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母の雌犬

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母の雌犬
発生学
胎盤
絨毛間腔には母体の血液が
満たされている
絨毛の中には胎児側の血管が
伸びてきている
絨毛膜をはさんで
酸素、栄養、老廃物の
やりとりが起きている
血液は決して
混ざらない
(母体側)
http://www.youtube.com/watch?v=gHnFoWEVs7o (胎盤の形態)
https://www.youtube.com/watch?v=MzkIE8zn3b4
発生学
まとめ
1.妊娠期間の数え方、産科と発生学とで2週間の違い
月経齢と受精齢の違いを、必ず覚えておく、
2.精子と卵子のでき方の違い、何時から何時の間でできるか
卵子の第二減数分裂はどのようなタイミングで起こるか
精子は思春期以降に精母細胞ができて精子形成が始まる
卵子は胎児期に卵母細胞ができ第一減数分裂が始まる、第一減数分裂
が終わるのは排卵の時期。この時に受精するとこれが刺激となって第二減数
分裂が始まる。
3.受精はどこで起こるか、着床はいつ起こるか
卵管膨大部、子宮ではないことに注意
4.三胚葉とは何か、いつできるか
三胚葉は、成体の組織のすべてを作り出す胚葉、内胚葉、中胚葉、外胚
葉、受精後3週目にできる。それぞれからどのような組織や器官ができるかを
まとめてみよう。
5.三胚葉の、それぞれからどのような組織や構造ができるか
プリントを見ておこう
発生学
まとめ
6.胚子期と胎児期はそれぞれ何時から何時までを指すか
受精後8週目が堺となる
7.いわゆる「鰓」(鰓弓とか咽頭弓とか)からはどのような構造ができるか
顔面の下部、下あご、上あご、耳介、顔面の筋肉などができます
8.常染色体異常にはどのようなものがあるか
男女共通して持っている染色体、22対で44本ある、第1染色体から第22
染色体まである。これに対して性染色体は、雄(男性)ではX染色体とY染色体
を1本ずつ持つ。雌(女性)は二本のX染色体をもつ。
9.性染色体異常にはどのようなものがあるか
クラインフェルター症候群 XXY(X染色体が過剰)
ターナー症候群X(X染色体が1本だけ)
10.先天異常を引き起こす環境因子にはどのようなものがあるか
プリントをよく見ておく、
発生学
まとめ
11.胎盤はどのような組織から構成されているか
受精卵の栄養膜と母体子宮壁から構成されている
胎児側と母体側の両方の組織によってできる
12.胎盤には母体と胎児からの血液が流れるが、それらは混ざるか
しつこいけれど、決して混ざらない。絨毛膜管腔には母体の血液が流れ
込み、絨毛膜を間において絨毛の内側に胎児からの血管がある。絨毛膜が母
体と胎児の血液の間に介在して混ざらないようになっている。
13.胎盤の機能は何か
胎児を母体の子宮壁に固定する
胎児に栄養と酸素を供給し、老廃物と炭酸ガスを母体に移行させる
抗体分子のひとつであるIgGを母体から胎児に移行させ、母体の免疫を
胎児に移す。IgG以外の抗体分子は胎児に移行しない
14.母体の免疫はどのようにして胎児に伝えられるか
IgGは胎盤を通して母体から胎児につたえられる。もう一つのIgAという抗
体分子は、新生児期に母乳に含まれて新生児に伝えられる。
発生学
まとめ
そのほか
・周期排卵動物と交尾排卵動物とはどういうものか、どのような動物がいるか
・受精後約1週間かけて卵割し、着床する
・卵割では細胞分裂はするが、細胞の大きさが元の細胞の大きさになる前に次の
分裂を行い、だんだん小さくなる
・受精後7か月目(24週目ころ)には肺での呼吸と体温調節能を持つようになり、こ
の時期以降に母体から出ても生存することが可能になること
・先天異常の環境因子では、放射線、有機水銀、ウイルス、化学物質などがあるこ
と。特にサリドマイドで四肢の形成不全が見られたこと、水俣病は有機水銀による
こと、ウイルスとしてはどのようなものがあるか、調べておこう
・胎膜
卵黄嚢→始原生殖細胞と血液細胞ができる、内胚葉に連続している
尿膜→胎児の排泄と呼吸に関与する、膀胱上皮と連続性があったが生後は
退化する
羊膜→羊水の中に胎児を浮かせた状態で発育させる、
小テスト
次の文章で正しいものには○を、間違いがあれば×をつけなさい。
①ヒトでは受精後280日目に出生することが多い
× 280日は月経齢、受精後266日目で出生
②ヒトでは、受精は子宮の中で起こることが多い
× 卵管膨大部
③着床する段階では、胚盤胞と呼ばれる段階まで発生が進んでいる。
○ 内部細胞塊と栄養膜細胞層ができている段階
④外胚葉からは、筋肉や骨格ができる
× 神経系、表皮、感覚上皮、
骨格や筋は中胚葉からできる
⑤内胚葉からは、消化管や呼吸器の上皮ができる
○ これに加えて附属腺である肝臓、すい臓、胆のうなど
⑥受精後8週目までを胚子(embryo)と呼ぶ
○ 受精後9週目から胎児
⑦胎児期には成体の多くの器官の原基が作られる
× 胚子期にできる
⑧ヒトでは第21番目のトリソミーが見られることがある
○
⑨胎盤では母体と胎児の血液が混ざり栄養分のやり取りが行われる
× 決して混ざらない
⑩胎盤を介して母体の抗体(IgG分子)が胎児に移行し、胎児に免疫
を与える
○
⑪ヒトは交尾排卵である
× 周期性排卵である
⑫ヒトでは、男に子宮に相当する器官はない
○ ただし採点の対象外
質問に対する回答
男性がXYを持ち、女性がXXをもって、その組み合わせて子供の性別が決まるな
ら、男性と女性の生まれる確率は同じですか
その通りです。
話を聞いているだけよりは、書くこともしたほうがいいと思いました。
プリントには私のしゃべりが書かれていない部分が多くあります。メモを取りなが
ら聞いてもらえるといいです。
ネズミやサルも排卵の時に血が出るのですか
ネズミやサルには性周期はありますが、ネズミには月経はありません。ヒトとチ
ンパンジーのみ出血を伴う性周期があるようです。
ちょっと注意してほしいのは、性周期で出血をする月経は、排卵ではなく子宮内
膜がはがれることによります。排卵は月経初日からおおよそ2週間目におこります。
月経は前の月経から約4週間後ですからちょうど中間の時期に当たります。
発生の変異で絨毛膜を発現する遺伝子が存在しないまま生まれた哺乳類の雌が
成体になり、妊娠した際、絨毛膜が存在しない状態なので母体と胎児の血液が混
ざってしまいますが、この時胎児および母体にはどのような影響が生じますか。そ
れとも、このような個体は妊娠不全になるのですか。妊娠不全になるのなら、その
メカニズムを教えてください。
絨毛膜を作る遺伝子はあると思いますが、専門外なのでわかりません。絨毛膜は
母体と胎児の重要なインターフェースで、単に栄養やガス交換のみならず、母体に
胎児という「異物」ができても免疫系が胎児を攻撃しないような仕組みも含みます。
ですので、絨毛膜が無ければ受精は成立しても着床後の早い時期に受精卵は排
除されるはずです。
母体と胎児の血液が混ざると、胎児の血液に含まれる物質に対して母体による
免疫反応が生じます。その結果、胎児は母体の免疫系に攻撃されて排除されます。
犬派です vs 猫派
大型犬が好きです。4月20日にラブラドールレトリーバーの雌が14歳を目前に死
んでしまいました。
胎児が特殊な血液型の場合は母体がそれに対する抗体を作る、ということを読
んだことがあります。どういうことなのでしょうか。
Rh血液型のことです。
http://www.babys-room.net/maternity/maternityroot/rh.html
こちらを参考にしてもらうといいです。
ABO型の血液型に加えて、Rh因子というタンパクの有無で血液型を分けること
があります。多くの日本人はRh(+)で因子を持っています。Rh因子を持たないお
母さんがRh(+)の子供を妊娠・出産すると、出産のときに子供の血液がお母さん
に暴露されます。お母さんにはRh因子がないので、母体はRh因子に対する抗
体を作ります。できる抗体分子はIgG分子です。
2人目を妊娠して、その胎児がRh(+)であると問題が起こります。講義でも言い
ましたが、IgGは胎盤を通ります。Rh因子に対する抗体はIgGなので、母体から
胎児に抗体分子が移行すると、抗体分子が胎児を排除しようとします。特に血液
細胞がIgGのため破壊されて胎児に悪影響が出ます。
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