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資料5 我が国の地域間連系線等の現状と課題

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資料5 我が国の地域間連系線等の現状と課題
資料5
我が国の地域間連系線等の現状と課題
平成24年2月16日
資源エネルギー庁
1.我が国の地域間連系線等の現状
○
○
の数値は最大需要電力(H1)(北海道は冬ピークのため2010年度実績のみ記載)。
の間の線は地域間連系線等の送電容量※を表す。
※ 送電容量の数値は、会社間連系設備としての設計上の送電能力を表したもの。
実際の系統運用における送電可能量(運用容量)は、設備故障を考慮した通過電流制約、安定度制約等により制約され得る。
(出所)電力系統利用協議会、「連系線整備(建設・増強)に関する勉強会 とりまとめ報告書[資料編]」、平成19年2月より作成。
60Hz
50Hz
北海道
【2010】 579万kW
交直変換設備
60万kW
北陸
【2010】 573万kW
【2011】 533万kW
中国
1666万kW
【2010】 1,201万kW
【2011】 1,083万kW
関西
557万kW
【2010】 3,095万kW
【2011】 2,784万kW
557万kW
240万kW
九州
【2010】 1,750万kW
【2011】 1,535万kW
四国
557万kW
140万kW
東北
【2010】 1,557万kW
【2011】 1,246万kW
30万kW
中部
【2010】 2,709万kW
【2011】 2,520万kW
631万kW
東京
【2010】 5,999万kW
【2011】 4,922万kW
【2010】 597万kW
【2011】 544万kW
周波数変換設備
100万kW
1
(参考1)周波数変換設備(FC)の概要
○ 東清水FCについては、平成24年秋までに30万kWに拡充する見込み。
○ 新潟県中越沖地震(平成19年7月)に伴う需給逼迫を踏まえ、一般社団法人電力系統利用協議会
(ESCJ)からはさらにFCを30万kW強化することが提言されている(平成21年3月)。
新信濃(FC)
60万kW
佐久間(FC)
30万kW
東日本地域
西日本地域
東清水(FC)
13.5万kW
60Hz
[凡 例]
50Hz
: 周波数変換設備
2
(参考2)各電力会社の原子力最大サイト
(出所)電気事業便覧
(北海道電力)泊:207.0万kW
1~2号機:57.9万kW
3号機 :91.2万kW
(北陸電力)志賀:174.6万kW
1号機: 54.0万kW
2号機:120.6万kW
(関西電力)大飯:471.0万kW
1~2号機:117.5万kW
3~4号機:118.0万kW
(東北電力)女川:217.4万kW
1号機
:52.4万kW
2~3号機: 82.5万kW
(中国電力)島根:128.0万kW
1号機:46.0万kW
2号機:82.0万kW
(九州電力)玄海:347.8万kW
1~2号機: 55.9万kW
3~4号機:118.0万kW
(四国電力)伊方:202.2万kW
1~2号機 :56.6万kW
3号機
:89.0万kW
(東京電力)柏崎刈羽:821.2万kW
1~5号機:110.0万kW
6~7号機:135.6万kMW
(中部電力)浜岡:350.4万kW
3号機:110.0万kW
4号機:113.7万kW
5号機:126.7万kW
3
2.我が国の電力系統の特徴
(1) 需要分布の特徴
○ 電気を安定的に供給するために、供給信頼度や電気的制約を満たすように設備が計画・運用
される。設備は、需要に見合うように地理的制約のもとで形成される。
【需要分布の特徴】
人口および産業の大部分が気候の温暖な
太平洋沿岸に分布していることから、電力
需要は、当該地域に集中している。
500万人
200万人
100万人
50万人
500万人
500万人
200万人
100万人
50万人
200万人
100万人
50万人
(出所)動力協会資料:「わが国の電力システムと大停電,自由化,CIGRE」
4
2.我が国の電力系統の特徴
(2) 地理的特徴
【地理的特徴】
① 国土が細長い
国土が北東から南北にかけて細長い
(北海道~九州間は約2000km)となっており、面的な広がりがない。
② 大河川が無い。
水力は山岳地に散在しているが、大量の冷却水を必要とする火力・原子力は、燃料を輸入に
頼っていることも踏まえて、沿岸部に立地。また、需要地近郊の沿岸部は、用地の有効利用の
面から開発が限られる。
(出所)動力協会資料:「わが国の電力システムと大停電,自由化,CIGRE」
5
(参考)欧州の電源立地と需要地の位置関係
○ 欧米は、河川の水量が豊富で冷却水の利用や船舶による燃料輸送が可能なこと、内陸に石
炭の産地があること、ガスパイプラインが整備されていることなどから、火力・原子力が内陸にも
立地。
100km
100km
(出所)動力協会資料:「わが国の電力システムと大停電,自由化,CIGRE」
6
2.我が国の電力系統の特徴
(3) 我が国の電力系統の発展①
○ 日本では、地理的条件により設備の立地場所が限定されている一方、需要が特定の地域に集中している。
このため大規模な遠隔立地の電源から大容量の電力を送電する電力系統へと発展。
250
福一(福島)
470万kW
新高瀬川(長野)
128万kW
200
都心からの距離 [km]
福二(福島)
440万kW
200km
広野
150km
常陸那珂
常陸那珂(茨城)
100万kW
玉原
鹿島(茨城)
440万kW
100
横須賀(神奈川)
254万kW
五井(千葉)
189万kW
姉崎(千葉)
360万kW
川崎(神奈川)
105万kW 横浜(神奈川)
303万kW
0
1955
1965
今市
1975
年度
50km
鹿島
富津(千葉)
352万kW
千葉(千葉)
288万kW
品川(東京)
114万kW
東扇島(神奈川)
202万kW
大井(東京)
105万kW
100km
高瀬川
南横浜(神奈川)
115万kW
袖ヶ浦(千葉)
360万kW
福島第一
柏崎
広野(福島)
320万kW
玉原(群馬)
120万kW 今市(栃木)
105万kW
150
50
福島第二
柏崎(新潟)
821万kW
1985
1995
2005
東京電力の場合、発電所は,需要地近傍の東京湾岸から太平洋・日本海岸の遠隔地へ
(エリア外の発電所は現在約4割)
7
2.我が国の電力系統の特徴
(3) 我が国の電力系統の発展②
高度成長期の需要増に対
応した、東京湾岸の火力(鶴
見、東京、千葉、品川、横須
賀など)の開発
戦時中に遠隔地の水力
増加
15万Vの長距離送電線、
6万Vの内輪送電線を整備
27万Vの外輪送電系統を
建設し、それによって全系
を連系する系統を構築
15万V送電線
6万V送電線
水力発電所
27万V送電線
火力発電所
1951年
1965年
房総方面や遠方の福島
方面で大容量の電源を開
発
遠方の大容量電源地帯
から、50万V、27万Vの
基幹送電線を通じて大
電力を長距離送電
50万Vの長距離送電線と
需要の密集地を囲む送電
線(外輪送電線)を整備
大容量の電源地帯
1985年
50万V送電線
火力発電所
原子力発電所
100万V設計送電線
(50万V運転中)
大容量の電源地帯
現在
50万V送電線
27万V送電線
火力発電所
原子力発電所
8
3.過去の供給力不足事例
(1) 東京電力(2003/2007/2011)① ー供給力減尐と需給状況ー
供給力減尐量
需給見通し※1
需給実績
2007年夏季
2007年7月16日に柏崎刈羽発電所が中
越沖地震によりサイト停止
2011年夏季※5
2011年3月11日の東日本大震災に
より電源が被災し、停止
2003年8月4日
原子力13台(1239.6万kW)停止※2
2003年9月26日
原子力10台(972.8万kW)停止
柏崎刈羽7台(821.2万kW)停止
原子力 7台(642.8万kW)停止※6
火力 13台(847.5万kW)停止
時期
夏季
7月
8月
9月
7月末
8月末
想定
需要
6100万kW(通常時)
6450万kW(猛暑時)
6110万kW
6110万kW
5640万kW
5500万kW
5500万kW
供給力
原子力全17台(1730.8万kW)停止と仮定
更に追加供給力(260万kW ※3)を検討
6254万kW
6214万kW
6013万kW
5520万kW
5620万kW
供給力5500万kW
見通し
2003年3月27日時点では夏季の供
給力不足のため、東京電力は地元
の理解を前提に原子力の運転再開
が必要としていた。
2007年7月20日に安定供給維持の見通
しを東京電力が公表。
2011年5月13日にMETIが電気事
業法27条発動を決定。東京電力は
計画停電原則不実施を継続。
最大
需要
5736万kW
(9月11日)
6147万kW
(8月22日)
4922万kW
(8月18日)
6446万kW※4
6400万kW
5430万kW
供給力
※1
※2
※3
※4
※5
※6
2003年夏季
2002年8月29日に原子力発電所デ
ータの不適切な扱いを東京電力が
公表
原子力6台(679.6万kW)含む
需給見通しは、2003年の事例では2003年3月27日、2007年の事例では2007年7月20日、2011年の事例では2011年5月13日の時点。
地元の理解を得て2003年5月以降8月初旬までに4基(491.2万kW)が再稼動したため、停止は13基。
追加供給力は2003年8月4日時点で、260万kW。
供給力は2003年8月29日の計画値。
2011年の事例は東京電力のみ記載
停止中の福島第一4、5、6号(266.8万kW)を含まない。
9
3.過去の供給力不足事例
(1) 東京電力(2003/2007/2011)② ー追加供給力対策等の概要ー
2003年夏季
2002年8月29日に原子力発電所データの
不適切な扱いを東京電力が公表
被災火力電源の
復旧
長期計画停止
火力の再稼動
自家発の
余剰購入
緊急設置電源
※1
※2
※3
※4
※5
2007年夏季
2007年7月16日に柏崎刈羽発電
所が中越沖地震によりサイト停止
該当なし
該当なし※2
3ヶ月以内
3~6ヵ月
6ヵ月
以降
3ヶ月以内
3~6ヵ月
35万kW
横須賀8号
11月27日
122.5万kW
鹿島共火2号
横須賀6,7号
川崎5号
61.5万kW
横須賀
2,5号
14.4万kW
横須賀2号
9月11日
26.5万kW
五井4号
12月※3
50万kW※1
該当なし
6ヵ月
以降
―
2011年夏季
2011年3月11日の東日本大震災により電源
が被災し、停止
3日後
3月末まで
7月末
まで
13台※4中
4台復帰
6台復帰
全台
復帰
3ヶ月以内
3~6ヵ月
6ヶ月
以降
17.4万kW
横須賀
4月24日(2号)
6月 2日(1号)
70万kW
横須賀
6月19日(3号)
7月 6日(4号)
―
約160万kW
70~72万kW
該当なし
4月末まで
7月末まで
9月末まで
0.56
万kW ※5
82.863
万kW ※5
170.563
万kW ※5
2003年8月4日時点の検討値
柏崎刈羽原子力発電所は、2年以内の復旧なし。3年以内に2台復旧。4年以内(東日本大震災まで)に4台復旧。3台は復旧作業中。
五井4号は2007年11月16日時点の再稼動予定
東京電力において震災により停止した火力
2011年の緊急設置電源の運転開始時期は、予定運転開始時期ベース(千葉、大井の一部は9月運開に工程変更。9/22に全ての緊急設置電源が運開)。
10
3.過去の供給力不足事例
(2) 東北電力(2011夏)
○ 2011年8月8日、新潟・福島豪雨の影響で水力発電の稼働停止により約100万kWの供給
力が低下。
・第二沼沢発電所の45万kW 他 合計で29個所、約100万kW
○ このような状況を踏まえ、東北電力では、東京電力から最大140万kW(※1)の融通を手配。
○ 8月9日、東北電力は、翌日(10日)において気温が上昇することに鑑み、東京電力からの電
力融通量を、最大140万kW(※1)からさらに最大170万kW(※1、※2、※3)に引き上げ(あくま
で緊急的な措置として実施するものという整理)。
(※1) 北本経由分30万kWを含む。
(※2) 相馬双葉幹線(東京向け)の計画潮流分(13万kW)を考慮すると、実際の潮流は東北向けに127
万kWとなる。
(※3) 相馬双葉幹線(東北向け)については、運用容量は、8月10日昼間においては100万kWとされて
いたが、これを大きく超えて送電が行われることとなった。
11
3.過去の供給力不足事例
(3) 九州電力(2012.2)
○ 2012年2月3日午前3時55分から4時19分にかけて新大分発電所1~3号系列(LNG、22
9.5万KW)の燃料供給設備の不具合(燃料流量調整弁の駆動配管の凍結)により全号順次停
止。
・1号系列6軸(計69.0万kW)
・2号系列4軸(計87.0万kW)
・3号系列3軸(計73.5万kW)
○ これを受けて、需要面では、午前中は他電力からの融通を240万kWを確保するとともに(全
国融通の実績は210万kW(※1、2))、緊急時の需要調整を予め契約している需要家46社(37
万kW)に需要抑制を要請し、必要な供給力を確保。
(※1) 関門連系線(中国地方向け)の計画潮流分(69万kW)を考慮すると、実際の潮流は九州向けに
141万kWとなる。
(※2) 関門連系線(九州地方向け)については、運用容量は、周波数維持の観点から30万kWとされてい
るが、これを大きく超えて送電が行われることとなった。
○不具合の生じた箇所の修復(燃料流量調整弁の作動回復)を行い、午前6時6分以降、1号系
列第6軸から順次復旧。16時34分までに全13軸が復旧済み。
12
(参考)各地域間連系線等の運用容量 【平成23年8月ベース】
3.(3)
3.(2)
13
4.連系線増強に係る費用負担等について
(1) 連系線増強に関するESCJルールの概要① ー調整プロセスー
検討開始の要因(きっかけ)
<特定電源>
特定電源開発
<安定供給>
安定供給確保
<不特定電源>
取引活性化等
(例)中部・関西間第2連系
〔平成20年3月提言〕
(例)FC〔平成21年3月提言〕
北本〔平成23年5月提言〕
(実績なし)
検討提起をト
リガーとした
調整プロセス
検討提起
検討開始指標
開始適否WG
開始要件
企画運営委員会
上申
調整プロセス開始の適否判断
判断結果の報告
提言
(公開)
理 事 会
委員会設置
検討指示
指標や要件へ
の適合をトリ
ガーとした調
整プロセス
報告書提出
連系線整備計画に係る委員会
費用負担については、
事業者間の協議に委
ねられる。
14
(参考)近年のESCJの提言① 〔FCの増強(平成21年3月)〕
地域間連系線増強に係わる提言
平成21年3月26日
電力系統利用協議会
電力系統利用協議会は、平成19年7月16日に発生した新潟県中越沖地震に伴う東京電力エリアの需給逼迫に関し、広域流通を
通じた安定供給確保の観点から地域間連系線増強等について検討した結果、下記の通り提言する。
記
(1) 平成19年夏季の地域間連系線を通じた東京電力エリアの応援融通受電実績および応援融通送電側エリアの需給状況から、
設備容量まで利用された東京中部間連系設備(以下「FC」という。)を増強することで、FC以西の応援余力を活用できるようにな
り、応援融通の受給確度の向上による安定供給上の効果が期待できる。
東京電力エリア内へ電源を増強して対応する案との比較では、建設費が最小となるFCの30万kW増強案のみ経済性で優位と
なる。また、需給逼迫に伴う節電の実施等の社会的影響等も考慮すると、FCを30万kW増強することが望ましい。
増強するFC容量については、安定供給の確保という目的に鑑み、需給逼迫時等の系統の異常時には、一般電気事業者の送
電部門が安定供給のために優先利用することが適当である。なお、この場合でも、スポット取引に開放される空容量が増加する
こと等、取引活性化への貢献も期待できる。
(2) 増強に要する費用の負担については、原因者負担および増強メリットの受益者負担の考え方を基本とし整理することが考えら
れる。
本提言における地域間連系線増強は、エリアの安定供給確保を目的としたものである。また、増強のきっかけ(原因)に特定電
源開発の要素は含まれていない。したがって、「特定負担」と「一般負担」の整理については、全額「一般負担」とすることが妥当
である。
なお、「一般負担」における一般電気事業者各社の負担比率についても、上述の考え方を基本として決定することが妥当であ
る。
「一般負担」とした増強に要する費用は、負担するエリアの託送料金に影響を与えることに留意する必要がある。このため、増
強に要する費用負担については、今後、建設計画が具体化され、上述の考え方に基づく関係事業者間の協議により決定された
段階で、透明性確保の観点から、当協議会に対して当該事業者から自主的に報告されることが望まれる。
以 上 15
(参考)近年のESCJの提言② 〔北本の増強(平成23年5月)〕
平成23年5月23日
一般社団法人電力系統利用協議会
北海道本州間連携設備の増強等に係わる提言
電力系統利用協議会は、北海道電力株式会社の検討提起を受け、北海道本州間連携設備の増強等について検討した。その結
果を、下記の通り提言する。
記
(1) 北海道本州間連系設備の増強について
北海道本州間連系設備については、本設備の作業停止および将来的な大規模改修に対応し、北海道エリアの安定供給を確
保する観点から、また、設備健全時における瞬動予備力*確保のための系統運用合理化の観点から、当該設備を30万kW増
強することが妥当である。なお、従来限定的であった北海道エリアに向けた連系線空容量が、本増強によって一定程度見込め
るようになるため、取引活性化の観点からも望ましいといえる。 *周波数低下が発生した場合に即時応動する供給力
(2) 費用負担について
増強される地域間連系線設備の建設目的は、北海道エリア全体の安定供給確保であり、また、増分容量はそれに必要となる
容量を除いて、託送利用に解放される。よって、増強設備の工事費用は、受益者負担の観点から、全額一般負担と整理すること
が妥当である。なお、今回の連系線増強が必要となる背景に、当該系統に連系されている最大電源ユニットの運用が考慮され
ているものの、それが特定負担すべき受益とは判断されなかった。
(3) 今後の課題について
・ 大規模災害の発生を踏まえ、リスク対応という観点から、本増強工事は、確実かつ早期に実現されることが期待される。また、
工事の状況等について、当該事業者から、当協議会へ自主的に報告されることが臨まれる。
・ さらに、増強される地域間連系設備については、信頼度向上と設備の有効利用の観点からも、全ルート同時停止に至るリス
クは極力最小化することが望まれる。
・ 今後、本地域間連系線を介した取引や、新エネルギー電源の導入拡大に対応した連系線利用が見込まれる。これらは、空容
量の範囲内の利用となるため、その動向をよく注視しておく必要がある。
以 上
16
4.連系線増強に係る費用負担等について
(2) 諸外国の連系線増強の費用負担の概要①
○ 地域間連系線等の整備に係る国の関与のあり方、費用負担の原則についての日米欧比較は以下の表の
とおり。
項目
①国の関与のあり方
日本
国の関与はない。
※ 国が指定する中立
機関であるESCJに
おいて、地域間連系
線等の強化に係る提
言を行うことができる
(ただし、提言を踏ま
えた対応は事業者間
調整により決定)。
②費用負担の原則
原因者負担。事業者
間の調整に委ねられて
いる。
欧州
米国
○欧州全域
欧州委員会がTEN-Eの枠組みを活
用した「優先プロジェクト」の指定を
行っている。
○ドイツ
エネルギー事業法(EnWG)の改正
と系統拡張加速化法(NABEG)で、
連邦ネットワーク庁が国の政策目的
と整合する共同シナリオ枠の作成と
それを基にした系統発展計画の作成
に関与。
国が広域的な地域送電拡張計画策
定プロセスの構築を義務化するととも
に、東部系統・西部系統大での広域
的送電計画策定への支援を実施(連
系大送電計画策定イニシアティブにお
いては、DOEから1000万ドル超の
公的補助が拠出されている例あり)。
国際連系線の費用負担は国境負
担が原則。多国間の国際連系線の
場合は、受益評価が複雑であり、明
示的な解決策がない。
オーダー1000(2011年7月)により、
送電計画策定プロセスにおいて受益
者負担を基本とする諸原則を示す。
当該諸原則に基づきRTO等に費用負
担のルール化を求めているとともに、
当該諸原則は地域間連系線の費用
負担の調整に際しての指針となること
が期待されている。
※ 国による直接的な関与は限定的
(カリフォルニア州でのPath15など)。
17
4.連系線増強に係る費用負担等について
(2) 諸外国の連系線増強の費用負担の概要②
○ 送電線の所有主体、地域間連系線等の整備に係る費用とインセンティブ付与についての日米欧比較は以
下の表のとおり。
項目
日本
欧州
米国
③送電線の所有主体
民間事業者(電力会
社)が所有。
欧米では公的機関(国有送電会社含む。)が送電設備を所有している場合も
多く見られる。
④連系線整備にかか
る費用とインセン
ティブ付与
費用は電力会社が
負担。
事業報酬率において
インセンティブ措置あ
り。
上述のとおり公的機関が送電設備
を所有している中でも資金調達が課
題と考えられており、公的融資の枠
組みの構築及び活用が取り組まれて
いる。
政策目的の送電設備構築にはイギ
リスのように収入キャップ枠の設定を
通じて、費用回収を担保している。
報酬率等のインセンティブ付与は今
後の課題とされている。
オーダー679(2006年7月)により、
政策目的に適合する送電投資に報酬
率や加速的減価償却等を通じたイン
センティブを付与。
18
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