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被服図形の合成則に関する研究

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被服図形の合成則に関する研究
大阪市立大学生活科学部紀要・第 27
巻(1979)
-107-
被服図形の合成則に関する研究
第 l報
システム ・アーキ テクチュア
和知孝雄
Pinciples of Garment Figure Synthesizing PART 1
System Architecture o
f aComputer Aided Garment Figure Synthesizer
TAKAO WACHI
緒
るという窓味において等価である。このように拡大され
冨
た被服型紙の概念を本論文では被服図形とよんでいる。
被服図形に関する興味ある研究課題は被服図形の特性
Iil明紙の慨念の拡大は全く新しい被服デザイン
この被I
他を摘出することである。被服図形の特性値が明らかに
理論を引き出した。具体的な例をあげて説明すると,た
なったとすると,これらの特性値と心理学的測定値など
とえば.採寸に纂づいて作図された被服明紙の外郭線が
期述を解明できると期待される。しか
の他の特性値との l
決定されたとき.つぎにこれらの外郭織で周まれる領域
しながら .被服図形の数理的記述に関する報告例がなし
に色彩や柄情報を書きこむことによって被服デザインと
またこれらに対する有力な研究方法も提唱されていない。
ともにテキスタルデザインをも遂行することができる
これらの問題を解決する有望な方法のうちのひとつは被
ということである。また ,予め柄情報を定義しておき,
服デザイナーの被服設計過程をコンビュータで追跡する
つぎに被服耳目紙をその上で移動させてデザイナーの Q図
万法である 。 そこで本論文はコンビュ ータ と被服デザイ
する柄情報がその外郭線の内部領械に含まれたときに被
m要
I
Iilデサインを遂行
服型紙のデザインを終了することで彼J
ナーとの対話を過して被服の設計が進行するときに
な役剣を担う被服図形の合成日 J
Iを数学的に抽象化するこ
することができる 。
これらの例から明らかなように.このデザイン理論で
とを主たる研究目的としている 。
ここでいう被服図形とは新しく導入された概念であり
は,被服司1
'
紙を出発点としたトップ ・ダウン方式で被服
品位およびデザイン結呆を図式的に表わ
被服のデザイン j
I
f1樫紙の外車s
線と色柄情報
デザインが遂行され.また被J
したもののうちで,それらが最終的には被服~~紙と 一 対
線と外郭紛i
との合成 1
1
1
],および色柄情
との介成Jlリ,外空s
ーの対応に帰結できるものをし寸 。具体的にいえば従来
が中心的役割l
を果たすことになる。
報と色刷情報の合成即l
はスタイル画.ニ ッ トデザイン. プ リ ン ト デ ザ イ ン
Iil図形の集合図
さらにまた被服図形はいくつかの部分被I
などは,被服~紙と 1 1. 独立におこなわれてきた 。 このた
形と考えられるから .いくつかの部分後服図形を合成す
め従来の被服型紙は.無I
也の平商上に描かれた単なる線
ることで被服図形を織成することができるからその合成
問にすぎず,織物組織図や,プリント図案などの他のデ
l
l
Jを明らかにしていくことが重要な諜魁となる。
if
云i
主されていなかった 。
ザイン情報は被服型紙に l
きて,被服図形が他の一般図形と著しく拠なる点は .
I
i[型紙の慨念がつぎのように
そこで本論文ではまず被J
1 ここではさらに被服
著者によ ってすでに指摘されたが1
拡大された。被服壁紙は外郭線のみならず柄情報や他の
外郭線が他の一般図形と異なる特性を持っている点につ
彼Jjf,i型紙との関連を表わす情報をも含めたものとして定
いて明らかにしておく必要がある 。 被服外郭線はそれら
義し,さらにこの慨念の適用範闘を拡大するために,彼
のうちの適当な部分が縫合されて.平面上の布から人体
11f1デザインの帰結が彼 U1.! 1~ 紙であるという前従のもとに.
的面を覆う彼服に作られる。このとき被服外郭線が人体
スタイル砲やニットデザイン,プリントデザインな
的面に適合するかどうかは被服外郭線の形状のみで決定
どがつぎのように拍象化された。これらはそのデザイ ン
されるのではなく .布地の持つ王寺しい力学兵方位からも
I
匝砲紙に写像することができ
情報を机失することなく被1
強〈影響を受けることが知られている 3
}したがって被服
)
(
-
被
一108-
日
月
学
外郭線は幾何学的には全〈ファジィな !
I
a
線 (fuzzyl
i
n
e
)
(CARMENT) (PLACEMENT RULE)
である。この作図線が幾何学的な非決定要素を含んでい
したがって単純な被服図形要素の組み合せて¥より複
平可能砂である 。
雑な図形を構成することがゴ十1
るファジィ曲線から構成されていることが彼版図形の大
きな特徴である。このことの理由から本請文では,いわ
1.被服図形 の基底接続代数系 Q
ゆる被 Il~型紙製図法には言及しないで\被 IJ日外郭線の幾
絞Il~図形の幾何学的構成要素は点 P , 線 L およびイン
何学的構造の記述法からテザイン理論を展開することに
シデンス O の 3つの無定義用語て拘
あ る。ここでインシデ
する。
ンス O とは .フリ ーハンドで 2点聞を結ぶとか,曲線を
n
1するとかといったファジィな作図 i
寅 ーをま追わしてい
分
1
,J
とくに本論文では被服図形の合成や再構成をコンビュ
ータで計算が実現可能となることを保証するための基礎
る。もちろん 2直線の交点や交角を求めるとか
的な理論が.幾何学的基礎論3)に悲ついて注:t!:深くしか
を結ぶ直線を引くとか,半径 αの問を描くとかといった作
2点問
も厳密に与えられている。この理論に基づいて被服図形
図演算をももちろん含める 。また Lには点群を結ぶ曲線
の幾何学的情造が代数構造で表現することが可能となっ
群に与えられたライン ・タイプを表示する機能を与える
た。このことによって彼版図形の記述に対するあいまい
こ とにすると,つぎの公理を得る 。
きが大きく除去された。
公理 1 (インシテンス公理)
1)相異なる 2つの点';1:,少なくともひとつのラ イン ・
理 論
タイプを決定する。
被服図形の正 I供な記述形式を与えることによって ,被
2)ひとつのライン ・タイプで決定 される線上には.少
服図形の合成 f
i
l
Jを解明するに必要な基礎理論と .それを
なくとも 2つのデザイン点が存在する。
er Aided Pαt
t
e
r
n S抑 t
h
e遂行する CAPS(Comput
公理 2 (順序公理 )
s
i
z
e
r
)システムのンステム ・
アー キテクテュアの基礎理論
1).
9
.Bカ
ぜ 2点 A,Cの間にあるというときには ,A,s,C
を情成することができることを明らかにすることが本節
はライン ・タイプ
の目的である。
被服図形 Q はいくつかの部分被服図形 Qiの集合図形
イン ・タイプ
IAC上の相異なる
3点で,点 Bはラ
IAC上にもある 。
2)点 A,Cがライン ・タイプ i上の相異なる 2点ならば,
Q =UQi
I
上l
こ点 Bを見出して ,点 Cが点 A,
sの間にあるように
i
=l
することができる 。
であると与えられるロしたがって被服図形を ,それを構
3)点 Bが点 A,Cの間にあれば,点 A が点 8,Cの閃に
成している部分被服図形に分解することによって , 彼 Il~
あることはない。
図形の幾何学的構造を記述することができる。しかしな
公理 2の 1
), 2), 3)から,
がら被服図形を機械的に分解してゆくためには .この被
つぎの定理が成りたつ。
定理 1 (線形順序の定理)
服図形の構造を示す形式的でかつ厳密な規則を与えねば
ひとつのライ ン ・タイプ上の点は線形に順序づけられ,
ならなし、。その目的 1 ;1:,被服図Jf~(7)作図という l立観的概
作図順序を与えることができる。
念を形式的に定義し,その不正硲さを除去することにある 。
すなわちライ ン・タイプに η個の点(η>2)が与えられ
i
l
図形はつぎのように定義する Y
被Il
l,P2,…
… ,P.
たとき,それらに適当に番号をつけて P
(GARME
NT FI
GURE) :
:=
とすれば, 1話
(ATTRIBUTE) (SUBGARMENT FIGURE)I
zく
lく k~五 π ならば Pj I
まPjと Pkの間に
あるように作図することができる。このような番号のっ
(SUBGARMENT FI
GURE)(GARMENT FIGURE)
け方は 2通りしかない。
(ATTR
I
BUTE) :
:=
きて,あるインシデンスによって指定されている点列
(OUTLINE SHAPE) (TEXTURE)
をひとつの作図単位と考えることにする。いいかえるな
(
INClDENCE)I
<
OUT
L
I
NESHAPE) <
GARMENT FI
GURE>
らば .一連の点列はひとつの作図演算子によ って作り出
(
INCIDENCE)
すことができる作図単位を構成していると考えることに
すれば,被服図形の外郭線は .カルテシアン政 PXLの
(uUTLINE S HAPE) :
:=
ある部分集合によって記述することができる。このとき
INCIDENCE)
(POINT) (LINE) (
つぎの定理が成立する。
(TEXTURE) :
:
=
定 理 2 (基底接続代数系)
(PLACEMENT RULE) (COLOR)
(SUBGARMENT FIGURE) :
:=
いま O C PX L, pnLニ 世とすると,
(2)
干日知 ;被服図形の合成則に関する研究(第 1報)
Q=(P
,L.O)
ー
109-
ひとつの法!攻按絞代数系の持つ代数十簿泣は ,し、くつか
は.被服図形に対する )H
l:代数系を構成する。このとき
の奨なった幾何学的 f
,'Ii-.il'lで与表現可能て'ある。いっぽう,
P,Lはその基底であり,もし順序対 <
p
,1
>
が O の安ぷで
;
1,た かだかひとつの代数的構 造
ひとつの幾何学的椛泣 1
i
l上 にあることをゑわ
あるとするとき .POIとかき .pL
で表現される
!
j
:
. pは I上にないことを J
号わす。
し,p世l
f
I
l
!
.l
;
I.彼1J!l図形の合成目リグ)
J
/
;
礎定恩を定め
この繍 DhA
渇する基礎理諭を完成
さて.この被服図形の記述法に l
ているが,
4za
文では実例をかかげるだけにとどめる 。
させるためには .任 1
な にうえられた基底接絞代数系に対
f~IJ
する公理を与える必要がある。しかしながら各々の被服
町線とス
線による幾何や的締法と 図 -5に示すような実 l
図形に対して公理群を与えるのは適切でないので¥以下
!
1
1
f-品による幾何学的構造を同時にぷ税している。
プライン 1
のような各々の特定理論に共通すると考えられる公穫を
いいかえれば .合成した結果を示す閃形をひとつの幾何
ひとつ与えることにする 。 そして個々の理論の適用にお
;
t
i
主にとれは.ひとつの代数系で各部分 1
:
11
形もぷ一現
学的 H
J
l
i
UF
f
j
"
t
.
に対して,ライン ・
いて相異なる 2つの点 P,Qの
されていることになる 。 また。納助 A
J
l
I
!
.
)
に
よ って ,例
1
ニ新しい記号を ,
t
主人することによって,つぎの公理を
タイ 7
4のインンテンス・テープルから図 - 3や,図 - 4や
,
必要なだけくりかえして必用することにする。
また図 -5などの異なった幾何学的偽造を持つ図形をい
4のインシデンス ・テープルは 図 -4に示すように点
公
J
I
I
!
.
3
くつも作図することができることがわかる。このことか
Pと QがキH呉なる点であれば ,Pカfライン ・タイプーi上
ら,直観的にっさの定瑚が導かれる。
にあ り
, Q がライ ン ・タイプ I1
二にあるようなライン ・タ
(
.
i
i
[日1
)
]は紙面の I
M
J
係で省略した)
定 理 3 (被服図形の合成則の基礎定期)
イフ lがただひととおり干1
.
,
(
1
:
す
る
。
さてここで,イ ンシテンス O に新しい記号を得入 しな
引 . 2を充足する被服図形に付するJ&応接続
補助定F
1
ミ
そ
がら.いくつかの例を泊して .この理論のー般性を '
i
i
P
:
と同
代数系において, )
,
止
!
まの変換は被服図形の合成 i
ヲ
依である。
2
. 基底接続代数系の部介代数系
例 1. PVQ:相異なる 2点 P,Q を線分でつなぐ 。こ
~底桜 t:-,'c 代数系 Q =(P,
L,
0
のとき公開より. P O PVQ. QO PV Qとなるような L
)において ,P'CP
,L'
L,p E,
'
P 1E L
; p① t三 pO Iとするとき.すなわち
の要素.ライン ・タイプがただひとつ決まる。また PVP=
C
p
,
'
P L
'が作図減税① で閉じているとき Q'=(尺 L
; ①)
f
9
1
J
2
. 1,
机 EL
に対して, っさの 3つのうちのひとつが成
微J
1
U図形の合成則
は Q の部分代数系をなすのここでは,
に対する).Hを定.I'r,を与えて いる ÆJIll 3 の~fJD:力 Æ l'Ilを与え
立する
1)1八 m;lとm カJ交点を f
年つ。
るために,特別な 2つの部分代数系を;{/,入する
2) l=m;lとmがー主主する。
つの部分代数系の情成は,
3) l
I
Im;/とm は、1
.
1行である。
ーキテクチェアを桃成する),~礎Jlll,;命となっている。
. P Ol
,QOl,POm. Q O mのとき
例3
この 2
CAPSシステムの強力なア
2 ・1 部分代数系の削除 (
補助定理 3)
落成 {
H
;
,代数系 Q=(P,L,0 )において
I
= PVQ. m = PVQ すなわち l=mて・ある。
4頃 スローパ Q,に対して,
例4 図 -3のようなが1
p'=
IpE P:pOl・
EL
I
の幾何乍的情i
立に対する )
.
'
;
1
夜筏紙代数系 Q' = (P" Ll,
I
IE L:l宇 l
・
EL
I
なるとき .古1
分代数系 Q'= 1
,
'
P
0)は .表 - 2のインシデンス・テーブルで与えられる。
部分代数系を削除した代数系を作る 。
L
'=
点チI
J
P
,(,=1
.1
2
)が与えられているとする。このとき QI
,
L;
① |はドに ~l して,
ここで窄抑制はゆを表わす。イン J テン ス ・テープルにつ
2 ・2 部介代数系の埋込 (
補助定理 4)
いては後節で詳述する
)
,
[
;
底
緩
和t
代数系 Q=(P,L,0)とQ'ー(尺 L
;0'
)に
きて集合 P,Lとインシデンス Oは .表現しようとして
いる被服図形の作凶繋ぷによ
おいて,
L(m)= 11E L':l羊 ml f
o
rm E L'
て定義される。つぎの性
L(p)= I
IE C :p0'
1If
orpE P
'
質!主将に重要であるので ~h Jlh 定河ーとして述べる
n
I
JJ
I
h
定
!
'
I
ll
なるとき
P= !
L(p) :pE P
'1U !
L(m) :m E 1
'
1
),~Iif;後続代数 系の持つひとつの怖j主の表現は,インン
L= I1
I
1 :1E L'I
テ"ンス ・テーフ'ルて'与えらオLる
f
l
iJ
l
hA
主理 2
に対して ,;
>
,
11
分代数系 Q= !
P,L,01は,部分代数系 Q'
(3)
-1
10-
被
s
i
I
の Qへの埋込みを作 る
。
学
基底接続代数系を拡張するために,シェイプ・ベクトル
3.被服外事B
線のシェイ プ・ ベク トルによ る表現
に対する作図関数を与える。このためには,シェイプ・
Pkを考え
いま図ー 1のような被服外郭線上の 2点 目 ,
ポリゴンの作図を開始する任意の頂点から周に 沿う湿の
る。点 Pkの座練原点 Oに対する位置ベクトルタ(絶対位
長さ
iの座標原点、 Oに亦t
する位置ベクトル均と ,Pk
置)は, P
ポリゴン Sの各頂点は
t
iをパラメ
のp
;に対する位置ベクトル r
.との和であるから,
ータ に選べばよい。 このときシ ェイプ ・
0 =t
lく t
2く・-…-… く tn=T
r=r
o+r.
に対応する。さらに t=[O ,l
)としても一般性を失な
が成立する。
わない。
このときの作図関数は tをパラメー タとするパラメトリ
ックな作図関数であり,その一般式は,
{z=f(t)
y=g(t)
O孟 t
:
五1
0=五 t~五 . 1
で与えられる。
このときの被服図形の記述は ,
t
l
;底接続代数系 Q=(P
,
L,O )において,
P →
図ー 1 P
o
s
i
t
i
o
n Vector and Shape Polygo
n
したカfって ,
r
.= r- r
。
であり,
S
L →
t
O
O
→
なる対応を取るだけで与えられ.
r
.';1相対位置ベクトルである。こσ
テ〈クトル r
.
Qv=(S
,t
,0 )
をセグメント・ベクトルと呼.,i
;ことにすれば,後)J
l
f外郭
となる。したがって前記の公理と定理はそのまま適用で
.の集合として表わされる。
線は .セグメント ・ベクトル r
きる。
このとき,外郭線上の p E Pとなる任意の l点から出発
パラメトリックな彼自民図形の記述は,被服図形の令成
して,外郭線で閉まれている領域を右に見ながら(ただ
を著しく谷易する . たとえば,彼服図形の任意一部分だ
し,左に見ても一般性は鎖われない),外郭線上を辿れ
けを集めて新しく被服図形を作り出すときには,たった
ば,各々のセグメント ・ベクトルに出会う.このときセ
ひとつのパラメータ tの変域を指定するだけで¥ 任意の
グメント・ベクトルの向きを回転方向に一致するように
部分図形を自由に筋くことができるので,合成結換は,
変更し,辿りついたセグメ ン ト ・ベクトルの順にセクメ
tの変放と ,パラメトリック関数のタイプだけを指定するの
ント ・ベクトルを並びかえると,外郭線上を一巡するベ
みで得られる 。
5
. 織物組織と被服図形の外務線との合成
クトル列ができる。 このベクトル列をシェイプ ・ベクト
前述の方法で記述された被服図形の外郭線は閉曲線と
ルと呼ぴ,シェイプ ・ベクトルの作る閉多角形をシェイ
なるので.外郭線は平而を 2つ領域に分割する 。外$*hl
プポリゴンと呼J
tことにする 。
で阻まれている領域を内部領域んとよぴ,間まれていな
シェイプ・ベクトルによる被服外郭線の表示は座標軸に
対して独立であるので,同一形状を保持して,秘々の位
い領域を外部領域ん固とよんで区別する。
置,方向に交換することができる 。 さらにこの表示形式
領域を D とすれば
このとき画面
D=,
f'n U1
0
"
',
j同 n
;
;
。
喧・中
が被服図形の記述に有益である点は.シェイプ ・ベクト
ルをシェイプ ・ポリゴンの任意の頂点に対する位湿ベ
て・ある。
クトルに自由に書き変えても.図形の幾何学的特性値が
1
,%2) は.
彼服図形の外郭線に対する画{伶象関数j(%九
不変であることである 。したがって .被服図形の合成に
際しては,合成する被服部分図形のシェイプ ・ポリゴン
山川)
片凶円
=r
j「
(
叩
バ叩
の任意の瓜点問の相対的位也関係をベクトル表示す るだ
値直論理閥数
f
5
ω
} となる。
なる 2i
けですむので.合成に必要なベクトル演算が.著しく減
また,織物組織図に対する画像関数は
少できる。
r1:(%ImodFく F)八 (%2mOdW く W)
4.作図関数 のパラメトリックな表現 と基底接続 代数系
=l
t(%I,
%2)
被服図形のシェイプ ・ベルトルによる表示に対して,
I0
(4)
-111-
和知:被服図形の合成目J
Iに関する研究(第 l報)
なる 2値論理関数となる 。 ここで F,W は織物組織のー
シェイプ ・ベ クトルが作り出される。つぎに DIMENSI・
完全意匠図を鱗成しているたて糸とよこ糸の数である。
ONAL TRANSFORMATION ROUTINEに送られて.
図形変換に必婆なベクトル演算が遂行される 。指定され
,
)
, t
(x"x
,
)の Xt
.X
zに画素点の座標I, Jを
さてj(x"x
た作図関数は DRAWING FUNCTION PACKAGEより
対応させても 一般性を失なわないので,
F[,
IJ
]三 J
(x" x,)
割付けられて, INTERNAL CINCIDENCE TABLE が
T[
1,J
]三 t
(x
" x,)
作られる 。これらの結果は, GRAPHIC COMAND IN・
TERPRITERを通して DISPL
AY CON
TROLLERの制
なるブール行列を得る 。
ALPLOTT御下にある STORAGE CRTおよび DIGlT
したがって ,織物組織図と被服図形の外郭線の内部領
ERに表示される。
域との合成結果は,つぎのブール演算による画像出力で
被服デザイナーと
与えられる 。
1
, J]
・ T [,
I J]
C [1,J]= F [
CAPSシステムとの対話を過して,
被服図形の合成が遂行されるように, GRAPHI
C FUNC了ION KEY(1
0
個
)
, INTERACTIVE DIGITAL PLO-
ここで・は
TTER,そして JOYSTIKがシステムに装備されている。
f a= 1 t
h
e
n b else 0
a.
b
:= i
したがって被服デザイナーは,
なる演算て"ある。
INPUT DEVICEを使用するだけで,特定めフ。
ログラム│
CAPSの言宣言十
言語を知らないでいも.被服図形を記述 した り合成したり
することカずで、きる。
前節までに述べた理論の基礎的な部分を笑現するため
に ,笑験的なシステム
これらの DISPLAY
CAPS(Computer Aided
実験およ び結果
α
P tternSynthesizer)を設計 した。このシステムはグラ
前進したデザイン理論と,それに基づく
フィク・ディスプレーシステム(ソニー ・テクトロニクス
CAPSシス
テムを検証するためにいくつかの実験をおこな った。
4051型)と,被服図形記述ソフトウェア・ンステムとにより
実験に使用した前身頃 ,後身頃,およ び袖の各スロー
柄成される 。
パは ,H,Pepin61によるスローパ製図法によ って いる 。
トータル ・システムの織成図は図 -2に示す。
この製図法は,いわゆる採寸i
f
l!からの ‘
羽1
1
1
)出し"による
製図法ではなく,製図に必要な点は採寸値の長さを半径
とする円と ,線分を用い .直線と直線の交.'.¥,同と同との
をたてるなどの平而
交,直線と円との交点,直線に:!lf斜l
幾何学に基づく商法で決定される。したがって前述のン
ェイプ ・ ベクトルによる被服型紙の外事~線記述を実験す
るに適した従来からの製図法の一例である 。製図に使用
した採寸他は表 - 1に示した 。
:
i
:
:
;
表 - 1 Chart of Garment
Measurements
E hL
AL
:---・-・
m
一四 一 旬
一切 一
-抱 一
川
一 鴨
-同
一昨 一 問
一p
一 ZAAK
﹄ 一 純 一回
刷
訓 ↑& 一g
-郎
u
町 一 間 一澗
R
u 一ω
-z
m
問
区 一
m- 開 制
図 -2 Conf
i
g
u
r
a
t
ion of CAPS
CPUは32Kバイト ROMを伴うマイクロ ・プロセッサ
ー である 。外部記録装置として300Kバイトの磁気テープ
図 -3 Shape Vector f
o
r
t
h
ef
ron
t bo
di
c
e Sloper
(reJer t
ot
αb
l
e 2)
・ユニットを装備している。表示管は蓄{象管方式であり,
1024x780の画素数を持 っている。 被服図形が合成され
る標準的な手続の概裂はつぎのようである 。被服図形を
Oが取り出さ
記述したインシデンス ・テーブルょっ P,L,
図 - 3i;j:シェイ""7.ベク
れ ,PATTERN DESCRIPTORを経由してセグメント ・
トルを表示したものであり ,
ー・
Ictrs U A
SUn u
:T
J
.
割
・
3
弓
ベクトルが SHAPE VECTOR GENERA
TORに送られ,
(5)
使用した作図関数は ノマラメ
-112-
日
月
被
表 -2 l
n
c
i
d
e
nce Ta
b
le f
o
r a Fr
ont Bodice
o Figure 3)
S
loper(refer t
ι ・・~ r
"
.
.
.
.
司
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Gunclub Check
(6)
-113-
和知 :被服図形の合成則に関する研究(第 I報)
3次スプライン関数で
来は,被服図形の合成 H
I
Jを究明するために提唱したシス
ある。被服図形の外郭線の合成と図形交換は,ベクトル
テム・アーキテクチュアに対して満足すべきものであ
トリ
y クな直線の方程式と,自然
ったことを示している。特に合成則の究明を遂行するた
演算きれ,同次座標系でおこなわれた。
めには,基底接続代数系が有力な手法を与えるであろう
特に被服型紙の製図過程でしばしば使用きれる線分上
の任意の点で垂線をたてて,垂線上に必要な長さをとる
と期待される。またシェイプ・ベクトルによる被服図形
という製図作業は,ベクトル回転機算子を作って,作図
の表示法は,被服図形の構成,記述そして合成に対する
関数に組み入れることによって著しく簡略化することが
強力な図形積算法を与えるものと期待できる。そして本
できた。このベクトル回転演算子を,被服図形を記述し
論文においてもその有効性の一部を実験を通して確認で
ている基底接続代数系の作図演算子としてインシデンス
きた。
また,被服型紙の設計を,単なる外郭線の決定に留め
に加えることによって,被服図形の記述カを大きく増大
ないて¥被服型紙の設計を外郭線の内部領域も含めて,
させ,しかも記述が平易になることが判明した。
設計する方法が,これらの理論と実験を通して実現可能
インンデンス ・テーブルの例は前身頃の作図段階のも
であることが明らかになった。このことは被服設計と織
のを表ー 2に示した。
物設計をひとつのデザイン・プロセスとして実現できる
このテーブルに基づく作図結果は図 -3である。同様
な手続きを後身頃,袖に施した結来をそれぞれ図 - 6,
ことを提略する論拠を与えている。この新しいデザイン
7に示す。この ようにして得られた各原型の外郭線は ,
理論は,被服デザインのト
y プ・ダウンな設計手段を
.
合成されて“きものスリーブ"のための新たな型紙が作
さらに拡大でき . しかも被服設計過程をコンビュータで
り出された。合成結果は図 -8に示した。合成に必要
追跡する有力な方法をあたえることができることを示唆
な情報は,各原型のシェイプ ・ポリゴンの頂点の位置関
している。
係を示す 3つの位置ベクトルの指定だけである。
総
つぎに,織物組織図と被服図形の外郭線で閤まれた領
括
(
1
) 被服図形の正準な記述法を与えるために.蔽服図形
0までは,前記
域との合成結果を示す。 図 -9から図 -2
と同ーの原型についてその外郭線と織物組織図を合成す
の幾何学的構造を代数的構造で与えるための基底接続
る過程と合成結果をモデル的に示したものである。図 -
代数系が導入された。
9から図 -14までは前身頃, 図 -1
5
から図 -20までは袖
(
2
) この代数系が被服図形の合成則を解明するための基
5は
原型に対してのモデル図である。なお図 -9と図ー 1
礎理論を構成するようにするため. 2つの部分代数系
6は外郭線を,図 -1
1と
{立造ベクトルを.図 -10と図ー 1
が導入された。
6は内部領域の判定結果を,それぞれ各原型に対し
図 ー1
(
3
) 基底接続代数系が,座襟軸と独立な図形空間に対し
ておこなった結果を示したものである 。領域判定法は,
ても適用できるように ,図形の シェ イプ ・ベク トルに
走査線法に基づく 2依論理関数を使用した。また織物組
よる表示法と作図ノマラメータが導入された 。
織図は, 3原組織のなかから 2/1の 3枚斜文 . 変化組織
(
4
) さらに被服図形の外郭線で囲まれる内部領域も彼服
の 例 と し て 破 れ 斜 文 織 の 一 種 で あ る 杉 綾 (Vertical
デザインの対象とするため,こ れ らの領域と,織物組
Pointed Twil
JJ
円を,そして比較的複雑な織物組織であ
織図とを合成する基礎理論が 2値論理図像関数を用い
る二重弁慶格子 (Gunclub Check)を実験に使用した。
て導入させた。
なお,実験は外郭線の合成については大阪市立大学計算
(
5
) これらの理論を遂行するために
3
0-60/75を.外郭線と織物組織の
センターの FACOM2
I(
3
2
合成についてはノマーソナル ・コンビュータ APPLEI
KRAMS)を使用した。
CAPSシステムが
設計された。
(
6
)
CAPSシステムの各機能を検証するために.
被 IJ~
織物組織図が被服図形の外郭線
型紙の外郭線の合成と,外郭紛で閉まれる領域と,織
の内部領域と合成された結果を明確に示すために,実験
物組織図との合成について実験がおこなわれ,いずれ
では 40X40の画素数を使用した。
も成功した。
(
7
) これらの理論的検討と実験精巣とから,
実験の考察
CAPS ン
ステムは被服図形の合成則を究明するに充分な基礎的
実験において使用された作図関数Ll:,ベクトル回転淡
理論を実現したアーキテクチュアを持っていることが
t:子と,パラメトリックな直線の方程式および自然 3次
明らかとな った。
スプライン関数のわずかに 3つであった 。 しかし実験結
(
8
) またこれ らの理論と実験結栄とから ,被服型紙の 設
(7)
-114-
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がその基礎理論とともに提唱された。
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服造形学講座の三平和雄教授,花田嘉代子講師に心より
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年度科学研究
感謝致します。なお本研究は昭和 5
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クロコンピュータ利用による被服構成のための計測実験
で分1Rした研究である 。
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