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真空浸炭法による薄い浸炭層の高精度制御
C−1 真空浸炭法による薄い浸炭層の高精度制御 材料技術部 ○石神 逸男 材料技術部 金属材料グループ 水越朋之 横山雄二郎 星野英光 評価技術部 金属分析グループ 浦谷文博 1.目 的 薄い浸炭層を得る際に、浸炭層深さを高精度で制御しうる浸炭方法を開発するために、(α+γ)2相域で真空 浸炭を行ったときの浸炭挙動を調べた上で、処理条件を決定するための指針を得ようとした。 2.実験方法 試料にS15CKを用い、プロパン圧力2.67kPa、温度1033∼1093K、時間5.4∼30.857ksで真空浸炭を行った後、 0.133 Pa以下で0∼16.2ks間の拡散処理を施し、水焼入れした。浸炭ガスをメタンとしたときは上記温度域ではまったく 浸炭しなかった。速度炭素濃度分布は平面研削とスパーク放電発光分光分析を繰り返すことによって求めた。 3.浸炭層の特徴 《組 織》 図1は1073Kで浸炭15.231ks、拡散4.569ksを行ったときの浸炭層 ①γ単相域( 1173K以上)で処理を行った浸炭にくらべて浸炭層と母材の境界が比較的明瞭に識別できる。 ②浸炭層はほぼすべてがマルテンサイトでトルースタイトや炭化物は認められない。 ③内部基地はマルテンサイトとフェライトの2相組織となっている。 《炭素濃度分布》 図2は図1に示した試験片の濃度分布 ④内部濃度分布から外挿した表面炭素濃度はγ単相域処理のように大きくは外れない。 4.制御に有用な規則性 ①浸炭時間(tc)と拡散時間(td)の比が一定であれば 表面炭素濃度(Cs)は常に同じ値を示す(図3)。 ②(td/tc)が一定の条件群では、有効浸炭層深さXEおよ び全浸炭層深さXTと(tc+td)1/2 との間に比例関係が成 立する(図4)。 5.今後の課題 ①α相→γ相への変態をともないながら浸炭が進行する2相 域で、γ単相域での関係が成立する理由の解明。 ②α相とγ相の量的関係から推定して、α相→γ相への変態 が浸炭を律速しているとすれば、説明は可能。 500μm 図1 (α+γ)2相域での浸炭層の断面組織 温度:1073K プロパン圧力:2.67kPa 浸炭時間15.231ks 拡散時間:4.569ks 1.5 Cs=0.757 mass% XE0.53=0.210 mm XE0.40=0.298 mm 0.5 測定値 1093K 1073K 1053K 1033K 0.9 (α+γ)2相域 0.5 XE(0.4mass%) / mm Measured Regression (α+γ)2相域 1.0 CS / mass% C / mass% 1.0 S15CK S15CK S15CK (No.333) (α+γ) phase region 1073 K, td/tc=0.3 [Carburizing] tc=15.231 ks [Diffusing ] td=4.569 ks td/tc 0.1 0.05 0.4, 0.6 0.25 1 0.6 1.1 0.8 0.7 1093 K, tc+td=10.8∼32.4ks C3H8=2.67 kPa td/tc 0.05 0.1 0.25 0.4 0.6 1 0.4 0.3 0.2 0.1 0.6 0.175 0 0 0.5 1.0 1.5 2.0 0.5 0 0.2 0.4 0.6 0.8 x / mm td/tc / − 図2 炭素濃度分布(No.333) 図3 Csとtd/tcの関係 1.0 1.2 0 0 50 100 1/2 (tc+td) 150 1/2 /s 1/2 図4 XEと(td+tc) の関係 200