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Title
Author(s)
Citation
04 Elle etait belle, ce matin ! (今朝、彼女は美しか
った。)
倉田, 清; Kurata, Kiyoshi
NEWS LETTER, 12: 04-05
Date
1992-11
Type
Research Paper
Rights
publisher
KANAGAWA University Repository
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今朝、彼女は美 しかった。
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倉田
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今朝 、
彼女 は美 しか ったね !) と、所長 が感動 した よう
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に眼 を細 めて言 うと、市長 が 「
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は とて も美 しか った !) と感慨深 げに うなづいて
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い る。何 の話 を してい るのだろ う。 どこかの女性
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湖 の ように青 く広 が った ロワール河 、
が美 しい姿 を二人 に見 せ たのか。老 人 たちの顔 を
その牧場 、 ポ プラの木、黄金 (こがね)色 の小 島、
か わるが わる眺 めて、 こち らもほのぼの と した気
青 白い柳 の茂 み、軽 やか な空、大気 中に拡 が った
分 になった・
-- 「
彼女」 とは ?僕 も知 ってい る美
穏 やか さ、昔 の国王 たちが愛 した この国の、 ほ ど
人で教養豊かなマ ダム ・ブ-デかな、と考える。--
な く遠 い ところに、古 きフラ ンスを思 い起 こさせ
しか し、 その 「
彼女」 とはオル レア ン市 を流 れ る
る宝石 の ようにはめ込 まれた城 などを考 えるとき、
ロワー ル河 であった。 フラ ンスの中部 を流 れ、大
私 は この母 なる大地 に対 す る限 りない愛情 に とら
西洋 に注 ぐ一番 の大河 で ある。確 か に、朝霧 に包
え られ るの を感 じる。 ひ じょうに繊細 な、そ して、
まれたポプラや柳 の生 えた小 島 をい くつ も抱 えた
ひ じょうに強 い根 を私 はいた る ところに持 ってい
この清 らか な、優雅 な悠 々たる流 れ は、誰 に も深
るのだ。私 は=
阻国 を考 える。 それ は、現在 の私 を
い感動 を与 えて くれ る。河 は生 きてい る。 ロワー
つ くって くれたすべ てで ある。私 の両親 であ り、
ル河 はオル レア ンの人 たちに とって、 またその流
現在 の友 人 たちで あ り、 これか らの友 人 たちであ
域 に住 む人 たちに とって生 きた存在 であ り、その
る。私 が そ こで夢 み る田園で あ り、私 がお しゃべ
流 れ は彼 らの心 の中 にあ る。
りをす る大通 りであ る。私 が愛 してい る芸術 家 た
ちであ り、私 が読 んだ素晴 らしい書物 である。」
少 し哲学的 な傾 向のある印象主義 の文芸批評 家
ジ ュー ル ・ル メー トル (
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悠久 の大河 ロワールの流域 には、 ルネサ ンス期
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の王侯貴族 たちの居城 が点在 してお り、風土 の穏
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見 事 に語 っ て い る。 《Qua
やか な、端正優 美 なフラ ンス語 と明断 な思惟 の、
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るこの美 しい文章 を名文家 の アナ トール ・フラ ン
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4) は暗記 していたそ うであ る。
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に結 びつ く傾 向が ある。 しか し、 フラ ンスや イギ
レメ トールは、少 々右翼 的 な傾 向の批評 家であ
るが、その祖 国の概念 は故郷 - の愛、つ ま り郷土
リスで は、郷土愛 は、山河 や街 を背景 と した人々
愛 に基づ いてい る。 そ して、かつ ての 日本 や ドイ
の平和 な営 み を示 してお り、絶対 に政治性 とは結
ツの ように郷土愛 が非人間的 な政治 に至 る こ とは
びつか ないので はないか。素朴 か 笑い感情 がそ こ
ない。天皇制軍 国主義 やナチのゲルマ ン民族 の徹
にはある
。
底 した排他 主義 は まった くない。 フランス語 や英
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e!」と感 動 的 に語 って い た
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onは、主権 の保持者 である 「国民」 であ
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スク レタン市長 も、マ ル タン所 長 も、 ナチ ス ・ド
り 「人民」 であ って、 (
民主 的) とい う内容 を も
イツの暴力 に対 して、人間の 自由 と尊厳 を、 その
。 それに対 して、 ドイツの "ナチオナル" は、
基盤 であ る故郷 を擁護 した レジタンスの闘士であっ
強力 な偉大 な民族 とい うイメー ジを伴 っていて、
た。 しか し、僕 が敬愛 した所長 も市長 も、今 はな
民族 的統一 の概念 に当 ては まる. トーマ ス ・マ ン
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)が、「ドイツで は ネー シ ョンの概 念
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年 ジ ャ ンヌ ・ダル クが 、 また、1
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年 に一
その ものが ない」 とい った洞察 は、 「自由」 とは
般市民 が その侵 略者 か ら放 った この オル レア ンを
その概念 が なか った 日本 ナ シ ョナ リズムについて、
訪 ね る度 に、 ロワール に沿 って散策 しなが ら、時
われわれ に反省 を促 す ものであ るが、 とにか く、
の流 れ を感 じて、僕 は果 て しない水の清 らか さを、
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onは国民、人民であっ
イギ リスやフランスではn
火 の明 る さを、無 限広 さを憶 う。 そ して僕 は僕 を
て民族 、国家で はない。偉大 な哲学者 ヘーゲルが
思 う。詩 人 シャルル ・ペ ギーは、次 の ように詠 っ
『
国家論』 の中で、「
個 人 の 自由は全体 の中で なけ
てい る
れば存在 しない」 と言 ってい るのは、残念 な こ と
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。
(
ロワー ルの国 にあ るオル レア ンよ !)
であ るが、 ドイツでは郷土愛 が国家や民族 に容易
★
お知 らせ
第 3回
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★
英語教育研究大会開催
日 時
92年 11月 21日 (
土)
会
場
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7号 館 21
5
号室
後
援
神奈 川県高等 学校英語教育研究部会 ・神奈川県中学校英語教育研究会
第 2回
1
3:0
0-1
9:0
0
海外講演会開催
日 時
92年 11月2
4日 (
火)・
2
6日 (
木)
会
20号 館 205
号室
場
講演者
1
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9:3
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s氏 (テ ンプル大学 日本校教授 ・応用言語学専 攻)
尚、前号 で予告 いた しま したAl
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y氏 は、健康 上 の都合 に よ り中止 にな りま した。
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