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AR 空間における 近接者間での顔認証による情報転送システム構成法
平成 24 年度電子情報通信学会東京支部学生会研究発表会 講演番号: 14 AR 空間における 近接者間での顔認証による情報転送システム構成法 Information Transfer System by Face Recognition among Adjacent People in AR Space A-16 橋本 秀之 高見一正 Hideyuki HASHIMOTO Kazumasa TAKAMI 創価大学工学部 Faculty of Engineering, Soka University 1. はじめに 試作システムを実行し、カメラの視界内に近接者 近年、情報の転送を行う際、メール、USB メモ が映らない場合、図 1(a)のように送信ファイルだ リ、クラウドサーバなどを使用しているが、同室内 けが表示される。そこに近接者 B が視界内に入る の隣接者に情報を転送する場合も、国境を越えた情 と、顔の位置を特定し、データベースに登録されて 報送信先に対しても、同じ情報転送のプロセスを必 ある顔認証データとカメラ内に存在する顔に対して 要としている。 認証動作を自動で行う。顔認証が行われ通信リンク 本稿は同じ空間内にいる近接者に対し、その物理 を識別した場合、図 1(b)右側に表示されているよ 的距離に適合した顔認識[1]による情報転送手法を うに、送信先フォルダが表示、顔の下に名前、認識 提案する。 率、IP アドレスが表示される。その状態で、転送 2. 近接者間での顔認証による情報転送法 者 A が空間上のファイルアイコンに対し手や物体 ユーザは、カメラと赤外線センサを搭載した小型 などを 1.5 秒間重ねると、図 1(c)左側のようにファ HMD を着用していることを想定する。ユーザが小 イルを選択した状態になる。そして、ファイルが選 型 HMD の視界内にいる近接者に対し、顔認証に 択された状態で、転送者 A が送信先フォルダに手 よる通信リンク識別管理により送信先を特定する。 や物体などを 1.5 秒間重ねると、顔認証されている HMD 視界内の AR 空間上に重畳表示されたファイ 近接者 B に送信される。近接者 B と転送者 A はソ ルに対して、手や物体(ペンなど)を重ねる直感的な ケット通信を使い転送、近接者 B は常に、転送者 動作でファイル転送を行う。 A の接続要求を待機し、コネクションを保持する。 3. システム試作 ファイル受信後は、コネクションを終了し、再度転 試作システムでは、小型 HMD の代わりに、 送者 A の接続要求を待機する。以上の通信ステッ Kinect を使用し、2 台の PC を LAN 接続した状態 プを繰り返す。 で情報転送実験を行った。図 1 に試作システムの 4. 評価 実行の流れを示す。 USB メモリ、Web メールによるファイル転送の 操作ステップ数と、本試作システムによるファイル 転送の操作ステップ数を図 2 に比較した。 8 7 転送先にコピー 転送者A 転送者A視点 6 送信ファイル 操 作5 ス テ 4 ッ プ 3 数 図 1(a):視界内に人物がいない場合 転 送 者 A の 手 ③ファイル選択 2 1 近接者C 0 ①近接者B(顔認証) 転送者A 視点 近接者B(顔認証) ④送信 送信 送信ファイル指定 USB取り外し 送信先指定 ファイルコピー USBオープン USB接続 送信 メールサイト移動 送信ファイル指定 ブラウザ起動 試作システム Webメール 図 2:操作ステップ数比較 顔認証による通信リンク識別管理、直感的動作の 実現により、情報転送における操作ステップ数が、 USB メモリ使用より 70%、Web メール使用より 60%減少した。 5. まとめと今後の課題 本稿では、顔認証、直感的動作による情報転送手 法を提案し、試作システムの操作ステップ数を評価 した。今後の課題として、転送者の手の認識手法の 改良を予定している。 参考文献 図 1(b):近接者 B に対し顔認証、ファイルを選 択 近接者C 転送先USB接続 USBメモリ ②顔認証により近接者Bに対 する送信先フォルダ出現 転送者A 視点 USBオープン 転 送 者 A の 手 [1]Face Recognition With Eigenface by Robin Hewitt http://www.cognotics.com/opencv/servo_2007_series/part_ 4/index.html (2012.11.16) 図 1(c):近接者 B にファイルを送信 -14- Copyright © 2013 IEICE