運動習
また、社員のオリジナルデザインによる禁煙キャラクター
慣改善に取り組み、参加者数、目標達成率も年々増えてい
や、オリジナルポスターを作成し、禁煙デーには広くPR活
ます。
動を行っています。
参加者の声
●グループ内での情報交換や、
運動チャレンジへの意識を
共有でき、楽しく取り組むことができました。
●歩数ランキングコースにチャレンジしました。
情熱的な参
加者のおかげで、モチベーションを高めながら、
日々頑張
ることができました。
ウォーキングの効果も体感しました。
● 体を動かすことの気持ちよさが実感でき、
また継続する
事の難しさも解りました。体を動かすきっかけになり参
健康展の禁煙コーナーの様子
禁煙デーのポスター
加してよかったです。
●楽しみながらアルコールの量を減らすことができました。
企画に感謝します。
参加者数、
達成率の推移
喫煙率の低下
喫煙率推移(京都三条地区)
50%
34.4%
31.4%
30% 32.4% 32.1%
30.4%
29.5% 28.6%
男女計
700
28.2%
26.5% 25.8%
869
27.1%
24.3%
400
19.1% 18.4%
17.5%
200
80.3
503
80
78
76.9
300
21.9%
76
74
100
10.5% 10.2%
7.9%
9.3%
8.4%
9.6%
9.3%
8.5%
7.9%
8.0%
0
6.8%
84
82
500
21.2% 20.5%
19.7%
83.8
767
600
24.5%
20%
10%
女性
800
達成率(%)
86
900
男性
40% 36.5% 36.0%
参加者(人)
1000
72
2011年
2012年
2013年
0%
2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013
労働災害度数率など定量指標
三条地区定期健康診断における禁煙率グラフ
業務上災害発生状況(過去3年間の推移)
卒煙者からの声
●最初の2、
3日が辛かったですが、その後は、時々喫煙の衝
動にかられますが、無事に禁煙生活続けております。咳
が減り、お小遣いの減りも少なくなり、良い事ずくめです。
● 何故、
今までタバコを吸っていたのかよくわかりません。
15
5
22
業務上災害発生状況の経年データ
休業度数率
2.5
14
13
2
1.5
9
5
2
2011
2
2012
1
0.5
0
■ 全災害
■ 休業(内数で示す)
▲ 千人率
詳しくは
WEB へ
不休業度数率
3
20
10
(男性/34歳)
百害あって一利無し、
でした。 (男性/40歳)
全災害度数率
単位:災害件数
2013
0
2011
2012
2013
全 災 害 度 数 率:
100万労働時間あたりの災害件数
休業災害度数率:
100万労働時間あたりの休業災害件数
http://www.shimadzu.co.jp/csr/social/wp.html
環境報告/環境マネジメントシステムの体制と方針
環境マネジメントシステムの体制と方針
経営層が委員長となる環境委員会のもと、環境マネジメン
環境委員長
トシステムの国際規格であるISO14001に基づいた全社的
内部環境監査員
な推進体制を構築しています。
の統合と営業・サービス拠点への拡大を進めており、2014
年度も引き続き継続して実施していきます。
環境委員会
環境専門部会
2013年度から、国内拠点および島津グループの関係会社
環境管理責任者
また、組織横断型で設置した環境専門部会による全社の
目的・目標に沿って、関係会社を含めて全社一体となった
各部門
環境活動を推進しています。
資 源・環 境 部 会
エネルギー部会
製 品 環 境 部 会
島津製作所 本社地区事業所および関連事業所 環境方針
(4)事業活動によって生じる環境への影響(環境汚染、資源減
1. 基本理念
人類の健康と地球規模の環境保全は全世界共通の願いで
あり、社会の一員として地球環境問題を当社の最重要課
題の一つとして位置づけ、当社経営理念 「 人と地球の健
康 への願いを実現する」べく企業活動を行ない、地球を
守り豊かな社会の実現に資する。
少、地球温暖化、オゾン層破壊、生物多様性の損失など)を
的確に把握し、技術的、経済的に可能な範囲で、環境保全
活動の継続的な向上を図る。
(5)国際的環境規制及び国、地方自治体などの環境側面に関
係して適用可能な法的要求事項及び当社が同意するその
他の要求事項を順守する。
また、必要に応じて自主基準を
策定して環境保全に努める。
2. 基本方針
(6)島津製作所が行なう事業活動が、環境に与える影響のう
島津製作所 本社地区及び関連事業所(以下 島津製作所と
ちで、特に以下の項目について優先的に保全活動を推進
いう)は、環境分析・測定機器などを含む、分析機器、計測
する。
機器、試験機器、医用機器、航空機器、油圧機器、産業機
器、バイオプロダクツ及びセンサ・デバイスの開発・製造・
販売・サービスの拡大に努めるとともに、島津製作所の業
①事業活動によって生じる環境負荷の低減と汚染の予防
を図る。
務活動、製品ならびにその製造過程及び関連サービスが
②機能や用途により社会の環境改善に役立つ製品(環境
環境に与える影響を的確に捉え、継続的な環境マネジメン
貢献製品)およびライフサイクルを通じて環境負荷の低
トシステムの改善により、持続的な環境負荷の低減と汚染
減に配慮した製品(環境配慮製品)を社会に積極的に提
の予防、社会の環境改善への積極的貢献を目指して、次の
供する。
③蓄積された環境保全のノウハウを使って外部の環境活
基本方針に基づき活動する。
(1)地球環境の保全と事業活動との調和を、経営の最優先課
題の一つとして、島津製作所をあげて取り組む。
(2)地球環境の保全活動を推進させるため、従業員及び敷地
内で働く全ての人が活動できる組織を整備する。
動を支援する。
④二酸化炭素をはじめとする温室効果ガスの排出削減
に努め、地球温暖化の防止、低炭素社会の実現に貢献
する。
⑤生物多様性への理解を深め、保全に努める。
(3)地球環境保全に従業員及び敷地内で働く全ての人が責任
をもって取り組むべく、環境教育及び啓発活動を行ない、
地球環境保全に資する。
(7)地域住民、関係諸官庁とのコミュニケーションを図り、地域
社会に貢献する。
株式会社島津製作所
本社地区事業所および関連事業所 環境委員長 小脇 一朗
詳しくは
WEB へ
環境委員会の取り組み・外部審査
内部環境監査・教育
http://www.shimadzu.co.jp/csr/eco/system.html
http://www.shimadzu.co.jp/csr/eco/internal.html
SHIMADZU ENVIRONMENTAL AND SOCIAL REPORT 2014
23
環境報告/環境影響評価・環境管理プログラム
環境影響評価
当社では、ISO14001の適用範囲に対して、社内規定に基づ
一方、社内で扱う有害化学物質については、その使用量・
いた環境影響評価を実施し、環境への影響が大きく、対応
保管量と、環境への影響が発生した場合の重大性、起こり
の優先度が高いものを抽出しています。2014年度の環境
うる可能性を考慮して評価をしています。最新の評価の結
管理プログラムの作成に向けて実施した環境影響評価で
果、使用量・保管量の削減、教育訓練の実施、漏洩時などの
は、環境マネジメントシステムの拡大の方針に基づき、対
対応備品の準備、転倒防止措置など、社内における化学物
象範囲を拡張して実施しました。
その結果、新たに加わった
質の管理強化の効果が見られ、各部門で管理対象とする
対象範囲において、環境影響の大きな活動などは特にあ
べき物質数は大幅に減少しました。
りませんでした。
環境管理プログラム(環境専門部会の主要な目標を抜粋)
自己評価の判断基準【◎:目標を達成、○:目標をほぼ達成、△:目標未達】
環境
側面
自己
評価
2013年度実績
エネルギー起因のCO2排出量を31,488t以下にするという目
標に対して、31,432t(2010年度比89.3%)
で目標を達成。
(※2013年度の途中に、生産増に伴って目標値を31,340tから
31,488tに見直した。)
●
CO2
廃棄物
●
社外への廃棄物の排出量を削減するための方策を各部門で
立案・試行し、廃棄物の有価物化・減量化を推進した。
●
ゼロエミッション(リサイクル率99%以上)を99.4%の実績で
維持した。
有害化学物質
●
震災発生時等の緊急時を想定した対策状況を含めた化学物
質管理の現状調査を96部門(化学物質を取り扱う国内関係会
社およびその拠点を含む)
で実施。
2014年度目標
エネルギー起因のCO 2 排出量の連結売上高原単位
を2010年度比80%以下の水準で抑える。
(CO2排出量 連結売上高原単位 11.17以下。
注:2010年度は13.96。)
●
○
○
●
2013年度までに各部門で立案した廃棄物削減方策
の実施。
●
ゼロエミッション
(リサイクル率99%以上)
を維持する。
●
震災発生時等の緊急時を想定した対策状況の見直し。
●
代替フロンの使用量の削減。
●
PCB廃棄物の適切な管理と関連情報の収集、低濃度
PCB廃棄物の処理の検討。
◎
製 品
●
代替フロン使用量の削減に向けた現状把握を実施。
2012年度614kgに対して、2013年度使用量は486kgに削減。
●
社内で保管するPCB廃棄物のうち、高濃度重量物の処理を
完了。
●
エコラベル適合製品の年間開発目標35件に対して、実績48件。
●
エコラベル適合製品の開発・生産(年間目標:25件)
●
2012年度のLCA試行結果に基づく社内規定を策定。医用機
器を対象にした試行を実施。
●
モデル機種でのLCA試行と結果の整理。
●
省エネ率・リサイクル率・再生率の算出。
●
電池情報を盛り込んだ分別ガイドの作成。
●
欧州を中心とする環境規制動向の把握・周知と対策
検討。
グリーン調達
●
新製品の省エネ率・リサイクル率・再生率の算出を23件実施。
●
新製品に対する分別ガイドの作成を36件実施。
●
欧州を中心とする環境規制動向の把握と社内周知を計画通
りに実施。
●
製品に含有される有害化学物質排除のための仕入先監査の
実施目標40社に対して、50社実施。
●
2012年度発注実績のあった社内消耗品の非グリーン品(156
品目)の81%(127品目)
をグリーン化。
●
生物多様性の保全に関する取り組みをしていない仕入れ先
に対する講習会を2回開催。取組内容の確認を52社実施する
という目標に対して86社の活動を確認。
◎
(2014年度より部会は解散し、調達部独自の取組として継続予定。)
◎
●
製品に含有される有害化学物質排除のための仕入
先監査を40社以上実施する。
●
REACH・紛争鉱物調査の理解を深めるため、各事業
部および取引先に対する説明会を開催する。また、
REACH調査の手順を構築する。
●
産業廃棄物処理について法令順守を図るため、取引
先へ講習会を開催し、教育と指導を行う。
※2013年度実績の詳細については、P.27∼29をご参照ください。
詳しくは
WEB へ
24
環境側面と環境影響評価
http://www.shimadzu.co.jp/csr/eco/program02.html
環境報告/中・長期プログラム
中・長期プログラム
項 目
活動実績(2013年度)
●
エコラベル適合製品の開
発:48件
●
2012年度のLCA 試行結
果に基づく社内規定を策
定。医用機器を対象にし
た試行を実施
製 品
●
欧州を中心とする環境規
制動向の把握・周知と対
策検討
●
代替フロン使用量の削減
に向けた現状把握を実
施。2012年度614kgに対
して、2013年度使用量は
486kgに削減(いずれも
関係会社での使用)
化学物質の
管 理
●
項 目
省エネ率25%以上を達
成:主要製品
●
新しい概念の省エネ製品
の開発
LCA手法を導入し、製品
の環境負荷を見える化:
主要製品
●
ライフサイクルシンキン
グに基づく製品提供:
全製品
●
特定有害物質規制への
対応:全新製品
●
環境修復事業への展開
●
本社で使用する代替フロ
ン使用全廃(達成済)
●
●
ライフサイクルを通じた
化学物質管理の実現
●
●
環境リスクを有する化学
物質への対策決定
●
●
備 考
2)
3)
●
MEMS /NEMS 技術を応
用した省スペース/
省エネ設計
●
環境配慮設計の促進
●
有害物質規制への対応
関係会社も含めた代替フ
ロン使用全廃
●
化学物質に関する新しい
規制への対応
人の健康と環境へ悪影響
を与える化学物質の全廃
●
SAICM に沿った取り組み
4)
社内で保管するPCB廃棄
物のうち、高濃度重量物
の処理を完了
活動実績(2013年度)
●
CO2
1)
中期目標(∼2015年3月) 長期目標(∼2030年3月)
エネルギー起因のCO2排
出量の削減:2010年度比
89.3%の31,432t
中・長期目標(∼2020年3月)
●
エネルギー起因のCO2排出量の削減:
5)
2010年度比 連結売上高原単位比20%減
備 考
●
再生可能エネルギーの
利用
●
最新の省エネ/
新エネ技術の採用
1) LCA :Life Cycle Assessment。全ライフサイクルに渡って、
製品などの環境への影響を算出し、
総合的見地から環境負荷の低減を進めるための評価手法。
2) MEMS:Micro Electro Mechanical Systems。機械要素部品、
センサー、
アクチュエータ、
電子回路を一つの基板上に集積化したデバイス。
3) NEMS:Nano Electro Mechanical Systems。MEMSをさらに発展させたもので、半導体集積回路作製技術を用いて作製されたnmオーダーの機械構造を持つデバイス。
4) SAICM:国際的な化学物質管理のための戦略的アプローチ
(Strategic Approach to International Chemicals Management)。
2006年2月、国際化学物質管理会議においてSAICMが取りまとめられ、国連環境計画において承認された。
5) 世の中の動向や社会的な情勢を踏まえて、2013年4月付けで目標値を修正しています。
電 気 発 熱 法 に よる V O C 汚 染 土 壌 の 浄 化 技 術 を 開 発
当社は日本のニーズに合った新しい「電気発熱法」による土壌浄
レメディエーション法の浄化効率を著しく促進させる技術として
化システムを開発しました。
も活用できます。
テトラクロロエチレンやトリクロロエチレンなどの揮発性有機化
当社は2014年度中に商用浄化を開始する予定です。
合物(VOC)は、粘性が低く、一般に水より重いため、地下深層部ま
で浸透し、地下数十メートルにおよぶ土壌・地下水汚染を引き起
こします。一旦、粘性土壌粒子に浸み込んだこれらVOCの除去は
困難で、浄化には長期間を要します。
こうしたVOC汚染土壌を浄化する既存の技術は、砂質土での効果
は高いものの、粘性土や関東ロームのような難透水性土壌の浄
化には不適で、環境基準値の100倍程度からなかなか濃度が下
がらないことが生じます。
このたび当社の開発した「電気発熱法」は、地盤に挿入した電極
から土壌に交流電気を印加し、汚染領域を直接的に40℃∼80℃
に加温することで、VOCを短期間に脱離・揮発させ浄化を図る技
術です。
また、VOC分解微生物の活性化に最適な温度まで土壌を
加温し保温することにより、微生物による分解方法であるバイオ
詳しくは
WEB へ
電気発熱法によるVOC汚染土壌の浄化技術を開発(プレスリリース)
http://www.shimadzu.co.jp/news/press/n00kbc0000003hl9.html
新事業展開 http://www.shimadzu.co.jp/aboutus/company/soil/purification.html
SHIMADZU ENVIRONMENTAL AND SOCIAL REPORT 2014
25
環境報告/環境負荷マスバランス・環境会計
環境負荷マスバランス・環境会計
環境負荷マスバランス(2013年度) ※島津製作所の国内生産拠点・研究所の総計
※2012年実排出係数で換算
電 気
5,054
ガ ス
77.6
使用量
燃 料
水
25.0
使用量
NOX
SOX
万m3
125
紙
97.1
2.79
万トン
NOX
2.49
トン
排出量
kL
化学物質
CO2
排出量
万m3
46
使用量
CO2
島津製作所全生産拠点・研究所
万kWh
使用量
トン
SOX
0.03
トン
排出量
排水量
23.6
廃棄物
2,863
万m3
トン
排出量
トン
588.9
包装材
再資源化量
2,850
埋立処分量
13
リサイクル率
トン
99.5%
トン
トン
環境会計
1 環境保全コスト[2013年度実績]
分 類
1 事業エリア内コスト
主な取り組み
公害防止コスト
騒音対策など
地球環境保全コスト
オゾン層破壊物質の削減他
廃棄物削減及びリサイクルコスト
処理委託、排出量の削減及び分別活動
小
2 環境にかかる管理的コスト
3 社会活動コスト
投資額
2013年
計
事務局費、教育費
152
150
134
0
1
112
86
234
262
328
318
120
0
132
143
14
65
64
0
0
0
0
251
276
525
525
12,154
6,229
計
参考 当該期間の設備投資総額
111
0
4 環境損傷コスト
2013年
82
17
寄付金、緑化、工場周辺の清掃、その他
合
2012年
(単位:百万円)
費 用
2012年
82
112
2 研究開発費
項 目
主な内容
1 研究開発コスト
環境貢献製品及び環境配慮製品の開発
投資額
2013年
2012年
1
6
参考 当該期間の研究開発費の総額
費 用
2013年
2012年
4,247
3,744
13,984
11,900
3 環境保全効果
効果の内容
環境負荷指標(基準年との比較)
対基準年節約額
対前年節約額
1 省エネルギー
節電量:
-748万kWh /年 (17.4%増)
-206.0
2 廃棄物削減によるコストダウン
削減量:
-258トン/年 (9.8%増)
33.6
6.8
3 節水効果
節水量:
230千トン/年 (48.0%減)
96.8
-6.0
-75.5
-153.7
合
計
集計条件
①集計範囲:ISO取得事業所(三条工場・紫野工場・基盤技術研究所・秦野工場・厚木工場・瀬田事業所・東京支社・関西支社・つくば支店・九州支店)
②対象期間:2013年4月1日∼2014年3月31日
③効果:計算根拠のある項目に限定するとともに、当社がISO活動に向け準備を開始した前年度(本社工場:1995年度、
秦野工場:1997年度、基盤技術研究所(けいはんな)
:1998年度、瀬田事業所:2000年度、厚木工場:2002年度、
紫野工場:2008年度)を基準年にして、環境保全活動を通じてどれだけの環境負荷の削減と費用の節約が達成できたかを示しています。 ④教育、会議、社会活動に係る費用:係った人員の総時間に5,000円の時間当たり単価を掛けて算出しています。
詳しくは
WEB へ
26
環境負荷データの詳細
環境会計(詳細解説)
http://www.shimadzu.co.jp/csr/eco/data.html
http://www.shimadzu.co.jp/csr/eco/account.html
-154.5
環境報告/地球温暖化・省エネ対策
地球温暖化・省エネ対策
CO2排出量の実績
エネルギー使用量(原油換算値)と
連続売上高原単位の推移(国内生産・研究拠点の総計)
島津製作所の国内生産拠点および研究所の事業活動に伴うエネルギー
使用量(原油換算値※)およびエネルギー起因のCO2排出量の推移を示
原単位
エネルギー
使用量
24年度(2012年度)の実排出係数を用いています。)
当社では継続的に全社における節電・省エネの取り組みを実施してお
13,500
kL
向上)やクリーンルームの運用の見直しなど、約130トンのCO2削減の施
15,500
7.00
6.22
6.00
15,712
5.04
4.54
15,000
4.00
14,500
13,974
14,000
1.00
0.00
0
2010 年度
2012年度
(基準年度)
その結果、2010年度(当社の基準年度)比でエネルギー使用量は11%の
削減となり、連結売上高を指標とする原単位も27%改善しています。
3.00
2.00
13,311
13,000
策を実施しました。
5.00
/億円︶
り、2013年度は、建物の省エネ改修(空調・照明機器の更新、断熱性能の
16,000
︶
排出係数を用いて算出しています。
(2012年度以降の実排出係数は平成
エネルギー使用量︵
電力換算係数は経済産業省および環境省が公表している、各年度の実
エネルギー使用原単位︵
します。
kL
2013年度
CO2排出量の推移(国内生産・研究拠点の総計)
2012年度比では、生産の増加に伴い、エネルギー使用量は5%増加して
30,000
いますが、原単位は10%改善しています。
25,000
27,912
26,663
20,360
また、CO2排出量については、2010年度比で見ると当社の各拠点が立地
排出量︵t ー
︶
CO2 20,000
する地域の電力換算実排出係数の値が高くなったため、37%増加する
結果となりました。
※省エネ法で用いられている、エネルギー使用量を把握・評価するための数値
CO2
15,000
10,000
5,000
0
島津グループのCO2排出量の実績
2010 年度
2012年度
(基準年度)
2013年度
島津グループの国内外におけるエネルギー起因のCO2
排出量および地域別で集計した結果を示します。国内
は島津製作所の全ての拠点と、エネルギー消費量の大
島津グループのエネルギー起因
CO2排出量
50,000
きいグループ会社の製造拠点、分析会社の実績値を集
使用量の大きいアジア地域の9社、
ヨーロッパ地域の2
社、
アメリカ地域の2社を範囲に含んでいます。
2013年度の島津グループのCO 2 排出量は2012年度に
比べ5%(約2,000t-CO2)増加しました。増加の大きな要
因は国内外で生産が増加したためです。
排出量︵t ー
︶
計しています。海外は全ての生産拠点を含むエネルギー
CO2
CO2
44,472
欧州
米州
4%
5%
6%
アジア
14%
45,000
42,390
40,000
35,000
日本
77%
34,877
0
2010 年度
2012年度
(基準年度)
2013年度
地域別の内訳
新 た な 建 築 物 に 対 する 省 エ ネ 化
2013年度に竣工した三条工場のクオリティセンター、瀬田事
業所の南1号館は、建物の断熱化(外壁:サンドイッチパネ
ル、窓:ペアガラス)に加え、執務エリアは全てLED照明として
います。
さらに、高効率の空調設備や変電設備を導入し、省エ
ネに配慮した仕様で設計し建設しました。
詳しくは
WEB へ
クオリティセンター(三条工場)
南1号館(瀬田事業所)
エネルギー使用量・CO2排出量の経年データ、省エネ活動の詳細 http://www.shimadzu.co.jp/csr/eco/warming.html
SHIMADZU ENVIRONMENTAL AND SOCIAL REPORT 2014
27
環境報告/廃棄物・化学物質対策
廃棄物・化学物質対策
廃棄物の管理 向け、2012年度より各部門における廃棄物削減方策の立
分 析 計 測 機 器 の 保 守・
交換部品の梱包資材削減
案と試行を掲げ、取り組みを実施しています。
当社の分析計測機器の保守・交換部品の包装・出荷方法を改
2013年度は製造部門における廃棄物排出量の分析を詳
善しました。
生産や研究開発など、事業に伴う廃棄物の排出量削減に
細に行い、削減対象を検討すると共に、分別の徹底や処理
ECRS※の原則に従って、必要とされる包装品質を保持したま
業者の見直しによる有価物化の推進、緩衝材の再利用シ
ま、出荷数の削減、包装サイズの軽量化・コンパクト化を図っ
ステムの構築などを進めました。特に緩衝材の再利用で
た結果、包装資材の使用量を15t/年削減し、配送時のCO2排
は、製品納入後に工場に戻ってきた緩衝材を分別し、再度
メーカー側で利用いただく
ことで、排出量を削減するこ
廃棄物排出量と
リサイクル率の推移
とができます。
99.6%
99.7%
や生産増の影響によって、排
みでしたが、結果的に環境負荷の低減にも繋げることがで
き、達成感もより大きくふくらみました。
今回の改善は、包装・出荷の現場作業
リサイクル率
者の皆様のご支援とご協力なしでは
2,863t
2,718t
2,787t
実現できなかったことです。この場を
借りて、厚くお礼申し上げます。
出量は増加しています。今後
もさらに効果的な取り組み
※ECRS・・・Eliminate:やめる、Combine:結合する、
Rearrange : 交換する、Simplify:簡素化する
を検討しながら、廃棄物の
削減に取り組んでいきます。
包装資材の購入費と作業費や運送費の削減を狙った取り組
99.5%
一方、廃棄物全体の数量とし
ては、生産工場の移転・解体
出量も削減することができました。
2011年度 2012年度
2013年度
従来
現状
エア袋+チャック袋
エア袋+箱
化学物質管理 業務システム統括部
業務プロセス革新室
戸田 厚子
エア三層袋
改 善
当社では、
製造、
研究開発、
アプリケーション開発などの場面
で、多種多様な化学物質を使用しています。島津エス・ディー
(株)製の薬品管理システムCRISを用いて、個々の薬品の入
出庫管理を行うと共に、使用者に対する手順書の作成や教
育の実施など、
管理を強化しています。
エア袋断面図
・商品が出しにくい
・PN ラベルが貼りにくい
エア三層袋断面図
・商品の出し入れしやすい
・PN ラベルが貼れる
2013年度は、化学物質を扱う部門における震災発生時など
の緊急事態への備えを強化することを目的に、転倒防止措
置の実施、従業員への教育訓練、緊急時対応備品の設置な
PCB廃棄物の処理
どを実施しました。
また、PRTR法※に基づき、有害化学物質の届出を行っていま
す。2013年度実績では、PRTR届出物質の使用量は約4.8トン
となりました。
PRTR届出物質使用量
PRTR届出物質
使用量の推移
10,000
8,000
6,000
基盤技術研究所
瀬田事業所
三条工場
4,000
2,000
2011年度
2012 年度
2013 年度
※Pollutant Release and Transfer Registerの略で、有害性が
疑われる化学物質の環境中への排出量や移動量を把握・
集計・公表する制度
詳しくは
WEB へ
28
置については、PCB特措法に基づいて処理が進められていま
す。当社が所有するPCB廃棄物のうち、高濃度のPCBを含有す
単位:kg
0
難分解性・高蓄積性によって生体に対する毒性の高いPCB
(ポリ塩化ビフェニル)を含むトランスやコンデンサなどの装
るトランスおよびコンデンサについては、2013年度に処理を
行いました。今後は低濃度のPCB
を含有する機器の処理に向けた
検討を進めると共に、国の処理方
針が決まっていないPCB廃棄物
の保管管理を継続していきます。
*実際に行政に届出を
した物質のみの使用
量を集計しています。
廃棄物排出量・リサイクル率の経年データ、PCBへの対応、対外表彰
http://www.shimadzu.co.jp/csr/eco/waste.html
PRTR届出物質使用量の経年データ、有害化学物質代替化、公害対策 http://www.shimadzu.co.jp/csr/eco/chemical.html
環境報告/製品の環境対策とグリーン調達
製品の環境対策とグリーン調達
製品への環境配慮は、材料・部品の調達から廃棄に至るまでのライフサイクル全般への対応が必要と考えています。
そのために、当社では自社で策定した環境負荷低減設計指針に基づいた製品設計を行っています。
一方、有害化学物質の不使用や削減を進め、環境への影響がより少ない部品・素材の調達を積極的に推進しています。
エコラベル基準(1または2を満たすこと)
エコラベル制度への取り組み
当社では、製品の環境配慮についての自主基準を満たした環
1.当社従来機と比較してエネルギー
消費量を25%以上削減していること
境配慮製品を「エコラベル製品」
としています。2013年度にエコ
2.特定の有害物質※を含有しないこと
ラベル製品として認定された製品を以下に紹介します。
省エネルギー25%以上の達成 ※特定有害物質:EUのRoHS指令で使用を制限されている水銀、
カドミウム、鉛、
六価クロム、ポリ臭化ビフェニル(PBB)、ポリ臭化ジフェニルエーテル(PBDE)
特定有害物質の非含有
※記載の数値は全て当社従来機比です。
蛍光X線分析装置
EDX-7000/8000
電力消費44%削減
(1分析あたり)
油圧機器歯車ポンプ
X線テレビシステム
回診用X線撮影装置
SONIALVISION G4
MobileArt Eco
パワーパッケージ
MPLシリーズ
グリーン調達
RoHS指令※2対応に向けた取り組み
使用する原材料、部品、用度品、設備等の調達において、環
2014年7月から当社主力製品が適用対象となるRoHS指令
境への影響が少ない物品およびサービスを優先するとと
に対応するため、全社横断のワーキンググループを設置し、
もに、有害化学物質の不使用や削減を目指した「グリーン
設計、調達、製造、販売などの各プロセスにおける課題へ
調達」を進め、生産などの事業活動による環境負荷低減に
の対応策を検討してきました。
また、対応ガイドラインの制
努めています。
定や手順の標準化、専用システムの構築などを進め、島津
グリーン調達を推進するためには、お取引先とのパートナ
グループ全体で運用しています。
ーシップが不可欠です。国内外のお取引先における環境
負荷低減への取り組みをサポートするため、
グリーン調達
● お取引先への監査
説明会などを随時開催しています。
お取引先を訪問し、実地監査による有害化学物質管理状況
の確認・評価を行っています。
紛争鉱物 への対応
※1
● 在庫品の入替え
企業の社会的責任の観点から、紛争鉱物規制について、
在庫品は専用システムにより、RoHS指令への適否を識別し
関係するお取引先と協議し、製品に使用する部品や材料
て部品の入替え状況を把握し、RoHS指令対応製品を確実に
に紛争鉱物が含まれていると判明した場合は、直ちにそ
製造できるようにしています。
の使用を中止するなど適正に対処してまいります。
● 自主分析
調達した部品のRoHS指令適
※1 米国では非人道的な行為を行う武装勢力の資金源となることを防ぐため、
2010年7月21日に成立した金融規制改革法(ドッド・フランク法)1502条によ
り、米国に上場している企業は、製品の機能または製造にコンゴ民主共
和 国(DRC)および周辺9ヵ国産の金、スズ、
タンタル、
タングステン(紛争鉱
物と呼ばれる)を使用しているか、SEC(米証券取引委員会)へ報告すること
が義務づけられました。
この報告の具体的な手続き等はSECが策定すること
と定められ、2012年8月22日にSECの公開会議にて採択されました。
合を確認するために、必要に
応じて蛍光 X線分析装置を使
用してスクリーニング分析や
精密分析を実施しています。
蛍光X線分析装置を
使用した分析の様子
※2 欧州の「電気電子機器に含まれる特定有害物質の使用制限(Restriction of
certain Hazardous Substances)に関する指令」。
詳しくは
WEB へ
グリーン調達基準および関連資料 http://www.shimadzu.co.jp/aboutus/procure/green.html
製品の環境対策とグリーン調達 http://www.shimadzu.co.jp/eco/product.html
SHIMADZU ENVIRONMENTAL AND SOCIAL REPORT 2014
29
環境報告/生物多様性の保全・外部支援活動
生物多様性の保全
国際的な課題である生物多様性の保全に対して、事業活動を通じた取り組みを進めています。2013年度は、輸送用の梱包材
に使用する木材を森林認証木材に切り替えると共に、購入先からの証明書と現物の照合確認も実施しました。
また、生物多様
性の保全に関する取り組みを実施されていない調達先に対しての講習会を開催
し、各社での取り組みにつなげていただいております。
さらに、2008年より実施している
「島津製作所の森」づくり活動(京都府南丹市)
も
継続しています。森林の間伐作業に加え、椎茸の菌打ち、子ども向けの木工教室
や苔玉作り、
自然教室など、社外の専門家の方々のご協力のもと、森の保全を通じ
て楽しく自然を学ぶ機会となっています。2013年度には、
これまでの活動に対して
京都モデルフォレスト協会理事長表彰をいただきました。
2013年秋の活動の参加者
え∼こクラブ が 生 物 多 様 性 アクション 大 賞 の つ たえよう部 門 で 優 秀 賞 を 受 賞
第1回「生物多様性アクション大賞」
で、当社の環境活動チーム「え∼こクラブ」が「つたえよう部門」優秀賞を受賞しました。同賞は、第65次国
連総会(2010年、ニューヨーク国連本部)で採択された「国連生物多様性の10年」の日本委員会が推進する、
「MY行動宣言5つのアクション
(たべよう、ふれよう、つたえよう、
まもろう、
えらぼう)」に即した活動を表彰することで、生物多様性の主流
化を目指すものです。
え∼こクラブは、1999年に発足し女性社員を中心に、女性独自の視点や感性を生かし、職場だけでなく子
どもたちへ向けた環境学習支援ツールの制作や環境出前講座を行っています。2007年には、生物多様性
を題材にしたカードゲーム「bidi」を制作し、ゲームを楽しみながら絶滅危惧種の生き物について学んでも
らう活動を行ってきました。今回の受賞は、
これらの活動を長年行い、継続的に環境教育に貢献したことが
評価されたものです。
外部支援活動
当社では社外における環境活動を積極的に支
(回数)0
10
20
30
40
50
60
70
80
援しており、小学校から大学の授業へ講師を派
2011
73件
遣する出前授業や、大学・業界団体などの工場
2012
71件
見学の受け入れなどを行っています。
2013
(参加者数)0
90
100
50件
500
1,000
1,500
2,000
2,500
3,000
環境経営
環境教育
個別活動
個別対応
その他
参加者数
社 外 からの 声
私のいるインドネシアのスマトラ島にあるパレンバン市では急速な経済発展に伴い、街には
ゴミがあふれるようになり、環境教育の必要性が叫ばれています。
しかし、環境教育は始まっ
たばかりで、
日本のように遊びながら学べる教材があまりありません。
そこで、島津製作所様の
活動を知り、
え∼こクラブで作られている環境すごろくをインドネシアで環境に携わっている
ボランティアに譲っていただくことになりました。そこには環境への知恵がたくさん書いてあ
り、遊びながら学ぶことができるので、生徒たちも大変喜んでいます。
また、すごろくを教材に
して、私たちは生徒に日本の日々の生活での環境に対する取り組みについても教えています。
詳しくは
WEB へ
30
青年海外協力隊(職種:環境教育)田島 亜希子氏
生物多様性の保全 http://www.shimadzu.co.jp/csr/eco/biodiversity.html
外部支援活動 http://www.shimadzu.co.jp/csr/eco/support.html
ステークホルダーとの対話
ステークホルダーとの対話
当社の環境・社会報告書ならびに活動全般に対して、有識
者の先生をお招きしたダイアログを開催しました。
ここでは、
ダイアログの中で先生方からいただいた貴重な
ご意見の一部を要約してご紹介します。
開 催 日 : 2014年4月28日
(月)
開 催 場 所: (株)島津製作所 三条工場
概
要
: 当社生産工場、製品のショールームなどを
ご見学いただいた後に、当社関係者と意見
交換を行いました。
立命館大学 理工学部
環境システム工学科 教授
橋本 征二 氏
京都CSR推進協議会 会長
明致 親吾 氏
欧州(委員会)がCSR報告書から統合報告書への移行を牽
「技術の島津」
という面が工場見学の中でも見受けられました。
引しており、投資家に対する非財務情報の開示がますます
特集記事で御社の強みはよく伝わるようになりましたが、
重要視されています。環境・社会活動の取組みについて、
会社全体の方針やミッションを冒頭に整理して、それらに
本業とリンクした「戦略性」を持ち、報告内容を「誰にどん
対応する形でどのように社会に貢献しているのかを指標
なメッセージを発信していくのか」の意図を持って掲載さ
なども用いながら上手く発信すると、
よりよい報告書にな
れていかれてはどうでしょうか。
るのではないでしょうか。また、
グローバルな会社ですの
小学生から中高生、社会人まで幅広い世代への科学技術教
で、日本以外の地域における関心事項の情報も是非加え
育の実施は、理念に直結する分野であり、御社の強みです。
てほしいです。
事業はB to B ですが、顧客の先にいる一般市民や生活者、
製品の面では、省エネ機器を開発・製造しておられるの
患者さんなどの価値に焦点を合わせてもいいでしょう。
で、社会の中で、それがどのような効果を有しているのか、
※1
国内外における社会課題の解決に向けて、本業を通じた
といった点も評価してほしいですね。最近注目されている
さらなる活動を展開されることを期待します。
Scope3※2という面からも重視されている内容です。
※1 B to B:Business to Businessの略称で、企業間で製品・サービスを提供する商取引
であること。
※2 Scope3:温室効果ガス排出量の算定において、燃料やガスを直接燃やして排出さ
れるScope1、電力や蒸気の使用に伴い間接的に排出されるScope2以外の排出
で、調達した部品の製造・輸送や、販売した製品の使用・廃棄、従業員の出張や通
勤などにより排出される温室効果ガスのことを示す。
社 外 の 方々からのご 意 見 を 受 けて
明致先生、橋本先生には大変お忙しいなか当社まで足を運んでいただき、
また忌憚のないご意見を多数いただき、誠にありがとうございました。
リーマンショック以降、当社も厳しい経営環境が続いていましたが、2013年度は業況もかなり改善し、連結売上高3,000億円という大台に乗ること
ができました。
これに伴って、
これから様々な事業活動も変化し、増えてくると考えており、環境・社会問題への対応もまた新たな節目を迎えている
時期だと思います。
今後とも社是と経営理念のもと、環境・社会問題にしっかり対応していきたいと考えておりますので、引き続きご指導のほどよろしくお願い致します。
株式会社島津製作所 取締役上席専務執行役員 小脇 一朗
詳しくは
WEB へ
ステークホルダーとの対話 http://www.shimadzu.co.jp/csr/stakeholder.html
SHIMADZU ENVIRONMENTAL AND SOCIAL REPORT 2014
31
本報告書は、当社のお客様をはじめ、当社グループを支えていただいております全てのステークホルダー
の皆様に対して発行しています。
当社グループの環境・社会活動を分かりやすくご紹介することによって、皆様とのコミュニケーションを図
ることを目的としています。
作成にあたっては、以下のガイドラインなどを参考に、体系的・網羅的に社内の情報をとりまとめていま
す。
さらに、昨年度版の本報告書に対してお寄せいただいた読者の皆様からのアンケートやご意見の内容
に基づいて、
ステークホルダーの皆様のご関心と、当社が重要と考える情報の整理を行って、読みやすさ、
分かりやすさを心がけて編集しました。
また、当社ホームページ「環境・社会活動」において、本報告書には掲載しきれなかった情報も公開してい
ます。あわせてご参照ください。
(公開は2014年7月を予定しています。)
ステークホルダーの皆様のご関心
島津環境・社会報告書2014の構成
[本報告書]
[Webサイト]
島津グループにとっての重要性
参考としたガイドライン
・環境省:環境報告ガイドライン(2013年版)
・サステナビリティ・コミュニケーション・ネットワーク :サステナビリティ報告ガイドライン「SPI報告解説書」
・GRI:サステナビリティレポーティングガイドライン
(第3版)
などを参考にしています。
詳しくは
WEB へ
http://www.shimadzu.co.jp/csr/
報告対象期間と対象範囲など
本報告書は、2013年度
(2013年4月1日∼2014年3月31日)における活動成果・情報を中心に掲載しています。
一部、直近または2013年度以前の活動内容も含んでいます。
報告書に含まれる対象範囲は、本社を含む三条工場、基盤技術研究所(けいはんな)、瀬田事業所、紫野工場、秦野工場、厚木工場および島津グループ
の各関係会社で、定量情報については対象範囲を都度明記しています。
なお、本報告書の発行時期は2014年6月ですが、本文中に出てくるステークホルダーの皆様および島津グループの社員の所属・肩書きなどは、編集当
時(2014年4月)のものです。
環境・社会報告書、ホームページの内容など、
環境・社会活動についてのお問い合わせ先
株式会社島津製作所 地球環境管理室
〒604-8511 京都市中京区西ノ京桑原町1
T E L:
(075)823-1113
FAX:
(075)823-2062
E-mail:kksitu@group.shimadzu.co.jp
ホームページアドレス:http://www.shimadzu.co.jp
環境への配慮のため、責任ある森林か
当社は、
SRI評価機関から評価をい
島津製作所は、
「次世代育成支援対策
らの原料を含む「FSC ® 認証紙」を使用
ただき
「FTSE4Good Index Series」
推進法」に基づき、次世代の育成に向
し、植物油を用いた印刷をしています。
に組み入れられています。
けての積極的な取り組みを行う企業と
して京都労働局から認定されています。
0215-04401-45ANS
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