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冷凍液卵の特徴とスチコンを活用した 調理上の注意点について

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冷凍液卵の特徴とスチコンを活用した 調理上の注意点について
SOLUTION
Magazine
1
●細菌性食中毒は春から初秋にかけて、
ノロウイルスによる感染は10月から3月頃が多発時期と言われ、1年を
電化厨房
TOPICS
通して食中毒のリスクに晒されていると言っても過言ではありません。ハードとソフトを整備し、食中毒防止の
三原則「菌を付けない」
「 菌を増やさない」
「 菌を確実に死滅させる」
とT・T管理を徹底することはもちろんで
すが、調理作業に従事される方は、普段から体調管理に気を付け、常に高い衛生意識を持って、日々の業務に
取り組みましょう。
ス チ コ ン 活 用 ポ イ ン ト 講 座
大量調理施設におけるスチコン活用のツボとコツ
冷凍液卵の特徴とスチコンを活用した
調理上の注意点について
を行うことで起泡性やコシが損なわれるため、調理時には「固く
小佛 和行 氏
なる」
「パサつく」
といった問題が生じやすくなります。
そのため、
株式会社生活デザイン研究所 フードシステムデザイン事業部 部長
以下の点に注意して調理するようにしましょう。
解凍が不十分だと水分と液卵成分が分離状態となり、品質が
不安定になる。
病院給食や学校給食などの
大量調理施設では、1990年代
Point ❷
後半に鶏卵を原因とするサルモ
から加熱殺菌済みで安全な冷
冷凍液卵は、製造時に加熱殺菌(60℃が一般的)や凍結処理
Point ❶ 完全に解凍してから使用する。
1.冷凍液卵普及の背景
ネラ属菌食中毒が増加したこと
3 . 冷 凍 液 卵の特 徴と調 理 上のポイント
必ず撹拌をする。
撹拌によって液卵の成分を均一化し、
不足する起泡性を補う。
冷凍液卵(左)
と通常の生卵(右)
凍液卵の利用が急拡大しました。1998年の食品衛生法施行規
則の一部改正やガイドラインの策定などによって、
サルモネラ属
菌に起因する食中毒は2000年以降減少に転じましたが、冷凍
液卵の普及もそのことに寄与したものと推測されます。
Point ❸
低めの温度・多い蒸気量で加熱する。
冷凍液卵はコシが損なわれていることから、
通常の温度帯で加熱
するとパサついた仕上がりになるため、120℃∼150℃程度の
低めの温度帯で加熱するとよい。
また、蒸気を多めにすると加熱
時間を短縮することができる。
2.冷凍液卵を使用する7つのメリット
冷凍液卵を使用するメリットとしては、主に以下の7点があ
げられます。
❶冷凍による長期保存が可能で貯蔵性・保存性に優れている。
❷パック保存であることから保管スペースが少なくてすむ。
❸安定した価格で購入でき、急な調理需要にも対応できる。
❹破損や不良品の心配がないため歩留まりが良く、
安全性も高い。
❺品質が安定しており、料理の仕上がりにバラツキがない。
❻割卵の手間が省けることで労力を削減でき、
作業効率が向上する。
オーバー加熱による冷凍液卵の失敗例
成功例
4 .まとめ
多くのメリットを有する冷凍液卵ですが、
その特質を十分に理
解し、安全で高品質な料理の提供を目指しましょう。
❼保管・移動・計量が容易なことから、衛生管理上優位である。
ス チ コ ン レ シ ピ
油を使わない「ヘルシー酢豚」
佐藤 俊郎 氏
あと会グループ 新フード開発プロジェクト
スーパーバイザー
材料(1人分)
・豚肩ロース
(ブロック)…60g
・たまねぎ…25g
・にんじん…15g
・ピーマン…8g
・片栗粉(A)…8g
● 調味料:豚肉下味用
・紹興酒…4g
・卵…3g
・塩、
こしょう…適量
● 調味液:甘酢あん用
・酢:15g
・砂糖:15g
・紹興酒:5g
・濃口しょうゆ:4g
・ケチャップ:23g
・水:13g
・片栗粉(B)
:1.8g
❶ 豚肉を2cm角にカットし、
ボウルに下味用の調味料を合わせて漬
け込んでおく。野菜は一口大にカットして、
ピーマン以外を深めの
ホテルパンに入れる。
を鍋に入れて加熱し、沸騰したら
❷ 甘酢あん用調味液(片栗粉以外)
片栗粉(B)
を分量外の水で溶き、加えてとろみをつける。
[IH調理器]
を加えてよく混ぜ、波型ホテルパンに並べる。
❸ 1の肉に片栗粉(A)
❹ 1の野菜と3の豚肉を加熱する。
[スチームコンベクションオーブン/コンビモード/220℃/5分]
❺ 4の加熱後、豚肉を野菜の入ったホテルパンに移し、2の甘酢あん
を加え混ぜて蓋をし、加熱する。
[スチームコンベクションオーブン/コンビモード/170℃/15分]
❻ ピーマンはフライパンでソテーする。
[IH調理器]
❼ 5の加熱後、6を加えて全体を混ぜ合わせ、器に盛って提供する。
※レシピの材料は病院・福祉施設向けの分量で記載してあります。
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