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新事業創出促進に関する事業環境整備構想
新事業創出促進に関する事業環境整備構想 平成17年5月 山 梨 県 (新事業創出促進に関する事業環境整備構想の作成等の経緯) 1 この事業環境整備構想は、中小企業の新たな事業活動の促進に関する法律第25条 第1項及び第2項の規定に基づき平成17年5月20日に作成し、同条第6項の規定 により、同月26日に公表する。 (中核的支援機関の認定等の経緯) 2 新事業支援機関のうち政令で定める支援事業を行う者であって新事業支援体制の中 心として適切かつ確実に機能すると認められるもの(以下「中核的支援機関」とい う。)の認定について、(財)やまなし産業支援機構からの申請(平成17年5月2 日付けやま産(新)第5−2号)を受け、中小企業の新たな事業活動の促進に関する 法律第26条第2項の規定に基づき、経済産業大臣に協議し、平成17年5月20日 付け平成17・05・19地第1号で同意を得る。 3 中小企業の新たな事業活動の促進に関する法律第26条第1項及び第4項の規定に 基づき、平成17年5月26日付け工振第128号をもって(財)やまなし産業支援機 構を中核的支援機関に認定し、及び公表する。 (一部改正) ・第一次改正 平成18年4月3日 目 次 Ⅰ.地域産業資源を活用して行う事業環境の整備の意義に関する事項 1 1.背景 1 2.本県における産業集積の現状 2 (1) 本県経済の概況 (2) 本県産業集積の特徴 (3) 本県の産業集積の形成経緯 (4) 基盤的技術産業集積活性化の推進 3.本県の新事業創出の可能性 6 (1) 地域に蓄積されている技術 (2) 地域に蓄積されている人材 (3)その他の地域産業資源 4.発展可能性の高い重点分野の設定 10 (1) 新製造技術関連分野 (2) 情報通信関連分野 (3) バイオテクノロジー関連分野 (4) 医療・福祉関連分野 (5) 環境・新エネルギー関連分野 5.海外を含めた他の地域との広域的な協力による相互補完 12 (1) 国内での連携 (2)海外との交流 (3)日本新事業支援機関協議会との連携 Ⅱ. 新事業支援体制の整備に関する事項 14 1.新事業支援機関等に関する事項 15 2.中核的支援機関に関する事項 28 3.中核的支援機関と新事業支援機関相互の連携または連絡に関する事項 32 4.地域プラットフォームと連携するその他の支援機関(連携機関)に関する事項 35 Ⅰ.地域産業資源を活用して行う事業環境の整備の意義に関する事項 1.背景 我が国の経済状況は、徐々に回復しつつあるものの、消費や雇用、工場立地件数の低 迷等、依然として厳しい状況にあり、本県産業もまた、経済のグローバル化、ボーダレ ス化が進む中で、益々激化する国際競争下に置かれている。 こうした状況を打開するために、様々な景気刺激策、地域産業振興策が実施され、地 域経済の自立化や独自の発展を支える技術、人材その他の地域産業資源の蓄積を活用し た取り組みが進められようとしている。 本県では、長期総合計画である「創・甲斐プラン21」(平成16年2月承認)の部門 計画である「戦略的産業ビジョン」(平成16年2月承認)、「山梨県産業振興計画」 (平成16年3月承認)、「山梨県バイオ産業集積プラン」(平成17年3月承認)、また、 「甲府地域基盤的技術産業集積活性化計画」(平成16年4月同意)、「山梨県地場産業 振興条例」(県内の製造業の中小企業の自立と振興を図ることを目的に平成5年に制 定)などに基づき、積極的に産業振興策を展開し、技術や人材等の地域産業資源の蓄積 が進められてきている。 この結果、エレクトロニクス分野での高度技術に立脚した産業集積が形成され、製造 品出荷額等も順調に推移してきている。 しかしながら、国際競争や地域間競争の激化に対応し、今後も本県の産業が堅実に発 展していくためには産業競争力の強化を図っていくことが急務であり、これまで地域に 蓄積されてきた技術シーズや経営面・技術面の優秀な人材、学術・研究機関による研究 開発シーズなどの地域産業資源を活用し、既存技術の高度化や新規成長分野への進出を 通じた新事業創出のための総合的で、効率的かつ効果的な支援体制の整備が必要になっ てきている。 豊かな自然環境に恵まれ、我が国有数のエレクトロニクス産業の集積地域である本県 が、環境保全を行いつつ、技術革新、情報通信の高度化、経済のソフト化・サービス化、 国際化等に対応し得る「新付加価値産業県」づくりを実現していくことが、今後の本県 の発展にとって不可欠である。 そこで、中小企業の新たな事業活動の促進に関する法律に基づき、「新事業創出促進 に関する事業環境整備構想」を策定し、本県に蓄積されている技術、人材等の地域産業 資源を有効に活用した新事業創出を一層促進し、新たな産業創造と雇用機会の創出に繋 げていくための事業環境の整備を図るものである。 - 1 - 2.本県における産業集積の現状 (1) 本県経済の概況 平成14年度の本県経済は、海外経済の回復に伴い一部で生産水準の上昇もみられた が、全体には足踏み状態が続いた年度であった。 このような景気動向にあった平成14年度の県内総生産額(名目)は、3兆673億円で、 前年度比0.2%の減少となった。一方、国内総生産(名目)は、497.6兆円で前年度比 で0.7%減少した。(表1) 第一次産業、第二次産業、第三次産業の構成は、県内総生産ベースで見ると、それ ぞれ、2.1%、32.3%、70.3%で、対前年度比は、それぞれ3.7%、△1.2%、0.2%と なり、第二次産業の割合が減少した。(表2) 表1 県内総生産額及び経済成長率の推移 山梨県(百万円、%) 国(十億円、%) 県内総生産 名 目 成長率 実 国内総生産 質 成長率 名 目 成長率 実 質 成長率 平成10年度 3,119,667 -4.0 3,127,610 -3.4 512,441.7 -1.6 516,546.1 -1.0 平成11年度 3,217,432 3.1 3,257,889 4.2 508,000.4 -0.9 520,937.1 0.9 平成12年度 3,274,528 1.8 3,348,360 2.8 513,209.4 1.1 536,806.3 3.2 平成13年度 3,073,365 -6.1 3,169,938 -5.3 500,920.0 -2.4 530,370.3 -1.2 平成14年度 3,067,311 -0.2 3,202,757 1.0 497,646.6 -0.7 536,609.0 1.2 出所:平成14年度県民経済計算年報 表2 産業別県内総生産の推移 第一次産業 第二次産業 (単位:百万円、%) 第三次産業 全体 県内総生産 構成比 成長率 県内総生産 構成比 成長率 県内総生産 構成比 成長率 県内総生産 平成10年 74,226 2.4 1,128,254 36.2 2,051,858 65.8 平成11年 71,462 2.2 -3.7 1,206,435 37.5 6.9 2,066,479 64.2 0.7 3,217,432 平成12年 69,277 2.1 -3.1 1,227,735 37.5 1.8 2,108,962 64.4 2.1 3,274,528 平成13年 62,269 2.0 -10.1 1,003,500 32.7 -18.3 2,153,184 70.1 2.1 3,073,365 平成14年 64,568 2.1 32.3 -1.2 2,157,535 70.3 0.2 3,067,311 3.7 991,762 3,119,667 出所:平成14年度県民経済計算年報 注:各産業の合計が全体の数値になっていないのは、帰属利子等の控除をしない数値を各産業で使用し ているため。 県人口は平成12年の国勢調査の結果では、88万8,172人、就業者数は45万6,191人で、 あり、第一次産業、第二次産業、第三次産業の就業者構成比は、それぞれ、8.8%(全 国構成比:5.3%)、34.2%(全国構成比:29.6%)、57.0%(全国構成比:63.9%)で、 就業者の産業別の増加率(対平成7年)は、第一次産業で△12.5%、第二次産業で△4.4 %、第三次産業で2.8%増となっている。(表3) - 2 - 表3 第一次産業 第二次産業 就業者数 構成比 成長率 平成2年 51,454 平成7年 45,872 平成12年 40,135 産業別就業者数の推移 第三次産業 全体 就業者数 構成比 成長率 就業者数 構成比 成長率 就業者数 11.7 159,947 36.3 9.9 -10.8 163,436 35.3 8.8 -12.5 156,116 34.2 228,233 51.9 440,137 2.2 252,757 54.7 10.7 462,446 -4.4 259,940 57.0 2.8 456,191 出所:国勢調査 注:各産業の合計が全体の値となっていないのは、分類不能の産業を加えてないからである。成長率は 5年間での比率である。 本県工業の最近の動向は、製造品出荷額等の伸びが平成11年以来落ち込んでおり、 (平成15年度工業統計調査結果)事業所数、従業者数も減少傾向にある。 事業所数は2,751事業所で前年に比べて109事業所(4.1%)の増加が見られるが、従 業者数は75,173人で1,361人(1.8%)減少した。 特に、300人以上の事業所ではそれぞれ減少しているものの、4∼299人の中小企業で は増加が見られ、事業所数の増加が顕著な業種としては、プラスチック製品製造業、 金属製品製造業、電子部品・デバイス製造業など16業種であり、従業者数では、窯業 ・土石製品製造業、電子部品・デバイス製造業、プラスチック製品製造業など10業種で あった。(表4) 表4 区分 事業所数及び従業者数の推移 事業所数 4∼299人 従業者数 300人以上 計 4∼299人 300人以上 計 平成11年 3,049 32 3,081 61,946 20,713 82,659 平成12年 3,053 29 3,082 63,097 20,107 83,204 平成13年 2,816 33 2,849 57,688 21,594 79,282 平成14年 2,606 36 2,642 54,377 22,157 76,534 平成15年 2,719 32 2,751 56,046 19,127 75,173 出所:工業統計調査結果報告 注:従業員4人以上の事業所 (2) 本県産業集積の特徴 本県は豊かな自然環境に恵まれている地域であり、特色ある地場産業とともに、高 度技術に立脚した産業集積が形成されている地域である。 これは、昭和57年の中央自動車道の全線開通とともに、本県の積極的な産業立地施 策の展開により、電子部品、半導体デバイス、半導体製造装置、液晶製造装置や産業 用ロボット等における産業集積が進み、大きな発展を遂げてきたものである。 こうした産業集積の特徴は、製造品出荷額の70%強を機械、金属、電気、精密、プ ラスチックなどの工業分野が極めて高いウェイトを占め、大企業及び中小企業から成 る産業集積が形成されていることである。 - 3 - こうした機械電子工業の産業集積に伴い、これと深く関連するソフトウェアなどのI T(情報技術)基盤も形成されつつあり、また、CATV網や高速ネットワークの整備、イン ターネットの広がりなど地域情報化の基盤整備と相まって、ITを利用した産業の発展 も見込まれ、各種のソフト開発を行う受託開発ソフトウェア業、CATV網やインターネ ットを利用したニュービジネスなどの増加、通信ネットワーク間を繋ぐプロバイダー 事業や情報通信関係のベンチャー企業の起業化も盛んになってきている。 さらに、こうした傾向は製造分野へも波及し、域内外での経済のソフト化の動きに 合わせて、ソフト面に関連した製造受注が増えつつあり、ゲーム等エンターテイメン ト機器関連の高精度部品やソフトウェアの発展に対応した新型PCの高精度部品、また、 情報通信機器用のデバイスやこれらの製造装置分野への需要も増加している。 このような状況を踏まえ、既に整備が完了した竜王赤坂ソフトパークにおけるソフ トウェア業の展開や、現在、企業誘致を進めている山梨ビジネスパークなど、頭脳立 地計画に基づく産業集積に向けた取り組みも推進してきている。 これらの高度技術産業の他、豊かな自然環境や地域の生活文化の中で本県の地場産 業が形成されてきており、甲府市を中心とする全国一の研磨宝飾産地、富士吉田市を 中心とする先染織物の全国的地場産地、全国一のぶどう栽培を背景としたワイン産地 などをはじめとして、ニット、木工家具、印伝、花火製造、清酒などの地場産業が盛ん である。 こうした既存の地場産業においても、宝飾産業におけるCAD/CAMの活用や、織物産業 におけるPCとインクジェットプリンターを活用した先染め方式の開発など機械電子工 業の高度技術を活用した新たな技術革新が進められている。 また、製造業の内容を見ると、機械電子工業の事業所数、従業員数、製造品出荷額 等の全製造業に対する割合はそれぞれ51.6%、67.6%、74.0%(平成15年度工業統計 調査結果)で、機械電子工業に極めて特化していることを如実に示している。(表5) 表5 機械電子工業の集積状況(平成15年度) 全製造業 機械・電子工業 シェア 事業所数 2,751 1,420 51.60 従業員数(人) 75,173 50,834 67.60 2,239,228 1,656,276 74.00 製造品出荷額等(百万円) 出所:平成15年度工業統計調査 こうした本県の産業集積の特徴は、誘致企業としての世界的大企業と地場の一次、 二次下請企業から成る企業群により形成され、地場中小企業の技術力の強化が大きな 課題とされてきたところである。 しかしながら、大競争時代の到来や大企業のダウン・サイジングの強まりを反映し、 技術革新や新技術開発に積極的に取り組む中小企業の増加などにより、高度な技術力 を持った「独自の強み発揮型の中小企業」が数多く現れ始めていることは、産業集積 - 4 - の今後の発展に大きな期待が持てるものである。 (3) 本県の産業集積の形成経緯 機械電子工業の集積という本県産業集積の特徴は、「高度技術工業集積地域開発促進 法」(テクノポリス法)及び「地域産業の高度化に寄与する特定事業の集積の促進に関 する法律」(頭脳立地法)に基づき策定したテクノポリス計画や頭脳立地計画の推進 によって形成されてきた。これは、中央自動車道開通と機を同じくした計画的な工業 団地整備とテクノポリス計画等に基づく積極的な企業誘致活動など本県の主体的な工 業振興施策展開の成果でもある。 この結果、世界的企業の工場やこれに関連する中小企業の立地が進み、今日のエレ クトロニクスを中心とする大企業や中堅・中小企業群による機械電子工業の一大集積 地域が形成されたものである。 また、ソフトウェア産業の集積も平成2年からのいわゆる頭脳立地計画の推進に基づ き、竜王赤坂ソフトパークへのソフトウェア産業等の立地を進めてきたところであり、 現在も山梨ビジネスパークへの頭脳産業の誘致を進めているところである。 こうしたテクノポリス計画等に基づく積極的な産業立地施策の推進の結果、機械電 子工業の製造品出荷額の本県全体の製造品出荷額に占める割合が、昭和27年は10%、 昭和47年には44.1%、さらに平成4年には69.7%、平成9年には75.8%と急速に拡大し たが、平成15年には1兆6,563億円(対全県構成比74.0%) と平成9年に比べ△1.8%とな っている。また、事業所数では1,420事業所(対全県構成比51.6%、平成15年工業統計、 以下同じ)、従業者数でも50,834人(対全県構成比67.6%)となり、本県の基幹産業 となるに至ったものである。(表6) 表6 昭和27年 産業分類 機械電子工業の推移 昭和47年 平成4年 平成9年 平成15年 製造品出荷額 製造品出荷額 製造品出荷額 製造品出荷額 製造品出荷額 約3,013億円 約3,013億円 約23,275億円 約26,259億円 約22,393億円 機械・電子工業 10.0% 44.1% 69.7% 75.8% 74.0% その他 90.0% 55.9% 30.3% 24.2% 26.1% 出所:工業統計調査結果報告 注:「機械・電子工業」=プラスチック、鉄鋼、非鉄、金属、機械、電機、情通、電子、輸送機及び精機 「その他」=食料、飲料、繊維、衣服、木材、家具、窯業等 (4) 基盤的技術産業集積活性化の推進 前述した機械電子工業のウェイトが高いという本県の産業集積の特性を踏まえ、集 積度が高い甲府盆地の中央自動車道沿線地域(甲府地域)を戦略的拠点とする「甲府 地域基盤的技術産業集積活性化計画」は平成16年4月に国の同意を受けたところである。 この計画に基づき、山梨県工業技術センター内に整備された「山梨県高度技術開発 センター」は、開放型研究開発支援施設として、技術開発や試作開発、さらには産学 官の共同研究開発の場として、活用が期待されているところである。 - 5 - 3.本県の新事業創出の可能性 (1) 地域に蓄積されている技術 ① 製造技術分野 本県には、機械電子工業の集積という特徴から、高精度加工技術が蓄積されており、 こうした技術シーズをもとに新たな産業創造に繋げていくことが充分可能である。 機械分野においては、産業用ロボットをはじめ、FA機器、検査計測機器等を生産す る大企業と関連部品を製造する中小企業に、設計、組み立て、検査技術ならびに駆動 ・位置決め技術が蓄積されている。特に、ネジ・軸受け・テーブル案内などの摺動機 構や位置決め機構部品などの基幹部品製造のための組み立て技術と設計・検査技術の 高精度化が急ピッチで進められていることから、技術競争力の強化やマイクロマシニ ング技術領域等への新たな展開など今後の発展が期待できる。 レンズ、プリズム、ミラー、CD・DVDなどのビーム利用技術分野では、技術力のある 中堅企業が本県で育っており、形状・表面粗さの加工精度を出す技術が蓄積されてい る。この技術分野では、加工精度の高精度化を進めることで、基幹部品としての各種 ビーム利用部品を開拓していくことが可能であり、超精密・超微細加工や新素材の活 用、多品種少量・短納期化生産技術と組み合わせることによって、光部品や医療機器 関連、情報通信機器などへの新たな展開が充分に期待できる。 金属材料の切削・研削加工、放電加工などを行う中小企業が数多く存在する金属材 料加工分野では、現在、精密歯車、ロータリーコンプレッサー部品の加工などミクロ ン単位の加工が中心となっているが、サブミクロン単位の加工ができる技術蓄積を持 った企業も多く存在していることから、家電製品やOA機器部品の軽量化・小型化、高 機能化・高品質化に対応し得る加工技術の一層の高精度化が期待でき、さらに高度医 療機器やバイオセンサーなどのバイオテクノロジー向けの機器などへの新たな展開も 見込める。 シリコンウェーハやセラミックス、水晶発振子関連、部品用セラミック加工、半導 体パッケージ、半導体素子製造、光素子製造などの企業が集積する硬脆材料の加工技 術分野においては、形状切削と研磨技術を中心とする技術が充分に蓄積されている。 シリコンウェーハに関しては、精密測定技術などを組み合わせて、現在の高精密研 磨加工から超精密研磨加工に進めることで、半導体素子の高密度化・高集積化に必要 なシリコンウェーハの大型化・高精度化への対応やマイクロマシンへの応用領域の拡 大が可能である。 - 6 - また、セラミックに関しては、蓄積されている高精密・高微細加工技術をベースに 耐熱性・対摩耗性が要求される超精密部品への応用範囲の拡大が充分可能である。 ガラス・水晶に関しては、近年の光学の発展や水晶振動子など新たな技術領域での 加工技術が長年蓄積され、今まさに発展段階にある情報通信デバイス分野における新 たな展開も始まりつつあり、新産業創造の大きな可能性を有している。 この他、期待できる事業展開として、 パソコン用光ディスク、プリズム等液晶プロジェクター向け光学部品、光センサー による読み取り装置などの製造企業が多数存在し、こうした企業のレーザーや光を利 用したレーザー・光技術の蓄積を活かした情報通信機器関連などへの新たな展開、 プラスチック等の樹脂成形技術を保有する企業が多数存在する高分子系材料加工技 術分野においては、情報通信分野や環境計測機器分野における製品の多機能化、高性 能化に対応した基幹部品製造のためのプラスチック射出成形技術による高度化特殊金 型の製造といった新たな分野への展開、 さらに、センサーそのものを製造している企業もあるなど、検査・計測関連機器の 設計・製造を行っているセンサー技術分野企業が多く存在し、こうした企業に蓄積さ れている画像や光信号又は電子信号処理技術などを活用するとともに、これにソフト ウェア業を結びつけることで、顧客の要求に合わせたセンサー機構及び信号処理ソフ トの提供という幅広い領域での新たな事業展開が期待できる。 ② IT(情報技術)分野 ITの進展により、PCや情報通信機器などの発展は目覚ましく、機械電子工業の基幹 部品製造を主力とする本県の産業集積においては、情報通信デバイス等の分野での事 業展開や高度な研究開発が盛んに行われている。 携帯電話用等のLEDや水晶振動子で高いシェアを有する技術特化型の企業が複数存 在し、さらに、安全なカード社会に必要な超薄型・超小型のICカード搭載型水晶発振 器の研究開発、周波数帯域の広さなどから水晶に代わる新素材として期待されるリチ ウムタンタレート単結晶の量産化に向けた研究開発、光通信に欠かせないルチルプリ ズムの新製造技術の開発事業などの産学官による共同研究開発も盛んに展開され、非 常に大きな技術蓄積を有している。 特に、この分野における市場規模が世界的に大きいことから、この蓄積された技術 をベースとすることにより、新産業創出の大きな発展の可能性が見込める。 また、ITの発達に伴い、本県の特性である機械電子工業関連においては、設計デー タの電子的な交換が必須条件となりつつあることなど、これまで県の工業技術センタ ーを中心に県内企業などでCAD/CAM/CAEに積極的に取り組んできた技術蓄積があり、 この分野でも大きな発展基盤を有する。 - 7 - ③ バイオテクノロジー技術分野 本県には、伝統的なバイオ産業の集積が進んでいることから、ワインやきのこに関 連する製品を製造している企業を中心として、発酵や培養に関する特徴ある技術の蓄 積がある。 また、家畜などの排泄物や下水汚泥などの有機性廃棄物を原料とした堆肥を製造す る企業などの立地もみられる。 なお、バイオテクノロジーの進展には、ナノレベルの測定器や遺伝子を操作するた めの精密な機器を始めとする技術基盤を支える様々な周辺装置が必要となるが、県内 には技術の進展を支える関連企業として、電気・精密機械産業などの集積が進んでい る。 (2) 地域に蓄積されている人材 新事業創出のためには、技術の蓄積だけではなく、新事業を起こそうとする起業家 精神とそれを支える能力とを兼ね備えた人材の存在、また、こうした新事業展開を支 援する人材の存在が不可欠である。 本県の独自の技術的な強みを持った中小企業は、こうした要素を備え、技術面、研 究面、経営面の人材の蓄積が豊富であり、事業の実現性の確度も最も高いことから、 こうした企業を新規事業の主要な担い手として位置付け、これを支援していくことに より新産業の創出に結びつけていきたい。 また、山梨大学を中心に情報通信における研究人材の蓄積や、県内に立地している 多数の大企業における技術人材、経営人材の蓄積もあり、大企業からスピンアウトし た者によって起業され、現在、発展を遂げているハイテク企業も既に数多く存在して いる状況にある。 さらに、潜在的な起業家として、県外で培った研究経験、人的ネットワーク、首都 圏との近接性及びインターネット等の情報通信の発達をベースに、本県の住環境や自 然環境を求めて県内で起業する人材も出てきていることから、この面からも起業家を 惹きつける魅力を活用した人材の集積が今後さらに見込まれる。 この他、企業の新たな取り組みに向けた経営、技術両面からのアドバイザー派遣事 業における登録アドバイザーの増加や企業経営者など地域の経営人材を活用した新規 事業起こしのためのコーディネーション活動の展開におけるコーディネーター人材な ど外部経営資源の充実も着実に進みつつある。 (3) その他の地域産業資源 ① ものづくり基盤(工業団地) 新たな産業起こしに繋がる「ものづくり基盤」として、本県には、基幹工業団地、 地域中核工業団地、地区拠点工業団地及び地場産業団地などの工業団地整備があり、 こうした基盤を活用した新たな産業創出も期待できる。 - 8 - ② 情報・通信基盤 本県の情報通信に関連する地域産業資源は、機械系製造業でのコンピュータ・OA機 器等の部品、装置製造による機器開発における技術面はもとより、情報・通信基盤の 整備においても充実してきている。 ハード面では、電気通信事業者による専用線サービス(ATM等高速通信が可能となっ てきている)、ADSL、CATV事業者による高速インターネット利用サービス等、各種の 通信サービスが充実してきている。また全国を縦断する研究開発用ギガビットネット ワーク接続装置が、本県にもビジネスパーク内の開放型研究開発センターに設置され (平成11年1月設置、同4月運用開始)、これを利用した県外の大学、企業、研究機関 との高速通信技術実験が推進されている。 - 9 - 4.発展可能性の高い重点分野の設定 (1) 新製造技術関連分野 産業の基盤は「ものづくり」であり、新たな産業創出にとっても高度な製造技術は 不可欠であることから、高精度加工技術や環境、省エネルギーに配慮した新たな製造 技術は今後益々重要となってきている。 また、産業用ロボットや半導体製造装置などの機械電子工業が製造品出荷額の74.0 %(平成15年工業統計)を占めるという本県の高度技術産業集積の特性を踏まえると、 県内に蓄積されてきた技術や人材などの地域産業資源を活用し、高度で精密な加工技 術を応用した新製造技術分野、知的生産システムなどの新製造システム分野及び新素 材利用製造技術分野の3つの新製造技術関連分野について、新たな発展の可能性は極め て高い。 (2) 情報通信関連分野 コンピュータの急速な発達など情報化の時代を迎えて、日常生活から産業に至るあ らゆる分野において、情報通信関連分野の産業は今後大きな発展が期待できる。 インターネットや通信技術の進展により、あらゆる産業分野でIT化は時代の潮流と なっている。インターネット技術を用いた電子商取引は急速にその規模を拡大させて おり、今後も電子政府・電子自治体の構築に伴い、その重要性はさらに増すことが見 込まれる。このため、県内企業がIT化によるビジネスチャンスを活かすことのできる 基盤の整備を積極的に進める。 本県では、コンピュータ、半導体、光ファイバー、産業ロボットなどのエレクトロ ニクス分野の世界的企業の立地とこれに関連する基幹部品を製造する中小企業群によ る高度技術産業の技術シーズの蓄積があり、さらに、全国一の普及率を誇るCATV網の 整備、ギガビットネットワークの実験、シームレス通信網等の整備推進、竜王赤坂ソ フトパークの整備等、情報通信インフラの整備が進んでいる。 こうした地域産業資源の蓄積を活用した情報通信関連分野のソフト・ハード双方の 新たな産業創出が期待できる。 (3) バイオテクノロジー関連分野 本県には古くから醗酵技術を用いて製造される様々な食品があり、ニューバイオを 取り入れることによって、一層の高付加価値化、高品質化が可能となり大学等でも基 礎研究が継続して行われていることから、産学官の連携を強化することで新技術・新 製品の開発に繋がり、一層の成長が見込まる。また、自然条件を活かした産業が展開 されていることから、病気に強い種苗やきのこ等の人工栽培、生物農薬など、成長産 業としての発展が期待される。さらに、ダイオキシン等の有害化学物質を簡便・迅速 に検出する測定法の開発や使用済み繊維強化プラスチック(FRP)を植物油により 安全で効率的に分解する技術の開発、バイオマスエネルギーの有効利用など、様々な 分野で技術シーズが生まれており、山梨大学、帝京科学大学においては、医工連携プ ロジェクトが進み、基幹技術確立の可能性が高いばかりか、大学の近くには工業団地 - 10 - 等が整備されているなど、企業立地上のメリットもある。これらのことから、本県の 地域資源を活用することにより今後の発展が大いに期待できる。 (4) 医療・福祉関連分野 本県は、高齢化率が全国平均よりも高く、また、温泉施設等の自然環境を利用した リハビリテーション等の医療福祉施設が多数存在していることから、これらと本県の 機械電子工業の集積を結びつけ、福祉関連機器などを中心とする医療・福祉関連分野 への展開の可能性が大いに期待できる。 具体的には、県工業技術センターが機械電子工業やソフトウェア業の県内企業等と 共同で行っているCAD/CAM技術を活用した義肢ソケットの研究開発などの取り組みが進 められている。 また、本県の優れた情報通信インフラ整備とともに、テレビ会議システムを利用し た遠隔生涯学習支援システムに関する実証実験や医療情報ネットワーク活動の展開な どを通じ、高度医療に資する遠隔医療総合支援システムの整備開発が進められている。 このように、本県の機械電子工業に蓄積された技術力を活用した医療・福祉用具製 造分野への本格的展開が今後見込まれることから、平成15年度の製造品出荷額582億円、 事業所数14社となっている医療機械器具・同装置分野の大きな伸びが期待できる。 (5) 環境・新エネルギー関連分野 本県は豊富な森林や水資源等、自然環境に恵まれており、一方で、環境・新エネル ギー関連の研究シーズ、技術シーズが芽生えている。特に次世代の新エネルギーとし て、注目を集めている燃料電池分野において高度な研究開発が進んでいる。 燃料電池の研究開発は、国家的プロジェクトであり、単に一地域において、産業振 興を図れるものではないが、今後実用化研究が進む段階で、地域に研究開発機能が集 積することにより、地域に蓄積される関連技術の裾野は、燃料電池の燃料である水素 の製造、精製、輸送、貯蔵等にも広がることが期待される。また、本県に集積するエ レクトロニクス技術と有用微生物を組み合わせた生ゴミ処理機の開発や有害物質のプ ラズマやマイクロ波を利用した分解除去、水処理システムなどに県内中小企業が取り 組んでおり、試行錯誤はあるもののこうした分野への新たな展開も期待できる。 - 11 - 5.海外を含めた他の地域との広域的な協力による相互補完 新事業創出にあたっては、県内に蓄積された地域産業資源の活用のみならず、日本国 内及び海外との広域的連携を踏まえて、地域の産業資源の相互補完を図ることが極めて 重要であり、こうした広域的な連携協力も促進していくものとする。 (1) 国内での連携 ① 諏訪地域、広域多摩地域との連携 本県は、電子、半導体関連の世界的企業の集積があり、研究開発・試作機能の集積 が見られる東京西部地域に近接し、精密機械加工技術の技術的蓄積がある長野県諏訪 地域と隣接していることから、これらの地域と連携することによる相互補完が可能と なる地理的メリットを持っている。 実際に、本県北部は、隣接する諏訪地域との間で高精密加工技術分野における研究 開発資源や生産技術蓄積の相互活用のための仕組みを検討、甲府・諏訪両地域の技術 基盤の補完と強化のために県境を越えた公設試験研究機関の連携を進めている。 また、郡内地域は、中央自動車道を媒介とし、試作・開発機能が高密度に集積して いる東京西部地域の広域多摩地域との連携を発展させ、取引拡大や技術高度化の可能 性を追求している。 さらに、広域多摩地域、山梨、諏訪地域は、交通・通信インフラの整備面から見て も、東京八王子地区から甲府地域、諏訪地域を繋ぐ中央自動車道の沿線地域であり静 岡県清水港への中部横断自動車道の計画(一部着工済み)、長野県佐久地区への道路 計画によって、広域経済圏の形成が予想されるとともに、情報通信分野においても総 務省の研究開発用ギガビットネットワークを利用した実証実験が、山梨において行わ れている。さらにリニアモーターカー実験線の運行実験などもあり、将来においては 超精密ハイテク産業を核とした中央道ベルト地帯が形成される可能性を秘めている。 ② 広域関東圏との連携強化 本県を含む一都十県の広域関東圏で、研究開発に積極的な企業を発掘し、広域にわ たる産学官連携を通じた新産業の創出促進、地域経済の活性化を図る「地域産業活性 化プロジェクト」が関東経済産業局の産業クラスター計画として進められてきている。 本県は中央自動車道沿線地域(山梨県・長野県)、首都圏西部地域(TAMA:東京都 ・神奈川県・埼玉県)、東葛・川口地域(埼玉県・千葉県)、三遠南信地域(静岡県 ・長野県・愛知県)、首都圏北部地域(栃木県・群馬県)とともに、このプロジェク トの一エリアを構成している。 本県では、このプロジェクトと緊密な連携のもと、より広域間の企業間連携・産学 連携を通じて、県内地域産業資源を活用した産業の高度化・製品の高付加価値化など 地域の優位性維持を図っていくこととしている。 - 12 - (2)海外との交流 本県の海外との交流は、これまで姉妹関係にある米国アイオア州、ブラジルのミナ ス・ジェライス州、アジアでは、中国四川省や韓国忠清北道、平成12年4月姉妹提 携調印されたフランスのソーヌ・エ・ロアール県などがあり、文化的交流が行われて いる。 今後、海外との交流については、広域連携との関わりの中でさらに広がるものと考 えられ、新規事業創造という視点から評価・活用できるように体系的に取り組んでい くこととしている。 (3) 日本新事業支援機関協議会(Japan Association of New Business Incubation Organization 略称:JANBO)との連携 平成11年6月に設立された日本新事業支援機関協議会の実施する各種の事業に積 極的に参加し、各県の地域プラットフォームとの技術交流や情報交流、また他地域の 支援事業に関する情報収集などを行うとともに、同協議会の新事業創出支援に関する 海外の機関等との交流事業などを活用した国際交流にも積極的に取り組み、本県の新 事業支援体制の強化と、新事業創出の促進を図っていく。 - 13 - Ⅱ. 新事業支援体制の整備に関する事項 本県では、新たな産業起こしを狙いとして、平成8年度から「山梨県新産業創造総合 支援事業」を開始し、逐次これを拡充しながら、ベンチャー企業に対する支援事業を総 合的に展開してきている。 このうち、ベンチャー企業への直接金融による支援制度である創造的中小企業創出支 援事業は、「中小企業の創造的事業活動の促進に関する臨時措置法」に基づき、財団法 人山梨21世紀産業開発機構(現:財団法人やまなし産業支援機構)をベンチャー財団と して、平成8年度から実施しているもので、さらに平成11年度からはベンチャー企業の 設備投資を支援するための機械類の割賦・リース制度(ベンチャーリース制度)も加え、 事業内容の拡充を図った。 特に、企業の発展段階に応じた効率的、効果的な支援事業の展開を図るためには、各 産業支援セクターの連携強化が何よりも重要であることから、行政機関、研究機関、大 学、商工団体、民間ベンチャーキャピタル及び金融機関等からなる「やまなしベンチャ ーサポート協議会」を平成9年度に設置し、官民連携による新たな産業起こしの取り組 みを進めてきた。 さらに、この協議会を発展させる形で、平成10年度から県商工労働観光部工業振興課 に 設 置した「やまなし ベンチ ャー 企業総合支援 センター 」の企画運営会議に移 行 し、各産業支援機関の実務担当者の協力連携によるコーディネーション活動を主体とする 「ベンチャー企業ステップアップ支援事業」を実施してきたところである。 このコーディネーション活動の積極展開によって、県内企業を中心とする地域コンソ ーシアムや中小企業技術革新制度(SBIR)などの研究開発の取り組みが活発化し、一定 の成果を上げてきている。 平成11年12月からは財団法人山梨県中小企業振興公社(現:財団法人やまなし産業支 援機構)を山梨県中小企業支援センターとする中小企業の経営革新に対する支援拠点整 備を行うとともに、併せて、新規創業者や小規模企業者向けの身近な支援拠点として、 県内3箇所の地域中小企業支援センターを平成12年1月から設置(平成13年4月から4箇 所)し、新たな産業創出の担い手である中小企業に対するきめ細かな支援体制の整備を 図ったところである。 また、平成16年8月から将来有望な成長志向型ベンチャー企業に対し投資を行い、 株式公開企業を育成し、地域経済の活性化につなげることを目的とした「やまなしベン チャーファンド」を創設し、ベンチャー企業の資金調達の多様化を図っている。 本県に蓄積された地域産業資源の一層の活用を促進し、新事業創出に繋げていくため、 新事業創出促進法に基づき新事業創出支援体制を構築しており、その体制を、各支援機 関の有機的連携強化のもと、研究開発から事業化までの一貫した総合的支援の強化を狙 いとして、新事業支援体制(地域プラットフォーム)として引き続き存続させる。 なお、平成12年8月1日付けで(財)山梨21世紀産業開発機構に(財)山梨県中小 企業振興公社及び(財)山梨県産業展示交流館を統合し(財)やまなし産業支援機構と し、中小企業・ベンチャー企業に対する支援の一元化と、その機能の一層の強化を図っ た。さらに、平成18年度からは、(財)やまなし産業支援機構を「中小企業サポート - 14 - センター」と位置付け、中小企業支援センター及び地域中小企業支援センターを発展的 に廃止して事業の統合整理による効率化を図りつつ、支援施策の一層の強化・総合化を 図っている。 1.新事業支援機関等に関する事項 新事業支援体制(地域プラットフォーム)において、新事業支援機関として次の機関 及び団体を位置付け、相互に緊密な連携を図りながら、本県経済の自律的発展を図るた めの新事業創出に向けた総合的な支援を推進していく。 【新事業支援機関】 (公設試等) ○ 山梨県工業技術センター ・デザインセンター ・ワインセンター ○ 山梨県高度技術開発センター ○ 山梨県知的所有権センター ○ 山梨県起業化支援センター ○ 山梨県富士工業技術センター (大学等) ○ 山梨学院大学 ○ 帝京科学大学 ・帝京科学大学大学院バイオテクノロジー研究センター ・帝京科学大学大学院未来材料研究センター ○ 山梨県立宝石美術専門学校 ○ 山梨県立産業技術短期大学校 ○ 学校法人サンテクノカレッジ (産業支援機関等) ○ 財団法人やまなし産業支援機構 ・山梨県中小企業サポートセンター ○ 甲府・国中地域地場産業振興センター ○ 富士川地域地場産業振興センター ○ 郡内地域地場産業振興センター ○ 山梨県中小企業人材開発センター ○ 雇用・能力開発機構山梨センター ○ 社団法人山梨県機械電子工業会 ○ 株式会社山梨ティー・エル・オー(技術移転機構) - 15 - (特定ベンチャーキャピタル) ○ 山梨中銀経営コンサルティング株式会社 ○ 東京中小企業投資育成株式会社 ○ 株式会社日本商工経済研究所(県内相談窓口:商工組合中央金庫甲府支店) ○ みずほキャピタル株式会社(県内相談窓口:みずほ銀行甲府支店) ○ 株式会社ジャフコ(県内相談窓口:野村証券甲府支店) ○ エヌ・アイ・エフSMBCベンチャーズ株式会社(県内相談窓口:大和証券甲府支店・三 井住友銀行甲府支店) ○ 日興アントファクトリー株式会社(県内相談窓口:日興コーディアル証券甲府支店) ○ 新光インベストメント株式会社(県内相談窓口:新光証券甲府支店) ○ 勧角インベストメント株式会社(県内相談窓口:みずほインベスターズ証券甲府支店) ○ 日本アジア投資株式会社 ○ 三井住友海上キャピタル株式会社(県内相談窓口:三井住友海上火災保険山梨支店 ) ○ 安田企業投資株式会社 (政府系金融機関) ○ 中小企業金融公庫甲府支店 ○ 商工組合中央金庫甲府支店 ○ 国民生活金融公庫甲府支店 【連携機関】 (国立大学) ○ 山梨大学 ・山梨大学地域共同開発研究センター (商工団体) ○ 甲府商工会議所 ○ 富士吉田商工会議所 ○ 山梨県商工会連合会 ○ 山梨県中小企業団体中央会 (金融機関) ○ 県内に本支店を有する民間金融機関 (行政機関) ○ 山梨労働局 なお、各支援機関の持つ支援機能は、それぞれ併記するとおりである。 - 16 - (1) 山梨県工業技術センター 支援機能:技術開発、技術移転、インキュベート、情報提供・マッチング、人材育成 昭和61年4月、テクノポリス計画に基づく工業指導所の組織再編により研磨工業指 導所、機械金属工業指導所などが統合し、山梨県工業技術センターとして設立したも のであり、本県工業の技術振興を図るための技術支援、企業からの依頼による試験及 び分析業務、技術講演会や研修会の開催、技術情報の提供等とともに、機器、設備の 開放利用など幅広い業務を行っている。 特に、地域中小企業の支援に力点を置き、地域の産業集積の特性を活かした製品開 発や技術開発をはじめ、デザイン開発、生産活動と環境の調和技術の開発なども進め られている。 また、県内中小企業の技術開発やアイディアを具体化するための研究開発受託事業 を積極的に展開して、中小企業と共同で新技術、新製品開発のための共同研究開発を 実施している。 さらに、県内企業や大学等との地域コンソーシアムを形成して、産学官の共同研究 開発事業に積極的に取り組むとともに、中小企業技術革新制度(SBIR)に取り組む県 内中小企業に対する技術支援も強化している。 ○ デザインセンター 支援機能:技術開発、情報提供・マッチング、人材育成 工業技術センター内に併設されているデザインセンターは、生産活動と生活インタ ーフェイスとして、知的・創造性付加の製品生産に欠くことのできないデザイン開発 に力点を置いた技術の高度化を目指し、研磨宝飾製品、ニット製品、家具製品などの 新しい需要に対応した産地製品のデザイン創造や開発力強化のための支援を行ってい る。 また、CGシステムなどを利用した素材加工技術の研究、新製品の創出及び製品の高 機能化や高品質化などの応用研究にも積極的に取り組み、CGデザインの普及や研修な どの人材育成も行っている。 ○ ワインセンター 支援機能:技術開発、情報提供・マッチング、人材育成 国内ワイン醸造量の4割強を占め、81社のワインメーカーが集積し、その醸造技 術を競っている本県において、昭和4年に設置されて以来、ワイン醸造から保存管 理までの試験研究と技術相談、県内外・海外の情報収集と提供など、本県ワイン産 業の技術的拠点として、県内中小ワインメーカーの技術支援を行っている。 さらに、県内産ブドウを用いて独自のワイン醸造に取り組み、平成10年には「甲 斐ノワール」「甲斐ブラン」を醸造し、県産ワイン醸造技術の高さとワインの高品 質をアピールするなど、ワイン産業の振興と技術レベルの向上に寄与している。 - 17 - (2) 山梨県高度技術開発センター 支援機能:技術開発、技術移転、インキュベート、情報提供・マッチング、人材育成 工業技術センター内に併設の開放型研究開発支援施設として、甲府地域基盤的技術 産業集積活性化計画に基づき、国の支援を受け整備されたもので、機械電子工業分野 の県内企業の「より高い技術レベルへの挑戦」を支援するための先導的な役割を担う ことを目的として、平成12年4月から供用開始された。 この高度技術開発センターには、高精密加工用の汎用機、高微細加工用の汎用機、 高精度測定・評価機器及び画像解析装置(CAD/CAM/CAE)を整備し、精度の高い試作開 発や研究開発さらには産学官の共同研究開発の場としての活用を図っていく。 (3) 山梨県知的所有権センター 支援機能:技術移転、情報提供・マッチング 山梨県知的所有権センターは特許電子図書館として、工業所有権情報の閲覧・検索 の支援を行うとともに、講演会やセミナーの開催も数多く実施し、工業所有権の普及 に努めている。 また、県内企業への特許流通を促進するため、発明協会より派遣された特許流通ア ドバイザーによる特許技術の移転に関する相談や支援を行うとともに、特許流通の促 進を図るための開放特許活用推進事業を展開している。 (4) 山梨県起業化支援センター 支援機能:インキュベート 山梨県起業化支援センターは、創業予定者や創業後間もない者の立ち上がりから成 長段階までの総合的な支援を行うため、平成13年10月1日に工業技術センター内に整 備されたインキュベート施設である。 8室のインキュベートルームを備え、入居者に対し、工業技術センター研究員によ る技術的な支援、インキュベーションマネージャーによる総合相談、(財)やまなし 産業支援機構職員による販路開拓等の経営支援を行い、ベンチャー企業の起業化の促 進を図っている。 (5) 山梨県富士工業技術センター 支援機能:技術開発、技術移転、情報提供・マッチング、人材育成 明治38年に山梨県工業試験所として設立され、主に繊維技術の開発を中心に富士吉 田市やその周辺に集積した繊維産地の工業化の推進を図ってきた。 また、工業技術の高度化を推進するため、従来の繊維工業試験場を再編整備して、 昭和61年4月1日から繊維部と機械電子部を設置し、中小企業の技術振興のため、試験 研究ならびに技術支援を積極的に展開している。 - 18 - 山梨県工業技術センターと同様に、新製品の開発、品質の改良、製造加工技術の改 善、開発等の試験研究や技術相談、受託試験研究等の事業を展開するとともに、特に、 周辺に集積が見られる繊維工業、機械金属、電気電子工業の技術力、デザイン向上の ための研究や技術支援に力を入れており、研修やデザイン開発、新技術の応用、自動 化技術等について試験研究が盛んである。 (6) 山梨学院大学 支援機能:経営支援、情報提供・マッチング、人材育成 山梨学院大学は、法学部法学科・政治行政学科、商学部商学科、経営情報学部経営 情報学科から成り、学内にある多くの施設を一般に開放したり、県や地元の市町村へ の出張講座を多数開講するなど、「地域文化の創造拠点」を目指し、創立以来、地域 との連携を図る多彩な活動を繰り広げている。 特に、経営情報学科では、県内企業に優秀な経営人材を送り出し、本県の産業の振 興に大きく貢献しており、最近は経営や情報の分野からベンチャー支援にも積極的に 取り組んでいる。 (7) 帝京科学大学 支援機能:技術開発、技術移転、情報提供・マッチング、人材育成 帝京科学大学は、平成2年4月、西東京科学大学として理工学部4学科(電子・情報科 学科、バイオサイエンス学科、物質工学科、経営工学科)を有する単科大学として開 設された。 平成6年には大学院が設置され、バイオサイエンス専攻、マテリアルズ専攻、経営 情報システム専攻の3分野について修士課程が、平成8年には博士課程が設置された。 平成8年から帝京科学大学と改名し、平成17年度現在、理工学部4学科(メディア 情報システム学科、バイオサイエンス学科、環境科学科、アニマルサイエンス学科) の理系単科大学として研究開発を進めている。 大学院のバイオサイエンス専攻では、生体構造化学、分子生体制御、分子生理化学、 生体物性化学、バイオプロセス工学の分野で研究開発を行っており、バイオサイエン スの基礎的素養と応用技術を持った人材の育成を目指している。 また、環境マテリアル専攻では、金属、セラミック、高分子、複合材料及び個体デ バイスを扱う分野として、マテリアルの化学及び工学の進展に寄与する技術者・研究 者を育成している。経営情報システム専攻では、情報処理の基礎的能力を修得させ、 経営戦略及び管理の情報システムの設計と運用の能力を持つ技術者・研究者を育成し ている。 ○ 帝京科学大学大学院バイオテクノロジー研究センター 支援機能:技術開発、技術移転、情報提供・マッチング、人材育成 - 19 - 現在第2期を迎えた帝京科学大学大学院バイオテクノロジー研究センターでは、同 大学院のバイオサイエンス専攻教員を中心として、遺伝子関連のプロジェクト研究が 行われている。 バイオ研究を基礎として、「機能分子設計」、「細胞シミュレーション」「環境バ イオモニタリング」といった基礎研究が行われ、その中でこれからのバイオテクノロ ジー研究にも対応できる人材を養成している。 地域研究機関、企業などとも交流を進め、地域の産・官・学のバイオ教育・研究セ ンターを目指している。 ○ 帝京科学大学大学院未来材料研究センター 支援機能:技術開発、技術移転、情報提供・マッチング、人材育成 未来材料研究センターは、平成12年2月7日、地域材料研究支援拠点を目指した「帝 京科学大学環境未来適合材料研究センター構想」が文部省の「私立大学ハイテク・リ サーチ・センター」に選定されたのを受け、平成12年4月1日起工された研究センター である。 同センターでは、「環境適合未来材料及びシステムの構築と構造解析」をメインテ ーマに、①高分子生化学材料の合成、乾燥地帯改善用高分子フィルムの開発や、②次 世代の半導体として使用可能なダイヤモンド薄膜をはじめとする機能性薄膜の開発、 ③環境にやさしい半導体材料、将来のクリーンな電力供給源である薄膜太陽電池の開 発等の研究開発を行っている。 特に高い熱伝導性と高い音波伝搬速度を持つダイヤモンドは、薄膜状で人工合成で きれば、次世代の半導体基板として用いることが期待されている。帝京科学大学の研 究グループでは、閉鎖系の反応で、初めて非晶体(ガラス)上にダイヤモンド薄膜を 作成することを見出しており、今後この研究を発展させ、新規機能性ダイヤモンド薄 膜を合成する研究開発を同センターで進めている。 また、これらの研究を行うにあたっては、電界放射形走査電子顕微鏡システムや薄 膜材料・結晶性解析X線回折装置、500MHzNMR付属装置等を設置する。 (8) 山梨県立宝石美術専門学校 支援機能:人材育成 昭和56年に本県の伝統的な地場産業である研磨・宝飾業の振興を図るため、高等教 育に準じた教科編成による宝石学、宝飾美術を専門とした日本で唯一の公立専門学校 として開校した。 同校は、ジュエリー産業全般にわたる基礎知識、さらに特定分野での専門的な知識、 技術を修得させることを目的として少人数単位での教育を行っており、カリキュラム は、宝石学科、宝石・貴金属加工学科、宝飾デザイン学科に分かれる専門課程(2年 制)と講義中心で宝飾品に関する基礎知識を修得する一般課程(2年制)、各自の研 - 20 - 究テーマに基づきより専門的、実践的な知識・技術を習得する研究科に分かれている。 開校以来、1,000名余の有能な人材を輩出し、その多くが地元企業において宝飾産 業県やまなしを支える原動力となっており、また、歴史を重ねる中で同校は研磨宝飾 業界のシンボル的存在となっている。 (9) 山梨県立産業技術短期大学校 支援機能:人材育成 平成11年4月に、高度な技術・技能及び知識を兼ね備えた実践技術者を育成するこ とを目標に、2年制の短期大学校として設立されたもので、甲府地域基盤的技術産業 集積活性化計画においても、主要な人材育成機関として位置付けている。 生産技術科、電子技術科、情報技術科及び観光ビジネス科の4科を有し、人材育成 はもちろんのこと、テクノポリス計画や基盤的技術産業集積活性化計画の推進機関な どとの連携を図りながら、職業能力開発に関する調査・研究なども併せて行っている。 新規高卒者に対する専門課程の訓練や聴講生、研修生の受け入れ、在職者を対象と した公開講座の実施や専門短期課程及び短期課程の教育訓練等は新事業創出に即効的 な効果があるものと期待できる。 (10) 学校法人サンテクノカレッジ 支援機能:人材育成 サンテクノカレッジは、新しい時代に相応しい情報科学技術者を育成することを目 的として、50余の企業の協賛のもと、情報システム科、マルチメディア科、ネットワ ークデザイン科のソフトウェア関連の3学科を有する専門教育機関として、平成3年4 月に竜王赤坂ソフトパーク内に開校された。 同時に同ソフトパークに5社の企業誘致も行われ、産学一体で人材の育成を図ると 同時に、最新技術の研究にも力を注ぐことにより、その成果を活かし、社会に貢献す ることを基本理念として、情報科学技術者の養成に努めてきている。 (11) 財団法人やまなし産業支援機構 支援機能:技術開発、技術移転、インキュベート、資金供給、経営支援、販路開拓、 情報提供・マッチング、人材育成 <主な事業の概要> ① 中小企業サポートセンター事業 新しい産業の創出を図るため、本事業環境整備構想に定める新事業支援体制(地 域プラットフォーム)の運営及び事業の効果的な実施を通じて総合的支援を行う。 また、中小企業支援法の規定に基づく指定法人として、以下に掲げる特定支援事 業を行う。 - 21 - ・ 創業者や経営の向上を図る中小企業者が抱える問題(経営、技術、人材、情報 化等)に対して適切な診断・助言を行い問題の解決を行う専門家派遣事業や中小 企業の取引上の諸問題についての相談を受けるとともに法律の専門的知識を必要 とする問題についての解決を支援する取引適正化・苦情紛争処理事業を行う。 ・ 下請中小企業取引情報提供等事業により下請企業者の仕事の確保と取引条件の 改善などを通じて下請企業振興を図る。この中で、下請取引情報の提供や相談助 言として、下請取引オンラインネットワークシステムの活用や県内外の発注企業 訪問による発注開拓、登録親企業・関東近県の親企業を対象にした発注開拓調査、 取引拡大商談会の開催、下請企業支援事業等を行っている。 ・ 情報提供として、下請振興事業と関連した受発注ニュースの発行(毎月)や仕 事のあっ旋案内(情報誌へ掲載)、インターネットを利用した下請企業情報提供 事業、ホームページを開設し、県内外の発注企業に対する企業情報(約1,200 社)の提供と受発注情報等の掲載、遊休設備のあっ旋事業を行っている。 ・ 中小企業に関する情報の収集、提供、相談及び助言を行い、情報相談サービス として、企業の製品開発や消費者動向、業界団体の所在地など企業経営に必要な 情報について個別相談に応じている。 ○ 山梨県中小企業サポートセンター 支援機能:技術開発、経営支援、販路開拓、情報提供・マッチング 平成18年4月から、中核的支援機関及び中小企業支援法の指定法人の機能を併せ 持つ機関として、中小企業を総合的に支援するための各種事業を県と一体となって 推進している。 ② 債務保証事業 優れた技術力や製品開発力を秘めながら資金調達力の不足により研究開発が円滑 にできない企業のために、研究開発等の資金借入に対し、無担保の債務保証を行い、 研究開発活動の支援を行いながら優れた自主技術を持った企業の育成を図っている。 ③ 研究開発事業 ア 研究開発助成事業 中小企業者のグループが地域に蓄積された技術を活用して、商品開発、起業化を 図る事業に対して助成するとともに、技術支援、研修、情報提供等の各種事業を実 施して起業化の支援を行っている。 イ 人材育成事業 中小企業に対する経営や技術に関する研修会及び講演会の開催事業、県内企業の 経営力や技術力の向上を図るための人材育成事業を実施している。また、甲府地 域基盤的技術産業集積活性化計画の主要な支援機関として、「ものづくり」を支え る技術人材の育成を行うため、高校生等を対象とした先端技術見学会などを県から - 22 - の補助事業として実施している。 ウ 技術交流事業 産学官の研究・技術ネットワークを強化するなど研究開発環境の整備を図り、企 業の研究開発及び産学官の共同研究を促進する。また、対日輸出希望企業の商品情 報、見本市情報、世界の売れ筋情報など、データベースを使った輸入ビジネスのた めの情報の提供や、貿易に関する図書、外国の経済状況についてのレポートを数多 く取り揃えており、閲覧も可能である。国際展覧会や国内、海外見本市の開催など を通じて、海外企業との交流を促進し、共同研究・開発や部品・製品の相互調達な どを支援している。 エ 調査研究事業 県内産業全体の振興と地域の発展に必要な各種調査を実施し、産業振興のための 基礎づくりを行う事業として行っている。 経済、産業、地域振興に関する調査研究や高度技術の開発又は利用の促進に必要 な調査研究など行っており、地元大学、試験研究機関、商工団体、民間調査機関等 の協力を得ながら事業を実施している。 ④ 地域技術起業化推進事業 技術革新の進展に即応した技術を製品の開発又は生産等に利用するために必要な 商品・デザイン開発及びこれに関連する情報収集、市場開拓の事業について助成し ている。 ⑤ 受託事業 民間企業、国の関係機関、山梨県及び県内市町村等から委託を受けた調査研究事 業並びに中小企業振興に関して山梨県から委託を受けた事業を行う。 ⑥ 中心市街地商業活性化推進事業 中心市街地街づくり機関(TMO)等が行う中心市街地における商業の活性化の ための事業に対し、助成金を交付する。 ⑦ 商店街競争力強化推進事業 商店街振興組合等が行う商店街等における競争力強化のための事業に対し、助成 金を交付する。 ⑧ 元気な商店街創造セミナー事業 元気な商店街の担い手となるまちづくりリーダー育成のため「元気な商店街創造 セミナー」を開催する。 ⑨ 産業展示交流館事業 - 23 - 山梨県立産業展示交流館アイメッセ山梨の指定管理者として管理を行っている。 山梨県立産業展示交流館は、4,860㎡(90m×54m)の広い展示場や、屋外展示場、 交流サロン、大小会議室があり、産業分野での新製品の展示や新技術の紹介などは もとより、コンサートやスポーツ大会、研修会、講演会等、幅広い利用が可能。 ⑩ 設備導入支援事業 小規模企業者等の創業及び経営基盤の強化に資するため、長期・低利で設備(新 品)の割賦販売又はリースを行っている。また、設備導入に関する資金の貸し付け を行っている。 ⑪ 県単独設備貸与事業 中小企業者の経営基盤の強化に資するため、長期・低利で設備(新品)の割賦販 売又はリースを行っている。 (12)地場産業振興センター 支援機能:技術開発、販路開拓、情報提供・マッチング、人材育成 地場産業振興センターは、昭和60年に、甲府・国中地域に地場産業の体質強化を図 るための総合拠点として建設されて以来、富士川地域、郡内地域と現在3箇所に設置 されている。 これらのセンターは、地場産業製品の常設展示場、大ホール等を使った見本市、フ ェア、講演会等のイベントの開催のほか、時代のニーズに即した魅力ある地場産業の 振興拠点として、新商品の試作開発やデザインの研究開発事業、また、広く本県地場 産業を紹介し需要の掘り起こしを行う販路開拓事業、企業従事者の資質の向上や後継 者育成のための人材養成事業、さらには高度の情報化や各種情報の収集・提供(受発 信)等を図る情報化事業、需要開拓や経営戦略への活用などを行うための市場調査事 業など各種の活動を行っている。 今後も、地域経済の中核となる地場中小企業の多様なニーズに応えるためには、こ れらの各事業をさらに充実しつつ各業種の実状にきめ細かく対応し、地場産業振興の 総合拠点としての機能を果たすとともに、県内外のより多くの人々が来館する観光施 設や、地域住民とのコミュニティの場など、特色を持った魅力ある地域づくりの推進 機関としての役割を担っていく。 (13)山梨県中小企業人材開発センター 支援機能:人材育成 県工業技術センターとともにサイエンスパーク内に設置され、県内企業で働く従業 員の職業能力開発や、企業が行う教育訓練の活動拠点として活用されることを目的と した施設である。 主な事業としては、施設貸与事業と自主事業を行っている。前者は企業・団体等が - 24 - 行う教育訓練・講習会等への施設貸与や教育担当者や経営者の交流の場としての施設 貸与を行っている。 後者は企業等の在職者を対象とした人材育成講座の実施、一般県民や事業主等を対 象とした能力開発講座、セミナーの開催を行っている。 (14)雇用・能力開発機構山梨センター 支援機能:情報提供・マッチング、人材育成 中小企業の雇用創出、人材確保等に関わる業務と勤労者に対する能力開発を主たる 業務として、雇用促進事業団の業務を一部引き継ぎ平成11年10月1日に設立された特 殊法人で、その後独立行政法人化されている。 いわゆるベンチャー企業等をはじめとした創業や異業種進出等を目指す中小企業に 関しては、人材の確保、育成等の人材面を中心として、必要な情報を幅広く提供して いる。 具体的には、①人材確保、人材育成に関わる費用に対する助成制度の実施、②ベン チャー企業と求職者との交流の機会である各種情報提供イベントの開催、③都道府県 センターや職業能力開発促進センター(ポリテクセンター)における各種職業訓練の 実施等を通じて、ベンチャー企業等に対する効果的な支援を目指している。 (15)社団法人山梨県機械電子工業会 支援機能:技術開発、技術移転、情報提供・マッチング 社団法人山梨県機械電子工業会は、山梨県内で、機械金属、電気、電子、化学工業 関係の事業経営に携わっている人の横の組織として、昭和57年5月、従来の機械金属 同友会、同連合会を発展的に解消し、設立された団体である。 資質の向上、業界の総合的振興を目的に、山梨テクノフェア、マルチメディアエキ スポの開催、製造実施権の貸与、山梨県機械電子工業厚生年金基金の設立など、数多 くの事業を行っている。 (16)株式会社山梨ティー・エル・オー(技術移転機構) 支援機能:技術開発、技術移転、情報提供・マッチング 山梨大学では、平成12年8月22日、大学の持つ知的資産を移転し、地元中小企業の 支援に役立てる株式会社山梨ティー・エル・オーを設立。ここでは大学内の研究成果 を特許化し、技術を会員企業に提供するとともに、企業からの技術開発要請も受けて いる。 社内にシーズ発掘部、市場調査部など5部門を設置し、研究者らが申請する研究成 果を社内の評価委員が審査し、事業化可能な内容については、特許出願して企業側に 情報提供する。企業側は、その技術を使って得た売り上げの一部を特許権料として山 - 25 - 梨ティー・エル・オーに還元し、山梨ティー・エル・オーや研究者、所属する研究室、 大学に一定の割合で配分するシステムを構築している。 (17)特定ベンチャーキャピタル(13社) 支援機能:資金供給、経営支援(コンサルティング)、販路開拓 特定ベンチャーキャピタルとは、山梨県創造的中小企業支援事業(新規投資はH15 末で終了)の中で間接投資事業の預託先として指定された民間ベンチャーキャピタ ルである。 県内の創造的中小企業に対し、リスクマネーを提供するとともに、企業の資本政策、 経営戦略、販路開拓などの総合的なコンサルティングを実施している。 特に、山梨中銀経営コンサルティング株式会社においては、県などとともに創設し た「やまなしベンチャーファンド」により、中小・ベンチャー企業への投資を促進し ている。 (18)政府系金融機関(中小企業金融公庫甲府支店、商工組合中央金庫甲府支店及び国民 生活金融公庫甲府支店) 支援機能:資金供給 ベンチャー企業に対する資金の供給を円滑に行うためには、政府系金融機関の政策 的な金融支援が重要であり、積極的な県内産業育成のための資金供給に期待している。 以上の新事業支援機関は、緊密な連携を図りながら新事業支援体制(地域プラットフォ ーム)を構成していく。 各機関では、各々が有する機能を担いつつ、研究開発から事業化、人材育成に至る各段 階において、新事業創出に貢献する事業者を支援していく。 中核的支援機関及び新事業支援機関の担う機能を一覧すると、以下のようになる。 - 26 - 表7 各新事業支援機関の支援機能一覧 支援機能 支援機関 山梨県工業技術センター デザインセンター ワインセンター 山梨県高度技術開発センター 山梨県知的所有権センター 山梨県起業化支援センター 山梨県富士工業技術センター 山梨学院大学 帝京科学大学 大学院バイオテクノロジー研究センター 大学院未来材料研究センター 山梨県立宝石美術専門学校 山梨県立産業技術短期大学校 学校法人サンテクノカレッジ (財)やまなし産業支援機構 地場産業振興センター 山梨県中小企業人材開発センター 雇用・能力開発機構山梨センター (社)山梨県機械電子工業会 (株)山梨ティー・エル・オー 特定ベンチャーキャピタル 政府系金融機関 【連携機関】(国立大学) (商工団体) (金融機関) (行政機関) 技術 開発 ○ ○ ○ ○ 技術 移転 ○ インキュ ベート ○ ○ ○ ○ 資金 供給 経営 支援 販路 開拓 情報提供 マッチング ○ ○ ○ ○ ○ 人材 育成 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○山梨大学 ・山梨大学地域共同開発研究センター ○甲府商工会議所 ○富士吉田商工会議所 ○山梨県商工会連合会 ○山梨県中小企業団体中央会 ○県内に本支店を有する民間金融機関 ○山梨労働局 - 27 - ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ 2.中核的支援機関に関する事項 (1) 中核的支援機関の位置付け 県内のベンチャー企業や中小企業などの研究開発から事業化までの一貫した新事業 支援体制(地域プラットフォーム)を構築し、新事業支援機関相互の連携を強化して いくために、その支援体制の中心となり、他の新事業支援機関に関する情報提供や地 域プラットフォームの総合的な窓口となる中核的支援機関として(財)やまなし産業 支援機構を位置付けた(平成17年5月26日認定)ところである。 名称:財団法人やまなし産業支援機構(旧名称:財団法人山梨21世紀産業開発機構) 所在地:甲府市大津町2192番地の8(アイメッセ山梨) 財団法人やまなし産業支援機構は、テクノポリス計画に基づくテクノポリス財団で あり、中小企業支援法の規定に基づく指定法人として、産業振興のための各種事業を 展開している。 また、債務保証事業、技術研究事業、調査研究事業、研究開発助成事業を円滑に行 うため、 ○ 債務保証事業については、債務保証基金(1億1,800万円)、 ○ 調査研究・技術研究事業については、地域産業活性化基金(8億円)、 ○ 研究開発助成事業については、研究開発基金(8億6,300万円)の基金を設置し ており、中核的支援機関としての要件を具備している。 (2) 主な支援機能 ① 資金面の支援機能 ア 債務保証事業 優れた技術力や製品開発力を持ちながら、資金調達力の不足により研究開発が円 滑にできない中小企業者のために、研究開発等の資金の借入れに対し無担保の債務 保証を行い、優れた自主技術を持った企業を育成し地域産業の活性化を図る。 イ 資金の貸し付け 時代の変化に対応した設備投資は企業の存続・発展に不可欠なものであり、資金 調達方法の選択は重要な経営課題であるため、企業のニーズに合わせた資金調達方 法として、設備貸与事業(割賦・リース)と設備資金貸付事業(無利子融資制度) を実施する。 ② 人材面の支援機能 講演会・研修会等の開催 企業経営者や各分野の専門家等を招いて、中小企業の経営者等に対する新事業創 出の啓発をするための講演会や研修会を通じて人材の育成を図る。 - 28 - ③ 調査研究及び情報提供機能 ア 調査研究事業 県内中小企業の経営動向等を調査・分析し情報提供を行うことにより、企業経営 者等の経営革新を促進するために、各種調査研究を実施する。 イ 情報提供事業 県内ベンチャー企業等の紹介、地域トピックス及び調査速報等を掲載した情報誌 の発行や財団に設置されているインターネットサーバーを利用して各支援機関等と 接続するとともに、財団ホームページを開設し技術者人材情報等の提供・発信を行 う。 ④ 技術面の支援機能 ア 研究開発助成事業 企業や共同研究グループなどに対して、具体的に商品化及び起業化の可能性の高 い研究開発の資金の一部を補助し、高い技術力を持った企業等を育成し地域産業の 活性化を図る。 ○対象事業 ・地域産業の技術高度化に関わる重要な研究開発 ・新技術、新製品の開発 ・生産工程の合理化及び製品の高付加価値化 ・新社会システムの開発 ・地域資源の活用 ・その他本県産業の振興に資するもの イ 地域技術起業化助成事業 中小企業者及び中小企業者のグループによる起業化を行うことにより、技術革新 の進展に即応した技術や製品の開発又は生産等に利用するために必要な経費の一部 を助成することにより地域産業の活性化を図る。 ○対象事業 ・商品、デザイン開発事業 ・情報収集事業 ・市場開拓事業 ・その他これに準ずる事業 (3) 支援機能の強化 情報関連人材育成事業の実施 県内中小企業の情報処理に関する知識及び技能の向上を促進するため、中核的支援 機関における人材育成機能の拡充を図る中で、情報関連人材育成事業を実施する。 - 29 - 山梨県新事業支援体制(地域プラットフォーム)の概念図 市場ニーズ・ 技術シーズ のマッチング 生産 研究開発 販売 流通 商品開発 事業化・市場化 各段階に応じた研究開発・資金・人材・コーディネート支援 山梨県工業技術センター <支援機能> 技術開発、技術移転、インキュベート、情報 提供・マッチング、人材育成 デザインセンター <支援機能>技術開発、情報提供・マッチング、人材育成 ワインセンター <支援機能>技術開発、情報提供・マッチング、人材育成 山梨県高度技術開発センター <支援機能>技術開発、技術移転、インキュベ ート、情報提供・マッチング、人 材育成 山梨県知的所有権センター <支援機能>技術移転、情報提供・マッチング 山梨県起業化支援センター <支援機能>インキュベート 山梨学院大学 <支援機能>経営支援、情報提供・マッチング、 人材育成 県(商工労働部) 企画運営会議事務局 (県工業振興課) 山梨県富士工業技術センター <支援機能> 技術開発、技術移転、情報提供・ マッチング、人材育成 山梨県中小企業人材開発センター <支援機能>人材育成 中核的支援機関 雇用・能力開発機構山梨センター <支援機能>情報提供・マッチング、 (財)やまなし産業支援機構 <支援機能>技術移転、資金供給、 経営支援、販路開拓、 情報提供・マッチング、 人材育成 山梨県中小企業サポートセンター <支援機能>経営支援、販路開拓、 情報提供・マッチング 人材育成 (社)山梨県機械電子工業会 <支援機能>技術開発、技術移転、 情報提供・マッチング (株)山梨ティー・エル・オー <支援機能>技術開発、技術移転、 情報提供・マッチング 帝京科学大学 大学院バイオテクノロジー研究センター 大学院未来材料研究センター <支援機能>技術開発、技術移転、情報提供・ マッチング、人材育成 特定ベンチャーキャピタル12社 <支援機能>資金提供、経営支援、 販路開拓 山梨県立宝石美術専門学校 <支援機能>人材育成 政府系金融機関 <支援機能>資金供給 山梨県立産業短期大学校 <支援機能>人材育成 学校法人サンテクノカレッジ <支援機能>人材育成 地場産業振興センター <支援機能>技術開発、販路開拓、情報提供・ マッチング、人材育成 <連携機関>商工団体 甲府商工会議所 富士吉田商工会議所 山梨県商工会連合会 山梨県中小企業団体中央会 <連携機関>国立大学法人 山梨大学 地域共同開発研究センター <連携機関>金融機関 県内に本支店を有する民間金融機関 <連携機関>行政機関 山梨労働局 - 30 - 3.中核的支援機関と新事業支援機関相互の連携または連絡に関する事項 本県の産業集積の特性を踏まえ、県内に蓄積された技術、人材、情報などの地域産業 資源を最大限活用した産業の内発的発展を図っていくため、財団法人やまなし産業支援 機構を中核的支援機関とする新事業支援体制(地域プラットフォーム)を整備し、各支 援機関の緊密な連携のもと、ベンチャー企業や中小企業の研究開発から事業化に至るま での各段階における企業の事業活動をその発展段階に応じて総合的に支援し、新事業創 出の促進を図っていく。 このため、新事業支援体制(地域プラットフォーム)の各新事業支援機関相互間のき め細かな連絡調整を行いつつ、中核的支援機関と新事業支援機関相互の緊密な連携体制 を構築し、技術開発支援、技術移転、インキュベート、資金供給、経営支援、販路開拓、 情報提供・マッチング、人材育成の各支援機能の効果的な活用を図る。 こうした連携体制の強化のため、中核的支援機関において、共通的情報基盤の整備や ワンストップサービス型の総合相談窓口の開設などの事業に取り組む。 (1) 新事業支援体制の連携強化 新事業支援体制(地域プラットフォーム)において、中核的支援機関が運営する 「産業支援機関会議」等を設置し、各支援機関相互のきめ細かな連絡調整を図り、中 核的支援機関と新事業支援機関相互の連携を強化し、効果的な支援事業の展開を図っ ていく。 ① 企画運営会議 県担当課(工業振興課)、県工業技術センター、県富士工業技術センター及び中核 的支援機関で構成する「企画運営会議」を設置し、新事業支援体制の各支援機関連携 のあり方や中核的支援機関の実施する連携強化事業等について、その企画立案、課題 の整理と対応の検討などを行い、新事業支援体制(地域プラットフォーム)における 効果的な支援事業展開を図る。 ② 産業支援機関会議 新事業支援体制(地域プラットフォーム)における新事業支援機関で構成する「産 業支援機関会議」を設置し、各支援機関相互の連絡調整を図ることにより、各機関 の支援策の内容や地域産業資源などに関する情報の共有化、各支援機関相互の人的 交流及び具体的な支援企業に関する情報交換などを積極的行い、各支援機関相互の 緊密な連携強化を促進し、効果的な支援事業の展開に結びつけていく。 この産業支援機関会議は、全体会議の他、技術、経営、資金供給それぞれの支援機 能を有する支援機関で構成する部会を開催し、支援機能ごとの個別的な連携強化も促 進していく。 - 31 - ア 全体会議 新事業支援機関相互の総合的な連絡調整と連携促進を図るとともに、各新事業支援 機関相互の産業情報等の提供機能の強化、技術シーズと市場ニーズとのマッチング機 能の強化及び人材育成機能の強化を図るとともに、ベンチャー企業・中小企業に不足 する人材、技術、情報などの経営資源を外部から供給するなどの支援の充実を図って いく。 イ インキュベート部会 インキュベート機能のある県工業技術センター、県高度技術開発センター、県起業 化支援センター及び県富士工業技術センターの各機関と(社)山梨県機械電子工業会、 山梨大学、帝京科学大学及び中核的支援機関で構成する「インキュベート部会」を開 催し、これらのインキュベート機能の活用促進を図っていく。 (2) ワンストップサービス機能の強化 ① 共通的情報基盤の整備 中核的支援機関及び新事業支援機関間における情報交換を活発化させるため、中核 的支援機関の持つ情報化支援機能によって整備されているインターネット環境を活用 し、中核的支援機関と新事業支援機関相互の情報ネットワークの構築を図る。 このため、企業情報や研究開発情報、産業支援政策情報などの新事業創出に関する 情報を一元的に収集、データベース化を図り、これを各支援機関が有効に活用するこ とで、新規事業創出の各段階において連携した支援を行っていくことを可能とする体 制整備として次の事業を実施する。 ・ 中小企業・ベンチャー企業が地域情報資源に容易にアクセスできる共通的情報基 盤(企業情報、人材情報、技術情報、市場情報、支援機関情報など)の整備 ・ この共通情報基盤を企業や支援機関が有効に活用できるネットワークの構築、企 業間、支援機関間の情報ネットワーク化の推進 ・ 地域の産業資源(技術シーズ、技術人材、研究資源など)のデータベース化、ソ フトの開発及び既存のデータベースの変更修正や新規データベースの作成、内部管 理システムの構築 ② 地域資源発掘事業 県内に立地する企業、研究機関、支援機関等の有する研究成果、研究資源(研究シ ーズ)、技術人材、経営人材、技術シーズ、ノウハウ等、新事業創出のシーズとなる 経営資源を発掘するため、企業、研究機関、大学の調査を実施し、これにより得られ た情報を情報基盤整備事業において、データベース化し、有効に提供する体制を整備 し、地域中小企業、大学、研究機関のニーズとシーズのマッチングに活用していく。 ③ 中核的支援機関相談窓口開設事業 中小企業・ベンチャー企業の新たな事業展開を促進するため、共通的情報基盤や外 - 32 - 部経営資源を円滑に活用できるワンストップサービス型の支援体制を確立し、新規創 業や新分野に進出する際に必要な会社設立手続、許認可手続等について的確にアドバ イスできる人材(弁護士、公認会計士、司法書士等の専門家や実際に企業で当該分野 に従事している者)の活用を図る。 (3) 商品化・事業化の支援 県内企業の新技術・新製品の研究・開発成果について商品化・事業化の実現可能性 の評価を行うとともに、事業化直前の企業活動を直接支援する。これにより事業化、 販路開拓へのステップアップを図り、製品開発の取り組みのモデルケースとして活用 していく。 (4) 産業支援人材導入事業 大企業等を退職した高度技術人材や経営人材等を産業支援人材として活用するため に人材募集を行い、県内企業での研修や外部研修会への派遣研修を行う。 研究開発を行う企業の開発促進とともに、研修企業での雇用、研修者自身の創業に 結びつくことも期待できる。 (5) 起業家人材等育成事業 新規事業を展開しようとする中小企業者や創業の意欲がある人材に対し、創業に関 わる知識や手法など、人材育成事業を行い、創業等に結びつけていく。 - 33 - 4.地域プラットフォームと連携するその他の支援機関(連携機関)に関する事項 新事業支援体制(地域プラットフォーム)の一層の機能強化を図り、より充実した支 援を推進していくため、国立大学法人をはじめとする以下の機関を「連携機関」と位置 付け、中核的支援機関や新事業支援機関との緊密な連携を図っていくこととする。 (1)山梨大学 山梨大学は、教育人間科学部、医学部、工学部、大学院では医学工学総合教育部と 教育学研究科、医学工学総合研究部を有し、学生数は約9,300人ほどの国立大学法人 である。工学部では機械システム工学科、電気電子システム工学科、コンピュータ・ メディア工学科等8学科がある。また構内には機器分析センターがあり、電子ビーム 利用機器、X線回折装置、レーザーシステム等様々な分析機器が導入されている。 ○山梨大学地域共同開発研究センター 同センターは、平成2年に、都市集中型の産業構造から地方分散型の産業構造への 移行を目指し、民間等との共同研究、受託研究の実施など、大学と産業界等との研究 協力を推進するための施設として設置された。科学技術の振興、経済社会の発展、教 育・文化の向上などに関連した地域社会の各方面からの大学への諸要請に適切に対応 ・協力し、大学の地域社会に対する貢献に寄与するとともに、大学の教育研究活動に も活力を与え、相互に発展するための施設として位置付けられているものである。 同センターでは、民間企業等との共同研究、受託研究等の場の提供、民間企業等の 技術者に対する技術研修の実施及び民間企業等で実施する技術研修への協力・援助、 民間企業等に対する研究開発等に係る技術研修への対応等を主な事業として、客員教 授による学術講演会、民間等からの技術相談窓口、共同研究に関する相談の窓口や 「高度技術研修」をはじめとする技術教育(研修会・講演・講演会・セミナー等)等 の活動を行っている。 (2)甲府商工会議所及び富士吉田商工会議所 商工会議所では、企業の経営に関する相談や支援、社員研修や労働力の確保といっ た事業を行っている。 (3)山梨県商工会連合会 商工会連合会は、県下42の商工会から組織され、経営改善普及事業、商工業に関す る調査研究、情報の提供、意見活動など幅広い事業を行っている。 また、各商工会では、経営戦略づくりの補助事業や地域活性化事業などを行って、 地域商工業の発展を図っている。 (4)山梨県中小企業団体中央会 中小企業団体中央会は、組合の設立や運営助言、中小企業の経営・労務・税務・法 律の相談等、各種事業を通じて、組合運営・企業経営への支援をはじめ、調査・研究 - 34 - ・情報提供事業の実施、販路開拓として展示会・見本市の開催など県内産業の振興に 向けた事業展開を行ってきている。 また、従来から、異業種交流グループや事業協同組合等における新事業創出に向け た取り組みへの支援を展開しているところである。 さらに、既存組合の中の小集団活動(企業内創業等)を事業化に結びつけるための 支援、地域の産業起こしに向けた企業組合の設立促進や個人の連携による創業(SOHO 等)への支援活動も積極的に展開しており、「多様で緩やかな連携支援」のための重 要な役割を果たしている。 特に、中小企業団体法の改正に伴い、事業段階に応じて組合から会社への移行が容 易に行えるようになり、こうした取り組みの主要な支援機関としての山梨県中小企業 団体中央会の任務は今後益々重要となってきている。 (5)県内に本支店を有する民間金融機関 山梨県商工業振興資金融資制度をはじめ、県内企業の新たな事業展開等に対する円 滑な資金供給を図る上で、県内に本支店を有する民間金融機関との連携を促進してい く。 (6)山梨労働局 平成12年度から設置された山梨労働局との連携を強化し、その所管する雇用情報の 提供や職業紹介等の人材マッチング支援機能による事業展開に期待する。 - 35 -