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岡山大学法学部・法学系研究科の現状と課題4

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岡山大学法学部・法学系研究科の現状と課題4
目
序章
次
岡山大学法学部及び大学院法学系研究科の概況・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
1
教育の目的・目標・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
3
第1章
Ⅰ
法学部
Ⅱ
大学院法学研究科・文化科学研究科博士前期課程法学系
第2章
教育研究組織及び運営体制・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
Ⅰ
法学部
Ⅱ
法学系研究科
第3章
教員及び教育支援者・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 13
1
教員配置
2
教員採用、昇格の基準と運用
3
教員の活動の評価
4
教育支援者
第4章
学生の受入れ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 21
Ⅰ
法学部
1
アドミッション・ポリシー
2
学生受入れ状況
Ⅱ
法学系研究科
1
アドミッション・ポリシー
2
学生受入れ状況
第5章
教育内容・方法・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 27
Ⅰ
法学部
1
教育課程
2
教育方法
3
成績評価
Ⅱ
法学系研究科
1
教育課程
2
教育方法
3
学位論文の指導・審査
第6章
7
教育の成果・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 45
Ⅰ
法学部
1
学生の履修状況と教育の成果
2
卒業者の就職・進学状況
Ⅱ
法学系研究科
1
修士学位の取得状況
2
修了者の就職・進学状況
第7章
学生支援等・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 57
Ⅰ
法学部
1
履修指導、学習相談
2
自主学習の支援
3
生活、就職等の支援
Ⅱ
法学系研究科
1
履修指導、学習相談
2
自主学習の支援
3
生活、就職等の支援
第8章
施設・設備・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 63
1
施設・設備
2
図書・資料の整備
第9章
教育の質の向上及び改善・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 69
Ⅰ
法学部
1
質の向上及び改善の体制
2
教育の質の向上のための取組み
Ⅱ
法学系研究科
1
質の向上及び改善の体制
第10章
財務・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 73
1
予算・決算
2
外部資金、競争的資金
第11章
管理運営・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 77
1
管理運営体制及び実施状況
2
自己点検・評価
第12章
研究活動・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 81
1
研究実施体制
2
研究活動の状況
第13章
教育面の社会貢献(正規課程学生以外に対する教育サービス)・・・・ 91
1
教育サービス提供状況
2
教育サービスの評価と課題
付1
岡山大学法学部卒業生アンケート結果の概要
付2
岡山大学法学部卒業生受入れ機関・企業等アンケート結果の概要
序章 岡山大学法学部及び大学院法学系研究科の概況
序章
1
岡山大学法学部及び大学院法学系研究科の概況
法学部を取り巻く状況の変化
岡山大学法学部は、教授会のもとに自己評価委員会を設け、1996 年以来 3 年毎、3 回にわた
って「岡山大学法学部の現状と課題」と題する自己評価報告書を作成し、それぞれにおいて直
近 3 カ年度におけるその軌跡を世に問うてきた。しかし、3 回目の自己評価書が 2002 年 3 月
に発刊されて以来、すでに 4 年余りの歳月が流れている。従って、4 回目となる今回の自己評
価書は、これまでとは異なったサイクルで行われたことになる。また、評価の対象も過去 3 回
とは異なっている。後者については、今回の評価書の目次とこれまでの評価書の目次を比較し
てみれば一目瞭然であるが、前者については説明を要する。というより、この評価サイクルの
変更こそ、岡山大学法学部がおかれた状況の激変を反映したものなのである。すなわち、岡山
大学法学部は 2004 年 4 月1日を境として変貌をとげ、それまでのような 3 年をタイムスパン
とする自己評価が困難になるという事情が生じたのである。
もちろん、その状況変化には、日本の国立大学全体とそこに設置されている 15 の法学部に
共通する要因が大きく作用していた。しかし、同時にまた、部分的には本学にかなり固有の事
情も作用していたのである。そして、それらは岡山大学法学部の機関としての変容と密接に関
係している。従って、以下でこれらの要因について簡単に見ておきたい。
第一に、1998 年 10 月に大学審議会による答申『21 世紀の大学像と今後の改革方策について
――競争的環境の中で個性が輝く大学』が出されて以来、日本の高等教育体制、中でも国立大
学におけるそれは大きな変動の嵐に晒されることになった。いうまでもなく、この嵐のピーク
に到来したのが 2004 年の国立大学法人化である。これによって岡山大学は新しく国立大学法
人岡山大学となったが、法人化自体は他部局、さらには他の国立大学に共通するので、ここで
詳述はしない。しかし、後述のように、法学部ではそれに対応して、カリキュラム等の教学面
のみならず、執行部体制や委員会編成などの内部的な改革を行うことになったのである。
第二に、法学部にとって大学審議会答申と同じように大きなインパクトを与えたのは、2001
年 6 月に出された司法制度改革審議会の最終意見書であった。そのなかで同審議会は、司法制
度改革の一環として法科大学院、いわゆるロースクールの設置を打ち出した。これに呼応して
岡山大学法学部も法科大学院設置に向けて積極的に活動を始め、地元弁護士会をはじめとする
各界の支援もあって、2004 年 4 月、他の有力大学と足並みをそろえる形で本学にも法科大学
院が誕生することとなった。このことが、法学部および法学系大学院教育に多大の影響を与え
ることになったのである。
第三の状況変化は、ある程度岡山大学に固有のものといってよい。すなわち、岡山大学では、
大学審議会における議論やその答申に対応する形で早くから自己改革のための努力を行い、
2000 年 3 月にその成果を「21 世紀の岡山大学構想」としてまとめていた。その内容は多岐に
わたるが、ここでの文脈上重要なのは、それが岡山大学の大学院重点化を謳い、しかも大学院
は各学部の上に積み上げる形ではなく、関連学部をまとめてカバーする、文化系、自然系、生
1
序章 岡山大学法学部及び大学院法学系研究科の概況
命系(医歯薬系)の 3 大学院体制が目指されていたという点である。法学部に即していえば、
それは大学院法学研究科を廃止し、法学政治学系の修士課程を文化科学研究科前期課程の中に
統合することを意味していた。
2
法学部・法学系研究科の概要
学部レベルでは、岡山大学法学部は従来昼間の法学科(定員 205 名、ある時期臨時増募定員
20 名分を追加設定)と、勤労学生を対象とする第二部法学科(定員 60 名)から構成されてい
た。また、定員外ではあるが、法学科は 3 年次編入生を若干名受け入れていた。また、第二部
法学科は、3 年次編入の定員 10 名を別枠で設けていた。本自己評価書が対象とする最初の年度
である 2002 年度はまさにこのような組織であった。
しかしながら、上述のような大きな状況変化、なかでも法科大学院(ロースクール)の設置
によって、法学部のあり方は大幅な見直しを迫られることになった。特に、法曹養成という従
来の法学部における中心機能が法科大学院に移行したこと、および、法学部の教員定員 48 の
うち 12 が法科大学院に移され、しかも他大学と違ってこの法科大学院がいわゆるダブル専任
をほとんど持たない完全な別部局として発足したことは重要である。前者についてはカリキュ
ラム改革等の努力による対応が現在も続けられているが、後者は学部教育の速やかなスリム化
を必然とするものであった。これに対して、岡山大学法学部は機構的には第二部法学科を夜間
主コースに転換することで対応した。そこでは、法科大学院設置等の要因とは別個の、夜間部
固有の状況変化も視野に入っていた。
すなわち、第二部法学科は昼間職に就いている人々に法学政治学系の高等教育を受ける機会
を提供するために設けられていたのであるが、この頃になるとそうした本来の勤労学生の割合
は激減し、入試の難易度等からここを選んだ一般学生が大半を占めるようになっており、その
存在意義が問われていたのである。そこで、岡山大学法学部は法科大学院設置等を契機として
第二部法学科を廃止し、新たに定員 20 名の法学科夜間主コースを設置して、入試制度改革と
セットで勤労学生や社会人を対象とする少人数教育を目指すことにしたのである。これに応じ
て昼間の法学部法学科は法学部法学科昼間コースとなった。昼間コースの概要は従来の法学部
法学科とあまり変わらないが、その教育体制が大幅に見直されていることは上述の通りである。
次に大学院であるが、2003 年度当時、大学院法学研究科は学生定員 40 名を擁し、法務専攻、
公共政策専攻、地域法制専攻の 3 専攻によって構成されていた。しかし、これも大学院重点化
構想に従って、2004 年度から文化科学研究科博士前期課程(2006 年度から部局化して社会文
化科学研究科に改組、いずれも学生定員 100 名)の中に発展的に解消された。この前期課程は
社会文化基礎学専攻、比較社会文化学専攻及び経営政策科学専攻の三つの専攻で構成され、法
学政治学系の教育は主として法学部に残った教員が各専攻の中で担当し、総計 23 名の学生を
受け入れることが想定されて今日に至っている。なお、学生募集を停止した大学院法学研究科
には 2006 年度にもまだ 5 名の学生が在籍しているが、これらの学生が修了次第、同研究科は
完全に廃止される。
2
第1章 教育の目的・目標
第1章
Ⅰ
法学部
1
法学部の教育目標
教育の目的・目標
法学部の教育目標は,次のような人材を養成することである。
(1)それぞれの法分野について基礎的な知識と理論を修得し、論理的かつ合理的に問題を解決で
きる法的思考能力(リーガル・マインド)をもつ。
(2)政治や社会について多角的な視点から理解し,現代社会に生起する諸問題を自ら発見し,
解決しようとする意欲と能力をもつ。
(3)国際社会に関する理解をもち,グローバル化,情報化する社会で活躍できるコミュニケーシ
ョン能力と情報活用能力をもつ。
中でも,法的な思考力(リーガル・マインド)の涵養を重視している。これは,単に法律の
条文や制度に関する「知識」を身につけるということにとどまらず,現実社会において生じる
種々の問題に対処するために,柔軟かつ適切な法的判断を行う論理的な思考力および応用力を
培うと同時に,現実社会そのものに対する深い理解と科学的な分析力を体得することを目指す
ものである。
2
法学部教育の到達目標
法学部教育の到達目標は,次の 4 点にまとめている。
(1)法的問題について,論理的かつ合理的に解決できる法的思考能力(リーガルマインド)を身
につける。
(2)現代社会の法や政治について,その歴史性や国際的比較など多角的な視点から理解し,科学
的に分析する能力の基礎を身につける。
(3)現代社会に生起する諸事象から課題を発見し,自ら判断し解決しようとする意欲と能力を
身につける。
(4)国際社会に関する理解をもち,グローバル化,情報化する社会で活躍できるコミュニケーシ
ョン能力と情報活用能力を身につける。
3
法学部の教育目的・目標の評価と課題
法学部では,これらの目標を実現するために,教養教育と専門教育を関連させつつ,4 年一
貫教育を行っている。
「法学部の教育目標」および「法学部教育の到達目標」については,法学
部学生便覧,講義要覧(シラバス)の冒頭に掲げ,学生および教職員への周知を図っている。
また、本学部に進学を希望する高校生、その保護者、高校の進路指導担当者等に配布する法
学部案内および法学部ホームページの「法学部紹介」には、
「法学部の教育目標」とその解説を
掲載している。
このように、法学部の教育目標および到達目標は、学生、教職員に周知されているとともに、
3
第1章 教育の目的・目標
社会に公表されている。
Ⅱ
大学院法学研究科・文化科学研究科博士前期課程法学系(以下「法学系研究科」という。)
1
法学研究科の教育の目的・目標〈2001~2003 年度〉
2001 年 4 月より、法学研究科を、法務専攻、公共政策専攻、地域法政専攻の 3 専攻と改組
した。履修コースは、3 専攻に対応して、
「法務専攻(司法法務系列、企業法・税務系列)」、
「公
共政策専攻(行政法務系列、国際法政系列)
」、
「地域法政専攻(現代市民生活法系列、比較法政
系列)
」の 6 系列となった。これらは、従来の研究者養成機関として受け止められていた大学
院を、変化しつつある現代社会の要請に応えてより多様な教育目標に対応した措置であった。
2002 年度志望者向けの案内パンフレット『岡山大学法学部・大学院法学研究科』で、はじめて
「変化しつつある現代社会の要請に応えて、高度職業専門人(狭義の法曹、税理士、企業の法
務担当者、公務員など)養成、および社会人再教育に力点を置く。」と明示され、3 専攻につい
ても、それぞれ教育目標が掲げられた。
法務専攻:地域における市民社会、さらには企業活動に対して質の高い法的サービスを提供し
うる人材の養成を目標とし、実務を念頭に置いた理論教育を行う。
公共政策専攻:地域、国家、国際の各レベルでの活躍に対応しうる法的・政策的能力をもった
人材の育成を目指す。そのため、現実の諸問題を複眼的な視点から分析しうる
柔軟な思考とグローバルなセンスの涵養につとめる。
地域法政専攻:地域問題に対する高い見識を持ち、それを自らの職業活動や日常生活のなかで
生かしうる人材の育成を目標とする。そのために、法と政治に関する幅広い知
識や歴史および現代社会に関する深い分析力の涵養を目指している。
2
文化科学研究科博士前期課程の教育の目的・目標〈2004 年度~2005 年度〉
2004 年 4 月に、国立大学が法人化し、法科大学院が法学部から独立した専門職大学院とし
て創設されたことに伴い、法学研究科は、文学研究科、経済学研究科とともに、後期 3 年の博
士課程大学院であった文化科学研究科に統合され、前期後期の区分制大学院である文化科学研
究科に再編された。また、岡山大学大学院の 2004 年度からの「中期目標」として、
「国際社会
において高く評価される研究成果の創出を基礎として、創造性豊かな自立した研究者の養成、
各分野のリーダーの育成、高度な専門知識を駆使し社会に貢献できる専門職業人の養成とその
再教育」が掲げられた。
法学系研究科での教育目標、すなわち学生に求められている学力、資質・能力や養成しよう
としている人材像は、それぞれ次のとおりである(『岡山大学大学院文化科学研究科・2004 年
度概要』、2005 年度も同様)。
法政理論講座:法学・政治学の理論や方法を歴史や現実の具体例に即して探り、そうした理論
や方法を実践的に応用することのできるような、地域社会や各種組織のリーダ
ーの養成。
4
第1章 教育の目的・目標
比較国際法政講座:法的・政治的秩序の異なる二国間あるいは多国間で、どのように法的・政
治的関係が形成されてきたのか、その歴史を考察し今後の国際関係を構築する
方法を身につけた、国家公務員(外交官)、地方公務員、国際公務員および NGO
職員などの養成。
現代法政講座:現代社会が直面する諸問題を法学的・政治学的観点から考察し、それらの問題
解決を「経営」と「政策」の視点から探り、現実問題について「政策」提言が
できる専門的職業人、国家公務員、自治体職員、あるいは地域社会や各種組織
のリーダーの養成。
経営法務講座:現代社会における自治体や企業を法学的・経営政策的観点から解明し、自治体
における行政手法や税務、あるいは企業における会社経営や労使関係について
問題解決能力をもった専門的職業人の養成。
3
法学系研究科の教育目的・目標の評価と課題
以上のように、2002~2003 年度においては、
「高度職業専門人(狭義の法曹、税理士、企業
の法務担当者、公務員など)養成および社会人再教育」に教育目標の重点を移し、3 専攻に教
育目標が明示され、履修系列を設けるなどの工夫がなされた。学生の資質・能力や養成しよう
とする人材像が明示され、「教育目標が明確に定められた」と評価できる。
2004 年度~2005 年度については、法学系研究科が掲げた教育目標は、学生に求められる資
質・能力や養成しようとしている人材像もより具体化され、以前にもまして「教育目標が明確
に定められた」と評価できる。
法学系研究科の掲げた教育目標は、2002 年度―2005 年度において、法学・政治学の専門的
素養を身につけ、高度な専門的職業人を養成するという点で一貫しており、学校教育法第 65
条(大学院の目的)の規定に合致するものである。
目的・目標の周知・公表については、2002 年度以降、法学系研究科の目的が「案内パンフレ
ット」に明示され、2004 年度以降は、『概要』に目的として明示されている。また、文化科学
研究科のホームページにも掲載された。したがって、社会に公表されていると評価できる。し
かし、大学の構成員(教職員および学生)への周知のためには、さらに学生便覧に掲載するな
どの方法が考えられる。
5
第2章 教育研究組織及び運営体制
第2章
Ⅰ
法学部
1
法学部の組織
教育研究組織及び運営体制
法学部は、2003 年度までは法学科と第二部法学科(夜間に授業を行う)で構成していた。
いずれも学科を細分していないのは、学生の進路、関心等に応じて履修する科目を幅広い開講
科目の中から柔軟に選択できるようにする趣旨である。
2004 年度から法学科(昼間コース・夜間主コース)に改組したが、学科を細分しない方針に
変更はない。
第二部法学科は、大学で学ぶ意欲を持ちながら、経済的理由等で昼間働いている人のために
夜間に授業を行う学科として設置してきた。しかし、勤労学生(フルタイム)の比率の低下や
勤務時間帯・勤務形態の多様化に対応し、より柔軟に学習時間・履修内容・方法を学生が選択
できるよう、2004 年度より夜間主コースに改組した。入学定員は、法務研究科の新設(入学定
員 60 名)に伴い、第二部に比べ 40 名減らし 20 名とした(経済学部第二部も夜間主コースに
改組し、入学定員を 20 名減らした。
)。
2
運営体制
2.1
教授会
2003 年度までは、教授会は法学部及び法学研究科(修士課程)の教育、研究及び管理運営の
重要事項の審議決定機関として運営されてきた。それとともに、教授会は法学部及び法学研究
科並びに岡山大学全体に関する重要な情報を共有する場としても、
重要な役割を果たしてきた。
2004 年度から文化科学研究科を改組し、法学研究科は文学研究科・経済学研究科とともに文
化科学研究科博士前期課程に再編された。これに伴い、文化科学研究科博士前期課程の教育に
ついては、文化科学研究科の代議員会、教育委員会等で審議されることとなったが、法学部教
授会においても、文化科学研究科の法学系学生の教育について必要に応じ審議検討している。
法学部教授会が審議する教育研究に関する事項は、次のとおりとなっている(2004 年度制定
の法学部教授会規程第 3 条)
一
教員の選考に関する事項
二
規程等の制定又は改廃に関する事項
三
教育研究に係る中期目標に関する事項
四
教育研究に係る中期計画及び年次計画に関する事項
五
教育課程の編成に関する事項
六
学生の入学、卒業その他その在籍に関する事項並びに学位の授与に関する事項
七
その他教授会が必要と認める教育研究に関する重要な事項
7
第2章 教育研究組織及び運営体制
2.2
教育活動の運営体制(教務委員会等)
教育課程、教育方法等の制度と運営を検討し、実施するため、2002~2003 年度は学務委員
会が置かれていた。2004 年度からは学生委員会を新設し、学務委員会の所掌事務のうち学生指
導・支援関係及びインターンシップを学生委員会の所掌とした。そして、教育課程、教育方法
等を所掌する委員会を教務委員会の名称にした。
これは、従来学務委員会が日常的運営業務に追われて、中長期的視点から教育課程、教育方
法等を検討する余裕がない状況だったので、教務委員会の業務負担を軽減して中長期的視点か
らの検討を可能にしようという趣旨である。
教務委員は、各講座から 1 名出ており、教務委員会の審議事項は、講座を通じて全教員にフ
ィードバックされ、また講座での意見が教務委員会に反映される仕組みとなっている。
また、教育に関する全学的問題及び教養教育に関する法学部の対応にかかわる事項について
も、教務委員会で審議している。この関係で、全学的問題及び教養教育を審議する「教育開発
センター運営委員会」には、教務委員長及び教務委員 1 名(教養教育の法学・政治学部会長)
が出席している。
3
教育研究組織及び運営体制の評価と課題
3.1
教育研究組織
法学部は法学科のみとしていることについては、学生の多くは、出願の時点では将来の進路
や関心も定まっていないのが実態であるといわれており、出願時に学科を細分せず、入学後学
習していく中で進路等を決定していくことに対応できるようにしていることは適切であると考
えている。
第二部を夜間主コースに改組したことについては、学生の勤務実態に見合っていて適切であ
ったと考えている。すなわち、改組後の入学者には、夜間の授業のみに出席するフルタイム勤
務者もいるが、アルバイトなど勤務時間を柔軟に決定できる働き方をする者も多く、昼間の授
業も履修している者が多い。以前より、第二部の学生から「昼間の授業を受講できるようにし
てほしい」という要望が出ており、学生の要望に沿ったものである。
他方、夜間の授業しか受けることができない勤労学生は既に極めて少数となっており、大学
経営の観点からは、少数の学生のために夜間にも多数の授業を開講することは効率的とは言え
ない。社会人の学習需要の変化、生涯学習の動向等も注視しながら、今後の方向を検討する必
要がある。
3.2
運営体制
教授会の運営体制については、教育に関する重要事項について審議し、また教職員の間で情
報を共有する役割を果たすという観点から、現在の体制は概ね適切と考える(運営の効率化等
については、第 11 章に述べる。)
。
教務委員会については、法学部教員へのフィードバック、
全学との関係のいずれにおいても、
運営体制としては適切と考える。教育課程、教育方法などの中長期的問題に積極的に取り組む
8
第2章 教育研究組織及び運営体制
ことが重要である。
Ⅱ
法学系研究科
1
大学院法学系研究科の教育研究組織
1.1
法学研究科(2002~2003 年度)
法学研究科(修士課程)は、1971 年設置以来、公法・政治学専攻と民・刑事法専攻の2専攻
(入学定員 22 名)で構成されていたが、法科大学院(ロースクール)の設置準備が進められ
るなかで、2001 年、高度専門職業人養成を主目的とすることを明確にする改組が行われ、法務
専攻、公共政策専攻、地域法政専攻の3専攻により構成されることになった。それぞれの専攻
が2系列に分けられ(表 2-1)、各系列に即して授業科目が配置された。そして、法務専攻の司
法法務系列は、法曹養成に対応することを明確化し、法科大学院の「受け皿」となることが期
待された。
1.2
文化科学研究科(2004~2005 年度)
2004 年には、法務研究科(法科大学院)が設置され、また、岡山大学大学院の文化科学系、
自然科学系、生命科学系の 3 研究科への再編に伴い、文学・法学・経済学の 3 研究科は、文化
科学研究科(博士前期課程及び博士後期課程)に統合された。これにより、法学研究科(修士
課程)は、文化科学研究科博士課程前期課程の法学系講座(社会文化基礎学専攻の法政理論講
座、比較社会文化学専攻の比較国際法政講座、経営政策科学専攻の現代法政講座・経営法務講
座)として改組・編入された(各講座の構成については、表 2-2)。
区分制の文化科学研究科は、複雑化した現代社会の要求する多様な学問的課題と学生の多様
な学問的関心に即応できる柔軟な、バリアフリーな教育課程を編成すると同時に、前後期の教
育期間を活用した 5 年一貫の効率的な教育・指導により博士号授与率のさらなる向上と課程博
士の質的向上を目的として設置された。あわせて、前期課程のみで修了する前期完結型の教育
課程としても位置づけられ、法学研究科が固有に担ってきた個別の専門的な教育・指導体制も
継承されている。
しかも、バリアフリーな教育課程の編成によって、より多様で複雑な問題に対応可能な編成
ともなっている。こうして、学位も、それまでの修士(法学)に加えて、修士(文化科学)及
び修士(学術)も取得可能となった。
この改組を契機に、大学院における人文・社会科学分野の教育・研究を一層充実・向上させ
て、学生や社会の多様な要請に応えるべく、文学部・法学部・経済学部の全教員を文化科学研
究科の専任教員とする方向での改革することとなった。また、地域の期待と要請に一層応える
べく、経営政策科学専攻の「公共政策科学専攻」と「組織経営専攻」
(MBAコース)への改組
を目指した(2006 年度から実施することとなった。
)。
9
第2章 教育研究組織及び運営体制
2
大学院法学系研究科の運営体制
2003 年以前は、法学研究科長(法学部長)と法学研究科全教員によって構成される研究科委
員会を軸にして、法学部の運営体制が法学研究科を併せて運営する形を取ってきた。
文化科学研究科として区分制大学院への改組後は、文化科学研究科長、専攻長会議、代議員
会及び各種委員会等による新たな運営体制に移行した。ただし、文化科学研究科の運営に関す
る重要な問題については、法学部教授会等においても随時検討し、意見を取りまとめるなどし
ている。
10
第2章 教育研究組織及び運営体制
表2-1 法学研究科の専攻及び系列(2001~2003年度)
地域における市民社会,さらには企業活動に対して質の高い法的サービスを提供しうる人材の養成を目標とし,実務を
法
務
専
攻
念頭に置いた理論教育を行う。
司法法務系列
憲法訴訟特論,現代債権法特論,不動産取引法特論,家族財産法論,民事訴訟実務論演習,国際民事紛争処理法特論,裁判外紛
争処理法特論,現代犯罪論演習,少年刑事政策特論,刑事捜査法理論,刑事弁護実務演習,など
企業法務・
金融担保法特論,有価証券法特論,現代社会法演習,雇用保障法演習,現代経済規制法特論,個別税法特論,企業税法演習,国
税 務 系 列
際税法特論,など。
公
共
政
策
専
攻
地域,国家,国際の各レベルでの活躍に対応しうる法的・政策的能力をもった人材の育成を目指す。そのため,現実の
地
域
法
政
専
攻
地域問題に対する高い見識を持ち,それを自らの職業活動や日常生活のなかで生かしうる人材の育成を目標とする。そ
諸問題を複眼的な視点から分析しうる柔軟な思考とグローバルなセンスの涵養につとめる。
行政法務系列
現代議会論,行政訴訟法論,特殊法人論演習,地方税財政論演習,地方自治論演習,現代官僚制論,など
国際法政系列
国際公務論,国際公務論演習,国際政治学特論,国際関係論特論,など
のために,法と政治に関する幅広い知識や歴史および現代社会に関する深い分析力の涵養を目指す。
現 代 市 民
生活法系列
比較法政系列
消費者生活法特論,企業取引法,自治体行政手法論,紛争処理制度論,労使関係法演習,現代正義論,情報と法特論,など
現代ヨーロッパ憲法論,日本政治史特論,ヨーロッパ政治史特論,比較法文化論,ヨーロッパ政治文化特論,現代政治理論,な
ど
表2-2 文化科学研究科の専攻及び講座(2004~2005年度)
社
会
文
化
基
礎
学
専
攻
哲学・思想文化論
講 座
表象文化論
講 座
人間行動論
講 座
法政理論
比
較
社
会
文
化
学
専
攻
日本・アジア言語文化論
講
座
欧米言語文化論
講
座
言語情報論
講
座
比較国際法政
講 座
講
経済理論・統計
座
比較経済
講 座
講
座
歴史文化論
講
11
座
経
営
政
策
科
学
専
攻
現代法政
講
座
政策科学
講
座
経営・会計
講
座
経営法務
講
座
第3章 教員及び教育支援者
第3章
1
教員及び教育支援者
教員配置
1.1
教員組織編成の基本方針
法学部では,1980 年の法文学部からの分離改組以来,伝統的な研究領域を基礎として,教員
組織は,公法,民事法,刑事法,社会法,国際関係法,基礎法学,政治学の 7 講座で編成され,
2003 年度までは 48 名の定員を有していた(表 3-1)。しかし,2004 年度に大学院法務研究科
を独立の部局として設置したことに伴い,実定法担当の教員および教員定員を法務研究科に移
したことにより,法学部の定員は約 4 分の 3 に減少した。そのため,従来のカリキュラムを大
幅に見直し(第 5 章参照),現代市民法系列と公共政策系列の二つの履修モデルを設け,主と
して教育分野の観点から,教員組織を表 3-2 のとおり 4 講座に再編した。したがって,現在の
法学部の講座は,主として教育上の配慮から編成されており,教養教育,学部専門教育,大学
院文化科学研究科における法律学および政治学教育,法務研究科における専門職養成教育に資
するという点を基本方針としている。
表 3-1
改組前の法学部教員組織(2004 年 3 月末)
定
講座名
公
教
授
員
助教授
助
手
計
法
5
2
7
民
事
法
9
3
12
刑
事
法
4
1
5
社
会
法
3
1
4
国際関係法
4
1
5
基 礎 法 学
3
2
5
政
6
3
1
10
34
13
1
48
治
学
計
1.2
教員配置
(1)教員現員(2005 年 4 月現在)
現在の法学部の教員数(国立大学の法人化に伴い,
「定員」という制度はなくなったため,任
用することができる教員の枠ともいうべきもの)は 36 名(文化科学研究科所属の 3 名を含む。)
である。このほか,法務研究科の専任教員であるが法学部の専任教員の地位を併せ持つ教員が
1 名(高橋祐介助教授)いる。
13
第3章 教員及び教育支援者
表 3-2
法学部現員教員(2005 年 7 月現在)
法学部
現
講座名
公共法
市民法
教
授
員
助教授
安宅
敬祐
高橋
正徳
小山
正善
田近
肇
藤内
和公
中村
誠
中富
公一
西原
諄
吉岡
伸一
米山毅一郎
鈴木
隆元
大濱しのぶ
塩谷
毅
中川
忠晃
助
手
計
7
久保田貴文
11
福島淑子(育
8
岩藤美智子
比較国際法
照沼
亮介
小島
淳
佐野
寛
大森
秀臣
波多野
敏
玉田
大
張
紅
竹内
真理
黒神
直純
休中)
米 田 利 佐
(2006 年 3 月
まで)
現代政治学
小畑
隆資
前田
浩
谷
聖美
築島
尚
荒木
勝
河原
祐馬
計
7
小田川大典
16
15
2
33
大学院文化科学研究科(法学系)
講座名
現代法政
計
現
員
教
山口
授
和秀
助教授
成廣
1
孝
1
(2)人事異動(2002 年度~2005 年度)
該当年度における人事異動は,以下のとおりである。
14
助
赤松
手
計
孚子
3
1
3
第3章 教員及び教育支援者
表 3-3
人事異動一覧
教授
異動年月日
異動内容
氏名
備考
2002 年 4 月 1 日
転入・昇任
河原
祐馬
愛媛大学助教授から
2002 年 4 月 1 日
昇任
中富
公一
助教授から
2003 年 3 月 31 日
退職
守屋
明
関西学院大学教授へ
2003 年 4 月 1 日
転出
今村
与一
横浜国立大学教授へ
2003 年 4 月 1 日
転出
服部
高宏
京都大学教授へ
2003 年 4 月 1 日
転出
大塚
裕史
神戸大学教授へ
2003 年 4 月 1 日
転入・昇任
上田信太郎
香川大学助教授から
2003 年 4 月 1 日
転入・昇任
北川佳世子
海上保安大学校助教授から
2003 年 4 月 1 日
転入・昇任
三浦
治
岩手大学助教授から
2003 年 4 月 1 日
転入・昇任
芳賀
良
山口大学助教授から
2003 年 9 月 30 日
転出
恒光
徹
大阪市立大学教授へ
2003 年 9 月 30 日
退職
松林
和夫
2004 年 3 月 31 日
定年退職
石島
弘
2004 年 3 月 31 日
定年退職
頓宮
廉正
2004 年 4 月 1 日
転出
西村
稔
2004 年 4 月 1 日
配置換
井口
文男
法務研究科へ
2004 年 4 月 1 日
配置換
上田信太郎
法務研究科へ
2004 年 4 月 1 日
配置換
右近
健男
法務研究科へ
2004 年 4 月 1 日
配置換
岡田
雅夫
法務研究科へ
2004 年 4 月 1 日
配置換
北川佳世子
法務研究科へ
2004 年 4 月 1 日
配置換
芳賀
良
法務研究科へ
2004 年 4 月 1 日
配置換
藤田
寿夫
法務研究科へ
2004 年 4 月 1 日
配置換
松村
和徳
法務研究科へ
2004 年 4 月 1 日
配置換
三浦
治
法務研究科へ
2004 年 9 月 30 日
退職
原野
翹
2004 年 10 月 1 日
採用
小山
正善
2005 年 4 月 1 日
採用
波多野
2005 年 4 月 1 日
採用
大濱しのぶ
近畿大学助教授から
2005 年 4 月 1 日
採用
米山毅一郎
中村学園大学教授から
2005 年 4 月 1 日
昇任
黒神
助教授から
敏
直純
岡山商科大学教授へ
京都大学教授へ
姫路獨協大学教授から
島根大学教授から
助教授
異動年月日
2002 年 4 月 1 日
異動内容
昇任
氏名
中富
公一
15
備考
教授へ
第3章 教員及び教育支援者
2002 年 10 月 1 日
昇任
成廣
孝
法学部助手から
2003 年 4 月 1 日
転出
山田
文
京都大学助教授へ
2003 年 4 月 1 日
転入・昇任
田近
肇
京都大学助手から
2003 年 4 月 1 日
転入・昇任
大森
秀臣
京都大学助手から
2003 年 4 月 1 日
採用
吉岡
伸一
UFJ 総合研究所から
2003 年 4 月 1 日
昇任
深町
晋也
助手から
2003 年 10 月 1 日
転入
西田
和弘
鹿児島大学助教授から
2003 年 10 月 1 日
採用
小島
淳
早稲田大学助手から
2004 年 4 月 1 日
転出
宇藤
崇
神戸大学助教授へ
2004 年 4 月 1 日
転出
深町
晋也
北海道大学助教授へ
2004 年 4 月 1 日
転出
山下
典孝
大阪大学助教授へ
2004 年 4 月 1 日
転出
柴田
明穂
神戸大学教授へ
2004 年 4 月 1 日
配置換
木村
仁
法務研究科へ
2004 年 4 月 1 日
配置換
佐藤
吾郎
法務研究科へ
2004 年 4 月 1 日
配置換
高橋
祐介
法務研究科へ
2004 年 4 月 1 日
配置換
西田
和弘
法務研究科へ
2004 年 4 月 1 日
採用
岩藤美智子
2004 年 4 月 1 日
採用
照沼
亮介
2004 年 5 月 1 日
昇任
竹内
真理
助手から
2005 年 4 月 1 日
採用
中川
忠晃
山形大学講師から
2005 年 4 月 1 日
採用
玉田
大
京都大学助手から
2005 年 4 月 1 日
昇任
黒神
直純
滋賀大学講師から
教授へ
助手
異動年月日
異動内容
氏名
備考
2002 年 4 月 1 日
採用
竹内
真理
2003 年 4 月 1 日
昇任
深町
晋也
助教授へ
2004 年 5 月 1 日
昇任
竹内
真理
助教授へ
2004 年 7 月 1 日
昇任
飯塚
誠也
環境理工学部講師へ
2004 年 8 月 1 日
採用
久保田貴文
2004 年 6 月 4 日
育児休業
福島
淑子
2006 年 3 月 31 日まで
2005 年 6 月 4 日
採用
米田
利佐
2006 年 3 月 31 日まで
なお,法人化後の運営費交付金の削減,学生数の減少などにより本学全体の財政が厳しくな
ったため,2005 年 10 月には,定年退職者の後任は原則として不補充,転出者の後任も事情に
よるが原則として不補充という方針が出された。これにより,2005 年度末の退職・転出者 2
名に対し,2006 年度の任用は 1 名となった。
16
第3章 教員及び教育支援者
2
教員採用,昇格の基準と運用
2.1
教員採用及び昇格基準
法学部では,「岡山大学教員選考の基準に関する規則」に基づいて,
「岡山大学法学部教員選
考規程」,
「岡山大学法学部教員選考内規」,
「岡山大学法学部教員選考に関する申合せ」および
「岡山大学法学部教員選考に関する内規」を定め,法学部教員の採用・昇格基準を明示し,厳
正な人事手続に基づいて教員の採用,昇格の決定を行っている。なお,2004 年の法人化に伴い
上記大学規則が「国立大学法人岡山大学教員の選考基準に関する規則」に改正されたため,2004
年 4 月 1 日付で,法学部の諸規定を「岡山大学法学部教員選考内規」および「岡山大学教員選
考に関する申し合わせ」に整理統合した。
2.2
人事委員会
法学部では,法学部の教育・研究の理念及び目標並びに将来構想の観点から厳正な教員人事
を行うために,人事委員会を設置し,人事の提案は教員が人事委員会に対して行い,人事委員
会が審議の上,人事の開始を教授会に発議することとしている。また,人事委員会は,各年度
の始めに,当該年度の人事計画の調整を行い,法学部として計画的な人事を行うこととしてい
る。このような人事委員会を中心とした人事手続によって,この間,法務研究科の法学部から
の分離に伴って大規模な人事異動があったにもかかわらず,法学部としては有能な人材を確保
することができたと評価できる。
3
教員の活動の評価
岡山大学では、全教員が自己の教育、研究、社会貢献及び管理運営に関する活動を毎年取り
まとめ、公表するとともに、3 年に一度、過去 3 年間(研究については 5 年間)の活動につい
て教員個人評価を行っている。これは、2002 年度に評価の試行を実施し、2004 年度から正式
実施しているものである。教員個人評価は、各教員が自らの活動を点検するとともに、評価結
果を自らの活動の向上に活用することを目的としており、2004 年度の評価結果を教員の処遇や
研究費の配分等に反映させることはしていない。
法学部においても、2004 年度は、個人評価を実施するため、法学部自己評価委員会の下に「個
人評価部会」を置き、全学の基準に基づき法学部自己評価委員会で「個人評価部会による教員
個人評価の具体的基準等」を決定した。各教員が活動状況を提出し、個人評価部会において「具
体的基準等」により評価作業を行い、それに基づき学部長が評価を決定し、各教員に通知した。
4
教育支援者
4.1
事務組織
2003 年度までは、「文学部・法学部・経済学部事務部」が、文学部、法学部、経済学部及び
大学院文化科学研究科の事務を担当してきた。
2004 年度からの法人化及び大学院法務研究科の設置に伴い、大学院の事務体制の強化、全学
17
第3章 教員及び教育支援者
的事務の効率化等のため、図 3-1
図 3-1
のように事務組織を再編した。
事務組織図(2006 年 3 月現在)
事務長
主査(総務担当)
主査(教務担当)
表 3-4
庶務係長
主任
係員
会計係長
主任
係員
教務学生係長
主任
係員
大学院係長
主任
係員
事務系職員現員表
事務職員
事務長
1
主査
2
庶務係
4
会計係
4
教務学生係
8
大学院係
5
計
4.2
24
法学部資料室職員
法学部資料室は、主に判例集、学術雑誌を収集整理し、教職員の研究及び学部学生・大学院
生の教育を支援している。資料室には、助手 1 名、非常勤職員 2 名を配置し、資料室の業務の
ほか学部・大学院の教育研究支援業務の一部を分担している。資料室職員には大学図書館の業
務や法律情報の入手と利用に関する専門知識(電子情報、インターネット上の情報の利用等を
含む。
)が必要とされるが、それらは専門業務に関する研修への参加や OJT によって修得して
いる。
4.3
情報担当助手
法学部情報実習室の管理運営、1 年次生が履修する「情報処理入門」の授業、法学部のホー
ムページやメールの運用、教員の情報処理支援等を担当する情報担当助手 1 名を置いている。
4.4
TA(ティーチング・アシスタント)
法学部では、1 年次生全員が履修する「法学基礎演習」
(14 クラス)において、各クラス 1
回法学部情報実習室での情報実習を行っており、自然科学研究科の大学院生にTAとして補助
してもらっている。その他、各教員でTAを教育補助に使いたい場合に採用しており、授業の
補助(講義資料の作成補助、演習の指導補助、出席票やレポートの整理等)に活用している。
表 3-5
TAの採用状況及び経費の状況(2002~2005 年度)
採用者数
2002 年度
経
16
費
622,559
18
第3章 教員及び教育支援者
4.5
2003 年度
10
561,040
2004 年度
7
275,000
2005 年度
11
476,300
教育支援者の配置、活用に関する評価と課題
事務系職員については、法人化以前より国家公務員定員削減により職員数の減少が続いてお
り、法人化後も、国家公務員に準じて人員削減が求められている。事務の集中化による部局事
務の簡素化、ITの活用による業務の効率化などにより対応してきているが、事務系職員 1 人
当たりの業務量が増加している。また、2004 年度の物品購入システム導入に伴い、購入請求は
各教員が行うこととなったように、従来事務職員が担当していた業務の一部が、業務見直しに
より教員の業務となったものもある。教員から見ても、事務系職員の負担を考え、補助業務を
頼みにくい状況となっている。
19
第4章 学生の受入れ
第4章
Ⅰ
法学部
1
アドミッション・ポリシー
1.1
学生の受入れ
アドミッション・ポリシー
法学部では,第1章に掲げた教育理念・目標を踏まえ,基礎学力を重視しつつ,次のような
資質をもった学生の受入れを基本方針としている。
①社会に対する広範な関心をもち,幅広い視点から柔軟に物事を考えようとする人
②自ら課題を発見し,ねばり強く考え,自ら判断していこうとする人
③世界の動きに関心があり,グローバルな視点をもって活躍したいという意欲のある人
また,特に夜間主コースについては,働きながら,知識・能力を高めたい,あるいは自己を
高めるために学びたいという希望をもつ社会人を受け入れることを基本方針としている。
1.2
アドミッション・ポリシーの公表
法学部のアドミッション・ポリシーは,毎年作成される法学部パンフレット,大学案内,学
生募集要項、法学部ホームページ等に掲げ,法学部を志望する受験生が容易に知ることができ
るように配慮している。また,毎年開催される高校生向けの入試説明会,大学説明会の場にお
いて,法学部パンフレットを配布し、アドミッション・ポリシーの説明を行っている。
2
学生受入れ状況
2.1
入試制度
法学部の学生定員は法学部法学科 205 名および第 2 部法学科 60 名であったが,法務研究科
設置に伴う学部改組により,2004 年度から第 2 部法学科を廃止し,新たに夜間主コース制を
採用した。これによって,法学部法学科昼間コースの学生定員は 205 名,夜間主コースの学生
定員は 20 名となった。
2.1.1
法学部法学科(法学科・昼間コース)
法学部法学科では,一般入試の他に,1998 年度より書類審査と面接のみによる推薦入試を実
施してきたが,岡山大学の方針として,アドミッション・オフィス入試(以下,
「AO入試」と
いう。
)の導入が検討され,2006 年度から法学部もAO入試を導入することにした。AO入試
は,従来の推薦入試に替わるものとして位置づけ,自己推薦という形でその対象者を広げる一
方で,アドミッション・ポリシーにある「グローバルな視点をもって活躍したいという意欲の
ある者」の受入れという観点から,センター試験の外国語の成績を新たに選考基準に加えてい
る。また,このような新たな入試制度の導入を図る一方で,入試にかかる負担の増大を軽減す
21
第4章 学生の受入れ
るために,2006 年度については後期日程の募集を停止することにした。もっとも,この点につ
いては,とくに地元高校等から一般入試について受験機会を減らさないでほしいとの要望が強
いことから,2007 年度には募集を再開することにしている。
このほか,法学部法学科では,3 年次編入制度(定員若干名)を設けており,毎年数名の学
生が入学している(表 4-1)。また,私費外国人については,小論文と面接による私費外国人留
学生特別選抜(定員若干名)を実施し,4 名程度の学生が入学している(表 4-3)。
なお,転学部および転専攻を容易にするという大学の方針に沿って,法学部では 2000 年度
に転学部生の受入れ手続を整備し,転学部試験を実施し,毎年若干名の学生が他学部から法学
部に転学部している。
2.1.2
第二部法学科(法学科・夜間主コース)
第二部法学科では,職場で働きながら大学で学ぶ場を提供するという理念から,学生定員 60
名に対して,主として定時制高校および実業高校卒業者を対象とした推薦入試(書類審査と面
接),社会人を対象とした社会人特別選抜(書類審査と小論文)
,そして学力試験による一般選
抜(前期・後期)と多様な入試を実施してきた。しかし,フルタイムの勤労学生の比率の低下
や,勤務時間帯および勤務形態の多様化といった現象に対応するため,2004 年度に,夜間のみ
で完結した教育課程である第二部を廃止して夜間主コースに改組し,
学生定員も 20 名とした。
そして,これに伴って 2005 年度から入試制度を改め,一般選抜を廃止し,推薦入試と社会人
特別選抜のみによって学生の選抜を行っている。これによって社会人の入学は容易になった面
があるが,他方で入学者の学力の低下が懸念されており,夜間主コース設置後に入学した学生
の成績調査を検討している。
また,第二部でも 3 年次編入生を受け入れ,10 名の学生定員を設けていたが,夜間主コース
への改組に伴って1年生の入学定員を減らしたことに対応して,3年次編入についても募集人
員を若干名とした。
2.2
入試の状況
2002 年度から 2006 年度までの入試の状況は,以下の表のとおりである。
表 4-1
法学部学科別募集人員,志願者数,合格者数,入学者数状況一覧
(法学部法学科・昼間コース)
募
志
受
合
年
集
願
験
格
度
学科・課程
人
者
者
者
員
数
数
数
2002
法学科
合
計
推薦
前期
後期
編入
計
20
130
55
若干名
205
22
128
349
367
60
844
128
329
143
54
600
20
146
70
13
236
入
学
者
数
20
136
64
8
220
志
願
倍
率
6.4
2.7
6.7
第4章 学生の受入れ
2003
法学科
合
2004
計
法学科
(昼間コース)
合
2005
2006
計
法学科
(昼間コース)
合
計
法学科
(昼間コース)
合
計
推薦
前期
後期
編入
計
推薦
前期
後期
編入
計
推薦
前期
後期
編入
計
前期
AO
編入
計
20
130
55
若干名
205
20
130
55
若干名
205
20
130
55
若干名
205
165
40
若干名
205
136
291
395
56
822
114
363
268
43
745
93
281
329
34
703
422
82
39
504
136
279
163
53
578
113
346
142
41
601
93
276
123
32
492
402
58
38
460
20
140
69
5
229
20
143
72
8
235
22
145
70
4
237
195
40
6
235
20
133
57
2
210
20
133
60
5
213
22
132
58
1
212
180
40
1
220
6.8
2.2
7.2
5.7
2.8
4.9
4.7
2.2
6.0
2.6
2.1
*合計数には,3 年次編入生を除いている。
表 4-2
法学部学科別募集人員,志願者数,合格者数,入学者数状況一覧
年
度
2002
学科・課程
第二部法学科
合
2003
第二部法学科
合
2004
計
法学科
計
(第二部・夜間主コース)
募
志
集
願
人
者
員
数
推薦
社会人
前期
後期
編入
計
推薦
社会人
前期
後期
編入
計
推薦
社会人
10
20
20
10
10
60
10
15
25
10
10
60
3
10
23
16
26
107
113
12
262
18
26
109
127
20
280
13
31
受
験
者
数
16
26
99
65
12
206
18
25
103
61
19
207
13
31
合
格
者
数
入
学
者
数
11
20
24
15
10
70
10
15
33
18
12
76
4
10
11
18
22
10
8
61
9
15
30
14
9
68
4
8
志
願
倍
率
1.6
1.3
5.4
11.3
1.2
1.8
1.7
4.4
12.7
2.0
4.3
3.1
第4章 学生の受入れ
5
(夜間主コース) 前期
後期
2
編入
10
合
計
計
20
法学科
推薦
5
(夜間主コース) 社会人
15
編入
若干名
合
計
計
20
法学科
推薦
5
(夜間主コース) 社会人
15
編入
若干名
合
計
計
20
2005
2006
26
29
17
99
9
27
8
36
17
22
23
39
25
14
17
83
9
27
8
36
17
19
21
36
12
4
10
30
5
16
6
21
7
15
8
22
11
4
9
27
5
16
6
21
7
15
6
22
5.2
14.5
1.7
1.8
1.8
3.4
1.5
*合計数には,3年次編入生を除いている。
表 4-3
法学部
私費外国人留学生特別選抜状況
志願者数
受験者数
合格者数
入学者数
2002
13
11
4
4
2003
16
16
4
4
2004
12
11
3
3
2005
9
9
4
4
2006
11
11
3
1
3.学生受入れに関する評価と課題
法学部(昼間)の志願者が、2002 年度から 2006 年度まで毎年減少している。2006 年度は、
AO入試を導入し、後期日程の募集をしなかったこともあり、大幅に減少している。前期日程
だけで比較しても、志願者の倍率は、隔年で上下しているが、5 年間で見ると減少傾向にある。
高校生、保護者、高校教員に対し、どのようにして本学部を知ってもらうか、そして、学びた
いと思うような魅力を打ち出すかが課題となっている。
Ⅱ
法学系研究科
1
アドミッション・ポリシー
2002、2003 年度は、それ以前の法学研究科での議論を踏襲し、学生の受入れについてのポリ
シーは、法学・政治学分野の高度専門家養成を基本にした一般的なものにとどまっていたが、
2004 年度の文化科学研究科への改組に伴って、アドミッション・ポリシーとして明文化され、
2006 年度の社会文化科学研究科への編成時にもその方針は受け継がれている。
現在のアドミッション・ポリシーは、以下の五つの柱から構成されている。
24
第4章 学生の受入れ
(1)
文学・法学・経済学の分野において高度の知識・能力と技術・判断力を身につけ
た研究者や職業人を目指す入学者
(2)
人文・社会科学の多様な分野に関わる、あるいは自然科学にまたがる複合的・学際
的な新しいタイプの研究を希望する入学者
(3)
専門的な教育や深い教養を志向する社会人
(4)
キャリアアップやリーダーシップを志向する職業人
(5) 「共生社会の構築」
、すなわち「人間と人間の共生」
、
「多文化の共生」
「地域におけ
る経済的・政治的な共生」等の問題に取り組むことを望む入学者
上記のアドミッション・ポリシーは、毎年作成される文化科学研究科パンフレット,ホーム
ページ等に掲げ、また、入試説明会の場において,文化科学研究科パンフレットを配布し、説
明を行っている。
2
学生受入れ状況
一般選抜ならびに特別選抜(社会人、職業人および留学生)の志願者数、合格者数、入学者
数の推移は、表 4-4 および表 4-5 のとおりである。
表 4-4
一般選抜の志願者数、受験者数、合格者数、入学者数
募集人員
志願者
受験者
合格者
入学者
本学からの
進学者
2002 年度
40
117
105
50
48
35
2003 年度
40
98
91
37
30
23
2004 年度
(法学系 23)
40
34
11
10
9
2005 年度
(法学系 23)
36
35
18
16
13
表 4-5
特別選抜(社会人、職業人および留学生)の志願者数、合格者数、入学者数
社会人
職業人
留学生
志願
合格
入学
志願
合格
入学
志願
合格
入学
2002 年度
5
2
2
12
12
12
6
1
1
2003 年度
5
1
1
7
6
4
2004 年度
2
0
0
3
1
0
1
0
0
2005 年度
2
0
0
8
5
5
5
3
3
また、女性の占める数は、表 4-6 のとおりである。
表 4-6
女性の志願者数、合格者数、入学者数
志願者
合格者
入学者
2002 年度
42
22
21
2003 年度
32
11
8
2004 年度
18
5
5
2005 年度
13
7
6
25
第4章 学生の受入れ
3
学生受入れの評価と課題
2004 年度のアドミッション・ポリシーの明文化は、一歩改善であるが、この五つの柱の下で
多様な学生が入学しており、どういう人材養成に重点を置くかの明確化が必要な時期になって
きていると思われる。
また、志願者の動向からみると、2004 年度以降、法学系大学院の志願者数が減少している。
これは、法務研究科の設置によるところが大きいが、改組後の文化科学研究科の学際化を志向
した構成により、教育目的や内容がややわかりにくくなっていることにも関連していると思わ
れる。今後は法学系の大学院が何を志向するのかをより明確にし、そのための研究教育体制の
整備を行うことが緊急に求められている。
2004 年度以降、社会人の志願者が減っており、職業人、留学生も増えていない実情である。
国全体で見る限り留学生は増加しているのであるから、留学生のニーズにも相応した研究教育
体制を整備する必要があろう。
女性の進学者数も、全体の傾向と同様であるが、学部生のなかでの女性の占める比率が相対
的に高いと思われるので、今後は女性の大学院進学のニーズにも対応できる研究・教育体制の
整備が望まれる。
26
第5章 教育内容・方法
第5章
Ⅰ
法学部
1
教育課程
教育内容・方法
1.1 昼間コース
1.1.1
教育課程の改訂
法学部は、従来、法曹養成と企業や国・地方公共団体等で働く「ジェネラリスト」養成の両
方を念頭に置いて教育を行ってきたが、2004 年度の法科大学院の設置により、法曹養成の役割
は法科大学院に移ることとなった。また、教員のかなりの部分が本学法務研究科に移行するこ
ととなり、教員減(48→36)にも対応して教育課程を見直す必要があった。このため、次のよ
うな方針で教育課程の改訂を行った。
(1)
開講科目を整理し、「現代市民法系列」と「公共政策系列」の二つの系列に分け、望まし
い履修モデルを示す。
(2)
昼間コースには履修登録単位の上限制(1 年間 40 単位)を設ける。
(3)
優秀な成績の学生には、上限を超えて履修することを認めるとともに、最短 3 年での早期
卒業を認める。
(4)
1 年次・2 年次の共通科目等の毎年開講する必要のある科目以外の科目は、可能な限り隔
年開講化を進める。
(5)
「法学基礎演習」と「演習」は、定員を 1 クラス 20 名とし、学生数に対応可能な数(昼
11 クラス、夜 2 クラス)開講するが、必修から外す(従来は演習のみ選択必修)
。
(6)
少人数教育の充実のため、2 年次向け「法政文献講読」
(2 単位)に代え、演習Ⅰ(4 単位)
を新たに開講する。演習Ⅰ、演習Ⅱ(3・4 年次向け、4 単位)は、学生の希望と前年度の
成績をもとに履修者の選考を行う。
2004 年度からの教育課程における専門教育科目一覧及び履修モデルは、表 5-1 のとおりであ
る。ここでは、上記方針によるほか、行政法、商法、民事訴訟法、刑法等において、基本的内
容に精選する趣旨から開講単位数を削減した。
専門科目について、関連する分野から幅広く履修することを可能にするため、経済学部及び
文学部の専門科目を合計 20 単位まで、卒業資格単位として認めている。
卒業要件は、表 5-2 のとおりである。
1.1.2
実社会との連携
法学部では、2000 年度から、自らの専門知識や将来のキャリアに関連した就業体験を行う「イ
ンターンシップ」を実施し、2 単位を認定している。
インターンシップの履修者数、受入れ機関等は表 5-3 のとおりである。
27
第5章 教育内容・方法
また、実務家による講義として、次の科目を開講している。
(1)
実生活と法(弁護士による講義。1998 年度に「法政文献講読」として初めて実施し、2001
年度から講義「法実務入門」としている。)
(2)
不動産関係法(司法書士による講義。2002 年度から「民法特殊講義(不動産登記法)」と
して実施)
(3)
公共政策論(知事、国・地方自治体の幹部職員、NPO 代表等による講義。2005 年度から
実施)
1.1.3
他大学との連携
2001 年度より、香川大学法学部との単位互換を行っている。毎年それぞれ 10 科目程度を単
位互換科目として指定し、相手大学で履修することができる。利用した学生数は、表 5-4 のと
おりである。
また、全学で実施している外国の大学との単位互換として次のものがある。
(1)
岡山大学短期留学プログラム(EPOK)
毎年 20 名程度
(2)
岡山大学夏期語学(英語)研修プログラム
毎年 35 名程度
法学部学生の参加は、表 5-4 のとおりである。
1.2 夜間主コース・第二部
1.2.1
教育課程の改訂
2004 年度からの教育課程改訂の基本方針は、昼間コースとほぼ同じであるが、社会人である
学生の関心・ニーズが多様であることから、系列に分けた履修指導は行っていない。また、履
修単位の上限制及び早期卒業は、夜間主コースでは実施していない。
2004 年度からの教育課程における専門教育科目一覧及び履修モデルは、表 5-5 のとおりであ
る。
専門科目について、関連する分野から幅広く履修することを可能にするため、経済学部夜間
主コースの専門科目を 20 単位まで、経済学部昼間コースの専門科目を 10 単位まで、卒業資格
単位として認めている。
卒業要件は、表 5-6 のとおりである。
1.2.2
他大学との連携
多様な科目を履修できるようにするとともに、時間的な制約がある学生の単位取得の機会を
増やすため、1998 年度から放送大学との単位互換を実施している。30 単位まで卒業資格単位
に算入できる。学生の利用状況は、表 5-7 のとおりである。
1.3
教育課程の評価と課題
2004 年度からの教育課程改訂において、最大の課題は、少なくなった教員でいかに法学部教
育を充実させるかにあった。2 年間の実施状況を見ると、困難はあるが、必要な科目の開講は
28
第5章 教育内容・方法
確保できている。少人数教育の強化などにより、一層成果を高めるべく努力したい。
履修登録単位の上限制を導入したことについて、2006 年 5 月頃いくつかのゼミで非公式に
学生の意見を聞いたところでは、受講したい科目が受講できないなど不満の意見があった。し
かし、これは、厳格な成績評価を行い、早期卒業を可能にするため必要な制度であるので、制
度自体は維持し、運用の改善を検討するのが適切と考える。
「インターンシップ」
、
「公共政策論」など実社会との連携の強化については、学生のレポー
トでは関心が深まったなどの感想が多く、効果があったと考えている。
他大学との連携に関しては、海外の大学との学生交流を法学部としても取り組むことが課題
である。
2
教育方法
ここでは、少人数教育である演習科目の教育方法の特色を述べる。
2.1
法学基礎演習
1 年次前期に全員が履修する法学基礎演習では、2001 年度より共通プログラム(全クラスで
実施する内容)として、裁判傍聴、図書館オリエンテーション及び情報実習を実施している。
裁判所、図書館との連絡調整などは、教務委員が行っている。
また、2002 年度から、
「法学基礎演習共通テキスト」を作成し、1 年次生に必要な法学の学
び方などの内容を盛り込み、授業で使用している。毎年改訂しているが、2005 年度の主な内容
は、次のとおりである。
第1部 法学の学び方
A
法学の学び方
B
法学部とは何か―歴史的考察
C
法学部生のためのリーディングリスト
D
主要な基本文献一覧
E
法学部講義の活用法
第2部 法学基礎演習の実施例
A
演習の実施例
B
設問例
C
課題例
第3部
法学基礎演習共通プログラムについて
A
情報機器・情報関連施設の利用
B
裁判傍聴の際の心得
C
附属図書館の利用
第4部
岡山大学法学部学生生活案内
これらの活動について、2006 年 5 月に開催された「第 54 回中国・四国地区大学教育研究会」
の人文・社会科学分科会で黒神教授(2005 年度教務委員)より報告し、高い評価を得た。
29
第5章 教育内容・方法
2.2 演習
2~4 年次においては演習を履修でき、1 年次の法学基礎演習と合わせ、各学年に少人数教育
を配置している。
演習では、報告、討議、討論(ディベート)などを行い、学生が自ら資料を調べ、問題につ
いて考察し、文章化する訓練を行っている。また、2005 年度より、法学部学生論集を刊行し、
演習で作成した論文(1 ゼミ 2 編まで)を冊子にしている(それ以前は、学生の自主的活動と
して、法学部・経済学部学生論集「スパイラル」を刊行していた。
)
。
2.3
教育方法の評価と課題
1 年次の法学基礎演習は、大学 4 年間の学習の導入として極めて重要であり、ここで学習方
法を習得できなければ、4 年間の学習成果が挙がらないのみならず、職業人・社会人として必
要とされる生涯学習にも支障が生じるおそれがある。法学基礎演習の内容及び共通テキストの
不断の改善充実に努める必要がある。
演習については、演習論文の作成、他大学のゼミとの交流など多様な教育方法が取られてお
り、学生による授業評価アンケート結果等も参照して、効果の高い方法を追究していく必要が
ある。
3
成績評価
3.1 成績評価基準の作成と履修登録単位の上限制
全学で教養教育の成績評価基準が定められたことに合わせ、2000 年 12 月に「法学部成績評
価基準」を決定した。その後、一部改正を行い、2005 年 12 月現在の主な内容は次のとおりで
ある。この成績評価基準は、学生便覧に掲載している。
(1)
成績評価は、授業の形態に応じて、出席状況、授業中の報告・発表、レポート、試験など
多様な方法を組み合わせて行い、期末試験等一つの方法による評価のみを偏重しないもの
とする。
(2)
成績評価の方法及び基準は、授業ごとにシラバスに明記する。
また、履修登録単位上限制の実施に合わせ、厳格かつ妥当な成績評価を行うため、2004 年 2
月に教授会で、成績評価について次のような申合せを行っている。
(1)
最終試験受験者の最終成績の得点分布を学生に公表する(演習及び最終試験受験者が極め
て少数の科目を除く。
)
。
(2)
専門科目の期末試験等の解答例又は採点講評を学生に示すよう努める。
3.2 単位取得の少ない学生への指導
2004 年度より、年度末の単位取得状況が標準的に取得することが期待される数より少ない学
生について、指導教員(法学基礎演習又は演習担当教員)より、個別に指導することとしてい
る。また、学生の保護者にも書状で連絡し、学生の勉学・生活状況の把握と指導や配慮をお願
いしている。これにより、勉学への取組みに改善が見られる学生、あるいは授業に出席しない
30
第5章 教育内容・方法
まま過ごすのを改め休養などのため休学する学生などがあり、勉学上の問題の解決に一定の成
果が挙がっている。
3.3
成績評価の評価と課題
期末試験、レポートなどについて、解答例又は採点講評を学生に示すよう努めることを申し
合わせている。学生に適時にフィードバックすることが効果を高めると思われるが、受講者が
多いと結果を適時に学生に示すことが難しいこともある。今後一層効果を高めるよう努める必
要がある。
卒業者の質の保証、すなわち卒業者が身につける学力や資質・能力について達成状況を評価
することが求められており、そのためにも成績評価を厳格に行うよう努めなければならない。
ただ、法学部は特定の資格取得や特定の職業人の養成を目的としているものではないので、一
定の知識・能力を身につけたことを一律に評価できるものではなく、多様な個性をもつ人材を
育てることも法学部の役割である。
表 5-1
専門教育科目一覧及び履修モデル(2004 年度以降入学生・昼間コース)
現代市民法系列
1年 【教養教育科目
(ガイダンス科目
(ガイダンス科目)】
公共政策系列
法学基礎演習)
望ましい修得単位数:2単位
【専門教育科目
「市民生活と法」「現代社会と政治」「憲法Ⅰ」「財産と法Ⅰ(4)」
(1年生配当共通講義)】 「現代政治分析Ⅰ」「国際関係と法」「実生活と法」
望ましい修得単位数:16単位
2年 【専門教育科目
「憲法ⅡA」「憲法ⅡB」
(2年生配当共通講義)】 「市民と行政Ⅰ」「市民と行政Ⅱ」
望ましい修得単位数:8単位
「憲法演習Ⅰ(4)」「行政法演習Ⅰ(4)」
「市民法演習Ⅰ(4)」
【専門教育科目
「国際関係法演習Ⅰ(4)」
「刑事法演習Ⅰ(4)」
(2年生配当演習)】
「現代政治論演習Ⅰ(4)」
「企業法演習Ⅰ(4)」
「国際政治論演習Ⅰ(4)」
「現代法演習Ⅰ(4)」
「欧米政治事情演習Ⅰ(4)」
「外国法演習Ⅰ(4)」
望ましい修得単位数:4単位
「国際社会と法Ⅰ」「国際社会と法Ⅱ」
2・3 【専門教育科目
「財産と法Ⅱ」「財産と法Ⅲ」
「政治学」「公共政策論」
年 (2・3年生配当講義)】 「財産と法Ⅳ(4)」「裁判法」
「租税と生活」
「犯罪と法Ⅰ」「犯罪と法Ⅱ」
「企業組織の法Ⅰ」
「企業組織の法Ⅱ」 *「地方自治と法」*「税財政と法」
*「現代政治分析Ⅱ」
「企業法総論」
*「行政学」*「行政学特殊講義」
「民事紛争処理法(4)」
*「西洋政治史」
「経済社会と法Ⅰ」
*「西洋政治史特殊講義」
望ましい修得単位数:(2年間)24~28単位
「比較憲法」「行政法概説Ⅰ」
「企業取引の法」「権利救済法(4)」
3・4 【専門教育科目
年 (3・4年生配当講義)】 「刑法概説Ⅰ」「刑法概説Ⅱ」
「行政法概説Ⅱ」
「国際社会と法Ⅲ」「国際社会と法Ⅳ」
「犯罪と手続Ⅰ」「犯罪と手続Ⅱ」
*「情報政策と法」*「情報社会と法」
*「家族生活と法Ⅰ」
*「国際機構と法Ⅰ」
*「家族生活と法Ⅱ」
*「不動産関係法」*「財産管理と法」 *「国際機構と法Ⅱ」
*「法と正義」*「法哲学」
*「労働と法」*「雇用と法」
*「アジアと法Ⅰ」*「アジアと法Ⅱ」 *「国際政治論」
31
第5章 教育内容・方法
*「国際取引と法」*「国際私法」
【専門教育科目
(3・4年生配当演習)】
開講単位数の計
*「国際政治論特殊講義」
*「法文化史Ⅰ」*「法文化史Ⅱ」
*「西洋政治思想史」
*「西洋政治思想史特殊講義」
*「比較政治Ⅰ」*「比較政治Ⅱ」
*「日本政治史」*「日本政治論」
*「税法Ⅰ」*「税法Ⅱ」
望ましい修得単位数:(2年間)38~42単位
「憲法演習Ⅱ(4)」「行政法演習Ⅱ(4)」
「市民法演習Ⅱ(4)」
「国際関係法演習Ⅱ(4)」
「刑事法演習Ⅱ(4)」
「現代政治論演習Ⅱ(4)」
「企業法演習Ⅱ(4)」
「国際政治論演習Ⅱ(4)」
「現代法演習Ⅱ(4)」
「欧米政治事情演習Ⅱ(4)」
「外国法演習Ⅱ(4)」
望ましい修得単位数:4単位
【卒業資格単位数】教養教育科目36単位
専門教育科目88単位 合計 124単位
【注1】上記科目は法学部の平成16年度以降入学生向け開講予定専門教育科目ですが、毎年追加・変更の可能
性があります。また、非常勤講師の科目、集中講義が追加されます。
【注2】科目名の前に*のついていない科目は毎年開講されます。科目名の前に*のついている科目は、2年間
のうちに一度は開講される科目です(隔年開講となることが通例ですが、毎年開講されることもあります。)。
隔年開講となる場合には、並列している一方の科目をある年度に開講し、翌年度には他方の科目を開講します
(「現代政治分析Ⅱ」については、翌年度は開講されません。)。それを前提にして各自で履修計画を立てて
ください。
【注3】配当年次が「2・3年」となっている科目は、いずれも2年次から履修できますが、2~3年次のうちに履
修することを標準とするものです。配当年次が「3・4年」となっている科目は、いずれも3年次から履修でき
ますが、3~4年次のうちに履修することを標準とするものです。各分野の学び方については、シラバスに掲載
されている「○○(法)の学び方」を参照して、履修計画を立ててください。
【注4】上記法学部の専門科目以外に、経済学部と文学部の専門科目を合わせて20単位まで卒業資格単位とし
て履修することができます。
【注5】科目名の後に「(4)」とあるのは、4単位であることを示します。それ以外の科目は2単位です。
表 5-2
卒業資格単位数(2004 年度以降入学生・昼間コース)
科
目
区
分
卒業資格単位数
ガイダンス科目
知の構造
自己と他者
6つの主題グループ
のうちから4つ以上
を選択し,それぞれ
1授業科目2単位以
上,合計8単位選択
必修
文化と制度
主
題
科
目
いのち
国際化時代への展望
自然と共生
人文・社会科学
教 養 教 育
科
目
自然科学
個
別
科
36単位選択
目
情報科学
健康・スポーツ科学
32
第5章 教育内容・方法
英語(読解:人文及び読解:
自然を除く)
ドイツ語
フランス語
外 国 語 科 目 中国語
朝鮮語
ロシア語
スペイン語
イタリア語
日本語
8単位選択必修
計
36単位
専門基礎科目 講
義
講
義
演
習
目 実
習
専 門 教 育
専
科
門
科
88単位
目
経済学部開設の専門科目
(演習及び経済実用英語を除く。)及び文学部
開設の専門科目(他学部学生の履修可とさ
れた科目に限る。)
計
卒
業
資
格
単
位
88単位
数
の
合
計
124単位
備 考
1 ガイダンス科目(法学基礎演習),個別科目(情報科学)及び個別科目(健康・スポーツ科学)は,各2単位ま
でを卒業単位として認める。
2 外国語科目については,8単位選択必修とするが,16単位までを卒業資格単位として認める。なお,日本語は,
外国人留学生用の科目である。
3 経済学部の専門科目(演習及び経済実用英語を除く。)及び文学部の専門科目(他学部学生の履修可とされた
科目に限る。)は,合計20単位を超えない範囲で卒業資格単位として認める。
4 演習は,12単位までを専門科目の単位として認める。
5 教育職員免許状取得希望者が,教育学部開講の教職に関する科目について単位を修得する場合,他学部学生の
履修可とされる科目に限り履修を認めるが,卒業資格単位としては認めない。
表 5-3
インターンシップの履修者数、受入れ機関等
年度
履修者数
受入れ機関・企業等の数
2002 年度
26
9
2003 年度
33
12
2004 年度
37
13
2005 年度
42
14
〔主な受入れ機関・企業等〕
法律事務所,司法書士事務所,税理士事務所,岡山ネットワーク株式会社,岡山県教育庁,
岡山県生活環境部,岡山市役所,岡山放送株式会社,株式会社瀬戸内海放送,
株式会社山陽新聞社,西日本電信電話株式会社,岡山地方法務局等
33
第5章 教育内容・方法
表 5-4
他大学との単位互換を利用した本学部学生数、取得単位数
年度
香川大学法学部
短期留学プログラム
夏期語学(英語)研修プロ
(EPOK)
グラム
学生数
単位数
学生数
単位数
学生数
単位数
2002 年度
1
0
1
25
0
0
2003 年度
2
8
2
32
1
2
2004 年度
0
0
3
89
3
6
2005 年度
0
0
0
0
2
2
表 5-5
専門教育科目一覧及び履修モデル(2004 年度以降入学生・夜間主コース)
1年 【教養教育科目(ガイダンス科目)】
法学基礎演習
2単位
望ましい修得単位数:2単位
【専門教育科目(1年生配当講義)】 「市民生活と法」「現代社会と政治」「憲法Ⅰ」「財産と法Ⅰ(4)」
各2単位
「現代政治分析Ⅰ」
(「財産と法Ⅰ」は4単位)
望ましい修得単位数:12単位
2年 【専門教育科目(2年生配当講義)】
各2単位
「憲法ⅡA」「憲法ⅡB」
「市民と行政Ⅰ」「市民と行政Ⅱ」
望ましい修得単位数:8単位
【専門教育科目(2年生配当演習)】 演習Ⅰ 2科目
各4単位
望ましい修得単位数:4単位
2・ 3 【専門教育科目(2・3年生配当講義)】 *「財産と法Ⅱ」、*「財産と法Ⅲ」、
年 各2単位
*「財産と法Ⅳ(4)」【注4】
(財産と法Ⅳは4単位)
*「犯罪と法Ⅰ」、*「犯罪と法Ⅱ」、
*「国際社会と法Ⅰ」、*「国際社会と法Ⅱ」
*「現代政治分析Ⅱ」
*「地方自治と法」、*「税財政と法」、
「政治学」
*「日本政治史」、*「日本政治論」、
*「行政学」、*「行政学特殊講義」、
*「西洋政治史」、*「西洋政治史特殊講義」
*「アジア政治思想史」、*「アジア政治思想史特殊講義」
望ましい修得単位数:(2年間)24~28単位
3 ・ 【専門教育科目(3・4年生配当講義)】*「家族生活と法Ⅰ」、*「家族生活と法Ⅱ」
4年 各2単位
*「企業組織の法Ⅰ」、*「企業法総論」
(「民事紛争処理法」、「権利救済 *「企業組織の法Ⅱ」、*「企業取引の法」
*「民事紛争処理法(4)」、*「権利救済法(4)」
法」は4単位)
*「刑法概説Ⅰ」、*「刑法概説Ⅱ」
*「犯罪と手続Ⅰ」、*「犯罪と手続Ⅱ」
*「労働と法」、*「雇用と法」
*「国際取引と法」、*「国際私法」
*「アジアと法Ⅰ」、*「アジアと法Ⅱ」
*「行政法概説Ⅰ」、*「行政法概説Ⅱ」
*「情報政策と法」、*「情報社会と法」
*「国際社会と法Ⅲ」、*「国際社会と法Ⅳ」
*「国際機構と法Ⅰ」、*「国際機構と法Ⅱ」
*「法と正義」、*「法哲学」
*「国際政治論」、*「国際政治論特殊講義」
*「法文化史Ⅰ」、*「法文化史Ⅱ」
34
第5章 教育内容・方法
*「西洋政治思想史」、*「西洋政治思想史特殊講義」
*「比較政治Ⅰ」、*「比較政治Ⅱ」
望ましい修得単位数:(2 年間)38~42 単位
【専門教育科目(3・4年生配当演習)】演習Ⅱ
各4単位
2科目
望ましい修得単位数:4単位
【卒業資格単位数】教養教育科目36単位
専門教育科目88単位 合計124単位
【注1】上記科目は法学部の平成16年度以降入学生向け開講予定専門教育科目ですが、毎年追加・変更の可能
性があります。また、非常勤講師の科目、集中講義が追加されることがあります。
【注2】「2・3年生配当講義」のうち「政治学」を除く各科目および「3・4年生配当講義」の各科目(*の付
いている科目)は、2年間のうちに一度は開講される科目です(隔年開講となることが通例ですが、毎年開講
されることもあります。)。隔年開講となる場合には、並列している一方の科目をある年度に開講し、翌年度
には他方の科目を開講します。それを前提にして各自で履修計画を立ててください。
【注3】配当年次が「2・3年」となっている科目は、いずれも2年次から履修できますが、2~3年次のうちに履
修することを標準とするものです。配当年次が「3・4年」となっている科目は、いずれも3年次から履修でき
ますが、3~4年次のうちに履修することを標準とするものです。
【注4】表中〔*「財産と法Ⅱ」、*「財産と法Ⅲ」、*「財産と法Ⅳ(4)」〕については、ある年度に「財産
と法Ⅱ(2単位)」及び「財産と法Ⅲ(2単位)」を開講し、翌年度に「財産と法Ⅳ(4単位)」を開講すること
を通例とします。
【注5】専門科目のうち、昼間コースの専門科目(演習、専門基礎科目を除く法学部及び経済学部の講義)30
単位まで(うち経済学部の科目は10単位まで)卒業資格単位として履修することができます。
【注6】上記法学部の専門科目以外に、経済学部夜間主コースの専門科目を20単位まで卒業資格単位として履
修することができます。
表 5-6
卒業資格単位数(2004 年度以降入学生・夜間主コース)
科
目
区
分
卒業資格単位数
ガイダンス科目
知の構造
自己と他者
6つの主題グループ
のうちから3つ以上
を選択し,それぞれ
1授業科目2単位以
上,合計8単位選択
必修
文化と制度
主
題
科
目
いのち
国際化時代への展望
自然と共生
人文・社会科学
教 養 教 育
科
目
自然科学
個
別
科
36単位選択
目
情報科学
健康・スポーツ科学
外 国 語 科 目
英語
ドイツ語
フランス語
中国語
8単位選択必修
35
第5章 教育内容・方法
計
専門基礎科目
専 門 教 育
科
専
門
科
目
目
36単位
講
義
講
義
演
習
本学部昼間コース及び経済学
部昼間コース開設の専門科目
(演習,専門基礎科目を除く。)
88単位
経済学部夜間主コース開設の
専門科目(演習及び経済実用
英語を除く。)
計
卒
業
資
格
単
位
88単位
数
の
合
計
124単位
備 考
1 ガイダンス科目(法学基礎演習),個別科目(情報科学)及び個別科目(健康・スポーツ科学)は,各2単位ま
でを卒業単位として認める。
2 外国語科目については,8単位選択必修とするが,16単位までを卒業資格単位として認める。
3 専門科目のうち,昼間コースに開設する専門科目(演習,専門基礎科目を除く法学部及び経済学部の講義)は,
30単位までを卒業要件として認める。ただし,経済学部の講義は10単位を限度とする。
4 専門科目のうち,経済学部夜間主コース開設の専門科目(演習及び経済実用英語を除く。)は,20単位までを
卒業資格単位として認める。
5 演習は,12単位までを専門科目の単位として認める。
6 教育職員免許状取得希望者が,文学部開講の教科に関する科目ならびに教育学部開講の教職に関する科目につ
いて単位を修得する場合,他学部学生の履修可とされる科目に限り履修を認めるが,卒業資格単位としては認め
ない。
表 5-7
放送大学との単位互換を利用した夜間主コース・第二部学生数、取得単位数
年度
学生数
単位数
2002 年度
29(37)
116
2003 年度
29(36)
96
2004 年度
25(29)
124
2005 年度
12(16)
56
※ 学生数( )内は延べ学生数
Ⅱ
法学系研究科
1
教育課程
1.1
法学研究科(2002 年度~2003 年度)
法学研究科の課程を修了しようとするものは、「別表に掲げる専攻科目と関連科目とをあわ
せて 30 単位以上(うち専攻科目は 16 単位以上)を修得し、かつ、必要な研究指導を受けた上、
36
第5章 教育内容・方法
学位論文を提出し、その審査及び最終試験に合格しなければならない」
(岡山大学大学院法学研
究科規程第 10 条)。
3 専攻・6系列で教育課程が編成されており、第 1 章のⅡで紹介した教育目標にてらして、
6系列ごとに履修科目が提示されている。
2002 年度には、45 人の教員(うち非常勤6人)で、84 科目(前期・後期制で半期 2 単位)
を提供している。2003 年度もほぼ同様である。
1.2
文化科学研究科博士前期課程(2004 年度~2005 年度)
課程修了要件は、法学研究科の時と同様である。しかし、「中期計画」に言うように「総合
大学院」の中で各専攻に法学系講座が置かれる形に再編された点、および法科大学院の創設と
ともに法律系教員が民刑事法を中心に相当数移籍して法学系大学院の教員数が減少し、かつ、
非常勤教員雇用の条件が厳しくなった点で、2003 年度以前の状況とは大きく異なっている。一
方における「教育目標」はより「専門的」職業人の養成の具体性を強めてきているのに対して、
他方で、教育課程は「総合性」を基本に制度展開してきているのである。
法学系 4 講座の 2005 年度の担当教員は 32 人〈非常勤 1 人〉で、69 科目開講しているが、
2002 年度基準で、教員数で 29%、科目数 18%の減少となっている(表 5-8 参照)
。
1.3
(1)
教育課程の評価と課題
教育目標との対応
法学研究科(2002 年度~2003 年度)においては、税理士等の高度専門職業人養成の目標を
はっきり掲げた「企業法務・税務」系列や、法曹養成を主たる目標とした「司法法務」系列か
らなる「法務専攻」では、教育目標にふさわしい体系的な教育課程が提供され、目的とする学
問分野や職業分野における期待にこたえるものとなっていたと評価できる。
文化科学研究科博士前期課程(2004 年度~2005 年度)においては、2002 年度~2003 年度
で確保されていた「専門的職業人」養成の教育課程が、やや不明確となっており、
「教育目標に
ふさわしい体系的な教育課程が提供され、目的とする学問分野や職業分野における期待にこた
えるものとなっている」とは必ずしも評価できない状況である。
(2)
教育課程の体系化
本学の 2004 年度からの「中期計画」では、
「大学院教育では、総合大学院の特色を生かし、
急速な学術の高度化に対応した柔軟なカリキュラムの編成、専門分野に応じたコア・カリキュ
ラムの提示などにより、教育実施体制の強化を図る」ことがうたわれた。
充実した教員数の確保が困難である以上、制度的検討とあわせて、カリキュラム上の工夫改
善が求められている。2006 年 4 月の文化科学研究科の社会文化科学研究科への名称変更とあ
わせて、第 3 専攻の経営法務専攻が公共政策科学専攻に改組され、現代法政講座と経営法務講
座は、公共法政講座と司法政策講座に再編されたが、こうした問題に対する制度的対応として
評価できる。しかし、教育課程が教育目標とりわけ養成されるべき人物像へと体系化された教
育課程にはいまだ到達しているとは言えない状況である。
37
第5章 教育内容・方法
2
教育方法
ここでは、開講時間帯の配慮について述べる。法学研究科時代においては、1993 年度から昼
夜開講制が導入され、それは文化科学研究科においても行われてきている。2002 年度について
みれば、非常勤による集中講義 4 科目を除く 80 科目のうち、38 科目(全 84 科目の 45%)が、
夜間に開講されている。文化科学研究科博士前期課程に再編された後も、2005 年度は、開講総
数69 科目中 26科目(38%)が夜間開講である。夜間開講数の比率は、45%(2002 年度)か
ら 38%(2005 年度)へと漸減傾向にあるが、開講に際しては、学生の要望に応える形で開講
時間帯を変更するなど学生に配慮した運用がなされている。
3
学位論文の指導・審査(2002~2005 年度)
3.1
修士学位論文の指導・審査の実施状況
修士学位論文の指導体制は、指導教員 1 名、副指導教員 1 名の体制が取られており、研究テ
ーマに関して、指導教員および副指導教員の講義を受けると同時に、個別にも、指導教員だけ
ではなく副指導教員の指導も得て学位論文を作成する体制になっている。また、分野によって
は、11~12 月頃に、指導教員・副指導教員以外の近接分野の教員も参加する研究会で論文の内
容について報告を行い、指導を行っている。ただ、副指導教員の指導をどのように行うかにつ
いて、必ずしも明確な基準がないため、やはり指導の中心となる指導教員の指導の仕方および
学生の希望などによって、その形態、密度は多様である。
文化科学研究科博士前期課程における修士の学位の認定基準は、「岡山大学大学院文化科学
研究科学位の審査基準と付記する専攻分野に関する申合せ」
(2004 年 4 月決定)において、次
のように定められている。
1)
論旨と内容が独創的であること。内容が従来の研究のまとめや整理である場合には、
その方法や視角の設定に新しさがあること。
2)
創意を支える論証が確かであること。
3)
使用した資料は提出者が収集したものであること。使用した資料が従来のものである
場合は、その分析が斬新であること。
修士論文審査の体制は、指導教員、副指導教員および当該専門分野の教員の 3 名が当たり、
課題設定および研究方法の適・不適、新しい知見の有無、叙述の説得性などを中心に厳正に審
査する。職業人の場合研究時間が十分取れないなど、事情はいろいろあるが、修士論文の水準
に達しないと思われるものについては、更に 1 年研究を行うよう指導することもある。その判
定結果を、指導教員が審査内容・判定理由を付して A4 一枚程度にまとめて、法学系教員全員
に回覧し、特に全体で検討すべき問題があるとの教員からの申し出がないかぎり、一つ一つの
判定理由・審査内容を口頭で説明することを省いて、一括、研究科委員会で承認する手続を取
っている。
3.2
修士学位論文の指導・審査の評価と課題
修士学位論文の指導体制については、テーマやアプローチの多様なあり方に対応した形で、
38
第5章 教育内容・方法
それなりに適切な指導体制となっているものと評価できる。しかし、それらが掲げられた人材
育成のために適切な指導体制となっているかどうかについては、必ずしも問題がないとは言え
ず、今後検討していくべき課題であろう。
修士論文審査の体制については、前述のとおり厳正に行われているものと評価できる。
39
第5章 教育内容・方法
表 5-8
文化科学研究科の法学系講座の授業科目
社会文化基礎学専攻
法政理論講座
Socio-Cultural Basic Sciences
Theories of Law and Politics
個人と個人,個人と集団,個人とコニュニティ,あるいは個人と国家といった様々なレベルでの紛
争や対立は,いかにしてあり得べき「共生」の秩序的関係として構想し得るのかについて,法学・政
治学の理論や方法を歴史や現実の具体例に即して探り,そうした理論や方法を実践的に応用すること
が出来るようケース・スタディやフィールド・ワークも考慮に入れ,地域社会や各種組織のリーダー
の養成を目標としています。
授業科目
担当教員
授業科目
担当教員
現在政治理論
法学部
助教授
前田
浩
ヨーロッパ政治文化論1
法学部
助教授
小田川大典
現代権力理論
法学部
助教授
前田
浩
ヨーロッパ政治文化論2
法学部
助教授
小田川大典
現代政治理論演習
法学部
助教授
前田
浩
ヨーロッパ政治文化論演習1
法学部
助教授
小田川大典
現代権力理論演習
法学部
助教授
前田
浩
ヨーロッパ政治文化論演習2
法学部
助教授
小田川大典
政治過程論1
法学部
教
授
谷
聖美
ヨーロッパ法文化論1
政治過程論2
法学部
教
授
谷
聖美
ヨーロッパ法文化論2
政治過程論演習1
法学部
教
授
谷
聖美
ヨーロッパ法文化論演習1
政治過程論演習2
法学部
教
授
谷
聖美
ヨーロッパ法文化論演習2
日本政治史論
法学部
教
授
小畑隆資
法哲学1
法学部
助教授
大森秀臣
日本政治論
法学部
教
授
小畑隆資
法哲学2
法学部
助教授
大森秀臣
日本政治史論演習
法学部
教
授
小畑隆資
法哲学演習1
法学部
助教授
大森秀臣
日本政治論演習
法学部
教
授
小畑隆資
法哲学演習2
法学部
助教授
大森秀臣
ヨーロッパ政治史論
法学部
教
授
荒木
勝
政治学古典文献解釈論
法学部
教
授
荒木
勝
ヨーロッパ政治史論演習
法学部
教
授
荒木
勝
政治学古典文献解釈論演習
法学部
教
授
荒木
勝
40
第5章 教育内容・方法
比較社会文化学専攻
比較国際法政講座
Comparative Socio-Cultural Sciences
International and Comparative Law and Politics
国の文化や歴史の違いによって,法的・政治的秩序のあり方は様々であり,そうした国々が二国間
あるいは多国間でどのようにして法的・政治的営みを行ってきたのかについて,その歴史を考察し,
今後の国際関係を構築する方法を研究します。国家公務員(外交官等),地方公務員,国際公務員お
よびNGO職員など高度専門的職業人の養成を目標としています。
授業科目
担当教員
授業科目
担当教員
国際私法論
法学部
教
授
佐野
寛
アジア法1
法学部
教
授
張
紅
国際取引法論
法学部
教
授
佐野
寛
アジア法2
法学部
教
授
張
紅
国際私法論演習
法学部
教
授
佐野
寛
アジア法演習1
法学部
教
授
張
紅
国際取引法論演習
法学部
教
授
佐野
寛
アジア法演習2
法学部
教
授
張
紅
国際機構法論
法学部
助教授
黒神直純
国際政治論1
法学部
教
授
河原祐馬
国際公務論
法学部
助教授
黒神直純
国際政治論2
法学部
教
授
河原祐馬
国際機構法論演習
法学部
助教授
黒神直純
国際政治論演習1
法学部
教
授
河原祐馬
国際公務論演習
法学部
助教授
黒神直純
国際政治論演習2
法学部
教
授
河原祐馬
国際協力法論
法学部
助教授
柴田明穂
国際環境法論
法学部
助教授
柴田明穂
国際協力法論演習
法学部
助教授
柴田明穂
国際環境法論演習
法学部
助教授
柴田明穂
41
第5章 教育内容・方法
経営政策科学専攻
現代法政講座
Management and Public Policy Sciences
Contemporary Law and Politics
現代社会が直面する諸問題を法学・政治学的観点から考察しながらも、それらの問題解決を「経営」
と「政策」の視点から探り、現実問題について「政策」提言ができる専門的職業人、国家公務員、自
治体職員、あるいは地域社会や各種組織のリーダーの養成を目標としています。
授業科目
担当教員
授業科目
担当教員
現代憲法論1
法学部
教
授
中富公一
現代刑法総則
法学部
助教授
照沼亮介
現代憲法論2
法学部
教
授
中富公一
現代刑法各則
法学部
助教授
照沼亮介
現代憲法論演習1
法学部
教
授
中富公一
現代刑法総則演習
法学部
助教授
照沼亮介
現代憲法論演習2
法学部
教
授
中富公一
現代刑法各則演習
法学部
助教授
照沼亮介
現代人権論1
法学部
助教授
田近
肇
現代刑事訴訟法論1
法学部
助教授
小島
淳
現代人権論2
法学部
助教授
田近
肇
現代刑事訴訟法論2
法学部
助教授
小島
淳
現代人権論演習1
法学部
助教授
田近
肇
現代刑事訴訟法論演習1
法学部
助教授
小島
淳
現代人権論演習2
法学部
助教授
田近
肇
現代刑事訴訟法論演習2
法学部
助教授
小島
淳
現代情報法論1
文化科学
教
授
山口和秀
現代家族法論1
法学部
教
授
西原
諄
現代情報法論2
文化科学
教
授
山口和秀
現代家族法論2
法学部
教
授
西原
諄
現代情報法論演習1
文化科学
教
授
山口和秀
現代家族法論演習1
法学部
教
授
西原
諄
現代情報法論演習2
文化科学
教
授
山口和秀
現代家族法論演習2
法学部
教
授
西原
諄
行政訴訟法1
法学部
教
授
原野
翹
現代官僚制論
法学部
助教授
築島
尚
行政訴訟法2
法学部
教
授
原野
翹
行政組織論
法学部
助教授
築島
尚
行政訴訟法演習1
法学部
教
授
原野
翹
現代官僚制論演習
法学部
助教授
築島
尚
行政訴訟法演習2
法学部
教
授
原野
翹
行政組織論演習
法学部
助教授
築島
尚
情報政策論1
法学部
教
授
中村
誠
現代政治論1
文化科学
助教授
成廣
孝
情報政策論2
法学部
教
授
中村
誠
現代政治論2
文化科学
助教授
成廣
孝
情報政策論演習1
法学部
教
授
中村
誠
現代政治論演習1
文化科学
助教授
成廣
孝
情報政策論演習2
法学部
教
授
中村
誠
現代政治論演習2
文化科学
助教授
成廣
孝
現代刑法論1
法学部
助教授
塩谷
毅
現代刑法論2
法学部
助教授
塩谷
毅
現代刑法論演習1
法学部
助教授
塩谷
毅
現代刑法論演習2
法学部
助教授
塩谷
毅
42
第5章 教育内容・方法
経営政策科学専攻
経営法務講座
Management and Public Policy Sciences
Business Law
現代社会における自治体や企業を法学的・経営政策的観点から解明し、自治体における行政手法や
税務、あるいは企業における会社経営や労使関係について問題解決能力をもった専門的職業人として
必要な知識と実務能力を開発します。国内外の公的機関や民間企業で活躍する専門的職業人の養成を
目標とします。
授業科目
担当教員
授業科目
担当教員
租税法論1
法学部
教
授
安宅敬祐
労使関係法1
法学部
教
授
藤内和公
租税法論2
法学部
教
授
安宅敬祐
労使関係法2
法学部
教
授
藤内和公
租税法論演習1
法学部
教
授
安宅敬祐
労使関係法演習1
法学部
教
授
藤内和公
租税法論演習2
法学部
教
授
安宅敬祐
労使関係法演習2
法学部
教
授
藤内和公
租税法基礎理論
法学部
助教授
高橋祐介
金融取引法1
法学部
助教授
吉岡伸一
企業税法
法学部
助教授
高橋祐介
金融取引法2
法学部
助教授
吉岡伸一
租税法基礎理論演習
法学部
助教授
高橋祐介
金融取引法演習1
法学部
助教授
吉岡伸一
企業税法演習
法学部
助教授
高橋祐介
金融取引法演習2
法学部
助教授
吉岡伸一
自治体行政手法論1
法学部
助教授
高橋正徳
現代契約法1
自治体行政手法論2
法学部
助教授
高橋正徳
現代契約法2
自治体行政手法論演習1
法学部
助教授
高橋正徳
現代契約法演習1
自治体行政手法論演習2
法学部
助教授
高橋正徳
現代契約法演習2
現代会社法1
法学部
助教授
鈴木隆元
現代会社法2
法学部
助教授
鈴木隆元
現代会社法演習1
法学部
助教授
鈴木隆元
現代会社法演習2
法学部
助教授
鈴木隆元
43
第6章 教育の成果
第6章
Ⅰ
法学部
1
学生の履修状況と教育の成果
教育の成果
1.1.専門教育科目の履修状況
1.1.1
学年別履修登録状況
専門教育科目の卒業資格単位数は、2003 年度までの法学部および第二部ではともに 94 単位
であるが、2004 年度に開設された昼間コースおよび夜間主コースでは、ともに 88 単位となっ
ている。また、昼間コースでは、2004 年度から上限制(原則として 1 年間 40 単位:教養教育
科目を含む)が導入されている。なお、学生定員は、法学部、昼間コースともに 2002 年度以
降 205 人で変更はないが、第二部は 60 人、夜間主コースは 20 人となっている。
これらを前提に履修登録の傾向を見ると、法学部・昼間コースでは、2004・2005 年度の 1
年次生および 2005 年度の 2 年次生の履修登録者数が、それぞれ前年度以前のそれに比して一
定程度減少しているが、これは、卒業資格単位数の削減もさることながら、上限制の導入によ
るところが大きいと思われる。また、学年別では、3 年次生の履修が最も多く、次いで 2 年次
生となっており、最終年次(4 年次生)の履修は比較的少ない(表 6-1 参照)。
第二部および上限制の適用のない夜間主コースでも、2004・2005 年度の 1 年次生および 2005
年度の 2 年次生の履修登録者数が減少しているが、これは、第二部と夜間主コースとの学生定
員の差によるものと思われる。また、第二部の履修登録者数を学年別に見ると、3 年次生が最
も多く、次いで 4 年次生となっており、法学部と同様、最終年次(5 年次生)の履修はそれほ
ど多くない(表 6-1 参照)。
1.1.2
学年別単位修得状況
2002 年度から 2005 年度の 4 年間を通じて、学年別に履修登録者数に対する不合格者数の割
合を見ると、法学部・昼間コースでは、1 年次生 13%、2 年次生 20%、3 年次生 25%、4 年次
生 51%(小数点以下四捨五入)と、学年進行に応じて不合格者の割合が増えている。とくに 4
年次生は、約半数が不合格となっているが、これは、
「4 年次生」には留年生を多く含んでおり、
他の年次生と比べ実際に履修するよりも多く履修登録するという傾向があることによるものと
思われる。また、年度別単位修得率について見ると、全履修登録者数に対する不合格者数の割
合は、4 年間で特徴的な変化は見られない(上下差 4%〔同上〕の間で推移)
(表 6-1 参照)。
これを学年別に見ると、1 年次生については、上限制導入と単位修得率との間に有意な相関関
係は見出されないが、2 年次生については、2002 年度 24%、2003 年度 20%、2004 年度 21%
であるのに対し、2005 年度 14%(同上)と、上限制の適用を受ける学生の不合格者数の割合
は、一定程度減少していることがわかる。
45
第6章 教育の成果
第二部・夜間主コースについて 2002 年度から 2005 年度までの学年別単位修得状況を見ると、
履修登録者数に対する不合格者数の割合は、1 年次生 18%、2 年次生 26%、3 年次生 24%、4
年次生 24%、5 年次生 43%(同上)と、卒業予定年次生(留年生を含む)である 5 年次生に
おいて特に高くなっているが、これは法学部昼間コースの場合と同様の事情によるものと思わ
れる。また、年度別単位修得率について見ると、全履修登録者数に対する不合格者数の割合は、
法学部昼間コースと同様、4 年間で特徴的な変化は見られない(上下差 5%〔同上〕の間で推
移)(表 6-1 参照)
。
表 6-1
各年度の専門教育科目履修登録数
2002 年度
2003 年度
2004 年度
2005 年度
1 年次生
1723
2037
1579
1485
2 年次生
3374
3775
3350
2757
3 年次生
3971
3853
3753
3749
4 年次生
2293
2197
1861
2314
11361
11862
不合格者
3199
3078
2931
2483
第二部 1 年次生
167
231
167
85
第二部 2 年次生
514
602
645
371
第二部 3 年次生
854
870
804
863
第二部 4 年次生
685
807
563
672
第二部 5 年次生
555
635
581
442
2775
3145
2760
2433
766
831
846
671
合
合
計
計
不合格者
10543
10305
※数字は延べ人数を表す。
※※2004 年度・2005 年度の「第二部 1 年次生」は「夜間主コース 1 年次生」と、2005 年度の「第二部 2
年次生」は「夜間主コース 2 年次生」と、それぞれ読み替えるものとする。
1.2.教養教育科目の履修状況
1.2.1
教養教育科目全般の学年別履修および単位修得状況
法学部において、卒業要件となっている教養教育科目の単位数は、36 単位(第二部・夜間主
コースも同じ)である。履修の傾向としては、多くの学生が 2 年次までに語学を含めた教養教
育科目を履修している(表 6-2、6-3 参照)
。法学部・昼間コースに関して見ると、全履修科目
に対する不合格者の割合は、2002 年から順に、17%、15%、16%および 10%となっており、
さらに、1 年次生のみの同値は、8%、7%、6%および 5%と年々減少してきており(つまり、
合格率が年々上昇してきており)
、学生は特に 2004 年度の上限制導入後各履修科目を大事に考
えて受講していることがわかる。
46
第6章 教育の成果
表 6-2
各年度の教養教育科目(外国語を除く。
)履修登録数
2002 年度
2003 年度
2004 年度
2005 年度
1 年次生
3096
2857
2469
2591
2 年次生
1097
1097
1150
1110
3 年次生
323
323
183
256
4 年次生
337
309
342
296
4853
4586
4144
4253
不合格者
759
686
669
428
第二部 1 年次生
741
747
360
215
第二部 2 年次生
221
297
251
136
第二部 3 年次生
53
64
82
93
第二部 4 年次生
58
72
35
59
第二部 5 年次生
49
72
96
59
合
計
※数字は延べ人数を表す。
※※2004 年度・2005 年度の「第二部 1 年次生」は「夜間主コース 1 年次生」と、2005 年度の「第二部 2
年次生」は「夜間主コース 2 年次生」と、それぞれ読み替えるものとする。
1.2.2
外国語科目の履修状況(法学部昼間コースのみ)
外国語科目の履修の傾向として、第 1 外国語である英語の履修者数が多いのは当然のことな
がら、第 2 外国語として、中国語を履修する学生が極めて多い(以下の表を参照のこと)
。こ
の理由の一つとして、日本語と同じ漢字を用いる言語であることから、学生にとっては比較的
履修しやすいことが挙げられる。なお、英語の履修に関しては、最も高度な「上級英語」を履
修する者がたいへん多いのも特徴である(英語履修者数に占める「上級英語」履修者の割合は、
2003 年度 16%、2004 年度 42%、2005 年度 53%である)
。
なお、2003 年度以降英語を履修する学生が減少しているのは、次の理由による。すなわち、
2003 年度より、英語の開講方法が改められ、学生に英語 8 単位受講できるようにするが、そ
のうち 2 単位は各学部が開講することとされた。しかし、法学部では学部教員が教養教育科目
の英語を開講することは困難であるとして、開講しなかったことによる。ただし、各学部向け
英語の他に開講される「上級英語」を履修する学生が、上記のとおりしだいに増加している。
表 6-3
各年度の外国語科目履修登録数
2002 年度
2003 年度
2004 年度
2005 年度
886
736
540
731
ドイツ語
246
196
181
170
フランス語
114
74
38
78
イタリア語
43
18
11
10
英
語
47
第6章 教育の成果
スペイン語
28
24
17
29
ロシア語
7
3
5
2
中国語
304
340
315
311
朝鮮語
107
57
113
65
※
数字は全学年の外国語科目履修者の延べ人数を表す。
※※
英語の履修者については、2003 年度は、
「基礎英語」の履修者が多数いたが、2004 年度以降「基礎
英語」の履修は、「高等学校の普通科,理数科,国際科以外の出身者で,かつ,大学入試(センターを含む。
)
で英語を課されなかった者」に限定されたので、履修者が数人になった。
1.3
留年者の状況
法学部では、毎年一定数の留年者が存在する。全在学生に占める留年者の割合(留年率)は、
昼間コースで、2002 年度 19.3%、2003 年度 18.8%、2004 年度 24.3%、2005 年度 23.0%と
なっている(留年者数の推移については、以下の表を参照のこと)
。ここで示されている値は、
法学部の場合、上限制を設定する前の課程に在学した学生を対象としているため、今後の検討
課題として、上限制設定後の留年者の推移と照らして検討していく必要がある。
表 6-4
昼間コースの留年者数の推移
入
学
年
度
2001 2000 1999 1998 1997 1996 1995 1994 1993 1992
2002 年度
38
17
2
3
22
17
8
1
1
30
3
8
3
17
2
3
2003 年度
2004 年度
2005 年度
表 6-5
35
1
合計
61
49
44
57
第二部・夜間主コースの留年者数の推移
入
学
年
度
2001 2000 1999 1998 1997 1996 1995 1994 1993 1992
2002 年度
21
12
7
3
1
44
15
6
6
5
1
1
34
22
6
3
3
1
6
2
1
3
2003 年度
2004 年度
2005 年度
17
合計
35
29
※数字は留年者数を表す。
1.4
法学部教育の成果についての卒業生の評価
自己評価の一環として、学外者からみた本学部の教育内容に関する意見を収集するため、
2003 および 2004 年度に法学部を卒業した者に対し、2006 年7月にアンケートを実施した。
その中で、法学部の教育内容について、教養教育科目(主題科目・個別科目)、教養教育科目
(外国語科目)、専門教育科目(講義)、専門教育科目(演習)のそれぞれにつき、満足度を尋
48
第6章 教育の成果
ねた。その結果、
「満足している」および「ある程度満足している」と回答した者は、教養教育
科目(主題科目・個別科目)64%、教養教育科目(外国語科目)29%、専門教育科目(講義)
61%、専門教育科目(演習)75%であった。専門演習の重要度が、卒業生アンケートからもう
かがえる。
(アンケート結果の詳細は、「付 1・岡山大学法学部卒業生アンケート結果の概要」
参照)
1.5
法学部教育の成果についての卒業生受入れ機関・企業等の評価
岡山大学法学部の教育および卒業生に関する評価と意見をいただくために、2006 年 7 月に、
本学部の卒業生やインターンシップ学生を受け入れている企業・機関等に向けてアンケートを
実施した。
その中で、岡山大学法学部の学生の能力や資質について、12 の質問項目それぞれに「十分に
ある」から「不足している」までの選択肢の中から回答をいただいた。
その結果、「勤労意欲・バイタリティー」、「向上心やスキルアップに挑む意欲」、「協調性・
コミュニケーションの能力」などの基盤的・一般的な能力について、
「1.十分にある」と「2.
程ほどにある」が大半を占めた。
また、
「論理的・合理的な思考能力」は法学部の重要な教育目標であるが、
「1.十分にある」
と「2.程ほどにある」が64%とまずまずの評価であった。他方「法律学や政治学の専門的な
知識と技能」については、主に法律専門職事務所等から低い評価を受けた。
(アンケート結果の
詳細は、「付 2・岡山大学法学部卒業生受入れ機関・企業等アンケート結果の概要」参照)
1.6
学生の履修状況と教育の成果についての評価と課題
1.6.1
学生の履修状況
履修登録者に占める不合格者数の割合は、上限制の適用を受ける学生については、一定程度
減少していることから、履修科目を絞り確実に修得させるという上限制の目的に沿った変化が
起こっているといえる。
法学部では、外国語の卒業資格単位数は 8 であるが、履修指導においては、教養教育の外国
語科目を 16 単位修得することが望ましいとしている。実際にも、外国語の卒業資格単位数を
超えて履修する学生が多くいることがうかがえ、指導に沿った履修が行われていると言える。
留年者に対しては、指導教員が個別指導を行い、状況把握と卒業に向けた指導を行っている
(第7章参照)。
1.6.2
教育の成果
卒業生は、法学部の専門教育に概ね満足しており、特に演習の満足度が高い。そして、
「論理
的かつ合理的に問題を解決できる法的思考能力(リーガル・マインド)をもつ」という教育目
標にある程度応える教育内容であると評価する者が多い(付 1 参照)
。
しかし、
「法律学や政治学の専門的な知識と技能」については、十分獲得したと感じている者
は多くはなく、また、卒業生受入れ機関・企業においても、十分にあるとは評価されていない。
49
第6章 教育の成果
他方、法律事務所以外の企業、官庁等では受け入れる学生に備えてほしい能力として「法律学
や政治学の専門的な知識と技能」をそれほど重視していない(付 2 参照)
。一般企業、官庁等で
は、高度に専門的な知識は大学院修了者や弁護士等の専門家に求め、学士課程卒業者には、多
様な問題に対処するための基礎的能力を重視するとの考え方であると思われる。
学士課程での教育で十分な専門的知識技能を身に付けることは困難になりつつあり、より基
礎的な「論理的かつ合理的な法的思考能力」を身に付けることを重視することが適切ではない
かと考える。
2
卒業者の就職・進学状況
大学・学部が卒業者の進路のための支援活動を展開していくことは、いうまでもなくその重
大な使命の一部である。また、学部教育で培われた専門的学識が卒業後の進路の場で十分活か
されることは、学部教育のひとつの望ましい方向性を示すものであるといえる。その一方で、
卒業後の進路の決定は、さまざまな要素からなる複合的なものであり、卒業者自身の個人的な
事情を少なからず反映するものであることも否定できない(もちろん、専門的学識を深めれば
深めるほどそれを活かしたいと考えるとの意味の相関的な関係は、
一般論しては指摘できよう)。
したがって、卒業者の就職・進学状況は、事柄の性質上、自己評価に馴染みにくい面があるの
で、以下においては客観的な状況を明らかにすることに重きを置くこととする。
2.1
法学部(昼間)
表6-6は、2002年度から2005年度までの各年度における進学・就職状況をまとめたものである。
また、表6-8と表6-10は、同じく各年度の産業別就職状況と地方別就職状況をまとめたものであ
る(なお、表については、便宜上、夜間主も一緒に作成している)。以下、補足的な説明を加
えておく。
2.1.1
進学の動向
進学希望者が2003年度から増えているのは、2004年度の法科大学院制度の発足の影響による
ものである。また、2003年度に進学希望者のうち未定者が半数を超えたのは、法科大学院の選
択で不透明な部分があったことによるものと思われる。
なお、法科大学院への進学者数は、以下のようになっている(かっこ内の数値は過年度卒業
者で外数)。
2003年度卒:岡山大学法務研究科9(6)(他の法科大学院は記録がない)
2004年度卒:岡山大学法務研究科9(12)、他の法科大学院13
2005年度卒:岡山大学法務研究科16(4)、他の法科大学院13
50
第6章 教育の成果
2.1.2
就職の動向
就職決定者に占める官公庁就職者の割合は、年度順に52%、41%、45%、36%となっている。
また、公務員全体に対する地方公務員の割合は、2003年度から順に73%、46%、59%となって
いる(2002年度は項目なし)。
企業就職者に関しては、期間を通じておおむね8割強から9割が大企業に就職しているととも
に、産業別では、一貫して金融・保険業が首位を占めている(年度順に23%、28%、45%、30%)。
そのほかは年度によりバラツキがあるものの、主な分野として卸売・小売業、製造業、情報通
信業を挙げることができる。なお、表2-2のサービス業の中の「法務」とは、弁護士事務所の
ことである
勤務地に関しては、地元岡山県が圧倒的に多く、年度順に42%、31%、36%、38%となって
いるほか、近畿、中国(岡山県を除く)、四国地方といった比較的近隣の地域が目立つ。
2.2
法学部第二部
第二部卒業者の中には、既に職を得ている者もあるが、それでも以前と比べると就職を希望
する卒業者が多数に上るようになった。
就職率では、おおむね7割台後半から8割台前半の数値となっている。また、2005年度では大
学院進学者が増加しているが、今後の推移を見なければ有意な数値かどうかは判断しがたい。
就職決定者のうち官公庁就職者の割合は、年度による変動が大きいが、おおむね2割から半分
強となっている。
企業就職者を産業別に見ると、これも年度ごとのバラツキが目立ち、一部卒業者の場合にお
ける金融・保険業の優位といったような一貫した傾向は見出せない。
法学部(昼間)卒業者との明らかな違いは、当初の勤務地が圧倒的に地元岡山県内となって
いることである。すなわち、2005年度の6割以外はすべて8割以上が岡山県内で勤務しているこ
とになる。
2.3
卒業者の就職・進学に関する課題
今後の課題を2点挙げておきたい。
第一に、資料価値を高めるとともに、学部教育の改善や進路支援活動の強化に反映させるた
めに、進路動向が把握できていないと思われる卒業者割合(おおむね1、2割程度)を、限りな
くゼロに近づける工夫ないし努力が必要かと思われる。
第二に、追跡調査の可能性を検討してみることである。巷間、大学卒業者の3分の1が卒後3
年以内に職を変えているといわれるが、こうした現象が大学・学部教育とどう関わっているの
か否かを含めて、一考の価値があるように思われる。
51
第6章 教育の成果
Ⅱ
法学系研究科
1
修士学位の取得状況
2002 年度から 2005 年度までの法学研究科及び文化科学研究科博士前期課程における修士学
位の取得状況は、表 6-7 のとおりである。
2
修了者の就職・進学状況
表6-7、6-9、6-11は、2002年度から2005年度までの修了者の就職・進学状況、産業別就職状
況、地域別就職状況をまとめたものであり、修了者の進路に関する基本的な状況はこれにより
理解することができる。
なお、法学研究科は、2003年度までで大学院生募集を終了し、以後は文化科学研究科に発展
的に解消されることとなった。したがって、修了者の進路に関わる統計数値としては、2004年
度までが通常の数値であり、2005年度の数値は募集停止後の修了者に関するものである。
52
53
(128)
(11)
24
(26)
40
(19)
37
(17)
44
(11)
24
(14)
19
(16)
31
(15)
35
法学研究科
研究科
(’05)
平成17年度
(’04)
平成16年度
(’03)
平成15年度
(’02)
平成14年度
年度
(1)
2
(1)
4
(16)
45
(18)
50
(6)
25
(1)
6
(0)
0
(60)
99
(42)
84
(48)
103
(63)
110
(14)
31
(11)
27
(15)
30
(17)
31
2
(1)
3
(1)
2
(3)
6
1
(1)
2
1
1
(2)
2
(1)
2
(1)
2
(1)
2
(1)
2
2
(12)
38
(10)
34
(3)
19
2
(10)
33
(10)
32
(2)
15
希望者数 決定者数
(A)
(B)
希望者数 決定者数 未定者数 希望者数 決定者数 未定者数
大学院
修了者
数
進 学 状 況
大学院以外
(1)
4
(1)
6
(7)
11
(6)
9
(71)
120
(66)
140
(64)
130
(71)
133
(18)
40
(18)
36
(19)
37
(18)
37
希望者数 決定者数
(A)
(B)
希望者数 決定者数 未定者数 希望者数 決定者数 未定者数
進 学 状 況
大学院以外
表6-7 大学院修了者の就職(進学)状況
(’02)
平成14年度
年度
大学院
230
平成15年度
(108)
(12)
(1)
(’03)
219
21
6
法学部
平成16年度
(100)
(3)
(7)
(’04)
193
6
11
平成17年度
(107)
(2)
(6)
(’05)
215
9
9
平成14年度
(25)
(’02)
60
2
2
平成15年度
(26)
(1)
(1)
(’03)
53
3
2
1
法学部二部
平成16年度
(22)
(1)
(1)
(0)
(1)
(’04)
60
2
1
1
4
平成17年度
(22)
(3)
(2)
(1)
(’05)
49
9
6
3
注:平成15年度より、就職状況一覧表の様式が一部変更されている。
学部
卒業者
数
表6-6 法学部卒業者の就職(進学)状況
(3)
5
(6)
8
(3)
6
(8)
11
(8)
17
(3)
5
(5)
11
(1)
2
中小企業
(5)
7
(3)
6
(1)
5
(6)
12
(10)
20
(13)
24
2
(28)
51
(15)
34
(23)
46
(21)
39
(4)
8
(5)
14
(5)
10
(3)
6
1
5
(1)
4
(7)
23
大企業
7
(1)
5
(1)
3
中小企業
決定者数
1
12
(2)
9
小計
1
(2)
2
(1)
1
(5)
10
(5)
5
(4)
11
(1)
1
1
3
1
(1)
1
(1)
1
(4)
9
(11)
21
(1)
3
(46)
86
(15)
33
(10)
15
(13)
29
(7)
18
(7)
14
(84.5%)
82.5%
(63.6%)
60.0%
(75.0%)
79.2%
(88.7%)
82.7%
(77.8%)
77.5%
(61.1%)
75.0%
(78.9%)
80.0%
(94.4%)
83.8%
2
(1)
4
2
(1)
2
1
5
(2)
5
(8)
13
1
(1)
5
(2)
5
1
100.0%
(3) (83.3%)
5
86.8%
(4) (100.0%)
8
94.1%
(2) (66.7%)
2
78.9%
就職率
自営 未定者 その他 (B)/(A)
%
未定者数 決定者数 未定者数 決定者数 未定者数 その他 数
(19)
46
(11)
22
(3)
12
(27)
47
(24)
56
(41)
70
小計
就職率
自営 未定者 その他 (B)/(A)
%
未定者数 決定者数 未定者数 決定者数 未定者数 その他 数
就 職 状 況
企業
教員
官公庁
(29)
43
(21)
39
(21)
50
(33)
59
(2)
3
(3)
7
(5)
9
(12)
22
大企業
決定者数
就 職 状 況
企業
教員
官公庁
第6章 教育の成果
54
(’03)
(’05)
平成17年度
(’04)
平成16年度
1
(1)
1
(1)
2
1
(1)
1
(2)
6
1
3
(6)
9
(2)
2
(5)
8
(2)
6
(1)
1
(’05)
平成17年度
(’04)
平成16年度
(’03)
平成15年度
(’02)
1
鉱
業
1
製
造
業
1
1
電
供気
給・
・ ガ
水ス
道・
業 熱
1
3
1
(1)
2
情
報
通
信
業
1
1
(2)
3
(3)
4
(2)
3
(1)
3
(3)
7
(1)
3
1
(1)
1
運
輸
業
(1)
2
1
(2)
3
(1)
2
(1)
1
(2)
3
(1)
3
運
輸
業
卸
売
・
小
売
業
1
3
(2)
2
1
(6)
7
(6)
12
(6)
11
(4)
7
(3)
6
卸
売
・
小
売
業
金
融
・
保
険
業
1
2
2
1
(1)
2
(2)
2
(3)
3
(5)
11
(8)
13
(10)
25
(10)
21
金
融
・
保
険
業
1
不
動
産
業
1
2
2
(1)
1
不
動
産
業
飲
食
店
・
宿
泊
業
2
(1)
2
(2)
2
(1)
2
飲
食
店
・
宿
泊
業
(1)
1
(1)
1
保
健
衛
療
生
業
医
医療・福祉
1
(1)
1
(2)
2
(3)
3
(1)
2
(2)
3
保
健
衛
療
生
業
医
医療・福祉
1
(1)
2
福社
祉会
保
介険
護 事社
業会
(1)
1
(2)
3
福社
祉会
保
介険
護 事社
業会
2
(1)
2
(2)
3
(3)
5
(2)
2
(1)
3
2
(1)
2
学
校
教
育
育
そ
・
の
学
他
業習
の
支
教
援
教育・学習支援業
(1)
1
1
(1)
1
(2)
3
学
校
教
育
育
そ
・
の
学
他
業習
の
支
教
援
教育・学習支援業
ビ
ス
業
複
合
サ
2
1
(2)
3
(1)
2
ビ
ス
業
複
合
サ
ー
平成14年度
年度
建
設
業
1
(1)
3
情
報
通
信
業
法
務
3
1
(7)
8
(1)
2
(1)
2
(1)
1
法
務
宗
教
(1)
2
(2)
2
1
(8)
8
(4)
5
(2)
2
(2)
2
ビ
そ
の
他
ス
の
業
サ
学
術
・
機
開
関
発
研
究
宗
教
6
(1)
3
(3)
12
ビ
そ
の
他
ス
の
業
サ
サ ー ビ ス 業
(1)
1
学
術
・
機
開
関
発
研
究
サ ー ビ ス 業
ー
法学研究科
研究科
農
業
林
業
漁
業
表6-9 大学院修了者の産業別就職状況
法学部二部
平成15年度
(’02)
平成14年度
(’05)
平成17年度
(’04)
平成16年度
(’03)
平成15年度
(’02)
鉱
業
電
供気
給・
・ ガ
水ス
道・
業 熱
ー
平成14年度
年度
製
造
業
建
設
業
ー
法学部
学部
農
業
林
業
漁
業
表6-8 法学部卒業者の産業別就職状況
7
(1)
6
(3)
12
小
計
(8)
8
(6)
7
(2)
2
(9)
10
(1)
3
(1)
2
(1)
2
(2)
2
小
計
(28)
51
(8)
24
(11)
25
(13)
23
(2)
5
(4)
8
(3)
6
(2)
4
地
方
公
務
2
(5)
7
国
家
公
務
1
3
(2)
5
(3)
6
地
方
公
務
公 務
3
(2)
4
(1)
2
(4)
9
(12)
21
(8)
16
国
家
公
務
公 務
1
1
(2)
4
左
記
以
外
1
(1)
1
左
記
以
外
(10)
33
(10)
32
(2)
15
(0)
2
合
計
(60)
99
(42)
84
(48)
103
(63)
110
(14)
31
(11)
27
(15)
30
(17)
31
合
計
第6章 教育の成果
55
(’05)
平成17年度
(’04)
平成16年度
(’03)
平成15年度
(’02)
平成14年度
(’05)
平成17年度
(’04)
平成16年度
(’03)
平成15年度
(’02)
平成14年度
年度
1
1
(4)
9
(8)
10
(2)
9
(6)
16
(0)
2
関東東海
地 方
(9)
18
(5)
17
(5)
11
(7)
13
(0)
1
(1)
2
(2)
2
(3)
4
近 畿
地 方
法学研究科
研究科
(’05)
平成17年度
(’04)
平成16年度
(’03)
平成15年度
(’02)
平成14年度
年度
3
(3)
5
関東東海
地 方
1
(0)
4
(1)
3
近 畿
地 方
表6-11 大学院修了者の地方別就職状況
法学部二部
法学部
学部
表6-10 法学部卒業者の地方別就職状況
3
(0)
1
(1)
3
(岡山県を除く)
中 国
地 方
2
(2)
4
2
(5)
11
(9)
17
(11)
19
(7)
14
(0)
1
(岡山県を除く)
中 国
地 方
1
4
(7)
23
(8)
22
岡山県
(29)
42
(11)
26
(20)
37
(28)
42
(14)
26
(10)
22
(13)
25
(9)
19
岡山県
1
(1)
3
(0)
0
四 国
地 方
(2)
2
(11)
14
(6)
8
(6)
15
(9)
17
(0)
1
四 国
地 方
2
(0)
0
九 州
地 方
1
(2)
5
(3)
5
(3)
10
(2)
3
(0)
0
九 州
地 方
1
(1)
2
(0)
0
その他
の地方
(1)
1
1
(1)
2
(4)
5
(0)
0
(0)
0
その他
の地方
計
計
(10)
33
(10)
32
(2)
15
(0)
2
(60)
99
(42)
84
(48)
103
(63)
110
(14)
31
(11)
27
(15)
30
(17)
31
第6章 教育の成果
第7章 学生支援等
第7章
Ⅰ
法学部
1
履修指導、学習相談
学生支援等
学生の勉学、生活に関する支援は、従来学務委員会が行ってきたが、2004 年度に委員会組織
の改編が行われ、学務委員会は、教務委員会と学生委員会に分割された。したがって、2004 年
度以降は学生の支援等は学生委員会が担当することとなった。
1.1
初年次における履修指導、学習相談
1 年次生に対する履修指導、学習相談に関しては、「法学基礎演習」(2006 年度からは「法政
基礎演習」)として初年度のカリキュラムに組みこみ、法学部として組織的に取り組んでいる。
「法学基礎演習」は、入学直後の学生を対象に全員を 17名程度のクラスに割り振り、それぞ
れ指導教員をつけて前期 2 単位の授業として行われる少人数教育である。具体的には、まず、
法学部共通の学習、大学生活への導入として、図書館ガイダンス、情報実習ガイダンス、裁判
傍聴、場合によっては議会見学等を行っている。次に、初学者への少人数教育の実践として、
文献の読み方、論文的文章の書き方、また、ゼミでの報告・討論のやり方等の大学における学
習方法の基本を教えている。そして、履修指導や学習相談に関しても、この演習の担当教員が
指導教員となり、個々の学生を指導しその相談に対応しうる体制をとっている。この科目は必
修ではないが、ほとんどの 1 年次生が履修している。
初年度でまだ大学の事情を知らない学生に適切な勉学の方向性を与えるという「法学基礎演
習」の狙いは概ね達成されていると言えるが、どのようにしてどの範囲で共通の教育内容を提
供し共通テキストを活用するかを検討し実施することが今後の課題である。
1.2
2 年次以降における履修指導、学習相談
2 年次生については、従来少人数教育が「法政文献講読」として一部の学生を対象としたも
のであった点を改め、4 年間全体を通じた体系的な演習の一環として 2005 年度より通年 4 単位
の「演習Ⅰ」を設定した。これまで 1 年生の基礎演習の教員が 2 年次まで指導教員として学習・
生活支援をサポートしてきたが、実質的には 1 年次の後半から 2 年次の期間は日常的に接する
機会は欠けていた。他方、3・4 年次生については、演習の教員が指導教員として学習・生活支
援をサポートしてきた。演習Ⅰは、その担当教員が 2 年次の指導教員となることによって、こ
うした問題点を改善し、少人数学習の機会を増やし、きめ細かな学習指導、読み書き討論の訓
練に早期に取り組むことができるようになると同時に、学習生活支援の体制を充実させること
が可能になった。また従来の演習は、「演習Ⅱ」と改称し、そこでは 3・4 年次生を対象にしたよ
り高度で専門的な学習に取り組むことができることとなった。
今後の課題としては、3・4 年次生対象の「演習Ⅱ」に加えて「演習Ⅰ」を設けたことにより
教員の負担が増加したこと、これらの演習を必修科目からはずしたことにより演習Ⅰ・Ⅱに参
57
第7章 学生支援等
加していない学生への指導をどのように行うかということ、異なる演習相互の関係等の問題が
残されている。しかし、2 年次から学生が演習において学習を深める意義は極めて大きいと思
われ、その成果を注視したい。
2
自主学習の支援
2.1
自主学習の支援
自主学習を教員が熱心に支援している点も岡山大学法学部の特徴の一つである。
第一に、学生の学習サークルとして、「法友会」(法曹を目指すなど実定法を深く学習するこ
こう ほうかい
とを目的とする学生サークル。岡山大学卒業の法曹の組織である岡法会の協力も得ている。)、
「基本書を読む会」
(主として 1 年次生を対象として、憲法、民法、刑法の基本的内容を学習す
る学生サークル。各クラスで教員が指導に当たっている。
)などがあり、教員がボランティアで
学習の支援に当たっている。こうした勉強会から、司法試験等の合格者が出るなどの成果も生
まれている。また、2005 年には、
「法友会」の学生が、九州瀬戸内学生法律討論会において、
優秀な成績を収めた。
さらに、自主的な学習グループを組織するなど、法学部学生を勉学の面でリードする学生が
育っているのもその成果といえよう。
課題としては、支援する教員の負担の問題があり、負担をどう評価し調整するかについて検
討していく必要がある。しかし、これを正式の授業とすると学生の自主性が失われることにも
なるので、当面は現状を維持しつつ、教員の負担について配慮することが適切と考えている。
第二に、これまで学生の自主的活動として取り組まれてきたものに学生論集「スパイラル」
がある。これは、従来学生組織である法経学生会が法学会の財政的援助を得て毎年編集と発行
を主体的に担ってきたものであり、34 号まで刊行されてきた。しかし学生の自主的活動の低迷
のもと、法経学生会が 2004 年 3 月をもって解散し、その学生論集の行く末が課題となった。2004
年度は、スパイラル刊行委員会を教員有志の協力によって立ち上げることができ、35 号が刊行
された。このような状況において、学生論集の問題に法学部として対応することが検討され、
2005 年度は、「岡山大学法学部学生論集」の刊行を支援することが教授会で決定された。その
結果、学生委員会の提起により「ゼミ連絡会」が組織され、この中から選出された学生と教員
とによって学生論集編集委員会が結成され、各演習 2 本以内という条件で 25 本の論文が提出さ
れ、「岡山大学法学部学生論集第 1 号」が刊行された。
その主たる狙いは、学生に読み書き討論し考える力をつけることにあり、その点では成果が
あったと言えよう。またこの取り組みの中で、特に編集委員として、すべての論文を読み、チ
ェックし、論評を書いた学生の活躍、成長が見られた。その活動の成果は、この論集が、出版
社で校正を必要としなかったところにも現れている。課題としては、やはり教員、学生の負担
があり、今後の継続のため、運営方法を検討していく必要がある。
58
第7章 学生支援等
2.2
法学部・法学会主催講演会等の開催
法学部では、法学部の学術研究団体である「岡山大学法学会」主催の講演会等を毎年行い、
学生に法曹、行政、企業等の活動の実際について実務家から話を聞く機会を設けている。2002
~2005 年度の開催状況は、次のとおりである。
■2002 年度
岡山大学法学会総会・講演会・懇談会
日時:2002 年 10 月 29 日(火)14:20~
場所:岡山大学文法経 20 番教室
講師:森隆政氏(総務省中国郵政局長)
演題:「日本郵政公社の発足と郵便への民間参入」
■2003 年度
岡山大学法学会総会・講演会・懇談会
日時:2003 年 7 月 10 日(木)16:10~
場所:岡山大学文法経 26 番教室
講師:西澤真理子氏(広島県庁勤務・元国連職員)
演題:「国連で地域と世界を結ぶ-国連職員としての二年間をふり返って-」
■2003 年度
岡山大学法学会講演会
日時:2004 年 1 月 15 日(木)16:00~17:30
場所:岡山大学文法経 26 番教室
講師:川端伸也氏(岡山地検検事正)
題目:「司法制度改革について」
■2004 年度
岡山大学法学会総会・講演会・懇談会
日時:2004 年 6 月 24 日(木)14:30~
場所:岡山大学文法経 26 番教室
講師:李鳴教授(中国・北京大学法学院)
演題:「中国における法学教育と法曹育成」
■2005 年度
岡山大学法学会講演会
日時:2005 年 10 月 18 日(火)16:00~17:30
場所:総合研究棟2階共同研究室
講師:ディーター・アイセル教授(ドイツ・ギーセン大学)
題目:「統一後のドイツの政治について」
■2005 年度
岡山大学法学会総会・講演会
日時:2005 年 10 月 25 日(火)16:00~17:30
場所:岡山大学文法経 26 番教室
59
第7章 学生支援等
講師:吉野夏己助教授(本学法務研究科・弁護士)
演題:「あなたも法律家になりませんか」
■2005 年度
岡山大学法学部⁄法学会
講演会
日時:2005 年 12 月 15 日(木)10:20~11:50
場所:岡山大学文法経 10 番教室
講師:福島克臣氏(岡山県警察本部長)
演題:「治安の悪化と少年問題」
■2005 年度
岡山大学法学会講演会
日時:2006 年 1 月 19 日(木)19:20~20:50
場所:岡山大学文法経 11 番教室
講師:森
一憲教授(吉備国際大学)
演題:「中国ビジネスと法的リスクの回避」
3
生活、就職等の支援
3.1
インターンシップ
学生委員会の最も重要な活動のひとつは、インターンシップの拡大・充実である。この活動
は 2000 年度にこの制度が始まって以来確実に成長し、2005 年度には 43 名の学生がインターン
シップに参加した(インターンシップの実施状況は第 5 章表参照)。その意義として、①大学の
授業では経験できない体験ができた、②将来の職業選択参考となった、③実仕会の厳しさを知
ることができた、等が学生の声として挙がっており、実際インターンシップは学生を人間とし
て成長させる重要な機会となっている。
課題は、どのようにすればもっと多くの学生が参加できるか、という点である。法学部が単
位を出すにふさわしい企業体験のブログラムが多くない中で仕方のない側面もある。地域、企
業等のさらなる理解と法学部の側の努力が必要であろう。また、インターンシップの受入れ企
業のカリキュラムは多様であり、学生とのミスマッチが起こらないようにすることも今後の課
題である。
3.2
就職支援
就職支援は、学務部において全学的な就職活動セミナー、企業・官庁説明会などの就職支援
活動が活発に行われるようになった。学部には専任の教職員もいないため、できることは限ら
れており、むしろ法学部独自の企画をしようとしても全学の催しと日程が重複することもあっ
た。その中で、2005 年度に 1 回ではあるが法学部の主催による企業説明会(3 社参加)を開く
ことができたのは前進であろう。
また、個別的な企業の求人情報が学生にまで行きわたらないという問題が指摘されていた。
これについては、法学部生を対象とした個々の求人情報を、メーリングリストを通じて法学部
60
第7章 学生支援等
の全教員に届くシステムを作った。教員のゼミを通した紹介はそれなりに成果を挙げている。
就職支援に関する課題は、早い段階から就職への学生の意識を醸成していくことと、学部の就
職支援体制をより充実させることにある。例えば、ホームページを工夫し、企業と学生が相互
に利用しやすいシステムを作ることも考えられる。
3.3
学生生活面の支援
近年特筆すべき生活支援としては、学生のメンタル面での問題への対応が挙げられる。具体
的には、長期間単位を取っていない学生なども存在しているが、その実態や状況を把握するこ
とは大変困難である。そこで、2004 年から、各年度に標準的に取得すべき単位数を取得してい
ない学生に対しては、指導教員と学生委員とが連絡を取り、状況を把握し相談に応じ指導を行
い、更には親にも連絡を取るという体制を整えた。その中で、大学に出てこられず引きこもっ
ている学生を発見することもできた。これらの学生の支援には保健・環境センターのメンタル
ヘルスの医師の協力も得て相談に乗るケースもあった。学生委員会にとっても、このような生
活上の問題や心理的な問題を抱える学生への対応は今後ますます重要となるだろう。
3.4
生活、就職支援の評価と課題
それぞれ分野の課題は前述のとおりであるが、就職支援について、補足したい。
法学部の就職率は、必ずしも高くない状況が続いている。その理由としては、自己の適性を
見極め、自己の希望を時間をかけても達成させようとする傾向もあると考えられ、就職しても
3 年以内に転職する者が多い状況を見ると、そのことは悪いことではない。しかし、進路につ
いて考え始める時期が遅いことも原因となっている可能性がある。全学の就職支援活動は、3・
4 年次生の就職活動への直接支援が中心であるが、他方教養教育科目にキャリア形成について
考える科目も開講されている。1・2 年次生のうちからキャリア形成についてどのように指導す
るかを検討することが必要であると考えられる。
Ⅱ
法学系研究科
1
履修指導、学習相談
法学系研究科の大学院生に対する履修指導、学習相談等については、2004 年度以降は文化科
学研究科が全体的な指導を行い、その方針の下で主として各指導教員が行っている。院生が履
修する科目を決定するに当たっては、指導教員の承認を得るよう指導している。
2
自主学習の支援
学習支援として、院生室の割当て及び環境整備、無料コピー可能枚数の確保、院生用図書の
購入などを行っている。また、文化科学研究科としてはインターンシップに取り組んでいない
が、法学部インターンシッブの一環として受入れ企業の承認があった場合、院生の参加を認め
ることとしており、2005 年度に 1 名の税理士事務所へのインターンシップ参加が実現した。
61
第7章 学生支援等
3
生活、就職等の支援
院生の就職支援も、全学の就職支援活動の中で行われているが、今後、研究科においても充
実させていくことを検討する必要である。
62
第8章 施設・設備
第8章
1
施設・設備
施設・設備
1.1
施設・設備の概要
本学部の施設は、その多くが経済学部や文学部等との共用スペースである(表8-1)。講義室
としては、400人収容の大講義室をはじめとして、演習用の講義室を含めた大小の講義室が設け
られている。これらすべての講義室にはエアコン等の空調設備が完備されており、TVモニタ
ー、大型プロジェクター、VTR等の教育設備も整備している。また、本学部には独自の資料
室があり、ここには法学および政治学の研究・教育にとって不可欠な国内外の主要な学術雑誌
等の重要な資料が収められている。この施設は、教員だけではなく、一般学生にも開放されて
おり、本学部にとっての教育・研究上の拠点とも言うべき施設の一つである。また、法学系の
大学院生にはすべてエアコン付きの研究室が確保されており、各院生専用の机や書棚等も配置
されている。
1.2
情報教育関連の施設・設備
現在、本学部のすべての教員が研究室において学内LANを使用しており、教員以外の一般
学生に対しても、本学部情報実習室、文化科学総合研究棟の共同端末室および全学の総合情報
基盤センター等の情報関連施設が開放されている。本学部が管理する情報実習室には20台のパ
ソコンが設置されており、授業の準備や、電子メール、インターネットによる情報収集など、
多くの学生によって当施設が利用されている。また、1.1で紹介した資料室には検索用パソコ
ンが設置されており、「判例マスター」などのCD‐ROM検索、諸外国の判例、法令等を収
録する「Lexis.Com」、国内の判例を収録する「LEX/DB」などのオンラインで
のデータベースによる学術情報の検索が可能となっている。2006年度からは、第一法規の法律
総合データベース「D1‐Law.Com」の検索も可能となっている。
1.3
施設・設備の運用上の方針
本学部では、「演習室の授業時間以外における使用心得」、「法学部実習室使用心得」およ
び「法学部資料室利用案内」ならびに「社会文化科学研究科大学院生研究室利用規定」等の諸
規則により、具体的な利用時間や使用目的および方法、使用上の注意事項等の一般学生による
これら施設・設備の利用に関する方針が明確に定められている。これらの規則は本学部の施設・
設備の利用者に周知徹底されており、その有効な運用もしくは活用のための基本的な環境も確
保されている。
63
第8章 施設・設備
表8-1
平成16年9月1日現在
区
建
分
名 称
土
文学部・法学部・経済学部
地
87,687(㎡)
建 面 積
(㎡)
延 面 積
(㎡)
号
館
RC―5
1,641
6,790
2
号
館
RC―5
1,007
5,079
RC―2
1,044
2,104
義
棟
〃
渡
廊
ポ
ン
下
プ
室
倉
庫
第 二 部 学 生 控 室
考 古
学
資 料 館
〃
物
実
験
室
〃
文 化 科 学 系総合研究棟
計
[備
造
1
講
動
構
物
RC―2
430
878
R―1
17
17
RC―1
26
26
RC―1
8
8
W―1
436
436
CB―2
393
575
W―1
33
33
CB―1
66
66
CB―1
21
21
SR―6
883
87,687(㎡)
6,005
4,951
20,984
考]
・文学部・法学部・経済学部は、附属図書館及び総合情報処理センター用地を含む。
・文化科学系研究棟は、放送大学岡山学習センターを含む。
1.4
施設・設備の評価と課題
現時点での基本的な問題点としては、教員および学生数の現員に照らして、研究室や講義室
のための基本的なスペースが飽和状態に近づきつつあるという問題があり、より充実した施
設・設備の整備を図る必要上、新たな総合研究棟の新営工事を他の関連部局とともに要求して
いるところである。また、プレゼンテーションソフトが利用できる設備を備えていない教室が
多く残っており、その整備も求められている。
64
第8章 施設・設備
2
図書・資料の整備
2.1
法学部資料室
法学部においては、2002 年度以降も継続して図書・資料の整備に努めてきた。これらの
図書・資料のうち、特に「法律共通経費」や個人研究費で購入している雑誌類や、記念論文
集、参考図書等については、主に法学部資料室に配架されている(表 8-2 参照)
。
ただ、近年、附属図書館が電子情報(電子ジャーナル・データベース)主体の資料整備へ
と基本方針を転換したこと、さらには国からの交付金の漸減の影響で、各学部に割り振られ
る金額が減り、その結果、研究費全体が減少し、図書・資料購入にあてることのできる額も
減少していることなどから、特に高額な洋雑誌の冊子体について購読打切りを余儀なくされ
る事態が生じている。2005 年度に雑誌の冊子体の購読打切りが数多く出ているのはこうし
た事情による(表 8-3 参照)
。こうした電子化・研究費削減の流れは、法学部と法務研究科
とで共同で負担している雑誌類(法律共通雑誌)の購読についても影響を及ぼしている。地
域における研究拠点として、ある程度冊子体を確保しておくことが重要である一方で、各部
局の予算の限界との関係では電子媒体に移行せざるを得ない面もあるため、今後はこれらの
双方の要請の調整点をどこに求めるかが課題となる。
法学部資料室は、上記のような資料をまとめて所蔵していることや、比較的アクセスしや
すい箇所に設置されていること、懇切丁寧な職員の対応が得られることなどもあり、研究・
勉学の際の重要な拠点として、教員のみならず大学院生・学部学生にも頻繁に利用されてい
る。なお、上述した図書・資料の電子化に伴い、資料室の業務も、従来の受入・管理に関す
るものだけでなく、電子媒体の利用支援―検索方法の教示等―に関するものが増えて来てい
る。また、2004 年度から法学会に関する会計業務や法学部共通経費・学部長裁量経費・特
別配分経費(学長裁量経費)についての Web 入力業務(ただし、2006 年度からは図書・資
料(室)に関するもののみ)も資料室が担当することになった。さらに、特に社会人院生や
夜間主コースの学部生から、土曜開室や平日の開室時間延長の要望も出ている。このような
ことに照らすと、これらの新たな業務や利用者からの要望に対応するため、学部として資料
室の人員をいかに確保して行くかという点が今後の重要な課題となる。
表 8-2
法学部資料室雑誌等所蔵数(2002 年度~2005 年度)
年度
和雑誌
洋雑誌
和図書
洋図書
検索用 CD 等
視聴覚資料
2002
1047
529
1223
570
2003
1082
534
1244
581
2004
747
262
1052
570
9
16
2005
789
268
916
626
9
16
*雑誌・CD・視聴覚資料はタイトル数、和・洋図書は冊数。ただし追録は 1 タイトル 1 カウント。
*図書は記念論文集・参考図書・追録含む
*2004 年度において、特に雑誌の所蔵タイトル数が 2003 年度よりも大きく減少しているのは、2003 年度末
の書庫移動・整理の影響である(なお、この結果、附属図書館に配架場所が移動したものも多い)。
65
第8章 施設・設備
表 8-3
2005 年度購入中止雑誌タイトル数
中止理由
和書
重複
11
2
2
電子化
2.2
計
11
終刊・休止等
それ以外
洋書
10
30
30
22
32
「基本図書」の整備
法学部では、
「法学部共通経費」の枠内で、毎年 300 万円前後を「基本図書整備費」にあ
て、研究に不可欠な基本図書(のうち、特に個人研究費では購入しづらい高額な全集・シリ
ーズ物等)
、各種記念論文集、辞典・年報類、判例・法令を収録した各種 CD-ROM(update
を含む)を購入し、学生・教員の研究環境の整備に努めている。2002 年度以降 2005 年度ま
でにこの枠で整備された資料については、表 8-4 を参照願いたい。
なお、基本図書の整備に関しては、個人研究費逼迫という事情に鑑み、その申請額の下限
(現時点では 5 万円)を引き下げることや、各講座による記念論文集枠の有効利用のための
方策等が今後検討すべき課題として出てくるものと思われる。
表 8-4
基本図書整備費予算配分
配分総額
(ⅰ+ⅱ+ⅲ+
予算年度 ⅳ)
ⅲその他基本図 ⅳ 院 生 用 図
ⅰ記念論文集 ⅱ欠号補充費
書
書
2001
\2,793,250
\400,000
\100,000
\1,893,250
\400,000
2002
\3,158,160
\400,000
\100,000
\2,258,160
\400,000
2003
\2,122,600
\400,000
\50,000
\1,599,100
\73,500
2004
\3,120,000
\400,000
\50,000
\2,596,500
\73,500
2005
\3,100,000
\500,000
\50,000
\2,550,000
\0
2.3
製本
法学部資料室では、定期的に雑誌の冊子体を製本し、資料の有効保存に努めている。製本
状況については、表 8-5 を参照願いたい。
表 8-5
製本冊数
年度
和雑誌
洋雑誌
計
2002
513
58
571
2003
170
406
576
2004
237
334
571
2005
17
300
317
66
第8章 施設・設備
2.4
図書・資料整備の評価と課題
先に述べたように、資料室の業務に応じた人員の確保、個人研究費が減少する中での図書整
備費の有効利用などの課題がある。
これらに加え、図書利用システムについての課題がある。法学部の教員が個人研究費により
購入した図書、さらには「学生用図書」として附属図書館に推薦した図書も、原則として附属
図書館に配架され、蓄積されている。こうした図書は、配架後そのまま館内にある場合には特
に問題はないが、
「研究室貸出」という形で長期間館外に出ている場合には、学生が利用しづら
いという問題がある。一方、学生用図書の場合は、長期間の貸出は不可能であるためそうした
問題は起こらないが、そもそも各部局への「学生用図書」の配分額そのものが少ないという問
題がある。こうした問題につき―ある程度各教員の意識改革も必要となろうが―学部としてど
う対処して行くかということが課題となろう。
67
第9章 教育の質の向上及び改善
第9章
I
1
教育の質の向上及び改善
法学部
質の向上及び改善の体制
1.1
全学における体制
全学の教育改善活動(ファカルティ・ディベロップメント)は、岡山大学教育開発セン
ターを中心に次のような活動が進められている。
(1)授業評価アンケート
岡山大学教育開発センターによって、2001 年度前期より全科目を対象として、学生によ
る「授業評価アンケート」が実施されている。アンケートは総合的評価、担当教員の熱意・
意欲に関する項目、教材・スケジュール・課題等の適切性、教員の説明能力に加え、学生
の意欲や評価に関する項目および自由記述(講義で良かった点、良くなかった点とその改
善方法、そのほかの要望など)から成っている。アンケート結果は学部ごとに集計し、集
計したものが公表される。個々の科目の結果は、自由記述部分とともに当該担当教員にフ
ィードバックされている。
(2)岡山大学桃太郎フォーラム
毎年 1 回教育開発センターおよび FD 専門委員会の企画による「桃太郎フォーラム」が開
催され、学内外の FD 関連の専門家等を招いた講演会に加え、五つの分科会における研究報
告が行われている。法学部からは、毎年数名が参加している。
(3)学生・教職員教育改善委員会
学生・教職員教育改善委員会は各学部、教育開発センターおよび学生から委員を集めた
全学組織であり、新授業提案や授業評価に関するワーキンググループが置かれている。学
生委員と頻繁な会合が行われ、教育に関する広範な問題が話し合われている。
(4)新任・転入教員 FD 研修会
新規採用者については、教育開発センターによる研修が行われており、大学の機構説明
や、授業評価アンケートの概要、その活用の方法などについての説明が行われている。
1.2
法学部内の体制
法学部内の教育改善活動は、教務委員会が中心となって進めている。
(1)教育フォーラム
学部教育について、広く全教員が参加できる形で重要な問題について意見交換するため、
2005 年度より「教育フォーラム」を年 2 回程度開催している。教育フォーラムでは、実際
の教育の場面におけるさまざまな問題について情報提供が行われるとともに、カリキュラ
ムの内容の検討など自由な雰囲気のなかで活発な議論がなされている。
69
第9章 教育の質の向上及び改善
(2)1 年次生アンケート
毎年 7 月に 1 年次生に対してアンケートを実施しており、講義・カリキュラムに対する
要望や進路希望等を調査している。
また、1 年次生向けの法学基礎演習で使用している共通テキストについてのアンケート
も同時に行っており、これに基づいてテキストの改善を行っている(第 5 章Ⅰ参照)。
2
教育の質の向上のための取組み
2.1
授業評価アンケート
2003 年度以降の全学授業評価アンケートにおける全学部平均と法学部・第二部(夜間主
含む)の結果を示す(図 9-1~図 9-7)。「総合的評価」、「担当教員の授業に対する評
価・意欲」、「教科書・参考書・資料配付の適切性」などの項目で高い評価を得ているこ
とがわかる。一方、板書・視聴覚教材利用の適切性など一部の項目について、年度によっ
ては全学平均に満たなかったこともある。この点については、今後改善を検討するととも
に、授業の受講の仕方について学生に指導することも検討課題である。
(各図のグラフの左側の「4.3」等の数字は、「良い」を 5、「悪い」を 1 とした 5 段階評価の回答の平
均点である。)
図9ー1.総合的評価
図9ー2.担当教員の授業に対する熱意・意
欲
4.3
4.2
4.1
4
3.9
3.8
3.7
4.6
全体
法
法夜間
全体
法学部
法夜間
4.4
4.2
4
3.8
15前 15後 16前 16後 17前 17後
15前 15後 16前 16後 17前 17後
図9ー3教科書・参考書・資料配付の適切性
4.4
図9ー4板書・視聴覚教材利用の適切性
4.2
4.2
全体
法学部
法夜間
4
3.8
4
全体
3.8
法学部
3.6
法夜間
3.4
3.6
3.2
15前 15後 16前 16後 17前 17後
15前
70
15後
16前
16後
17前
17後
第9章 教育の質の向上及び改善
図9ー6.授業スケジュール・時間配分の適
図9ー5.講義・説明の聴き取りやすさ
4.2
4
3.8
3.6
3.4
3.2
全体
法学部
法夜間
切性
4.1
4
3.9
3.8
3.7
3.6
3.5
全体
法学部
法夜間
16前
15前 15後 16前 16後 17前 17後
16後
17前
17後
図9ー7予習復習の指導やレポート・宿題
の指示の適切性
4.1
4
3.9
3.8
3.7
3.6
3.5
全体
法学部
法夜間
16前
2.2
16後
17前
17後
卒業生アンケート
岡山大学で行われている教育について、2006 年 3 月に本学を卒業する学生を対象にした
アンケートが 2006 年 1 月に行われた。そのうち、次の問に対する回答の集計結果を示した
のが図 9-8 である。
岡山大学での大学生活をとおして、次のような知識や能力をどの程度獲得したと思いま
すか。「十分獲得した」~「獲得していない」の 5 選択肢から一つ選んでください。(図
の数字は「十分獲得した」および「ある程度獲得した」と回答した者の割合(%))
図 9-8 では、本学部(昼間・二部)に対する評価と全学部の平均を比較している。法学
部が「専門知識」など一部の項目を除く多くの項目において、平均を上回る評価を得てい
ることがわかる。
また法学部教育の満足度については,5 割を超える学生が「非常に満足している」,「か
なり満足している」との評価をしており,「やや満足している」と答えた学生を含めると
85%(第二部では 90%以上)の学生がおおむね満足しているとの評価であった。
71
第9章 教育の質の向上及び改善
図9-8
0
20
40
60
80
幅広い教養 .1
専門的知識等 .2
論理的思考力 .3
的確な判断力 .4
全学
法
法二
課題探求能力 .5
困難対処能力 .6
国際的視野 .7
外国語能力 .8
リーダーシップ .9
協調性 .10
II
文化科学研究科
質の向上及び改善の体制
法学研究科(2002~2003 年度)においては、法学部と同様の体制で教育改善策が取られ
ていた。
文化科学研究科(2004~2005 年度)においては、教育・指導評価委員会がおかれ、大学
院生の研究・教育上の問題を議論している。この委員会において、大学院生の研究・教育
上の問題点等を調査するための「大学院教育アンケート」が毎年実施されている。アンケ
ートは記述式で、「授業について」、「教育体制・カリキュラム全般について」、「学生
と教員間の交流について」、「施設・設備について」感想、希望等を聞いている。集計結
果は自己評価・教育内容検討委員会においてさらに検討され、教育・研究指導に反映され
る。
72
第10章 財 務
第 10 章 財
1
務
予算・決算
1.1
予算・決算の概要
本学が2004年4月より国立大学法人に移行したことにより、以下、法人移行以前の2002年度お
よび2003年度と法人移行以後の2004年度および2005年度の二つの時期に大別して、本学部の財
務の概要について説明する。
2002年度および2003年度の本学部予算は、基本的に、本省積算の予算から大学として必要な
経費(特別配分経費および共通経費等)の確保が行われた後、本省予算の編成に従って配分さ
れた。その金額と内訳は、表10-1のとおりである。
国立大学法人移行初年度の2004年度の本学部予算は、基本として、当該年度の収入見込額お
よび運営費交付金の予算措置状況を勘案の上、その配分額の大枠が決定された。運営費内示額
(38,129,000円)と学部長裁量経費(3,297,000円)を合わせた同年度の当初配分額は、
41,426,000円であり、なお、文化科学研究科からの校費の振替分をはじめとする追加予算を加
えた本学部への最終的な配分額は、46,762,602円となっており、その執行金額は、46,016,963
円であった。2005年度の当初配分額は、39,956,000円であり、追加予算を加えた同年度の最終
的な学部配分額は41,494,796円、執行額は37,213,112円であり、4,281,684円の黒字決算とな
っている(表10-2)。
2005年度に大幅な黒字となったのは、目的積立金として、施設・設備の整備等の教育研究活
動に必要な経費への計画的な充当のため、教育研究活動の合理化と諸経費の節約に努めてきた
結果である。ただ、他の諸事情もあって経費支出を大幅に抑えたことから、教員の学会等への
出張旅費を支出できなかったなどの問題も生じた。
表10-1
法学部2002年度、2003年度予算
単位:円
2002年度
2003年度
67,921,000
59,033,000
非常勤職員手当
8,534,000
9,447,000
職員旅費
4,603,000
4,548,000
408,000
336,000
5,4376,000
44,702,000
-499,167
0
配分額
(内訳)
講師等旅費
校費
(普通庁費・教育研究基盤
校費)
残額
73
第10章 財 務
表10-2
法学部2004年度、2005年度予算
単位:円
2004年度
2005年度
配分額
46,762,602
41,494,796
うち当初配分額
41,426,000
39,956,000
38,129,000
34,241,000
3,297,000
2,038,000
(内訳)
運営費内示額
学部長裁量経費
3,677,000
非常勤講師手当等
執行金額
46,016,963
37,213,112
4,235,633
2,654,726
一般管理費
11,036,163
11,786,240
教育研究費
30,666,896
22,711,060
78,271
61,086
745,639
4,281,684
(内訳)
人件費
特別事業経費
残額
* 2004年度以降の配分額が大幅な減額となっているのは、主として、2004年4月
に法科大学院が設置され、それに伴う法学部教員の減員が生じたことによる。
各年度の教員の現員数については、2002年度(44人)、2003年度(48人)、
2004年度および2005年度(33人)である。
1.2
教育研究費について
教育研究費は、
本学部の教育研究活動を進めて行く上での最も基本的な経費であり、
それは、
資料室経費(製本費・事務室運営費)、紀要出版費、共通経費(基本図書整備費、広報関係経
費、備品費、修理費、情報関係経費等)、印刷経費、留学生経費、予備費および教員研究費と
いった各種経費から構成されている。資料室経費、基盤図書整備費などの学部の共通的な経費
をまず確保した上でその他の経費の配分額を決定するのが、法人化移行後の本学部における教
育研究費の基本的な配分方針である。2002年度から2005年度にかけての本学部の教育研究費は、
それぞれ表10-3のとおりとなっている。
国立大学法人化移行以前と以後の本学部の教育研究費を比較した際に最も際立った変化は、
学部全体の予算に占める教育研究費の割合のそれであり、法人化移行以後の学部予算に占める
教育研究費の割合は、法人化移行以前のそれに比べて大幅な低下となっている。その理由は、
資料室経費、基盤図書整備費、学生に配布するシラバス等の印刷費などの経費は減額すること
が困難な経費で、配分経費の減の影響は、特に教員研究費の大幅な減額につながっている(表
10-3)。こうした法人化以後の教育研究費をとり巻く状況は、本学部の教育研究活動の内容にき
わめて大きな影響を与えている。
74
第10章 財 務
表10-3
教育研究費および教員研究費の推移
2002年度
教育研究費(非常勤 43,246,241
講師手当等を除く。)
教員研究費
28,116,000
(円)
2003年度
2004年度
2005年度
42,542,496
22,990,602
20,217,322
25,728,000
12,243,000
8,580,000
* 一人当たりの教員研究費は、法人化以前の2002年度および2003年度が、それぞれ639,000 円 と
536,000 円、法人化以後の2004年度および2005年度が、それぞれ371,000 円 と 260,000 円である。
1.3
財務の評価と課題
法人化への移行以後、本学部は、特に教育研究活動の合理化と諸経費の節約に努めてきた。
その努力は、ここ2年間の学部経費の黒字決算に如実に現れている。その使途については、中期
計画に基づいて、目的積立金として、施設・設備の整備等の教育研究活動に必要な経費への計
画的な充当を予定している。しかし、大学全体の運営費交付金が毎年の減額となる昨今の厳し
い状況において、
本学部が教育研究活動をその目的に即して財政上健全に進めていくためには、
その適切な収支の維持に向け、今後もさらなる努力が必要である。特に、学部全体としては、
施設整備費をこれまで以上に積極的に要求していく姿勢と共に、各教員レベルでは減額傾向の
研究費を補う上でも学長裁量経費等の学内資金、さらには、科学研究費や民間の研究助成金と
いった外部の競争的資金の獲得に向けた一層の努力が求められるところである。
2
外部資金、競争的資金
2.1
学長裁量経費・特別配分等の学内措置による経費配分状況
学内における競争的獲得経費として、学長裁量経費・特別配分等がある。これら学内措置に
よる経費は、年度により申請区分が異なるが、法学部での採択・配分状況(文化科学研究科と
しての採択を含む)は、以下のようになっている。また、2004 年 4 月より国立大学法人に移
行したことにより、部局長裁量経費が、教育・研究活動のために競争的環境の下で、重点的に
配分されている。以下には、文化科学研究科長裁量経費の配分を受けた研究プロジェクトにつ
いても記載する。
2002 年度
1.教育改善推進費(学長裁量経費)
:採択件数 1 件
配分額 2,200 千円
2.特別配分(個人・グループ・プロジェクト)
:採択件数 8 件
配分額合計 7,972 千円
2003 年度
1.教育改善推進費(教育研究改善・改革プロジェクト経費)
:採択件数 1 件
2.教育改善推進費(教育基盤設備充実経費)
:採択件数 1 件
3.特別配分(個人・グループ・プロジェクト)
:採択件数 9 件
配分額 1,200 千円
配分額 8,000 千円
配分額合計 3,293 千円
2004 年度
1.学長裁量経費(教育研究プロジェクト経費)
:採択件数 1 件
75
配分額 2,000 千円
第10章 財 務
2.学長裁量経費(地域貢献支援事業費)
:採択件数 1 件
3.学長裁量経費(国際交流等経費)
:採択件数 1 件
4.特別配分・研究経費(個人):採択件数 1 件
配分額 1,000 千円
配分額 1,000 千円
配分額 500 千円
5.特別配分・研究経費(プロジェクト)
:採択件数 1 件
配分額 2,000 千円
6.文化科学研究科長裁量経費(研究プロジェクト)
:採択件数 1 配分額 1,000 千円
2005 年度
1.学長裁量経費(国際交流等経費)
:採択件数 1
配分額合計 500 千円
2.特別配分・教育経費(プロジェクト):採択件数 1 配分額合計 1,000 千円
3.特別配分・研究経費(個人):採択件数 2
配分額合計 1,000 千円
4.特別配分・研究経費(プロジェクト)
:採択件数 2(うち、1 件は文化科学研究科として
の採択)
配分額合計 2,000 千円
5.文化科学研究科長裁量経費(研究プロジェクト)
:採択件数 1
2.2
配分額 1,000 千円
文部科学省科学研究費補助金
法学部教員に対する科学研究費補助金の交付状況は、次のとおりである(内訳は第 12 章 2
参照)
。
表 10-3
科学研究費補助金交付状況(交付額の単位は千円)
年度
件数
交付額
2002 年度
10
15,200
2003 年度
13
19,500
2004 年度
5
8,200
2005 年度
10
13,600
2.3
競争的資金の評価と課題
法学部にかかわる 2002 年度および 2003 年度における学長裁量・特別配分の特徴は、法科大
学院(法務研究科)設置のための調査・研究経費が比較的手厚く措置されたことにある。2002
年度および 2003 年度の教育改善推進費はこれに関するものである。他方、2004 年度から、法
学部では学部内に研究基盤強化フォーラムを設置し、法学部研究委員会と協同して、これまで
の個人対応のみであったものを拡大し、研究プロジェクト、グループ研究について積極的に、
学長裁量・特別配分や科学研究費への応募をしてきている。2004 年度における科学研究費の配
分件数がいったん減少しているが、これは法務研究科設置により、法学部所属教員が法務研究
科への移籍等により減少したことに起因すると考えられる。しかし、2005 年度には増加してお
り、個別教員の努力とともに、上記の研究基盤強化フォーラム、法学部研究委員会の活動によ
り、今後一層の増加を実現できる態勢整備を継続していくことが課題となろう。
76
第11章 管 理 運 営
第11章 管 理 運 営
1
管理運営体制及び実施状況
1.1
教授会
教授会は法学部及び法学研究科(修士課程)
(2004 年度からは、大学院文化科学研究科の法
学系学生。大学院の改組については第2章Ⅱ参照)の教育、研究及び管理運営の重要事項の審
議決定機関として運営されてきた。それとともに、教授会は法学部及び法学研究科並びに岡山
大学全体に関する重要な情報を共有する場としても、重要な役割を果たしてきた。
教授会の運営については、月 1 回 3~4 時間かかっており、審議事項とされていたもののう
ち、軽微なものについては報告事項とし、あるいは委員会の決定事項とするなどにより効率化
を図っている。しかし、運営に関する重要事項について情報を共有し、審議検討するためには、
この程度の時間は必要と思われる。また、審議事項に関する資料の事前配布や意見交換は、必
要に応じ電子メール等によっても行い、短時間で実質審議ができるようにするとともに、教授
会の場以外での意見交換を可能にしている。
1.2
執行体制
2003 年度以前は、学部長、評議員(1 名)及び第二部主事が法学部の管理運営の中心となっ
て、企画立案や執行を行ってきた。
2004 年 4 月からの法人化後の学部の執行体制については、本学全体として評議員を廃止し、
1~2 名の副学部長を置くこととされた。法学部では 2 名の副学部長を置き、学部長とともに管
理運営の中心となって、企画立案や執行を行っていくこととした。
学部長及び副学部長は、教授会メンバーの選挙により決定している(2003 年度以前も、学部
長、評議員(1 名)及び第二部主事は選挙により決定していた。)。
事務組織は、文学部・法学部・経済学部等事務部が、3 学部、文化科学研究科及び法務研究
科の 5 部局を担当している。法学部教授会には、法学部担当主査並びに庶務係、会計係及び教
務学生係から各 1 名が出席している。原則として教授会の 2 日前に、学部長及び副学部長及び
教授会に出席する事務職員が集まり、教授会の議題整理をしている。
1.3
各種委員会
法学部に置いている各種委員会とその所掌事務は、2005 年 5 月現在次のとおりである。
法務研究科の設置により教員数が減少したので、法学部の委員会、全学の委員会の委員をほ
ぼすべての教員が 2 以上担当しており、負担が大きくなっている。このため、委員会の整理統
合、業務の簡素化に努めているが、負担は依然として大きい。
委員の選任は、2003 年度までは原則として教授会メンバーの投票により決めていた。しかし、
77
第11章 管 理 運 営
教員の業務負担に偏りが生じがちであること、投票に時間がかかることなどから、2004 年度の
委員の選任から学部長の指名により決めている。委員の任期は原則として 2 年である。
(1)
総務委員会(メンバーは学部長、副学部長、各講座から 1 名)
学部、大学院法学系研究科に関する重要事項
具体的には、組織体制、総務、財務・施設、国際交流、情報公開など
(2)
人事委員会(メンバーは総務委員会と同じ)
教員人事
(3)
自己評価委員会(メンバーは総務委員会と同じ)
自己評価(学部、全学)、教員個人評価
(4)
教務委員会(メンバーは副学部長、各講座から 1 名)
教務、FD(ファカルティ・ディベロップメント)、公開講座、教養教育
(5)
入試委員会
学部の入試、3 年次編入試
(6)
学生委員会
学生生活、就職、教育実習関係、インターンシップ、留学生関係、EPOK(短期留学派遣)、
交通安全
(7)
情報委員会
情報実習室管理、広報、高校への出前授業、高校生の学部訪問受入れ
(8)
研究委員会
プロジェクト研究の調整、図書・雑誌の整備
(9)
国際交流委員会
外国の大学との交流
(10)文法経等安全衛生委員会
教職員の安全衛生
1.4
5 部局連絡会
文学部、法学部、経済学部、文化科学研究科及び法務研究科の 5 部局の長が、月 1 回集まり、
全学的課題についての意見交換、5 部局が使用している施設、区域の管理等についての調整等
を行っている。
1.5
他大学との意見・情報交換
他大学との意見・情報交換を行う会議として、次のものがある。これらは、学部長等管理運
営に携わる教職員が、他大学の状況、文部科学省の政策の動向などについて情報を得、意見交
換を行うことにより、学部の管理運営、将来構想等について考える機会となっている。
(1)
六大学法文系学部長会議
千葉、新潟、金沢、岡山、香川、熊本の六国立大学の文・法・経済学部長、大学院の法文
78
第11章 管 理 運 営
系研究科長及び事務長が、年 1 回意見・情報交換を行う。
(2)
国公立大学法学部連絡会
国公立大学法学部長が、年 1 回意見・情報交換を行う。
(3)
夜間教育実施大学学部長・第二部主事会議
国立大学のうち夜間教育実施大学の学部長・第二部主事及び事務担当者が、年 1 回意
見・情報交換を行う。
1.6
管理運営体制及び実施状況の評価及び課題
管理運営組織として、教授会、各種委員会、執行組織及び事務組織は、おおむね必要な機能
を果たしていると考える。
学部の企画立案機能の強化のため、事務職員も参画する執行組織をつくることが望ましいと
考えられる。法学部では、教授会及び重要事項を審議する総務委員会に事務職員が陪席し、教
授会の打合せにも事務職員が参加しているが、事務部は 5 部局を担当しているため、個々の部
局の企画立案に実質的に参画することが困難であるという問題がある。
2
自己点検・評価
2.1
中期目標・中期計画の実施状況の点検評価
全学で、2004 年度の法人化以後、中期目標・中期計画の下に毎年度「年度計画」を策定し、
その実施状況について、中間検証及び最終検証を行っている。
中期目標・中期計画中「法学部に固有の具体的事項」については、本自己評価書において、
2005 年度までの実施状況を点検評価することとしている。各章でも関係事項について述べてい
るが、主要な点を整理すると次のとおりである。
(1)
法学部の教育目標及び到達目標について、教授会で審議して整理・明確化するとともに、
ホームページ、広報パンフレット、学生便覧等に明示した。
(2)
教育課程では、2004 年度より演習を 2 年次でも開講し、また 1 年次向けの法学基礎演習
共通テキストを毎年改善し、少人数教育を強化した。また、インターンシップの拡充、実務家
の授業・講演を増やし、実社会との連携を強化した。
学生の就職、キャリア形成の指導については、就職・進学状況を見るとなお学部として組織
的取組みや工夫が必要と思われる。
授業改善のための自己評価は、全学の教員個人評価の中で行っているが、経験交流など組織
的取組みは、2006 年度以降の課題となっている。
(3)
研究体制の整備については、2004 年度より研究基盤強化フォーラムを設置し、共同研究、
研究資金の獲得に組織的に取り組んでいる。
(4)
国際交流については、中国北京大学及び台湾高雄大学と交流協定を締結し、シンポジウム
や研究会を開催した。学生の交流は、2006 年度以降の課題となっている。
79
第11章 管 理 運 営
2.2
自己評価書の作成
これまで、3 年に 1 度自己評価書を作成するとの方針の下に「岡山大学法学部の現状と課題」
(1996 年 3 月)、
「岡山大学法学部の現状と課題 2」
(1999 年 3 月)、
「岡山大学法学部の現状と
課題 3」(2002 年 3 月)を作成してきた。これらは、印刷物として、文部科学省、他大学等に
配布し、かつ岡山大学ホームページ上で公開している。
第 4 回目の自己評価書(本書)は、2004 年の法人化及び法務研究科の設置に伴い、法学部
の教育、管理運営等が大きく変わったため、その実施状況を点検評価するのは実施後少し時間
が経過した後がいいと考え、2005 年度までの 4 年間について自己評価書を作成することとし
た。
第 4 回の自己評価書の作成に当たっては、2004 年 10 月に大学評価・学位授与機構から「大
学評価基準(機関別認証評価)」が示されたことを受け、評価の視点は同基準(2005 年 7 月改
訂後のもの)を参考にして作成することとした。
2.3
自己点検・評価の実施状況の評価及び課題
法人化以降、大学は外部機関の認証評価を受けることが義務付けられ、各部局においても、
「大学評価基準(機関別認証評価)」を念頭において自己評価をしなければならなくなった。こ
の制度になってからは、今回の自己評価書作成が初めてであり、評価基準に照らし種々の課題
があることが明らかになった。もとより評価基準は大学全体の活動を評価するためのものであ
り、各学部が評価基準に示されたすべての活動を実施しなければならないものではないが、学
部の目的、学問分野の特性などを踏まえつつ、活動の質を高めるよう努力しなければならない。
そして、学生や社会に対する説明責任を一層果たすよう努める必要があると考える。
80
第12章 研 究 活 動
第12章
1
研 究 活 動
研究実施体制
1.1
研究支援・推進体制の整備
1.1.1
研究委員会
従来,法学部には組織的に研究を支援,推進する機関が無く,共同研究の実施や研究費の獲
得は個々の教員に任された。しかし,国立大学の法人化に伴い,基盤的な研究費が大幅に減少
したこと,また競争的な研究費の獲得には個々の教員の努力だけでは十分に対応できないこと
などの状況の変化を受けて,法学部に 2004 年度から研究委員会を新設し,組織的に研究の支
援,推進を図ることにした。
研究委員会の任務は以下のとおりである。
①
法学部における研究基盤の整備(研究基盤強化フォーラムの運営,科研費などの競争的資
金,研究助成に関する情報収集と学部構成員に対する情報提供など)
②
研究プロジェクトの立案
③
法学部資料室の運営・管理
④
法学部共用図書の選定,予算配分など
研究委員会の設置によって,学内における特別配分経費および学長裁量経費について組織的
に対応できるようになり,複数のプロジェクトの申請が採択されるなど,研究支援の体制は一
応整ったといってよいと思われる。もっとも,COEなどの大型プロジェクトの組織化につい
てはまだ成果を上げておらず,今後はそのようなプロジェクトの立ち上げが課題である。
1.1.2
研究基盤強化フォーラム
法学部では、組織的な研究支援の機関としての研究委員会とともに,教員が一層充実した研
究活動を行うことができるように研究環境を整備し、学部としての研究基盤を強化することを
目的として、2004 年 4 月に「研究基盤強化フォーラム」
(以下「研究フォーラム」という。)
を設立した。
研究フォーラムの目的は以下のとおりである(概念図参照)。
① 岡山大学法学部の将来を見据えた、継続的な研究プログラムを企画・立案する。
② 教員相互間の共同研究を促進し、教員同士が研究面で刺激し合い、相互に研鑽する場を
提供する。
③ 教員の研究活動を支援し、学部の研究基盤を強化するために、大学内外の研究資金の獲
得に向けた活動を積極的に行う。
④ 科研費や各種研究補助金に関する情報を教員に提供すると同時に、教員の研究に関する
情報を大学の内外に向けて発信する。
研究フォーラムでは,2004 年4月から、次の二つのコア・プログラムを設定し、科研費の申
81
第12章 研 究 活 動
請,研究会の開催,共同研究の実施などの研究活動を開始している。
・ 「21 世紀における法システムのリストラクチャリングに関する研究」
・ 「リスク社会の諸問題と法政策学の課題」
また,法学部の研究活動を大学の内外に発信するために,研究フォーラムのホームページを
作成し,一般に公開している(詳細については,法学部のホームページを参照)
。なお,フォー
ラムの運営は,研究委員会とフォーラム幹事を中心に行っている。
二つのコア・プログラムは,いずれも 2004 年度・2005 年度に学内特別配分,学長裁量経費
などの予算配分を受け,継続的にプロジェクトが進行しており,法学部における共同研究のシ
ーズとなりつつある。また,研究プロジェクトの実施については,毎年3ないし4回の研究フ
ォーラムを開催し,プロジェクトメンバーの確定,予算配分,成果報告をおこない,研究活動
の質の向上を図っている。今後は,これらのシーズを育てることにより,岡山大学法学部独自
の研究プロジェクトの創成が期待される。
<研究基盤強化フォーラムの概念図>
COE
プログラム・
(例:21 世紀における法システムの
科学研究費
リストラクチャリング)
学長裁量経費
調整・
etc
取まとめ
サブテーマ
サブテーマ
連携・情報
シンポジウム
研究会
講演
研修 etc
各
1.1.3
教
員
の
研
究
活
動
法学会
「岡山大学法学会」(以下「法学会」という。
)は、法学部の全教員、全学生、法学部教員が
指導教員となる全院生を会員とし、法学および政治学に関する学術・教育を支援し、もってそ
の発展に資すること目的とする学術研究団体である。
82
第12章 研 究 活 動
法学会による研究活動への支援としては、主に(ⅰ)
『岡山大学法学会雑誌』を原則年 4 回
(記念号を除く。
)発行し、教員の研究成果を公表する機会を確保すること、(ⅱ)教員の学術
書出版に対して助成を行い、研究成果を広く社会に示すこと、
(ⅲ)学生の研究活動を促進する
ため、学生が執筆する論文集に資金援助を行うことの 3 点が挙げられる。
2002 年度から 2005 年度に発行された『岡山大学法学会雑誌』における論説等の本数は、
以下のとおりである。
表 12-1
岡山大学法学会雑誌第 51 巻~第 54 巻掲載の論説等の本数
第 51 巻
論説
研究ノート
判例研究
紹介
資料
翻訳
講演録*
9
0
0
5
1
3
0
12
0
1
1
4
2
0
15
1
1
0
2
0
0
15
1
3
0
1
0
2
(2002 年度)
第 52 巻
(2003 年度)
第 53 巻
(2004 年度)
第 54 巻
(2005 年度)
*講演録については講演「会」ではなく講演(者)を単位とした。
1.1.4
法学部資料室
法学部資料室は,法学部教員の研究室がある文法経2号館に設けられ,主として専門学術雑
誌,大学紀要,学会誌,法令集,判例集,記念論文集,参考図書が所蔵され,法学部教員の日
常的な研究の支えとなっている。また,資料室業務を担当するために,助手1名,事務補助員
2名ないし3名の体制がとられ,所蔵文献の管理,資料検索,他大学への文献複写,貸与の依
頼などの研究支援を担っている。資料室の所蔵状況などについては,第8章参照。
1.2
研究活動の国際化
1.2.1
国際交流協定
法学部では,研究活動の国際化を図るという観点から,2001 年に中国北京大学法学院との間
で,また,2004 年 10 月に台湾高雄大学法学院との間で部局間交流協定を締結した。さらに,
法学部は,教育学部および工学部とともに,それぞれ米国南オレゴン大学およびアリゾナ州立
大学との大学間協定の主幹部局となっている。
これらの協定校のうち,特に北京大学法学院および高雄大学法学院とは,ほぼ毎年共同で研
究会を開催しており,国際的な共同研究を実施している。今後はこれらの協定校との関係を維
持発展させていくとともに,協定校の拡大および国際的な研究活動の展開が必要であるが,学
部としての取り組みは十分とはいえず,組織的な取り組みを行う体制を早急に整備する必要が
ある。
83
第12章 研 究 活 動
1.2.2
国際シンポジウムの実施
2004 年 12 月 18 日,法務研究科と共催で,北京大学法学院から 6 名の教員を招き,国際シ
ンポジウム「日中取引における法規制の現状と将来―企業進出に関する法制度を中心に―」を
開催した。シンポジウムには大学の内外から 200 名を超える参加者があり,盛会であった(シ
ンポジウムの詳細については,岡山大学法学会雑誌 55 巻 1 号 119 頁以下参照)
。大会の運営,
経費,通訳の確保など種々の困難があるが,今後も,このような国際シンポジウムの企画に取
り組む予定である。
2
研究活動の状況
2.1
研究プロジェクト
法学部では,共同研究を推進し,学部全体としての研究能力を向上させるために,主として
実定法系の教員を中心とした研究プロジェクト「21 世紀における法システムのリストラクチャ
リングに関する研究」および政治学や基礎法系の教員を中心とした研究プロジェクト「リスク
社会の諸問題と法政策学の課題」の二つを法学部のコア・プログラムとして共同研究を行って
いる。また,社会文化科学研究科の研究プロジェクト「東方アジアの文化共生・地域共生」に
も教員の一部が参加している。
2.1.1
法システムの再構築(現代化)に関する共同研究
この研究プロジェクトは,わが国における近時の法制度の変容を,法システムの再構築とい
う観点から,包括的に分析し,新たな法システムのあり方に関して具体的な提言を行うことを
目的としたものである。プロジェクトの内容としては,①個別の法分野における法改正および
法整備の現状を明らかにする,②改正分野における既存の法システムとの整合性などの問題を
いち早く俎上にのせて研究し,研究成果を公表する,③具体的な研究成果を研究グループメン
バーで共有し,情報交換・意見交換するための研究会を開催する,④研究成果を対外的に発信
するために講演会,公開講座などを開催する,⑤研究成果を新たな授業科目として教育活動で
利用する,などを目標としている。
本研究プロジェクトに基づく研究成果は,下記の通りであるが,その他に,①研究会の開催
(道垣内弘人東京大学教授〔2004 年度〕
,弥永真生筑波大学教授〔2005 年度〕を招聘),②公
開講座の開催(21 世紀における法・政治システムの再構築〔2005 年度〕)
,③教養総合科目の
開講(新世紀における法システムの再構築〔2006 年度実施予定〕)の活動を行っている。
<参考>研究成果
①
研究報告等
・佐野寛「物権準拠法の決定と適用範囲-現状と問題点-」第 112 回国際私法学会報告(2005
年 5 月 21 日開催)
・高橋正徳「食品衛生法違反通知の処分性と訴訟類型」行政法実務研究会(2005 年 4 月 23 日
84
第12章 研 究 活 動
開催)
・高橋正徳「建築確認等の民間開放と建築確認事務の帰属主体」行政法実務研究会(2006 年 2
月 11 日開催)
・吉岡伸一「敷金への質権設定と請求の相手方」金融判例研究会報告(2005 年 4 月 22 日開催)
・吉岡伸一「敷金への質権設定と請求の相手方」岡法会実務研究会
報告(2005 年 5 月 28 日
開催)
・吉岡伸一「保証制度の見直し」岡山企業法務研究会
・鈴木隆元「会社法における株式の権利内容と種類株式制度」岡山金融取引研究会(2005 年
11 月 26 日開催)
・小島淳「アメリカ合衆国における二重の危険の政策的基礎 ―連邦最高裁判決を中心に―」 日
本刑法学会関西部会報告(2005 年 7 月 24 日開催)
②
著書・論文等
・佐野寛『国際取引法〔第3版〕
』有斐閣(2006 年)337 頁[共著]
・中富公一「国民が守るべき憲法」全国憲法研究会編
法律時報増刊『憲法改正問題』108-111
頁(2005 年 5 月)
・中富公一「いじめ概念の憲法学的検討-児童・生徒の安全再構築のために-」名古屋大学法
政論集第 212 号 1-35 頁(2006 年 4 月)
・小山正善「行政作用の手続的統制」高田敏編『行政法(新版)』第3章第2節(有斐閣、2006
年刊行予定)
・藤内和公「労働契約法制における労働者代表制度をどう構築するか」季刊労働法 212 号 39-47
頁
(2006 年 3 月)
・藤内和公「職務変更、降格配転と処遇配慮義務」労働判例 886 号 5-9 頁(2005 年4月)
・藤内和公「退職者の自社年金支給利率の引下げを有効とした例」民商法雑誌 132 巻3号(2005
年6月)
・藤内和公「高橋賢司著『成果主義賃金の研究』」日本労働研究雑誌 537 号 79-81 頁(2005 年
4月)
[書評]
・Kazuhiro Tonai, Die veraenderte Beschaeftigungspraxis in Japan in den letzten zwanzig
Jahren, in;Zeitschrift fuer Japanisches Recht Vol.10, Nr.19, 2005, S.189-205
・藤内和公「人勧地域手当制度の国立大学法人への適用
」Business Labor Trend(2005.11)
46 頁
・藤内和公「労働契約法制と労働者代表制のあり方」青森雇用・社会問題研究所ニューズレタ
ー13 号 16-17 頁(2006 年1月)
・吉岡伸一「保証制度の見直しに関する民法の一部改正法について」銀行法務21第 646 号(第
49 巻第6号)41-45 頁
・吉岡伸一「特集
担保権・債権の実相キーワード20講
記」季刊事業再生と債権管理7月号
新不動産登記法と担保権に係る登
22-25 頁
・吉岡伸一「取得時効と抵当権の消滅」金融法務事情 1745 号 27-33 頁
85
第12章 研 究 活 動
・吉岡伸一「敷金への質権設定・承諾と返還請求の相手方」判例タイムズ 1188 号 112-117 頁
・吉岡伸一「差押え等による時効中断およびその取消しの遡及効について」法学会雑誌 55 巻 2
号 1-36 頁
・吉岡伸一「不渡異議申立預託金の供託義務」判例タイムズ 1199 号 73-77 頁
・吉岡伸一「民法915条の熟慮期間について」法学会雑誌 55 巻3・4号 1-24 頁
・吉岡伸一『新金融実務手引シリーズ:融資管理』金融財政事情研究会(2005 年 11 月)
48-92,237-276 頁[共著]
・吉岡伸一『必携
金融機関のコンプライアンス
業務編Ⅱ』金融財政事情研究会(2006 年3
月)178-197,200-202 頁[共著]
・鈴木隆元『要説会社法第2版』蓮井良憲・西山芳喜編
法律文化社(2006 年4月)35-63 頁
[共著]
・鈴木隆元「従業員持株制度と株式信託契約の有効性」
『会社法判例百選』有斐閣 88-89 頁(2006
年4月)
・照沼亮介「共犯の処罰根拠論と中立的行為による幇助」
『神山敏雄先生古稀祝賀論文集第1巻』
成文堂(2006 年刊行予定)所収
・小島淳「科刑意見どおりに発付された略式命令につき検察官がした正式裁判の請求が適法と
された事例」受験新報 661 号 25 頁(2006 年)
2.1.2
共同研究「ソーシャル・キャピタル論からみた公共空間の現代的展開」
法学部では、従来から行なってきた公共政策についての共同研究を発展させ、2002 年度に「平
成 15 年度 21 世紀 COE プログラム」としてプロジェクト案「政府と市民のインターフェイス:
アソシエーション、ソーシャル・キャピタル、公共性」を作成・申請した。残念ながら、2002
年の学内選考を通過することはできなかったが、2003 年度以降、同案を発展させたかたちでの
共同研究「ソーシャル・キャピタル論からみた公共空間の現代的展開」が続けられている。
同共同研究は一連の研究プロジェクトによって構成されており、具体的には、一年間の準備
期間を経て、まず学内の共同研究プロジェクトとして、2004 年度には柴田明穂を研究代表とす
る「地域住民リスクに対する法政策的対応―岡山県との法学政治学研究連携モデルの模索―」
(学長裁量経費:地域貢献支援事業)と谷聖美を研究代表とする「政府と市民のインターフェ
イス: アソシエーションとソーシャル・キャピタルの法政策学」
(文化科学研究科長裁量経費)
が、2005 年度には谷聖美を研究代表とする「リスク論とソーシャル・キャピタル論に関する法
政策学的研究」(文化科学研究科特別配分研究経費(プロジェクト)
)が行われた。また、こう
した研究プロジェクトを円滑に推進すべく、2004 年度には地域住民リスク研究会が発足し、
2005 年度にRS研究会(「リスク論とソーシャル・キャピタル論」研究会)へと改称・再編さ
れた(下記の研究成果の①,②)
。
こうした一連の共同研究は、学会報告、論文、著作等、数々の重要な成果に繋がっており、
それらが高い評価を得たこともあって、2005 年度には、小田川大典を研究代表とする研究プロ
ジェクト「リスク論とソーシャル・キャピタル論に関する法政策学的基礎研究」の科学研究費
補助金申請が採択され(萌芽研究、平成 17~18 年度)、現在も活発な共同研究が進行中である
86
第12章 研 究 活 動
(下記の研究成果の③)
。
<参考>
①
共同研究の成果(2002~2005 年度)
研究会等の開催
・中山竜一氏(大阪大学大学院教授)を招き、リスク社会と法制度に関する講演会と研究会を
開催した(2004 年 10 月 30 日)。
・辰巳知恵子氏(外務省・国際組織犯罪室事務官)を招き、国際犯罪についての講演会と研究
会を行なった(2004 年 11 月 19 日)。
・藤江顕氏(独立行政法人国際協力機構(JICA) 経済開発部)を招き、講演会「JICAの現
場から――アフガニスタンを中心として」を開催し、関係教員および学生間でリスク社会
におけるテロリズムの脅威および事後的問題解決プロセスとしての人道復興支援のあり方
について議論した(2005 年7月)
。
・桑島秀樹氏(広島大学大学院助教授)を招き、
「リスク社会論と崇高美学」についての研究会
を開催した(2006 年3月)。
②
研究報告等
・Tani, Satomi, "How to Make People Sensitive to Participation and Shared Interests: Social
Capital as a Promoter of Participation," (New York, 2005 US-Canada-Japan Autonomy
Forum, November, 2005.)
・波多野敏「フランス民法典:多様な読解と柔軟性」
(法制史学会第 57 回総会、シンポジウム
「コード・シヴィルの 200 年 II――内なるまなざし」2005 年 4 月 23 日、於桐蔭横浜大学)
・小田川大典:
「シンポジウム
近代イギリス思想における戦争と平和」の企画運営・特定質問
(日本イギリス哲学会第 29 回研究大会、神戸大学、2005.3.29)
・小田川大典「バーク崇高論の復権」(日本政治学会年報委員会研究会、2006 年3月 10 日、
於名古屋大学法学部)
・成廣孝「キツネ狩りの政治学」
(イギリス政治研究会報告、立命館大学,2004.9.26)
・玉田大「欧州人権条約における判決理由記載義務の根拠と射程―『公正な裁判を受ける権利』
に関する欧州人権裁判所の判例を題材として―」(中四国法政学会、2005 年 10 月 29 日、
於岡山大学)
③
著書・論文等
・谷聖美「アメリカの大学制度と法学・政治学教育
第3章「学士教育」
」『岡山大学法学会雑
誌』54 巻1号、2004 年
・谷聖美『アメリカの大学――ガヴァナンスから教育現場まで』ミネルヴァ書房、2006 年
・谷聖美「市民参加・ソーシャル・キャピタル・リーダーシップ」
『世界と議会』第 499 号、
2006 年
・波多野敏「フランス民法典:多様な読解と柔軟性」石井三記編『コード・シヴィルの 200 年』
(仮題)創文社、近刊
87
第12章 研 究 活 動
・河原祐馬「ソ連邦崩壊とロシア・ナショナリズム」玉田芳史ほか編『民主化とナショナリズ
ムの現地点』ミネルヴァ書房、2006 年
・河原祐馬・植村和秀編『外国人政治参加の国際比較』昭和堂、2006 年
・黒神直純「国際公務員法の体系について」
『岡山大学法学会雑誌』54 巻 3 号、2005 年
・黒神直純『国際公務員法の研究』信山社、2006 年
・黒神直純「第 2 章
国際連合の組織と課題」家正治ほか編『国際機構[第 4 版]』世界思想社、
近刊
・小田川大典「共和主義と自由――スキナー、ペティット、あるいはマジノ線メンタリティ」
『岡山大学法学会雑誌』54 巻4号、2005 年
・小田川大典「連続性をめぐる三つの物語」鈴木貞美ほか編『日本文化の連続性と非連続性』
勉誠出版、2005 年
・小田川大典「J・S・ミルと共和主義」田中秀夫ほか編『共和主義の思想空間』名古屋大学
出版会、2006 年
・大森秀臣「法を支える政治、政治を律する法―マイケルマン=ハーバーマス法理論をもとに
―」『岡山大学法学会雑誌』54 巻1号、2004 年
・大森秀臣『共和主義の法理論
公私分離から審議的デモクラシーへ』勁草書房、2006 年
・成廣孝「キツネ狩りの政治学:イギリスの動物保護政治」
『岡山大学法学会雑誌』54 巻4号,
2005 年
・成廣孝「自由民主党:第三党の苦闘と再生」梅川正美他編『現代イギリス政治』成文堂、2006
年
・竹内真理「域外適用法理における受動的属人主義の理論的位置づけ」『21 世紀国際法の課題と
展望』有信堂、2006 年
・玉田大「国際裁判における判決再審手続」
『岡山大学法学会雑誌』55 巻 3・4 号、2006 年
・玉田大「欧州人権条約における判決理由記載義務の根拠と射程」『岡山大学法学会雑誌』55
巻 2 号、2006 年
2.1.3
研究プロジェクト「東方アジアの文化共生・地域共生」
本プロジェクトは,平成 16 年度に採択された学内COE重点プロジェクトであり,東方ア
ジア地域に焦点を当て,家族,民族,企業,国家の四つのアングルから,その「共生」の現状
を研究しようとするものである。主要な研究成果としては,以下のものがある。
①東方アジア文化共生・地域共生研究会「特集
東方アジアの共生研究に向けて-全体的な検
討、各研究班の活動報告-」
『文化共生学研究』3 号(2005 年)
②小林孝行「文化共生・地域共生への志向」 『文化共生学研究』3 号(2005 年)
③渡邉佳成「東方アジアの概念について」『文化共生学研究』3 号(2005 年)
④榎本悟・張
紅・北川博史「日本企業の対中国直接投資の概観-企業と共生の論理展開のた
めの序論-」
『文化共生学研究』3 号(2005 年)
⑤新村容子「国民国家の諸問題と共生への展望-国家班メンバーの研究テーマの関連-」
『文化
88
第12章 研 究 活 動
共生学研究』3 号(2005 年)
⑥張
紅・北川博史・榎本悟「中国における日系企業の共生の視点」『文化共生学研究』第 4
号(2005 年)
2.2
研究会の開催
法学部の教員を中核的メンバーとして,本学部において定期的に開催されている研究会には
次のものがある。
①岡山公法判例研究会
法学部,法務研究科の公法担当教員を中心として,岡山県内外の大学等の研究者,弁護士お
よび社会文化科学研究科の大学院生によって構成される研究会であり,原則として月1回開催
されている。報告テーマは,公法判例の検討にとどまらず,会員各自の専門テーマの研究発表
や大学院生の報告の場としても位置づけられている。
②岡山民事法研究会
法学部,法務研究科の民事法担当教員を中心として,岡山の裁判官,弁護士等の法曹関係者
によって構成される研究会であり,月1回開催されている。報告テーマは,判例報告,会員の
専門テーマの研究報告など多彩であり,研究者と実務家の共同研究の場となっている。
③RS研究会(リスク論とソーシャル・キャピタル論についての法政策学研究会)
前記の共同研究「ソーシャル・キャピタル論からみた公共空間の現代的展開」を実施するた
めに設立された研究会であり,年2回程度開催されている。同研究会を基盤として,2004 年に
萌芽研究「リスク論とソーシャル・キャピタル論に関する法政策学的基礎研究」を申請し、採
択されている。
④岡山行政法実務研究会
岡山大学の行政法教員を中心として、岡山の裁判官、弁護士等の法曹関係者が参加する研究
会であり、年 4 回程度の頻度で開催されている。テーマは、行政法に関わる判例、弁護士が担
当している事件の紹介などが中心であるが、これ以外にも研究論文が報告されることもある。
2.3
研究資金
2.3.1
表 12-2
文部科学省科学研究費補助金
科学研究費補助金の交付状況(2002 年度~2005 年度)
2002 年度
件数
交付額
2003 年度
件数
交付額
2004 年度
件数
交付額
特定領域研究
基盤研究(B)
3
6,000
5
12,900
2
5,900
基盤研究(C)
4
5,400
5
3,900
2
1,200
萌芽研究
89
(単位:千円)
2005 年度
件数
交付額
1
5,900
3
2,500
1
1,800
第12章 研 究 活 動
萌芽研究
1
1,800
若手研究
3
3,800
3
2,700
1
1,100
5
3,400
計
10
15,200
13
19,500
5
8,200
10
13,600
2004 年度における科学研究費の配分件数がいったん減少しているが、これは法務研究科設置
により、法学部所属教員が法務研究科への移籍等により減少したことに起因すると考えられる。
しかし、2005 年度には増加しており、個別教員の努力とともに、研究基盤強化フォーラム、法
学部研究委員会の活動により、今後一層の増加を実現できる態勢整備を継続していくことが課
題となろう。
2.3.2
その他の競争的研究資金
表 12-3
補助金支給団
研
究
課
研
題
者
体名
国立極地研究 南 極 条 約 事 務 局 設 立 に 伴 う 法
所共同研究
究
的・組織的諸課題の研究
90
柴田明穂
交
付
年
度
2003 年度~2005 年度
第13章 教育面の社会貢献
第13章
教育面の社会貢献
(正規課程学生以外に対する教育サービス)
1.
教育サービス提供状況
1.1
研究生
研究生とは、大学を卒業した者又はこれと同等以上の者を対象に教育サービスを行うもので
ある。
研究生の受入れ状況については、表 13-1 のとおりである。
1.2
科目等履修生
科目等履修生は、高等学校を卒業した者又はこれと同等以上の者を対象に、特定の科目の教
育サービスを行うものである。
科目等履修生の受入れ状況については、表 13-1 のとおりである。
表 13-1
研究生および科目等履修生の受入れ状況
2002 年度
2003 年度
2004 年度
2005 年度
研究生
2名
1名
0名
0名
科目等履修生(昼)
4名
5名
5名
2名
科目等履修生(夜)
3名
3名
5名
5名
科目等履修生
7名
8名
10 名
7名
1.3
合計
公開講座
公開講座は、高校生、一般市民を主な対象として、高校生には大学における講義を体験して
もらうことを目的として、一般市民には教養または専門知識を高めてもらうことを目的として
行っているものである。
2004 年度より、法人化に伴い、受講料の設定が各大学で決定できるようになったので、1 回
でも受講できるようにするとともに、受講料を 1 回 500 円、全回 2500 円と大幅に値下げした。
各年度の講義内容は表 13-3 に、また 2005 年度の受講者アンケート結果の概要は表 13-4 に掲
載している。
1.4
高校への出前講義、高校生の大学訪問
出前講義は、高等学校からの申し出に基づき、大学進学を希望する生徒に対して大学でどの
ような講義をしているかを披露するものである。また、高校生の大学訪問は、高等学校からの
申し出に基づき、高校生向けの模擬授業を行い、または本学の授業見学を受け入れるものであ
る。
91
第13章 教育面の社会貢献
出前講義および大学訪問の実施状況は、表 13-2 のとおりである。なお、2002 年度について
は記録が残っていない。
表 13-2
出前講義および大学訪問の実施状況
年度
高校数
2003 年度
3校
出前講義
大学訪問
落合高校、高梁高校(以上岡山
県)、丸亀高校(香川県)
2004 年度
7校
岡山瀬戸高校、岡山操山高校、
落合高校、高梁高校、岡山朝日
岡山一宮高校(以上岡山県)
高校(以上岡山県)
、坂出高校(香
川県)
2005 年度
10 校
津山高校、倉敷南高校、岡山操
新見高校、倉敷古城池高校、高
山高校(以上岡山県)
、松江東高
梁高校、玉島高校(以上岡山県)
、
校(島根県)
坂出高校、高松西高校(以上香
川県)
2.
2.1
教育サービスの評価と課題
研究生
最近の受入れ実績は少ないが、潜在的ニーズはあるものと思われるので、制度としては今後
も存続させていく方針である。
2.2
科目等履修生
科目等履修生(昼・夜)については、幅広い年齢層における生涯学習ニーズの高まり等のた
め、着実に成果を上げているものと判断される。今後も、このような地域貢献の要請に対応し、
体系的かつ継続的な学習の場として、提供を続けていきたい。
2.3
公開講座
大学は、現代社会において、社会の各分野で活躍できる優れた人材の養成をはじめ、社会の
高度化・複雑化に伴う職業能力向上のニーズ、国民のゆとりや価値の多様化に伴う幅広い年齢
層における生涯学習ニーズの高まり、地域貢献への要請等に対応し、体系的かつ継続的な学習
の場として、より社会に開かれた大学となることが求められてきている。本学部は、これらの
ニーズや大学の置かれた状況を踏まえ、その知的財産を社会に還元すべく、正規課程に在籍す
る学生以外に対しても様々な教育サービスを実施している。
本学の公開講座は、岡山県生涯学習連携講座に位置づけられており、一定時間受講すれば岡
山県の生涯学習の単位が認定される。
本学部は、公開講座を教育サービスに関連する社会貢献、あるいは社会に対する重要なサー
ビスとして位置づけている。また、公開講座実施に当たっては、テレビ、ラジオ、新聞、地域
情報誌やポスター等を利用して、広く周知できるように配慮している。
92
第13章 教育面の社会貢献
公開講座については、毎回アンケートを実施しており、定型的な質問への回答だけでなく、
自由意見も書けるようにしている。これらにより、参加者の満足度や今後の課題等を探るよう
にしており、将来の活動の参考にさせていただいている(表 13-4 参照)。
近年、公開講座への参加者も増大してきており、今後は、他の地域組織との連携も視野に入
れて、継続・発展させていきたく考えている。
2.4
高校への出前講義、高校生の大学訪問
出前講義等は、高校生に大学への理解を深め、本学の広報として意義があるだけでなく、地
域社会への教育サービスの一つとして実施しているが、当学部の出前講義も高校生に法学・政
治学に関心を持たせる上で一定の成果を挙げており、今後とも拡大・継続していきたい。
93
第13章 教育面の社会貢献
表 13-3
法学部公開講座の概要(2002~2005 年度)
2002 年度
名
称:「今日の環境問題をめぐる法と政治」
講座の概要:今日の環境問題について,自治体の環境政策や外国における環境問題への取
り組みなどいくつかのテーマを取り上げ,21 世紀における環境保全のあり方
を法学・政治学の視点から多面的に考察する。
講義日程・講師等
月
日
時
間
講
義
題
目
13:30~15:10 地方環境税の理論と実際
講
師
教
授
安宅
敬祐
教
授
服部
高宏
教
授
松村
和徳
15:20~17:00 環境汚染対策としての環境汚染賠償責任保険契約
助教授
山下
典孝
13:30~15:10 環境表示規制の日米比較
助教授
佐藤
吾郎
15:20~17:00 ドイツの環境政策における費用負担のあり方について
助教授
築島
尚
13:30~15:10 自動車排出ガス規制と自治体の環境政策
助教授
高橋
正徳
15:20~17:00 21 世紀の環境問題と『自治体』の役割
教
岡田
雅夫
6月29日(土)
15:20~17:00 環境保護の根拠と対策
13:30~15:10 環境訴訟論
7月
―倫理と法の観点から―
―訴訟手続上の問題点に関して―
7日(土)
7月13日(土)
7月27日(土)
授
受講者数:28 名(うち、26 名修了)
2003 年度
名
称:「情報化社会における法律と政治」
講座の概要:今日の情報化社会における問題について,個人情報の保護や競争政策などの
いくつかのテーマを取り上げ,法学・政治学の視点から多面的に考察する。
講義日程・講師等
月
日
時
間
講
義
題
目
講
師
13:30~15:10 情報化社会における競争と法
助教授
佐藤
吾郎
15:20~17:00 情報化社会における行政の変化と行政官の役割
助教授
築島
尚
13:30~15:10 消費者取引における情報提供者の責任
助教授
木村
仁
15:20~17:00 インターネット社会における個人情報保護
教
授
中村
誠
13:30~15:10 情報公開
教
授
山口
和秀
15:20~17:00 情報化社会における政治の変容
助教授
前田
浩
13:30~15:10 情報化社会における税法
助教授
高橋
祐介
15:20~17:00 ソ連からロシアへ
教
河原
祐馬
6月28日(土)
7月
5日(土)
―その歴史と現状―
7月12日(土)
7月19日(土)
―情報が政治において果たした役割―
受講者数:23 名(うち、22 名修了)
94
授
第13章 教育面の社会貢献
2004 年度
名
称:
「顕在化するリスク
-環境・技術・社会の中のリスクに私たちはどう立ち向
かうか」
講座の概要:BSE、SARS、国際テロなどは、社会のボーダレス化、科学技術の発展とその恩
恵に伴うリスクであり、現代社会では、それらの恩恵を享受するためには、
リスクを減らす努力をしつつ、リスクと共存していかなければならないと言
える。私たちの身近にあるリスクについて、法と政治はいかに対応しようと
しているかについて、最新の研究状況を交えながら、市民の視点で考察する。
講義日程・講師等
月
日
時
10月30日(土)
11月
間
講
義
題
目
13:30~15:00
【特別講義1(全対象者無料)】
顕在化するリスク:リスク社会と法制度
13:30~15:00
個人情報取扱いのリスク
-個人情報保護法施行を前に
6日(土)
15:15~16:45 高金利リスクと消費者保護
師
中山 竜一
大阪大学大学院法学研究科教授
(法理学)
中村
誠
法学部教授(情報法)
吉岡 伸一
法学部助教授(民法)
13:30~15:00
学校のリスクと子どもの人権
-いじめ問題を素材として
中富 公一
法学部教授(憲法)
15:15~16:45
政治学とリスク:
政治経済学的アプローチ
成廣
孝
法学部助教授(政治学)
12:40~14:10
【特別講義2(全対象者無料)】
国境を越える犯罪と日本の対応
辰巳知恵子
外務省国際組織犯罪室事務官
11月13日(土)
11月19日(金)
講
13:30~15:00 国際テロのリスクと国際法制度
11月20日(土)
15:15~16:45 冷戦後の国際社会と『リスク管理』問題
竹内 真理
法学部助教授(国際法)
河原 祐馬
法学部教授(国際政治学)
13:30~15:00 アメリカのFEMAに見る管理政策とその思想
谷
聖美
法学部教授(政治学)
「不安」の下での連帯?
-リスク社会と再帰的近代
小田川大典
法学部助教授(西洋政治思想史)
11月27日(土)
15:15~16:45
受講者数:44 名(うち、19 名修了)
2005 年度
名
称:「21 世紀における法・政治システムの再構築」
講座の概要:現在,さまざまな分野で変革が起こっているが,これは単なる偶然の重なりで
はなく,世の中そのものが変革の時代にあるからだと思われる。法や政治も例
外ではなく,あたかもビッグ・バンのような状況である。この講座では,その
状況を分かりやすく説明するとともに,どのように対応すべきかを考察する。
95
第13章 教育面の社会貢献
講義日程・講師等
月
7月
日
時
間
講
義
題
目
講
師
13:30~15:00 憲法の再構築
法学部
教
授
中富
公一
15:15~16:45 公務員制度の再構築
法学部
助教授
築島
尚
13:30~15:00 刑事司法制度の再構築
法学部
助教授
小島
淳
大学院法務研究科
助教授
小田
敬美
教
授
佐野
寛
大学院法務研究科
助教授
佐藤
吾郎
13:30~15:00 商法の再構築
法学部
助教授
鈴木
隆元
15:15~16:45 行政訴訟制度の再構築
法学部
助教授
高橋
正徳
大学院法務研究科
教
授
右近
健男
法学部
教
授
藤内
和公
2日(土)
7月
9日(土)
15:15~16:45 民事訴訟法の再構築
13:30~15:00 国際取引法制の再構築
法学部
7月16日(土)
15:15~16:45 経済法の再構築
7月23日(土)
13:30~15:00 民法の再構築
7月30日(土)
15:15~16:45 労働法の再構築
受講者数:81 名(うち、44 名修了)
表13-4
名
2005年度法学部公開講座アンケート集計結果
称
実施期日
法学部公開講座『21 世紀における法・政治システムの再構築』
平成17年7月2日(土)~7月30日(土)
毎週土曜日
受 講 者
13:30~16:45
81名
受講者年代別
性別\年齢
10代
20代
30代
40代
50代
60代
70代
未記入
計
11
9
25.58 20.93
4
9.30
1
2.33
43
3
7.89
1
2.63
8
21.05
38
21
12
25.93 14.81
5
6.17
9
11.11
81
男
人 数
比 率
4
9.30
6
13.95
5
11.63
3
6.98
女
人 数
比 率
6
4
15.79 10.53
2
5.26
4
10
10.53 26.32
人
比
10
10
12.35 12.35
7
8.64
7
8.64
合計
数
率
(比率(%)は小数点第3位を四捨五入。合計については端数処理の都合上 100%にならないこともある)
受講者職業別
性別\年齢
学
生 主婦・無 会社員 自営業 団体職 公務員 教
男
人
比
数
率
7
16.28
15
34.88
9
20.93
女
人
比
数
率
15
39.47
15
39.47
4
10.53
合計
人
比
数
率
22
27.16
30
37.04
13
16.05
1
2.33
1
1.23
1
2.33
7
16.28
1
2.63
3
7.89
2
2.47
10
12.35
員 その他
2
4.65
1
2.33
計
43
38
2
2.47
1
1.23
81
(比率(%)は小数点第3位を四捨五入。合計については端数処理の都合上 100%にならないこともある)
96
第13章 教育面の社会貢献
修
了
者
44名
修
了
率
54.32%
アンケート配布数
81名
回
答
数
46名
回
収
率
56.79%
配布
アンケート項目
・性別及び年齢
性別\年齢
10代
20代
30代
40代
50代
60代
70代
1
3.85
1
3.85
7
26.92
7
26.92
2
7.69
1
5.00
7
35.00
3
15.00
2
4.35
14
30.43
10
21.74
男
人 数
比 率
3
11.54
5
19.23
女
人
比
数
率
4
20.00
3
15.00
合計
人
比
数
率
7
15.22
8
17.39
1
2.17
未記入
計
26
2
4.35
2
10.00
20
2
4.35
46
(比率(%)は小数点第3位を四捨五入。合計については端数処理の都合上100%にならないこともある)
・職業
性別\年齢
学
生 主婦・無職 会社員 自営業 団体職 公務員 教
男
人
数
5
比 率 19.23
6
23.08
6
23.08
女
人
数
7
比 率 35.00
6
30.00
1
5.00
人
数 12
合計 比 率 26.09
12
26.09
7
15.22
1
3.85
1
3.85
4
15.38
員 その他
1
3.85
5
25.00
1
2.17
1
2.17
9
19.57
1
2.17
計
2
7.69
26
1
5.00
20
3
6.52
46
(比率(%)は小数点第3位を四捨五入。合計については端数処理の都合上100%にならないこともある)
・通学(片道)所要時間について
① 10分以内
2名
4.35%
② 10分~30分
7名
15.22%
20名
43.48%
6名
13.04%
11名
23.91%
歩
0名
0.00%
② 自転車
7名
15.22%
③ 自動車
25名
54.35%
③ 30分~1時間
④ 1時間以上
⑤ 未回答
・通学手段について
① 徒
97
第13章 教育面の社会貢献
④ バ
ス
3名
6.52%
⑤ 電
車
8名
17.39%
⑥ オートバイ
2名
4.35%
⑦ その他
0名
0.00%
⑧ 未回答
1名
2.17%
・公開講座の受講は、今回で何回目ですか。
① 今回が初めて
33名
71.74%
② 2回目
7名
15.22%
③ 3回目
1名
2.17%
④ 4回目
1名
2.17%
⑤ 5回目
1名
2.17%
⑥ 6回目
1名
2.17%
⑦ 7回目
1名
2.17%
⑧ 8回目
1名
2.17%
・受講の動機について
① 一般教養を高めるため
② 職業上の専門知識を得たいため
③ 身近な問題に関するテーマがあったから
④ その他
24名
52.17%
8名
17.39%
10名
21.74%
4名
8.70%
・今回の公開講座の開催は,何によって知りましたか?
複数回答
① テレビ
11名
23.40%
② ラジオ
0名
0.00%
③ 新聞
0名
0.00%
④ 岡山県生涯学習大学(のびのびキャンパス岡山)案内
5名
10.64%
⑤ 市民のひろば
0名
0.00%
⑥ リビングおかやま
0名
0.00%
⑦ ポスターを見て
6名
12.77%
⑧ ホームページ
7名
14.89%
⑨ 電話等による問い合わせ
1名
2.13%
17名
36.17%
⑩ その他
* 岡山大学からの案内
(3)
( 6.38%)
* 知人等のすすめ
(5)
(10.64%)
* 公民館
(4)
( 8.51%)
* 図書館
(1)
( 2.13%)
* 学校の案内
(2)
( 4.26%)
98
第13章 教育面の社会貢献
* 未記入
(2)
・受講した感想について
① 期待以上
11名
23.91%
② ほぼ期待どおり
32名
69.57%
③ やや期待はずれ
3名
6.52%
④ 期待はずれ
0名
0.00%
① 関係あり
13名
28.26%
② 大体関係あり
16名
34.78%
③ やや無関係
14名
30.43%
④ 無関係
1名
2.17%
⑤ 未回答
2名
4.35%
① 理解できた
12名
26.09%
② 大体理解できた
29名
63.04%
③ やや理解できなかった
3名
6.52%
④ 理解できなかった
1名
2.17%
⑤ 未回答
1名
2.17%
① 適当
31名
67.39%
② 長い
0名
0.00%
③ やや長い
8名
17.39%
④ やや短い
5名
10.87%
⑤ 短い
2名
4.35%
① 適当
16名
34.78%
② 大体適当
24名
52.17%
2名
4.35%
・講義内容と日常生活との関連性
・講義内容について
・講義時間について
・講義題目(テーマ)について
③ やや不適当
99
( 4.26%)
第13章 教育面の社会貢献
④ 不適当
0名
0.00%
⑤ 未回答
4名
8.70%
・受講料(1 講義 1,500 円、全講義受講 5,000 円)について
① 適当
34名
73.91%
② 高い
6名
13.04%
③ 安い
3名
6.52%
④ 未回答
3名
6.52%
① 月~金曜日の午前
0名
0.00%
② 月~金曜日の午後
6名
8.45%
③ 月~金曜日の夜間
3名
4.23%
④ 土曜日の午前
14名
19.72%
⑤ 土曜日の午後
34名
47.89%
⑥ 日曜日
11名
15.49%
⑦ 未回答
3名
4.23%
40名
86.96%
② 適当ではない
4名
8.90%
③ 未回答
2名
4.35%
42名
91.30%
4名
8.70%
・実施希望帯(複数回答有)
・開催時期について
① 適当
・講義開始時刻(13:30~)について
① 適当
② 適当ではない
100
第13章 教育面の社会貢献
今後の法学部公開講座について
初歩的なことから丁寧に説明してくださり、大変わかりやすかった
です
必要であれば2コマ使う講義があってもいいと思う
大学で法律学等を学んだ者もいると考えられることから、学部学生
の講義と同レベルの講座があってもよいと思う
政治学系(行政学)の講義が1つしかなかったのが残念です
女性
20 代
公務員
男性
20 代
公務員
男性
50 代
会社員
男性
20 代
公務員
希望テーマ:民事裁判
意見等:大変わかり易い資料で内容が整理され理解しやすくよかっ
女性
学生
た
法を一つの分野にしぼって、もっと深い内容の講座を希望します
男性
40 代
公務員
靖国問題について
男性
50 代
その他
男性
20 代
学生
男性
70 代
会社員
女性
40 代
会社員
男性
60 代
会社員
男性
20 代
会社員
男性
60 代
無職
女性
60 代
主婦
女性
50 代
主婦
男性
20 代
学生
女性
10 代
学生
1回の講義にしては短いのではないでしょうか?県外で同じように
学生をしていますが、私の大学の公開講座の有料の場合、資料もか
なり多く、時間もたっぷり行っているようです
民法について
国立の大学は公営ですから、受講料も安価にすべきであると思いま
す。千円以下を希望します
・市民社会の向上(環境、生きがい、安全安心など)について学問
の分野からどのようなアプローチがされているのか?また、裁判
員制度の有効運用のための講座を希望します
・講師によって資料に差があるが、共通して発展学習のための参考
市販書の紹介があったらもっとよいと思う
1つのテーマを2回に分けて行う等、もう少しボリュームを大きく
してほしい
講義の参考文献目録がほしい
質疑応答の時間がもう少しあればいいと思う。社会問題などを法的
切り口でメスを入れて、社会人としての物の見方、考え方を深くし
ていく学習を望む
講義テーマは大きくどのように展開されるものかと思っていました
が、それぞれに今日的なわかりやすい話題を取り上げていただき、
よく理解できたと思います
統一テーマの基に各講義が組み立てられると未知の分野も自分なり
に理解の助けになったと思う
公務員講座
外国の制度も紹介すれば、参考になるのではと思います。浅くでも
知ることができれば、日本の制度の良いところ・悪いところが見え
101
第13章 教育面の社会貢献
るかも?
知的財産法等の現時代的な話題と他にも日本法文化等による法の基
礎的考え方に関する題目が望まれます
受講料は千円位が一般庶民には適当と思います。市民生活により密
接なテーマで、春夏秋冬に公開講座を実施してほしい
最近の情報等も盛り込まれ興味深く受講できた。入門的・専門的図
書の紹介がほしかった
男性
70 代
女性
60 代
主婦
男性
60 代
無職
男性
60 代
無職
・レジメや資料はA4版に統一してほしい
・刑法での教育刑主義、因果応報主義、弁護士の弁護のあり方等
・法哲学について
・経営法学について
102
付1・岡山大学法学部卒業生アンケート結果の概要
付1・岡山大学法学部卒業生アンケート結果の概要
自己評価WGでは、学外者からみた本学部の教育内容に関する意見を収集するため、法学部
卒業生アンケートを実施した。アンケート対象者は、2003 年度・2004 年度の卒業生のうち、
本学の大学院進学者と、岡山県内就職者、および在学当時実家として届けられていた住所と、
就職先・進学先が同一都道府県にある者とした。その内訳は、①本学法務研究科進学者 27、②
本学文化科学研究科進学者 13、③その他就職・進学者(就職者等)102 であり、合計 142 名が
対象となった。回答総数は 30(回答率 21.1%)であった。就職者等については、宛て先・転居
先不明が6通あったが、これは送付数に含めている。
アンケート回収率は、以下のとおりである。
送付数
回答数
法務研究科進学者
27
9
文化科学研究科進学者
13
7
就職者等
102
14
合計
142
30
回答率
33.3%
53.8%
13.7%
21.1%
1.岡山大学法学部の教育目標について
法学部の教育目標についての質問は次のとおり(以下の括弧書の数字は、質問番号)。
岡山大学法学部では、以下のような人材を育成することを教育目標としています。岡山大
学法学部での教育内容はその目標に応えていると思いますか。
(1)
:それぞれの法分野について基礎的な知識と理論を修得し、論理的かつ合理的に問題を
解決できる法的思考能力(リーガル・マインド)をもつ人
(2)
:政治や社会について多角的な視点から理解し、現代社会に生起する諸問題を自ら発見
し解決しようとする意欲と能力をもつ人
(3)
:国際社会に関する理解をもち、グローバル化・情報化する社会で活躍できるコミュニ
ケーション能力と情報活用能力をもつ人
この3点につき、
「1.十分に応えている 2.ある程度応えている 3.どちらとも言えない
4.あまり応えていない 5.応えていない」の5選択肢回答型の質問をした。
法学部教育目標2
法学部教育目標1
応えていない
応えていない
十分に応えてい
4%
る
あまり応えていな
あまり応えていな
4%
い
十分に応えてい
18%
る
7%
11%
ど ち らとも言えな
い
28%
0%
い
ある 程度応えて
いる
ある 程度応えて
39%
いる
ど ち らとも言えな
53%
い
36%
103
付1・岡山大学法学部卒業生アンケート結果の概要
このことから、法学部教育目標のうち 、
法学部教育目標3
「(3)国際社会に関する理解をもち、グロー
バル化・情報化する社会で活躍できるコミュ
十分に応えてい
る
応えていない
ニケーション能力と情報活用能力をもつ人」
ある 程度応えて
0%
いる
14%
の養成についてが、やや期待に応えられてい
29%
ないのではないかと思われる結果となった。
あまり応えていな
い
25%
ど ち らとも言えな
い
32%
2.岡山大学の教育内容について
2.1
法学部の教育内容について、まず、教養教育科目(主題科目・個別科目)、教養
教育科目(外国語科目)
、専門教育科目(講義)
、専門教育科目(演習)のそれぞれにつき、
満足度を尋ね、自由記述式で、満足な点・不満な点を尋ねた。
(4)
:教養教育科目(主題科目・個別科目)の内容は、卒業生からみて満足のいくもの
でしたか。
(6)
:教養教育科目(外国語科目)の内容は、卒業生からみて満足のいくものでしたか。
(8):専門教育科目(講義)の内容は、卒業生からみて満足のいくものでしたか。
(10):専門教育科目(演習)の内容は、卒業生からみて満足のいくものでしたか。
回答選択肢はいずれも、
「1.満足している
4.あまり満足していない
2.ある程度満足
3.どちらとも言えない
5.不満である」である。
回答結果は以下のとおり。
4.
教養科目(主題・個別)
6.教養科目(外国語)
不満である
0%
不満である
4%
あまり満足して 満足している
0%
いない
11%
満足している
0%
あまり満足して
いない
ある 程度満足
している
29%
29%
ど ち らとも言え
ない
21%
ある 程度満足
している
64%
ど ち らとも言え
ない
42%
104
付1・岡山大学法学部卒業生アンケート結果の概要
8.専門科目(講義)
不満である
4%
あまり満足して
10.専門教育(演習)
満足している
ど ち らとも言え
ない
25%
7%
いない
14%
あまり満足して
いない
0%
不満である
0%
満足している
21%
ど ち らとも言え
ない
21%
ある 程度満足し
ている
54%
ある 程度満足
している
54%
問3の結果から予測できることであるが、教養教育科目(外国語科目)の満足度が低い結果
となった。しかし、専門教育科目(演習)は、
「満足」または「ある程度満足」が 75%という
好結果となった。専門演習の重要度が、卒業生アンケートからもうかがえる。
これらの選択肢回答に加え、自由記述式の質問については、後掲するが、概括すると、
教養教育科目(主題科目・個別科目)については、幅広い選択肢があることが好感されており、
専門教育科目(講義)でも同様の意見とともに、基本的な内容が十分に提供されていたとの評
価が目だった。また、専門教育科目(演習)では、学生の興味のある事柄を集中的に勉強でき
る場所として、意義深いものであるとの指摘が多かった。他方、不満な点としては、いずれの
質問項目についても、教員の教授方法次第であることが指摘されていた。
2.2
次いで、以上の4点について、満足な点、不満な点をそれぞれ自由記述式であげて
いただいた。
(5):(4) に関し、どういう点が満足であったか、あるいは不満であったかお答えください。
満足であった点〔
〕
不満であった点〔
〕
教養教育科目(主題科目・個別科目)についての問である。
◎満足であった点
◇法務研究科進学者からの回答:
・幅広い科目が選択できる。
・様々な科目があったので幅の広い知識が得られた。
・専門とは違う分野を学べること。
・様々な分野の考え方を学ぶことができた。
・興味深い内容のものが多かった点。
◇文化科学研究科進学者からの回答:
・幅広いジャンルから選ばなければならない点(筆者注:満足であった点として書かれていた)。
・興味が沸いてきた授業が多かった。
・選択可能な科目が多くあり、興味のあるものを選びやすかった。
・自分の興味のある分野を選択できる幅が広いこと。
105
付1・岡山大学法学部卒業生アンケート結果の概要
◇就職者等からの回答:
・文系科目、理系科目問わずいろいろ学べる。
・幅広い分野の科目が用意されていた。
・いろいろな分野の授業があって楽しかった。
・興味深い講義があったこと。
・美術・音楽関係の講義があった点。
・勉強できた。興味深いものもあった。
・多様なジャンルがそろっていた点。
◎不満であった点
◇法務研究科進学者からの回答:
・ほぼ講義を聴講するだけで終わったので、自分で考えるということがあまりなかった。
・教員の熱意がまちまちであったこと。
・基本的に教養ゆえ教員にやる気が感じられず、また、役立たない。
◇文化科学研究科進学者からの回答:
・学生側の主体性の欠如もさることながら、教員のやる気もあまり感じられなかったよう
に思います。
・専門的すぎるものがあり、理解できないまま終った。 ・情報系の科目が少なかった点。
◇就職者等からの回答:
・教え方が下手、簡素なレジュメをなぞってるだけのものが多かった。
・履修方法・授業自体の質。
・あまり選択数がなかった。
・学部によって選択できないものがあったこと。
・情報系について、より高度な講義があってほしかった。
(7):(6) に関し、どういう点が満足であったか、あるいは不満であったかお答えください。
満足であった点〔
〕
不満であった点〔
〕
教養教育科目(外国語科目)についての問である。問7に対する回答は以下のとおり。
◎満足であった点
◇法務研究科進学者からの回答:
・テキスト等が理解しやすいものであった。
・教養として必要な程度に修得できた。
・外国人担当の場合、会話重視で良かった。
◇文化科学研究科進学者からの回答:
・選択肢が多い。
・バリエーションは豊富だと思う。
・ネイティブの人の発音が聞け、会話重視の授業があったこと。
◇就職者等からの回答:
・英語しか話さない先生の授業が良かった。
・各教授によってスタイルが様々で学生の選びやすさがあった。
・ドイツ語の講義をうけていたが、基礎から学べてよかった。
・リスニング専門の授業があったこと。
・TOEIC対策に重点を置いた講義があったこと。
106
付1・岡山大学法学部卒業生アンケート結果の概要
◎不満であった点
◇法務研究科進学者からの回答:
・選択肢が中・仏・独と3種しかなく(筆者注:第二部の場合)、もう少しあってもよか
ったかもしれない。
・リーディングが少な目であった。もう少し日常に応用のきく講義であれば良かったと思う。
・基本的な内容についての講義は提供されていた。
・高校生のときにやってきたことと同じであること(やり方など)
。
・実践的でなかった。
・実際には使えないと思われる点。
・担当教官によっては、リーディングばかりで無意味。
◇文化科学研究科進学者からの回答:
・英語は3・4年次も受講させるべき。
・人数が少なくなりすぎること。
◇就職者等からの回答:
・高校・中学のオーラルコミュニケーションと大差なかったこと。
・スピーキング能力が身につかなかった。
・英語を最初の半年ですっかり忘れてしまうくらい初級英語が単純だったこと。
・センター試験のレベル以下の英語の授業だったので、とても残念だった。
・もっと厳しく、もっと大量に「読ませる」ものであった方がよかった。
(9):(8) に関し、どういう点が満足であったか、あるいは不満であったかお答えください。
満足であった点〔
〕
不満であった点〔
〕
専門教育科目(講義)についての問である。問9に対する回答は以下のとおり。
◎満足であった点
◇法務研究科進学者からの回答:
・基本的な内容が充実していたと思う。
・基本的な内容についての講義は提供されていた。
・ある程度、自分の学びたいことを選択できた。
・あまり学説を押し付けない。どの学説も丁寧に扱ってくれた。
・他学部の講義も多数受けることができた。
・担当教官次第。A先生・B先生等の講義が分かりやすく良かった
(筆者注:教員名が記載されていましたが、割愛しました)。
◇文化科学研究科進学者からの回答:
・実務家を交えた講義があったり、アウトプットを意識した講義が多々あったこと。
・努力すれば理解できるような授業だったと思う。
・幅広い科目の履修が可能であり、納得のいくまで学ぶことができた。
・法律の基礎から多くのことを学べた点。
◇就職者等からの回答:
・幅広い選択肢があり、各科目も専門性を適度に保っていた。
・自分から学ぼうと意欲のある人なら十分専門的学習ができる内容だった。
107
付1・岡山大学法学部卒業生アンケート結果の概要
・分かりやすく講義してくれる先生がいたこと。
・ある程度法律にくわしくなった。民法が特に良かった。
・分かりやすい講義が多かった。
◎不満であった点
◇法務研究科進学者からの回答:
・初学者向けのオリエンテーションのようなものを設ける方がよかったかもしれない。
・おさえておくべきポイントがどこなのかよくわからない講義が多い。
・シラバスで予定していた所まで行かない科目も多く、それにもかかわらず、補講でのフ
ォローも少なかった。また成績がほぼ期末のみでついていたのではないかと思う。(小
テストもあったが、出欠など殆ど考慮されていなかった。
・講義の進め方に統一的な方針がみられなかった。
・教員の説明のわかりやすさが全然違う。
・同上。殆どの教員で、熱意が感じられず、また、"教育"としては成立していない。法学
部卒でもロースクールで苦労するのは、これが原因。
◇文化科学研究科進学者からの回答:
・一方通行。
・先生の教え方について質がバラつき。
・興味のない授業はとことん興味を持てぬまま卒業してしまった。
・主要講義の重なりがたびたび見られ、意欲ある学生の学ぶ機会を著しく喪失させている。
学部都合によるカリキュラム編成の見直しが必要で、学生の意見もある程度反映させる
ようにしていただきたい。
・同じ講義でも先生によって差がでてしまい、他の先生の方がよかったと感じることがあ
った。
◇就職者等からの回答:
・実際の生活に結び付けて講義してほしい。例として時事問題をとりあげるなど。
・法科大学院の授業に力を入れすぎて、学部の授業の種類が減って質も落たように思う。
・教授による。すごくいい講義はよかったが、教科書を読んでいるだけで何を言っている
かよくわからない講義もあって残念だった。
・身になった気がしない。刑法・民法・憲法など基本的な法律科目がちゃんと全ての範囲
においてフォローされていない。
・もっと考える授業を・・・。
・基本六法にもう少し単位を分担させてほしい。
・当時はばく然と講義を受けていただけだったので、より具体的に、将来にどう関わって
くるのかを意識させてほしい。
108
付1・岡山大学法学部卒業生アンケート結果の概要
(11):(10) に関し、どういう点が満足であったか、あるいは不満であったかお答えください。
満足であった点〔
〕
不満であった点〔
〕
専門教育科目(演習)についての問である。問 11 に対する回答は次のとおり。
◎満足であった点
◇法務研究科進学者からの回答:
・レジュメの作成、発表等、現在大学院で行っていることにも役立っている。
・私が選択した演習では、裁判官・検察官・弁護人など、様々な立場から考える訓練がで
きた。
・興味のある内容を詳しく学ぶことができた。
・自分にない観点でものをみることができた。
・一つの分野についての深い知識を修得できた。
・これも教員・演習メンバー次第。レポート(毎週)や、スパイラルは書く能力を養え、
とても良かった。
◇文化科学研究科進学者からの回答:
・リーガルマインドの育成。
・自分の好きな研究ができた。
・演習がキャリア・アップに役立つものとなっていた。
・自分の興味のあるテーマ、時代に合ったテーマを勉強できた点。
◇就職者等からの回答:
・材料の提供が適度になされ、生徒側の意向に沿った内容で進められた。
・先生が熱心。
・先生が良かった(C先生)
(筆者注:教員名が記載されていましたが割愛しました)
。
・自分の興味に、教授がアドバイスを加えてくださり、研究しやすかった。
◎不満であった点
◇法務研究科進学者からの回答:
・演習とはいっても、あまり議論がなく、皆が黙り込んでしまうこともあった(私の受け
ていたゼミだけかもしれませんが)
。
・もう少し少人数で、長時間集中して行う方法が良かった。
・資料を読むに終始した。
・一つしか履修できない。
◇文化科学研究科進学者からの回答:
・議論が不足。
・各演習間の運用差が大きく、いわゆる楽な演習と厳しい演習とに二分され、学部レベル
での能力向上という姿勢が全く感じられない。
◇就職者等からの回答:
・法科大学院の授業に力を入れすぎて、学部の授業の種類が減って質も落ちたように思う。
・あまりためにならなかった気がする。
・微妙だった。
109
付1・岡山大学法学部卒業生アンケート結果の概要
2.3
大学教育の難度について、次の2点を質問した。
(12)教養科目について、各科目を平均してみたとき、提供される教育内容の難度について
どのようにお考えでしょうか。
(13)専門科目について、各科目を平均してみたとき、提供される教育内容の難度について
どのようにお考えでしょうか。
回答選択肢は、いずれも、「1.難解に過ぎた
4.やや平易であった
2.やや難解であった
3.どちらでもない
5.平易に過ぎた」の5択である。
14.専門科目難度
13.
教養科目難度
平易に過ぎた
0%
難解に過ぎた
0%
やや難解であっ
難解に過ぎた た
平易に過ぎた 0%
11%
4%
やや平易であっ
やや平易であっ
た
やや難解であっ
た
21%
14%
ど ち らでもない
32%
た
53%
ど ち らでもない
65%
教育の難度は卒業生から見て、教養教育科目は若干、平易であるという結果となった。専門
教育科目の難度は、アンケート結果の数字からすると、ほぼ適度なものと考えられる。
2.4
専門科目はどのような難度が望ましいか
(14)卒業後、振り返ってみて、専門科目の教育内容について、高度・専門的な内容と、平
易・基礎的な内容のどちらを重視して提供されたらよかったと感じますか。
1.より高度・専門的な内容
2.現在の程度でよい
本問は、専門科目の難度について、望ましい
3.より平易・基礎的な内容
14.専門科目の望ましい難度
内容を尋ねたものであるが、問 13 からも予測
できるものであるが、現在の程度でよいとの回
答が半数以上となった。ただ、より高度・専門
より平易・基
礎的な内容
15%
的な内容を期待する回答が、7(26%)あった
ことには、留意が必要であろう。
なお、本問については、次のような2つの補
現在の程度
でよい
59%
足意見があった。
110
より高度・専
門的な内容
26%
付1・岡山大学法学部卒業生アンケート結果の概要
①いずれの難度でも、教え方による。
②より高度、専門的でもよいとは思うが、受講する側がそれなりの意識を持って受講しなけれ
ばならない。入門科目としては基礎的な内容であってほしいし、それをふまえた専門科目は、
現在の難易度で良いと思う。
3
今後の岡山大学法学部の教育について
3.1
今後の岡山大学法学部の教育について、順位を付けて、3つを選択してもらった。
(15)今後、岡山大学法学部ではどのような教育に力を入れるべきと思いますか。次の中か
ら三つまで、力を入れるべきと思う順に挙げてください。
A.専門分野の講義の強化
D.外国語教育の強化
B.専門分野の演習の強化
C.幅広い教養教育の強化
E.就業体験実習(インターンシップ)や実務家の講義の充実
F.キャリア教育や就職支援
G.情報の収集、活用、文章や口頭の表現能力を高める教育
H.自主学習(正課外)の支援
第1位
I.その他〔
〕
第2位
第3位
回答結果(点数は、第1位を3点、第2位を2点、第3位を1点として積算した)
項目
第1位
第2位
第3位
選択数
選択数
選択数
選択合計数
選択数
点数
点数順位
順位
A
10
4
2
16
40
3
1
B
7
8
3
18
40
1
1
C
1
0
2
3
5
7
7
D
0
3
1
4
7
6
5
E
4
6
5
15
29
4
3
F
2
2
6
10
16
5
6
G
5
6
7
18
29
1
3
H
0
0
3
3
3
7
8
(選択肢Iを選択した回答はなかった)
選択数においても、点数においても「B専門分野の演習の強化」が第1位となった。次いで、
「A専門分野の講義の強化」が重要との評価であり、
「G情報の収集、活用、文章や口頭の表現
能力を高める教育」、
「E就業体験実習(インターンシップ)や実務家の講義の充実」といった
項目が上位となった。この点、これからの学部教育を検討する際には参考となろう。教養教育
や外国語教育についての強化の順位が低くなったものの、この結果のみから、これらを重視し
ないことはできないであろう。項目C及びDを選択した回答は、法務研究科進学者、文化科学
研究科進学者、就職者等ともに存在しているし、就職後に外国語能力が問われることは多かろ
うが、法務研究科でも入学時に外国語能力を勘案した選考をおこなっているからである。
111
付1・岡山大学法学部卒業生アンケート結果の概要
3.2
開講科目の希望調査
(16)教養科目または専門科目で開講した方がよいと思われる科目がありますか。もしあれ
ば、以下にご記入ください。
自由記述式で、このような質問をしたところ、回答には、具体的な科目をあげるものもあっ
たが、
大学教育により獲得したい能力についての提言が多く、単に科目を提供するのではなく、
提供する科目がどのような能力を学生に獲得させるものなのかを踏まえた科目展開が必要だと
思われる。
◇法務研究科進学者
・公法系・私法系など総合的な内容の科目。
・専門の論文の書き方。
・論文(レポート)・答案の書き方等をきちんと行うような科目。(レポートの書き方を教え
ずにレポートを課し、講評等がないのでは上達しない)
◇文化科学研究科進学者
・法律系科目のコマ数アップ。
・ディベート能力を高める教養科目。就職して役に立つようなマナー、言葉遣いに関する教
養科目。
・隔年でもよいのだが、法医学など法科大学院開講に伴い廃止・縮小された科目を開講して
いただきたい。学生個々の関心には差があるのが当然です。この大学で学びたいと思って
もらえるようになるためには、学ぶきっかけとなるカリキュラム充実がもっとも効果的で
す。法科大学院に進学しない多くの学生がいることを念頭に置いて、開講科目を決定すべ
きであると考えます。
・これからは情報化・グローバル化がさらに進展すると思いますので、情報系や外国語系の
科目に力を入れるべきだと思う。
◇就職者等
・法律系の科目で、その時に問題になっている事件や事例をとりあげて解説、考えさせる授
業があれば、おもしろいと思います。
・少年法。
・文章の書き方(小論文・レポート etc)、卒業後自らの文章作成能力の低さに大変悩んだため。
・キャリア教育、政策決定のあり方等。
・英米法。体育のスポーツの数を増やしてほしかった。
・コミュニケーション能力、プレゼン力を身に付けられる科目。情報系では、パワーポイン
トを使う演習。
112
付1・岡山大学法学部卒業生アンケート結果の概要
3.3
最後に、自由記述式で以下の質問をした。
(17)岡山大学法学部の教育につきまして、期待する点、改善すべき点、その他ご意見があ
りましたら、以下にご記入ください。
得られた回答は以下のとおり。
◇法務研究科進学者
・現在大学院で学習しているが、他大学出身(特に東京方面の大学)の方は、ディベート慣
れしている感じがします。岡山大学は、特にその教育課程において、ディベートなどをす
る機会がないので、その点で、他大学出身の方との差がついてしまうこともあるのではな
いかと思いました。もう少し、ディベートや自分の考えをまとめて述べるという講義を積
極的にしていくと、学生にも訓練となって良いのではないでしょうか。
・将来的には、法科大学院と連続性・一体性を持った運営を行うべきであると思います。
・大学院のやり方の反対を言うと、大学生なのだから、きちんと基本を全う(ママ)できるよ
う講義でカバーすることが求められると思う。予・復習も大切であるが、いかに学習意欲
をかき立てるかがポイントである。
・実務家の講演会、特別講義を増やした方が良いと思います。
・法律学の基礎知識を問う課題や小テストをたくさんやるべきかと思います。(大学の本旨
には反するかもしれませんが・・・)
・基本的には、教員の教え方のスキルアップに尽きる。教え方のスキルがないだけに欠席や
テストのみ受けて単位を取ろうとする者が出てくる。きちんとした講義なら、そういうこ
とはあまり起こらないはず。これからは研究者も教育者でなければならない。そういう人
材が多く取り入れられることを望む。
ロースクールと連携し、ロースクールで困らないよう、しっかりと知識を入れれるよう
な教育を。岡大法学部卒が多いにもかかわらず、成績があまりよくないといわれるのはあ
まり気持ちよくはありません。また、法学部での教育がこれまで出来ていなかったが為に、
予備校教育が重視されたのがこれまでで、今後は「予備校からの脱却」が唱えられている。
とすれば、法学部できちんと試験に対応できるような教育しなければ(すなわち、自説を
唱えていたり、座って教科書を読むだけなどはもってのほか)ならないと考える。
◇文化科学研究科進学者
・成績表の交付を手渡しだけでなく切手代等を徴収した上で、送付も可能にすればよいと思
われます(個人情報保護の点からも)。現実的な問題は種々あるでしょうが、理系との環
境(設備等)格差がひどいと思います。図書・雑誌等の更なる充実を期待します。
・過去に、1日5コマ*3日間という集中講義がありましたが、学生側、教員双方にとって
能率が悪いものであったように思われます。担当教官は、有名な方であり、多忙であった
ようデス(授業のところどころでみられました)が、もう少しカリキュラムに気を配って
いただきたかったと思います。
・専門科目の先生の配置について、学部、大学院、ロースクールの間のバランスを保つよう
に。
113
付1・岡山大学法学部卒業生アンケート結果の概要
・1~2年では基礎的な部分を強化してほしいと思う。例えば、専門用語の読み方、論述の
書き方等。ここ最近になってそのような傾向が見られるのなら、良いとは思うのですが。
・やはり、実務家の講義はさらに充実させて行くべきだと思う。知識だけでなく、仕事の経
験等、様々なことを教えてくれるので、自分の目標等にもつながると思う。ゆえに、イン
ターンシップもさらに充実させて行くべきだと思う。私もインターンシップに参加して、
講義では学べない多くのことを学ぶことができた。あとはもう少し情報処理系に力を入れ
るべきだと思う。
・法学部科目教育には岡山大学法科大学院のように明確なコンセプトが感じられないように
思います。どのような人材を育成するのかということについて、具体的なイメージが出で
こないということです。福祉・ビジネスなど分かりやすいコンセプトを今一度明確にして
いただきたいと思います。
推薦入試制度も見直されていますが、平成16、17年とも学位記総代者を出している
など、意欲と個性・能力ある人物が入学できているところもあるので、良いところは残し
ながら新たな制度構築をするよう留意すべきものと思料します。
最後にカリキュラムを構築させること以上に、教員の意識改革が必要だと感じます。実
務とは異なる素養を身につけさせるべきことは必要ですが、実務で行われていることに対
する問題意識が欠如しているのではと疑わざるを得ない場面に何度も遭遇しました。大学
教員は研究が主たる任務であることは認めますが、人を教育して社会の役に立とうとする
意識が希薄です。良い制度を作っても担い手の教員が変わっていないのなら、意味があり
ません。実務世界との交流を重視して、大学教員は教育者であるという意識を持てるよう、
強く望みます。
◇就職者等
・法科大学院も大変だとは思うが、学部の授業にも力を入れてほしい。
・岡大の卒業生ということがずっと自信をもって言えるようなレベルの高い大学であってほ
しい。企業・機関の第一線で活躍する人材育成をこれからもしてほしいと思う。
・授業については、ぼそぼそ何言ってるかわからない教授が多かったので教え方や授業の進
め方が上手い人、実務家などもっと刺激がある講義が受けたかった。就職に関して、もっ
と支援がほしいと思った。
・ゼミに所属するということがあまりないせいか教員とのつながりが希薄だったこと。もっ
と少人数の講義があれば色々な話が聞けたのかもとおもいます。
・よりよい人材を育てるような、実社会でもはずかしくない人間を育てるようにして欲しい。
そのためには少なくとも法学部を出たと胸を張っていえるような法律知識とリーガルマ
インドを身につけさせた方がよいと思う。(法科大学院に入った後に私が自らの法律知識の
底の低さと、人に意見を伝える能力のなさに気づき、大学教育の意味のなさにむなしさを
おぼえましたので・・・。)
・他の大学の方の話と比較してみると、教養科目の分野(選択できる講座の数等)が少ない
と思います。また、実践的な外国語の授業もなかったように思います。就職支援も一度も
114
付1・岡山大学法学部卒業生アンケート結果の概要
なく、主に生協の人を頼りました。就職支援室に行っても、何のフォローもなく、一度で
行くのをやめました。それが今でも残念に思います。
・今後とも中四国を代表する法学部としてがんばってください。期待しております。
115
付2・岡山大学法学部卒業生受け入れ機関・企業等アンケート結果の概要
付2・岡山大学法学部卒業生受け入れ機関・企業等アンケート結果の概要
岡山大学法学部の教育と卒業生に関する評価と意見をいただくために、2006 年 7 月に、本学
部の卒業生やインターンシップ学生を受け入れている企業・機関等に向けてアンケートを実施
した。
アンケート対象は、最近本学部の卒業生が就職した主な企業・機関等(過去 3 年の資料によ
った)
、および本学部のインターンシップ学生を受け入れている企業・機関・法律事務所等であ
る。
アンケート対象の企業・機関・法律事務所等には、アンケート項目を、それぞれ該当部署に
回付して担当者に書き込んでもらった上、郵送にて返信していただいた。アンケートを送付し
た宛先 49 件(送付総数 157 枚)のうち、26 件から回答をいただき、総数 31 枚を回収した。回
収率は、宛先で計算すると 53.0%、総数で 19.7%であった。なお、返信していただいた企業・
機関・法律事務所等 31 件の内訳は、企業が 9 件、官公庁が 8 件、法律専門職事務所(法律事務
所、司法書士事務所、税理士事務所等)が 11 件、その他が 3 件であった。
限られた回答数であるが、以下に結果と分析を述べる。
1.
岡山大学法学部の学生の能力や資質について
以下の設問に対して、
12 の質問項目それぞれに 6 つの選択肢の中から回答をしていただいた。
問1
岡山大学法学部の学生(過去 5 年間に受けいれた学生を対象とする)は、以下の能力
や資質について、どの程度備えているとお考えでしょうか。
(1)~(12)それぞれについて、
1.~6.のうち一つを選び、○をしてください。
1.十分にある
している
2.程ほどにある
3.どちらとも言えない
4.やや不足している
5.不足
6.わからない
アンケート結果を、12 の質問項目それぞれについて表記したのが以下のグラフである。なお、
無回答については、「6.わからない」の中に組み入れた。
とくに注目される点を挙げれば、(8)(9)(11)の項目については、
「1.十分にある」と「2.程
ほどにある」が大半を占め、高い評価を受けた。勤労意欲・バイタリティー、向上心やスキル
アップに挑む意欲、協調性・コミュニケーションなどの基盤的・一般的な能力について、かな
りの程度備えていると評価されているようである。
また、(5)は法学部の重要な教育目標であり、まずまずの評価であったことは、教育目標が
ある程度達成されていると言っていいであろうか。(1)の「法律学や政治学の専門的な知識と技
能」については、主に法律専門職事務所等から低い評価を受けた。法学部にかなりの基礎知識・
技能が期待されていることの裏返しであるように思われる。
117
付2・岡山大学法学部卒業生受け入れ機関・企業等アンケート結果の概要
(1) 法律学や政治学の専門的な知識と技能について
(2) 幅広い教養について
6.わからない
10%
6.わからない
13%
1.十分にあ
る
0%
5.不足してい
る
0%
5.不足してい
る
10%
4.やや不足
している
13%
2.程ほどに
ある
48%
4.やや不足
している
3%
2.程ほどに
ある
45%
3.どちらとも
言えない
26%
3.どちらとも
言えない
26%
(3) 国際感覚や外国語能力について
(4) 情報の処理・活用の能力について
1.十分にあ
る
0%
6.わからな
い
16%
2.程ほどに
ある
6%
5.不足してい
る
3%
6.わからな
い
39%
5.不足してい
る
0%
1.十分にあ
る
6%
1.十分にあ
る
10%
4.やや不足
している
3%
3.どちらとも
言えない
45%
3.どちらとも
言えない
16%
2.程ほどに
ある
52%
4.やや不足
している
10%
(5) 論理的・合理的な思考能力について
6.わからな
い
10%
5.不足してい
る
3%
(6) 幅広い関心や多角的な視野について
6.わからない
6%
1.十分にあ
る
13%
5.不足してい
る
3%
1.十分にあ
る
6%
4.やや不足
している
13%
4.やや不足
している
13%
3.どちらとも
言えない
10%
3.どちらとも
言えない
23%
2.程ほどに
ある
51%
118
2.程ほどに
ある
49%
付2・岡山大学法学部卒業生受け入れ機関・企業等アンケート結果の概要
2.
今後受け入れる学生に備えてほしい能力や資質について
問 1 に対応して以下のような問を設定し、13 の選択肢の中から上位 3 まで順位をつけて回答
をしていただいた。
問 2
今後、学生を受けいれるときに、以下に挙げる項目のうち、いずれの能力や資質を重
視したいとお考えですか。重視したい項目のうち、上位 3 つまで、順位をつけてお答えくだ
さい。
1位
2位
3位
1.
法律学や政治学の専門的な知識と技能について
2.
幅広い教養について
3.
国際感覚や外国語能力について
4.
情報の処理・活用の能力について
5.
論理的・合理的な思考能力について
6.
幅広い関心や多角的な視野について
7.
問題発見・企画能力について
8.
勤労意欲・バイタリティーについて
9.
向上心やスキルアップに挑む意欲について
10. 責任感やリーダーシップについて
11. 協調性・コミュニケーションの能力について
12. 多様な文化や価値観に対し柔軟に思考する能力について
13. その他(
)
アンケート結果を 13 の選択肢それぞれについて表記したのが以下のグラフある。とくに注
目される点を挙げれば、問 1 の結果にて高い評価を受けた(8)(9)(11)の項目について多くの要
望が挙げられていた。これらに次いで要望の多い(5)も含め、どのような業務であれ共通に必要
とされる基盤的・一般的な能力の向上が求められていると考えられる。逆に、問 1 の結果にて
低い評価を受けた(1)については、法律専門事務所を中心に第一位の強い要望が出されている反
面、総数としては比較的少ない方であった。専門的知識や技能が必要とされる程度は、法律専
門職に就くかどうかによって大きな差があると考えられる。また(6)について要望が一件もなか
ったのは、調査対象の大半が地元の機関・企業で、国際感覚や外国語をそれほど必要としてい
ない業務を行っているものと思われる。
120
付2・岡山大学法学部卒業生受け入れ機関・企業等アンケート結果の概要
0
2
2
(1)法律学や政治学の専門的な知識と技能について
4
0
8
10
12
14
16
3
3
(2)幅広い教養について
6
0
(3)国際感覚や外国語能力について 0
(4)情報の処理・活用の能力について 0 1
2
4
(5)論理的・合理的な思考能力について
(6)幅広い関心や多角的な視野について
1 0
(7)問題発見・企画能力について
3
4
3
3
3
5
(8)勤労意欲・バイタリティーについて
6
4
(9)向上心やスキルアップに挑む意欲について
(10)責任感やリーダーシップについて
(11)協調性・コミュニケーションの能力について
2
2
(13)その他
1 0
1
3
7
3
(12)多様な文化や価値観に対し柔軟に思考する能力について
無回答
4
2
3
3
7
5
0 1
1
1
1位
2位
3位
(注)「13. その他」の 1 件は、「志望に対する熟慮(?)」と記されていた。
3.
岡山大学法学部の教育に期待したいことについて
以下の設問に対して、自由記述にて回答をしていただいた。
問3
その他、岡山大学法学部の教育に期待すること、改善すべきこと、その他ご意見が
ありましたら、ご自由にお書きください。
得られた回答は以下のとおりである。
・ インターンシップをはじめとして、法律・政治等の専門的学問を実務に結びつけていく教育の
拡充を図ってもらいたいと思います。せっかくの専門的知識を実務に生かせないことは非常に
もったいないという気がします。
・ 実践に対応できる法律及び政治に関する知識と対応能力を学ぶことが望まれる。
・ 学部レベルで専門知識は無理だと思っている。しかし弁護士に興味があるという学生さんには
せめて「社会正義とは何か」について悩む姿勢がほしい。
・ 当社のトップをはじめとして優秀な人材を沢山輩出している優秀な大学であると思います。
・ 次代のリーダーになるべき人材づくりを期待いたします。
・ 法律、特に民事法についての基礎的知識が不足している学生が多かったので、3回生までに民
法は一通り学んでいてほしいと思います。
以上
121
◎編集後記◎
第 4 回目に当たる今回の自己評価書は、第 3 回自己評価書(1999~2001 年度)後の 2002
年~2005 年度までの 4 年間を対象として作成した。
今回の自己評価書は、第 3 回までと異なる特徴が三つある。
第一に、評価の視点を明確にしたことである。大学設置基準において 2004 年度から認証評
価を受けることが義務付けられ、大学評価・学位授与機構から「大学評価基準(機関別認証評
価)」が示されたことを受け、評価の視点は同基準(2005 年 7 月改訂後のもの)に準拠した。
第二に、
「大学評価基準」が主として組織としての大学の活動を評価するものであることに対
応し、本学部の組織としての活動を中心に記述したことである。これに伴い、教員各人の教育・
研究活動の報告の掲載は省略した。教員各人の教育・研究活動については、岡山大学ホームペ
ージに掲載している「教員の教育・研究等情報」を参照していただきたい。また、2002 年~
2005 年度の教員各人の教育・研究活動は、別途記録として本学部で作成・保存している。
第三に、外部の方々の法学部教育に対する評価をいただくため、 「岡山大学法学部卒業生ア
ンケート」及び「 岡山大学法学部卒業生受入れ機関・企業等アンケート」を実施し、その結果
を掲載したことである。アンケートに協力いただいた方々にお礼申し上げたい。
本書の全体の作成方針は、法学部自己評価委員会において決定した。編集の具体的業務と上
記二つのアンケートの実施・集計は、自己評価ワーキンググループ(中村誠、鈴木隆元、中川
忠晃、大森秀臣)が担当した。執筆は、各章ごとにその活動を担当する 2005 年度の法学部及
び文化科学研究科の委員会の委員長又は委員が分担して行い、全体の調整は中村誠が行った。
また、諸資料の収集・作成等に、社会文化科学研究科等事務部(2005 年度までは文法経済学部
等事務部)及び赤松孚子、福島淑子、久保田貴文の各助手の分担協力を得た。
本書は、印刷物として文部科学省、他大学等に配布し、かつ岡山大学ホームページ
(http://www.okayama-u.ac.jp/)上で公開している。
〔中村 誠〕
法学部自己評価委員会
委員長
谷
聖 美
委 員
佐 野
寛
中 村
誠
中 富 公 一
吉 岡 伸 一
黒 神 直 純
河 原 祐 馬
岡山大学法学部の現状と課題
発行年月日
編
集
発
行
所 在 地
電
話
2007 年 3 月
法学部自己評価委員会
岡山大学法学部
岡山市津島中3-1-1
086-252-1111(代表)
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