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利用者満足のための施設運営−国際規格で介護事業を
平成15年 6月13日 利用者満足のための施設運営−国際規格で介護事業を− 医療法人鉃友会 老人保健施設さくらの里 【施設紹介】 施設名 : 老人保健施設さくらの里 種別 : 介護老人保健施設(介護保健施設・短期入所療養介護・通所リハビリテー ション) 所在地 : 愛知県岡崎市中岡崎町2番地25 定員 : 入所74名 通所48名(平成15年12月増床予定入所124床 通所 70名) 開設年月日: 平成10年9月 10日 経営主体 : 医療法人鉃友会 関連機関 : 宇野病院(病院機能評価認証取得)、訪問看護ステーションさくらの里、さ くらの里居宅介護支援事業所、ヘルパーステーションさくらの里 【登録までの主な活動】 平成11年2月10日 1999新春トップセミナーISO9000 シリーズ 平成11年6月 キックオフ ISO9002:1994 1日 平成12年6月21日 JQA マニュアルチェック 平成12年8月 2000年規格への方向転換 平成12年10月1日 適用規格変更 平成12年10月 予備審査 平成12年12月 本審査 平成13年 ISO 9001:2000 1月17日 平成14年12月26日 / JIS Q 9001:2000 認証登録 訪問看護、訪問介護、居宅介護支援事業所も拡大認証 2000 年 6 月以降本格的に取り組み、各部門より幹部職員、若手中堅職員でサービス保証 室を組織化(現在はサービス保証委員会)。ここを中心にプロジェクトをスタートし外部コ ンサルタントを利用するなど積極的な認証登録のための活動を推進した。当初旧規格 94 年 版での認証取得を推進していたが、新たな 2000 年規格の理念に合わせプロジェクトの軌道 修正を速やかに実施(00 年 9 月)し、予備審査を経て 00 年 12 月本審査を受け、01 年1 月の認証登録に至った。また、2002年12月には訪問看護ステーションさくらの里、 ヘルパーステーションさくらの里、さくらの里居宅介護支援事業所も拡大認証しさくらの 里グループ全事業所の認証を取得することができた。 【はじめに】 医療法人鉃友会老人保健施設さくらの里は、平成10年9月開設以来理事長の方針であ る「利用者およびその家族に満足して頂けるまごころ介護サービスの提供」に努めている。 この方針達成のため各種手順書の作成や教育訓練、業務改善を繰り返し行ってきた。そん な中、より方針を推進するため品質マネジメントシステムの国際規格 JIS Q 9001:2000 (ISO9001:2000)を導入し認証取得することができた。これは以前の品質システ ム (ISO9001/2/3:1994)が製造業向けだったのに対し広くサービス業まで視野に入れ一本化 し、2000 年 12 月 20 日に制定された品質マネジメントシステムの最新版である。認定範囲 は「医療および社会事業」であり、この分類において全国初の認証を取得した。 (介護保健施設の ISO 認証登録は全国でも事例は非常に少なく、特に2000年末に発行 されたばかりの 2000 年規格での認証は全国初) 【認証活動を行うことになった理由】 老人保健施設さくらの里は、開設当初より既存の他施設のレベルに追いつくため日々試 行錯誤しながら施設の形作りを摸索してきた。そして開設から半年あまりすぎたある日、 理事長が ISO9000S 導入を宣言した。その理由としては施設の方針の一つである「利用者 およびその家族に満足していただけるまごころ介護サービスの提供」の達成には看護介護 職員等の個々の能力だけでなく業務のマニュアル化・標準化が不可欠であり、施設全体が システムとして機能し、そのシステムがうまく稼動してこそ安定したサービスの提供が可 能になると考えたのである。そこで近年製造業を中心に ISO 取得企業が増える中、より高 い品質向上とその維持を確実にするために ISO 導入を選択した。また、当グループの行う 介護サービスは、介護保険制度適用のサービスであり利用者がサービス事業者を選んで利 用し、その提供されたサービスの対価として一部負担金を支払うことになるため利用者側 には良いサービスを受けるのは当たり前という権利意識がめばえており、利用者に満足し て頂けるサービス、利用者に選ばれる施設作りが急務となる。したがって ISO9001:2000 導入により、システムとしての顧客満足経営の確立を目指したのである。 【具体的 ISO 導入目的】 老人保健施設さくらの里の基本理念をより具体的に推進するためのツールとして導入す る。 ① 施設イメージの向上 品質管理システムが第三者によって証明されることによって、品質保証に対する顧客の 信頼性が増し、「あの施設に行けば良いサービスが受けられる」という施設のブランドの イメージがつくられる。 ② 施設の特色・差別化 当施設は開設してまだ歴史が浅いため施設独自のスタイルを模索中であるため、介護業 界での ISO 認証施設がまだ全国的に見て非常に少ない現在、認証取得は施設の特色の一 つとなり、また確実に他の施設との差別化ができる。 ③ 顧客満足度向上 認証取得活動及びシステム運用を老人保健施設さくらの里全体で取り組み実施すること により、介護サービスにおける品質保証の考え方や、業務の標準化が進み、利用者に適 切な介護サービスが提供できるのではないか。介護の質が上がるのではないか。結果、 今以上に満足していただけるのではないか。当施設の方針の一つである「まごころ介護 サービス」の評価は顧客満足度の評価にほかならない。 ④ 施設の体力強化 各業務をマニュアル化し実行することにより、安定したサービス提供と各職員の平均的 レベルアップなど業務の底上げにつながるのではないか。また、繰り返し自己評価を行 い改善することで施設の能力が向上し、体質強化が図れるのではないか。 ⑤ 業務及び品質改善の継続性維持 顧客重視のサービス提供であり、日常の業務改善から定期的内部監査及び外部審査によ り、継続的な業務改善、品質の維持ができるのではないか。 【品質マニュアル中の目的】 ISO9001:2000(JIS Q 9001:2000)に規定された要求事項を実現するために品質マネジメ ントシステムを構築し、利用者及びその家族に満足していただける介護サービスが提供で きる、品質保証体系を確立することを目的とする。 (老健適用範囲)利用者及びその家族に対する相談・介護・リハビリサービスの提供 具体的には施設全体として、システムとしての顧客満足経営の確立を目指し、顧客満足 のための継続的改善を進める仕組み(システム)の構築である。 【品質方針】 ISO の規定要求事項に従いトップマネジメント(理事長)が品質方針を設定する。 ① 利用者とその家族からの要求事項を満たすために「まごころサービス」を実施します。 ② 利用者の方に憩いの場を提供します。 ③ 入所・通所の方々に適切な機能回復訓練を提供します。 ④ 品質マネジメントシステムの有効性の継続的改善を行います。 【品質目標】 トップマネジメントの立てた方針を受け、各部署で目標を設定する。 平成13年度品質目標・・・問題発生を全体で110件以内に削減 品質方針を達成の度合いを図るため数値化した目標を設定。問題発生が少なければ、ある 程度の方針は、達成されるのではないかと考えたためである。 【具体的な継続的改善の取り組み】 さくらの里では、ISO9001:2000 の特徴である「顧客満足のための継続的改善」を進める 仕組みとしてPDCA方法論を利用し次の4つを構築することを目指した。 ① ケアサービスを利用者毎に計画し、定量的かつ定期的に評価する。そして各専門家によ る継続的な見直しを図る。 ② 要介護者ひとり一人の介護目標をいかに達成するのか、どのようなケアサービスを提供 すれば、利用者とその家族は満足していただけるのか、統計的に分析する。 ③ 安全確保やリスク低減を図るために、インシデント情報を積極的に把握し、アクシデン トは 2 度と発生させないような是正と予防を進める。 ④ 利用者とその家族へのサービス向上には、さくらの里だけはでなくサービスに関わる者 (仕入れ業者など)すべてが継続的な努力と改善をしなければならない。 【継続的改善システム】 さくらの里の継続的改善システムとしてまず、利用者またはその家族の要求事項を受け、 介護サービス計画を立案する。そしてサービスの実施を行いその後、提供したサービスが 利用者に対して計画どおり確実に行うことができたか、本人にとって有効であったか、ク レームなどの問題発生はなかったか、また当施設で定めた要求事項を満たしたか、目標は 達成できたかなどの自己評価を行う。さらにアンケートや食事の嗜好調査・検食などの顧 客満足度評価も定期的に行なう。システムが効率的に稼動し顧客要求事項を満たしている かどうかは自己評価と顧客満足度評価のすり合わせによる。これらは「QMS 改善情報」と してトップマネジメント(理事長)が行うマネジメントレビュー(3月・経営者の見直し)の 直接のインプットとなります。理事長はマネジメントレビューを行い、その結果認められ た品質マネジメント上の問題点(品質方針・品質目標を含む)について、効果的な改善を行う よう決定する。改善は次の視点で行う。 ① MS の改善及びそのプロセス改善の決定と処置 ② 利用者及びその家族からの要求事項に対応する介護サービス改善の決定と処置 ③ 上記①②に関して必要な経営資源改善の決定と処置 このようなマネジメントレビューから次の品質方針・目標・計画が策定されサービス提供 へとプロセスがサイクルして行く。これが当施設における継続的改善システムの概要であ る。 【QMS 改善情報】 理事長はマネジメントレビューで行う継続的改善には以下の項目を QMS 改善情報として 利用する。 ① 品質方針及び品質目標の達成度 品質方針・目標を受け各部署年度重点目標を設定、部署長方針管理書でその進捗状況、達 成度を評価する。 ② 監査結果(内部 2 月、9月・外部年1回) ・ 介護サービス計画書が確実に計画され実行されているか ・ ISO9001要求事項と適合しているか ・ 当施設が定めた品質マネジメントシステム要求事項と適合しているか ③ データ分析(QMS の適切性・有効性を実証また継続的改善の可能性を評価するため) ・ 顧客満足(顧客満足度評価の結果) ・ 介護目標の達成度(サービス担当者会議録) ・ 相談及び介護サービスの提供、プロセスの適合性(問題発生報告書) ・ 品質マネジメントシステムの適切性・有効性(内部品質監査是正処置報告書) ・ 品質マネジメントシステムの適切性・有効性(サービス向上・業務改善提案書) ・ 購買先の能力(不適合品処置報告書) ④ 是正・予防処置 問題発生の内容から重大であると考え、是正・予防処置に水平展開したもの 是 正 処 置 問題の明確化→原因究明→是正勧告→是正計画立案→是正処置の実施→有効 フロー 性検証 予 防 処 置 問題の明確化→原因究明→予防処置勧告→予防処置の実施→有効性検証 フロー 【ISO認証効果】 ① 業務の標準化 相談及び介護サービスの業務の体系的な標準化が進んだ。2000年規格では、文書化の 軽減が図られているが、やはり施設として重要な部分のシステム化、文書化は必要である。 そして、目標設定は必要と考える。施設全体のシステムを品質保証体系図で表すことで、 サービスの流れ、業務改善への流れがわかり一目瞭然である。教育訓練にも引用できる。 ② 合理的な是正 日々の介護サービス業務で発生する問題が明確に把握・分類・原因究明でき、客観的で合 理的な是正策が可能となった。以前では改善までたどり着けないことが多い。 ③ 意識改革(職員・外部業者) 顧客満足のためのサービス向上や業務改善に対する職員全員の意識改革が促進された。ISO を認証取得し職員の士気が高まった。また、介護サービスに重要な影響を及ぼす外部業者 (介護機器、給食、リネン等)の営業担当も品質に問題は無かったか関心を寄せ以前より 頻繁に来訪するようになった。 ④ 他部署や関係機関との連携強化 利用者及びその家族への適切な説明や施設内コミュニケーション、他の施設・機関への連 絡が確実にできるようになった。特に、居宅サービスについては、外部関係機関との密接 な連携が必要とされるが、以前と比べ連絡ミスが減少した。 ⑤ 利用者の増加 開設以来、入所率は98%程度を維持しているが ISO 認証取得後、入所や通所リハビリ利 用希望者が増加傾向にある。これを ISO 認証効果と結論付けるのは無謀であると思うが確 かにマスコミ(テレビ、新聞、書籍、商工会のホームページ等)に取り上げられた後の反 響はあった。現在、申し込みをしてもすぐに入所できないという入所希望者等の要望・苦 情も踏まえ施設の増床を検討しており、平成15年12月を目標に施設の増床を計画して いる。 【認証取得の苦労】 当施設では、前述のような認証活動を展開してきたがすべてが順調に進んだわけではな い。通常業務以外にプロジェクトチームを結成し、ISO 業務を行なう必要があったため残 務整理が大変であった。また ISO 規格を難しく考えすぎて理解に苦しんだ。当初、理事長 によるコミットメント(決意表明)のあと何から手をつけるべきか判らず、とりあえず文 書化など試みるものの規格を理解していないため規格が何を要求しているのか、自分達が どの程度の進捗状況なのか全くわからない状況が続いた。手順書などの下位文書の作成は 比較的順調に進んだがマニュアル、規定は ISO 規格の要求事項と介護サービスをどのよう にあてはめるかに苦労した。 【今後の課題】 ① システムの熟成 当施設のシステムはまだ稼動したばかりで未熟である。単に数字的な結果にこだわり 職員やシステムに負担がかかっている。今後さらにシステムの熟成をはかりそのあた りを改善していけばもっと利用者に満足して頂けるサービスが提供できると考える。 ② 顧客満足度 UP のさらなる向上 顧客満足度の結果はおおむね良好だが、悪い部分も確かにあるためそのあたりを中心 に改善して行く必要がある。アンケートなどの質問内容形式ももっと答えやすいもの に変更すべきである。顧客満足こそ施設の評価である。 ・職員の教育訓練(介護技術・接遇マナー・ISO 規格の理解) ③ 長期的ビジョンの策定 利用希望者の増加に伴い、施設の増床を決定したが、ユニットケア、有料老人ホーム、 介護付住宅など新しいタイプのサービスもでてきており、施設や在宅サービスの将来 的ビジョンを摸索する必要がある。 【結語】 全員参加で ISO に取り組むことによって、より自立した職員意識が芽生えた。また、ISO 導入により継続的な改善ができる組織ができ、集客力のアップにつながった。しかし、今 回の ISO では経営戦略的なシステムの構築は不十分であると思われる。今後は経営品質賞 のような経営に焦点をあてたシステムを追加構築したい。 ★品質マネジメントシステムQ&A 【ISOって何?】 品質保証の国際規格・・・施設が利用者等に満足して頂けるサービス提供能力を保持して いるかどうかを確認するための国際規格 ISO(International Organization for Standardization)とは国際標準化機構のこと。 JIS(Japanese Industrial Standard)とは日本工業規格 【ISOの特徴?】 画一的なサービス提供方法を強要するものでなく、不適合、事故、リスク軽減を第一の狙 いとしている 【何のためにやるのか?】 利用者等に満足して頂ける相談及び介護サービスの提供 【だれがやるの?】 サービスに関わるすべての人、部門・・・経営者、看護介護、相談、リハビリ、事務、外 部委託業者など 【どんな方法でやるの?】 現状行っているサービスをISOの規定要求事項(135項目)にあてはめシステム構築 し、運用する(PDCA方法論) 【方法その① システム文書化】 品質マニュアルの文書化 業務上必要な手順書の文書化・・・文書管理、是正処置手順、介護サービス手順書 etc ISO 規格が要求する6つの文書化された手順とは、文書管理手順、品質記録管理手順、内部 監査手順、不適合品の管理手順、是正処置手順、予防処置手順 【方法その② システム運用】 文書(ルール)化された手順に従いサービスを提供する 【方法その③ 問題点把握】 計画されたとおりサービスが実行できているかどうか把握分析し、問題があれば書面化す る 【方法その④ 是正予防処置】 システム運用上(サービス提供上)発覚した問題、事故等の不適合について原因究明を行 い必要な処置を採る 【方法その⑤ 継続的改善】 採った処置が効果的であったか再検証する(サービス及びシステム文書) 必要により品質マネジメントシステムの変更 ★ISO用語の定義 【品質について】 3.1.1 品質(Quality) 「本来備わっている特性の集まりが、要求事項を満たす程度」 これを言い換えると、“顧客の要求や目的に合っていること”、と捉えることができる。 3.1.2 要求事項(Requirement) 「明示されている、通常暗黙のうちに了解されている、又は義務として要求されている ニーズ若しくは期待。」 “暗黙のうちに了解されている”とは、対象となる期待が暗黙のうちに了解されているこ とが、組織、その顧客、及びその他の利害関係者にとって慣習又は慣行であることを意味 する。例)介護職員が親切である。食事がおいしいなど。 3.1.4 顧客満足(Customer Satisfaction) 「顧客の要求事項が満たされている程度に関する顧客の受け止め方」 利用者の苦情は顧客満足が低いことの一般的な指標であるが、苦情がないことが必ずしも 顧客満足度が高いことを意味するわけではない。 3.2.3 品質マネジメントシステム(Quality Management System) 「品質に関して組織を指揮し、管理するためのマネジメントシステム。」 ① 製品サービスの質 ② プロセス(業務)の質・・・プロセス重視 3.2.2 マネジメントシステム(Management System) 「方針及び目標を定め、その目標を達成するためのシステム。」 ① 品質方針(Quality policy)・・・トップマネジメントによって正式に表明された、品 質に関する組織の全体的な意図及び方向付け ② 品質目標(Quality objective) ・・・品質に関して、追求し、目指すもの 3.2.13 継続的改善(Continual improvement) 要求事項を満たす能力を高めるために繰り返し行われる活動 3.3.3 インフラストラクチャー(Infrastructure) 組織の運営のために必要な施設、設備及びサービスに関するシステム 3.4.1 プロセス(Process) インプットをアウトプットに変換する、相互に関連する又は相互に作用する一連の活動 3.4.2 製品(Product) プロセス(3.4.1)の結果・・・プロセスは業務(仕組み) 3.6.2 不適合(Nonconformity) 要求事項を満たしていないこと 【品質マネジメントシステムの文書化】 ① 品質マニュアル・・・トップマネジメントの表明した品質方針、品質目標及び適用規格 に従って QMS を記述した文書 ② 手順書・・・QMS を実行するために必要な個々の部署の活動(または業務ごと)を記述 した文書 ③ 作業指示書、帳票・・・詳細な業務の指示書 ④ 組織図・・・組織と責任権限が明確になったもの ⑤ 品質保証体系図・・・プロセス間の相互関係をあらわしたもの 【監査について】 ① 内部監査・・・第1者監査であり、内部目的のためにその組織自身、又はその代理人に よって行われる。 ② 業者監査、下請負監査・・・第2者監査であり、顧客などその組織利害関係のある団体 又はその代理人によって行われる。 ③ 外部審査・・・第3者監査であり、契約上独立した立場の組織による審査。 (ISO 審査登 録機関の審査) 問題発生部署 相談部 問題の種類 事故 デイケア利用者が帰宅時、送迎車から降りた際に職員の肘が胸 にあたり3日経つのにまだ痛がっている。近所の医者でX線を 問題内容 撮ってもらったと家人より連絡有り。その場で丁寧に謝罪し、 すぐにデイケア職員とケアマネで利用者宅を訪問、再度謝罪し 原因を推測した。 利用者は送迎者から降りる際に怖がっていた。抱えれば安全に 降りる事ができると判断、抱えようとしたが恐々降りられ職員 原因究明及び是正勧告 にぶつかり肘が利用者の胸にあたった。利用者は車高の高いル シーダへの恐怖感が原因となっているため、低いカローラへの 車種変更が必要である。 デイケアの送迎で利用者が乗る車両は、曜日や送迎コースによ 是正処置計画 り異なることがあるが、安全かつ安心な乗降を行う様この利用 者の今後の送迎は車高の低いカローラでの送迎を徹底する。 是正処置報告 是正処置計画の通り実施した結果、同様の訴えはない。 車体の低い車に変更確認。これを機に利用者全員にデイケア送 有効性検証 迎時の対応についてのアンケートを実施し、その回答に基づき 対応していることを確認し、以後は同じ問題のないことを検証 した。 問題発生部署 看護介護部 問題の種類 不適合品 9月25日∼10月23日の1ヶ月間に委託給食業者による給 食の納品誤りが不適合品処置報告書で14件出された。その他 現在までの不適合内容を報告する。 ・ 退所者なのに食事がでていた ・ 主食がない ・ ミキサー食の人にインゲンわさびマヨ和えの豆のスジがは いっていた ・ 魚の骨が入っていた ・ 他の選択食のおかずがあった ・ ご飯は半分なのに普通になっていた 問題内容 ・ 朝の食事で水分の取れない人にコーヒー牛乳がついていた ・ 常食がミキサーになっていた→そのまま食べていた ・ 常食なのにとろみのおやつと食札に書いてある ・ めん禁なのにうどんが出されていた ・ 二人分食事がでていなかった、食事が二つあった ・ 利用者がクロワッサンを指定したがロールパンだった ・ 食札の名前が異なっていた ・ お粥がなかった、注文していないのにでていた ・ コアコアヨーグルト容器破損 ・ E3200cc が 300cc でていた ・ パン食の人に粥がでていた ・ 経管栄養食が熱くて注入できない 不適合な食事には軽微なものが多頻度あり中には重大で生命に 関わる問題もあり軽視できない。食事の納品前に食札と食事形 原因究明及び是正勧告 態の確認が不十分ではないか。食事形態の変更時の手順が従業 員に徹底されていない。是正が必要である。食事の納品誤りは、 施設が利用者の要望をかなり受け入れている関係で委託業者に かなり負担がかかっているのも事実である。 是正処置計画 是正処置報告 最終チェック係を決め確認を徹底する。変更事項等注意する点 を白板、連絡ノートに書き出し従業員全員が確認をする。 是正処置計画の通り実施した結果、不適合品は減少している。 是正処置が実施されてからの1ヶ月間では不適合品処置報告書 有効性検証 が2枚提出されているだけで激減しているが完璧ではないため さらに徹底するよう教育すること。 問題発生部署 本部(事務) 問題の種類 苦情 デイケア利用者家族より利用料が少し高いのではと言う問い合 問題内容 わせがあり調査した結果39円(入浴1回)多く請求していた。 後日丁寧に謝罪し返金する。前半の会計であり介護レセに影響 なし。 入浴予定の利用者が体調不良により入浴をキャンセルしたにも 関わらず介護職員が入浴のチェックを間違えカルテに記入した 原因究明及び是正勧告 ことが原因で誤請求してしまった。その後の調査で金銭に関わ ること2件、記録ミス10件程度発覚した。カルテ、検温表等 の記録が正確さを欠いている。記録する際のソースの選び方が 徹底されていない。また記入後の確認も必要と考える。 カルテ記入係が記入した後で他のスタッフが再度確認をする。 是正処置計画 2人で確認する。送迎についてはデイケア運転日誌との照合を 必ず行う。 是正処置報告 是正処置計画の通り2人でチェックしている。運転日誌の正確 な記入とカルテとの照合を行っている。 チェックを2人で実行していることは確認したが証拠がないの 有効性検証 で記録として残すよう指示した。是正処置施行後再発はないの で有効性があったと思われる。 問題発生部署 看護介護部 問題の種類 事故 利用者の浴室内での転倒不安や浴槽内で体が浮いたり沈んでし まう等のヒヤリハットが8件発生した。浴室での事故は人命に 関わる。 問題内容 ・ 浴槽の階段が滑りやすい、タイル角が鋭利である ・ 洗い場の床が水がながれて滑りやすい ・ 脱衣場で着替えを介助しているとき利用者が持つところが ないので転倒しやすい 原因究明及び是正勧告 職員の配置・目配り・対応の見直し及び設備面での事故防止策を 検討する必要がある。 ・ 介護職員に事故防止のポイントを把握させる ・ 目配り気配りに配慮するよう指導する 是正処置計画 ・ 浴槽の階段に滑り止めを装着 ・ タイル角は研磨 ・ 洗い場に滑りにくいビニールマットを購入 ・ 手摺を2箇所増設 ヒヤリハット事例を配布し全員に目を通させポイントを把握す 是正処置報告 るよう指導教育した。また朝礼でも何度となく指導している。 是正処置計画の通りインフラを改善した。 問題点の認識、指導及び設備的な改善により事故は発生してい 有効性検証 ないことを確認した。 文書番号 第 TQK−02 管理番号 制定年月日 2000.6.1 管理版 改定年月日 2002.10.1 非管理版 C 版 介護サービス管理規定 (ISO9001:2000) 医療法人鉃友会 さくらの里グループ ○ 【参考文献】 日本規格協会ISO9000要求事項及び用語の解説[2000年版] 監修 ISO/TC176 国内対策委員会 編著 飯塚 悦功・棟近 雅彦・住本 守・加藤 重信