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ドットチャート「誰がどれ?」

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ドットチャート「誰がどれ?」
Global Market Outlook
ドットチャート「誰がどれ?」
2015年8月5日(水)
第一生命経済研究所 経済調査部
藤代 宏一
TEL 03-5221-4523
ロックハート・アトランタ連銀総裁(投票権あり・ハト派)は4日、WSJへのインタビューで「現時
点では何も行動を起こさないことに対するハードルが高くなっている。自分自身の行動を起こす気持ちが
萎えるには、経済情勢が大幅に悪化する必要がある」として、9月の利上げに賛成票を投じる構えを公に
した。同総裁がドットチャートの下から3段目(9月利上げ開始≒9.12月に利上げ≒年末FFレート
0.625%、以下3段目と呼ぶ)に位置しているのはほぼ確実。同総裁はハト派で知られているため、市場で
はややサプライズとして受け止められた。だが、冷静に考えてみると、同総裁が3段目に位置していると
いうことはイエレン議長が2段目に位置している可能性を高めることになるので、寧ろ12月利上げ開始シ
ナリオを後押しする。ここで改めてドットチャートの「誰がどれ?」を予想してみる。
まず、容易に想像がつくのが最下段(年内見送り≒年末FFレート予想0.125%、以下1段目と呼ぶ)。
過去の発言から判断して、その2名はほぼ間違いなくハト派の筆頭であるエバンス・シカゴ連銀総裁とコ
チャラコタ・ミネアポリス連銀総裁だ。同様に最上段(9月利上げ開始=9.10.12月利上げ=年末FFレー
ト0.875%、以下4段目と呼ぶ)も容易に想像がつく。タカ派の①ラッカー・リッチモンド連銀総裁、②ブ
ラード・セントルイス連銀総裁、③ジョージ・カンザスシティ連銀総裁、④フィッシャー・ダラス連銀総
裁、⑤プロッサー・フィラデルフィア連銀総裁だ。なお、投票権者は1段目と4段目にそれぞれ一人ずつ
いるため、タカ・ハトのバランスは均衡している。
問題は2段目と3段目。そして最も気になるのは「イエレン議長が何段目」なのかだ。結論を先取りす
ると、昨日のロックハート総裁発言を受けて、筆者はイエレン議長が2段目(12月利上げ開始≒年末FF
レート0.375%)に位置しているとの従前予想に自信を深めた。それは同時に12月利上げ開始予想に自信を
深めることを意味する。
6月FOMC
5
4.5
4
3.5
3
2.5
2
1.5
1
0.5
0
2015
2016
2017
(備考)FRBより筆者作成
Longer
Run
本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所経済調査部が信ずるに足る
と判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内
容は、第一生命ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。
1
年内見送り
1回利上げ
2回利上げ
3回利上げ
(≒12月)
(≒9.12月)
(9.10.12月)
0.125
0.275
0.625
0.875
15年末FFレート(%)
エバンス
コチャラコタ
イエレン フィッシャー副
ダドリー
ブレイナード タルーロ メスター
ローゼングレン パウエル
ウィリアムズ
ロックハート
ラッカー
ブラード
ジョージ
フィッシャー
プロッサー
※筆者予想 赤字は投票権有り
まず、ロックハート総裁以外の3段目候補が誰なのか検証していく。有力候補はパウエル理事とウィリ
アムズ・サンフランシスコ連銀総裁。この両者は6月FOMC後に明示的に自身が3段目であると発言し
ているため、ほぼ確実。この時点で3段目候補は3名が確定。
パウエル理事
「9月に利上げを開始し、12月に追加利上げを行うというのが私の予想だ」
(6/23WSJ開催イベント)
ウィリアムズ総裁
「個人的な予想で言えば、年内2回の利上げということになろう」
(6/19記者会見)
次に残りの2名が誰なのか検証していく。有力候補は3名だ(この時点で3段の5名がほぼ確定する
ため、イエレン議長が消去法的に2段目になるのだが。。。)。まず、過去の発言から判断してフィッ
シャー副議長とメスター・クリーブランド連銀総裁が候補に上がる。フィッシャー副議長は持論を展開
することが少なく、特に政策変更絡みの発言には慎重だが、2月28日時点で「6月か9月の可能性が最
も高い」としていたほか、7月18日に「米経済は際立って力強く、金融危機からほぼ抜け出した」と発
言していたことを踏まえると、9月の利上げを主張すると考えるのが自然だ。恐らく市場の見方も3段
目候補で概ね一致しているだろう。次にメスター総裁。ヒントが少ないが、3月9日時点で「金融政策
が効果を発揮するのに時間がかかることを踏まえれば(物価と雇用が)FRBの目標に完全に達する前
に利上げを始める必要がある」とタカ派的な主張を展開したうえで、年前半(3.4.6月FOMC)の利上げに
賛成していた経緯を踏まえると、9月の利上げを主張すると考えるのが自然。こちらもコンセンサスに
近い見方だろう。そしてもう一人はダドリー・NY連銀総裁だ。同総裁はハト派の主張を展開している
ため9月の利上げを主張する可能性は低いが、6月28日のFTとのインタビューで「9月に利上げを決
定しても衝撃ではない。もしくは、経済指標が若干弱くなり、待つことを決めたとしても衝撃ではない」
としたうえで、9月の利上げ開始について「大いに起こりうる」と発言していた。3段目候補として考
えられるが、やはり本命はフィッシャー副議長、メスター総裁だろう。
結果、2段目候補は①イエレン議長、②ブレイナード理事、③タルーロ理事、④ローゼングレン・ボ
ストン連銀総裁、⑤ダドリー総裁となる。ブレイナード理事とローゼングレン総裁は共に米国経済に弱
気で利上げに対して慎重な議論を展開しているため確度が高い。タルーロ理事は発言が少なくスタンス
が把握しにくいが、消去法で2段目候補となる。イエレン議長は「年内が適切」としか発言していない
が、消去方に加え、これまでのハト派スタンスを踏まえると、やはり最も収まりが良いのは2段目。
もっとも利上げはデータ次第とされている。しかしながら、雇用コスト指数がインフレ加速に疑問を
投げかけたほか、原油価格が再び下落基調を強めている状況を踏まえると、米経済のリスクは幾分下向
きに傾きつつある。9月の利上げは見送られる可能性が高いと考えられる。
本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所経済調査部が信ずるに足る
と判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内
容は、第一生命ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。
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