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プロが解説 ゼロ金利下の金融政策3
(第 三種郵便物承認)2015.5,24 60 日経翔 タス プロが解説 ゼロ金利下の金融政策 κい 6 巨額の超過準備 解消が出日戦略の焦J点 指南役 河村 Jヽ 百 合 さん (日 本総合研究所 上席主任研究員 ) か わ む ら 。さ ゆ り 1988年 (昭 和 63年 )京 大 法卒、 日銀 に入行 。 91年 に 日本総合研 究所 に入 社 し、 2014年 か ら現職 。専 門 は金 融 と公共 政 策 。 15年 か ら行政改革 推進 会議 (議長・ 安 倍晋 二 首相 )の 民 間議 員 で、 歳 出 改革 ワ ー キ ング・ グル ー プの座 長 代 理 を務 めて い る。 近 者 に「 欧 州 中央 銀行 の 金 融政 策」 が あ る。 日本 は議論を封印「銀行券ルール」も放棄で資産拡大 大規模 な資産買 い入れ (LSAP) を実施 して きた 日本や米国の中央銀行 ですが、 いずれ は金融政策を危機前の 姿 に戻 さなければな りません。特 に米 国 は正常化 に向け検討 していますが、 その過 程 に はどんな問題があるので し ょうか。か つ て 日銀が こだわ っていた 14年 末 時点 で長 期 国債 の 保 有 残 高 は 日銀では資産も負債もこの 10年 で大きく膨 らんだ 鶴 資ぎ ④ 弛 債 舞衛aR管排 93り 缶 円 ゆ 当座預金 33 買入手形 44 8.5兆 円程度 で、残 りの ほとん どが「 超 その他 (共 通担保オペ)の 残高 は32兆 円弱 し 当座預金 178 短期国債 の 困難 が予想 され ます。 共通担保オペ 31.7 その他 │ 日銀 と同様、米国 もLSAP実 施 の 1 いた 日銀 は自らに「 長期国債 の保有残 うにす る」 とい うルールを課 し、順守 していま した。 この取 り決 めがあ った かあ りません。先行 きの正常化局面 で 短期国債 2001∼ 06年 に「 量的緩和」 を進 めて 高 は、銀 行券 の発券残高を超え ないよ ょうが )し ています。 当 過準備」です。 当座預金 を短 期間 で減 らす ため に使 え る短 期 資金 供 給 オ ペ 「銀行券 ルール」 を使 って考え てみ ま しょう。 (り 座預金 178兆 円の うち法定準備預金 は 79"B円 98.9兆 円 円を凌駕 :負 債 資ぎ 発籍餌衛券 園偶 201兆 円強 と、銀行券 の発券残高 の 93兆 資産 約300兆 資産 約 156)ヒ 正常化局面では売出手形を振 り出しか ? 文をもとに日本総合研究所作成。 数値は四捨五入 出所 日本銀行「金融経済統計月報」 各号の計姿 影響 で、先行 きの金 融政策運営 には困 難 を抱えて い ます。下で示 した表 は米 国 の 中央銀行 のバ ラ ンス シー トの主 な 座預金があ り、 この うち銀行 が積む よ 35兆 円)を 維持す るため、期間数 力月 おかげで当時 の 日銀 は比較的早 く、金 うに義務付 け られた「法定準備預金」 とい う短期 のオペでそれ に見合 う資金 融政策 を通常 の政策金利調節 に戻す こ が 4.6兆 円程度 あ りま した。 それ以 外 を供給 して い ま した。民間銀行 はその とがで きま した。 06年 3月 に量的緩和 の 大量 の 当座預金 は 「 超過準備」(通 称 を解除 した後、わずか 4カ 月後 の 同年 「 ブタ積み」 )で 、民間銀行 にとって 資金 を もとに、当座預金 に預 けたので す。表 のよ うに05年 12月 末時点 で買 い 7月 にはオ ペ で短 期金融市場 の 資金需 は完全な余乗1資 金で した。無利子 を承 入れた手形 の残高 は44兆 円で したが、 給 を調節 して、政策金利であ る無担保 コー ル翌 日物金利 を引 き上 げるよ うに 知で 日銀当座預金 に預 ける ほど、 どの 3カ 月た った 3月 以降 は、 満期 が来た の発券残高 を大 き く上回 り、 さ らに相 当な規模 の住宅 ロー ン担保証券 (MB 民間銀行 もお金が余 っていたので す。 ところです べ て市場 に売 り戻 して資金 S)の 買 い入れ残高 も存在 します。 市場参加者全員 が 巨額資金 を持て余 を吸収 し、06年 7月 には残高が ゼ ロに 誘導 で きるよ うにな りま した。 項 国について構成 シェアが 、金融危機 前 と最近 で ど う変化 したか比 べ て い ま す。銀行券 ルールで見 ると、 14年末時 点 で、長期国債 の保有規模 は、銀行券 これ らを今後、市場で売れば市場金 右上 の表 を見て くだ さい。銀行券 ル してお り、短期金融市場 で資金取引が な りま した。銀行券 ルールのおか げで、 ール を‖ 隕守 して いた05年 12月 末時点 の 日銀 のバ ラ ンス シー トで は長期国債 の 成立 せ ず、金利 はつ きません。 日銀 に 金融調節 の障害 とな りかねない超過準 利 の急騰 を招 きかねず、実際 に動 くこ とはかな り難 しいで しょう。米国 も今 してみれば、 この状況 で短 期金利 の 引 保有残高 が約63兆 円で、銀行券 の発券 残高 の 79兆 円を下回 っていま した。 バ き上げ誘導 はままな りませんで した。 備 を、短期間で解消で きたので す。 これに対 して現在 の 日銀 は「 量的 。 後長期間 にわた って 巨額 の超過準備が 残 り、先行 きの金融政策運営 の障害 と 銀行券 ルール順守を 目的 に、 日銀 は 当日 寺の 当座預 金 の 残高 目標 (30兆 ∼ 質的金融緩和」 を導入 した13年 4月 の 時点 で、銀行券 ルールを放棄 しま した。 な りかねな い ことが懸 念 されて い るの ラ ンス シー トの負債恨1に は33兆 円の 当 です。 米国は市場金利の引き上げ誘導を先行明言 ただ、米国が 日銀 と大 き く違 うのは LSAPを 実施 して いた最中の 11年 6 (FO MC)で 再 二、金融政策 の正常化 で採 0 資産 り得 る選択肢 につ いて実現可有静性や効 長期国債 果、 リス クなどを議論 し、公表 して き 短期国債 短期供給オペ た ことで す。 12年 9月 、第 3次 LSA 57% 32 6 銀行券 当座預金 90% 2 1年手9月 には LSAP終 七立 ち 了 にう 正 常 化 に 向 けた戦 略 を公 表 して い ま す。「 終了後 の国債や MBSな どの売 却 は容易 で はな い」 と認 め、今後 の金 その他 合計 6 100 短期国債 住宅口■ン担保証券 (M BS)・ エージエンシー債 短期供給オペ 9 その他 合計 100 合計 そ の他 負債 資産 長期国債 ) Pは 正常化 の議論 を しなが ら踏み切 っ た政 策 で した。 0 負債 55% 0 当座預金 して 0.1%を 下回 っています。 FOMCの 脇一 3一 一 5 月 か ら、米連邦公開市場委員会 米中央銀行のバ ランスシー トを見ると「銀行券」を上回 つて大量 の国債を 保有 しているのが分かる 40 0 6 100 を用 いる」 と明 らかに しま した。 この よ うな手段 を用 い る根 底 に は トを抱 えたままで市場金利 の 引 き上げ 「民間銀行 がいつ で も中央銀行 の 当座 預金 に資金 を預 けて一定 の利子を得 ら げ誘導 に必ず しも自信満 々で はな さそ うです。銀行間取引で相互不信 に陥 る よ うな金 融危機 で は、 イ ンターバ ンク 資金が中央銀行の当座預金 に集 中す る 公算が大 き く、中央銀行が決 めた金 利 その他 18 合計 100 各項目の総和は必ずしも400に ならない。 資産に占める割合の小数点以下を四捨五入したため、 出所 米連邦準備理事会(FRB)の 統計資料(15年 1月 )か ら日本総合研究所作成 融政策 は「 巨大 な規模 のバ ラ ンスシー 議事要 旨や首脳陣 の講演 内容等 を読む限 り、市場金利 の 引 き上 RRP)」 などのオペを用 いる予定で、 13年 9月 か らの予行演習では、市場金 利 の押 し上げ効果を確認済みです。 を適用す る「 管理 (規 制 )金 利」 を使 わざるを得 な くな る可能性 も FOMC で は議論 して います。今後 の正 常化局 面 での金 融調節 の実務面 でのハ ー ドル の高 さをいかに厳 しく認識 して い るの か分 か ります し、 ここまで公 表 して い る点 に市場や国民 との対話 の誠実 さを うかが い知 ることがで きます。 戦略 の議論を封印 して います。正常化 資産規模 の縮小 は「 基本的に保有資産 の再投資 の停止 で行 い、 それ は市場金 れ るのであれば、市場金利 はそれを上 ヵ なみ に 日銀 は現在 、超 過準 備 に 0。 1%の 付利をつ けてお り、米国 と同 回 る水準 で形成 され るはずだ」 とい う じく「 付利 の水準以上 の短期市場金利 利 の 引 き上 げ誘導 の 開始後 に始 める」 考 え方 があ ります。金利 の引 き上 げ誘 が形成されるはずだ」との見解を公表 は米国 と同 じよ うな方法 で進 め る しか 導 には国銀の売 り出 し手形 に相 当す る ・ リバ ース レポ (ON 「 オ ーバ ーナイ ト しています。ただ実際の無担保 コール 翌 日物金利は、 10年 1月 以降ほぼ一貫 ないで しょう。 次回 は日銀が正 常化 の 誘導 を先行 させ る」と明言 して い ます。 と説明 し、金利引 き上 げ誘導 には「『 超 過準備 に対す る付利水準 の 引 き上 げ』 日銀 は「 時期尚早」 との理 由で 出 口 過程で直面す る課題を考えてみ ます 。 許諾番号 30041614 日本経済新聞社が記事利用を許諾しています。 掲載日 2015年5月24日 日経ヴェリタス 60ページ ⓒ日本経済新聞社 無断複製転載を禁じます。 日本経済新聞社は、記事内容により、特定の企業・団体や商品・サービスの購入・投資等を推奨するものではありません。