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ICタグの現状について - 日本建設情報総合センター

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ICタグの現状について - 日本建設情報総合センター
ICタグの現状について
~ 新技術と技術革新 ~
室蘭工業大学 建設システム工学科 助教授 Ph.D., P.E.
矢吹信喜
2004年9月28日(火)
第1回 ICタグの建設分野での活用に関する研究会
@財団法人 日本建設情報総合センター(JACIC)
Outline
1.
2.
3.
4.
ICタグとは
ICタグの実際の利用
土木分野での利用
NeedsとInnovation
Nobuyoshi Yabuki (c) 2004
2
1.ICタグとは
リーダー/ライター
ICタグ
ICチップ
アンテナ
+
+
アンテナ
コントローラ
パソコン等
非接触・無線でデータ
の読み書きを行う
RFID
Reader/Writer
Nobuyoshi Yabuki (c) 2004
3
Radio Frequency IDentification (RFID)
1948年
Harry Stockmanにより,RFID技術が示唆
1950年代 IFF (Identification of Friend or Foe system)
1960年代 EAS (Electronic Article Surveillance)
1970年代 欧米で研究開発
1980年代 ETC (Electronic Toll Collection)
1990年代 ETCやスキーリフトなどで実用化
1999年 AutoID Center マサチューセッツ工科大学内に設置(バーコー
ドに代わるもの.SCM目的)
2003年10月 AutoID Center閉鎖.
2003年11月 AutoID Center の替わりに,EPC Global (非営利団体)が
設立され,引き継がれた.
2003年
ユビキタスIDセンター 東大の坂村教授が設立(ユビキタス
社会を目指す)
2003年~ ユビキタスコンピューティング,ICタグ,ユビキタス社会が大
人気
Nobuyoshi Yabuki (c) 2004
4
ICタグ
• 非接触型ICカードがICタグ(CPUはあっても無くても)
• アクティブICタグ(電池あり)/パッシブICタグ(電池なし)
• リーダーライタ(ハンディタイプ,トンネル型,ゲート型)
• 一度に複数のICタグの読み書き可能(アンチコリジョン機能)
• ICタグの価格は安くなってきている.原価は数円.ただし,耐
久型やアクティブICタグは高い.
• バーコードがライバル.安い.ただし,耐久性,汚れ等に弱い.
一度に沢山処理できない.データ量が少ない.書き込めな
い.)2次元バーコード(データ量が多い)が出現.
Nobuyoshi Yabuki (c) 2004
5
ICタグと通信方式
方式
周波数
交信距離
電磁的ノイ
ズに
水に
静電結合方式
12.5 kHz,
4.91 MHz
数mm
強い
弱い
電磁結合方式
400-530kHz,
4.91 MHz
数十cm
強い
強い
電磁誘導方式
120-150 kHz
13.56 MHz
数十cm ~数m
弱い
強い
マイクロ波方式
2.45 GHz
数m
弱い
弱い
Nobuyoshi Yabuki (c) 2004
6
ICタグの主な特徴
•
•
•
•
•
•
•
耐久性,耐環境性
非接触
データの読み書き,書き換えが可能
通信速度が速い
同時に複数のタグを読み取れる.
小型軽量.形状は自由.
データ量は,数百バイト~数kB
Nobuyoshi Yabuki (c) 2004
7
2.ICタグの実際の利用
• 流通・物流(空港の貨物コンテナ管理,コンク
リートミキサー車)
• 交通(ETC,Suica)
• 販売(回転寿司,CDショップのゲート)
• 人間の管理(トンネルの出入り,マラソン大会)
Nobuyoshi Yabuki (c) 2004
8
最近の動向
• ICタグの価格は,大量生産されれば,どんどん安く
なるだろう.
• 特にスーパーマーケットで利用されれば,爆発的に
普及するだろう.
• 小型・軽量・薄型,耐環境型.
• できるだけ遠隔でも認識できるように.
• できるだけ多くのタグを,短時間で読み書き.
• 温度センサー付きICタグ.
• 他の技術との融合.
• ユビキタス社会と密接な関係.
Nobuyoshi Yabuki (c) 2004
9
3.土木分野での利用
• 以前から細々とではあるが,道路の地下埋設物を
表示する杭,街路などの案内タグ,トンネルの出入
り,ダムの点検などに利用.
• しかし,「盛り上がり」に欠けた.
• 最近は,新聞などで大々的に報道されるようになっ
たため,関心を持っている人は増えてきている.
• しかし,土木とはあまり関係ないと思っている人が
多いのが現状.
• 革新的なアイデアがまだ出てこない.アイデア勝負.
Nobuyoshi Yabuki (c) 2004
10
事例紹介:
ダム・水力発電所の点検支援への
ICタグの活用
20mm
RFID Tag
RFID
Reader/Writer
PDA with Reader-Writer &
RFID Tag
Reader-Writer
Nobuyoshi Yabuki (c) 2004
11
現場巡視点検支援情報システム
研究レベルにおける点検支援システム
現 場
現場点検支援システム
構造物
電子タグ
通 信 (携 帯 電 話 )
音声入出力機能
通 信 機 能 (携 帯 電 話 )
WirelessLAN
電子タグ読み書き機能
計測機器
点検
観測
電子タグ
or
PHSLAN
Hub
PDA及 び
モ バ イル PC機 能
デ ジ タ ル ビ デ オ カ メラ 機 能
大型画面機能
現場管理事務所
LocalServer
Web Access
中央管理事務所
点検協力機関及び会社
A
B
イ ン タ ー ネ ット
C
Web Access
技術支援
Nobuyoshi Yabuki (c) 2004
Voice ナ レ ッジ
マ ネ ジ メン トシ ス テ ム
VoiceServer
( VoiceXML )
Knowledge Base
点検管理
DB
ア プ リケ ー シ ョン
( CAD,GIS等 )
12
ICタグの仕様
実務に適用させたシステム
現 場
項 目
管理所
USB
メモリ容量
リーダ/ライタ付きPDA
PC及び
クレードル
情報
電子タグ
点検管理
DB
Digital
Camera
仕 様
ユーザーエリア 240バイト
データ保持時間
データ書込み後10年
データ書換回数
各アドレス毎10万回
形状(ICタグ)
φ20×t2.7mm
点検支援システム構成
使用温度範囲
耐熱性
-20~+70℃(交信時)
高温放置:180℃ 200時間
熱サイクル:30分 200サイクル
材質
PBT樹脂
質量
2g
透過性
全ての非金属を透過して交信可能
Nobuyoshi Yabuki (c) 2004
13
(1)電源開発株式会社 奥只見水力発
電所におけるICタグの巡視点検へ
の利用
奥只見ダム
≈ 200km
東京
480m
157m
ダム上流面図
Nobuyoshi Yabuki (c) 2004
冬の奥只見ダム
14
13個のICタグを,毎月の巡視点検のために設置
ゲート制御ユニット
バックアップ発電システム
ゲート制御ユニット
ダム水位計
洪水吐
水位計
排水設備
水圧鉄管
発電機基礎
水圧鉄管
Nobuyoshi Yabuki (c) 2004
(a)
(b)
15
(c)
PDA電子タグシステムのスクリーンイメージ
Nobuyoshi Yabuki (c) 2004
16
(2)内閣府沖縄総合事務局 羽地ダムの点検,計測への応用
• 形式:ロックフィルダム
• 高さ:66.5m
• 堤頂延長:198.0m
• 湛水:2001-2005
Nobuyoshi Yabuki (c) 2004
17
68個のICタグを点検のために設置.
点検
項目
ICタグの個数
毎日 監査廊,洪水吐,取水口, 橋,
水位計, テレメータ,等.
48
毎週 貯水池,電気設備,等
11
毎月 ダム,警報設備,等.
7
-
寸法
2
合計 -
68
Nobuyoshi Yabuki (c) 2004
18
10.建屋内
38.水力コンプレッサー諸元
30.ダム地点水位計
21.湖面巡視
×3箇所
14.放流量観測堰
11.天端橋
9.洪水吐近傍
29.上段トンネル入口
7.堤体上
32.ダム地点警報設備
EL33 .0
EL35 .0
EL 40.0
EL 45.0
EL5 5.0
E L60.0
EL65 .0
EL 70.0
EL70.0
EL65. 0
EL60 .0
E L55.0
EL5 0.0
E L4 4. 0
E L45.0
堤頂長 198m
FEP50φ2条(照明用)
.6
No
8.クラック発生部
.5
No
EL3 3.0
12.維持放流設備室
EL35.
13.非常放流設備室
EL50.0
36.田井等雨量局
18.ダム測定箇所水質
0
EL 40.0
EL45.0
EL50. 0
37.ダム諸元
EL 55.0
EL60.
0
31.ダム地点雨量計
22.測量箇所
Nobuyoshi Yabuki (c) 2004
19
Nobuyoshi Yabuki (c) 2004
20
現場点検へICタグを応用してみて得た知見
• 現場で点検情報をPDAに入力すれば,事務所でパソコンのデータ
ベースにデータが自動的に入力されるので,野帳に記入したデータ
を入力する必要がない.時間短縮.誤入力の減少.
• データや知識が現場のICタグに残される.PDAさえ持っていけば,
前回のデータや知識に,現場で即座にアクセスできる.データベー
スを持ち歩いたり,LANとの接続の必要がない.緊急・災害時にも
対応可.
• 現場で,前回や過去のデータが即座に参照できるので,現場であ
る程度の技術的判断が可能.
• 点検員が,残しておきたい技術的な知識を,現場でメモしながら,
現場とデータベースの両方に残せる.技術の継承.
• ユーザーインターフェース等,システムの改善はまだ必要.
Nobuyoshi Yabuki (c) 2004
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建設,土木分野の特徴(ランダム)
• 建設産業は,全産業の約1割.大きな産業分野である.
• 大量かつ多品種の部材や材料を扱う.物流,調達と大いに
関係がある.
• ライフサイクルが非常に長い.メインテナンスにおいては,設
計,施工時,点検時のデータが重要.
• 廃棄物も多い.これからの重要な課題.
• 幅広い計測を行っている.(自然現象と人工物の計測)
• 単品生産,現場生産.大規模.自然環境の中にある.
• 保守的.発注者が立場上強い.設計・施工分離(建前上).
• 景気対策,雇用安定なども目的としてきたため,純粋な競争
よりは共存に重きが置かれた.
Nobuyoshi Yabuki (c) 2004
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4.NeedsとInnovation
新技術から新しい技術革新を生み出す方法を
考えたい.
Nobuyoshi Yabuki (c) 2004
23
技術革新と実際の利用
• 以前は「もの」を作れば売れた.ものへの渇望を満たせばよ
かった.目標がはっきりしていた.
• 今は,ものが有り余り,目標がはっきりしない.従来と同様で
は,縮小傾向.
• 「従来」方法や製品との「差別化」が必要.
• 差別化は,現状を変えること,すなわち現状を否定すること
になる.(現状肯定主義との戦い)
• 現状を疑い,否定し,チャレンジすること(これが,創造性の
基本.日本人にとってはしんどい.教育と体制の問題)
• 現状を疑い,否定し,チャレンジする=問題発見
Nobuyoshi Yabuki (c) 2004
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疑う,否定=チャレンジ=問題発見
‹ 現状を見て,「本来はこうあるべきなのではないか」「こう
あってくれればいいのになあ」といったように,【あるべき
状態】,あるいは【願望】を描けることが問題発見の第一
歩.
‹ 次に現状と【あるべき状態(願望)】の間の差異をきちん
と認識するのが問題の定式化.
‹ 現状と【あるべき状態(願望)】との間の差異・距離を埋
めるのが問題解決.
現状
あるべき状態(願望)
差異
疑う,否定する
Nobuyoshi Yabuki (c) 2004
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工学研究プロセスにおける問題発見の主な手法
新規性・独創性が研究の命.
現状を見て,こうあるべきなのではないか,と疑ったり,チャ
レンジして,問題を発見するのが研究の第一歩.その方法
は:
z ある研究領域で解決されていない問題(穴)を見つける.
z 一般に信じられていることを疑って(チャレンジして),新し
い仮説を立ててみる.
z より高い必要性(ニーズ)をベースにして,現状との差を埋
めるための方法を考える.(Needs Driven Method)
z 新しい技術を駆動力として,現状を改善するための方法を
考える.(Technology Driven Method)
Nobuyoshi Yabuki (c) 2004
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工学研究のプロセス
問題発見
直感
理論的
思考
理論的課題
への昇華
理論
モデル
証明
予想される
インパクト
研究にお
ける貢献
スタンフォード大学土木工学科CIFEより
Nobuyoshi Yabuki (c) 2004
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新技術を開発した後,商品化するとき
の障壁
• 我々が陥りやすい状況・問題:
– 「この技術を誰がどう使ってくれるだろう」というよ
うに,外の世界(世の中)を,その技術の潜在的
なユーザとしてしか見ない.
• これでは,新技術から新商品は生まれない.
Nobuyoshi Yabuki (c) 2004
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新技術と新商品のギャップ
「ではどうしたら良いのか」
「この技術で世の中の問題を何か解決できないか?」と考える.
つまり,外の世界を解決されるべき問題のソース(源)として捉え
るべき.一つの新技術あるいは潜在的な多くの技術と,外の世
界に存在する多くの問題の中からマッチングするものを見つけ
出す.
だから,問題発見能力が重要で不可欠
技術-1
技術-2
技術-3
・・・・・
技術-M
問題-1
問題-2
問題-3
・・・・
問題-N
例えば,ICタグとGPSやGIS.
異なる技術を融合させること
も重要な解決手段の一つ.
Nobuyoshi Yabuki (c) 2004
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新技術から新商品へ
【あるべき状態(願望)】
目標(ターゲット)
現状からあるべき状態に上げることが
出来る商品を,新技術を利用して開発
すればよい.
現状
Nobuyoshi Yabuki (c) 2004
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戦略的手法の必要性
—独創的な新技術や新サービスを売れる商品にし,
投資家から資本を得,金融機関からお金を借りて,
起業するためには,場当たり的なガンバリズムだ
けでは無理.
—信頼できる戦略的手法,すなわち基本的なフレー
ムワーク(枠組み)が必要.
Nobuyoshi Yabuki (c) 2004
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NABC法*
N:Needs(顧客/市場にとっての必要性)
A:Approach(説得力のあるアプローチ:問題の解決法)
B:Benefits(顧客の利益:コストと便益の比較)
C:Competition/Alternative(世界的な競争/代替手段)
*SRI Internationalが提唱するベンチャー会社設立運営上の戦略的手法.SRI
Internationalとは,スタンフォード大学から分離独立した非営利総合研究所.
Nobuyoshi Yabuki (c) 2004
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Needs
• イギリスで蒸気機関が発明されたからといって,す
ぐに蒸気機関車が発明されたか?馬車で十分と考
えていなかったか?
• 電子メールが使われていなかった頃の日本人に,
電子メールへのニーズはあったか?なくて困ってい
たか?電子メールが紹介されたとき,「本当にこん
なもの皆使うの?」と疑問に思っていなかったか?
• バーコードを商品につける前,バーコードがなくて困っ
ていたか?レジを早く打てる練習を従業員にさせて
いなかったか?何がどれだけ売れたかを瞬時に管
理したいという欲求はあったか?そんなことできっこ
ないと思っていなかったか?
Nobuyoshi Yabuki (c) 2004
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Needsは,あるべき状態(願望)
【目標】をどれだけ高く設定すること
ができるかで,生まれる.
• あるべき状態(願望)を高く設定できない人や会社には,ニーズは生まれない.
• なぜ高く設定できないのか?
• 現状に満足している.困っていないから.
• なぜ,現状に満足しているのか.なぜ困らないのか.
• 謙虚で慎み深い.グリーディではない.勤勉で面倒くさがらないから.または,
• 競争により蹴落とされるかもしれない,とか死ぬかもしれないというリスクがない,
あるいはリスクがあるのに意識しない(できない)から.
Nobuyoshi Yabuki (c) 2004
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頭を柔らかくし,
現状に疑問を持ち,
チャレンジし,
ICタグを意識しながら
Needsを
Create(創造)しましょう!
Nobuyoshi Yabuki (c) 2004
35
Thank you!
Any questions?
Nobuyoshi Yabuki (c) 2004
36
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