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パネルディスカッション 「バーチャルトレーニングシステム」
人間と科学 県立広高大学保健福社学部誌 8( 1 )2 0 0 8 パネルディスカッション 「バーチャルトレーニングシステム J 国 中 聡 県立広島大学保健福祉学部理学療法学科 1.はじめに ノすーチャルリアリティ ( V i r t u a lR e a l i t y .以下 VRと略)は「人工現実感」ゃ f 仮想現実感j と訳される O 実 際に誌存在しないが,あたかも存在するように感乙させたり,見かけや形は原物そのものではないが,本質的 あるいは効果としては現実であり原物であることとされる o Vまという用語詰 1980年代後半に NASA (米航空 宇宙局)が仮想環境ワークステーションというシステムの開発プロジェクトに捺して使い始めた用語といわれ, コンピュータシステムで現実惑を作り出す技舗の総称として技用されてきた。 VRの構成要件は, 体験可能な仮想、空間 ( v i r t u a lw o r l d ) の構築J 五感(のうちのいくつか)に欝きかけて薄 r r r r られる没入感(i r n r n e r s i o n )J , 対象者の位量や動作に対する感覚へのフィードパック ( s e n s o 守 f e e d b a c k )J ,対 象者が世界に働きかけることができる対話性(i n t e r a c t i v i t y )Jの 4つといわれている c それらを実現させるため に法,コンピュータと入出力機器が必要である ヘルメットのように頭に装着して眼前に映像を提示するヘッ ドマウントディスプレイ (HMD .HeadMountD i s p l a y ) やフェイスマウントディスプレイ (FMD .F a c eMount O D i s p l a y ),手の動きを入力したり援{説的に触覚を与える手袋上のデータグロープや力覚呈示装置といわれるハプ こ{半い様々 ティックデバイスなど様々な機器が開発されている。これら Vま技摘は,コンピュータ技能の発展 i な分野で開発され近年法工学分野のみならず 医学さらに医学教育健康増進や福祉の分野まで車、用され始 めてきている。 そのような背景の中,われわれは VR技指をリハビリテーションに応用する研究を 2000年から始め,バーチ ャルスポーツシステムを提案し臨床応用まで実現している O 今国は,そのシステムの概要と臨床応用ならびに 将来の発展性について報告する。 2 . バーチャルスポーツシステムの概要 VRスポーツシステム(テニス,スノーボード,卓惑,サッカー,キック,瓦割り,ドッジポール等)は,計 葬機器,映像呈示部,インタフェースセンサ,専用スポーツ用異から構成される システム全体のコントロー ル,ゾーンセンシング用画像挺理,映{差出力,吾声出力および運動療法を実現するための計算機があり,映f 象 呈示用液晶プロジェクタ,インタフェースセンサ用悲外カメラ,音声呈示用スピーカが接続されている 赤外 カメラに法赤外投光器が内蔑され,ラケット,スノーボードなど専用スポーツ用具には赤外光反射シートが貼 り付けられており その反射光を泰外カメラにて受光し スポーツ用具の大まかな位置をセンシングしている。 本システムで法, V豆テニスの場合は対戦プレイヤ,テニスボーん,テニスコートが,また VRスノーボードの 場合はゲレンデ,旗門が計葬機によって生成され仮題空間上に存在する。テニスの場合は相手プレイヤが返珠 してきたボールを訂ち返す内容で スノーボードの場合は仮想、ゲレンデ内の旗門を通過することにより運動を 行う。 G G 3 . バーチャルスポーツによる運動療法 本システムがいわゆるゲーム機器と異なる点として 個人の症状に搭じた運動家法プログラムが作成できる ことが挙げられる o VRテニスの場合 国 l aに示すメニュー画面において棺手プレイヤからの返主主役置を決定 する。重点領域とは特に運動を行いたい重要な返珠位置であり 返悲頻度を高く設定する また禁止領域とは プレイヤの肩関第可動域以上の可動性を要求されるなど 過負荷により症状を悪化させる可能性のある領域で あり,絶対に栢手プレイヤが返球しないようと設定する。重点、領域でも禁止韻域でも無い領域法自由額域と呼 O -178ー 人間と科学 県立広島大学保健福祉学部誌 8( 1 ) 2008 び,アミューズメント性確保のために頻度は低いが返諒される鎮域である。寵域はマップのとおり 6芳割して おり,画面をクリックすることによち重点領域と禁i上積域を設定する また,症状やスポーツスキんに車、じて, 椙手プレイヤの返尊速度や トレーニング回数まども設定できる。さらには高齢者向けにボーんの大きさを大 きく見やすくしたり,ボールとラケットの接触判定を甘くすることができる。これにより肩関簡を中心に上肢 関蔀可動域運動や蕗力トレーニングが可能である。 V豆スノーボードは 図 l bのメニュー画面で旗門の間掃や O ゲレンデの斜面角度を調整することにより難易震を調整できる。旗門を通過するという運動課題を通して,体 幹の回旋運動や下鼓筋力トレーニング 立位バランス諌習が可能となる O 4 . バーチャルスポーツの効果の検証と臨床応用 本大会では,大学生を対象とした V Rテニス・スノーボードの効果の検証と高齢者の運動療法として使用し た臨床応用結果について報告する O F ' b .ノfーチャルスノーボード a . ーチャルテニス 璽 1 バーチャルスポーツヨ〉運動療法プログラム設定璽冨 i 噌 ウ4 ny