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証券および先物取引所得課税草案

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証券および先物取引所得課税草案
台湾税務
台湾税務アップデート
2012年4月財政部「
月財政部「証券および先物取引所得課税
先物取引所得課税草案」特別号
2012年4月12日夜、財政大臣
大臣の劉憶如氏が記者会見を開き、財政部による
による「証券および先物取
引所得課税に関する草案」
」を発表しました。政府は2013年度より証券および
および先物取引所得税
を課すことを計画しており
しており、当草案は行政院の承認を経た上で、改正法
法案として立法院に提
出され、通過すれば実施されるこ
されることになります。今回の「台湾税務アップデート
アップデート」特別号で
は、財政部が発表した課税
課税に関する草案の内容について、その要点をご
ご説明するとともに、
PwCの見解および提案をご紹介
紹介いたします。
背景
台湾は1989年12月30日に改正
改正された所得税法第4条の1に基づき、1990年
年1月1日から証券取引
所得税の課税を停止してい
しています。証券取引所得税課税停止期間中の有価証券売買
有価証券売買については、
「証券取引税条例」により
により、有価証券の売り手に対し毎回の約定価格に
につき1000分の3(会社
発行の株式および株式権利証書
株式権利証書あるいは証憑) または1000分の1(社債および
および政府が認可した
有価証券) の証券取引税が
が課されています。また、2006年1月1日からは
からは、個人が売買する非
公開株式、新株引受権証書
証書、株式払込証明書およびそれらの権利書、私募証券投資信託基金
私募証券投資信託基金
の受益証券、法人が売買する
する所得税法第4条の1および第4条の2に該当する
する証券並びに先物取
引にかかる所得は、いずれも
いずれも「所得基本税額条例」に基づいて基本所得額
基本所得額に算入し納付すべ
き基本税額を計算することが
することが必要になっています。
馬英九総統は国家財政の安定
安定と健全化を図るため、2011年10月12日に「
「黄金10年の国家ビジ
ョン」構想を発表し、そのうちの
そのうちの「財政の健全化」に関する政策を財政部
財政部に主導するよう命
じました。その中で課税の
の公平性をその主軸となる政策目標とし、キャピタルゲイン
キャピタルゲイン課税の
強化、給与所得にかかる税負
税負担の軽減のほか、エネルギー税制の構築、
、省エネ・CO2削減など
のエコ対策を重点項目としました
としました。続いて、財政部は2012年3月15日に政府当局
政府当局、学界および
社会団体の代表を招集し「
「財政健全化チーム」を発足させ、同月28日に
には第1回目の会議を開
催しました。同チームの委員
委員による票決をもって、キャピタルゲイン課税
課税を優先的協議項目
としたほか、学者および業界
業界の代表を招集し「キャピタルゲイン課税-
-有価証券チーム」を
結成し、4月5日と9日に「キャピタルゲイン
キャピタルゲイン課税-有価証券チーム」の第
第1回目と第2回目の座
談会を開催しました。そして
そして、4月12日に財政部による「証券および先物取引所得課税
先物取引所得課税に関す
る草案」を発表しました。
。
財政部による「証券および先物取引所得課税
先物取引所得課税に関する草案」の内容
財政部は「応能課税」を草案
案策定時の基本原則とするとともに、以下4つの
つの実質的な面に重点
を置いています。
1. 政府の税収の安定性
1
2. 徴収にかかる経費の抑制
3. 金融市場および経済に対する衝撃の最大限の軽減
4. 国際的租税競争への配慮
今回発表された課税に関する草案は、個人に対しては所得税法改正の方法をとり、個人の証
券取引所得をその他の種類の所得から分離させ、単一税率により納付すべき税額を計算して
から、その他の所得と併せて所得税を申告するというものです。法人に対しては従来通り「所
得基本税額条例」に定められた代替ミニマムタックス制度に基づきながら、控除額の引き下
げおよび現行税率の引き上げによる調整を採用しています。注目すべき点として、財政部が
今回発表した課税に関する草案は、基本的に台湾内に固定的営業場所および営業代理人を持
たない外国法人への課税を排除しており、外資系法人の台湾株式市場への投資に対する影響
を低減できる見通しです。財政部が発表した課税に関する草案は、行政院の承認後、立法院
に提出され協議の上決議が行なわれ、2013年度より実施される予定です。よって、2014年5
月の個人所得税および営利事業者の所得基本税額の申告時には適用されることになります。
財政部の課税に関する草案の内容を下表の通りまとめました。
個人
課税方法
営利事業者
所得税法を改正。証券取引所得をそ 代替ミニマムタックス制度を継続適用
の他の所得と分離し、単一税率によ するが、控除額を引き下げ、現行税率
り税額を計算してから、その他の所 を引き上げる。
得と併せて申告を行う。
課税対象
台湾居住者である個人および台湾非 台湾内に固定的営業場所あるいは営業
居住者である個人
課税対象物
代理人を持つ営利事業者
1. 上場、店頭公開、新興株式市場上 1.証券
場株式
(1) 株式:上場、店頭公開、新興株式
2. 非上場、店頭非公開株式
市場上場、非上場および店頭非公
3. 私募ファンドの受益証券
開株式
4. 台湾内の先物取引所における先
物およびオプション取引
(2) 債券:公債、社債および金融債券
(3) その他有価証券:受益証券、コー
(上記の株式には、新株予約権証書、
ル型(プット型)カバードワラン
株式払込証明書および株式権利書を
ト、台湾預託証券および新株予約
含む)
権証書等
2.先物およびオプション:台湾内の先
物取引所における先物およびオプシ
2
個人
営利事業者
ョン取引
施行年度
2013年度(2014年5月の2013年度所得 2013年度(2014年5月の2013年度基本所
税申告から適用)
申告基準
得税申告から適用)
1件の申告につき、上記の有価証券、 基本所得額がNT$50万を超過する場合、
先物およびオプション取引の年間取 基本税額を申告しなければならない。
引所得がNT$300万に達する場合、全
て申告しなければならない。取引に
よる損失がある場合、翌年以降3年間
にわたり取引所得から控除し、申告
することができる。
控除額
1件の申告につきNT$300万
基本所得額からの控除額を、現行の
NT$200万からNT$50万に引き下げる。
税率
20%の単一税率で、その他の各種所得 1. 徴収税率を現行の 10%から 12%に引
き上げる。
から分離する。
2. 法定実効税率を現行の 10%~12%か
ら 12%~15%に引き上げる。
所得計算
取得価額
取引時の約定金額-取得価額-必要 取引時の約定金額-取得価額-必要経
経費-控除額(年間合計)
費(年間合計)
1. 取得価額計算方法:先入先出法
1. 取得価額計算方法:
2. 取得価額の評価:
(1) 一部の有価証券には個別法、総平
(1) 原則として取得価額。
均法、移動平均法またはその他の
(2) 上場、店頭公開および新興株式市
管轄官庁が認可した方法を採用す
場上場株式を 2012 年 12 月 31 日
る。
以前に取得した場合、上場および (2) 先物およびオプション取引は一部
(3)
店頭公開株式は 2012 年の最終取
に先入先出法を採用するが、期限
引日の終値、新興株式市場上場株
到来前に手仕舞いを指定した場
式は 2012 年の最終取引日の平均
合、個別法を採用しなければなら
株価。
ない。
(1)、(2)のうち高い方で 2.原価法:帳簿記載の実際の取得価額
評価。
3
個人
費用
営利事業者
証券取引税、手数料、その他関連費 証券取引税、手数料、その他関連費用
用全てを含む。
全てを含む。
益 金 損 金 相 上記の有価証券、先物およびオプシ 上記の有価証券、先物およびオプショ
殺
ョン取引の損失は、当年度の取引所 ン取引の損失は、当年度の取引所得か
得から控除することができ、控除し ら控除することができ、控除しきれな
きれない分は、翌年以降3年間にわた い分は、翌年以降5年間にわたり取引所
り取引所得から控除することができ 得から控除することができる。
る。
長 期 保 有 優 個人が取得した株式は、満3年以上所 営利事業者が取得する株式は、満3年以
遇
有する場合、取引所得の半額を当年 上所有する場合、取引所得の半額を当
度の所得とし、残り半額については 年度の所得とし、残り半額については
免税とする。
免税とする。
pwcの見解
財政部より今回発表された課税に関する草案が立法院の審議に回されれば、与野党の間で激し
い議論が交わされることが予想されますが、財政部が作成した課税に関する草案により、政府
は証券取引所得税の課税を再開し、租税負担の公平化および財務の健全化を図る決意を示して
います。今回発表された草案からは以下のことが読み取れます。

財政部が提出した課税に関する草案は、まず税制改革の方向性のみを示したものであり、
実施方法の詳細および徴収方法が説明されておらず、引き続きこの点に注目が集まると
考えられます。

財政部が提出した課税に関する草案を見ると、株式を頻繁に売買する「大口投資家」を
初期の主要課税ターゲットとしており、
「高額をとらえ、小額を見逃す」という過渡的な
措置がとられると考えられます。

納税義務者が、法律上の身分認定および課税開始基準額を用い納税額を少なくする目的
で、意図的な取引を行うことを防ぐため、財政部は実質課税および租税回避防止措置の
整備について、引き続き関連法令を改正・制定すると考えられます。

財政部が提出した課税に関する草案は、台湾内に固定的営業場所や営業代理人を持たな
い外国法人の納税義務を免除しており、実施効果の拡大、台湾投資に対する海外資金を
継続的に集め、将来この法令を他国との租税条約の締結に向けた協議を加速化するため
の切り札にすると考えられています。
4
課税に関する草案が立法院で可決され正式に施行された場合、高額資産保有者、上場・店頭
公開会社(台湾で上場した海外の台湾系会社を含む)の大株主および一部の外国企業などに重
大な影響を与える可能性があります。投資家は、法令施行後従来の投資方法が受ける可能性
のある税負担に対する影響を慎重に検討し、自らの権益を守るため、後日申告する際の根拠
として投資取引の金額、原価、費用に関する記録をできる限り取り揃えておくことをお勧め
します。
5
PwC 日本企業部コンタクトリスト
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