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新任教員紹介 - 山口大学人文学部・人文科学研究科

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新任教員紹介 - 山口大学人文学部・人文科学研究科
新任教員紹介
栗原 剛(くりはら ごう)
所属
人文社会学科 哲学・思想講座
職名
准教授
発令年月日
最終学歴
2011 年8月1日
東京大学大学院人文社会系研究科博士課程
学部:日本倫理思想史,日本思想史特殊講義,日本思想史講読,日本思想史演習
担当授業科目
大学院:日本思想論Ⅰ,日本思想論演習
共通教育:倫理学,基礎セミナー
このたび日本倫理思想史研究室の准教授として着任された栗原剛氏の専門は、江戸時代の儒学思
想と町人文学の研究である。伊藤仁斎や佐藤一齋などを対象とする儒学思想研究においては、天や
聖人に対する信のもと、人倫の秩序体系がどのように構想されていたのかを追求されている。また、
近松や西鶴らの町人文学の研究では、儒教的な社会規範や神仏への信仰を背景としつつ、彼らの死
と生に関する情念が、いかなる形で表現されているのかを解明されている。
栗原氏の研究の特徴は、江戸の思想世界を謙虚かつ誠実に探求することを通じ、氏自身の思考を
研究活動の概要
主体的に深化させようという意図が一貫している点にある。氏の真摯な論考に接する者は、思わず
背筋を伸ばさざるをえなくなる一方、その読後感は極めて爽やかである。恐らく和辻哲郎にまで遡
るであろうそうした自省的な研究は、人文学のあり方の一つの典型を示している。
滔々たるグローバル化のうねりの中で、日本なるもの、東洋なるものの真の価値を模索する課題
に直面している現代日本において、日本倫理思想史研究の重要度は、過去にまして大きくなってい
るはずである。にもかかわらず、七〇〇を越える日本の大学において、日本倫理という「看板」を
正式に掲げている研究室なり、講座なりの数は、十指に満たない。この点において、山口大学人文
学部に日本倫理思想史研究室が存在し、そこへ栗原氏のような研究者を迎えることができた意義は
極めて大きい。
岡邊 健(おかべ たけし)
所属
人文社会学科社会学講座
職名
講師
発令年月日
最終学歴
2011 年8月1日
東京大学大学院教育学研究科博士課程
学部:社会心理学概論Ⅱ、現代社会意識論、社会心理学演習、社会心理学調査実習
担当授業科目
大学院:現代社会意識調査論、現代社会分析論演習
共通教育:基礎セミナー、社会学
岡邊健先生の専門は「犯罪社会学」と「社会問題の社会学」です。犯罪や少年非行、およびそれ
らを含む種々の社会問題を題材に、社会学や社会心理学の観点から研究しています。
犯罪をテーマとする学問分野には、ほかにも犯罪心理学、犯罪精神医学などさまざまなものがあ
りますが、犯罪社会学の大きな特徴は、犯罪という概念の自明性(人々が当たり前だとみなしてい
るさま)や人々の犯罪観(犯罪の捉え方)をも考察の対象にする点にあります。たとえば「
『普通の
子』が凶悪少年犯罪を犯す」という見方は 1980 年代に成立しましたが、この見方には妥当性がない
研究活動の概要
ことを、先生はこれまでの研究の中で指摘しています。
また、犯罪社会学、社会問題の社会学においては、犯罪や社会問題を、個人に還元することので
きない社会的要因に着目して考えます。たとえば、中学校にうまく適応できなかった生徒は、そう
でない人に比べて、非行を繰り返してしまいがちであることが知られていますが、このような学校
不適応の非行促進作用の持続期間が時代によって異なっていることも、先生は研究によって明らか
にしています。
岡邊先生の中心的な研究テーマは犯罪や非行ですが、今後は、社会問題全般を射程に入れて考察
を深め、さらに研究を発展させていく予定だそうです。
松田 泰代(まつだ やすよ)
所属
言語文化学科アジア言語文学講座
職名
准教授
発令年月日
最終学歴
担当授業科目
2011 年 8 月 1 日
京都大学大学院人間・環境学研究科博士後期課程研究指導認定修了
図書館概論、図書館情報資源概論、情報資源組織論、情報資源組織演習など
松田氏の研究分野は主に日本近世出版文化史と書誌学である。前者では、松田氏は江戸で販売さ
れた新刊本点数の推移を分析し、江戸出版業の主体性が成立したのは従来の説よりも遅い安永4
8年(1775-79)であることを突き止めた。また、文化3年(1806)の丙寅の火事で没落する書肆、
大規模資本を持つ書肆による版権の集中化、および第二次新興書肆の勃興が起きたと論じている。
1999 年にドイツで発見された、日本橋界隈を俯瞰する絵巻『熈代勝覧』で描かれている本屋に関す
研究活動の概要
る視覚情報と数値分析とを組み合わせた研究方法にユニークさが見られる。
書誌学については、松田氏は書籍巻末の蔵版目録に着目し、そこに記録されている書誌情報(書
名,責任表示,册数)により,出版者の出版状況や板木保有状況が窺え,その書肆が使用した複数の
蔵版目録を比較し,販売許可の割印帳や本屋仲間の記録簿と組み合わせて読み解くことで,異なる
刷の相対的な順序付けや書籍が市場に出された大まかな年代判定ができることを提唱した。刷の違
いによって、蔵版目録に記載される書籍が微妙に異なることや、罫線の掠れなどの印刷上の僅かの
差異があることを見逃さない分析が冴えている。
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