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「環境・社会・企業統治ポリシー」ご参考訳 ESG Policy <Environmental

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「環境・社会・企業統治ポリシー」ご参考訳 ESG Policy <Environmental
「環境・社会・企業統治ポリシー」ご参考訳
ESG Policy
<Environmental, Social and Corporate Governance
Policy>
ラザード・アセット・マネージメント
1 はじめに
1.1 ラザード・アセット・マネージメント(以下「当社」といいます。)は、顧客
と株主の利益を保護するため、環境・社会・企業統治(以下「ESG」といいます。)
を包括的に組み込んだ投資手法の維持に努めています。
1.2 当社は、世界各地の機関投資家および個人投資家に投資運用サービスを提供し
ています。当社は、顧客の受託者として、常に顧客の利益の最大化のために行動し、
各顧客を公平に取扱うよう努めています。当社では、この義務を顧客にとって財務
面で最善の利益に資するものと解釈しており、この原則は当社の投資プロセスのあ
らゆる側面の基礎となっています。当社では、ESG 問題は、投資先企業の価値に影
響を与えうると認識しています。その結果、投資判断を行う際には、ESG 問題につ
いても考慮しています。当社は社内外のリソースを駆使して ESG 問題の分析を行っ
ている他、当社が投資している会社と連携し、委任された場合には通常すべての議
決権を行使します。
1.3 ESG 問題が常にバリュエーションおよびリターンと容易に連動するわけではな
く、潜在的な影響は企業、セクター、地域によって異なる可能性があります。しか
し、企業統治構造や二酸化炭素排出量など、投資先企業に関する理解を促進するた
めに活用できる多くの要因があると確信しています。補足 A には、当社が会社や会
社の ESG の慣行についての理解を深める際に考慮する ESG 問題の例が記載されてい
ます。
1.4 当社は、グローバル企業の一社として、国毎に採用されている統治モデルが異
なり、現地の法律や慣行も大きく異なることを認識しています。また、ESG に係わ
る慣行やガイドラインは時間の経過と共に変化、発展することを認識しています。
そのため、すべての市場をカバーする詳細なガイドラインを定めたり、同一の基準
がすべての市場で採用されると予想したりするのは現実的ではありません。しかし、
補足 B に概説されているような原則や組織に関するいくつかの説明があり、これら
は当社に ESG 問題の検討に関する指針を与えています。
1.5 この他、一部の国では当社の事業に適用される具体的な規制要件と法定要件が
あります。これらは補足 C に適宜言及されています。
2 環境・社会・企業統治ガイドライン
概要
2.1 当社は、ESG を投資プロセスに組み入れる取組みの継続的で長期的な改善に努
2
めています。その結果、環境・社会・企業統治ポリシー(以下「本ポリシー」とい
う。)には現在の取組みが反映されている他、本ポリシーは事業慣行、事業構造、テ
クノロジーおよび法律の変化に対応し時間の経過とともに進化していくものと考え
ています。従って、当社では本ポリシーを継続的にモニターするとともに、一般的
には毎年レビューを行っています。
2.2 当社は、本ポリシーの管理および実施に関与する社内グループを有しています。
当グループのメンバーは、当社全体の方針の構築を支援するために ESG の分野にお
ける社内の指導者としての役割とともに、グローバル全体の投資プロフェッショナ
ルのリソースとしての役割を果たしています。その他の責務の中で、メンバーは ESG
の研修の実施、投資プロフェッショナルに対する ESG 問題に関する教育、企業に提
起される可能性のある潜在的なリスクの理解を助ける役割を担っています。
2.3 当社では、投資プロフェッショナルは ESG の性格を含む(ただし必ずしもこれ
らに限定されない)財務的な影響があると考えられるすべての要因を投資プロセス
に組み込む責務があります。そのため、各投資プロフェッショナルは、この責任を
ESG 専任のアナリストに委託するよりも、ESG を投資プロセスへ統合する責任を負っ
ています。
2.4 多岐にわたる投資戦略を有する投資運用会社として、各々の投資プロセスにお
ける ESG 問題の実施と取組みは一部の戦略では資産クラスにわたり異なる形で反映
される他、このプロセスは常に進化を続けています。
ガイドライン
2.5 ESG 問題が会社のバリュエーションや財務実績に重大な影響を与えると考えた
場合、ESG 問題は投資分析や意思決定プロセスに組み込まれます。
2.6 企業の企業統治の慣行を評価することは、常に当社の投資プロセスにおける重
要な要因の一つになっています。企業が最善の企業統治を当該企業が採用していな
いことを示す、グローバルに適用可能な唯一の尺度というものは存在しないと考え
ており、市場毎に採用されている企業統治の慣行と構造は異なる可能性があります。
したがって、当社の企業統治に対する取り組みは、会社の現地の法律、規制、およ
び設定されたガイドラインに準じて変わることがあります。さらに当社は、多くの
国で企業統治基準として幅広く認められている経済協力開発機構(以下「OECD」と
いう。)の企業統治原則を参考にしています。また、国際コーポレート・ガバナンス・
ネットワーク(以下「ICGN」という。)や英国のコーポレート・ガバナンス・コード
3
(前身は「統合規範」)のような企業統治のその他の設定されたガイドラインも参考
にしています。これらの原則およびコーポレート・ガバナンス・コードの詳細な情
報については補足 B に記載しています。
2.7 企業が株主の利益のために行動し、現地の関連する法律を遵守し、かつ企業責
任に関して、コミュニティーの一般的な期待に沿うよう努めている場合、当該企業
は環境と社会に対して責任を負う企業市民と判断されるというのが当社の一般的な
見方です。基準やコミュニティーからの期待は時間の経過とともに変化する他、今
後も変化を続けると見ています。
2.8 とりわけ ESG は環境問題と関連しているため、この要因がグローバル経済で果
たす役割の重要性は増大していると認識しています。この要因の重要性は企業、セ
クターまたは地域によって異なりますが、環境問題がいかに企業の財務実績に影響
を与えるかを判断することに重点を置いています。
独自のリサーチ
2.9 当社の投資プロセスは、独自のリサーチ・プロセスと財務分析の強さを前提と
しています。当社のリサーチには、財務的な影響(ESG の性格を帯びた要因などを
含むが必ずしもこれらに限定されない)があると考えられるすべての要因の予想さ
れる影響に関する最善の判断が組み込まれています。当社は顧客に代わって投資し
た大半の企業と関わる他、委任された場合には通常すべての決議に関して議決権を
行使しています。
2.10 当社独自のリサーチは、企業の事業のファンダメンタルズを理解および分析
するために必要な詳しい情報を投資プロフェッショナルに提供しています。投資プ
ロフェッショナルは独自に調査を行いますが、その中には企業の経営陣との一対一
の会議が含まれる可能性がある他、当該リサーチの非常に重要な項目として、アナ
リストは利害関係者の懸念材料になりそうな問題については経営陣と対話を行う可
能性があります。
2.11 当社の投資プロフェッショナルは、財務実績に影響を与える可能性のある事
業上の問題には特に敏感です。この点に関しては、当社の投資プロフェッショナル
は、企業統治、社会活動および環境への影響の他、これらの問題が企業のバリュエ
ーションに与える影響に関する見解を企業のファンダメンタル分析に取り入れてい
ます。こうした分析とリサーチは投資プロセスの一部になっているが、本ポリシー
は分析とリサーチを投資プロセスの一部としてもっと体系的に組み込もうとする取
4
組みを表しています。
2.12 当社のアナリストは、投資テーマあるいはその他で、投資推奨の理由をレポ
ートに記載します。このレポートは、通常 ESG 問題の潜在的な影響に関する見解を
含む様々な要因(必要に応じて会社の投資収益を牽引する要因に対する見解と合わ
せて)を網羅しています。ポートフォリオ・マネジャー/アナリストが、ESG 問題を
理由にポジションの購入もしくは保有を禁止されることはありませんが、これらの
問題を考慮することは投資決定の一部となっています。
2.13 当社は、2011 年の年初に、独自のリサーチ・データベースにある投資テーマ
のテンプレートの企業統治とマネージメントのセクションを修正し、このセクショ
ンに投資プロフェッショナルが ESG 問題に関する具体的な情報を盛り込むことがで
きるようにしました。
2.14 投資プロフェッショナルは ESG 問題の分析に役立てるために社内外のリソー
スを活用し、ESG を意思決定や提案活動に組み込んでいます。
債券
2.15 発生する問題によって債券の財務実績に重大な影響を受けるおそれがあると
判断した場合、当社は債券の投資プロセスで ESG 要因を考慮に入れることがありま
す。
2.16 ESG 問題の統合は、通常投資プロセスの企業調査段階で発生します。そのた
め、当社の債券運用戦略の投資プロセスに ESG 問題を統合することは、一般的に社
債を保有する戦略に適用されます。ESG 問題は債券の投資プロフェッショナルによ
って社債の調査プロセスの一部として評価されます。この調査及び分析を支援する
ために社内外のツールおよびリソースが使用されます。
2.17 特定の ESG 要因は、ソブリン債の発行体の分析の一部として国レベルで考慮
されます。例えば、特定のチームが以下のようなカントリー・インデックスを用い
て ESG 関連の要因に基づく国に関係のあるランキングをモニターします。




汚職度合を認識する指数(Corruption Perception Index)
ビジネスのしやすさインデックス(Ease of Doing Business)
環境パフォーマンス指数(Environmental Performance Index)
人権開発指数(Human Development Index)
5


世界銀行の基準(World Bank Rule)
世界ガバナンス指数(World Governance Index)
2.18 各債券運用チームは投資プロセスに ESG を組み込むために追加的もしくは異
なる手段を取ることがあります。
2.19 当社はアプローチを改善し、ソブリン債や社債の発行体の ESG の検討事項を
債券の投資プロセスに組み込むことを支援するツールを追加することを継続してま
いります。
3 ESG のツールとリソース
3.1 当社は投資プロセスの一環として、ESG 問題を確認、分析するために社内外の
ツールおよびリソースを活用します。
サービス提供者
3.2 当社は複数のサービス提供者と契約を結び、投資プロフェッショナルによる企
業の ESG 慣行および現在のポートフォリオ保有銘柄と将来のポートフォリオ保有銘
柄にもたらされるリスクに関する理解の深化に役立てています。これらのサービス
提供者は当社の投資ユニバースに含まれているすべての会社をカバーしているわけ
ではありませんが、当社のファンダメンタル・リサーチ・プロセスとファンダメン
タル分析を強化および補完する総合的なツールになっています。
a. Trucost は、企業や投資家が環境の事業活動への影響を理解するのに役立つトッ
プの環境調査組織です。Trucost は投資家が企業の環境的な影響や自身の投資ポー
トフォリオの全般的な環境面での実績を評価できるように、当社に環境評価やリサ
ーチを提供しています。
b. MSCI ESG リサーチは MSCI Inc.の一部であり、世界中のアドバイザー、運用会社、
資産保有者に ESG に関する格付、スクリーニング、コンプライアンス・ツールを提
供しています。MSCI ESG リサーチは MSCI がリスクメトリクス買収を通じて取得し
たインベスターズ・レスポンシビリティ・リソース・センター(IRRC)、イノベスト
および KLD リサーチ&アナリティクスの承継会社です。MSCI ESG リサーチは当社の
リスク・マネジメント・レポートに含まれる ESG スタイル・ティルトに使用する社
会的ファクターに関する情報を提供しています。当社はまた、特別の社会的制限を
有する顧客ポートフォリオのために MSCI ESG リサーチからいくつかの社会的評価に
関する情報提供を受けています。
6
c. GMI レーティングスはグローバルな企業統治や ESG に関する格付やリサーチを提
供するトップの独立企業です。GMI レーティングスはガバナンスメトリクス・イン
ターナショナル、コーポレート・ライブラリー、オーディット・インテグリティー
の 3 社が 2010 年 12 月に合併した企業です。GMI レーティングスは、個別銘柄レベ
ルとポートフォリオ全体の両方で企業統治の特性評価を投資プロフェッショナルズ
に支援するために企業統治に関する格付や企業報告書を当社に提供しています。
ESG ウォッチ・リスト/リスク管理
3.3 当社のグローバル・リスク・マネジメント・チームは、四半期毎に、5,500 社
以上のユニバースに対して環境と企業統治に関する格付を記載した報告書を作成し、
当社の株式および債券の投資プロフェッショナルに配布しています。格付には、
Trucost から提供された環境インパクト・レシオおよび GMI の企業統治「ホーム・
マーケット」格付が含まれます。格付は、当社独自のリサーチ・データベースの会
社概要のセクションにも含まれています。
3.4 当社のポートフォリオで保有されている環境及び企業統治に関わる格付が平
均を下回る会社は、警告シグナルが付され、環境および企業統治ウォッチ・リスト
に掲載されています。例えば、環境インパクト・レシオが、ユニバース全体の下か
ら 10%以内およびセクターの下から 20%の両方にランクされた会社には警告シグナ
ルが付され、環境ウォッチ・リストに掲載されます。GMI スコアが平均を大きく下
回る企業(スコアでは 3.0 以下に相当)には警告シグナルが付され、企業統治ウォ
ッチ・リストに掲載されます。債券の場合には、投資プロフェッショナルはウォッ
チ・リストの会社と社債の保有銘柄を相互参照しています。
3.5 ウォッチ・リストは、株式及び債券の投資プロフェッショナルが会社や投資ユ
ニバースに含まれる社債の発行体の潜在的な ESG 問題を確認する上で役立つツール
です。投資プロフェッショナルは四半期毎に作成される環境および企業統治ウォッ
チ・リストに掲載されている企業に関するリサーチを実施しており、環境規準と企
業統治規準に基づく一定の値を下回った理由を判断する際に活用しています。投資
プロフェッショナルは、必要に応じて会社の経営陣と ESG 問題について対話を行い
ます。リサーチの結果を記録したものは、社内に正式に文書化されます。
3.6 現在は、企業は社会的基準に基づいて作られる正式なウォッチ・リストには含
まれていません。しかし、社会的問題を確認、定量化するため、また、より体系化
し、こうした問題を投資プロセスに組み込むために、引き続きアプローチの改善を
7
試みてまいります。
ポートフォリオ分析
3.7 当社のグローバル・リスク・マネジメント・チームは全社的な株式ポートフォ
リオの月次リスク管理レビューの一環として、スタイル・リサーチが作成した情報
を活用して ESG スタイルの傾向について評価しています。このデータはセクター別
とポートフォリオ全体の関連する指数および当社のポートフォリオの ESG 要因を比
較しています。投資プロフェッショナルは、これらの結果に基づいてポートフォリ
オを運用管理しているわけではありませんが、それぞれのポートフォリオを競合す
るユニバースと比較しながら評価し、潜在的なリスクを認識する方法の一つとして
この評価ツールが活用されています。
4 企業への提案活動
4.1 継続的なグローバルなリサーチ・プロセスの一環として、当社の投資プロフェ
ッショナルは企業の事業、戦略、業界、競合環境について徹底的に理解するために
企業とのミーティングを実施します。当社の投資プロフェッショナルは、通常企業
の経営幹部、工場長、部門責任者や子会社経営陣に、企業の本社、現地の営業拠点、
インベストメント・カンファレンス、世界中にある当社のオフィスで面会します。
これらのミーティングは、当社のリサーチ・プロセスにとって無くてはならないも
のです。
4.2 必要な場合、当社の投資プロフェッショナルは株主の成果を高めるため企業へ
提案を行うことがあります。提案に際し、企業の資本活用と事業運営の効率性を理
解するためには、経営陣との活発な対話が必要になると考えています。当社はこう
した手法をファンダメンタル分析に統合するとともに、このファンダメンタル・リ
サーチによって提案先の企業を決定しています。
4.3 投資プロフェッショナルは、企業の財務実績に重大なリスクを与える可能性の
ある ESG 問題を含む様々な問題について、企業の経営陣と対話を行うことがありま
す。時には提案先企業から広範な問題に関して当社のインプットを請求されること
があり、当社にはそのような機会を活用して他企業へ提案を行い、現地の規則で許
容されている場合には株主価値を最大化するために、積極的な役割を果たし変更の
実現に努めています。
4.4 当社の投資プロフェッショナルは、ESG 問題もしくは特定の提案の結果が長期
的な株主価値に与える影響を評価する上で、最も有利な立場にあると考えています。
8
そのため、当社の提案活動は、投資プロフェッショナルの責任であると考えており、
受託責任の専門家には外部委任せずに、当社のインベストメント・プロセスへ完全
に統合しています。
4.5 当社の債券の投資プロフェッショナルは、ソブリン債及び社債の発行体と対話
を行うことがあります。自らミーティングを企画することに加え、債券の投資プロ
フェッショナルズは当社のグローバルな株式の投資プロフェッショナルが企画した
経営陣とのミーティングに参加することもあります。経営陣との定期的なミーティ
ングにより、投資プロフェッショナルは、企業の事業モデル、財務予測、ストレス・
ケースシナリオ、経済及び財務状況に関する最新情報について理解することが可能
になります。
4.6 通常、当社が他社に提案を行う方法は以下のとおりです。
(a)定期的なミーティング、訪問および電話を通じた経営陣との継続的な対話。こ
うした対話の中で、当社はオペレーション上、戦略上および経営上のその他の問題
について協議および質問を行う他、必要に応じ当社の顧客に対する受託者責任に基
づいて独自の見解および指摘を行います。
(b)議決権行使。顧客から議決権行使責任を委任された場合、当社は受託者として
顧客の最善の利益のために議決権を行使する義務を負います。当社は書面のポリシ
ー(以下「議決権行使ポリシー」という。)を採択し、受託者責任の確実な履行を目
的にしています。
4.7 さらに当社の懸念に対する企業側の取組みが不足している場合には、以下につ
いて検討します。
(a)取締役会会長もしくは他の取締役との非公式会合、
(b)取締役会会長もしくは取締役会に宛てた書簡、または
(c)適切な場合、かつ必要とみなした場合には、追加の行為(すなわち、決議、訴
訟、プレス活動など)を検討することもありますが、実際にそのような行動が
必要になる状況は滅多にありません。
4.8 まれに、適用法令で認められた場合で、顧客の最大の利益になると考えるとき
には、集団での対話に参加することもあります。ただし、実務においては、当社が
そのような対話を最善の方法とみなすことはほとんどありません。共同または集団
で対話の場を持つことについては、別の金融機関と「協調した」と解釈される可能
9
性があるため、慎重な立場をとっています。公に改善を促す方法をとるよりも、自
らが特定した問題について独立した立場で行動することを優先しています。当社で
は、対話から最善の成果が得られるのは、個別の話し合いの場を通じて、当社の懸
念を対話の相手方にのみ伝え、株主のために問題を改善するよう努める場合だと考
えています。
4.9 当社の包括的な議決権行使ポリシーおよびインスティテューショナル・シェア
ホルダー・サービシーズ(ISS 社)から受け取る議決権行使サービスの結果として、
当社は投資先企業の株主総会にはほとんど出席しません。上述した通り、当社は一
般的に企業への提案は、一対一の会合での対話を通じて行うのが最も有効であると
考えており、非公式に課題を共有する方法を選択しています。
4.10 投資上、規制上もしくはその他の法律上の影響があるため、当社のインベス
トメント・カウンシルと法務/コンプライアンス部は、書面もしくは公開で重要な提
案を行う前に相談を受けることが多くあります。インベストメント・カウンシルは、
当社のリサーチと投資プラットフォームの効率性を確保するために協議する場所で
す。当社の投資プロフェッショナルズは投資について協議する会合を頻繁に開催し、
環境・社会・企業統治に関する課題および株主価値などの問題について協議してい
ます。
4.11 当社の投資プロフェッショナルは提案活動の現状とそれに伴って発生する影
響について社内で意思疎通を図っています。
4.12 株主価値の向上や、当社のアプローチやプロセスを顧客に明示する目的とし
て着手した活動を説明するために、当社の企業との連携事例を定期的に挙げていま
す。
5
議決権行使
はじめに
5.1 当社は、当社に対して株主としての権利を行使することを望んでいる顧客に対
する受託者責任について認識しています。議決権行使ポリシーで概説している当社
の議決権行使の仕組みは、議決権の行使が適切な方法で行われ、顧客に対する義務
および顧客の最大の利益に従って行使するように設計されています。当社のポリシ
ーは、投資顧問会社という立場で長期保有投資家として株主価値を最大化させると
いう目標に基づいて議決権を行使する必要があるという見地から作成されているほ
10
か、顧客に代わって行使する議決権は係る目標の実現を目的としています。
5.2 一般的に、当社は顧客から議決権の行使に対する委任を受け入れています。当
社は係る権限を他の者や事業体に委任することはありませんが、顧客に代わってす
べての議決権を行使する権限をすべて保有します。すべての顧客が議決権の行使権
限を当社に委任するわけではありませんが、具体的な権限の委任または適用される
法律上の義務がない限り、当社が議決権を行使したり、議決権の行使方法について
顧客に助言したりすることはありません。同様に、当社が具体的な問題に対する投
票内容を事前に助言することはありませんが、関連する背景および検討対象の問題
について協議する用意はあります。
議決権行使プロセスの一般管理および実施
5.3 LAM の議決権行使プロセスは、最高業務執行責任者(COO)直属の LAM におけ
るプロクシー業務部によって管理されています。このプロセスは当社の法務・コン
プライアンス部とインベストメント・プラットフォームの代表者を含む当社の上級
役員で構成されているプロクシー委員会の監督を受けています。当社は、現在、議決
権行使責務の履行を補助するために、世界有数の議決権行使サービス業者の 1 社である
MSCI Inc.の子会社の ISS 社からリサーチと委任状に関連したその他のサービスを受けてい
ます。
5.4 ISS 社は、当社が顧客に代わって議決権を行使するほぼすべての委任状提案に関
する独自の分析と推奨を当社に提供しています。ISS 社は当社の顧客の有価証券を保管
しているカストディアンから送付された委任状に関するすべての情報を当社に代わって受
け取っています。ISS 社はパスワードで保護されたウェブサイト上で委任状に関するすべて
の情報を掲載し、当社はすべての情報を見ることができ、各総会の各議案がどのように投
票されるかについて指示されています。この関連した情報には、総会の開催日、すべての
総会の各議案、ISS 社の分析、カストディアンの投票締切日などが含まれます。プロクシー
業務部はこの情報を毎日検証し、すべての議案を検討し、委任状を適時行使できるよう
ISS 社の代表者と頻繁に連絡を取り合っています。ISS 社は当社に議決権行使サービス、
記録管理と報告支援サービスを提供しています。
5.5 当社のプロクシー委員会は各種の一般的な提案に関する議決権行使基準(以下
「承認基準」という)を具体的に承認しています。これらの承認基準では、当社は提案
に対して「賛成するまたは反対する」、または「個別に判断する」と規定されています。プロ
クシー業務部長は会社について知識を有する投資プロフェッショナルと協議し、新しい
ガイドラインを検討する時期、または現行のガイドラインに反する投票を行うのが
11
適切な時期について判断します。新しいガイドラインの提案もしくは現行のポリシ
ーに反する投票には、当社のプロクシー委員会の承認が必要となります。
5.6 当社は、特定の提案の結果が長期的な株主価値に与える影響について評価する
のは投資プロフェッショナルが最も相応しいと考えています。そのため、プロクシ
ー業務部は係るすべての提案に対して、投資プロフェッショナルの推奨を要請し、
個別に検討しています。投資プロフェッショナルには、承認基準で賛成票もしくは
反対票を投じる定型的な提案以外について検証する機会、ならびにやむを得ない場
合にはプロクシー委員会の最終判断に従うことを条件に、承認基準に反した票を推
奨する機会が与えられています。投資プロフェッショナルの現行の当社の議決権行
使のポリシーやガイドラインに反した推奨や提案に関しては、プロクシー業務部長
は当社のチーフ・コンプライアンス・オフィサーまたはゼネラル・カウンセルと協議
し、プロクシー委員会に判断の理由を委託することがあります。
5.7 当社は多くの顧客に代わって様々な海外市場に投資しています。株主の権利と
議決権の行使手続に関する法律と規則は世界中で大きく異なります。一部の国では、
議決権を行使する前に課された要件、または制約が関連する議決権の行使によって
実現できる利益を上回ることがあります。例えば、一部の国では、株主が委任状を
利用して議決権を行使する場合には、一定の期間売却制限があります(これは「シ
ェア・ブロッキング」呼ばれる慣行です)
。別の例をあげると、委任状を利用して議
決権が行使された場合には、議決権の行使費用(例えば代表者を株主総会に派遣す
る必要がある場合など)は顧客の利益を単純に上回ることがあります。プロクシー
業務部長は投資プロフェッショナルと協議し、議決権の行使が顧客の利益になると
考えられるか否か判断します。このような場合、プロクシー委員会には議決権の行
使が当社の顧客にとって最大の利益になると決定する権限が付与されます。
5.8 当社は運用する複数の戦略で同一の有価証券を保有することがあります。すべ
ての保有銘柄について同じ方法で議決権を行使することが当社の一般的な方針です
が、まれに、あるポートフォリオ運用チームは他のチームとは異なる議決権の行使
を希望することがあります。このような場合、顧客の最善の利益に対する評価に基
づき、プロクシー委員会を開催し、議決権の分割行使の是非について判断します。
提案の種類
5.9 株主は多くの様々な提案が盛り込まれた委任状を受け取ります。提案の多くは
議論の余地がない取締役の選任や社名変更など、本質的には定型的なものです。そ
れ以外の提案はもう少し複雑で、企業統治および株主の権利、資本構造の変更、ス
12
トック・オプション制度および経営陣の報酬に関するその他の問題、企業合併およ
びその他の重要な取引のほか、社会的または政治的な問題などの項目があります。
時には新しい提案や異例の提案が行われることもあります。そうした提案は投資プ
ロフェッショナルに提示され、プロクシー委員会で協議され、議決権の行使方法が
決定されるほか、再び同じような提案が行われることが想定される場合には承認基
準として採用されます。
利益相反
5.10 議決権行使ポリシーは、総会の議案もしくは提案によっては当社に重大な利
益相反もしくはその兆しをもたらす場合があることを認識しています。例えば、関
連会社がコーポレート・ファイナンス取引のターゲット企業、買収提案者または当
該取引に何らかの形で関与している経営陣に助言している場合には、利益相反が発
生するおそれがあります。そのような場合には、当社は承認基準に適した方法で(賛
成票もしくは反対票を)投票するか、または承認前のガイドラインで個別に判断し
て議決権を行使するものとされている状況において、ISS 社のような第三者の情報
源の推奨に従って議決権を行使するほか、限られた場合には棄却することによって
利益相反の軽減に努めます。当社は、これにより、投票は重大な利益相反もしくは
潜在的な利益相反による影響を受けず、しかも長期的な株主価値の向上を目的にし
た徹底した分析と推奨を確実に享受することができます。
5.11 利益相反が「重大」であるか否かは関連する事実と状況によって異なります。
議決権行使ポリシーの目的上、重大な利益相反が発生している状況とは、特定の関
連する提案に関する議決権の行使決定に影響を与えるか、または潜在的に影響を与
える可能性があるとプロクシー委員会が判断する状況のことです。ISS 社が利益相
反の立場に置かれている場合、または ISS 社から提供される 2 つのサービス(具体
的にはプロクシー・アドバイザリー・サービスとプロクシー・ボーター・サービス)
から異なる推奨を受け取っている場合には、当社は議決権行使サービスを提供して
いる別の第三者から推奨を受け、過半数の推奨に従います。
貸株
5.12 当社は、顧客がカストディ銀行に貸株制度を利用する権限を付与している有
価証券については、議決権を行使しません。一定の状況下では、当社はそうした有
価証券に付随する議決権を行使するため、貸し付けられた株式の回収を決定するこ
とがあります。例えば、株式を占有する事業体が委任状による議決権の行使によっ
て、株式の発行会社の支配権獲得だけを目的にして借り入れていると判断した場合
13
には、当社は当該株式を回収し、自ら議決権を行使する決定を行うことがあります。
しかし、このような決定が行われるのは例外的な場合に限られると考えています。
そのような場合には、投資プロフェッショナルがこの決定を行い、プロクシー業務
部が承認基準に準拠して議決権を行使します。
集団訴訟
5.13 当社は、請求が妥当で正当な根拠があると考える場合には、顧客に代わって
すべての集団訴訟申請に参加することを一般的なポリシーにしています。顧客の最
善の利益をさらに向上させるために必要と考える特別な状況を除き、一般的に当社
は積極的には原告代表もしくは原告共同代表を務めないようにしています。
5.14 一般的には、カストディアンから集団訴訟の通知を受け取り、それを受けて
請求権証明書を提出します。原告に有利な和解が成立した場合、当社の顧客は請求
権の一部を事後的に受け取ることができます。
議決権行使状況の報告
5.15 当社に議決権の行使を依頼した顧客は、顧客に代わって行われたすべての議
決権行使に関する報告書を四半期毎に受け取ることを要請できます。この報告書は
パスワードで保護されたウェブサイトに掲載されるほか、請求すれば電子メールで
受け取ることもできます。
5.16 当社が報告期間中に行使した議決権の内容に関する情報や、顧客のポートフ
ォリオにおける議決権の行使理由に関する情報は、要請に応じて提供されます。
5.17 一般的に、法律によって要請された場合を除き、当社は議決権行使を集計し
た詳細な記録を公表していません。当社は議決権行使に関する記録を公表するため
の記録というよりも、顧客専有の記録とみなしています。しかし、当社の議決権行
使に関するグローバルな集計結果については要請に応じて提供することが可能です。
結論
当社は、顧客の利益のために優れたリスク調整後のパフォーマンス、革新的な解決、
優れた顧客サービスの提供を目指しています。当社の ESG ポリシーおよび慣行は、
この責務および受託者責任に沿っています。長期的な投資家として、当社は ESG 問
題がバリュエーションに影響を与える可能性を認識しており、これらの問題の重要
性の高まりを理解しています。その結果、ESG 問題の分析は当社の投資プロセスに
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体系的に組み込まれました。当社の ESG ポリシーは、将来にわたってその内容を強
化していく事が可能な継続的で長期にわたるプロセスです。
補足 A
ESG 問題および企業の財務実績への潜在的な影響は、企業、セクター、地域によっ
て異なります。次のリスト(完全ではありませんが)は、当社が企業や企業の ESG
慣行の理解を深める際に考慮する潜在的な ESG 問題の事例を含んだものです。
環境(E)
 環境影響および関連するリスク
 温室効果ガス(GHG)排出量
 新規制および潜在的変化
 再生可能エネルギー
 エネルギー効率
 エネルギー資源の枯渇
 化学汚染
 廃棄物管理
 水管理
 パフォーマンス、透明性、説明責任
社会(S)
 職場の安全衛生
 地域のつながり
 企業行動
 労働基準とサプライチェーンの人権問題
 透明性、説明責任
企業統治(G)
 資本の活用
 取締役会の構造
 取締役会の独立性
 役員の質
 株主権/敵対的買収防衛策
 管理規定
 報酬の方針
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


監査体制、監査役の独立性
会計と開示慣行
透明性、説明責任
補足 B
企業毎および市場毎に相違があり、ESG に対する当社の取組みも現地の市場慣行に
従って変化します。以下は、原則や ESG 問題の検討のための指針の提供を支援する
組織に関する説明を概述したものです。
経済協力開発機構(以下「OECD」という。)企業統治原則
OECD は民主主義と市場経済を標榜する 34 ヵ国で構成されており、加盟国の政府が
政策経験を比較および交換し、良好な慣行を確認し、決定と勧告を行う場所になっ
ています。
OECD の企業統治原則は企業統治に関する最良慣行を勧告したもので、以下の 6 つの
重要分野を対象にしています:
I
有効な企業統治体制の基盤整備
II
株主の権利および会社所有の重要な機能
III 株主に対する衡平な取扱い
IV 企業統治における利害関係者の役割
V 情報開示および透明性、ならびに
VI 取締役会の役割
企業は重要なすべての点で OECD の企業統治原則をサポートします。
国際コーポレート・ガバナンス・ネットワーク(以下「ICGN」という。)
ICGN は世界中の企業統治の水準を向上させることを使命に、50 カ国の企業統治にお
ける 500 名超の指導者で構成されたグローバルな会員制の組織です。ICGN の会員は、
主に合わせておよそ 18 兆ドルの資産を運用するファンドを運用する機関投資家で
す。ICGN は会議での国境を越えた対話を奨励しており、ICGN 委員会を通じて企業統
治の公的な方針に影響を与えています。ICGN は最善の慣行指導の推進、リーダーシ
ップ育成、メンバーへの出版物や ICGN のウェブサイトを通じた企業統治に関する問
題の伝達を行っています。
当社のプロフェッショナルにも ICGN のメンバーが数名おり、定期的に会議に出席し
ています。
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グローバル・レポーティング・イニシアティブ(以下「GRI」という。)
GRI は、
世界中で広く利用される持続可能性報告書のための枠組みを構築しました。
報告の枠組みは、企業が経済、環境、社会、ガバナンス実績の測定と報告に使用で
きる原則および指針を設定しています。
英国のコーポレート・ガバナンス・コード(以下「コード」という。)
コード(前身は「統合規範」)は、企業統治のための原則主義の枠組みを提供してい
ます。コードは取締役会のリーダーシップ、有効性、報酬、説明責任、株主との関
係に関する実施基準を設定しています。
英国受託監督責任規範(Stewardship Code)
省略
国連の責任投資原則(以下「PRI」という。)
PRI は 6 つの原則(以下「当該原則」という。)で構成され、ESG 問題を意思決定や
所有の慣行に組み込むための最良の慣行に関する任意の枠組みを提供することを目
的としたものです。当該原則は、国連事務総長が招集したプロセスで国際的な機関
投資家のグループによって策定されました。
当社は当該原則の哲学全般を概ね支持しています。当社は顧客の利益を守るために、
環境、社会、企業統治を包括的に組み込んだ投資アプローチを維持することに尽力
します。受託者として、当社は顧客のために株主価値を最大化することを目指しま
す。当社は、ESG 問題が顧客に代わって投資している企業のバリュエーションに影
響を与えることを認識しています。当社は、ESG 問題の分析に役立てるために社内
外のリソースを活用し、投資先企業と関与し、許可を受けた場合には通常すべての
決議案に対して議決権を行使します。
当社は、ESG 問題を投資分析および意思決定プロセスに組み込み、会社との関与や
当該原則に沿った議決権行使の慣行を通じたアクティブな所有に対するコミットメ
ントを示すものと考えています。必要に応じて、当社は調査や分析に役立てるため
に企業から ESG 問題に関する適切な開示を求めることがあります。
しかし、当社では、当該原則の現行規定は極めて一般的な規定であると見ています。
このように明確さを欠いていることは、当該原則を読んだ者が署名者から期待して
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いることと署名者が実際に行うことの間に解釈上の相違を生む可能性があることを
意味しています。あらゆる誤解を防止するため、当社は現時点では PRI の署名者に
はならず、当社が実際に行っていること説明する道を選んでいます。
投資プロフェッショナルと経営幹部で構成された作業グループが頻繁に開催され、
PRI の評価、当社の立場の検証、および必要に応じ改善策を講じています。
補足 C 2012 年の英国受託監督責任規範(Stewardship Code)への対応
省略
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