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株式会社サン・コンピュータ(八戸市)
代表取締役社長
三 浦 克 之さん(53)
Miura Katsuyuki
発展著しい業界を乗り切る3本の柱
わ
が社は仕事をするうえで社会性、科学性、人
間 性 と い う3本 の 柱 を 立 て て い ま す。社
会性とは地域貢献、科学性は技術の向上や開発
など業務内容のこと、そして人間性とは社員と
のコミュニケーション能力のことです。このう
ちどれが欠けても、目指す会社にはなりません。
日進月歩の著しい業界ですから、常に新しい技
術 に 関 す る 勉 強 が 必 要 で す し、コ ミ ュ ニ ケ ー
ションを取り情報交換を図ることも必要です。
わが社は「最新のテクノロジーと高度なI Tソ
リューションで、全てのお客様のニーズに応える」
ことを使命に仕事と向き合っています。
若者よ
“地元愛”
を胸に羽ばたけ
と
かくIT業界は人財の流動が激しいと思われ
がちですが、東京に比べると青森県内は人
財の流動は少ないんです。東京に比べ会社が少
ないというのが一番の理由ですが、そのおかげ
1960年八戸市生まれ。八戸高校から一橋大学経済学部に入学し
卒業後「熊谷組」入社。1988年に八戸市にUターンし、
「株式会社
サン・コンピュータ」を設立。東京に関東事業所も構え、ソフト
ウェア開発を中心に県内外で業務を展開。
で、人財の育成は、腰を据えて行えるんです。
その一方で、本人がスキルアップできるので
あ れ ば 他 の 会 社 で も、県 外 で も 出 て ほ し い と
思っています。そして将来、八戸に戻ってきてく
れれば、それは地元に還元されることになりま
すから。以前、この会社から「楽天」の系列会社に
派遣した社員が、IPO(上場)をかける新会社に、
その能力を買われ誘われたことがありました。
相談を受けた私は「こんな機会はそう経験でき
る も の で は な い、行 く べ き だ」と 送 り 出 し ま し
た。仕事のパートナーとなった今でも彼は恩義
に感じてくれています。
サン・コンピュータから巣立った人財が、地元
を愛する心を持ち、県外で学んだ知識、培った技
術をこの八戸のために役立ててくれるなら、こ
仕切りがなく、全員が見渡せるオフィス
30 あおもり絆カンパニー 2013.3
れ以上の喜びはありません。
株式会社サン・コンピュータ
(八戸市)─ 地元雇用と最新技術習得を応援するIT企業
若者に自己実現の
飽 I 地 チャンスを与えたい
く T 元 IT
なでを
き八愛
挑戸す
戦にる
雇心
、
い用を
つを持
か
っ
生
は
〝みて
ス
日出キ
本しル
初たア
〟いッ
プ
を
業界の採用では、新卒者か3
年以上の経験者がそのほと
んどを占めます。未経験者の中途採
用というのはほとんどありません。一
度別な業界に就職してしまい、その
後、
この業界に興味を持ったとして
もそこにはチャンスがない、
というの
がI
T業界の特殊なところなんです。
取り巻く環境も、低コストの海外
に押されて厳しくなっています。
こ
れまで大手企業の下請けを中心に
してきたわが社は、
「設計」
とその後
の 作 業になる
「プログラミング」
を
セットで受注することが多かったのですが、最近は設計が終わると、
プログラミ
ングは海外の会社に流れる傾向にあります。そこで新たに取り組んだのが、ス
マートフォンやアプリ開発などの分野への進出です。
平成23年度に県の雇用対策事業で、業界未経験者対象の研修を1年かけ
て行った結果、スマートフォンのアプリ制作などの仕事ができるようになりまし
た。そして期間終了とともに、サン・コンピュータから社員を派遣し、研修生6
人を社員として採用した新会社を立ち上げました。今では頼もしいパートナー
として仕事をしてくれています。
いつも心にあるのは、
「I
Tで地元八戸に雇用を生み出したい」
という思い。経
営の醍醐味は雇用を生み出し、次代を担う若者に就職の場と自己実現の欲求
を満たせる仕事を提供することです。枠にとらわれない発想で新しいことにも
挑戦していきたい、もっと社会貢献もしたい、そしていつの日か“日本初”
とい
うものを、
この八戸から生み出したいんです。
する余震により膨大な数のメールが作成さ
ばなし
れる一方、長時間の停電によるサーバーダウ
ンのためメールの送信遅延が発生しました。
停電が続く中、この防災メールが重要な
命を預かるシステム
安心を届けるために
わが社が自治体向けに提供しているサー
ビスに「防災メール配信システム」がありま
役割を担っていることを全社員感じていま
した。社員は発電機やストーブを持ち寄り、
徹夜で作業にあたりました。停電が復旧し、
抱き合って喜んだことは今でも忘れられま
せん。
す。これは、気象、火災、地震などの防災情報
このときの体験は、構築したシステムの先
メールを自動配信するもので、現在、八戸市
にいる利用者の方の存在を痛切に感じた出
と周辺町村、三沢市、むつ市、十和田市で導入
来事でした。
されています。東日本大震災のときは、頻発
(八戸事業部システム課部長 能登谷秀昭)
あおもり絆カンパニー 2013.3 31
人事担当者に聞く
人財観
わが社の
常に最先端学びスキルアップ
部門超えて委員会、ピザパーティー
社内SNSでわが社ならではの“会話”
IT産業ならではの
Q.人財教育はありますか?
A. 資格報奨金制度の活用や外部
企業への派遣などで、各々が
株式会社サン・コンピュータ
八戸事業部システム課部長
能登谷 秀 昭 さん(40)
最先端技術を常に磨いています。
社会人としての意識の構築とモチベーション
維持のために、定期的な研修を自社で実施して
います。昨年度は「YANAI総合研究所」から講師
を招き、経営改善について全社員対象で行いま
した。外部研修については新入社員研修やビジ
ネス研修のほか、個人が行きたい研修があれば
参加させます。
主に企業向けのシステム設計や開発をしているため、新しい開発言語や製品といった最先端技術
の取得が必須です。社内では、取得した資格の難易度に応じた報奨金が支給される「資格報奨金制度」
を導入しました。一昨年から始めたところ、資格取得に挑戦する社員が増えて、全体的なスキルの底
上げが図られました。また、スキルアップのために若い人財、新卒であれば入社1、2年で東京の外部
企業に派遣し、経験を積んできてもらいます。
毎月第1土曜日の全体会議では、月単位の売上など数字を出して会社の経営状態を全員に知らせ
ています。会社の方向性を全体に浸透させたいと考えているからです。会社の経営や方向性を理解
し、自発的に社員からも意見を出すよう促しています。各プロジェクトリーダーから個人単位の成果
の数字を個々に示していて、社員が自分の売り上げを常に意識し、会社組織としての考え方、判断で
仕事に取り組むようにしています。
Q.経営理念を実現するための取り組みは?
A. 社員のやりたいことを反映させる委員会活動をしています。
全社的な取り組みとして、委員会活動があります。3年前、経営理念の実現のために社員アンケー
ト を と り、多 数 決 で 社 員 の や り た い こ と か ら 実 現 し て い こ う と 委 員 会 を 立 ち 上 げ ま し た。現 在 は
「CO₂削減」
「 既存商品棚卸」
「 顧客満足度」
「 ビジネスモデル検討」
「 セキュリティ」
「 新技術調査」の各委
員会が部署の垣根を越えて取り組んでいます。
既存商品棚卸委員会は過去に作ったシステムを再活用して新たな商品化を探る、新技術調査委員
会はWindows8、GeneXusなど新技術の情報を社内に報告するなど、業務につながる活動が多い
のが特徴です。年次報告では、普段一緒に仕事で組まない人たちといろいろな話ができてよかったと
32 あおもり絆カンパニー 2013.3
株式会社サン・コンピュータ
(八戸市)─ 地元雇用と最新技術習得を応援するIT企業
いう声もあって、よい交流の場になっています。
Q.社内のコミュニケーションはどのようにとっていますか?
A. 毎月のピザパーティーでの交流や、社内SNSでも“会話”しています。
仕事柄、パソコンに向かって集中しなければならない仕事なので、周囲がざわざわしていると集中
できません。そこで、直接話をする以外のコミュニケーションとして、社内SNSを導入しました。社
内ネットワークを使い、フェイスブックやツイッタ―のような感覚でパソコンから書き込んで“会
話”します。IT技術についてはインターネット上でも調べられますが、仕事の知識やこれまでのやり
方はやはり経験に基づく意見が必要になります。気軽に質問を投げかけたり、ディスカッションする
など、どんどん活用してもらいたいですね。
ソ フ ト ウ エ ア の 設 計・開 発 は、使 用 言 語 や 顧
客業種といった専門分野ごとのグループでの
仕 事 に な る の で、他 の グ ル ー プ の 社 員 と 会 話
す る こ と が な か な か あ り ま せ ん。会 社 全 体 で
の 交 流 の 場 を 持 と う と、社 長 の 提 案 で、毎 月 1
回の全体会議の後にピザパーティーをしてい
ま す。社 員 同 士、社 長 と も 直 接 話 せ る 機 会。和
気あいあいとした社内環境をつくり出してい
ます。
オ タ カ ラ 社 員
大手企業出向で得た
達成感と次への刺激
仕 事 に な ら ず 苦 労 し ま し た。iPhoneや
Androidなどの 新しい 開 発 言 語にチャレンジ
し、
ソフトが動いて完成した時、達成感を味わう
入社1年たったころ、
「来
とともに、次への刺激になりました。知り合った
週から東京へ行ってこい」
プログラマーたちは、与えられて仕事するだけ
の ひ と 言 で、
「 楽 天」へ 半
ではなく、自らネットで意見を募って積極的に発
年間出向しました。
他 社に行くと仕 事 のや
八戸事業部システム課
高橋耕平さん(26)
信していて、すごいと思いました。
出向先から戻って感じるのは、人が多過ぎな
り方が違って、
とても勉強
いので上司と話しやすいこと。一人ひとりの意
になりました。でも、同じフロアに200人もい
見を拾ってくれます。自発性を高めてもっと声
て、あまりに人が多くてコミュニケーションが大
を出していけば、いろいろできる可能性がある
変でした。楽天の公用語は英語。仕事の指示文
と思います。いつか、
この会社のこれはというソ
書も英語で書かれているので、読みとらないと
フトウエアを一から作り上げてみたいです。
会社概要
株式会社サンコンピュータ
所在地:〒039-2245 八戸市北インター工業団地1丁目 5-10
TEL:0178-21-1100
URL:http://www.sancom.co.jp
資本金:5,000 万円
設立:1986 年 10 月
従業員数:56 人
業務内容:ソフトウエア設計・開発、ネットワーク構築サポート
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