を利用した画像処理ソフトの開発

平成24年度 [2012] №57
宮崎県工業技術センター・宮崎県食品開発センター研究報告
を利用した画像処理ソフトの開発＊
外山
真也＊１・竹山
隆仁＊２・比良
貴浩＊３
Development of Image-Processing Software for Position Check using Open CV
Masaya TOYAMA, Takahito TAKEYAMA and Takahiro HIRA
県内において, 主に自動車用途のドアミラーやキーレスエントリーシステム等を生産している企業がある.
現在生産されている自動車にはドアミラーにカメラを搭載している車種があり, カメラ取り付け時の位置ズレ
検査工程において, 良否判定の省力化を検討した. 今回の開発は, 昨年OpenCVを利用して開発したWindows
版の画像処理システムをLinuxへ移植することが主体となった.
キーワード：画像処理, 位置検査, OpenCV, C#, C++,ソフトウェア
１
はじめに
県内において, 主に自動車用途のドアミラーやキー
レスエントリーシステム等を生産している企業があ
る. 現在生産されている自動車には, 車庫入れ等の
視覚支援を目的としたカメラをドアミラーにも搭載
している車種がある. そのため生産ラインでは, カ
メラ取り付け時の位置ズレ検査工程がある. そこで
は, 液晶モニターにドアミラーカメラを接続して,
検査対象物を撮影し, それが合格範囲から逸脱して
いないかの良否判定を画像処理にて行っている.
現行の検査装置概要を図１に, 取込み画像を図２
に示す. 本検査工程における問題点を以下に示す.
１) 高額
２) 開発メーカー廃業などによる検査機の改善や複
製機の製作が容易ではない
図１
現行の検査装置概要
３) 開発ソフトのブラックボックス化
上記問題点の対策として市販画像処理機器への代
替が考えられるが, 市販されているOMRON社や
COGNEX社等の画像処理製品には, 車載カメラか
ら画像を取込み画像処理検査できるものは見当たら
なかった.
＊
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共同研究 ｢ドアミラーカメラ検査画像処理システムの
開発｣
機械電子部 (現 材料開発部)
機械電子部 (現 宮崎県機械技術センター)
株式会社 ホンダロック
図２
車載カメラ取込み画像
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Open CV を利用した画像処理ソフトの開発
そこで, オープンソースの画像処理ライブラリで
あるOpenCVを利用し, ドアミラーカメラ位置ズレ
データを設定する場合の例であり, 中央や右側の場
合も同じダイアログを利用して設定できる.
検査用画像処理ソフトの開発を行うことにした.
２
開発方法
昨 年 開 発 し た Windows 版 の 画 像 処 理 ソ フ ト を
Linux版に移植するにおいて, 関数の名称や機能に
異なる点があり, それらの対応付けと機能の相違を
把握することが重要な作業となった.
また, Windows版においては, C#で開発した多
くの関数を利用していたので, Linux版においては
それらの関数をC++言語で移植する作業が発生し,
かなりの作業を要した.
図４
ドアミラーカメラ検査装置として必要な機能は,
判定領域座標の設定ダイアログ
１) 車種による合否判定領域の設定機能, ２) 領域
内にターゲットが存在するかどうか判定する機能の
２−２
二つであり, これらが大きな開発課題であった.
２−１
判定領域の設定機能
領域内に存在するかどうかの判定
左右と中央のターゲットが, それぞれ指定された
領域内に存在しているかどうかの判定は, 次のよう
ドアミラーに取り付けられるカメラは魚眼レンズ
にした. まず, １) ターゲット形状の４隅の位置を
となる. そのカメラを通して得られる画像において,
求める. 次に, ２) それらの４隅の位置が指定され
ターゲットとなる白い四角形形状は中央と左右の三
た領域内に存在するかどうかを判定する. いずれか
か所にあり, それらの形状は魚眼歪みにより台形と
一つでも領域内になければ ｢NG｣ とし, すべて領
なる. その形状が指定領域内に存在するかどうかを
域内に存在すれば ｢OK｣ とした.
判定する.
それらの判定領域を示す座標データは, 例えば
３
結果および考察
｢車種+Left｣ のように車種を示すコードと位置を
今回の開発において, ドアミラーカメラ検査画像
示す記号 ( Left , Center , Right ) を組み合わ
処理プログラムを作成できた. 開発したプログラム
せたファイルに登録保存するようにした.
の画像を図５に示す. この図において, 領域判定を
図３に判定領域の種類を選択するダイアログの事
例を示す.
図３
行い, 合格したことを示す ｢OK｣ が表示されてい
る.
判定領域の種類の設定ダイアログ
また, 判定領域の座標データを設定するダイアロ
グの例を図４に示す. この図は左側のターゲットの
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図５
開発した検査ソフトの動作状況
Open CV を利用した画像処理ソフトの開発
４
まとめ
５
謝辞
今回, 初めてLinuxでの本格的なソフト開発を実
この研究開発は, 宮崎大学においてOpenCVを利
施した. C++言語での開発であったため, Windows
用した開発を進められている椎屋和久氏, 森圭史朗
との相違が少なくなく, 動作もかなり異なる点が多
氏らの助言及び協力を得て完成させることができた.
いと感じた. 特に, ダイアログの起動については,
ここに謝意を記す.
イベント発生時にダイアログに設定されているデー
タが初期化される場合とそうでない場合があり, 注
６
意が必要である.
１) 北山洋幸：OpenCVで始める簡単動画プログラ
Linux環境でOpenCVを利用した画像処理ソフト
を開発できた. 今後, 検査装置として開発したソフ
トが利用されることを期待する.
参考文献
ミング, 株式会社カットシステム
２) 北山洋幸：技術者のためのVisualC++実践プ
ログラミング技法, 技術評論社
３) DonisMarshal株式会社トップスタジオ訳：プ
ログラミングVisual C#2005, 日経BPソフトプ
レス
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