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安全・安心な職場
重点分野 2 人を育てる 重点活動 ◆ 地域社会における人材育成への貢献 ◆ コマツウェイを通じた人材育成 (社員、協力企業) ◆ ブランドマネジメントを通じた人材育成 (社員、代理店) コマツウェイ研修の様子 (ドバイ) コミュニケーションを土台に、 安全・安心な職場、 能力が発揮できる場を 創出したい コマツ 執行役員 人事部長 教育、安全・健康管理管掌 森 正尚 コマツがCSRの重点課題を策定した中で、社員の尊重、 あるいは基本的人権の尊重というキーワードが出ました。 これらに対する会社としての姿勢を教えてください。 る、 労働組合や社員代表との定期的な対話などがその例です。 会社と社員というそれぞれの立場で、必要な主張や議論を しながら信頼関係を築き、会社が発展し、社員個人も豊かに なっていく。 こういったWin-Winの関係を作るのに不可欠なの 森:社員の皆さんは、会社にとってかけがえのない財産です。 が、 日常の情報共有やコミュニケーションだと考えています。 社員個人の基本的人権を尊重し、個性や人格を尊重すること が、 グローバルで共通の人事方針であり、基本姿勢です。 ではこれらの具体的な施策というと、労働条件や労働環境 の整備などという言葉で言われがちですが、一番大切なこと 人権や雇用に関して、 グローバルな施策はありますか。 は、社員とのコミュニケーションだと思います。 「コマツウェイ」 の中にも明記している通り、 コマツではトップ 森:グローバルな視点で人事方針を考える時に重要なのは、 自らが社員とコミュニケーションの場を持ち、 会社の置かれて 人事制度というのは、それぞれの地域や歴史、文化を反映し いる状況を説明したり、 社員からの質問や意見に耳を傾けたり たものであり、その制度の違いを正しく理解し認識することで することをとても大切にしています。 半期ごとの業績発表後に す。各地域の事情を反映し、その地域に相応しい制度や施策 実施している社長による社員ミーティングや、 国内事業所・海 を展開する必要があります。 外現法に出向いてのミーティング、 またそれぞれのトップによ 29 CSR & Environmental Report 2012 例えば日本では、今後本格的な少子高齢化時代を迎え、労 働力人口がますます減っていく中で、女性や、定年を迎えた方 い人たちにも伝え、理解し身に付けてもらうことです。 グロー が、もっと活躍できる環境を整えることが重要になってくるで バルに事業を進める中で、それぞれが、それぞれのやり方で しょう。 仕事をしていては、世界中で同じ品質のモノ作りや、商品・ また中国では「発展空間」 という言い方をしますが、仕事を サービスの提供を行うことはできません。 「コマツウェイ」は、世代を超えて伝承すべき、私たちの強 があり、そのような環境を、若い人たちに提供するとともに、 み、価値観を明文化したものですが、かつてはこのような伝承 人事制度の整備が重要になっています。 というのは、上司から部下へ、時には業後の赤ちょうちんなど そんな中で全世界に共通して言えるのが、前述したように、 も含めたコミュニケーションを通じて、行われていました。 個性や人格を尊重することであり、安全で安心して健康に働 しかし時代は変わり、今日では価値観を伝承する対象も、 日 けること、働きがいを提供することだと思います。 グローバル 本国内の職場だけではなくグローバルに広がっているため、 な施策というと大げさかもしれませんが、身近な事例として 明文化することになったものです。 実際には、 「コマツウェイ」の価値観や考えというのは、冊子 す。働く人にとって食べることは大きな楽しみです。生産設備 を見て学ぶわけではなく、仕事を通じて身に付けるものでは の投資が一段落した現在、 このような社員食堂などの福利厚 ありますが、 自分が体験した上で、冊子に書かれたことを見る 生サービスや、執務環境の改善などにも力を入れています。 ことにより 「これがコマツウェイなんだ」 と実感する経験を重 今後も日常のコミュニケーションを通じて、社員の皆さんの ねていってもらいたいと思います。 ニーズを取り込んでいければと考えています。 「コマツウェイ」 というベースがある上で、体系的にはどの ように人材育成を行っていますか。 人 を 育てる は、例えば工場で働く皆さんの食堂の充実に取り組んでいま 生 活 を 豊 かに す る 通して自分のキャリアがどれだけ発展できるか、 という考え方 森:コマツでは、階層別、職能別に教育体系を整えており、根 いたグローバル化」 です。 マネジメントに関しては、海外現法の経営は現地生え抜 きの社員を登用する方針で、その人たちには、 グローバルマ ネジメントセミナーなどの場で、経営戦略などだけではなく、 中国・常州市の工場で2011年6月に改善が図られた社員食堂。 社員と会社のコミュニケーションが、 このような身近な労働環境改善につながる。 しっかりと 「コマツウェイ」について理解・共有してもらいま す。 また日本で、幹部候補生を対象に、将来のリーダーを早期 育成する目的で行ってきたビジネスリーダー研修は継続し、 社 会 と と もに発 展 す る 底にある考え方は、決して無国籍ではない「日本に軸足を置 中国やロシアの現地法人社員も対象に拡大したり、 またパー トナーである協力企業の若手幹部にも参加してもらったりし ています。 職能別では、 日本の優れたモノ作りや技能を海外に伝承す るために、サービス員のリーダーを育成するグローバル建機 森:ここ数年、事業の拡大に従って社員が急増し、連結人員は 専科や、生産現場社員によるグローバル技能競技大会などを 10年前と比較して約1.5倍ほどになっています。特に戦略市場 継続実施するほか、マザー工場とチャイルド工場による人材 (新興国や資源国など)の国々において、生産現場の社員や 交流なども行い、職場でのOJTで実力をつけていってほしい 代理店のサービス員などが急増し、特に経験の浅い人たちの 割合が高まっています。 と考えています。 企業が「人」に対して果たせる責任は、労働の対価として経 また日本国内においても、 期間社員・派遣社員の社員登用 済的な基盤になることはもちろんですが、その中で教育や育 などにより、国内 (コマツ単独) で入社5年未満の社員が全体 成などの機会を作り、仕事や人と人とのふれあいを通じて、そ の約4割という状況です。 さらにここ数年で、経験や知識を伝 の人の人生をより豊かなものにしていくことだと思います。 承する側であるベテランの方々が数多く定年を迎えています。 そこで急がれるのが、 「コマツウェイ」の価値観を経験の浅 資 料 編 人材育成については、コマツの歴史的に見ても力を注い できた点だと思いますが、最近は特にどのような方向性に なっていますか。 そして何より、安全で安心して働ける場、働きがいのある職 場を提供していくことが重要なのだと思います。 CSR & Environmental Report 2012 30