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1 - 【参考情報】 わが国と災害環境の似た台湾~災害

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1 - 【参考情報】 わが国と災害環境の似た台湾~災害
【参考情報】
わが国と災害環境の似た台湾~災害対応、教訓伝承~
■アジアの身近な国
中華民国が実効支配する台湾は、台湾本島とその周辺諸島などから成り、面積はわが国
の九州程度の広さで、人口は約 2300 万人だ。最も大きい台湾島は、南北 400km 弱、東西
約 144km だが、島を 5 つの山脈が縦走し、山地が多い。3000mを超える山々は 144 を数え、
最高峰は旧日本名で新高山(ニイタカヤマ)・玉山山脈の玉山で 3952m ある。
日本列島は4つのプレートがぶつかり合う地形上にあるために地震が頻発するが、台湾
もフィリピン海プレートとユーラシアプレートとの境界上に位置しているために、わが国
同様、地震活動が活発だ。台湾本島の山々も、このプレートが押し合ってできたものと言
われる。地震のみならず、火山、土砂災害、豪雨災害など、自然災害の様相がわが国と非
常に似通っていることから、日台間の防災技術交流もさかんだ。
台湾の観光スポットといえば、15 の山々から成り、神話や仏教の伝説とゆかりのある阿
里山国家風景区(国定公園)や、台湾最大の湖・日月潭(にちげつたん/じつげつたん)が
有名だ。は、日月潭は台湾南投県魚池郷に位置し、湖の北側が太陽(日)の形、南側が月
の形をしている。
台北にある故宮博物院(台北市)は、ルーブル美術館、大英博物館、メトロポリタン美
術館と並んで世界4大博物館の一つと呼ばれている。所蔵品が合計 60 万 8985 件冊に及び、
仮に全部見ることができるとしたとしても、すべてを見るには8年以上かかると言われて
いる。
故宮博物院(ウィキペディアより)
2010 年 10 月 31 日に、羽田‐台北松山空港の直行便が開通したので、日台間の交流はさ
らに便利になった。台北松山空港と桃園国際空港は、ちょうど日本の羽田空港、成田空港
と同じような関係で桃園国際空港は、国際線のハブ空港として機能しているが、アクセス
-1-
から言うと松山空港が便利なのは言うまでもない。羽田-松山の直行便により、行きは羽
田から約4時間、帰りは約3時間のフライトで到着する。短期間の観光ならビザなしで行
けることも魅力的だ。
IT産業の振興で、台湾は全体的に豊かであり、人口約 260 万人の台湾最大の都市台北
市は賑わっており、台北にある「台北 101」ビルは高さ 509.2m で、地上 101 階、地下 5 階。
竣工当時世界一の超高層ビルであった。現在でも多くの観光客が訪れている。
■集集地震
近年の台湾における大規模災害と言えば、集集大地震と 88 水災がある。
台湾時間の 1999 年 9 月 21 日 1 時 47 分、台湾中部の南投県集集鎮付近を震源としてマグ
ニチュード7.3の大地震が発生し、死者 2,415 人、負傷者 11,305 人、経済被害約 3,000
億元(約1兆円強)という被害となった。台湾では 20 世紀で一番大きな地震であり、「921
大地震」、「台湾大地震」、「集集大地震」などと呼ばれる。
集集大地震で現れた断層。通常の河川に断層のため滝ができてしまった
地震後、中学校敷地内に現れた断層、破壊された校舎、河床の隆起などを適切に保存す
ることで地震災害の教訓を伝えることができるということで「921地震教育園区」が建
設された。
この教育園区には台湾が経験した大規模地震の記録や、さまざまな地震防災教育に資す
る展示物、教育資料があり、ボランティアのガイドが説明してくれる。
阪神・淡路大震災の教訓を伝え、未来への希望をメインテーマとする、わが国の「人と
防災未来センター」に共通する理念が感じられ、防災に関心のある者は、ぜひ訪れたい。
■88水災
2009 年 8 月 7 日~9 日、台湾は台風8号(モーラコット台風)によって、死者・行方不
明者 758 人、50 ㎝以上の浸水世帯 14 万戸にのぼる被害を出した。200 年に一度という猛烈
な雨が降り、3 日間の雨量は世界記録にほぼ匹敵するという。高雄県小林村では大規模な
洪水、土石流などによって約 500 名もの人々が犠牲となっている。
このような被害を教訓に、砂防対策の古い歴史をもつわが国と台湾との間で砂防防災技
術交流等も行われている。
-2-
■台湾の消防防災体制
台湾内政部消防署は、1995 年 3 月、「民衆の生命と財産の安全を確保するために」「台
湾を守る力」として発足し、火災予防、災害救助、緊急救護の3大任務を担ってきた。そ
して 1999 年の 911 台湾大地震の後、2000 年に「災害防救法」が公布され、火災の他に、
各種自然災害、人的災害を含む新たな任務が付与された。火災対策に関しては、事業所へ
の防火指導と女性ボランティアによる住民宅訪問による防火アドバイス等を進めること
で、近年、火災が大幅に減少しているという。
消防署は「思いやりで人の苦難を軽減する」「民衆を永遠に守る」といった理念・スロ
ーガンを前面打ち出している。また、「消防署の力には限界があるが、民間の力は無限」
という考えでボランティア、市民の力を活かしていくことに熱心に取り組んでおり、その
観点からわが国の防災士制度にも大きな関心を寄せている。
■アジア最大の消防防災訓練センター
台湾中部の南投県に台湾内政部消防署訓練センターが、2010 年 1 月 19 日に竣工し、使
用が開始された。この訓練センターは敷地が 109 ヘクタールに及び世界最大級、アジアで
は最大の消防防災訓練センターである。
センターには 13 類 66 種の訓練施設がある。地震災害のほか、ビル火災、屋外火災、船
舶、航空機、鉄道地下鉄駅、トンネル、油槽などさまざまな場所、所で起きる災害を想定
し、対応できる。火災は 49 か所で発火させることができる。土石流、激流災害等の訓練も
リアルだ。
この訓練センターには宿泊施設も完備し、台湾全土から消防職員等が泊まりがけで集中
訓練を受ける態勢が整っている。また、プロの職員だけではなく、将来的には冬夏キャン
プ形式の防災救助教育を学生に対して施すとともに、民間ボランティアと連携して、市民
を対象とした防災知識の普及、救助技術の教育も行う予定とされている。わが国の防災士
をはじめとする防災ボランティアが合宿形式で学ぶということも、考えられるところだ。
開所以来、約 11 か月間で約 5,000 人(のべ約 45,000 人)に教育訓練を実施し、消防職
員のみならず軍人、民間(量販店、IT企業)の訓練も受け入れたという。
なお、課題としては教育を施す側の教官が限られていることをあげており、この点で人
材豊富な日本の消防システムを参考にしたいとしている。
-3-
訓練センター外観図(一部)
以上のように、日本と同じような災害環境にある台湾の防災対策、防災教育、訓練指導は
非常に参考になるものであり、今後とも両国の防災交流は意義あるものと考えられる。
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