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高校1年「哲学」テキスト 19

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高校1年「哲学」テキスト 19
高校1
高校1年「哲学」
哲学」テキスト 19
テーマ 人間への
人間への問
への問い:ギリシア哲学
ギリシア哲学④
哲学④
前回はわかりづらい授業をしてしまってすみません。「君子改むるに憚るなかれ」。テキ
ストを作り直しました。
平成26年2月2日(月)
開智未来中学校・高等学校長
関
根
均
Ⅰ 思想の整理
1 アリストテレス (B.C.384~B.C.322)
(1) 現実への着目
さて、プラトンの考えだと現実のものごとは「イデアの世界」にあるイデアが地上の現実の世
界に現出したということになる。つまり、現実はイデアの世界という〈理想の世界〉の存在があ
ってこそ存在できるということになる。
目前にあるものをそのものから導けないか。
多分、アリストテレスの問いであったに違いない。
そこで彼は徹底して現実を観るという態度を取った。これが観想(テオリア)である。
そして、そのテオリアの態度から次のことを考え出した。
○形相(エイドス)と質量(ヒュレー)
○可能態→現実態
具体的な個々の事物の中にイデア(本質)が存在する
(2) 学問の大成者:ものごとをカテゴライズする思考方法を学べ
○徳
理性的な領域
知性的徳
○正義
感情・欲望の領域
倫理的徳
=習性的徳
(正義と友愛)
全体的正義
徳や法に根ざす正義
中
庸
部分的正義
配分的正義
調整的正義
※正義を法や社会といった現実とつなげて捉えている。
○「人間はポリス的動物である」
2
ヘレニズムの思想
○ポリスの崩壊、世界国家
ゼノン (B.C.336頃~B.C.264頃)
理性的禁欲主義
(1) ストア派
コスモポリタニズム(世界市民主義)、自然法
アパテイア:情念のないこと。欲望や快苦によって心がわずらわされない状態。
(2) エピクロス派
エピクロス (B.C.342頃~B.C.270頃)
理性的快楽主義
アタラクシア:瞬間的・肉体的快楽の追求ではなく、永続的・精神的快楽の境地。
「隠れて生きよ」
- 1 -
Ⅱ
思想を味わう
理想主義と現実主義、どちらを選ぶ?または、どう結びつける?
現実を否定する理想主義。
理想を否定する現実主義。
理想はないのだろうか。理想とは一体なんなのか。
リアリズムとロマンティシズム。私たちはそれらを同時に求めなければならないのではないか。
〈理想の社会について考えたことがあるか〉
〈理想の社会はどのような社会だと思うか〉
〈理想の社会はどのようにつくったらよいと思うか〉
◇
アリストテレスはギリシア哲学を完成させた。私は2つの点で完成させたと考える。一つは
現実と結びつけたという点で、もう一つは学問としての完成である。
思想や哲学は現実から遊離し、一つの理想論・ユートピア論へ傾く傾向がある。アリストテ
レスはソクラテス・プラトンの思想を現実の中で見ようとした。
学問として完成させるとは、体系を整えることである。そして、体系とはカテゴライズ(分類
分け)して、整合的に全体像を描くことに他ならない。アリストテレスは様々なことを二分法、
三分法により分類していく。その分類の妙を味わいたい。また、学びたいものである。サプリ
で提唱している「3点提示法」がまさにこれである。
◇ ポリス社会が崩壊し、民族という紐帯が弱まったとき、人間はどうしても個人主義へと傾く。
個人主義においては人間は自分に直接向かい合うことが多くなり、その時、「幸福」を考える
ようになるものだ。人とともに喜んだり悲しんだりしている時は自分の幸福を考えたりしない
からである。さて、個人主義における幸福とは、その人その人の「心の平静」に最後は行き着
く。その点、ストア派もエピクロス派も大した違いはない。
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