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No107(12.24)

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No107(12.24)
2010.12.24
北海道大学保健センター
第 107号
アナフィラキシーショック
保健センター長
武
藏
学
人との付き合いの中で、良かれと思ってやった
IgE抗体を生じてしまう。某研究所スタッフと院生
ことが却ってあだになることは大人なら誰でも経
のマウスとラットに対する特異的IgE抗体の有無を
験したことがあるだろう。そして、やっかいな事
調べたところ、マウスで13%、ラットで11%の人
にしばしば善意は人間関係に深い傷を残してしま
が陽性であった(疑陽性を含めると、各々16%、
う。人は外部から侵入して来る細菌、ウイルス、
13%で、抗ラット抗体陽性者は全例抗マウス抗体
蛋白などに対してサイトカインや抗体、ある種の
も陽性であった )。IgE抗体陽性がアレルギー発症
リンパ球を作って体を守ろうとする。これが免疫
と相関するか否かが問題となるが、動物アレルギ
である。一方、原因物質(アレルゲン)が体内に
ーに造詣の深い国立相模原病院の前田裕二医師( 北
入った後、免疫学的機序を介して生体に不利益な
大医学部51期)によると、ハムスターとモルモッ
症状が惹起される現象をアレルギーと言う。アレ
トへの特異的IgE抗体陽性者では抗原の吸入刺激に
ルギーでは本来、有益なはずの免疫が逆に体に悪
より100%喘息発作が誘発されたとのことで、げ
影響を及ぼしてしまうのである。
っ歯類へのIgE抗体陽性の場合には、咬傷や針刺し
さて、今年、学内某研究所で実験中にマウスに
などの血管を介した異種蛋白侵入時にはアナフィ
咬まれたスタッフがアレルギー反応として最重症
ラキシーショックを発症する可能性が危惧される 。
のアナフィラキシーショックを発症した。幸い、
実験動物学会のアンケート調査(平成21年)でも
関係者の迅速な対応により危うく一命を取り留め
回答のあった施設の42%で実験動物アレルギー症
たが、なんらかのアレルギーを持つ人が国民の少
例の存在が回答され、アナフィラキシーショック
なくとも30%以上という現在(学生では50%前
6例、重症気管支喘息48例が報告されていた。
後 )、早急な対策が必要である。ちなみに我国では
私も5年前までは動物実験をしていたが、研究生
毎年70人前後の人がアナフィラキシーショックで
がマウスアレルギーとなって咳やくしゃみがひど
亡くなっている。すでに本紙でも警告を発してい
く、マウス尾静脈への5-FU注射、骨髄細胞の回収
るようにスズメバチなどのハチによる死亡が20~
をすべて私が行うはめになった。動物実験は一人
30人/年であるが、一番多いのが薬剤によるもの
で行うことが多く、かつ深夜から早朝に至ること
で30人前後に達する。本来有益な薬剤で落命する
もあり、急速に進行するアナフィラキシーショッ
人が多いパラドックスは、上記のアレルギーの定
クや重症気管支喘息を発症すると生命の危険に直
義に照らして妙になるほどと頷けてしまう。アナ
結する。まずは、動物実験従事者への安全教育の
フィラキシーショックの症状はアレルゲン侵入後 、
徹底(動物アレルギーを発症し得ることの説明、
数分から35分くらいで動悸 、しびれ感 、口の乾き 、
咬傷や針刺し事故予防策 )、定期的な特異的IgE抗
全身の蕁麻疹や紅斑 、呼吸困難 、喘鳴 、血圧低下 、
体のチェック、重症アレルギー発症時の連絡網整
意識消失などの症状が現れ、迅速にアドレナリン
備、大学病院等の連絡先確認、万一に備えての車
を投与しないと死に至ることがある。
椅子の常備、IgE抗体陽性者はアドレナリンの自己
本来、中和抗体として体に免疫を与えるのはIgG
抗体であるが、アレルギーでは異種蛋白に対して
注射剤エピペン ® を携帯するなどの態勢整備が急務
と思われる。
2010.12.24
『こんにちは・・・いらっしゃいませ』
保健センター講師・カウンセラー
こんにちは、はじめまして。この10月に着任し
たばかりで、しばらく右も左もよくわからない状態
でした。新しい環境というのは、慣れるまでにやは
り三ヶ月くらいは平気でかかるようです。これまで
ずっと肩こり知らずだったのですけれど、はじめの
一ヶ月は変に背中ばかりが痛くなっていましたが 、(た
だの加齢のせい) 。。? 最近はそれもなくなり、よう
やく少しずつ大学の中を歩く学生さんの表情が見え
てきました。見れば見るほど年齢も見た目も表情も
動きも色々です。
細かく見れば、人の生き方というのもそれぞれい
ろいろあるのでしょうけれども、どんな方でもとて
も単純に考えたら、自分がこうしたいとか、こうな
ってほしいとかそういうような内から上がる欲があ
ることがなにより生きていくのには大事なんだと思
っています。なんといっても欲は目標です、エンジ
ンです。自転車ですごい勢いで走っている方を見か
けたら、それはやはりそれだけの目標があるんだろ
うと思いますわね。遅刻すると大変なことになると
か切実な問題が。冬道はさすがにやめたほうがよさ
そうですけど。
でも、幼い頃はともかくとして、たいていの場合、
目標にまっすぐたどりつくことは、そうは簡単には
いかないというのが小・中・高・・・とわかってきます
よね。そこでみなさんたいていは自分の欲を見つめ
周りの状況を見つめその中で自分の欲求の一部分を
通せるところを探したり、第二希望で今のところは
我慢しておいたり、時間稼ぎをして機が熟すのを待
ってあらためて挑戦してみたりと、どんどん自分と
周りの世界との駆け引きというか交渉というかやり
くりを始めるのが、人の常のように思います。駆け
久 蔵 孝 幸
引きなんていう言葉を使うと少々殺伐としますが、
あちら立てればこちらが立たぬというようなややこ
しい経験はあちこちで体験しますし、時には、第二
希望だと思ってシュンとしてたけど案外楽しいや、
と思いなおしたりして人生の素敵な右往左往をしな
がら。
カウンセリングに来られる方は、たいていは悩み
がある方です。悩みというのは裏を返せば、自分と
してはこうしたいという欲があるのに達成され得な
いという状態だと思います。だからカウンセリング
に来られる方は皆さんとても本当はちゃんと欲のあ
る前向きな人なんです。前向きなんだから、カウン
セリングというのはその欲を生かすための駆け引き
ややりくりの作戦会議です。時には時間稼ぎや第二
希望の選択なんかもするという意味では、戦術戦略
の会議かもしれません。ここでは兵を引こうとか、
いや一点突破だとか、陽動作戦をとろうとか、そん
な台詞がカウンセリングの中で頻繁に…でてくるこ
とはまああまりないですけどね。
だから、あせるな、負けるな、と言いたくなった
りします。今苦しくても大局でみるならば人生にま
だまだ勝機はあるし、損して得取れ、負けるが勝ち、
人生七転び八起き。素敵な言葉をそういえば昔の人
はたくさん考えてくれています。大人として生きて
いくということは一度では解決しないことがたくさ
んあるということなのかもしれません、肩こりもそ
の一つ。でも、それは何一つ解決をしないというこ
とでもないのでしょう。あせらずに負けないでがん
ばらないで、悠々と人生のこれからを歩くための作
戦会議に、よろしければどうぞ保健センターにいら
っしゃいませ。
平成22年度 第2回 職員定期健康診断等実施日程等
実施期間
実
施
期
間
①
終了いたしました
受付時間
実 施 期 間 ②
12月1日(水)~12月28日(火)
1月5日(水)~1月21日(金)
(土・日、祝日を除く)
9:00 ~ 11:30
13:00 ~ 16:00
札幌複十字総合健診センター
札幌エルプラザ5階(北8条西3丁目)
左記以外の部局等
(函館キャンパス勤務者等を除く)
9:00 ~ 11:30
13:00 ~ 16:00
健診会場
北海道大学病院管理棟
特別会議室等(北14条西5丁目)
対象部局等
医学研究科、 遺伝子病制御研究所、
アイソトープ総合センター、 歯学研究科、
北海道大学病院、保健科学研究院
健診内容
定期健康診断、 雇入時健康診断、 特定有害業務従事者健康診断、
特殊健康診断、遺伝子組換え実験等従事者健康診断、 病原体取扱者健康診断等
※ ご不明の点などがありましたら、下記までお問い合わせください。
お問い合わせ先 → 総務部職員課(福利厚生担当) 内線2397
2010.12.24
インフルエンザについて
昨年の6月から流行した2009 H1N1インフルエンザも今年の春には下火となって今日に至っていま
す。しかし、この秋〜冬には第2波の到来が懸念されており、過去のインフルエンザのパンデミックでは、
第1波よりは第2、3波の方で病原性が高く、犠牲者も多かった事実があります。従って、今期のインフ
ルエンザでも注意深く監視する必要があります。現時点では香港型(H3N2)が多いようです。もし、イ
ンフルエンザと診断されたら、その旨を所属部局の教務係へ報告して下さい。
一方、1)うがい、手洗いの励行、2)咳やくしゃみが出る時はマスクを着用する。マスクが無い時に
はハンカチやテイッシュで口や鼻をおおう(咳エチケット )、3)熱が出たら講義や部活は休む、などの当
たり前のことをきちんと行うことが大切です
1.うがい、手洗い 及びマスク の着用の励行
Let's Wash Hands Properly!
2.咳やくしゃみの時にはテイッシュやハンカチで口や鼻をおおうこと
洗手方法
(関連情報)
○外務省海外安全ホームページ
○厚生労働省ホームページ
○国立感染症研究所
http://www.anzen.mofa.go.jp/
http://www.mhlw.go.jp/
http://idsc.nih.go.jp/disease/swine_influenza/index.html
○WHO
http://who.int/csr/disease/swineflu/en/index.html
○CDC
http://www.cdc.gov/swineflu
Intermission
「クリスマスローズ」
坂田
勲 氏 Isao Sakata
元北方生物圏フィールド科学センター事務長
2010.12.24
保健センターへのお問い合わせ
★診療・健康診断等に関するお問合せ:706-5346/5347/5348
診療・健康相談と担当医師
内
科
精神衛生相談
歯 科 相 談
月
火
水
木
金
金 子 壮 朗
金 子 壮 朗
武 藏
学
大 西 俊 介
大 西 俊 介
朝 倉
聡
藤 井
泰
朝 倉
聡
伊 藤 侯 輝
朝 倉
聡
歯学部担当教員 (相談は保健センターHPの診療案内から予約してください)
なお、歯科相談予約ページは学内限定です。歯科相談室は、歯学部1Fにあります。
カウンセリング
月曜日~金曜日(9:00~11:00, 13:00~16:00)
★カウンセリングを希望される方は、精神衛生相談をご受診ください。
★お問い合せ : 706-5418
各種相談と担当看護師の御案内
火
折戸 智恵子
女 子 学 生 相 談
栄
養
相
談
★受付時間:8:30~11:30
★栄養相談は予約制となっております。
★看護師へのご質問・お問い合わせ
℡ 011-706-5484
木
折戸 智恵子
折戸 智恵子
※センター内には、身長/体重計、血圧計、
視力計、ボディーソニック、ランニン
グマシーンなどがあり、8:30~17:00
(土・日・祝日を除く)の間、自由に利用
できます。日頃の健康管理や憩いの場
として活用して下さい。
診療等のお知らせ
休診予定等(12/22-1/30) 12/22 現在
全科休診:12/28(火)~1/4(火)
内科代診:1/21(金)、1/26(水)
精神衛生相談休診:1/18(火)、1/20(木)、
1/24(月)、1/26(水)
歯科相談休診:12/29(水)~1/3(月)
※休診の最新情報は当センターHPをご覧ください。
月刊 ほけかんだより第107号
平成22年(2010)12月24日発行
編集・発行 国立大学法人北海道大学
保健センター
〒060-0816 札幌市北区北16条西7丁目
TEL 011-706-5345
011-706-5415(編集担当)
e-mail: [email protected]
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